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二心 プロローグ (親記事) - クロ

二心 〜プロローグ〜


『未来は決まっている』

昔から映画を作るのが好きだった人は、将来映画監督になる

昔からお菓子を作るのが好きだった人は、将来パティシエになる

『それが未来。運命のようなもんさ』


そんなこと、誰が決めただろう







じゃぁもし、自分の趣味が映画からお菓子に変わってしまったら?

もし、この世から映画やお菓子がなくなっちゃったら?

もし・・・・・・・・・・・・












もし、自分が自分でなくなっちゃたら?


[No.231] 2006/11/04(Sat) 16:29:22
二心 1 (No.231への返信 / 1階層) - クロ

二心 2


―――これは真中らが高2の時のできごとである―――









『カリカリ・・・』

淳平は机に向かい勉強をしていた

もちろん学校の勉強ではなく、映画の勉強だ

「・・・ふぅ〜」

一息つきながら時計を見ると12時をまわっていた

「そろそろ寝るかな」

開いていたノートを閉じて明かりを消す

そしてそのままベッドに転がり込み深い眠りについた


翌朝

「――平!淳平!起きなさい!!遅刻するわよ」

「ん・・・うるさいなぁ〜」

今日も真中家からは朝のコントが開かれている

「やべっ!遅刻だ〜!!」

「何回もそう言ってるじゃない」

「行ってきます!!」

淳平は急いで着替えて学校に向かった

教室に入った瞬間チャイムがなった

「セ〜〜〜〜〜フ!」

ほっと一息ついて席につくとさつきが抱きついてきた

「おっはよ〜真中☆来ないのかと思っちゃった!」

「ばっ!やめろさつき!!」

怒って言ったが淳平の顔は明らかににやけていた

「ほんとは嬉しいくせに〜」

「なんだと〜」

淳平がムキになり追い掛け回していると黒川先生が入ってきた

「うるさいぞお前ら!罰として放課後ワックスがけだ!」

「え〜!遅刻してないのに・・・」


ワックスがけを終えた淳平はさつきと帰路についた

緊張しているわけではないが、どちらも話題が見つからずギクシャクしている

(なんか話題ないかな〜。さつきの好きなこととか、食べ物とか・・・)

淳平が悩んでいるとさつきから話しかけてきた

「真中はやっぱ将来映画監督になるんだよね?」

「えっ!?」

突然の質問に淳平はビックリして足を止めた

(なんだよ・・。いきなり)

さつきも足を止め、話続ける

「だってさ、私にはそういう『夢』とか『将来の目標』とかがないんだもん」

「東城さんは小説家、つかさちゃんはパティシエ。真中は映画監督かなって・・・?」

さつきは歩き始めたが淳平はまだその場に立ち尽くしていた

「真中!早く帰ろうよ!おいてっちゃうよw」

さつきの言葉で淳平はようやく歩き始めた

さつきはさらに続けた

「私、みんなが羨ましいの。夢に向かって頑張るって何かかっこいいじゃない!私なんてそんなものないから、ただ毎日を無駄に過ごしてるだけじゃない?」

淳平は黙って話を聞いていたが、初めて口を開いた

「そんなことないよ。確かに俺は映画監督になりたい。そのために毎日頑張ってるさ。でも・・・・・・・・」

「でも、さつきはそれでいいんだよ」

「は?」

淳平の意味不明な言葉にさつきは思わず口をぽかんと開けてしまった

「夢が無いなら、今から見つければいいじゃないか!夢を見つけるために頑張るのも俺はかっこいいと思うよ。だから、さつきの生活が無駄だなんて言うなよ」

「それにさ、さつきにはみんながいるじゃん?もちろん俺だっているし・・・。その・・変な意味じゃないけどw俺たちと過ごしている『今』は無駄じゃないだろ?」

淳平は言ってしまってから後悔した

大草や天地ならともかく、自分がこんなくさい台詞、似合わないと思ったのだろう

さつきはさっきからずっと俯いている

(やっぱさっきの台詞・・・失敗だったのかぁ〜?)

すると、さつきの顔の下のアスファルトに一滴の滴がこぼれた

ポツリポツリ とそれは大粒の涙に変わっていった

「さつき!?」

「あり・・・が・・・と」

「へ?」

「真中のおかげでなんか元気出てきちゃった!私、自分の夢見つけるために頑張る!真中も映画監督目指して頑張ってね!」

「お、おう!」

「じゃ、明日また学校で☆」

さつきはそう言うと、自分の家の方角に駆け出していった


「・・・じゃあな」

淳平が呟いた時には、さつきはもう見えなくなっていた

(さつきが元気になったくれて良かった。俺も夢に向かって頑張んなきゃな!)

淳平は心に何かを決心しゆっくりと自宅へと向かっていった

その決心は目に見えるものではないが、確実に『真中淳平』を大きくしていた


つづく


[No.233] 2006/11/04(Sat) 22:30:26
二心 2 (No.233への返信 / 2階層) - クロ

二心 2


淳平が自宅に着くと、明るい声が迎えてくれた

「じゅんぺ〜!おかえりぃ☆」

「おぉ、唯か」

特別ビックリもせずにそっけないリアクションをする

「ひっどぉ〜い!せっかく淳平の顔見に来てやったのにぃ〜」

ふんっ と頬を膨らませる唯だったが、淳平はそれを流す

唯は面白くなかったのか少し意地悪なことを言ってみる

「西野さんにさっき学校の廊下で会ったんだ〜」

「そりゃぁ、同じ学校だからな・・・」

淳平はめんどくさそうに答えた

「それで、今度淳平とデートしたいって!」

「・・・えぇ!?」

淳平の態度が豹変した

唯は『二カーッ』として、淳平を見つめる

「それ、まじ!?」

淳平の顔はもう真っ赤だ

「嘘だよぉ〜ん♪」

唯は舌を出して逃げていった

「唯・・・てめぇ〜」

淳平が唯を追いかけようとしたとき、リビングから母が出てきた

「あら、帰ってたの?だったら買い物行ってきて頂戴」

「はぁ?まだ飯作ってないの?」

淳平がいかにも不機嫌そうに答えると・・・

「だって唯ちゃんが『かき鍋』食べたいって言うから・・・」

淳平がちらっと唯を見てみるとべぇ〜っと舌を出していた

「おまえ・・うちに来た理由はこれか・・・?」

「あったり〜!!あばさんのかき鍋だぁいすき♡」

「だったら自分で行ってくればいいじゃないか」

「そんなこと言わないでさ、ね?一緒にいこ!」

唯に引っ張られてしぶしぶ家を後にした淳平だった


スーパーに行き、無事かきを買った2人はコンビニに立ち寄り、肉まんを4個買った

もちろん、淳平の自腹で

「――ったく・・・肉まんくらい自分で買えよな」

「いいじゃん〜!淳平アルバイトしてるんでしょ?」

「いや、俺のバイト代なんてあってないようなもんだから・・・」

テアトル泉坂の館長は、息子夫婦がお金持ちの癖に、淳平の給料はすずめの涙ほどだった

唯はそんなこと気にもせずに肉まんをほおばり始めた

一個くれよ と手を出した淳平だったが鼻歌を歌いながら唯にシカトされた

(くそっ!年下になめられてるよ・・・俺ダサ・・・)

そして無事家に帰ろうとする2人だった








が、












『ガルルルル・・・・・・・・』

2人の目の前に、大きく黒い犬が立ちはだかっていた

「じゅ・・・じゅんぺ〜怖いよ」

唯は淳平の服をぎゅっと掴み、後ろに隠れた

(何かいい方法はないか・・・)

淳平が考えていると、とっさに唯の持っている袋が視界にはいってきた

(そうだっ!)

淳平はその袋をひったくり、犬に投げつけた

犬は袋の中に頭ごと突っ込み、そのまま肉まんを食べている

「いまだ!走るぞ!」

そう言って唯の手を掴み、2人は全力で走った

「あ〜あ!せっかく家でゆっくり食べようと思ってたのに・・・」

「そんなこと今言ってる場合じゃねぇだろ!」

走っていると交差点が見えてきた

あの角を右に曲がれば淳平の家はもうすぐだ






しかし、悲劇は起きてしまった

















『ドンッ』







『キャッ!』

『うぉわっ!』







淳平とある少女がぶつかってしまった

さらさらのショートヘアーで、髪は金色に光っていた

2人ともしばらく動かなかった


唯はすぐさま少女のもとへ駆けつけた

「西野さん!大丈夫ですか?」

そう、淳平とぶつかったのは西野つかさだった

つかさはゆっくりと目を開けたが口を開かなかった

「西野さん?」

唯がもう一度呼びかけた瞬間、信じられない言葉を聞いてしまう

「ん・・・俺に言ってんの?」

「・・・はいぃ!?」

あまりにも意外な返事だったのですっとんきょうな声をあげた

(今、西野さんが・・・『俺』って言ったぁ〜!!!!)

何かの間違いだと忘れようとする唯に、後ろからとどめの一撃をくらった

淳平がむくりと起き出して

「いったぁ〜!もう、一体なんなのよぉ〜」

(それはこっちが聞きたいです〜〜〜)

唯の頭の中はもうパニック状態だった

少なくとも、唯の頭の中には肉まんに対する未練は消えていた

そして、淳平とつかさが同時に声をあげる

「・・・俺!?」

「・・・あたし!?」















2人は入れ替わってしまったのだ

淳平の心がつかさの体に

つかさの体が淳平の体に

今、2人の心が大きく揺れだした


二心〜2つの心〜


つづく


[No.235] 2006/11/05(Sun) 21:24:43
二心 3 (No.235への返信 / 3階層) - クロ

二心 3


暗く冷たい道路で3人は固まっていた

数分後、やっと淳平の口が開いた

無論、心はつかさだが・・・・・・・・・

「あたしたち、入れ替わっちゃったみたいだね」

妙に明るく話すつかさ・・・しかしその表情は決して明るくなかった

つかさの体をした淳平も相槌をうつように話し始める

「俺、西野になったのか・・・」

「そんなことよりさ、あたしの体と声で『俺』とか使うのやめてくれない?気持ち悪くてしょうがないんだけど・・・」

「に、西野だって俺の体と声で女言葉使うと変だよ」

そんな2人の会話に唯が割ってはいる

「なんでそんな余裕でいられるの?2人は入れ替わっちゃったんだよ!?」

唯の真剣な表情に2人はまた固まる

唯も悪いことをしたと思ったのか優しく話しかける

「じゃあさ、もう1度ぶつかってみたら?そうすれば元に戻るかも」

その後2人は2,3度ぶつかったが、これといった変化はみられなかった

突然、つかさが泣き出した

その泣き声は低く、暗いものだったが・・・・・

「うっ・・・・うっ・・・ぐすっ・・・・」

淳平はそんなつかさに近づき、優しく微笑んでみせた

「ごめんな、俺が走ったせいで」

「うんん、淳平くんのせいじゃないから・・・」

つかさは慌てて涙をぬぐった

「あ、ごめん。淳平くんの服濡れちゃった」

「いいよ、そんなの」

淳平は立ち上がり、ほこりがついたスカートをはらいながら言った

「とりあえず、今は一回家に帰ろうぜ。まぁ、俺が西野の家で、西野が俺の家だけど。詳しいことは落ち着いてから俺が電話するから。俺の癖とかは唯に聞いてくれればわかると思うし。唯、今日は泊まるんだろ?」

「もちろん♪」

唯が笑顔で答えると、淳平は続けた

「俺もバレないように気をつけるから」

「じゃぁ、まずその『俺』って直さなきゃね」

「え、あ、っと・・・あ、あたしも・・・気をつける・・・からさ?」

「淳平くん、変だよ」

つかさが噴出す

「笑うなよ!・・・あ、笑わないでよ!」

つかさと唯は涙を出して笑っていた

「・・・それじゃぁね、西野!」

つかさはいつも淳平から呼んでもらってる言葉で言い、唯と帰路へ向かった


その帰り道

「でも、初めてしったな〜唯ちゃんが淳平くんの家に泊まってたなんて」

つかさは唯が淳平の家に頻繁に泊まっていることをさっき知ったのだ

「うらやましいんですか?」

唯がにやりとしながら聞くと、つかさの顔は赤くなっていた

言うまでもないが、赤くなっているのは淳平の顔だ

「と、とりあえずあたしのことちゃんと『淳平』ってよんでね」

ごまかすように言うと、唯も

「じゃ、西・・・淳平もあたしのことは呼び捨てで呼んでね☆」

「そだね」

つかさはめいいっぱい元気にふるまっていたが、それは唯に心配かけないための芝居にすぎなかった

内心は不安や心配で胸が張り裂けそうだった

(あたし、ほんとに淳平くんのふりできるかな?とりあえず、今日は気をつけないと・・・。初日だし)


その頃淳平も帰路についていた

(西野・・・大丈夫かな?・・・ま、俺の母さん鈍いからごまかせるか。問題は・・・俺だな〜バレないといいけど・・・・)

(それより、今は女言葉の練習でもしとくか)

淳平は帰路についている間ずっとぶつぶつ何かを呟いていた


そして両者はともに家についた

(今日からはここが俺の家)

(今日からはここがあたしの家)

2人は静かに家のドアを開けた

























『ガチャ』


















「「ただいま」」


つづく


[No.236] 2006/11/05(Sun) 23:31:29
二心 4 (No.236への返信 / 4階層) - クロ

二心 4


「ただいま」


つかさは緊張気味に玄関に入った


(久しぶりだなぁ〜淳平くんの家・・・)


つかさが辺りをきょろきょりしていると、唯にせかされた


「ほら、早く行かないと!」


「あ、うん」


2人はリビングへと向かった


『ガチャ・・・』


リビングのドアを開けた瞬間、淳平の母が心配そうにこちらに近づいてきた


「遅かったじゃない!心配してたのよ〜」


「あ、ごめんなさい」


つかさは緊張のあまり敬語を使ってしまった


唯が慌ててつかさに耳打ちをする


「淳平はお母さんに敬語なんか使わないよ!」


(・・・!しまったぁ〜!)


しかし、母の反応は意外とあっさりしていた


「そんなに反省してるのねwじゃぁ、夕飯の支度手伝ってくれる?」


「お・・・おう・・・」


キッチンに消えたいった母を確認してから唯が言った


「淳平のお母さん、けっこう鈍感だから・・・」


「淳平くんとそっくりだね」


つかさはそう言うと、キッチンへと続いた


キッチンでは母が一生懸命かきの殻を剥いていた


危なっかしい手つきで今にも手を切りそうな勢いでかきを剥いていた


見かねたつかさはつい手を出してしまう


「これはこうやった方がやりやすいよ」


つかさは優しくかきの殻を剥いた


『トゥルンッ』と気持ちいいくらいに身が出てきた


「あら!物知りねぇ〜」


つかさは一瞬「やばい」と思ったが、母は感心していたのでごまかさずにそのまま続けた












その後、みんなで美味しく鍋を食べ、談笑もした


(淳平くんの家族っていい人たちばかりだなぁ〜。唯ちゃんも仲よさそうだし)


夕食も済み、つかさが食器を片付けようとすると唯が止めた


「手伝いしなくていいんだよ、唯がやるから」


唯が小声で言ってきたのでつかさも小声で返す


「でも、それじゃあ唯ちゃんに悪・・・」


「いいから!逆に怪しまれちゃうよ?」


唯の言葉にしぶしぶ手伝うのをやめた


(そうだよね。今はこの生活習慣に慣れて、淳平くんになりきらなくちゃ)


つかさはソファに座り、TVを見ていた


しばらくするとキッチンから母の声が聞こえてきた


「淳平!お風呂入っちゃいなさい」


「はーい」


つかさは普通に答えて立ち上がった


(お風呂、お風呂♪・・・・・・・・・・お風呂?)


「お風呂ーーーー!?」


つかさはつい叫んでしまった


キッチンから慌てて母と唯が飛び出してきた


不思議がっている母を見てつかさず唯がごまかす


「あ、あのね!さっき淳平ころんで膝すりむいちゃったからお風呂入りたくないんだってさ!」


そう言いながらつかさにウインクをしてみせる


話にのれ    という意味なのだろう


つかさもそのサインに気づき、すぐさま続けた


「実は、かなりひどくてさ〜しみるのが嫌なんだよね・・ハハハ・・・」


「だからって叫ぶほどでも・・・・・」


さすがの母も疑問を抱いていた


「もう、淳平の弱虫〜!早くお風呂入っちゃいなよ!」


唯にせかされたのでお風呂場へと向かった


脱衣室に入り、ポケットから携帯を取り出した


携帯だけは返してもらっていたのだ


つかさは慌てて電話をかけた





















そのころ、淳平も、つかさと同じような問題に直面していた


つかさの母に「お風呂に入りなさい」と言われたのだ


(どうしよう・・・入ったほうがいいと思うけど、西野の体見ちゃうことになるし・・・でも・・・あぁ〜くそ!)


そのとき、リビングの方で電話が鳴った


つかさの母がとったが、やがてこちらに向かってきた


「つかさちゃん、もう入っちゃった?」


「ま、まだだよ?」


「真中くんから電話よ」


「え!?西・・・淳平くんから!?」


淳平は受話器をもらった


(自分のことを君付けで呼ぶのも気持ち悪いな・・・)


そう思いながら受話器を耳に近づける


「もしもし、淳平くん?」


「あ、ああ。そうだよ」


「今何してた?」


「何って・・・その・・・お、お風呂に・・・」


「もしかして、もう入っちゃったの!?」


受話器の向こうから大きな声が聞こえてくる


「いや、まだだよ」


「よかった〜」


つかさは安心したのか、その場に腰をおろした


「でもどうする?このまま入らなかったら怪しまれるし・・・」


淳平の質問に対し、少し間があったあとつかさが答えた


「お互い目隠しして入るしかないよ」


「えぇ〜!」


淳平もあまりの回答に驚きをかくせなかった


「絶対目隠ししてよね!」


受話器の向こう側から聞こえてくるちょっと怒ったような言い方に淳平は「はい!」と威勢良く答え、電話を切った


「「よ、よし・・・目隠しするぞ・・・・」」


その後2人はちゃんと目隠しをしてお風呂に入った


つづく



P,S

変なところできっちゃってすんませんww

このまま進めたらかなり長くなってしまうので

中途半端ですが、一度切らせていただきます


[No.238] 2006/11/06(Mon) 23:07:40
二心 5 (No.238への返信 / 5階層) - クロ

二心 5


無事、お風呂に入り終えた2人は部屋に戻ってくつろいでいた


「今日からここがあたしの部屋・・・」


つかさは小声で呟いた


「着替えとかも淳平くんの服着るんだよね」


「ま、いっか」


服だのなんだのと細かいことを気にしていたらこの先何かが起こったときに困ってしまう


つかさは吹っ切れたようにベットに寝転んだ


「・・・淳平くんの匂いだ・・・」


そのまま目を閉じて休んでいると唯が入ってきた


「淳平!どぉ、慣れた?」


唯はもう『つかさ』と呼んでいない。いつボロが出てしまうかわからないので普段から『淳平』と呼ぶことにしたのだ


「1日で慣れたら苦労しないだろ?」


つかさも笑顔で答えた


男言葉は普段からたまに使っているのであまり違和感はなかったみたいだ


そればかりか『俺』や『〜だぜ』という言葉をもうすでに気に入っているのかもしれない


「なんか嬉しいな〜西野さんと一緒に暮らせて」


つかさは唯の憧れだった


そのキモチがつい本音として言葉に現れてしまった


「こらっ!ちゃんと『淳平』って呼ばなきゃ駄目だろ!」


「てへへへへへ・・・・・」


その後2人は談笑していた






































「トゥルルルルルル」


真中家に電話が鳴り響いた


「淳平からだ!」


唯はすばやく階段を駆け下り、電話を取って戻ってきた


そしてそれをつかさに渡す


「もしもし?」


「あ、淳平くん?」


淳平はもうちゃんとつかさになりきっていた


(自分のこと『淳平くん』って呼んでる)


そう思うとおかしくなってつい『クスッ』っと声に出してしまった


「そ、そんなに笑うなよな〜」


淳平も、つかさが男言葉を使うことを知っているのであまり気を使わないで話することができた


「今日はしょうがないけど、いつかゆっくり話さなきゃ駄目だね」


つかさが口を開いた


「え!?家族とかに?」


淳平が驚いた様に言う


「そうじゃなくて、お互いのこと!自分の癖とか友達関係とか色々伝えることがあるでしょ?」


「あ、そ、そうだな・・・」


「あたしは『そうだな』だなんて言わないよ!」


「そ、そうだね!」


(自分だって今『あたし』って言ったじゃないか・・・)


つかさに注意されたので言い直した淳平だが、少々不満を覚えたようだ











「明日学校休んじゃえば?」


いつのまにか電話はつかさから唯に変わっていた


「唯!・・・ちゃん・・・淳平くんは?」


「ん?いるけど。ただ変わっただけ」


「それよりさ、明日学校休んだほうがいいよ。んで、ゆっくり2人で話し合ったほうがいいと思うよ?」


「ん・・・そうだ・・・・ね」


「じゃ、明日9時に泉坂図書館で会おうよ!」


電話の相手はまたつかさに変わっていた


「あ、うん。いいよ」


淳平はそう言って電話を切った


そしてそのままベッドに寝転んだ


(やっぱこのことを母さんや外村たちに言うべきなのか?それとも黙っておくべきか・・・。ん〜どうしようかな)


淳平は色々と考えたが疲れていたのでそのまま眠ってしまった


つづく


[No.241] 2006/11/07(Tue) 18:26:23
二心 6 (No.241への返信 / 6階層) - クロ

二心6


翌日


つかさは6時半に目覚めた


いつも自分が寝てるベッドと違うせいか、ぐっすり眠れなかった


無論、緊張が続いているというのもある


つかさはゆっくりとベッドから起きてクローゼットを開けた


中には男物の服やパンツなどがハンガーにかけてあった


(以外に綺麗にしてるんだなぁ〜)


そう思いながら黒いトレーナーとジーパンを穿いた


「ん・・・・・・・」


「あ、ごめん。起きちゃった?」


「ん〜ん・・・丁度目が覚めた〜」


唯は目をこすりながらふとんから出た


つかさに気を使ってベッドを譲ったのである


ふとんから出た唯を見たつかさは驚きを隠せなかった


「・・・・・・・!!ゆ、ゆ・・・・唯・・・ちゃ」


唯はパンツ一丁になっていた


「ほへぇ?」


唯はまだ寝ぼけているらしく、自分の状況に気づいていない


「唯ちゃ・・・・・パジャマは?」


『唯ちゃん』と言いそうになったのを意識して止めた


そして、唯はやっと自分の今の格好を把握できたようだ


しかし、唯はあまり慌てていない様子


いや、それどころかそのまま服を着替える行動にうつっていた


つかさはあまりにも大胆(?)すぎる唯の行動に質問せずにはいられなかった


「いつも・・・そ、その・・・裸で寝ちゃうの?」


唯は普通に答えた


「寝るときはちゃんと着るんだけど、寝相が悪くて脱いじゃうんだ〜ww」


(まさか、淳平くんってば唯ちゃんが泊まってるとき変なことしてるんじゃ・・・)


淳平に対して変な疑問を抱いたつかさだったが、そろそろ作戦を決行しなくてはならない


その作戦とは・・・・・・・・














その前に、淳平の様子をうかがってみることにしよう



















淳平はつかさとうって変わってぐっすり眠っていた


いや、眠りすぎていた


「つかさちゃーん!早く起きないと遅刻するわよ〜!」


1階から母の声が聞こえてくる


淳平は飛び起き、急いで制服に着替えた


「・・・・あっ!」


リボンを付けようとして手を止めた


昨日の唯の言葉を思い出したのである


(今日は学校休んで図書館に行くんだっけ・・・)


そう考えていたら階段をゆっくりと上がってくるような物音が聞こえてきた


(やばいっ!西野の母さんが来る!!!)


淳平は瞬時にパジャマに着替え、制服を元に戻した


・・・と、同時に母がドアをノックした


「つかさちゃん?どうしたの?」


淳平はわざと応答せずにベッドにうずくまっていた


「つかさちゃん、入るわよ」


『ガチャ』


「つかさちゃん!?大丈夫!?」


淳平はわざとらしそうにお腹を抱え、苦しい顔をして見せた


「お腹・・・が・・・い、痛い・・・よぉ〜」


演技は人よりは少し上手い自信があったので、母はすぐに淳平を信じた


「今、救急車呼ぶからね!」


そう言うと、部屋にあった電話を手に取った


(まずい!救急車なんて呼ばれたら・・・)


「あっ!いい!いらない!」


「どうして?」


「その・・・一人で病院いくから!」


「でも・・・・・・」


「ほら、着替えるから出てって!ね?」


淳平は無理やり母を追い出した


母は心配そうな顔をしていたが、1階に戻っていった


「・・・ふぅ〜危ないところだった〜」


なんとか誤魔化せた淳平。ふと時計を見ると8時半だった


「やべ!約束は9時だ!」


そういうと、適当に床に置いてあった服に着替えて家を飛び出してった
























一方、つかさも・・・・・・・・・・



「あいたたたたたたたたた!!!!!!」


「淳平!?どうしたの?じゅんぺ〜」


つかさと唯のお芝居真っ最中だった


慌てて淳平の母が部屋に入ってくる


「どうしたの!?」


「淳平が、お腹痛いって・・・」


こちらも淳平と同じ理由で仮病をつかっているようだ


しかし、淳平の母の態度はあまりにも卑劣だった


「昨日変なもの食べたんじゃないの?学校くらい行けるでしょ!とっとと行ってきなさい!」


「でも・・・・母さん・・・・」


つかさは、あまりの反応にビックリしながらも必死で演技を続けた


(うわぁ〜淳平くんのお母さんこわ〜)


つかさず唯がフォローにはいった


「一応淳平を病院に連れてってもいい?唯も学校休む!」


「あら、そう?」


唯には優しい淳平の母であった


「あたしのお母さんだったら救急車呼ぶと思う・・・」


ずばり、つかさの勘的中!!


「淳平、早くしないと遅れちゃうよ!」


「あ、うん!」


2人も家を飛び出した



つづく


[No.243] 2006/11/11(Sat) 20:53:19
二心 7 (No.243への返信 / 7階層) - クロ

二心 7


つかさと唯は一足先に図書館に着いていた


「やっぱり、人が変わっても中身は変わんないね」


「え?」


「淳平くんの遅刻癖♪」


「・・・・・」


なぜか少し楽しそうなつかさだった・・・・・













「おぉ〜い!!」


15分くらい待っただろうか


やっと淳平が現れた


「15分の遅刻だぞ!」


つかさは人差し指を淳平の鼻に突きつけた


(自分に注意するのってなんか変な感じ・・・)


つかさはそう思いながらも空いている席についた


「ほら、ここに座ろうぜ」


「・・・・・え!?・・・あっ、うん・・・」


つかさの男言葉にビックリした淳平だったが、それと同時につかさに対し、少し尊敬も抱いた


(すごいな、西野・・・もう俺になりきってるよ。おれも精一杯西野になりきらなくちゃ!)


淳平が席につくと、さっそくつかさが話し始めた


「まず、お互いのこともっと教えあわなくちゃな!」


「う、うん!」





2人は、家のことや学校のことなど、さまざまなことを相手に教えた


そして、外村や東城、またトモコのことなどにも教えた


それをきちんとメモに取り肌身離さず持っていることにした


時刻は12時をまわっていた






「お腹すいたぁ〜」


淳平が大きな腹の音を立てた


「ちょっと!一応自分の体じゃないんだから気をつかえよな!」


つかさがつかさず注意する


※寒いギャグとか言わないでね!(笑)


「それに!なに、その服!」


つかさは淳平の着てきた服を下からゆっくりと見つめ、いかにも「ダサい!」といった顔をしていた


「あ、ごめん!急いでたからその辺にある服を適当に・・・」


「んもう!センス悪いって思われるのは『西野つかさ』なんだからね!」


「すいません・・・以後、気をつけます」


「今度から誰かと遊びに行くときは俺が服決めるから連絡しろよな」


(そっか・・・俺、トモコちゃんとかと遊んだりするかもしれないよな。西野も外村とか・・・・・と、東城とか・・・)






















ピリリリリリリリリ♪













そのとき、つかさの携帯が鳴った


相手はトモコからだった





しかし、つかさは電話に出ようとしない


疑問に思った淳平はつかさに尋ねてみた


「・・・電話、出ないの?」


「・・・・だって・・・・『声』が・・・」



その時、淳平は思った


(そっか!今、西野はあくまで俺なんだ!ここは俺が出ないと・・・)


淳平はつかさの携帯をとった


「あ、ちょっと!」


つかさが止めたときには淳平は会話を始めようとしていた


(淳平くん・・・ちゃんとトモコと会話できるの?)


(トモコ・・・勘、鋭いんだから!)


つかさの不安は淳平の電話の会話次第で爆発するかもしれないほど膨れ上がっていた




つづく













※図書館内での携帯電話はお控え下さい♪


[No.247] 2006/11/12(Sun) 20:43:44
二心 8 (No.247への返信 / 8階層) - クロ

二心 8


「もしもし・・・」


ついに淳平が喋りだした!(もしもしだけど・・・w)


「もしもしぃ〜!つかさぁ!あたしぃ〜〜〜♪」


トモコはなぜかハイテンションだった


そしてそのテンションのまま淳平に質問をした


「あんたなんで学校来ないのよ?今日は午前中ずっと自習なのよ!先生達がみんなでどっか消えた♪」


「先生がいなくなる」というのは聊か意味不明だが、トモコのテンションの高さの理由はこれのようだ


「ちょ、ちょっとお腹が痛くてさ・・・」


淳平が答える


「大丈夫!?あたし、学校抜け出してお見舞いに行ってあげよっか?」


「何言ってんの!見つかったら退学だぞ!」


「フフ・・冗談よ、冗談♪」


「もう、トモコったら!」


淳平は意外と普通に会話をしていた


トモコも気づいていないくらい、つかさに似ていたのだ


まぁ、声はつかさなのだから喋り方さえ真似すれば電話くらいは誤魔化せるだろう


(淳平くん、すごい!ほんとのあたしみたいだなぁ)


つかさはそう思いながら淳平を見つめていた


唯も『ボケーッ』として電話のやり取りを聞いていた


数分間話したあと、淳平は電話を切った


「・・・ふぅ〜」


ため息をつきながらつかさに携帯を返した


「はい」


つかさは何も言わず携帯を受け取った


いや、言えなかったのだ


自分が想像していたことをはるかに上回るテクニックで話していた淳平にビックリして


なにしろ電話の相手はあのトモコなのだから、驚きも2倍だった

























3人は近くのファミレスに来ていた


淳平とつかさが昼食を食べ終え、まったりしているすぐ横で、唯はチョコレートパフェを食べていた


「ん〜♪ここのパフェ美味しい〜」


そしてさらに


「次、いちごパフェ〜〜〜〜!!!」


つかさは唯の胃袋に驚いていたがあえて何も言わなかった


「唯ちゃん、よく食べるね」


つかさ口調で言った淳平だったが、内心は





(唯め!誰がそのパフェ代を払うと思ってるんだよ!はぁ、俺今月ピンチなのに・・・)


しょぼくれてると、淳平にいい考えが浮かんできた


それは―――――――――――










「淳平くん、もちろんおごってくれるんだよね?」


そう、唯のパフェ代はおろか、昼食代もろともつかさに払わせようと思ったのである


「えぇ!?」


つかさはつい大声をあげ、立ち上がってしまった


近くの客がこちらを見る


つかさは恥ずかしそうにゆっくりと席についた


「まさか、女の子におごらせるつもり?」


これは、以前2人がデートしたときに淳平がつかさに言われた言葉だ


淳平の財布にはそのときの食事代を払えるか払えないかくらいのお金しか入っていなかった


それをつかさに打ち明けたら、この言葉を言われたのだった


「じゃぁ、せめて割り勘で・・・・」


淳平の言葉に対し、つかさはシカトして店を出て行ってしまった


結局淳平は財布の中身を空っぽにして店を出たのだった





















淳平にはそのときのデートの記憶が頭に蘇り、つかさにも同じ事をしてやろうと思ったのだ


淳平の顔には不気味な笑みが浮かんでいた




つかさはしばらく考えていた


(う〜〜ん・・・どうしよう・・・。あたしも今あんまお金ないし。淳平くんめ!)


その時、唯が急に立ち上がった


「ちょ、ちょっとトイレ・・・・・」


そう呟いた後ダッシュでトイレに向かった








2人の座っている席からは沈黙が流れた


つかさはずっと考えていたが、不意にある考えが浮かんだ


そして、ゆっくりと淳平の方に顔を近づけた


「ど、どうしたの?」


淳平が尋ねると、つかさは淳平の耳元であることを囁いた


それは、悪魔のささやきだった












「ふーーー!すっきりしたぁ♪」


唯がトイレから戻ってくると、不思議な光景が見えた


淳平がしょんぼりとテーブルに顔を伏せ、その向かい側でつかさが得意げに腕組をしていたのだった


もちろん、外見だけではしょんぼりしているのはつかさで、腕組をしているのは淳平だが・・・・・・・


しかし、唯は気にせずに2人に話しかけた


「そろそろかえろっ!」


つかさはニヤリとしながら立ち上がり、店を出た


最後に捨てゼリフを穿きながら


「じゃぁ、ご馳走様、西野♪」


「・・・・・・・・・はい・・・・・・・・・・」


結局今回も淳平の財布が空になり、家に帰ることになった


(・・くそぉ・・・西野にあのことしられちゃったか〜・・・)

(まぁ、同じ部屋で生活してるんだったらいずれはばれるとは思っていたが、まさか1日でばれるとは・・・・)

(恐るべし、西野つかさ!!!)



つかさに対し、少し恐怖感を抱いた淳平であった

















明日からはいよいよ学校に行く


お互い、今まで生活していた学校ではない


淳平は女子しかいない桜海学園に


つかさは知り合いがたくさんいる泉坂中学校に










2人の期待と不安は複雑に絡み合い、今、運命の歯車がゆっくりと動き出そうとしていた




つづく


[No.249] 2006/11/13(Mon) 23:51:19
二心 9 (No.249への返信 / 9階層) - クロ

二心 9


今回は、まず淳平の様子から覗いてみることにしよう


淳平は唯と2人で通学路を歩いていた


朝早くに唯が『西野家』に迎えに来たのである


「はぁ〜〜〜〜〜〜」


「もうっ!シャキッっとしなさいよ!シャキッと!!」


朝だけでもう17回目のため息をついた淳平に唯が注意する


「・・・だってさ〜俺・・・じゃないや。あ、あたしが女子高だよ!?絶対無理だってぇ〜」


淳平は今までと違う世界に入るのが怖かった


しかもあの名門、桜海学園だ


胸にたまった不安はためいきとなって出てくるのだ


そんな淳平を見ていた唯が淳平を励ます


「大丈夫!もしもの時は唯がなんとかするからさ!」


「じゃぁ、そのタメ語は直したほうが良いんじゃない?」


「だって・・・淳平に敬語使うと思うと・・・なんか腹立つんだもん」


「なんだよそれ・・・・・・・・」


呆れながら返事をする淳平だったが、心の中は自分のこと以上につかさのことでいっぱいだった


(西野・・・大丈夫かな?ま、西野はしっかりしてるからいいけど)


(意外とみんなと話しているうちにボロが出ないかな)


淳平は桜海学園で知ってる人といったら唯ぐらいだが、つかさは映研メンバーなど、知人がたくさんいる


楽しいときを過ごしていて、緊張感がなくなるのではないだろうか、と、淳平は思っていたのである






同じ頃、つかさは―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――


(淳平くん、大丈夫かな?)


つかさは淳平のことで頭がいっぱいだった


「ま、唯ちゃんもいるし、大丈夫か!」


そう呟くと目の前に綾が現れた


「真中くん!」


「わっ!!!」


あまりにもいきなりだったのでつかさはビックリして叫んでしまった


「あ、ごめんなさい・・・急に出てきちゃって・・・でも、真中くんが見えたから一緒に・・その・・・が、学校行きたくて」


顔を真っ赤に染めながら言う綾の姿は、同姓のつかささえも思わず顔が赤くなるほどの可愛さだった


(可愛いなぁ、東城さんは・・・)


ボーっと綾の顔を見ていたつかさに、綾は疑問に思ったのか


「真中くん?」


心配そうに下から顔を覗き込む


(あっ!ついボーっとしちゃった。えぇ〜と確か東城さんは・・・)


つかさはそっとポケットからメモを取り出した


メモにはこう書かれていた






   〜淳平くんの友達の呼び名〜

 東城さん→東城
 
 さつきちゃん→さつき

 小宮山くん→小宮山

 外村くん→外村

 外村くんの妹さん→美鈴

 ちなみちゃん→橋本

 大草くん→大草

 合宿の時の熊の人→天地

 塾の友達→こずえちゃん





(『こずえちゃん』ってのはいまいちよく解からないけど、とりあえずここは東城さんとお話しなくちゃ)


メモをポケットにしまい、笑顔で綾にあいさつした


「おはよう、東城!」


「おはよう、真中くん!」



その後2人は談笑しながら学校へ向かった


(とりあえず、東城さんにはばれなかったかぁ〜でも、外村くんや大草くんは勘が鋭いからなぁ〜・・・大丈夫かな?)








真中淳平と西野つかさ


2人は今、互いの学校の第一歩を踏み出した!




つづく







※最後、意味わからないのはご了承下さい♪


[No.250] 2006/11/15(Wed) 14:48:14
二心 10 (No.250への返信 / 10階層) - クロ

二心 10  西野つかさ編


ドックン・・・・ドックン・・・・・


つかさは玄関にただ立ち尽くしていた


(どうしよぉ〜学校に入っただけなのにドキドキしてるよぉ〜)


そんなつかさを見て綾が呼びかける


「真中くん?早く行こうよ」


「う、うん・・・」


足を動かそうとするのだが上手く動かせない


自分でも小刻みに震えているのがわかった




つかさはようやく呼吸を整え一歩を踏み出した





その瞬間、つかさの周りだけ急に暗くなった


つかさの上に影が覆いかぶさったのである


つかさが後ろを振り向いたと同時に、その影はつかさに覆いかぶさってきた


「うわぁ!!」


つかさは叫び声を上げその場に倒れこんだ


その影とは?








「おっはよぉ!真中♪」


「う・・・いきなりなにするんだよぉ〜」


頭を抑えながら見上げると、目の前には笑顔のさつきがいた


「さつきちゃ・・・・さ、さつき!」


「真中がボーっとしてるから活入れてあげたじゃないの!」


(もぅ、さつきちゃんったら!毎日こんな事してるの!?)


つかさは起き上がり少しきつめに言った


「や、やめろよな!いきなり来るなんて!


「いつものことじゃない!あたし流のあいさつでしょ?」


さつきはそう言うと、スキップをしながら教室に向かっていった


(淳平くんったら!さつきちゃんとこんなこと・・・)


少し腹が立ったが綾にせかされたので教室に向かった









泉坂高校は楽しかった





初めはすごいドキドキしていたが、知ってる人たちがたくさんいて気軽に話せた


(これならまぁ、やっていけるかな?)





しかし、油断しすぎた




それは、3時間目のできごとである


美術の時間だ


「え〜今日は美術の竹中先生がいないから臨時で私が担当だ!」


美術科の竹中という教師が風邪で休んだらしい


変わりに黒川先生が代理でやることになった


「2人1組ペアになり、ペアの顔を書け!」


同時に教室内はざわめき、ペア作りが始まった


「真中!ペア組もうよ♪」


つかさにいち早く声を掛けたのはさつきだった


「え!?・・・・・」


(どうしよう・・・ま、相手は淳平くんだって信じ込んでるみたいだし、知らない人とやるよりはいっか!)


つかさは戸惑いながらもOKし、絵を書き始めた





この選択がつかさの運命を大きくかえてしまった






30分後


つかさは黙々と絵を書いていた


お互い相手を書いているのだから当たり前だが、さつきと何回も目が合う


さつきはそのたびに笑顔で微笑んでくる


(さつきちゃんも・・・東城さんと同じでやっぱ可愛いな)


つかさも自然と微笑み返していた


会話はないが、2人だけの世界が作られてるような感じだ


周りから見れば仲の良いカップルに見えたかもしれない


その時だった


「真中!お前・・・」


後ろに立っていたのは外村だった


「ん?どうした、外村?」


「それ・・・・・・・・・・・・・・・・」


外村が大げさそうに指差したその先には、つかさが書いてある絵があった


「これがどうかしたか?」


「いや・・・ほんとにお前が書いたのかよ・・・」


「え!?」


つかさは驚いた


(え!?淳平くんってあたしより上手なの?下手なの?)


「おまえの実力じゃ、この上手さはありえん!」


淳平は絵が下手で有名だった


りんごの絵も満足に書けないのだ


つかさは淳平と反対に、とても上手かった




さつきの絵も、それは見事なものだった


つかさは慌ててウソをついた


「最近、絵画教室行き始めたんだよねww」


「えぇ!まじで?」


「あ、あぁ!楽しいよ」




その後、なんとか誤魔化し無事1日が終わった


しかし、外村に帰り際に言われた一言が、忘れられなかった






―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「真中、なんかお前今日おかしくないか?」


「え、そ、そんなことないよ」


「いや、絶対におかしい」


「気のせいだって」


「俺の目と勘はごまかせないぜ。なんか・・・女の子っぽいんだよな」


「え・・・!!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「ま、いっか。じゃ、また明日な!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「はぁ〜ばれてたらどうしよう」


さすがにばれる心配はないと思うが、心配なのだろう


「淳平くん、どうだったのかな?」


少しでも別のことを考えようとすると


必ず淳平が浮かんでくる


「今日、さっそく電話してみよう♪」


駆け足で家に向かったつかさでだった




つづく


[No.251] 2006/11/22(Wed) 17:32:09
二心 11 (No.251への返信 / 11階層) - クロ

二心 11 真中淳平編



「ここが西野さんの教室で、トイレは右側の突き当たりにあるから」


唯はあちこちを指差しながら校内を説明していた


「あと、担任の名前は久米先生!席は窓側の前から2番目だからね」


「唯・・・なんでお前、そんなこと知ってんの?」


学年が違うはずなのに・・・と、疑問に思う淳平に対し


「唯ちゃんでしょ?それに、お前とか言ったらダメ!!」


唯は黙々と自分のペースで話し続ける


「あ〜・・・唯ちゃん・・・」


淳平はめんどくさそうに訂正した


「だって唯、暇になると遊びに来てるもん♪」


「あ、そう・・・」


「詳しいことはまた後で教えてあげるから。じゃね!」


唯はそういい残し去っていった


(とにかく・・・今は西野になりきらなきゃ・・・西野・・・西野・・・西野・・・)


淳平は心の中でそう呟きながら教室に入っていった





『ガラガラ』


教室内に入ったとたん、明るい声がざわめいていた


『キャ〜まぢ!?』


『ホントホント!でね〜』


『あたしも〜〜〜〜〜!!!』


(うわぁ〜さすが女子高。うるっさいなぁ〜)


いつもと違う教室のテンションに淳平は圧倒されていた


「そんなことより、今は西野・・・西野・・・西野・・・」


そう呟きながら席につくと、後ろから声を掛けられた


「おはよ、つかさ!!」


「わっ!!西野!!!」


淳平は驚いて、さっきまで呟いていた言葉をそのまま声に出してしまった




声を掛けたのはトモコだった


「はぁ?西野は自分でしょ?朝から何寝ぼけてんのよ!」


そう言いながら淳平の背中をバシッっと叩いた


(この娘がトモコちゃん・・・かなぁ?)


名前と顔が一致しないのでうかつに話しかけられない


淳平はポケットのメモを見た






〜西野の友達関係〜


・トモコはちゃんは西野の親友で、席は西野の後ろ。

・休み時間やお昼は2人と過ごしてるから他の子の名前とかは唯に聞けばOK







淳平はメモをポケットにしまい、トモコと話し始めた


「ごめん。実は起きたてでさぁ〜ははははは〜」


笑いながら誤魔化す淳平


そんな言い訳は気にも留めず、トモコは鋭く淳平に言った


「どぉせまた、『淳平くん』のこと考えてたんでしょ?」


「え!?」


淳平は驚いた


自分のことを聞かれたのだから






「どうして・・・??」


少し沈黙があったあと、ようやく淳平の口が開いた


「どうしてって、あんたいつも彼のこと話してるじゃない」


「!!!!!!」


淳平は声にならないくらい驚いていた


(どうして西野が俺のこと・・・もしかしてまだ俺のことが・・・)


(そんなわけないか・・・何考えてるんだ、俺!!)


「ちょっと!つかさ?」


ボーっとしていた淳平にトモコが活を入れる


「ほら、もうすぐ鐘なるよ、授業の準備しなさい!」


「あ、うん」



淳平は緊張しながら授業を受けた






お昼休み


「西野さぁぁん!!トモコ先輩〜!!」


唯がお弁当を持って教室に入ってきた


「唯ちゃん、今日も来たの?」


トモコはそう言いながらも優しく唯を出迎えた


唯はその辺にあった机をくっつけて座り、お弁当を机の上に置いた


つかさとトモコもお弁当を取り出し、3人で食事を始めた








ご飯も食べ終え、3人は談笑していた


「そういえばさ、さっきの話!続き聞かせてよ」


トモコが話題を変えだした


(さっきって・・・まさか俺の話かぁ!?)


淳平はいきなりパニックになりだす


唯と目が合い、必死で訴えてみた


(頼む!何か話題を変えてくれ!!)


唯は、淳平の打訴えを知ってか知らずか


『二カーッ』っと笑い、トモコにこう尋ねた






「さっきの話ってなんですかぁ?」


(こいつ!また爆弾持ち込みやがって!!)


「い、いやたいしたことないよね、トモコ?」


淳平も必死で誤魔化す


「別にいいじゃない。唯ちゃんって彼と知り合いなんでしょ?」


トモコが唯に尋ねる


「へ?話ってじゅんぺーのこと?」


「うん、そうよ」


唯はまた淳平の方を見て不気味な笑みを浮かべた


(くっそ〜こいつ・・・帰ったらぶっ飛ばす!)


そんな淳平にトモコが尋ねる


「で?最近彼とはどうなの?」


「べ、べつに!どうもないよ!」


「あり?いつもなら顔赤くしながら話してるじゃない」


トモコの言葉を聞いて淳平の顔は、みるみるうちに赤くなる




「この前だって、『淳平くんとデートしたんだ♪』って、つかさののろけ話を1時間も聞いたじゃないの!」


(まぢですかぁ〜!?)


淳平の顔はかなり真っ赤になっていた











放課後


「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜」


「もぅ、来る時よりため息が多くなってるよ?」


淳平と唯は帰路についていた


「だって・・・女子のペースに振り回されて疲れたんだもん」


つかさの口調で話す淳平に、唯は少し『可愛い』という感情を覚えた


「西野さんは上手くやってるかなぁ?」


「ん?西野ならやってるんじゃないか?」


「さっそく帰ったら西野さんに聞こうっと♪」


「俺も後で電話しようっと♪」


淳平はそう言いながら空を見上げた


(何か一つ・・・忘れてる気がする

 すごく大事なこと。もちろん、西野にとっても・・・)



どこか心の奥でもやもやしていた淳平だったが


唯が走り出したので、淳平も後を追うように走っていった




空は少し曇りだしてきた




つづく


[No.252] 2006/11/25(Sat) 17:04:18
二心 12 (No.252への返信 / 12階層) - クロ

二心 12


帰宅したつかさはさっそく淳平に電話を掛けた


『トゥルルルルル。。。』


数回コール音が聞こえた後、相手からの応答があった


『はい、西野です』


それは懐かしい声だった


「・・・!!」


つかさはビックリして声が出なかった






つかさにとって




懐かしく





聞きなれた声




「もしもし?どちら様ですか」


電話の声はつかさの母だった


つかさはしばらく黙っていたが、ようやく口を開いた


「あ、あの・・・真中ですけど、つかさちゃんいますか?」


「あ、ちょっと待ってね」



『ビロピラピラピ〜♪』


メロディーが流れた後淳平がでてきた


「もしもし、電話変わりました」


「・・・・」


「・・・??淳平くん?」


「あ、ごめん!!」


(西野・・・どうしたんだろう、元気がないみたいだけど)


「もしかして学校でなんかあった?」


心配した淳平がつかさに尋ねた


「ううん!大丈夫だよっ」


「ならいいけど・・・」


やや疑問に思った淳平だが、つかさが一瞬明るくなったので気にせず会話を始めた




2人の談笑は軽く1時間を越した



「―――じゃぁまた・・・」


そろそろ電話を切ろうとした淳平に、つかさがどこか寂しそうな声で呟いた


「淳平くん・・・」


「ど、どうしたの?」


「今度の日曜日、淳平くんに会いたいな」


「えっ!!」


予想外の展開に淳平は驚きを隠せなかった


(西野・・・なんでだろう?何か学校で俺のこと話してたみたいだし・・・妙に興奮しちまうっっ〜!!)


変な妄想を抱いている淳平につかさがせかす


「で、どうなの?はっきりしろよな!」


「わっは、はぃっ!喜んで!」


(なんだよ・・・さっきは寂しそうな声だしてたくせに)


半ば強制的な感じで決められたので淳平は不機嫌になった


そんな淳平を見透かしたようにつかさは


「いいのかな?あの事バラしても」


「ヴぅ!!」


淳平の表情が一転した




あの事とは、以前喫茶店でつかさに握られた弱みである


そのせいでおごらされた思い出もある


(くそぉ・・・)


さすがの(?)淳平も諦めたのかしぶしぶ了解した


電話を切った淳平はベットに寝転んだ


「あ〜あ〜日曜は映画見に行く予定だったのになぁ


 でもまぁ、西野に会えるんだしいっか!」













つかさは


淳平同様、ベッドの上にいた


(お母さん・・・久しぶりに聞いたお母さんの声


 いつか毎日聞ける日がくるのかな?

  
 ・・・来るといいな・・・)








「絶対来る!!!」



その日つかさは、また一つ心のどこかが強くなった気がした

 
 


[No.253] 2006/12/07(Thu) 15:16:45
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