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心の傷〜第16話〜 (No.980 への返信) - カズクン

淳平が入院してから1週間が経った。

淳平は一般病棟へ移ったもののいまだ目を覚まさないでいた。

ほぼ毎日のように淳平の母、つかさや大草たち、そして唯がお見舞いに訪れるのだが・・・目を覚まさない。

そして今日も黒川を除く全員がその場に来ていたのだ。

ちなみに黒川は淳平の事故の後始末、そして堂島に対する処罰その他諸々の対応に追われていて動けなかった。







淳平母「先生・・・淳平はいつ目を覚ますんでしょうか・・・」

「・・・はっきりとした日はいえませんが・・・もうすぐ目を覚ますと思います。」

つかさ「・・・あれから1週間経つんだね。」

大草「・・・ああ。」

小宮山「真中・・・はやく・・・目ぇ覚ませよ・・・」

トモコ「みんな・・・キミが目覚めるのを待ってるんだから・・・」

唯「じゅんペー・・・」

全員が祈るように淳平に目をやる。

・・・そのときだった。

「・・・う・・・う〜ん・・・」

かすかな声が辺りにこだまする・・・

全員が一斉に向けた視線の先には・・・

眠そうな顔をしながら上半身を起こした淳平の姿があった。

つかさ「あ・・・」

淳平「・・・」

つかさ「う・・・う・・・うぅぅ〜っ・・・」

つかさは淳平の姿を見て泣き崩れた。

大草たちも目に涙をためながら淳平に声をかける。

大草「真中・・・気づいたか・・・よかった・・・ホントによかった・・・」

小宮山「馬鹿野郎!!飛び降りなんかしやがって・・・心配したんだぞ!」

トモコ「そうだよ・・・死んじゃったかと思ったんだから・・・」

唯「じゅんペーのバカァ!!唯を置いて行かないでよぉ・・・」

そんな光景を淳平はきょとんとした顔で見つめる・・・

誰もがこれで元通りになる・・・そう思っていた・・・

しかし・・・母だけが淳平のわずかな異変に気がついた。そして母が淳平に話しかける。

淳平母「・・・淳平・・・淳平、大丈夫?」

そして次の淳平の言葉で・・・その場にいた全員を一瞬で奈落へと突き落とした。

淳平「・・・おばちゃん・・・誰?」

淳平母「・・・淳平・・・あ・・・あんた・・・」

唯「ちょっと!!じゅんぺー、自分の母親でしょ!?なんでそんなこと・・・」

淳平「・・・お姉ちゃん・・・だれ?」

誰もが言葉を疑った。淳平の悪ふざけだとばかり思っていた。

大草「おい、冗談はやめろって・・・」

淳平「・・・お兄ちゃんは・・・誰?」

小宮山「いい加減にしろよ!大草や・・・俺まで忘れちまったのかよ!」

淳平「・・・このおにいちゃん・・・怖いよぉ・・・」

トモコ「・・・嘘でしょ・・・」

そして・・・つかさも淳平に話しかけてみる。

つかさ「ねぇ・・・嘘・・・だよね?淳平くん・・・嘘なんでしょ?あたしも・・・忘れちゃったの?」

淳平「・・・お姉ちゃん・・・だれ?それに・・・じゅんぺいって・・・誰なの?」

つかさ「そんな・・・自分の名前も忘れてるなんて・・・」

少なからず後遺症が出るかもしれない・・・医師の言葉は現実となった・・・しかも・・・最悪の形で・・・

淳平「・・・この人たち・・・怖いよぉ・・・うえぇ〜ん・・・」

淳平は泣き始めてしまった・・・そこで始めた全員が気づいた。

全員(・・・いつもと様子が全然違う・・・)

そこに担当医がやってきた。

「すいません・・・ちょっとよろしいですか?真中さんの術後の経過を説明させていただきたいのですが・・・」

淳平母「・・・わかりました。どのくらいで終わりますか?」

「はい・・・30分くらいで済みますので・・・よろしかったら付き添いの方々もご一緒に・・・」

全員「わかりました。」

そして・・・病室に淳平を残し、全員は応接室へ案内された。

淳平母「先生・・・淳平は・・・」

「・・・はい・・・大変お気の毒ですが・・・真中さんは・・・記憶を失くされております。」

全員「・・・」

「おそらく・・・直前に起こった出来事によるものかと思われます。」

つかさ「・・・どういう・・・ことですか?」

「自分の過去の傷を拡げられたことにより、その部分を抹消してしまおうという一種の防衛機能が働いたのでしょう。」

「しかし・・・それが強すぎたのでしょう・・・自分の名前も忘れてしまってる上に・・・自分の年齢を6歳だと思い込んでしまっている・・・」

大草「そ・・・そんな・・・」

小宮山「先生・・・真中は・・・元に戻れるんですか!?」

「・・・わかりません・・・一時的なものではあると思いますが・・・いまの状態ではかえって悪影響を与えかねません。」

トモコ「それじゃあ真中は・・・」

「・・・大変申し上げにくいことですが・・・皆さんと一緒に卒業することはほぼ不可能です・・・」

つかさ「・・・そんな・・・淳平くん・・・淳平・・・くん・・・」

「・・・だからといって放っておく訳にもいきません。皆さんはできる限り真中さんにやさしく接してあげてください。」

「そうすることで真中くんは心を開いていくかもしれません。その過程で記憶を取り戻す・・・ということもあります。」

唯「ホントですか!?」

「・・・確信はありませんが・・・ただ我々も精一杯のことはさせていただきます。ですから皆さんもどうか悲観的にはならないでください。」

「・・・一番辛いのは他ならぬ真中さん本人です。本人を決して不安にさせないようにしてください。」

全員「・・・わかりました。」

こうして医師の説明が終わり全員は再び淳平が待つ病室へと戻っていった。


[No.984] 2008/04/21(Mon) 20:05:42

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