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all 永遠にともに - バーツ - 2007/12/19(Wed) 20:55:18 [No.717]
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永遠にともに 第10話 - バーツ - 2008/01/31(Thu) 20:54:36 [No.744]
永遠にともに 第11話 - バーツ - 2008/02/06(Wed) 15:16:35 [No.785]
永遠にともに 第12話 - バーツ - 2008/02/14(Thu) 00:02:23 [No.805]
永遠にともに 第13話 - バーツ - 2008/02/17(Sun) 00:16:41 [No.819]
永遠にともに 第14話 - バーツ - 2008/02/19(Tue) 00:14:56 [No.826]
永遠にともに 第15話 - バーツ - 2008/02/21(Thu) 00:19:06 [No.834]


永遠にともに 第9話 (No.735 への返信) - バーツ

淳平はつかさの顔が見えると同時に鼓動の速さが増したのを感じた。さっき会ったばかりなのに、もうこんなにドキドキしてる。

「…よっ」

「うん」

一言会話をするものの、ついつい彼女に見とれて言葉を失ってしまう。

「とりあえず…座っていいかな?」

黙ったままの淳平に声をかけ空いてる場所に荷物を下ろした。

「あ…あぁ」

何か話さなければ…。そう思って出た言葉は、さっきまで考えていたことに近いものだった。

「さっきさぁ、榛原くんだっけ?いたよね」

「うん。なんで?」

つかさはベッドにちょこんと座りながら聞き返してくる。

「いや、なんでいたのかなぁって思って…」

淳平も隣に座った。

「榛原くんは店の買い出しで、たまたまあたしの帰り道と一緒になっただけだよ?」

(買い出し…)

「…そっか」

榛原の話になると、何故だかマイナスの方向に考えてしまう。自分から話し出したのにも関わらず。

本当にそれだけか。他に何かあったりしないのか。聞きたいことは少なからずあるのに思いとどまってしまう。それは弱い心の現れであった。

そしてそのことは、彼を悲痛な表情へと変化させる要因となるには十分すぎるものだった。

「…またその顔…」

淳平の顔を覗きながら呟いた。

「えっ…?」

思わずつかさを見てしまう。

「淳平くん…ホントのこと言ってよ…」

「な…何が…」

何もかも見透かされているようなそんな感じがした。

「淳平くんが優しいのはわかってる」

少し俯き加減に静かに話し始める。

「気を遣って何も言わないだけなんだろうけど…あたしにはそれが…」

「…辛いよ…」

いつの間にか表情は暗くなっており、今にも泣きそうな顔になっていた。

「…」

また俺のせいで…その思いで淳平は胸がいっぱいだった。

「あたしたち付き合ってるんだよ?」

顔を上げつかさは淳平の目を見てくる。

そらすことなく、ただ真っ直ぐに…

「本音隠したままの方が仲良くやっていけるの?」

「我慢しないで何でも言ってよ…」

「私の前でくらい…無理しないで…」

一言一言が胸にしみた。

我慢するなって…無理するなって…

その言葉が今の彼にとってどれほど温かいものだったか…

泣き出しそうになるのを必死にたえながら、ゆっくりと話し始めた。

「…恐いんだ…」

「恐…い?」

「…アイツに初めてあった日、つかさが凄く楽しそうに彼と話してて…何か俺孤独だった」

「つかさは分からないだろうけど…その時のつかさの笑顔が辛かった…」

「なんか…俺と別の世界行っちゃうんじゃないかって…遠くに行っちゃうんじゃないかって思った…」

「アイツに会う度につかさが奪われそうな気がして…」

「勝手に思い込んでる俺が悪いのに…」

「ごめんな…」

まだ他に言いたいことはあったかもしれない。

でもこれ以上話したら、確実に淳平は泣いていただろう。

彼女の前では泣きなくなかった。

これが…今言える精一杯だった。

溢れる思いをこらえるため手を力強く握る。

「…大丈夫だよ…」

そう言って、そっと淳平の右手を握ってきた。

「榛原くんとは何もないし、私は遠くにだって行かない」

「淳平くんのことが大好きなんだから」

「だから…安心していいんだよ?」

淳平は目に涙をためていた。

こんな自分が情けなくて…彼女の言葉が嬉しくて…そんな思いだったのだろう。

「それに…ちょっと嬉しかった」

「嬉しかった…?」

少し微笑むつかさに少し疑問を抱き、聞き返す。

「淳平くん、榛原くんに嫉妬してたんじゃない?」

確かに…いや絶対にそうだった。

彼に嫉妬していたに違いない。

「嫉妬…つっても俺ら付き合ってるからなぁ…」

「それだけあたしのことを想ってるってことだよ」

「それならいいんだけど…」

つかさに言われ、少し気が楽になったためか、淳平の表情が緩む。

「やっと笑ってくれたね」

つかさもさっきまでとは打って変わり笑顔だ。

「大体榛原くんだってあたし達が付き合ってるの知ってるよ?」

「え…そうなの?」

「家の前で淳平くんのこと紹介したじゃん!聞いてなかったの?それにさっきまでそのことで話してたし」

(その時は気分がブルーだったから何も耳に入ってこなかったんだ)とは思ったものの、それ以上に榛原に自分の何を話したのかがかなり気になり、顎に手を当て問い掛ける。

「…何話したんだよ?」

するとつかさは淳平から視線を外し言った。

「教えな〜い」

「なっ…!?」

「まぁ、あえて言うなら?毎日寝坊するとかいっつも上の空だったりとか…要するに愚痴だね」

振り向いて、舌を出し意地悪く笑うつかさ。

「はは…俺の愚痴ですか…」

愚痴と聞いて、さすがに苦笑いするしかなかった。

「でもいいじゃん、淳平くんの不安が取り除けたんだから」

「…だな」

そして話題は榛原へ。

彼が作るケーキはどうだとか、クリームの作り方がこうだとか、つかさは楽しそうに話している。

以前はそんなつかさを見るに耐えなかった淳平だが、今となっては一緒に話せる。

(つかさは俺の彼女、その事実がちゃんとここにあるじゃないか)

(大丈夫。もう心配する必要なんてないんだ)

疑ってたわけじゃない。だけど、それに少し近かったこと。このことを考えると、彼女に申し訳ないことをしたと淳平は思った。

「そういえば、淳平くん。チョコは何個貰ったのかな?」

「へっ?チョコ?」

突然話題が変わり、反射的に内容を聞き返す。

「彼女のあたしとしてはかなり気になるんだよね〜」

つかさはニヤニヤと笑いながら言った。

「ほらっ、早く見せて見せて!」

「わーっと、わかったわかった。ちょっと待って…」

早くと急かされながら、淳平は自分のカバンの中から箱を取り出そうとしている。

「貰った相手があたしだけなら今日は許してあげようかな…」

「許すって…何を?」

カバンの中からつかさに目を移し、淳平は首を傾げた。

「えっ…まぁあれだよ、あれ!あはは…」

(若干つかさの顔が赤くなったように見えたけど…気のせいか…)

一瞬不思議に思ったが、再び淳平はカバンに目を向け中をガサゴソと漁った。

「なんだよあれって。でもどっちにしろ許してもらえないだろうけどな…」

「と言うと?」

「…ん」

淳平は2つの箱を両手に持ち、つかさの前に差し出した。

「…誰から?」

彼女の顔つきが一気に変わる。今までの笑顔はどこへいったのだろうか…

「つかさ…目が恐いよ?」

「誰から!?」

目の前のものを見て少々機嫌が悪くなったのか、さっきの優しい感じの言葉遣いではなくなっていた。

(見せてって言ったのはつかさだろ!?)

少し不満を口にしようとするも、なんとか平常心を保ちながら淳平は言う。

「あ…えーっと、こっちがさつき。ちなみに中身は義理ね」

部屋の中央にあるテーブルに箱を置いて、指で指しながらつかさに説明する。

「んでこっちは…」

「こっちは?」

少し言葉に詰まったことにつかさは敏感に反応してきた。

「…手作り。作った人はわかんない」

「何で?」

「げた箱の所にあったから一応持ってきたんだよ」

「ふぅん…」

何か腑に落ちないといった感じのつかさ。それを見て淳平は恐る恐る声をかけてみる。

「あの…つかさ?」

「何よ?」

「あっ…いや、何でもございません…」

(うわっ…つかさ怒ってる…?)

返答が怒り口調だったので淳平は軽くたじろいでいると、

「しょうがない。まずは私の食べて、ねっ?」

どういうわけかまたいつもの笑顔に戻っている。

「えっ…うん」

淳平はつかさの変わり身の早さに少し戸惑いながらも、さっき貰ったケーキをパクリと一口食べてみた。

「どう?おいしい?」

つかさは笑顔で尋ねてきた。

「…おいしい」

「…ホントに?」

「ホントに!そこら辺に売ってるケーキより全然おいしい!いや、マジで!」

想像していたよりもあまりにおいしかったため、ついつい大きな声が出てしまった。

「よかった〜!」

とても喜んでいる彼女を見て嬉しかったのか、彼自身までもが幸せそうな笑みを浮かべていた。

だが次の瞬間、淳平は隣でのつかさの行動を見て、少々その気持ちも失せてしまう。

「あの…つかささん?」

「んー?」

「それは一体…何をしているのかな…?」

つかさがしていることとは…

「何って…チョコ食べてるに決まってるじゃん」

つかさは“彼氏”の淳平がバレンタインデーにと貰ったチョコをパクパクと食べていた。

「ちょっ…それ俺がもらったチョコなんだけど…」

必死に自分のものだとアピールしようとするが、

「淳平くんは私ので十分でしょ?」

と言われ、口を開いたものの次の言葉が出て来なく、淳平は泣く泣く納得せざるを得なくなってしまった。

「あっ、これおいし〜!」

「おい!それ手作りチョコ!」

一番気になっていたあの手作りチョコも、つかさによって跡形もなく消え去ってしまった。

「何よ、私のよりそんなに食べたかったの?」

そう言われると何も言えない淳平。

「…いえ、めっそうもございません。はい…」

「ならいいじゃん」

(作った相手の気持ちを考えてみろ!)と言いたかったが、相手が誰かもわからないので言えるはずもなかった。

ケーキも食べ終わり、一段落ついた頃淳平はつかさに言った。

「…つかさ」

「なに…?」

「ケーキと…あと色々と…ありがとな」

「うん。どういたしまして」

つかさは淳平に微笑んだ。

「でもあのチョコは俺の…」

「もうっ!まだ言ってるの!?往生際が悪いぞ!」

(うぅ…つかさのやつ!絶対ホワイトデーのお返ししてやんねーからな!)

そして一日も終わりに近づいた。

部屋にはベッドが一つだけ。もちろん他に寝る場所はなく、二人で一緒に寝るということだ。

先に言っておくが、2人はまだ未経験者の類である。付き合って1ヶ月弱。まだその域には達していなかった。

「ねぇ、淳平くん?」

ベッドに入って淳平と背中を合わせながらつかさは言う。

「ん…?」

淳平は相当眠いのか、声にならないくらいの小さな声で反応した。

「さっきはああ言ったけど…その…」

段々と自分が言おうとしていることに恥ずかしくなり始めたのか、つかさの顔は真っ赤だ。

「…」

淳平からの返事はないが、それすら気付くことなく話を進める。

「…今日はあれだったし…してもいいよ…?」

言ったと同時に恥ずかしさから顔を覆った。

「…」

しかしまた返事がない。少しイラッときて、つかさは淳平の背中に体をむけた。

「大体こういうのは男の淳平くんから言うものなんだからね!…って、おーい、淳平くーん?」

「スー…スー…」

「あれっ、寝ちゃってる…?」

なるほど、だから返事がなかったのか。

一人で納得して、仕方なくそのまま寝ることにした。

(まったく…君にチャンスをあげたっていうのに何で早く寝ちゃうかなー)

自分が言おうとしたことにさらに顔を赤らめながらも、彼が心地良さそうに寝ているのを見て少し笑みをこぼした。

チク…タク…チク…タク…

午前1時。つかさは未だに眠れないでいた。

いつもなら夢の中の時間帯なのだろうが、今日に限って目が冴えてしまっていたのだ。

それは多分、隣に淳平がいるということが原因であることは間違いない。

(そういえばあの手作りチョコ…一体誰からだったんだろう…)

チラッと隣で寝ている淳平のことを見ながら、ふとそのことが頭に浮かんだ。

先程の彼と同様に、やけにあのチョコが気になりだしたつかさは、ムクッと起き上がると、チョコの入っていた箱を手に取った。

すると、箱の中から先程には見られなかった一枚の手紙らしきものが落ちてきた。

(なんだろ…?)

そう思い、紙を開き中身を見ると…

(えっ…!?)

一瞬嫌な予感が頭をよぎる。

それ打ち消すかのように、その手紙を箱の中に戻し、その箱ごと部屋の隅にあったゴミ箱に放り投げた。

そしてすぐにベッドに戻る。

(何であんなことが書いてあるの…?)

つかさの頭の中に“不安”という二文字が住み着き始めたのはこの頃だろう。

さっきの光景を忘れたいがために、ギュッと目を瞑った。

手紙には手書きの綺麗な字で一言こう書かれてあった。

「―――あなたのことがずっとずっと好きでした―――」


[No.743] 2008/01/31(Thu) 20:47:23

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