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SS五部作 罰ゲーム 第5部 (No.816 への返信) - あーまん

「淳平くん・・・」



教室で元気なく机にうなだれているつかさ。



あれから一週間経った。



つかさと淳平は一言も話していない。



というより、淳平がつかさのことを避けているのだ。



つかさと淳平がはち合う時、淳平はつかさの顔を見ようとしない。



そしてつかさもそんな淳平の顔を見れないのである。



つかさは、何度も淳平に声をかけようとするのだが、淳平を見ると勇気が萎んでしまう。



大好きな相手に嫌われたり無視されるととても悲しいものだ。



しかし、実際につかさは淳平に対してひどい事をした。



この出来事は当然学校中に知れ渡った。



「おい、聞いたかよ!」



「真中と西野さん別れたらしいぜ?」



「あぁ、知ってる。」



「しかも、罰ゲームで西野さんがしょうがなく真中に付き合ってたんだろ?」



「そうそう! だよな〜 真中なんかが西野さんとまともに付き合えるわけないんだよな〜」



「俺にもチャンスが回ってきたぜ!!」



「おまえには無理だよ・・・」



こんな感じの会話が学校中で響き渡っていたのである。



もちろん、こういった会話は淳平の耳に届く。



そして、再び淳平を傷つける結果になるのである。



また嫌なことにつかさは、別れたとなると当然のごとく男がやってくる。



しかし、つかさはもう他の男の事なんか考えられなかった。



つかさは、後悔の念と謝りたい気持ちでいっぱいだった。



(淳平くん・・・ごめんなさい・・・)



心ではもう数え切れないほど唱えている言葉なのだが、ただ一回も淳平には伝えられないのだ。



すっかり元気を無くしたつかさだった。













そして、ある日の学校の放課後。



つかさは、やはり元気の無いままだった。



そんなつかさを見かねてかトモコがやってきた。



「つかさ!」



「トモコ・・・」



元気の無い顔をトモコに向ける。



「どうしたの? 最近元気ないみたいだけど・・・・」



「・・・・・・」


つかさはなかなか口を開こうとしない。



しかし、トモコには分かっていた。



「真中のことだろ?」



トモコの口からそう放たれるとつかさビクンと反応した。



「罰ゲームでしょうがなく付き合ったのに、付き合っていくうちに本気で好きになっちゃって、幸せになってたのに、罰ゲームって事がばれて、別れちゃったってとこでしょ?」



「うん・・・・」



ようやくつかさが声を出した。



「それで、つかさはまだまだ真中の事が大好きで、別れたくなかったってとこか。」



「うん・・・・」



再び元気なく頷く。



「それじゃあ・・・」



「こういうのはどう?」



「つかさが、真中に体で迫るの! つかさの魅力を持ってすればたいていの男なんてイチコロだよ!」



当然トモコは冗談で言ったつもりだ。



いつものつかさなら



「いやねぇ〜 トモコったら!」



と、冗談で返してくるはずである。



当然そう言って来ることを予想していたのだが・・・



つかさの口から思ってもみなかった言葉が出た。



「・・・・そうだね・・・やってみようかなぁ・・・」



(!?)



当然びっくりするトモコ。



「ちょっと・・・マジで言ってんの?」



思わず聞いてしまう。



「うん・・・」



そう言うつかさの顔は真剣そのものだ。



冗談とかそういった意味の顔ではない。



しかしトモコは、実際にそんなことをやって欲しい訳ではない。



当然、冗談である。



「ちょっと、そんなことで男捕まえたって、幸せになれる訳無いじゃん!」



「あたしが言ったのは冗談だよ。 真剣に考えないでよ!!」



少しムカッとしたのか、強く言ってしまった。



その瞬間つかさは泣き出してしまった。



「・・・グスン・・・だって・・・」



「だって・・・どうすればいいの・・?」



「どうすれば・・・また仲良くなれるの・・・?」



「分かんないよ・・・ヒック・・・」



「淳平くんとまた仲良く成れるなら・・・体だって使ったっていいよ・・・」



「グスン・・・」



つかさは本気で泣いてしまった。



(あんた・・・・そこまで真中のことを・・・・)



だったら、言ってやれることは一つだ。



「つかさ!」



泣いているつかさに向かって強く言う。



「真中と話してきな!!それが一番だよ!」



そう言うとトモコは立ち上がり、



「じゃ、帰るから。」



と、言って扉を開けて出て行ってしまった。



しかし、トモコは、



(つかさ・・・頑張れよ。)



と、思った。



しばらくその場で泣きつづけるつかさ。



しかし頭の中ではトモコに言われたことを反復させていた。



(淳平くんと話すのが1番・・・・)



(・・・そうだよね・・・)



(話さなきゃダメだよね・・・・)



(今まで、結局話せないで居たのは・・・・あたしが逃げてたからなんだ・・・)



(逃げちゃ・・・ダメだよね・・・)



そう思うと、つかさは席を立ち、右腕で涙を拭いて走って教室から出て行った。



















ピンポーン



とあるマンションの一室のチャイムが鳴る。



「はぁ〜い。」



ガチャ・・・・



ドアが開いた。



「あれ? あなたは・・・」



「淳平くんと同じ高校の西野つかさという者なのですが・・・・」



「淳平くん居ますか?」



ここは、淳平の家の前。



つかさはあれから走ってここに来ていたのだ。



淳平に想いを伝えるために・・・・



「淳平ね! ちょっと呼んでくるわね。」



淳平の母はそう言ってドアを一旦閉めた。



(淳平くん・・・来てくれるかなぁ・・・)



そう思いながら不安に刈られるつかさ。



今はもう冬である。



それに雪が降ってもおかしくない季節だ。



つかさは、両手を息で暖めながら待っていた。



すると中から小さいが声が聞こえた。



「淳平!! 西野つかさって子が見えてるわよ〜」



淳平の母の声である。



つかさはその声を聞いた途端、全身が身振るいがした。



しかし・・・つかさは耳を澄ますもののなかなか返事が返ってこない。



しばらくの沈黙・・・・



「居ないって言っといて!!」



・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



(やっぱり・・・・・)



一気に力が抜けてしまった。



中で、何か揉めているがもはや聞こえなかった。



しばらくして、淳平の母が出てきた。



「ごめんねぇ・・・ なんか、あの子会いたがらないみたいで・・・」



申し訳なさそうに淳平の母が言うと、つかさは笑顔で



「いいんです。 突然押しかけてすみませんでした。」



と言って、つかさはマンションを降りていった。






















時刻は11時30分。



「ふぅ〜、終わったぁ〜」



淳平は、珍しく学校の宿題をやっていた。



普段は、全くといっていいほどやらないのだが、何故か今日はやる気になったのだ。



「やれば出来るじゃん俺!」



しかも、結構出来たらしい。



「さて寝るかなぁ〜」



淳平はそう言って、机から立ち上がり電気を消した。



すると・・・・



「何だ?この音・・・」



何かの音が聞こえた。



キーコーキーコー・・・・



(ブランコ?)



そう思うと、淳平は窓を開けて公園の方を見た。



(誰か居る!?)



淳平は目を凝らす。



すると、雪の中ブランコをこいでいる金髪の女子が見えた。



(・・・・・西野!?)



そう思った瞬間、淳平は走り出していた。
















つかさは一人ブランコをこいでいた。



ただ漠然と何も考えていないまま。



というよりも何も考えられなかった。



ただひたすらブランコをこぐだけのつかさ。



すると突然・・・・



「西野!」



名前をふと呼ばれた。



つかさは声の方向へ顔を向けると・・・・



息を切らした淳平が立っていた。



「淳平くん・・・・」



「何してんだよ! こんな所で!!」



「風邪でも引いたらどうするんだよ!!」



淳平は本気で怒っているようだ。



つかさは、顔を下げた。



そして・・・



「あたし・・・・淳平くんが好き・・・」



そう言うとつかさは顔を上げた。



淳平の顔を見る。



ひどく驚いていた。



しかし、すぐに険しい顔になり、



「なんだよ!! またからかいに来たのかよ!!!」



声を荒げた。



「まだ満足してねぇのかよ!」



かなり怒ったようだ。



しかしつかさは表情を変えずに



「お願い! 聞いて!!」



そう今まで、自分でも出したことの無いような声を出した。



「・・・・・・」



その迫力に何も言えなくなる淳平。



つかさは再び淳平に顔を向ける。



雪が降る中、淳平の目をぐっと見つめる。



「ごめんね・・・・」



「確かに・・・・淳平くんに告白したのは罰ゲームだよ・・・・」



「初めは、二週間付き合って、さっさと別れちゃおうと思ってたんだけど・・・」



「でもね・・・ 淳平くんと付き合っててね・・・ どんどん淳平くんの良さが分かってきてね・・・」



「5000円落とした小さい子供に自分の5000円あげたり・・・・」



「自分の夢に向かって突き進んでたり・・・・」



「他のカッコだけの男子には無いような所ばかり持ってて・・・」



「あ、こんな人も居るんだな〜 って、思ったの・・・・」



「そうしていく内にね・・・ すっかり、淳平くんに心奪われる自分が居たの。」



「罰ゲームの事は、このままじゃいけないとは思ってたんだけど・・・」



「なかなか言い出せなくて・・・・」



淳平は黙って下を見ながら聞いていた。



その体はピクリとも動かない。



つかさは話を続ける。



「でね・・・あの時は罰ゲームだったけど・・・」



「今度は違う。」



「あたしの本気の想い。」



「もう一度、あたしを淳平くんの彼女にしてください!」



「恋人として、付き合ってください!!」



つかさは言い切った。



お互い少しも動かない。



・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



しばらく沈黙が続いた。



(淳平くん・・・・)



つかさはどんどん不安になっていく・・・・



すると・・・淳平が口を開いた。



「冗談じゃねえよ。」



一言。



それだけだった。



(やっぱり・・・)



つかさは覚悟はしていた。



しかし、やはり落ち込んでしまう。



目に熱いものが溜まってくる。



しかし、淳平の前で見せるわけにはいかない。



つかさは出来るだけ笑顔を作り



「そ・・そうだよね・・・」



「当たり前だよね・・・・都合が良すぎるよね・・・」



「じゃ、あたし帰るね・・・本当にごめんなさい・・・」



そう言って、淳平に背を向け駆け足で公園を出て行った。





















公園を出て歩くつかさ。



(あ〜あ、やっぱりなぁ・・・)



(当然だよね・・・)



深い落胆がつかさを襲っていた。



(好きになるのが遅すぎたんだぁ・・・・)



(もう、話せないのかなぁ・・)



そう思うと涙が出てくる。



(やっと本気になれたのに・・・罰ゲームのせいで・・・・)



いくら後悔しても、やり切れなかった。



まだ雪が降っている。



まるでつかさの悲しみを表しているかのようだ。



「クシュン・・・」



つかさは咳をしてしまった。



(寒いなぁ・・・・)



そう思った途端・・・



ふわ・・・・



暖かい物がつかさの体を覆った。



それと同時に声が聞こえた。



「ほーら、言わんこっちゃない。」



おそるおそる振り返るつかさ。



そこには、淳平の顔があった。



「淳平くん・・・」



「こんな雪の日にあんなとこにずっと居るから風邪なんか引くんだ!!」



「ごめんなさい・・・」



落ち込むつかさ。



再び沈黙が訪れる・・・・









すると淳平がその沈黙を破った。



「信じていいのか?」



突然の淳平の言葉・・・・



「え!?」



思わず反応してしまうつかさ。



「だから、さっき言ってたことを信じていいのか?って聞いてるの!」



「も・・・もちろんだよ!!」



つかさは慌てて言った。



しかし、淳平の顔は曇る。



「でもなぁ・・・イマイチ信じらんないんだよなぁ・・・」



(それはそうだよね・・・・あんなことしたんだもん・・・)



当然のごとくそう思う。



「だって、あんなことされたわけだし・・・・!?」



突然、淳平は何も言えなくなった。



というよりも、淳平の口は塞がれた。



つかさの唇によって。



そしてつかさは唇を離すと、固まっている淳平に向かって



「これがあたしの本気。」



「本気で好きじゃなきゃ、キスなんか出来ないでしょ?」



そう笑顔で淳平に言った。



淳平は固まっている状態から、我に返ると。



「確かにな・・・」



そう言って、指を自分の唇に当てた。



するとつかさの顔を見て



「こちらこそ・・・宜しくお願いします!」



と、笑顔を向けた。



「え・・・!?」



つかさはひどく困惑している。



何がなんだか分からない。



「だって・・・・さっき・・・・」



そうなのだ、確かに振られたはずなのだ。



しかし、淳平は答える。



「だって、俺だけあんな思いさせられたら、不公平じゃん!!」



そう言って再び笑顔を向ける。



「だ・・・・だましたなぁ〜!!」



そう言うつかさの顔は笑顔である。



「あたし・・・本当に振られたと思って、ショックでショックで・・・・」



そう言うと、淳平がつかさの頭に手を置いて



「まぁ、いいじゃん。」



「これでおあいこだよ。」



と、言って笑顔を向けた。



「送ってくよ。」



「うん。」



つかさは笑顔で答える。



晴れて再び恋人どうしになった二人。



とても幸せそうだった。



そしてその岐路の途中・・・・・



「なぁ・・・」



「何?」



「俺が来なかったらどうしてたんだ?」



淳平がつかさに気になってたことを聞く。



つかさは、顔を上に向け



「う〜ん・・・・」



「そんなこと分かんない。」



と、言った。



「わ・・・分かんないって・・・」



驚く淳平。



「だって、あの時は淳平くんに想いを伝えるだけしか考えてなかったから・・・」



「ははは・・・・そうなんだ・・・」



お互いに照れあう。



淳平は左手で、つかさは右手で恥ずかしそうに頭をかいてお互い左右反対方向に向いている。



しかし・・・・



淳平の右手。



つかさの左手。



そのお互いの手は、しっかり握られていた。






           
          
                罰ゲーム 完


[No.862] 2008/02/27(Wed) 01:08:55

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