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   俺は君と プロローグ - ゆき - 2009/05/23(Sat) 00:43:39 [No.1192]
Re: 俺は君と 第一話 - ゆき - 2009/05/23(Sat) 01:55:50 [No.1193]
Re: 俺は君と 第二話 - ゆき - 2009/06/05(Fri) 23:08:02 [No.1194]



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俺は君と プロローグ (親記事) - ゆき

先輩との出会いは衝撃的だった。

屋上の扉を開けた瞬間に自由落下してきたいちごパンツ。

正直、どこの痴女かと思った。

でも、なぜだかそんな彼女が最高の被写体なのではないだろうかとも思えた。

なぜならば、彼女は、とても美人だ。ボキャブラリーが貧困(中学生なのだから当然)というだけではなく、その言葉しか彼女を形用できないと感じた。

そして、彼女の表情。

実に、動きが多くて、彼女に演技をさせたらきっといい感じになるのではないだろうか。

「あの・・・」

声をかけるべく、手を伸ばしたが、すでに遅し。

彼女は、悲鳴をあげながら走り去ってしまっていた。

ただ、一人屋上に残された俺は、ため息をついてしまった。

「最高の被写体、なおかつ女優としての素質がある・・・。もったいないことをしたな」

彼女と知り合いになっておけば作品を作る際に、非常に重宝するのでは、と考えるとため息の一つもつきたくなる。

「ま、仲良くなったところで俺のスペックじゃどうにもできないか」

自分の顔を触りながら、俺は自嘲した。

客観的に見たら不細工ではないが、整っているともいいがたい。良く言って平凡、悪く言えば地味、といったところだ。

そんな俺が、俺の幼馴染並みにレベルの高いステキ女子をどうこうできるわけがない。

そう考えると、なんとなく諦めがついた。

キーンコーンカーンコーン

「5限目、フケるか」

俺は、屋上の扉が設置されている隣にある梯子をよじのぼって、上のほうに上がった。

万が一見回りに来た時、死角にいればばれることはないからだ。

伸びをして、コンクリートに寝転がると何かのノートが、伸ばした右手にあたった。

手に取ってみるとそれは、数学のノートで、上級生の名前がしたためられていた。

名前の欄には三つの漢字。

東城 綾

と書かれていた。


[No.1192] 2009/05/23(Sat) 00:43:39
Re: 俺は君と 第一話 (No.1192への返信 / 1階層) - ゆき

「・・て・」

「・き・よ」

「おきて・・」

心地よい眠りを堪能している俺、真中淳平は今、闘っていた。 

無論、目の前の敵とだ。

「いい加減にしろ!!」

その敵は、勢いよく俺を心地よい世界からブラックアウトさせた。

「っ痛ぅ・・・」

痛みとともに自覚したのは、俺の現在のポジション。

ベットから落ちて、フローリングの床と熱いキスをかわす一歩手前だった。

「起きた?淳平君?」

「あぁ、起きた。いつも悪いな。つかさ」

目の前にいるのは幼馴染で、両親同士が大親友ということもあって、家族ぐるみの付き合いをしているうちに、家族同然に育った女の子だ。

「いいよ、別に。淳平君を起こすのは、私の仕事だから」

俺の大事な幼馴染、西野つかさは輝くような笑顔を俺に向けていた。

「さ、起きたら、身支度整えて?ご飯できてるよ」

つかさは、俺に制服を渡しながら言った。

俺は制服を受けとって、軽くうなずいた。




現在の俺は、中学三年生。いわゆる受験生というやつだ。

そんな忙しい時に父が、海外に転勤になり母親もついていってしまったため、今はつかさの家に居候しながら生活している。

最初は、一人暮らしを考えていたのだが、どうにも俺には生活能力がないらしく、見かねた両親がつかさの家で生活することを条件に日本に残ることを許してくれた。

しかし、つかさや、つかさの両親には迷惑をかなりかけているので、なんとかしたい。





「オス、真中」

「おはよう、大草」

いつものようにつかさと、登校し、教室の前で別れてすぐ、親友の大草と顔を合わせた。

「相変わらず見せつけてくれるねぇ、真中。さっきも男子が血の涙を流してたぜ?」

「後が怖いな。でも、遠くから見てるだけじゃなくて、声をかけることをすれば、案外攻略フラグが・・・」

「立たないから。明らかにフラグは一人にしか向いてない」

おお、大草の額に怒りマークが浮き出てやがる。誰だろうな、つかさのフラグ泥棒は。

「あ、やっぱそれって、俺か?」

『いや、それは百パーないから』

「しどい!!」

アホなことをしゃべった馬鹿は、俺の悪友の小宮山。こいつは、つかさにベタボレしている男の一人だ。

「大草とつかさが付き合うなら文句はない。誰が見ても納得するからな。だが、小宮山。お前はまずない。なぜならば、つかさはゴリラは好きじゃない」

「俺はゴリラでもアウストラロピテクスでもなーい!」

「じゃあ、ネアンデルタール人あたりで手を打とうか、真中?」

「いい加減、猿人やら、旧人から離れてくれませんかねぇ!」

こんなふうに友人たちと馬鹿をやっているのはすごく楽しい。でも、俺たちには、現実をみなくちゃいけない時間もあるわけで。

「さぁ、今日のロングホームルームは進路について若々しく、青臭く考えていこうじゃないか」

担任がいう進路。

俺は、映像部がある泉坂高校か、最近共学になった桜海学園かで、迷っていた。どちらも、レベルが高く平凡な俺では難しいのだが、頑張り次第ではまだ考えられる位置にいる。

そもそも、俺は、映画に携わる仕事に就きたいと思っていたから、これからの進路的にも泉坂に進学することが、クレバーな選択なのだが、それを迷わせる要素があった。

それは、あの日、屋上で出会った東城先輩のことだ。

東城先輩とは、あれから、あのノートをきっかけに仲良くなった。
東城先輩は被写体、女優といった才能のほかに物語を作る才能があった。

東城先輩の物語を初めて見たとき、俺は心が震えた。壮大なスケールで描かれたその物語は俺に映像化するときのイマジネーションを与えてくれるのだ。

だから、そんな先輩といるためには先輩が通っている桜海学園に入学しなければならない。しかし、桜海学園には映像部がない。自分で部活を立ち上げるしかないのだ。泉坂には部があるため、先輩、もしくは同級生からいろいろと学ぶことができる。将来の進路実現を考えるなら泉坂。東城先輩を追うなら桜海。

俺は、板ばさみになっていた。




結局、一か月たっても俺は進路を絞り込めず、ひたすら悩む毎日が続いた。


[No.1193] 2009/05/23(Sat) 01:55:50
Re: 俺は君と 第二話 (No.1193への返信 / 2階層) - ゆき

夏だ。

受験生にとっては、夏は追い込みの季節。

そうはわかっていても、目標が定まらない俺にとっては現状維持が精一杯だった。

「はぁ・・・」

今日も、部屋で一応形だけは勉強しているのだが、いかんせんシャーペンが進まない。

「勉強しなきゃいけないって、わかってはいるんだけどなぁ・・・」

問題が難しいというのもあるが、モチベーションが最低だ。よし、映画でも見に行くか?

「淳平くーん。はかどってるー?」

気分転換をしようと立ち上がった矢先、つかさがジュースを持ってやってきた。

「つかさ・・・。ぜんぜんだけど、何か?」

とりあえず、もういちど勉強机に座りなおす俺。

「今さぁ、どっか行こうとしたでしょ?」

「そんなわけないだろ?」

「どうだか?淳平君はどうしようもなく逃げることが多いから。それより、はい。さしいれだぞー」

ジュースを俺に渡すつかさ。

「サンキュ」

うけとり、一気に半分くらいまで飲んだ。そこで気付いたが、俺はかなりのどが渇いていた。それに、部屋もかなり暑い。

「今、気づいたけど暑いな・・・。たいして集中していたわけじゃないのに」

「聞こえてるぞ。淳平君」

「あ」

つかささんがじつに可愛らしい笑みを浮かべてらっしゃる。でも、目が笑ってねぇ!

「はぁ。淳平君。そんなんじゃ、黄海なんて無理だし、泉坂も難しいよ」

つかさは、溜息をつきながら言った。

「わかってる。でもさ、なんつーか、目標を絞り込めないっていうか、なんっつーか」

「そんなの、淳平君がしたいようにすればいいじゃない。おばさんたちだって、淳平君のすきにしたらいい、って言ってたじゃない」

「そうなんだけどさ」

「だいたい、淳平君が絞り込めないのは、ぶっちゃけ、部活の事でしょ?」

俺は、我を返ったようにつかさを見る。つかさはまじめな顔をしていた。

「淳平君はさ、怖いんだよ」

ドクン。

心臓がはねる。

「どういうことだよ・・・」

「言葉のとうりの意味。淳平君の感じからして、行きたいのは、黄海。でも、黄海には映像部がない」

ドクン。

「だから、映像部のある泉坂に逃げようとした。違う?」

ドクン。ドクン。

「ないなら作ればいいじゃない。映像部。映画研究部でもいいや。作って、黄海で過ごせばいいじゃない。なにを怖がってるの?部活を作るのが怖いの?それとも・・・」

ドクン!

「東城先輩?」

「つかさ、何で?」

何で、東城先輩を知ってる?

「あんな美人の先輩、わからないほうがおかしいよ。それに、よく淳平君話してたし」

「つかさ・・・」

「と、まぁ、淳平君は心は黄海に傾いてるんだよね?」

ここまで、いわれて否定はできない。

「たぶん」

「じゃあさぁ、東城先輩に会いに行っていろいろ聞いてきたら?そしたら、淳平君が抱えてる不安は軽くなるんじゃないかな?」

東城先輩に会いに行く。

考えたこともなかった。東城先輩とは、卒業式以降会っていない。たまに、メールをするくらいで面と向かって話すのは、ご無沙汰だった。

「さ、思い立ったら吉日。さっさと行った、行った」

「ちょ、つかさ!?」

俺は、つかさに締め出されるように外にだされた。

「どうすればいいのさ・・・」

俺は、玄関で立ちつくした。








「ふぅ」

淳平君がいなくなったのを見計らって、私は息をもらした。

「はぁ、なんで背中を押すようなことをしたんだろ」

私は先ほど自分で行ったことについて自己嫌悪していた。

私は、淳平君が好きだ。

だから、他の女の子に進んで会いに行くように仕向けるなんてことは、愚かな行為だ。

だけど、してしまった。

「淳平君がつらそうな顔をしてるから。いけないんだよ」

淳平君が進路について悩んでいたのは知っている。でも、その原因が東城先輩、淳平君の思い人のことだとは予想外だった。さきほどの質問だって、カマかけただけだったのに。

「いらないこと聞いたな・・・」

でも、これで私の進路も決まった。

親の勧めもあったし、ちょうどいい。

「第一志望は黄海学園っと」

志望理由は簡単。

淳平君が行くから。

ね、簡単でしょ?


[No.1194] 2009/06/05(Fri) 23:08:02
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