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明と暗・白と黒  第15話 (No.909 への返信) - シン

第15話『歪み』





綾が小宮山に連れられて、どこかへと消えてゆく。
菜々美はその様子を見送ると、静かに綾と小宮山を嘲笑った。

「(フフッ、ドの付く阿呆にいいようにされる学校のアイドルなんてね……)」
「(いい気味じゃないの。それに、アイツがあっさりとあたしの誘いに乗ってくれてよかったわ)」







菜々美がそれを思いついたのは、文化祭当日の昼前。
妙なほどに悲しみに暮れる小宮山を見つけた時だった。

「ううう……ちなみちゃん……」

「(……コイツは確か4組の……)」
「(何があったのか知らないけど、ちょっと使えそうね)」

小宮山も映研メンバーである事を知っていた菜々美は、彼を何かに使えないかと考える。
そして、第一に取った行動が、小宮山に接近する事だった。

「アンタ、4組の小宮山ね? ちょっといい?」
「何で文化祭なのに泣いてんのよ? 何だったら相談に乗るけどさ」

甘言を用いて、巧妙に小宮山との話へと持ちこむ。
次の行動は、何故泣いているのか、理由を聞く事だった。
同級生や後輩の相談をよく受ける菜々美にとって、この程度の事は簡単だった。





校舎裏の物陰

「(……冗談でしょ? 端本って確か……まあいいか)」
「成程ね……」

小宮山から、一通りの話を聞いた菜々美は、自らが思いついた策を決行することを決意する。
それは、綾に男を嗾け、綾の肉体と精神に致命的なダメージを与えるという策だった。

都合よく、綾と関わりが深い小宮山を手駒にする準備が整い、菜々美は密かにほくそ笑む。

「(まさかここまで上手くいくなんてね。あと一息って所かしら)」
「ちょっとあたしからの話があるわ。よく聞いてて」
「アンタが振られたのは、積極性が足りなかったからよ」
「あたしが言うのも何だけど、女ってのは少しぐらい無理矢理やらなきゃ駄目なのよ」

「む、無理矢理って、どういう事だぁ?」

上手い具合に小宮山が食いついた。
菜々美はチャンスとばかりに、巧みな話術で小宮山を追い詰めていく。

「要するに、好きな女は少し無理矢理気味にヤってしまえばいいのよ。そうすれば、後は案外どうにかなるものなの」
「逆に、そうじゃなかったら相手に逃げ道を作る事になっちゃうからね」

「そ、そうだったのかよ……だから、俺はちなみちゃんに逃げられたんだな」

あまりにも素直に菜々美の言葉を受け入れる小宮山。
その様子を見て、菜々美は確信する。
コイツは単純馬鹿だ……と。

そして、最後の追い込みを掛ける。

「ま、アンタの言うとおりね。そこで、あたしがちょっと手を打ってあげるわ」
「実はね……





「ホ、ホントかそれ!?」

「ええ、本当よ。とりあえず、あたしの提案に乗る気があるなら5時30分に5組に来て」
「……あたしはアンタを裏切ったりしないから」

そう言うと、菜々美は小宮山に背を向けて立ち去ってゆく。

その顔に、歪んだ笑みを浮かべながら……





「とりあえず、コイツがあれば何とかなるわね」

5時20分頃
菜々美は待ち合わせ場所に指定した5組の教室で、カメラの準備をしていた。

すると、教室の扉が開き、予定時間よりも早く小宮山が現れた。
その顔は、明らかに尋常ではない興奮が見える。

「来たわね……」

菜々美はニヤリと笑う。
その笑みは、あまりにも歪んだ感情で満ち溢れている。

そして、2つの歪んだ感情が1つとなり……





続く


[No.914] 2008/03/14(Fri) 15:00:48

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