「西野つかさ…って誰?」
淳平は隣を歩く大草と小宮山に尋ねた。
「お前…マジで言ってんの?」
「西野つかさちゃんを知らねーのか!?」
長かった夏休みも終わり、今日から学校が始まる。
三人での登校中、小宮山が
「今日からまた、毎日のように西野つかさちゃんが見れるのか〜♪」
と言ったのが始まりだった。
「何?大草も知ってんの?」
淳平は呆れ顔の大草に尋ねた。
「当たり前だろ?たぶんウチの中学で一番知名度高いぜ?」
「マジで…?その人ってきっと転校生とかじゃん?」
「入学式からずっといるって…」
大草は苦笑いで答えた。
「つかさちゃんは学年一のアイドルだぞ!!」
小宮山が耳元で叫ぶ。
「つかさちゃんを知らないなんて罪だぞ罪!!」
「んなこと言われても…」
淳平は迫ってくる小宮山から隣にいる大草に視線を移した。
淳平からのヘルプを察知した大草が止めに入る。
「勘弁してやれって」
大草は必死で小宮山を説得する。
「今日真中に西野を見せてやればいーじゃん。な?」
という大草の提案で、淳平たちは現在、西野の教室の前に来ている。
「西野は…まだ来てないな」
大草が教室の中を覗き込んで言った。
「じゃあ戻ろうぜ〜。学校始まったんだし、いつでも見れんじゃん」
そう言って、淳平は自分の教室に戻ろうとしたが、小宮山はそれを許さなかった。
「ダメだ!お前には朝イチでつかさちゃんを見てもらう!でないと俺の気が済まない!」
「何だよそれ…」
淳平は全く納得していないが、小宮山に道を塞がれている以上、待つしかない。
(別に興味ねえっつーの!)
淳平はあくびをしながら廊下の壁にもたれかかった。
「ねぇ…教室に入れないんだけど」
教室の扉の前に立っている小宮山の後ろで、一人の女子が言った。
「つ、つかさちゃん!!」
小宮山は振り向いた瞬間、大声で叫んだ。
「あれが西野つかさ」
隣にいた大草が話しかけてきた。
「へぇ〜…あんな人いたんだ」
確かに小宮山が騒ぐのもわかる気がする。
すっげーかわいい…
「そこ、通してくれる?」
つかさは少し不機嫌そうに言った。
(そりゃそうだ)
淳平はつかさの態度に納得していた。
(小宮山のやつ…さっきから全く動いてないし)
小宮山はつかさを前にして完全に固まっている。
「どうする?無理やり連れてくか?」
大草も呆れている。
「……だな」
淳平と大草は小宮山の方へ歩き出した…が…
「つかさちゃん!」
小宮山が急に話し出した。
「今日の放課後、体育館の裏に来てください!!」
それだけ言い残し、小宮山は凄いスピードで走っていった。
一瞬の出来事だった。
俺も大草も…廊下の真ん中で開いた口が塞がらない…
西野は…俺たちと同じだな…
突然すぎて、あ然としてる…
小宮山のやつ…何考えてんだ…
やっぱあいつ…アホだ…
しかし、何年か経った後、俺は思うだろう
そのアホのおかげで…
俺と西野は出会うことが出来たんだって
[No.1154] 2008/09/07(Sun) 22:20:53 |