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   時を越える想い〜プロローグ〜 - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/22(Sat) 10:35:49 [No.35]
Re: 時を越える想い〜第一話〜:オリジナル98%・いちご2... - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/22(Sat) 20:28:41 [No.36]
Re: 時を越える想い〜第二話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/22(Sat) 22:42:18 [No.37]
Re: 時を越える想い〜第三話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 08:20:08 [No.38]
Re: 時を越える想い〜第三話〜:訂正部分 - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 09:55:06 [No.39]
Re: 時を越える想い〜第四話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 10:46:50 [No.40]
Re: 時を越える想い〜第五話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 19:29:33 [No.41]
Re: 時を越える想い〜第六話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 00:28:07 [No.43]
Re: 時を越える想い〜第七話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 01:32:26 [No.44]
Re: 時を越える想い〜エピローグ〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 01:36:57 [No.45]
Re: 時を越える想い〜あとがき〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 01:43:12 [No.46]



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時を越える想い〜プロローグ〜 (親記事) - 最果ての 脈動する 中心核

私は今、真中監督が未来に旅立った私の友人である伊原達郎の出来事を『映画にして何時か人類が未来へ旅立てる事ができる事を示したい』という言葉でその映画のシナリオみたいなの数年前に書いていた。彼の婚約者西野つかささんも『ヒロインを演じたい』という事で、まず3人でプロジェクトを立てたがまさかこんなに受け入れられてまた晴れて著す事が出来るとは思わなかった。これからその原稿を少しずつ皆さんに御見せして行こう、まずはプロローグからだ。

私は17歳でこの大学院に編入し、わずか3年で遺伝子科学・自然科学の頂点を極めた。
富、名声、栄誉その全てを手に入れた。
皆は私を鬼才といった。
皆は私が欲しい物を全て手に入れたと言った。
しかし、
それは違う。
私は今一つとして…私は望むたった一つの物を手に入れてはいない。
たったひとつしか望んではいないと言うのにだ。

…私はあの夏に彼女に誓った。

そして約束をした。

"また逢おう"と。

私は彼女に逢いたい…ただそれだけだったのに…。
しかし、ようやく、そのたった一つの望みが叶う…。

――わずか5年の研究で時間の流れの定理について驚くべき発見をした。
しかし残念なことにその発見はあまりにも大き過ぎてここに書く余白が無い。
何時もであれば私は新しく余白を作ってでも書く事であろう。
しかし、この技術を使うには人類はまだ早すぎる。
技術こそ間に合うかもしれないが、人類はまだその"精神年齢"がこれを使うに耐えうる時に達していない。
今だ、「核」ですら使いこなせていない人類がこれを使ったらどうなるか、それは私を想像させるに容易い。
しかし、ここに3つのヒントだけを記載しよう。
それは2分の1の頂点
・ダイヤモンド
・流れには向かう船
・淡い光
私は旅立つ、この世界にはおそらくもう戻らないだろう。
最後に、この先の人類の未来に幸あらんことを….

――ヒューバートの手記、時間移動歴史博物館より

ヒューバート・D・ガーネット(A,D1989〜A,D2086)
マサチューセッツ工科大学 電子工学教授 ノーベル物理学賞受賞者
時間移動技術の開祖。時間移動技術の理論的証明をするも当時の技術レベルが未発達のため受け入れられず。現在使われている遺伝子共鳴方式はこの理論に基づく。
また、エネルギー工学の権威でもあり、低温核融合発電の開発に大きく貢献した。
彼は俗に言う鬼才と呼ばれており、交友関係には遺伝子工学・自然科学の第一人者であり西暦2008年に突如失踪したノーベル医学生理学賞受賞者の伊原氏や同年に失踪した彼の従兄弟で宇宙科学の権威アレックス・M・アンソニー氏などがいる。




彼は逢えると信じて疑わなかった。

――時を越える、それは彼の時代ほとんどの学者が技術的に不可能だと言っていた。

しかし彼は自分の目で見てしまったのだ。

未来からの来訪者を

そして彼は恋をした。

その来訪者に

彼女が去った後

彼は研究に没頭した。

寝る時間を、物を食べる時間を一分一秒を惜しんで

在りとあらゆる文献をあさり、あらゆる理論を立てた

自然科学、遺伝子工学、平面幾何学、哲学、物理学、一般相対性理論、特殊相対性理論、果ては過去の魔術師や陰陽師等の古い文献まで・・・。

もう一度彼女に逢うために

そして、二本の平行線が交わって結ばれるために

そして、彼は時を越える力を彼は手にした。

彼は迷うことなく旅立った。

もう一度彼女に逢いたい、彼女と一緒に時を歩みたい

その一心で

そして、無の空間の先に明かりが見えた

待ち望んでた世界への扉を今、彼は開ける

彼がその世界に着いた時、彼は予想だにしない光景に驚いた。


[No.35] 2005/10/22(Sat) 10:35:49
Re: 時を越える想い〜第一話〜:オリジナル98%・いちご2% (No.35への返信 / 1階層) - 最果ての 脈動する 中心核

前置きである、プロローグはどうだったであろうか?私は下手な創作家であるがゆえにこんな物しか書けないがこれからが本番である。彼は一体どんな末路を送るのか彼方達は予想できるのでなかろうか?それでも最後まで読んでくださると私は光栄だ。では、本編に入るとしよう。

第1話
僕は何時もの様に朝早く研究室に入るとパソコンを開きメールの確認をした。
メールボックス
―カチ
件名:藻岩大樹撮影写真
―カチ
添付ファイル:藻岩大樹
「・・・・・」
其処には鬱蒼と葉を茂らせている藻岩大樹が写っていた。
「何時もと変化なし…か」
彼はそう呟くと、椅子の背もたれにもたれ大きく背伸びをした。

「もう…あれから一年になるのか…」

―そう、あれからもう一年が経つ。
「琴子…待っててくれよ…絶対に会いに行くからな・・・」
ふと眠気が襲ってきた。さすがに4日間不眠不休だと体が壊れるかな?



――

―――共学化が終わる前日の夜…。
僕が恋した女の子は決して行く事のない世界へと行ってしまった。

『ありがとう。その言葉だけで、わたしはこれから生きて生けるわ』僕はそんな…言葉だけで生きて生けるほど強い人間ではない…。

会いたいと言う想いは日を追う毎に弱まる所か強くなっていく…。

『もし、何処かで再び会えても、彼方はそれが私だと絶対わからない。それでも好きって言える?』

分かるさ!言えるさ!分からないはずが無いだろう!?

「・・・・・・・」
「お、起きたか不健康人?」
同級生のアレックスが話しかけてくる。
「お前なぁ…研究熱心なのは良いけどいい加減体壊すぞ?」
「…ああ」
「ったく…不健康極まりないな…」
「・・・・・・」
「夢見てるか?」
「・・・見てるさ…何時も同じ夢をな」
「同じ…夢?」
「いや、なんでもない」

――僕が夢で見るのは君の夢だけ…あの藻岩での君と過ごした時の記憶…
「夢じゃ無くて…現実で逢いたい…」

僕は専門的な研究をする事の出来るアメリカの大学に飛び級する事を決心した。
時を越える力を獲るために…

彼女に逢いたい

彼女と結ばれ幸せに成りたい

その一心で…
平島は地球が滅亡してもそんな事が出来るわけが無いと罵った。
一也は精神病院に僕を連れて行こうとした。
崇や雄太、俊は頭がおかしくなったのかと言ってきた。
しかしすでに僕は周りの声などは聞こえなくなっていた。
夏休み、僕は元々才能があったのか、もしくは彼女への想いがそれほどまでに強かったのかは分からないが驚くべきペースで学問を修めて行った。

10月、僕は海外のその分野に突出した超難関大学を受け、そして合格した。

僕が大学へ旅立つ時に平島に一つ頼み事をしてきた。
藻岩大樹の写真を1週間毎に送るようにと。
彼女はあの樹から未来へと帰って行った。
そして、彼女が居た期間、あの樹は未来の樹と入れ替わっていた。
もしかしたら…あの樹から何かヒントが得られるかもしれない。
そう思って・・・・・・・・・
僕は大学の授業もしつつも在りとあらゆる学問…特に遺伝子工学と物理学を中心に在りとあらゆる文献を読み漁った。
『この樹の遺伝子情報を媒体として未来と過去を入れ替わるの…理論的にはね』
その彼女の言葉を信じて…。

「一年間何も変化が無いな…当たり前か…」
体勢を起こしてパソコンの画面に目をやる、すると一通のメールが来ていた。
「ん?藻岩大樹写真?今週はもう見たはずだけどなぁ…平島の奴2回送信したのか?」
不審に思いつつもその添付ファイルを開いた。
其処には
「!」
枯れている…藻岩大樹があの時と同じように…。
「ん?なんだこれは?枯れてるねぇ…この木」
「……」
僕は椅子から身を翻すと研究室から飛び出す。
「お、おい達郎!どうしたんだよ!」
「ちょっと少しばかり日本に行ってくる!」
「はぁ?」
僕は自宅に戻ると大急ぎで荷物をまとめ空港に向かった。
そしてその日の内に日本へと旅立だった。


[No.36] 2005/10/22(Sat) 20:28:41
Re: 時を越える想い〜第二話〜: (No.36への返信 / 2階層) - 最果ての 脈動する 中心核

さて、第一話で日本に旅立った達郎だが、この旅だった週は2枚写真があったわけだが、恐らく私の予想では平島先生は山に散歩しに行く事が多々あるので恐らくその時に発見して送信したのだろう・・・・・しかし、私でもこのような事が起こればうれしい。この後達郎はどうなったのかそろそろ見て頂こう。それでは本編開始。

第2話

僕は空港に着くとそのままタクシーに飛び乗り藻岩を目指した。
着替える事なくそのまま飛行機に飛び乗ったせいで僕は研究室に居た時のままの服装でいた。
しかし、そんな事を気にしている場合ではない。
僕は直感的に感じていた。

藻岩大樹が急に枯れた原因は二つ。
一つは山王学園の近くにある廃坑から汚染物質が流れ出した可能性。
もう一つは去年の時のように未来と過去のあの木が入れ替わった可能性。
前者は藻岩大樹だけが枯れているので除外される。
つまり結論は唯一つ。
過去と未来の木が入れ替わったのだ!
そして入れ替わったと言う事は誰かがこの世界に来て居るという事だ。
沙らに今年教育実習生2名を鐘ノ音は受け入れる事になっている。
藻岩に着くと僕は職員室に駆け込んだ。
ちょうど平島がいる。
「職員室は失礼します言いてから入れって…い、伊原!?なんでお前がここに?」
「…どうもお久しぶりです。」
「な、何しにきたんや」
「藻岩大樹の調査です。いきなり枯れてましたからね。ところで…」
「何や?」
「今年新しく教育実習生が居ますよね?」
「あ?ああ」
「今、何処にいますか?」
「今は…森に居ると思うで・・・・」
「そうですか・・・では!」
僕は森に向かって走って行った。

私はまたこの時代に来た。今度は生徒としてでなく教育実習生として。
「変わってないな・・・・って当たり前か」
今回は私だけでなくもう一人こちらに来る事になっている。私に遅れて彼女は来た。
「まったく…今回は問題起こさないでよ?」
私に釘を刺してくる。彼女は向井沙希。
私の幼馴染にして時空管理局のエリート職員だ。
何やらこの時代の自然環境の調査に来たそうだ。
時間がかかるので私と同じく1ヶ月間教育実習生として此処に赴任する事になる。
「分かってますよぅ」
「頼むわよ?」
「達郎君気づいてくれるかな?大人になった私にどんな反応するだろう?」
「分かって無いし・・・」
学園の入り口に着くと平島先生が出迎えた。
「彼方達が教育実習生の二人ですな?」
「はいそうです。私が向井沙希で、隣の彼女が森脇琴子です」
「では、早速校内を案内しますよ」
そう言って平島先生は校内を案内し始める。私は校内は知っているが…。
一通り案内を終え最後に体育館へと案内された。
「此処が体育館です。今年共学化に先立ち新しく改装し直したのですわ」
「はぁ、そうですか」
と、その時
―メキメキ…
ガシャーン!
「うあああ!」
「鉄格子が破れたぞ」
あの時の様に中山君達が飛び出してきた。
「こおおおらぁぁ!!!このごくつぶしどもがああ!!!!」
「やべ!逃げろー!」
「待ってくれよー!」
「お、おい、待ってくれよ!!」
森本君、中山君、浜浦君が逃げて行く。しかし其処にはあの時とは違って達郎君の姿は無かった。
「まったく。伊原が居なくなったと思ったら…急にあの3馬鹿共が」
「え?あの…平島先生」
「何ですかな?琴子先生?」
「伊原…達郎君が居ないって?」
「ああ・・・彼は我が学園の自慢ですよ…。去年の10月にアメリカの大学に飛び級して行った生徒ですよ、伊原達郎は。」
「・・・え?」
「全く…世の中何が起こるか分かりませんなぁ…あのごくつぶしが…」
「そういえば…新聞にも載ってましたね」
沙希が言う。
「あの…ちょっと私たち森を見てきますので」
「ん?あぁ、案内しますよ」
「いえ…ちょっと二人だけで話がしたいので…」
そう言って、私は沙希を森の入り口に引っ張って行った。
「・・・何?」
「達郎君が居ないの…知ってたのね」
「ええ」
「どうして隠してたの?」
「隠してなんか無いわよ。調べればすぐに分かる事じゃない?」
「でも…」
「私は調査しなければならない事があるから、もう行くわよ?」
そう言って沙希は何処かへ行ってしまった
「…達郎君が居ないなんて」
逢えると思ってたのに…彼の顔が見れると…思ってたのに…。
私はフラフラと森の中を歩き藻岩大樹の所まで来た。
彼と私が移っている写真を見る。
思わず涙が流れてきた。
「…達郎君…何処に居るの…」
と、その時だった。
「琴子!!」
「え?」
聞き覚えがある…忘れる事の出来ない、聞き間違える事のあるはずが無い声が私を呼んだ。
私は思わず振り返った。
…其処には、ふち無しの眼鏡をかけ、白衣を着て、やや痩せ細っている達郎君が汗だくになって肩で息をしながら立っていた。
「琴子・・・だな?」


僕は走った。鐘ノ音先生に続くあの道を・・・。
深い森の中から藻岩大樹がある、開けた丘が見えてきた。
其処にうずくまって小さくなっている女性が一人。
僕は思わず叫んだ。
「琴子!!」
「え?」
女性が振り向く。
それは僕が会いたかった最愛の人、見間違えるはずが無かった。
「琴子・・・だな」
「・・・達郎君」
僕は琴子の方に駆け寄って行く。琴子も僕の方へと走ってきた。
「琴子!」
「達郎!」
僕は大人になった恋人を力いっぱいに抱きしめた。


[No.37] 2005/10/22(Sat) 22:42:18
Re: 時を越える想い〜第三話〜: (No.37への返信 / 3階層) - 最果ての 脈動する 中心核

第3話

「随分と大人になったな・・・でも、うん、変わらないな・・・琴子」
「祐介君は変わったね」
「そうか?」
「うん。ちょっと痩せたし・・・眼鏡掛けてるし」
「ああ・・・頑張ったからな・・・・俺さ外国の大学に行ってるんだぜ?」
「凄いね、でもそのせいで私は悲しい想いをしたんだぞ?」
「ははは、ごめんごめん…それで、今回も1ヶ月だけしか居られないのか?」そう聞くと琴子の顔が曇った。
「うん…1ヶ月したらまた帰らなければならない」
「そうか・・・よし!1ヶ月はこの藻岩に留まるぞ!」
「え?大学は良いの?」
「単位は殆ど全て取ったから問題ない。1ヶ月は自然調査って事で休むよ。」
「嬉しい!」
僕は学園に帰ると大学に事を知らせ学園側に1ヶ月間調査で此処に留まる事を言った。
平島は青ざめていたが。校長はすぐに承諾した。
そうして僕は1ヶ月、此処にみどりと過ごす事になった。

藻岩大樹の前で抱き合っている二人を一人の女性が観ていた。
「試験者として…またこの時代に来た…か」
そういって向井沙希は書類を眺めた。
酸素耐性調査書
被験者:森脇 琴子(21)
血液型:AB型
酸素耐性レベル:10(平均値5)

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
2枚目の書類に目を通す。ふと彼女は呟いた。
「全く・・・彼女はとんでもない人物に恋をしたみたいね」


実験実施時代重要人物書
(干渉注意人物)
中山雄太
略歴:日本国第108代内閣総理大臣
功績:非武装国家構想発案、国際連邦(現世界連邦)発案者
重要度:S

渡辺大介
略歴:ノーベル化学賞受賞者
功績:無抵抗合金発明
重要度:B

佐藤あゆみ
略歴:独立民間慈善機関「発展途上国児童基金」会長。
功績:アフリカ内戦の終結に貢献、発展途上国児童基金創設者
重要度:A




・・・・・
伊原達郎
略歴:マサチューセッツ工科大学教授、ノーベル生理物理学賞受賞者
功績:低温核融合理論原案発表、ウイルスの遺伝子情報の相似性発見、HIV特効薬開発、癌細胞識別人工白血球開発、他
未確認事項:遺伝子情報の鍵を発見?(彼の論文の中の半分が消失により確認不可能)、時空移転理論発見?(ハロルドの手記は彼が書いた可能性が出現)

「何でこの時代の重要人物がよりにもよってこの学園に集結してるのよ…」
その書類に書いてあったこの時代(世紀)を動かす日本人要人189人の内13人もの人物がこの学園にいた。
その中で私たちの時代に最も必要な人物…。
その人物に彼女は恋をしているのだ。
彼女は思わずお腹を抱える。
「はぁ・・・胃が痛い…先が思いやられるわ」
そう呟くと彼女は学園へ戻って行った。


――1ヵ月後
それは本当に一瞬の様だった。
1ヶ月という時はあまりにも短かった。
今日…琴子は再び未来に帰る。
同時期に来たという向井沙希は事情があって先に帰ったという。
その夜、扉が開くまでの間みどりと二人で語り合った。
「此処に留まる事はできないのか?」
琴子は横に首を振る
「駄目なの・・・言ったでしょ?私たち未来の人間は此処の空気は酸素が強すぎる」
「お前たちの時代の空気中酸素濃度はどれ位なんだ?」
「0,8%・・・」
08%・・・その数字を聞いて僕は肩を落とした。それは僕たちの時代の約3、8%・・・つまり彼女の時代からしてこの時代の酸素濃度は約26倍・・・とても耐えられる濃さではない事は科学者の僕はすぐにわかった。
「此処に…留まる事はできないんだな」
彼女は涙を浮かべながら頷いた。
「今度帰ったらもう時の扉は開いてくれない。でも帰らなきゃ私は死んじゃう。…最後のお別れをしに来たの…」
僕の意思はすでに固まっていた。
「そんなの俺は許さない!俺が未来に行ってやる!それなら、何とかなるだろ!?」
すると琴子は微笑み、そして泣き、口を開いた。
「そんな事できないよ。祐介君、此処の世界の人だから…私にとって此処の空気が濃すぎるという事は、彼方にとっては未来の空気は薄すぎる…。行ったら死んじゃうよ。それは私も辛いから…」
急に藻岩大樹が光りだす。あの時と同じように。
俺は自分の力の無さを痛感していた。好きな人の傍に居てやる事すらできないこのもどかしさを・・・。
僕はゆっくりと話した。
「琴子…なんで俺が飛び級までして大学に行ったかわかるか?」
「…なんで?」
「お前に逢うためだよ!タイムマシンを作って…お前の時代に行くために…」
それを聞いて琴子は、さらに薄くなった体で悲しそうに答えた。
「無理だよ…確かにこの時代…理論上は時間移動の理論は完成されるけど…実際に時間移動が出来る様になるのは…この時代から数世紀も後の事なのよ?」
僕は消え行く彼女に二つの花を渡した。
「これが俺の意思だ。約束だ」
俺は消えかけて触れられないみどりの体にふれた。
「俺は…俺は絶対にお前の時代に行って見せる!お前を絶対迎えに行く!」
「馬鹿…達郎君の馬鹿…そんなの無理なのに…」
「無理じゃない!絶対に行ってやる…絶対に…」
そう琴子に伝えた処で彼女は消え、扉が閉じられた。


[No.38] 2005/10/23(Sun) 08:20:08
Re: 時を越える想い〜第三話〜:訂正部分 (No.38への返信 / 4階層) - 最果ての 脈動する 中心核

私がドジなため、パスワード入れるのを忘れてしまい編集できなくなったのであえて新しいので訂正いたします

「祐介君は変わったね」←これを「達郎君は変わったね」にして頂いて読んでください。

他サイトでもそう作品を投稿してる故に他の作品が混じり皆様の混乱を招いた事を深く御詫び致します。


[No.39] 2005/10/23(Sun) 09:55:06
Re: 時を越える想い〜第四話〜: (No.39への返信 / 5階層) - 最果ての 脈動する 中心核

「一体どうなってるのよ…。」
向井沙希は研究室で胃薬を飲みながら呟いた。
過去に実習生として戻った琴子は私の警告を聞き入れる事なくまたしても伊原達郎に強く干渉をした。
そして、最悪な事に彼もまた琴子を愛してしまっていたのだ。

それだけでは…ない。
彼は調査によると琴子が帰った直後から勉強に没頭し飛び級して大学には行った事になっている。
つまり、琴子が彼の前に現れた事によって彼が大学に飛び級する原因を作ったと言う事になるのだ。
それだけでは、ない。
これだけの歴史干渉をしていたら当然許容範囲を大きく超える"歪み"が発生するはずなのであるが、今回の誤差は私があの時代に行った分の誤差しか発生していないのだ。
そのため、管理局上層部も彼女に一切お咎め無しの状態だ。
「まぁ、琴子は私の親友だから処分が無いにこした事はないんだけれども」
ふと、私の中で一つの事象が浮かび上がった。それは過去一度しか発見されていない、一つの現象…。
と、その時。
「沙希さん局長がお呼びです。」
管理局の職員が私を呼びに来た。
私は研究室を出て局長室に向かう。
「向井君、今回の調査ご苦労だった。」
「はい」
「それでだ…あの時代の扉が開かれた回数を見たのだが…ちょっとおかしな点があってね」
「おかしな点?」
「ああ、君たちがあの時代があの時代から帰ってきてから4年後、またあの扉が開かれるのだよ。」
「…それは・・・・・・どういう事でしょうか?」
「つまり、"あちら側"から誰かが扉を開く、つまり時間移動してくるのだよ」
「そんな…最初の時間移動がされたのはあの時代から数世紀後の事ではないですか」
「ああ、でももしかしたら…」
「今、候補に挙がっているのは3人ヒューバート・D・ガーネット氏とアレックス・M・アンソニー氏と伊原達郎氏の3人だ」
「3名共、歴史上の有名人だ。君も知ってるよな?」
「それでだ、君にそれを調査する為にまた過去へと飛んでもらう。幸いな事にこの三人は同じ大学に居るしな」
「わかりました。」
そうして、また私は過去へと行く事になった。


彼女が消えた後、僕はその場にうずくまり泣いた。
「絶対…絶対、逢いに行ってやるからな…」
と、その時
「・・・ん?」
うずくまって泣いているとふと何やらカードらしき物が落ちていた。
「これは…」
そのカードを手に取る。そのカードについているボタンを押してみた。
――ブゥン・・・
ボタンを押すと琴子の姿をしたホログラムが浮かび上がってきた。
『ミブンショウメイショ、モリワキコトコ、セイネンガッピセイレキ36××ネン9ガツ16ニチ、ケツエキガタABガタ、』
ホログラムの琴子が自分の情報を述べる。
恐らく彼女が落として行った物に間違いはなかった。
僕はそのカードを静かに自分のポケットにしまった。

・・・あれから3年の年月が経った
あれ以来、藻岩大樹が枯れる事は無く…もう写真も送られて来なくなった。
あれから僕は研究に拍車が掛った。
2度も大切な人を手放してしまった悲しみを研究に没頭する事によって紛らわすかの様に。
そう、あの日以来僕はまた研究に没頭した。
彼女が言っていた遺伝子というキーワードを頼りに遺伝子工学を徹底的に研究しつつ、時間移動に関係ある分野はすべて研究していた。
そして僕はその時間移動研究の副産物として在りとあらゆる発見をした。
エイズ特効薬、低温核融合理論、人類進化の解明、一般相対性理論の拡大解釈…数えれば切りが無い。
わずか3年で遺伝子科学・自然科学の頂点を極めた。
―何時もの様に朝早く研究室に入る為に研究棟に入ろうとした。
そこには1週間前からマスコミが殺到していた。
「伊原教授!」
「…」
「教授!今回最年少でノーベル賞を受賞したご感想は?」
「…」
「企業や各国有名大学からスカウトが殺到しているそうですが、移る気はあるのですか?」
「…」
「ノーベル賞の授賞式には何を着ていくおつもりですか?」
「授賞式には行きませんよ…」
「え?」
「時間が勿体無いので」
「あ、あの教授!教授の開発した、エイズウイルスの特効薬や癌の特効薬で莫大な特許料を得ていますよね?」
「…」
「今回、研究の特許料で世界長者番付の86位にランクインしましたが?感想は?」
「時間が無いのでこれで失礼します」
「あっ!教授」
入り口の外でマスコミに揉みクチャにされた僕を同僚のアレックスが迎える。
「よう、鬼才伊原教授?眼鏡がズレてるぜ」
「あぁ。あー、そうだ。アレックス、あれ研究室の冷蔵庫に買って来てくれたか?」
「ああ、栄養ドリンクだな、買って来たぞ…ってお前少し無理し過ぎだぞ」
「時間が無いんでな」
「お前は何時もそう言うな…でも1週間の内6日液体系食事ってのは辞めろ。死ぬからマジで。あ、後睡眠は1週間に最低14時間以上取れよ」
「わかった。」
「世間じゃ君は今注目の的だぜ。最年少ノーベル賞受賞者にして、世界の億万長者。」
「そんなもんかね」
「羨ましいねー。将来を約束された男は。富、名声、栄誉その全てを手に入れた、欲しい物は全て手に入るだろ?」
「…そうでも無いさ」
「ああ、そうだな研究の結果か?」
「そうだ…だから、俺はまだ何一つとして欲しい物を手に入れてい無い」
「Why?なぜ?研究の結果ならすでに…」
「あれは部品に過ぎない!俺が欲しいのはこんな物じゃない!」
「時間移動何てできるわけないだろ!」
「はいはい、喧嘩はそこまで。伊原教授にアレックス助教授?」
そう言ってヒューバートが止めに入った。
彼はアレックスの従兄弟で此処で講師をしながら僕の研究の一部(主にエネルギー工学)を手伝ってもらっている。
「新しい研究員が来たから課紹介するぞ。」
そう言って横に居る新しい研究員らしき人に合図をする。
「向井沙希です」
「渡辺大介です。久しぶりだね、達郎君?」
「ん?大介じゃんか。お前なんで此処に?」
「留学したんだよ。僕も頑張ったからね。まぁ宜しく。達郎君?」

そうして新しい研究員を迎えてまた研究を始めた。
大介やもう一人の研究員は意外に使いやすく、研究はかなりはかどった。
そして、この頃長年(と言っても4年程だが)研究していた時間移動理論が後一歩で実用化できる段階ま出来ていた。
そして、その過程で僕は一つの発見をしていた。

"遺伝子面からの生物進化の解明と適応遺伝子の環境適応システムの発見"

それは時間移動に必要な「特殊な遺伝子を媒体とし時間軸を開く」時に必要な共鳴度数を調べる過程で偶然見つけた物だった。
そして、この技術を応用すれば自分を未来の環境に適応させる事もできる。
だが、今までの経験からその理論は発表しない方が良いと思い、そして大詰の段階でこれ以上論文を発表するのも面倒だったので、世間に公表する事は避ける事にした。
その頃、後一歩で研究が完成しそうな頃から時間に余裕を持てる様になっていた。

―ちょうど昼時珍しくアレックスが食事に誘ってきた。
「おい、達郎飯食いに行こうぜ」
「ん?ああ、たまには良いかもな」
「というか、お前この大学のカフェ使った事あるか?」
「・…無いな」
「全く、この研究馬鹿は」
「栄養ドリンクで済ますか…」
「いや、今日はちょっと相談毎が在って…」
「相談?」
「ああ、ちょっとね」
カフェに着き、一通り食べ終わった後に彼は切り出した。
「研究員の向井沙希さんって居るだろ?」
「・・・誰?」
「1ヶ月前から居るだろうが!お前も優秀だって言ってただろうが。」
「ああ、それで?」
「どうやら、俺あの人の事好きになったみたいで」
「ほう〜」
「どうしたら良いか、わかんなくって」
「当って砕けろ。じゃぁ、研究室に戻るぞ」
「おい、真面目に聞いてくれよ」
「ああ、悪い悪い」
「わかった、後でそれとなく本人に聞いて観るよ」
「ありがとう。恩に着るよ」
「ああ、そうだ、ちょっと用事頼まれてくれないか?」
「ああわかった。」
彼に用事を頼んで俺は研究室に戻った。
研究室に入るとさっき話していた研究員の沙希さんが深刻な顔でこちらを見つめていた。
「あの、教授。お話が在るのですが」
「何でしょう?」
「教授は…何の研究をしてるのですか?」
「自然科学、遺伝子工学、平面幾何学、哲学、物理学、一般相対性理論、特殊相対性理論と色々だよ?」
「何で、そんな多岐の分野に渡る研究を?」
「部品が必要なんでね。」
「部品?何の部品ですか?」
「…」
「時間移動…理論?」
「…そうだ、よくわかったね」
「…何故、彼方はそこまでして時を越え様とするのです?」
「…言っても信じてくれ無いよ」
「信じます」
「…大切な人をね、待たせてるんだよ。」
「大切な…人」
「そう、琴子って言うんだけどね…ちょうどもう、僕もあの時の琴子に追い着くかな。」
「今の学者の多くは時を越える事は不可能だと言う。でもそれは違う。ハッキリと言えるんだ。」
「君は信じてくれるかどうかわかりませんが、僕はこの目で未来から来た女の子を見た。そして、彼女に恋をした。」
「・・・」
「私は・・・俺は琴子に逢うために研究に没頭した・・・そして、後一歩でその研究も完成する。」
「っと、今の話は忘れてくれ。君に話してもしょうが無い事だしね」
ふと僕はポケットにしまってあるあのカードを見た…。
「教授。」
「まだ何か?」
「その女の子は、きっと待ってますよ」
「そうかな?」
「そうですよ…」
「…処で沙希君」
「何ですか?」
ニヤニヤしながら聞いて観る。
「君、アレックスの事どう思ってる?」
「え゙?」
突然、全く違う事を聞かれ彼女は焦って居る様だ。
「え、えと、それは?え?」
「イキナリ全く違う話題を振られて焦った?」
「いえ。」
「で、どう思ってる?」
「好きですよ?」
開き直ったように彼女は言った。
「そうか、彼も君の事が好きだそうだ。今日さっき相談された。」
「でも、好きになったら、いけないんですよ」
「何故?」
「交わってはいけない2本の平行線だから」
「え?」
それはあの時、琴子が言っていた台詞にそっくりだった。
「それはどういう…」
彼女に聞きかけた時、頼んだ物を持ってきたアレックスが入ってきた。
「達郎、持って来たぞ…あ、沙希さん」
「アレックス助教授?」
「あー、アレックス俺は今日は帰るな…睡眠不足で眠い」
「え゙?お、おい達郎」
「じゃぁ、沙希さん、アレックス後は頼んだ」
俺は気を利かせて研究室を後にした。

自宅に着くと僕はシャワーを浴びてスッキリした後にベットに潜り込んだ。
よく見ると、家の棚には服と食器が少しと、莫大な数のCD以外には何も無い。
それはそうだ、この家に戻る事自体が少ないし…。
お金が幾ら貯まろう共、何も必要以上に使う気にはなれない。研究が今何よりも大切なのだ。一刻も早く彼女に逢いたい。その気持ちだけで僕はこの5年間…周りの何もかもを無視して研究に没頭してきた。
――ふと、カードを見つめる。
ボタンを押すと琴子のホログラムが現れる。
「琴子・・・もうすぐだ・・・もうすぐ・・・君に逢える」


人は私を鬼才と言った。
人は私が欲しい物を全て手に入れたと言った。
しかしそれは違う。
私は今一つとして…私は望むたった一つの物を手に入れては居ない。
たった一つしか望んでは居ないと言うのにだ。

僕は涙を流しつつ眠りの彼方へと吸い込まれて行った。


[No.40] 2005/10/23(Sun) 10:46:50
Re: 時を越える想い〜第五話〜: (No.40への返信 / 6階層) - 最果ての 脈動する 中心核

第5話

僕は研究員の新規登録をする為に大学の事務室に来ていた。
「これ、お願いします。」
「はい、少々お待ちください…」

……
それにしても、向井沙希…何処かで聞いたことのある名前なんだけどなぁ…。
向井…沙希…?
「んーー…」
山王学園か?
あれ?ちょっと待てよ?…確か琴子と一緒に来ていた未来からの来訪者も向井…。
「あ…。」
「あの、教授」
「え?何ですか?終わりましたか?」
「それがですね…あの、ちょっと言い辛いのですが」
「はい?」
「約一名、登録されてないんですよ」
「え?」
「もしかして、向井さんですか?」
「ええ、もう一度コードナンバーを確認して来てもらえませんか?」
やっぱりそうか、じゃぁ彼女は未来から?でもどうして…。
「…わかりました。」
僕は研究室に戻ると机の引き出しから研究員の名簿を取り出した。
その中からヒューバートから渡された向井沙希のファイルを取り出す。
氏名:向井沙希
コードナンバー:75-7915-753-4
出身大学:華ノ音女子大学
生年月日:198×年○月△日
住所:アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン市○○××△△
本籍:攪郭市○××△

僕はその情報を確かめた。
その結果、現住所以外の情報は全くのデタラメである事がわかった。
僕は研究資料の中から直近1ヶ月の環境調査書を山済みになっている書類の山から引きずり出した。
五大湖水質汚濁調査…ボストン市大気中酸素濃度調査…突然変異による環境異常調査…

・・・・・・
―ボストン市郊外の巨大樹突然状態異常報告書
これだ!
その中に入っている写真を取り出す。
2ヶ月前と1ヶ月前の同じ木が写っていた。
一枚目は鬱蒼と緑を茂らせている・
2枚目には突然枯れたとしか言い様のない枯れた木が写っていた
周辺住民の証言によればある日の夜突然木の周辺が光って翌日見に行くと木が枯れていた、と記されていた。
「伊原教授…」
後ろからいきなり声をかけられる。とっさに俺は書類を隠した。
其処には向井沙希が立っていた。
「向井君。君のデータを調べさせてもらった。」
「…そうですか」
「君のデータは現住所の除いて全部デタラメだった。」
「・・・はい」
「此処に僕は二つの想像をしている一つは君が企業、または他大学のスパイである。そしてもう一つは…」
「・・・未来からの来訪者」
「−4年前に教育実習生として琴子と山王学園へ来た向井沙希だな?」
「そうです…」
昼の研究室を静寂が支配する。
僕は静かに口を開いた。
「琴子は…元気か?」
「あの時のままよ。私が此処へ来たのはあの時間旅行から3ヵ月後なんですもの。」
「そうか…」
「教授…いえ、伊原さん。実際の処はどう何です?」
「何が?」
「時間移動…」
「後一歩の処まできているパーセントで表すならば98,98%は完成している。時間移動以外の問題も…途中の研究の応用で何とかなる…」
僕はサネカズラの鉢植を見ながら言った。
「もうすぐで…再会だ」
「そうですか…」
「あぁ」
「今日…私は帰ります。それで教授に頼みがあります。」
「何ですか?」
「もし…もしアレックスさんが此処へ着たら伝えてください。夜、枯木で待っている…と」
「わかった…」
そう僕が答えるのを聞いた後彼女は研究室を静かに出て行った。
もう太陽が沈み欠け様としている時刻、アレックスが栄養ドリンクその他食料を大量に抱えて研究室に入ってきた。
「とと、補給部隊到着。」
「部隊?」
「一人じゃ運べないので研究員の皆さんを総動員してみました」
「してみるな。大体何でそんなにたくさん」
「お前が研究室に引き篭ってるからだろうが!いくら洗濯シャワー完備だからってなぁ…家帰れ!研究馬鹿!」
「あー、もう少しなんだ。研究が完成するのが」
「お前は何時も…」
「アレックスちょっと真面目な話がある」
そう言ってアレックスをいきなり連れ出した。
「何だよ…」
「向井さんからの伝言だ今日の夜枯木で待ってるだそうだ」
「…ちょっと家帰っていいか」
「がんばれ♪」
彼は走って研究室を後にして行った。


―翌日
翌日彼は何時も来る時間に研究室には来なかった。
―何時もの様に夜遅くまで僕は研究室で研究に明け暮れていた。
そして一段落して外の風に当たろうと椅子から立った時
ガチャ・・・
静かに研究室のドアが開き誰かが入ってきた
それはアレックスだった。
「ど、どうした?」
「…お前もか?」
「え?」
「もしかして、お前も見たのか?」
「どうした?」
「見たんだな。」
「おい・・どうし・・・」
「おかしいと思ったんだ。お前がここまであの研究に没頭するなんて…普通の科学者の好奇心でないものを俺は感じていたよ」
「おいアレックス」
「お前も大切な人を追かける為に?」
「何でそれを?」
「やっぱりそうか…森脇…琴子か?その想い人ってのは」
「!?」
急に突拍子のない事を言い始めたアレックスに驚きを隠せない。
僕は思考を廻らせた。
コイツがこの事を知っているはずがない。
誰かに聞いたのだろう、一体誰に?
すぐにそれは一つの線で繋がった。
「向井さんはどうした?」
「帰った」
「何処に?」
「わかるだろう」
重い静寂が研究室を包む。
その静寂を破り僕が話をする。
「5年前俺が山王学園の学生だった頃の話だ」
僕はその恋物語をアレックスに話した。
山王学園での恋…そして別れ
決意…再会
そして2度目の別れ、そのとき彼女に託した約束…
「それが今までお前を突き動かしてたんだな」
「あぁ、約束を二つの花『サネカズラ』と『紫色のチューリップ』に託してそれとこのカードだけを頼りにして此処までやってきた。」
「お前は凄いな、この気持ちを5年間も持ち続けて耐えて来たんだから」
「そうでもないさ」
「後どれ位で完成するんだ?その理論は」
「理論自体はもう完成している、マシンができるのは1年位だ」
「そうか…」
「お互い目的が同じになったわけだ…逢いに行ってやろうじゃないかよ!最愛の人によ?」
「あぁ」


[No.41] 2005/10/23(Sun) 19:29:33
Re: 時を越える想い〜第六話〜: (No.41への返信 / 7階層) - 最果ての 脈動する 中心核

第6話

あの樹がある施設から家に戻った私はゆっくりとその花を見つめた。

『これが俺の意思だ。約束だ』

そう言って彼が私に渡した二つの花…。
一つは紫色のチューリップ、そしてもう一つはサネカズラ。
チューリップの花言葉は…不滅の愛
そして、サネカズラの花言葉は…
「再来…」
私は泣いた。私が彼と関わったばかりに…彼は…達郎君は恐らく研究に没頭するだろう…。
私に会う為に…。
「あの時…1年後に逢いに行ってなければ…」
達郎君は諦めてくれたかもしれない…でも…あの時私が逢いに行ったばかりに彼の思いを増幅させてしまった。
「もう、逢えないのに…」
私からは逢いに行く事はもうできない…。
「彼が此処に来る事はできないのに…」
時間移動技術が完成されるのはあの時代から数世紀後の事なのに…。
私はもう逢えないという切なさと彼の人生を駄目にしてしまったという悲しさで打ちひしがれた。
そして、その場に泣き崩れた。

あれから半年、私は自然再生プロジェクトの研究チームに選抜され研究に没頭していた。
あの達郎君と過ごした緑が忘れられなかったから…
それに、研究に没頭していればこの悲しい気持ちを紛らわす事ができるから。
そして、今日もいつもの様に研究室に入ると同僚が話しかけてきた。
「あっ、森脇さん。」
「どうしたの?皆集まって」
「過去からの訪問者が昨日この時代に到着したらしいんですよ」
「へぇ」
「知らないんですか?」
「最近研究ばかりでニュース取ってないから」
「琴子、あまり興味なさそうね」
「過去からの訪問者なんて珍しくないじゃない。特に今年は」
この一年は例年に比べてやけに過去からの訪問者が多かった事もあり私は無関心そうにそういった。
初めの内は期待していた。
もしかしたら…と。
しかし、この半年その期待は裏切られ続けていた。
一番時代の若い訪問者でさえ、公式発表では西暦25××年からなのだ。
だから、すでに私は諦めかけていたのだ。
「さ、そんな事言ってないで、実験始めるわよ?」
「はーい」



夕方の研究室…俺とアレックスの二人だけしかこの部屋には居ない。
そっと瓶から液体を注射器に入れる。
「じゃぁ、注射するぞ」
そう言って針をアレックスの腕に近づけた。
「おい、達郎、これ本当に大丈夫なんだろうな」
「理論上は大丈夫だ」
「理論上って」
―――プスッ
「おいっ!!」
「はい、終了―♪これで未来に行っても窒息死はしないぞ」
「…大丈夫なんだろうな」
「大丈夫だ。だから俺が先に注射しただろうが」
俺は自分の注射跡を見せながら言った
「それで…何時行く事にする?」
アレックスが表情を変えて聞いてくる。
「人の細胞が入れ替わるのが大体1ヶ月だから…1ヵ月後だな」
「一ヶ月か…短い様で長いな」
「あぁ、でもあの時はとても短く感じた」
「山王の時か?」
「あぁ…本当に今思うと一瞬の事の様だった…」
それはみどりと過ごしたあの一ヶ月…。
そして、再びこの時代に来た大人になったみどりとの一ヶ月。
本当に、今思えばほんの一瞬の出来事の様に感じる。
しかし、今でもあの一ヶ月の事は鮮明に思い出せる。
みどりと過ごしたあの一ヶ月の事ならばすべて…。
―彼女が数世紀かかると言った研究を僕は5年で完成させた。
それは時代の流れから見てみれば瞬きよりも遥かに短いであろう時間…。
しかし、僕はこの5年間は50年にも60年にも感じられた。
だが今はその5年の歳月よりもこれからの一ヶ月の方がずっと長く感じる。
「一ヶ月か…本当に短い様で…長いな」






何時もの様に一通り調査を終えて私が家に帰ろうと研究棟を出た。
と、その時同じ研究員仲間の友達が話しかけてきた。
「琴子〜。」
「何?」
「何って、行かないの?琴子は」
「行かないのって、何処に?」
「知らないの?来るのよ」
「誰が?」
「過去からの訪問者がよ!」
「だって、過去からの訪問者自体はそう珍しい事じゃないじゃない」
「そうなんだけどっ。今回のは違うのよ」
「何が?」
「歴史上の有名な科学者なのよ。」
「誰?アレクサンダー・ハーデゲン?」
「違うわよ!いいボケしてるわね実在の人物でもないし」
「じゃぁ…アインシュタイン?」
「アンタさぁ…ワザとボケてる?」
「むーー」
「全く…研究熱心な琴子なら真っ先に駆けつける人よ」
「え?モリアーティー教授?」
「…アンタ、その人来たら駆けつけるわけ?違うわよ歴史上の自然科学の権威の科学者なのよ?その人は…って何でクイズ形式になってんのかしら?」
「んー。?」
「ファイ教授は先週来たでしょうか!大きなニュースになってたのに知らないの?まったく、違うわよ!」
「じゃぁ、誰?アレックス・M・アンソニー?」
「伊原教授よ伊原達郎!」
「え?伊原…達郎?」
伊原…達郎?
「そうよ!伊原教授!教科書に載ってるでしょ?最年少ノーベル賞受賞者の自然科学の権威!彼の研究室が燃えた直後に失踪してその大量の未発表論文が無くなった人。その論文のかなでも遺伝子の鍵についての論文が今問題になってるのよ」
心臓の鼓動が早くなった。
確かに教科書に載っていた気がする…。
「それでその人がいた年代って…」
「確か21世紀だったと思うわよ」
「・・・・」
「ヒューバートの手記ってあるでしょ。時空移動理論の開祖って言われてる。あの論文は燃えた彼の論文の一部から組み立て直して書いたらしいわよ。確か4:00に到着って聞いたから。あと、10分も無いわ…って琴子!?」
「行こう!速く!車乗って」
私は友人を自分の車に押し込むとその藻岩大樹が収容されている研究所へと車を急発進させた。
「琴子どうしたの?急に」
間違いない。来るのは…達郎君だ!






――マサチューセッツ工科大学第3研究棟
私は久しぶりに彼を酒にでも誘おうと彼の研究室に向かった。
彼が研究の手助けをしてくれた低音核融合理論のおかげで私は教授になる事ができた。
そして、教授になった後忙しくて特に礼もしていないのでその礼も兼ねてだった。
久しぶりにアレックスも誘ってみようと思う。
「…?何か焦げ臭いな」
そう思いながら彼の研究室に向かう。
と、彼の研究室の近くまで来た時。

――ドン!!

「!!」

すく其処の彼の研究室から爆発音が聞こえた。
私はすぐにその音の元に向かう。其処には…
「こ、これは…!?」
ドアの向こうの彼の研究室が燃えていた。
「伊原!」
僕が部屋に入ろうとした時はすでに手遅れだった。
次の瞬間2度目の大きな爆発が起きて私は廊下の端まで吹き飛ばされた。
慌ててその研究棟から逃げ出す。

―研究棟は半分近く燃えたところで消し止められた。
火元は当然彼の研究室からだった。
私の隣では研究員の人が呆然とそれを見ていた。
彼らの話によると伊原教授もアレックスも火災の1時間前にフラッと大きいアタッシュケースを何個も抱えながら大学を出て行ったそうだ。

その夜、私は不思議に思い彼の家を訪ねた。

―ピンポーン

反応が無い

ピンポンピンポーン

全く反応が無い。
ふと、ドアノブに手を回してみる。

ガチャ――

ドアには鍵が掛かっていなかった。
不審に思いつつも私は部屋の中に入る。
部屋の中に入ると壊れたCDやシュレッダーに掛けられてご丁寧に水まで掛けられている論文だったらしき物が散乱していた。
パソコンは本体が壊されている。
「泥棒でも入ったのか?」
そう言いつつ部屋を見回す。
すると、机の上に一枚の手紙らしき紙が乗っていた。


“誰かがこの手紙を見つける頃恐らく私はこの時代には居ないだろう。

――わずか5年の研究で時間の流れの定理について驚くべき発見をした。

しかし残念な事にその発見はあまりにも大きすぎて此処に書く余白が無い。

何時もであれば私は新しく余白を作ってでも書く事であろう。

しかし、この技術を使うには人類はまだ早すぎる。

技術こそ間に合うかもしれないが、人類はまだその“精神年齢”がこれを使うに耐えうる時に達していない。

今だ、「核」ですら使いこなせていない人類がこれを使ったらどうなるか、それは私を想像させるに容易い。

しかし、此処に3つのヒントだけを記載しよう。

それは2分の1の頂点

・ダイヤモンド

・流れには向かう船

・淡い光

私は旅立つ、この世界には恐らくもう戻らないだろう。

最後に、この先の人類の未来に幸多からん事を….

伊原達郎200×年9月15日午後5時38分




彼は教授が何を研究しているのかを知っていた。
始め何をしているのかと思っていた。
―教授は多岐に渡る分野で様々な功績を挙げていた。
今思えばそれらは全て統一性のある研究だったのだ。
その証拠にもう彼は此処には居ない。
そして、自らの研究が人類に害をなす事を悟り彼は自らあの自分の論文を闇に葬ったのだろう。
私はその手紙をそっと自分のポケットにしまうとその場を後にした。


[No.43] 2005/11/22(Tue) 00:28:07
Re: 時を越える想い〜第七話〜: (No.43への返信 / 8階層) - 最果ての 脈動する 中心核

第七話


秋の淡い夕日が僕を照らす中、大きいアタッシュケースを引きながら僕は校門の前で佇んだ。
「変わったな…山王も…。」
「あれからもう4年になるのか…。」
共学化が成功して以来、山王学園は校舎を本当に最新の設備に立替え、その緑豊かな環境を生かして進学校へと姿を急激に変えた。
あのボロイ旧校舎はもう無く、代わりに5階建てのガラス張りの校舎が森の中に立っている。温水プールや新講堂などの様々な設備も整えられ、あの頃の監獄の様な環境に比べればまさに月とスッポンの様に思える。
「でも…やっぱり森は変わっていない」
そう呟くと僕は森の中へと入って行った。
あの頃と同じ獣道が続く。
この足が向かう先には藻岩大樹…そして未来がある。
僕はその道を、この研究に満ちた4年間になぞらえる様に一歩一歩ゆっくりと歩んで行った。
思えば琴子と別れたその日から僕は、憑かれた様に研究に没頭した。
食事も満足に取らず、着替えもせず、周りから見ればその目には狂気じみた光が宿って居たであろう。
…研究は僕に様々な物をもたらした。



名誉

名声

栄誉…

今思えば他人が羨む物を僕は全て持って居たのかも知らない。
だがしかし、僕は逆に羨ましかった。

普通の恋人達が

普通に暮らす夫婦が…

――何時でも逢いたい人に逢える人々が――

僕は彼女に…琴子に…最愛の恋人に逢いたい、ただそれだけだったのだ。
だたそれだけの思いで此処まできた。
そしてやっと僕の唯一の望みが…叶うのだ。
今日やっと彼女に逢いに行けるのだ。

藻岩大樹は相変わらず緑を鬱蒼と茂らせている。
僕はアタッシュケースからタイムマシンの装置を取り出すと電源を入れた。
あとは全部自動で準備がなされる。
―準備が整いいよいよ起動する時が来た。
年号を琴子の住む時代へと設定する。
私が起動スイッチを押すと機械から高い音と共に光が照射され光は一転に集められ藻岩大樹へ。
「大丈夫だ…絶対成功する。」
次の瞬間、あの時の様に藻岩大樹がまばゆく光る。
そして扉が開かれた。
僕はその光の中へと身を沈める。
光の中に入ると周りの風景がゆっくりと早くなりだした。
手に持っている外の時間を知らせる特殊な時計も自分の腕時計の数倍の速さで時を刻んでいる。
太陽がもの凄い速さで回り昼と夜が1秒事に繰り返される。
やがて空は淡い青色に変わり太陽は線になった。
季節がまるでコマ送りの様に流れ出す。
やがてその季節もわからなくなってしまった。
そして時計を見ると1秒に数年の時が経つ位の速さになっている。
周りの風景は著しく変化をしている。
そう、この木の周りから森が…木々が消えてゆくのがハッキリと見えた。
緑のラインは少しずつ下がりそのラインの外…つまり藻岩大樹の周囲はまるで干ばつの時の様にひび割れた赤土が広がる。
そして時空時計が27世紀頃を指した時を境に辺りが真っ暗になってしまった。
僕はライトをつけて時空時計に目をやる。
目標の時代が段々と近づいてきた。
目標の時代が近づくにつれ時空時計の数字の進みが遅くなってゆく。
そして木の中に入ってから1時間程経った時強い衝撃と共に再び光に包まれた。

「ちょ、琴子?ちょっと速度出し過ぎでしょう!」
「そうしないと間に合わない!」
「ってぶつかるー!?」
同僚の指摘を無視してそのまま速度を上げる。
すでにそれは確信に変わっている。
達郎君がこの時代に来る。間違いない。
彼は、彼はタイムマシンを作り出したのだ!
最高速度(推定380`)を出していた事もありすぐに研究所が見えてくる。
――キキーーッ!
研究所の駐車場に派手にスリップしながら入ってゆく、そして入り口の目の前でちょうど止まった。
「むきゅー・・・」
助手席の同僚は完全にダウンしている。
しかし今の私にはそれをかまっている余裕は無い。
「ごめん」
一言言って施設の中には入って行った。
「うぅ、酷いわ…琴子・・・・ガクッ」
廊下を走れるだけの速さで駆け抜ける。
―達郎君
施設の奥に行く程に、あの木に近づく事に彼との記憶が溢れて来る。
――事故で一人あの時代へ放り出され現地のお兄さんに匿ってもらった一回目の時間旅行

―達郎君に逢いに行く為に志願した2回目の時間旅行

――達郎君への想いを諦められず対酸素抗体の被験者として再び赴いた3回目の時間旅行

それぞれの一ヶ月、全部で3ヶ月の彼との思い出が走馬灯の様に蘇ってくる。
息を切らしながら私は最後のあの木が格納されているエリアのドアにやっと辿り着いた。
ドアを開けるとすでに沢山の報道陣や研究員がその気の周りに集まっていた。
私はその人ごみを掻き分け木のすぐ近くまで行く。
『時空の歪みが観測されました20秒後に扉が開きます。』
放送室からアナウンスが流れた。
その直後木が少しづつ光だした。
「10」
「9」
「8」
「…4」
「2」
「1」
藻岩大樹があの時の様に眩しく光った。
施設を光が覆う。
―そして、しばらくして光が収まった
しかし其処には彼の姿はなく変わりに黒焦げになった大きめの鞄が一個あるだけだった。


衝撃の後何やら何かがこちらに向かって来る様な気配がした。
そして、眩しい光に体が捕まれその光の中から人影らしきものが浮かび上がってきた。
「・・・?」
その姿を凝視する。段々人物の像が見えてくる。
古臭い背広を着ており目の色は青色、片眼鏡をしていた。その容姿から恐らく18〜9世紀の人物のように思えた。
それよりも何故この普通なら在りえない空間に彼が居るのかがわからなかった。
その彼が僕に向かって話し掛けてきた。
「こんにちは、時の旅人」
「彼方は?」
「私は、元…時の管理人…元の名は…確かウェルズ・ハーデゲン…だったかな」
「時の管理人?」
「そう、何時の間にかそうなっていた。どれ位の時を旅したのかすら忘れてしまった。」
彼は続ける。
「私は彼方が羨ましい…」
「え?」
「私は…私も君と同じ様に時を超え愛する人の元に向かおうとした…私は過去に戻って彼女の死を止めようとした口だけどね。しかし時は私と彼女とを引き裂く事を決定していたらしい。何回やろうとも彼女は死んだ。…1000回やったら1000回の死に方をした。私が彼女を救う事は時間の事象に含まれていなかったらしい。時を歪める事も・・・できなかった。含まれているはずが無いのだ…彼女を救えば、私の作ったタイムマシンは誕生しない。」
「まさか…彼方も時を?」
「あぁ、君より数世紀前に…私は時を超える手段を手に入れた。」
「その点君は…初めから踏むまれた事象の中に居る」
「それは・・・どう言う」
「君がタイムマシンを作る事は初めから含まれた事象なんだ」
「!?」
「未来から来た女性と恋をし、彼女を追う為に君はタイムマシンを作る。そして、君が作ったタイムマシンの理論が未来に見つかり未来で使われる様になる。そして未来から彼女があの時代に…訪れる」
「本当に…親殺しの矛盾と全く正反対の事象が…君に起こったんだな」
「そして…私が君を救うという事も事象に含まれていた訳か…」
「?」
「さっきの衝撃…あれはいわゆる衝突事故でな・・・別の時間旅行者の流れにぶつかったんだよ」
「私が君を拾い出さなければ今頃…丸焦げだな君は」
「…」
「さて、長話もこれまでだ・・・」
「彼方はこれから…どうするのですか?」
「元の時代に帰るよ…やっと普通の人に戻れる」
そう言うと彼は次の瞬間には居なかった。
・・・ふと時計を見る。
時間は…本来辿り着くはずの時間を指している。
辺りを見回すとドーム上の様な所に居るのがわかった。
――うっ…ひっく…
「ん?」
―た…ろ・・君…な・・・で
後ろから誰かの声が聞こえてくる
その声は聞き覚えのある懐かしい声だった
「…琴子?」
俺はハッとして後ろを振り向いた。
其処にはうずくまって泣きじゃくる琴子が居た。足元には俺が自分の時代から持って来た鞄がまっ黒焦げになっている。
周りに人が居る様子はなく其処に居るのは琴子一人
「琴子!」
叫んだ。そして彼女に駆け寄ろうとする。
しかし、僕が彼女の元に行こうとした時何かが物理的に彼女の元に行くのを拒んだ。
声も聞こえてい無い…。
「達郎君…死んじゃったの…」
「琴子!俺は此処に居る!」
「やっぱり…時を超えるなんて事・・・不可能だったんだ」
「琴子・・・聞こえないのか!?俺は此処に居るんだ!」
俺が幾ら叫ぼうとも愛する人へ届いている様子は無い。
まるで分厚い防音ガラスに挟まれた様な感覚がする
「ん?ガラスに挟まれた?」
ふと、ある事に気づく。
僕は手に持っている時間制御装置を見た
―時間移動速度1,24倍―
そのあまりの間抜けさに呆れた。
この制御装置で移動を止めないと木の外へは出られないのだ。
「はは…我ながら良いボケしてるわ」
苦笑して一呼吸置く。
そして制御装置のボタンを押した。

扉が閉まった。
光が収まった後其処にあるのは一つの鞄のみ・・・人の姿は・・無い。
私はその放り出された鞄の元へと向かう…。
職員もただ呆然と放り出された鞄を見ているだけだった。
私は近くにあった冷却機で鞄の鍵の部分を冷やしその鞄を開けた。
中には酸素ボンベと数枚の封筒、そしてこの鞄の持ち主を示すであろう物が入っていた。
その荷物からその荷物の持ち主が達郎君である事がわかった。
恐らく彼は何だかの拍子に時間移動中に投げ出され…そして
私はその場に力なく座り込んだ…。
職員の一人が鞄を室内に持ち去る。
報道陣やその他の人々も興味はすでにその鞄へと移っていた。
その中・・一人の職員が私に声を掛ける。
「…あの…大丈夫?」
沙希だった。彼の夫のアレックスも一緒だ。
「少し・・・一人にして」
私は彼らにそう言った。彼らも私の気持ちを察してその場から立ち去ってくれた。
しばらく放心状態が続く。
頭では何が起こったかわかっている様でも感情として理解するには時間がかかった。
感情がそれを理解すると、まるで何かが壊れた様に一気に感情が私を襲ってきた。
「死んじゃったんだよね・・」
「…何で?」
「達郎君…」
私は信じてもいない神様を恨んだ。どうしてこれまでにも深い悲しみを与えるのかと。
やり場のない悲しみを何処に向ければいいのかわからずにうずくまって嗚咽を漏らす。
うずくまって泣く中目に明かりが差し込むがそれも全く反応する余裕が無かった。
しかし・・・、その感情は次の瞬間驚きへとさらにその次へは歓喜へと変わった。
「…琴子…何で泣いているんだ?」
誰かが私の肩を掴む。そしてそう聞いてきた。
「だって…達郎君」
「俺がどうした?」
「死んじゃったん…で…」
「・・・・・・・・・・・・・え?」
私は違和感を感じ顔を上げる。
「俺は生きているぞ」
其処には今さっき再開を諦めた人
「た…つろう・・・君」
そう
「達郎君なの?」
彼が
「あぁ…やっと逢えたな」
居た。
「ホントに?足付いてるよね?」
私は今の事態を飲み込めず彼に聞く。
「付いてるぞ…ついでに夢でもないぞ…ほら」
そういうと彼は私の頬をつねる
「え?あわ…たふほふんいはいいはい」
「本当に長かったよ…4年かかった。だから・・・お前と同い年なのかな?」
そう言って私に笑いかける、その瞬間私の感情はやっとその今の状況を理解する。
「たっ・・・ろう・・・君」
私は泣きながら彼に思い切り抱きついた。力の限り思い切り。
「おいおい琴子…泣くなよ」
「だって、だってぇ」
ついさっきとは全く違う、喜びで涙が流れた…。
「逢いたかったよぅ」
私は彼の胸に顔をうずくめたまま喋る。
「おう、だから俺頑張って逢いに来たんだぞ…」
「私があの時代から帰ってきてから4年後の達郎君?」
「そうだな…」
「じゃぁ私と同い年になるんだね」
「あぁ」
誰も居ない施設の中…しばらく私はそのままの姿勢で彼に抱きついていた。
ふと彼が私に話しかけてくる。
「琴子」
「なぁに?達郎君」
「あの時渡した二つの花の意味…わかったか?」
「うん…紫色のチューリップとサネカズラだよね?」
「あぁサネカズラの花言葉は再会…」
「達郎君約束守ってこの時代に来てくれたもんね」
「あぁ、そしてもう一つのチューリップの花言葉は」
「…不滅の愛」
「達郎君?」
「琴子…もう絶対離さないからな」
「私もぜっっっったい離さないもん。達郎君がなんと言おうとも」
「これからはずっと…一緒だ」
「うん」


[No.44] 2005/11/22(Tue) 01:32:26
Re: 時を越える想い〜エピローグ〜: (No.44への返信 / 9階層) - 最果ての 脈動する 中心核


読者の皆さん久しぶりです、私は他の仕事も忙しくこの原稿をちょくちょく見せる事もできない日頃であったが、コレは今日で終わりを告げる、前回はコメントを何も入れはしなかった。
何故かは察して欲しいと言う事とただ純粋にこの回にはコメントなどいらないと思った時は入れてはいない。
さて前回は色んな人物の思考が見られた事だろう。
どういう結末を迎えるのか是非見て頂きたい、私もこの作品はもう少し焦らせば・・・と思ったがそんな事をしても面白く無いので止めにした、ではごゆるりとご覧あれ。

エピローグ

時空移動研究所跡地―藻岩記念樹公園


「パパー、はーやーく!」
「そうよー達郎ー早く来なさ〜〜い♪」
小学生位の女の子と母親らしき女性が丘の下の父親らしき人に手を振っている。
「みどり…琴子…ちょっと待ってくれ…」
達郎と呼ばれたその父親が息を切らせて上ってきた。
「パパだらしないよ!」
「だらしないって…みどり。ジェットコースターに50回も乗せられたらばてるだろう?普通」
「でも私とママは平気だよ?」
「そうよー?達郎がへタレなのよ」
「そうよー、へタレパパ」
「うぅ…二人でパパを苛める」
「でもママー此処緑が一杯で気持ちいねー」
「緑が一杯は良いけどみどりが一杯は嫌だな」
「達郎君…それ寒いよ」
「そう言えばみどり、お前学校でボーイフレンドとか居るのか?」
「居るよーたっくさん」
「何!?」
「だって男の子の友達でしょ?」
「うーん」
「パパ大変ですな」
「何か今思うとあの時お前が言った様な生活になってるなぁー」
「クスクス、そうね。可愛いみどりちゃんは学校でボーイフレンドが一杯。どうする?達郎パパ?」
「むー…」
「パパーママー見てー」
「ん?」
「みどりどうしたの?」
「ビンが落ちてる」
みどりはそのビンを掘り出して渡してきた。
「中に何か入ってるな」
そのビンから紙を取り出し広げる。

拝啓伊原達郎殿
達郎、ヒューバートだ。この手紙がお前の元に着くかどうかはわからない。だが多分着く様な気がする。
達郎、お前が消えた後こっちは大変だったんだぞ?お前が俺宛に財産相続の事とか書いてくれてたは良いけど全部俺に任せるって…おい!しばらく俺が殺したんじゃないかって事まで出てFBIに尋問されたぞ!?
面倒だから全部お前の担任だったって言うあゆみって人の団体に寄付しといたぞ?めんどくさいから。
お前の部屋の手紙見てお前の意思はわかった。
だからってお前研究室ごと燃やすな研究室ごと!
それに遺産相続ええ加減すぎだこら!
全く、お前が自分の論文処分したせいで今世紀の科学技術は50年遅れるとか言われてるぞ。
マスコミは騒いで俺の所に来るし…。まぁお前の論文を元に色々論文発表して俺も教授になる事ができた…。とりあえず感謝するぞ。
…さて、お前は幸せか?そっちの世界で恋する人と幸せに暮らせて居るか?
子供はできたか?
お前と一緒に俺の従兄弟のアレックスも居なくなったけどアイツも其処に今居るのか?
お前らが時を超えてまで結ばれたがった相手の顔を見てみたいよ。
それじゃぁな。幸せにな

                       ヒューバート

「何か、かなり怒ってるね」
「やっぱりちょっと手荒すぎたかな…?」
「まぁ俺にはもう関係無いし」
「無責任ねパパ」
「あは・・・あはははは」
「さてそろそろ戻るぞ、由美、みどり」
「「はーい」」


[No.45] 2005/11/22(Tue) 01:36:57
Re: 時を越える想い〜あとがき〜: (No.45への返信 / 10階層) - 最果ての 脈動する 中心核

あとがき
初めまして、執筆者です。
さて、この物語長く続いた?訳だが如何だっただろうか?通常の話の手法を探って、達郎一人だけに中心を絞り書いた方がバランス良くまとまったかもしれないが・・・・・・「そんな物は恐らくつまらないだろう、ならばヒロイン視点を少し入れてやろう」と、そう思って書いただが間違いだったようだ。
まさか執筆がこんなに大変とは・・・・・・・こんなに下手な作品になってしまうとは・・・・・・・・今回これを書いたおかげで私はよりレベルが上がったと思われる。
あまりに代わりの作品とはいえ構成に長い時間を要してしまい、執筆中に様々な事が私に降り掛かってた。
学校関係では、バンドの結成,生徒会のお手伝い,部活でキャプテンとしての士気上げ、さらにはもうそろそろ私の高校内で行われる球技大会スタッフの会議。とほほ・・・・・・・・・・。
プライベートでは、彼女との時間が取れなくストレスが溜まり,肝臓の数値があまり宜しくない事が解ったり・・・・・描けない様な事件も起こったが、生まれてこの方変な事件には慣れているので問題は無い。親が親だからな〜・・・・・・・・・・はぁ。
精神的疲労で先週40kg台に突入し、鍼灸師である母から「このままいけば死」の宣告を受けたが結果的に全て善しで前より元気ハツラツ、全財産は50万円(貯金通帳を諸々入れて)一つ解るのは「また作品が近い内できる」のと、「もうこんなペースで作品を投稿しない」のと「彼女に早く起きてもらってうまい飯が食いたい!」と言う事だけだ。
この様に私は何分忙しい故に、そんなに著す事はできないと思われるが、この作品を読んでくれた皆様、誠にありがとうございます、読者の皆様が大人になっても(大人の方も居るかもしれませんが)恥る事無く読み返せる物になっている事を節に願うばかりであります。
できればこれからも応援してくれる事と感想等を頂ければ光栄です。
今回、投稿させて頂いたサイトの管理人であるねぎ様,この作品を読んで下さった皆様に心から感謝します。最後にこれを最後まで読んでくれた方々とねぎ様に幸あらんことを・・・・


[No.46] 2005/11/22(Tue) 01:43:12
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