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カランコエ 〜あなたを守る〜 13 (No.777 への返信) - バーツ

いつもと何ら変わりない朝

いつも通りに起き、いつも通りに支度をし、いつも通りに家を出る

が、今日は一つ違ったことがあった

それは‥‥

「おっはよー、淳!」

なんでトモが俺の家の前にいるんだ?

「ん?その顔は何か言いたげだなぁ」

「どうしたの?朝から俺の家に来るなんて」

全く、珍しいこともあるもんだ

「うん。ちょっと話したいことがあって」

「話したいこと?」

何だろ?

「つかさのことだよ‥‥」

西野の名前を聞いた瞬間、胸の奥がズキッとした

そして昨日の外村の言葉が頭をよぎる

ーーーーーー‥

ーーーーーーーー‥‥

ーーーーーーーーーー‥‥‥

「いいか?お前はな‥‥自分自身を過小評価し過ぎなんだよ」

過小評価?俺が?

「さっきお前は自分に実力がないって言ったよな?」

「まぁ‥‥」

「つかさちゃんの先生に褒められてもそう言えるのか?音大卒の先生に」

‥‥ん?

ちょっと待てよ‥‥?

なんでこいつ先生が音大卒ってことまで知ってんだ?

外村の情報ルートは一体どうなってんだ?

「どういう意味?」

「はぁ‥‥。もう面倒だからはっきり言うぞ?」

外村は俺に間髪入れる間も与えず言った

「俺が思うにつかさちゃんはお前自身の実力がないって言葉で相当落ち込んじまったんだよ」

「は‥‥!?」

「理由は自分で考えろ。俺はもう帰るからな」

そう言って外村は部屋を出ていった

ーーーーーーーーーー‥‥‥

ーーーーーーーー‥‥

ーーーーーー‥

「おーい!淳ー?聞いてる?」

「あぁ‥‥ごめん、聞いてなかった」

「人の話はちゃんと聞けよな!」

「うん‥‥それで?」

「昨日話したんだけどね?本人はそれらしき姿は無理してあまり見せないんだけど、私が見た感じ結構落ち込んじゃってて‥‥」

外村の言ってた通りだ‥‥

「な‥んで‥‥?」

こう尋ねると、トモは昨日の西野との会話を話してくれた

色々あってやっと自信がついたこと

それを少なからず俺のあの言動が関係して崩してしまったこと

そのために今までにないくらい落ち込んでしまったこと

話し終わると、お互いに黙り込んでしまった

もちろん、あの時言った言葉はワザとじゃないし嘘でもない

俺の標準は先生であるのも今現在変わらない

でも、他人からしてみればそこに標準を置くのがおかしいらしい

俺にはこのことはよく分からない

標準なんてのは、人それぞれ違って当たり前だと思う

例えば勉強だったら、俺は苦手だから標準は出来なくて当たり前になっている

でも毎回学年一位を取っている外村からしてみれば、標準は一位もしくは上位とかになるんじゃないだろうか

そういうもんじゃないのかなぁ‥‥

それより、今回の事で思ったことがある

人の気持ちは言葉一つで急激に変わってしまうものなのだということ

例えそれが自分、そして周りからしてみれば何気ない普通のことだとしても、ある一人は傷ついたり落ち込んだりしているかもしれない

こう考えると、人と話すのが少し恐くなる

もう西野の時のような過ちはしたくないな‥‥

でもそれって気を付けるにも限りがあるんじゃないか?

うーん‥‥

頭の中で考え込んでいると

「でもね、つかさ言ってたんだ」

トモの言葉で我に返った

「【世の中にはあたしより凄い人なんてたくさんいる。この前はそのことを急に知らされて受け入れることが出来なかっただけだ】って」

‥‥‥‥?

「どういうこと‥‥?」

「要するに、つかさより歌が上手かったり淳よりピアノが上手な人は今この世にはたくさんいるでしょ?」

「うん」

そりゃそうだ

俺みたいな奴より凄いのはいっぱいいるはずだ

「それを少しでも受け入れられないと、今回のつかさみたいに、私はダメだなぁ‥‥って落ち込んじゃったりするわけよ」

「でも逆にそれを受け入れることが出来れば、もっと頑張ろうとかって思えるようになるわけ」

「うん‥‥」

「つまりは気持ち次第ってことだよね。それにその人の事情とかその時のタイミングとか‥‥色んな事が混ざり合わさってくる。プロとかそれを目指している人は特にね」

「難しいよね、そういうのって」

トモの話を聞いて改めて思った

人の気持ちは生き物だということを

生きている限り変わり続けるのだということを

「まっ、つかさなら大丈夫でしょ!こんなんで悄げるようなら歌手にはなれないと思うし。それにつかさは負けず嫌いだしね!」

「そうだったらいいんだけどさ」

気付いた頃には学校についていた

学校までの時間がいつもより短く感じた

朝から難しい事考えてたからな‥‥

靴を履き替え廊下を歩く

「それより!淳ってそんなにピアノが上手いの?習ってたことは知ってたけどさ」

これは何て答えれば‥‥

俺が出した答えは

「‥‥わかんない」

「何よそれ」

そう言ってトモはクスッと笑う

クラスにつくと、西野は先に来ていて、外村と楽しそうに話をしていた

その姿に俺は幾分安心して、自分の席へと歩いていった


[No.778] 2008/02/05(Tue) 17:04:52

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