先輩との出会いは衝撃的だった。
屋上の扉を開けた瞬間に自由落下してきたいちごパンツ。
正直、どこの痴女かと思った。
でも、なぜだかそんな彼女が最高の被写体なのではないだろうかとも思えた。
なぜならば、彼女は、とても美人だ。ボキャブラリーが貧困(中学生なのだから当然)というだけではなく、その言葉しか彼女を形用できないと感じた。
そして、彼女の表情。
実に、動きが多くて、彼女に演技をさせたらきっといい感じになるのではないだろうか。
「あの・・・」
声をかけるべく、手を伸ばしたが、すでに遅し。
彼女は、悲鳴をあげながら走り去ってしまっていた。
ただ、一人屋上に残された俺は、ため息をついてしまった。
「最高の被写体、なおかつ女優としての素質がある・・・。もったいないことをしたな」
彼女と知り合いになっておけば作品を作る際に、非常に重宝するのでは、と考えるとため息の一つもつきたくなる。
「ま、仲良くなったところで俺のスペックじゃどうにもできないか」
自分の顔を触りながら、俺は自嘲した。
客観的に見たら不細工ではないが、整っているともいいがたい。良く言って平凡、悪く言えば地味、といったところだ。
そんな俺が、俺の幼馴染並みにレベルの高いステキ女子をどうこうできるわけがない。
そう考えると、なんとなく諦めがついた。
キーンコーンカーンコーン
「5限目、フケるか」
俺は、屋上の扉が設置されている隣にある梯子をよじのぼって、上のほうに上がった。
万が一見回りに来た時、死角にいればばれることはないからだ。
伸びをして、コンクリートに寝転がると何かのノートが、伸ばした右手にあたった。
手に取ってみるとそれは、数学のノートで、上級生の名前がしたためられていた。
名前の欄には三つの漢字。
東城 綾
と書かれていた。
[No.1192] 2009/05/23(Sat) 00:43:39 |