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all 明と暗・白と黒  概要とお詫び - シン - 2008/01/21(Mon) 23:33:30 [No.740]
明と暗・白と黒  プロローグ - シン - 2008/01/22(Tue) 23:28:04 [No.741]
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明と暗・白と黒  第25話 - シン - 2008/07/27(Sun) 17:53:59 [No.1127]


明と暗・白と黒  第22話 (No.974 への返信) - シン

2人の視線が重なり合う。

2人が出会ったその場所で、全てを清算するための戦いが始まった。



警察や綾の家族は突然の闖入者に驚き、口を開く事も、足を一歩踏み出す事もできなかった。
いや、むしろ、事の成り行きを見守ろうとしているとも言える。
少なくとも、自分達では綾を止める事ができないと理解していたからだ。

「東城、ごめん」

最初の言葉はそれだった。
その言葉に綾が反応するのを確認すると、淳平は綾に向かって歩いていく。

「俺、東城がどんな思いをしてるのか全く気付かずに過ごしてた」
「その結果が、この傷なんだよな……」

そう言いながら、淳平は入院着の胸元を開き、血に塗れた包帯を見せる。
それは、淳平の痛みそのものだった。

「あ……ああ……」

綾は言いたい事をうまく言葉にすることが出来ない。
淳平が見せたそれは、淳平が生きているという現実を見せると共に、自らの罪を強烈に意識させる。

「俺は今、すごく心が痛いんだ」
「だけど、東城は俺なんかよりもずっと心が痛いんだよな」
「何があったのか詳しい事は知らない。だけど、俺のせいでずっと辛い思いをしたのは間違いないんだろ?」

淳平はゆっくりと綾へと近づいていく。
そして、淳平と綾を隔てる物はフェンス一枚となった。

「俺がもっと早く気付いてやるべきだったんだよな。東城がどんなに辛い思いをしてたのか……」

「ま……なか……く……ん……そんな……」

綾の瞳から、暗い光が少しずつ消えていく。
淳平の言葉は、まさに心と心を繋ぐ魔法だった。

「どうしようもないくらいに鈍感な俺だけど、これだけは言える」
「今からでも遅くない、もう一度、『人』をやり直そう」
「東城が俺のそばにいたいって言うのなら、俺は喜んで受け入れる。東城が望む事なら、何だって受け入れるさ」

「だから、あの頃のような東城に戻ってくれ……」

その時には、既に淳平と綾を遮るものは何も無かった。
フェンスを乗り越えた淳平は、綾の目前に立っている。

あと1歩、あと1歩踏み出して綾を抱きしめれば、淳平は罪を1つ清算することができるのだ。

「……駄目……こんな汚れたあたしは……真中くんのそばにいる資格なんて……」
「ううん、もう、真中くんの目の前にいる事も駄目……」

淳平はその1歩を踏み出した。
自己否定の言葉を並べる綾を、その腕で抱きしめる。

「東城! そんな事……言うんじゃねえ……」
「東城は東城だ! 何があっても、それが変わる訳無いだろ!?」
「俺……ずっと東城のそばにいるから、東城も俺のそばにずっといてくれよ!」

淳平の瞳からは、いつの間にか涙が溢れていた。
その涙が何の涙なのかは淳平自身にも分からない。
だが、間違いなく涙を流していた。

そして、綾の瞳にも涙が溢れ、光が満ちる。

「……真中くん、ありがとう」







ただ、その光は……あの時と同じ、絶望の光だった。







「……さようなら真中くん」



綾は淳平の手を振り払うと、その弾みで後ろへと身体を押し出す。
当然、綾の後ろには何も無い。

あるのは、奈落とも言うべき闇だけだった。





「っ! 東城!」

綾の体が後ろに傾くと同時に、淳平もその身体を乗り出して綾を止めようとする。
考える暇など有りはしない。それは、ただ反射的な行動だった。

「(東城! 勝手に……逝かせるかよ!)」

その両腕で綾の身体をしっかりと捉え、最悪の事態を防いだ事を確信した淳平。



だが、その確信はすぐに裏切られた。
何しろ、その身体に奇妙な浮遊感を感じ取ったからだ。

「(……あ、俺、飛んでる……)」







「(ありがとう真中くん、こんなあたしのためについてきてくれるなんて……)」
「(あたしは天国になんて逝けない。だけど、真中くんと一緒なら地獄だって怖くないかな?)」

「(……本当に、ずっと一緒に居てくれるんだね……)」







「淳平くぅぅぅぅん!?」

つかさの叫びが夜の闇に木霊する。
真中淳平と東城綾の姿は、泉坂中学校の屋上から消失した。







第22話『奈落』

続く


[No.993] 2008/05/05(Mon) 23:17:28

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