[ リストに戻る ]
No.517に関するツリー

   新作 - あーまん - 2007/09/24(Mon) 08:28:15 [No.517]
約束 プロローグ - あーまん - 2007/09/24(Mon) 08:32:37 [No.518]
約束 第1話「出会い」 - あーまん - 2007/09/24(Mon) 08:36:39 [No.519]
約束 第2話「過去」 - あーまん - 2007/09/24(Mon) 15:24:14 [No.520]
約束 第3話「第3話「IN THE 真中」」 - あーまん - 2007/09/25(Tue) 02:19:54 [No.524]
約束 第4話「思いがけないプレゼント」 - あーまん - 2007/09/27(Thu) 02:15:31 [No.525]
約束 第5話「思わぬ再開」 - あーまん - 2007/10/06(Sat) 01:41:42 [No.537]
約束 第6話「お礼」 - あーまん - 2007/10/09(Tue) 03:16:58 [No.543]
約束 第7話「説得」 - あーまん - 2007/10/09(Tue) 16:34:45 [No.544]
約束 第8話「二人の勉強会」 - あーまん - 2007/10/22(Mon) 01:30:37 [No.573]
約束 第9話「大草の尾行」 - あーまん - 2007/11/12(Mon) 17:52:09 [No.621]
約束 第10話「淳平の気持ち」 - あーまん - 2007/11/25(Sun) 21:29:32 [No.641]
約束 第11話「焦る気持ち」 - あーまん - 2007/12/14(Fri) 22:06:57 [No.708]
約束 第12話「変化」 - あーまん - 2008/03/16(Sun) 00:17:44 [No.916]



並べ替え: [ ツリー順に表示 | 投稿順に表示 ]
新作 (親記事) - あーまん

突然、頭の中に新作が浮かんだので、書いてみました。

今の状況からUPするのは止めようと思っていたのですがUPします。

しかし、メインは「君だけを・・・」と「二つの心」なので、この作品の更新はとてつもなく遅くなると思います。

というよりも、みなさんの感想を見ながら書いていこうと思っていますので、途中打ち切りも考えています。

ご理解のほど宜しくお願いします。


[No.517] 2007/09/24(Mon) 08:28:15
約束 プロローグ (No.517への返信 / 1階層) - あーまん

ある昼下がりの午後、二人の夫婦が仲良く買い物をしていた。

「ねぇ、あなた、もうすぐ淳平の誕生日だよね?? 何買ってあげれば喜ぶかな?」

「うーん、そうだなぁ〜 ・・・・」

そうして、青になった、横断歩道を歩いていると、大型トラックが突っ込んできた・・・

二人の体が、宙に舞った・・・・・・・







ガラ!!!!

病室のドアが勢いよく開いた。

「父さん!!!! 母さん!!!!!!」

少年は、急いで二人のもとに駆け寄った。 が、しかし、二人の顔には白い布が覆い被さっていた。

「残念ながら、ご両親はひき逃げに遭い・・・ 即死でした・・・・」

「父さん・・・母さん・・・・嘘だろ・・・・・うわぁぁ!!!!!!!!!!!」


少年はただ、泣いているだけだった・・・・・・・ 


まだ、明るい午後の事だった・・・・


[No.518] 2007/09/24(Mon) 08:32:37
約束 第1話「出会い」 (No.518への返信 / 2階層) - あーまん

第1話「出会い」




キーンコーンカーンコーン・・・・・ 授業が終わりを告げる鐘がなった。

1人の美少女が具合悪そうに机にうなだれていた。

「ちょっと、つかさ〜 あんた体大丈夫なの??」

親友のトモコが心配そうにつかさに声を声をかけてきた。

「う〜ん・・・大丈夫だよ♪」

少女の名前は西野つかさ、街を歩けば誰でも振り返るそこら辺のアイドルより可愛い女の子である。

つかさは、あまり心配をかけたくなかったので、出来る限り声を明るく言った。

そうは言った物の誰でも見ればつかさが体調が悪いのは一目で分かった。

「つかさ、そんな強がらなくていいから今日は早く帰りな!」

本気で心配してくれている。

(トモコと親友で良かった〜)

そう思いながら

「そうだね・・・じゃあ、今日は先に帰らしてもらうね・・・」

と、言って教室を出た。

その途中

「西野〜 一緒に帰ろうぜ??」

と、ある男に声をかけられたが、、

「うん・・・でも、今日は1人で帰る、ごめんね??」

と、言い断ってしまった。

男の名前は大草、学年1かっこいい男の子、運動も勉強も出来る、完璧な人だった。 この二人は別に付き合っている訳ではなかったが、仲が良いので周りからは付き合ってるように見られている。

ただ、どうも大草はつかさの事が好きなようである。

大草は、とてもがっかりした様子で、つかさを目線で追っていた・・・・



そして、帰り道・・・

「ちょっと、キツイかも・・・・」

やはり、相当体調が悪いようだ。

どうにもこうにも、真っ直ぐ歩くことが出来ない上、頭がクラクラする。


バサ・・・・


そして、ついにその場で倒れてしまった。

意識が朦朧とする。

そして、つかさは意識は暗闇に落ちていった・・・・




「おい!!君!!大丈夫か!?」

つかさを倒れているのを見つけた男の人がいた。

「困ったな・・・・ この辺に病院どこにあるか分からないし・・・ 電話もまだ繋いでないし・・・・ とりあえず・・」

そう言って、つかさをおんぶして、自分の家に連れて行った。

その男は、家に着くなり、

「寝てるのか・・・ しかも凄い汗だな・・・ それにおでこが熱い!! とりあえず、着替えさせよう・・・」

男は、少し抵抗があったが、出来るだけ見ないようにし、つかさの着ている制服を脱がせ、自分のスウェットを着させた。 

そして、つかさを布団の中に入れ、部屋を暖かくしてやった。

男は

「ふぅ〜」

とため息をつき、

「とりあえず、家族に連絡しなきゃな。」

そして、つかさのバックから携帯を取り出し、家に電話したが、誰も出なかった。 両親の携帯にも連絡を入れてみたがやはり出なかった。

「出ないな・・・・ まぁ、また後でかけてみよう。」

「汗びっしょりになってるな・・・制服・・・ 明日も使うだろうし、洗濯しといてやるか・・・」

そう言いながら、男は制服を持って洗濯しに行った。

そして、1時間後・・・ つかさが目を覚ました。

「うぅ〜ん・・・あれ?ここ何処だろう?? あたし確か途中で・・・」

つかさは、倒れた時からの事を覚えて無かった。 

それはそうだ、意識が無かったのだから・・・・

そして、洗濯が終わり男が戻ってきた。

「あ!! 起きた??」

つかさは、声がする方へ目を向ける・・・・

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

つかさは、びっくりして、叫び声を挙げてしまった。

男は慌てて、

「そんな、叫ぶなって・・・ 大丈夫、襲ったりしないから、それにまだ寝て方がいいよ? 君、かなり熱出してるから。」

男は続けて

「はい、これホットミルク。 温まるから飲んで!」

そうして、ホットミルクをまだ状況を理解出来ていないつかさに渡して、

「ちょっと、話そうか??」

と、言って話を始めた。

「自己紹介がまだだったね。 俺は真中淳平って言うんだ。 で、君が何故ここいるかというと、たまたま君が俺の家の前で、倒れていたからなんだ、とりあえず、すごい汗だったから、着替えさせて、寝かせていたって訳。」

つかさはさらにびっくりして、赤くなり

「着替えさせた・・・・」

自分が着ているスウェットを見ながら反応する、どうしようもない恥ずかしさが込み上げてくる・・・・・

思わず、両手で顔を隠してしまった。

「ごめんね。抵抗が、あったんだけど、さすがに汗まみれじゃいけないからさ・・・出来るだけ見ないようにしたから・・ でも、それでも嫌だよね??」

淳平は申し訳なさそうに言った。 

つかさは、とてつもない恥ずかしさはあったものの、淳平の行為にはとても感謝するべきことなので

「いえ・・・大丈夫です・・・ こちらこそ助けて頂いて・・・」

お礼の言葉を言った。

「ホント?良かった〜  そんなそんなかしこまるなって! 当然の事をしたまでだよ。」

淳平は笑顔で言っていた。 

そんな淳平につかさは感動を覚えた。

(普通、見知らぬ人のことをここまでよくしてくれないよね・・・)

つかさは、それだけで淳平は悪い人では無い・・むしろ良い人だと分かった。

「そういえば、家、まだ電話通してなくてさ、さっき悪いとは思ったんだけど携帯勝手に借りて、親に連絡しようと思ったんだけど、繋がらなくて・・・・ どこかに行ってるの??」

つかさは、はっとした。

(そうだ・・・今日、親居ないんだ・・・)

「お・・親は・・・今、二人で海外旅行に行ってて・・・・帰ってくるのは明日なんです・・・」

それを聞いた淳平は困ってしまった。

「う〜ん・・・ 海外か〜 だから、電話が繋がらなかったのか・・・ 送って行っても、こんな高熱の子を1人にする訳にもいかないし・・・・」

淳平は悩んでいるようだ。 

(そんな迷惑かけるわけにはいかないよ!)

と思いながら、遠慮するつかさ。

「大丈夫です。 1人でも大丈夫ですよ!!」

遠慮するものの、淳平は真面目な顔になり、

「ダメ!! そんな高熱の子をほっておける訳ないじゃないか!! じゃあ、今日はここにいな?? もう時間的にも遅いし・・・・」

つかさは戸惑ったが、動くのがだるかったのもあるが、何より淳平の優しさがとてもありがたかった。

そして何より、心のどこかで、淳平の事をもっと知りたいと思っている自分がいた。

「じゃあ・・・すみませんがお世話になります。」

そう言って、申し訳なさそうにお辞儀した。

淳平は笑顔で

「よろしい! 初めからそう言えばいいんだよ。」

そう言いながら台所へ行き、何やら皿を持ってきた。

「おかゆ作ったから食べて!」

(おかゆも作っといてくれたの!?)

素直に驚いた。

(どこまで親切なのこの人・・・)

この時、つかさの中に不安は少しも無くなっていた。

「ありがとうございます・・・・おいしい!!」 

淳平は笑顔になり、そして喜んでいた。

「そっか、お口に合って良かった♪ 俺、料理下手だからなぁ〜 今、勉強てるんだけどね。」  

「てか、ちょっと買い物行って来ていいかな?? すぐ買ってくるからおかゆ食べながら待ってて!」

「はい・・・大丈夫です・・」

そう言うと淳平は外に出て行った。


[No.519] 2007/09/24(Mon) 08:36:39
約束 第2話「過去」 (No.519への返信 / 3階層) - あーまん

第2話「過去」




つかさは、頭の中で淳平の事がぐるぐる回っていた。

(どうして、見ず知らずの人にここまで優しく出来るんだろう・・・・)

おかゆを食べながらそう思っていた。

今まで出会った人の中でここまで優しい性格の人は居ない。

そうしていうるうちに淳平が帰ってきた。

「留守番させて、ごめんなぁ〜 これ、風邪薬とポカリな! 風邪薬は今飲んで、ポカリは喉渇いたら、飲んでね。」

そう言いながら、水と風邪薬をつかさに渡し、手をつかさのおでこに置いて来た。

「ちょっと、熱下がったかな??」

つかさは、顔が真っ赤になる。

それに気づいたのか

「でも、顔が赤いなぁ・・・」

心配そうに淳平は言う。

顔が赤くなったのは決して熱のせいじゃなかった。

淳平に手をおでこに置かれた瞬間につかさのからだは一気に熱くなったのだ。

「じゃあ、顔が赤いし、薬飲んだら、寝てろよ??」

と、言いながらおかゆの皿を持っていこうとした。 

そして、何かを言い忘れたように、振り返り

「あ、俺の事は敬語、つけなくていいよ?? どうやら、同い年みたいだし。」

つかさはびっくりした。

年齢は近いとは思っていたのだが、ここまで出来上がっている人が同い年だとはさすがに思っていない買った。

「はい・・・・って、えぇ〜!? 同い年だった・・・の??」

キョトンとするつかさ。

「そんなに驚かなくても・・・・」

淳平は苦笑していた。

(もっと、この人のことを知りたいなぁ・・・)

つかさは、いろいろと聞きたくなってしまった。

「えっと、じゃあ淳平君って呼んでいいかな?」

淳平はちょっと恥ずかしそうだったが

「いいよ!」

笑顔で言った。

「それでさ・・・淳平君の御両親は・・・・?」

つかさがそう聞くと、淳平の顔が一気に暗くなっていく。

(どうしたんだろう??)

そう思って、首をかしげていたが、次に淳平から発せられた言葉はおもってもみなかった返事だった。

「俺・・・親居ないんだ・・・・」

「えっ!?」

思わず、驚いてしまうつかさ。

「俺の親・・・引き逃げに遭っちゃって・・・・そのまま・・・ね・・」

淳平の目に涙がこもってきている。

どうやら、最近のことであるようだ。

(まずいこと聞いちゃったな・・・)

「あ・・・ごめんなさい・・・」

思わず謝った。

「大丈夫だよ。 まぁ、そういう訳で俺、家を引き払って、引っ越ししてきてここで1人暮らししてんだ。 だから、俺の事は気にするなよ!!」

そう悲しげに笑っていた。

「そんな話は置いといて!! 西野さんは高校どこなの??」

つかさはまだ淳平の両親について質問したことに後悔していたが出来るだけ笑顔を作る。

「泉坂高校だよ! 淳平君は?? あと、さん付けしなくていいよ。」

「分かった。 そうなんだ〜西野は泉坂高校か〜分からないや 俺は、実は一昨日ここに引っ越してきたばっかりでさ、どこの学校の転校の試験受けるか悩んでるとこなんだ。出来るだけ近場がいいんだけど・・・」

淳平は頭をかきながら悩んでいるようだ。

つかさは思い切って言ってみた。

「じゃあさ・・ 淳平君も泉坂高校に来ない?? 泉坂高校ならここから歩いて行ける距離だし・・・」

「そこって、私立?公立??」

淳平は不安そうに聞いてきた。

「公立だよ! 何か問題でもあるの??」

「うん。俺、さっき話したとおり、親居ないじゃん?? だから、バイトして生活してるんだけど、私立だったら学費払えないからさ・・・ 親の残してくれた金はあるんだけど、出来るだけそれに頼りたくはないし・・・」

つかさは、そんな淳平に関心していた。

(淳平くん・・・偉いんだね・・・)

「そうなんだ、大変なんだね・・・・ でも、泉坂は公立だから大丈夫だね!」

「ああ、そうだな!じゃあ、近いうちにそこに見学に行ってみるよ。」

そう言って淳平は時計を見た。

「おわ!! もうこんな時間!! 西野はもう寝ろよ??早く治さなきゃな! じゃあ、おやすみ〜」

そう言って、部屋を出ようとしたが、つかさに呼びとめられた

「待って! あのさ・・・ あたし、布団使っちゃってるけど、淳平君は何処で寝るの??」

つかさが不安そうに聞いてきた。

「俺は、そこら辺で寝るから大丈夫だよ!」

淳平は出来るだけ心配させないように笑顔で言った。

「でも・・・・」

そんな、つかさの言葉を淳平は遮った。

「だーかーらー、俺の事は気にするなって!! 言っただろ?今は病気を治せって!」

そう言うと、淳平は笑顔で

淳平「おやすみ。」

と、言って電気を消し部屋を出て行った。

つかさは、その後、しばらく淳平の事を考えていたが、少ししたら深く眠っていた。


[No.520] 2007/09/24(Mon) 15:24:14
約束 第3話「第3話「IN THE 真中」」 (No.520への返信 / 4階層) - あーまん

第3話「IN THE 真中」




翌日、つかさが目を覚ますと、何やらキッチンの方で音が聞こえる。

トントントントン・・・・

淳平が朝ご飯を作っているようだ。

まだ少し寝ぼけている中、周りを見渡す。

布団の回りには、タオルが置いてあり、自分の布団がはだけてないのに気付いた。

(あれ? 布団がはだけてない。)

つかさは、いつも朝起きると絶対に布団がはだけているので、不思議に思った。 

「あ? 起きた??」

淳平が部屋に入ってきた。 

そして、つかさは淳平の顔に視点を合わせる。

淳平の顔を見ると、クマがあった。

それに、少し疲れているようにも見える。

(もしかして、寝ないで看病してくれたんだ・・・・)

つかさはそう思わずにはいられなかった。

「おはよう! 気分はどう??」

そんな疲れを出来るだけ見せないように淳平は笑顔で聞いてきた。

「あ、うん!おかげさまで大分良くなったよ!!」

実際、昨日よりも格段に体調が回復したように感じる。

「良かった♪ とりあえず、体温測ろう!」

そう言って、つかさに体温計を渡し、部屋から出て行った。

そして、すぐに戻ってきて、朝ご飯を持ってきた。

「何度だった??」

少し不安な表情でつかさに聞いた。

「36.5℃だった!!」

淳平は安心した顔になり

「良かった〜 これなら安心だな♪ とりあえず、朝ご飯作ったから食べて! あまりおいしくは無いと思うけど・・・・」

そう言いながらつかさに朝ご飯を渡す。

淳平が作った朝ご飯は、おかゆ、味噌汁、たくあん、焼き鮭だった。  

「ありがとう!!本当に何か何まで・・・」

そう言いながら、つかさは箸を自分の口に持っていく。

「おいしい!! 本当においしいよ!!」

つかさが、笑顔で褒めるので、淳平は照れながら

「ありがとう」

と照れていた。

そして、何かを思い出したかのように話し始めた。

「あ〜、でも今日は念のため学校は休めよ?? それと、制服洗っといたから、朝ご飯食べ終わったら、それ着て、家まで送るから帰ろう!」

そう言い残し、部屋から出て行った。

そして、つかさは朝ご飯を食べ終わり、食器を台所まで持って行った。

「本当にありがとう!! 食器洗うから、台所貸して??」

「あ、そこに置いといてくれればいいよ。俺洗っとくから、そんな事より、シャワーでも浴びてきたら?? 風呂沸かしといたからさ。昨日お風呂入って無いし。」

つかさは淳平の優しさが心に染みていた。

(なんて、いい人なんだろう・・・)

改めてそう思う。

「じゃあ、遠慮なく・・・」

と、言い残しシャワーを浴びに行った。

そして、つかさがシャワーから上がり、制服に着替えて淳平の所へ行くと、荷物をまとめてくれていた。

「ほんと!!!ありがとう!!! 何から何までお世話になっちゃって・・・」

「いいって事よ♪ 久しぶりに人と話せて楽しかったし!  じゃあ、行こっか??」

そう言って、淳平のアパートを出て、つかさの家に向かう。 

その間、つかさは、ずっと胸の鼓動が高まっていた。

(なんだろう・・・この人と居るとドキドキする・・・ これって恋なのかな??) 

そんな事を考えている内に、家に着いた。

「へぇ〜以外と近いんだなぁ〜」

そして淳平はつかさの家の門を開けてから

「じゃあ、今日は一日ゆっくりしてろよ??」

そう言って、淳平は帰ろうとした。

つかさは、それがとても寂しくなり

「待って!!」

と思わず言ってしまった。

「どうしたの?」

「あのさ、家に上がってかない?? その・・今誰も居ないからつまらないし・・・」

つかさは自分でも大胆な事を言っている事に気付いていたが、なぜか止まらなかった。

とにかく、このまま淳平と離れてしまうのが嫌だったのである。

「でも、悪いよ。」

淳平は遠慮したが

「大丈夫!是非上がっていってよ!! お願い!!」

そう頼まれて、観念したのかようで

「じゃあ、少しだけお邪魔します。」

つかさの家に上がっていった。


つかさはさらに胸の鼓動が高まる。

(どうしよう・・・淳平君に上がってもらったけど・・・ 心臓がバクバクしてるよ・・)

つかさは知らず知らずに顔が赤くなっていた。 

淳平はそんなつかさを見て心配になり

「西野? 大丈夫か? まだ寝てた方がいいんじゃない?」

(ここで、心配かけたらダメじゃん!!)

そう思いながら

「あ・・ううん大丈夫だよ♪」

明るく振舞う。

そして、淳平をリビングへと連れて行った。

「ここに座っててくれるかな?」

「うん。じゃあ座らさせてもらいます!」

元気良く言った。

つかさはクスっと笑い

「アハハ、そんなあいさつしなくてもいいのに〜」

「いや〜なんか一応さ・・」

そして、二人はお茶を飲みながら話していた。

「泉坂高校ってどんな感じなの?」

「う〜ん、部活動が盛んだよ! 校舎も綺麗だし・・・・」

「ふ〜ん、なんか活気がありそうな学校だね〜 西野は何か部に入ってるの?」

「あたしは、入ってないよ。バイトしてるから。」

「そうなんだ〜何のバイト?」

「ケーキ屋さん! あたし、パティシエになるのが夢なんだ〜」

つかさは、大きな声で笑顔で言った。

ふと、淳平は寂しげな顔になり

「夢・・・・か・・・」

と、つぶやくように言った。

つかさはそれが気になり

「どうしたの?」

と、聞いた。 

「いや、何でもないよ!」

淳平は笑顔を作ったが、何処か寂しげのある笑顔だった。

(どうしたんだろう・・・)

つかさは気になったが、あえて気にしないようにした。

「ところでさ、キッチン借りていいかな?」

突然の申し出につかさはびっくりし、

「いいけど・・・どうして??」

「だって、お昼じゃん。 何か作ってやるよ。」

そう言って淳平は立ってキッチンに向おうとした。

「あ・・いいよ・・あたしが作るよ!」

つかさは遠慮したが

「ダーメ! 一応まだ病人なんだからさ! 適当に材料使っていいかな?」

(淳平君・・・本当に優しい人なんだね・・・)

そう思いながら淳平に見とれていた。

「もしも〜し」

突然、淳平が耳元で言ってきた。

「ひゃ!!」

びっくりして奇声をあげてしまった。

淳平はクスっと笑い。

「そんなに驚かなくても・・・・ で、使っていいのかな?」

つかさは動揺しながら

「あ・・・うん・・いいよ・・」

顔が赤くなった。

淳平は尚も笑いながら

「変なの〜 分かった! じゃあ、待っててな♪」

そう言って、昼ご飯を作り始めた。

つかさはそんな淳平をとろんとした眼差しで見つめていた。


[No.524] 2007/09/25(Tue) 02:19:54
約束 第4話「思いがけないプレゼント」 (No.524への返信 / 5階層) - あーまん

第4話「思いがけないプレゼント」




「ごちそうさま〜 おいしかった!本当に!!」

淳平が作ったお昼ご飯を食べ終わったつかさである。

「淳平君って本当に料理上手だね♪」

そう言うと、淳平は頭を掻きながら照れる。

「んなことないよ。簡単な物だったし、 それに材料が良かったんだよ!」

つかさは、クスっと笑いながら

「アハハ、本当においしかったって!!」

「そう? ありがとうね〜」

淳平も笑顔であった。

そして、昼ご飯が食べ終わり、二人はまた話し始めた。

「ところでさ、この辺にカギ屋ってある??」

淳平からの突然の質問、つかさは考える。

「う〜ん、駅の方に行けばあると思うけど・・・何で?」

「今日、家の合鍵を作りに行こうと思ってて!」

「でも、俺、まだこの辺全然分からないから・・・」

淳平は苦笑しながら右手で頭をかいている。

「じゃあ、あたしが案内してあげるよ! ついでに、いろいろとこの辺も案内してあげる!」

つかさは、つい声を張り上げて言った。 

淳平はびっくりしながら

「あ・・ありがとう・・・ でも、風邪治ってないだろ??」

淳平は遠慮したがつかさは引かない。

「大丈夫だよ! もう平熱だし!! そうと決まれば早く行こ!」

つかさは半ば強引に淳平を外に連れ出した。 

淳平は苦笑しながら

「じゃあお願いするよ。」

と、言ってつかさに着いていった。

(ちょっと強引過ぎたかなぁ・・・・)

と、思ったが淳平と出掛けられるのが嬉しいのかどうしても笑ってしまうつかさだった。





淳平とつかさは合鍵を作り終えて、町をぶらぶらと歩いていた。

「ありがとな! おかげで合鍵作れたよ!!」

つかさはエヘヘと笑っていた。

(西野って明るくて優しい人なんだな。)

淳平はつかさを見ながらずっとそう思っていた。

(それにしても、みんな西野の事を見てるよなぁ〜)

通り過ぎた男の人達はみんなつかさの事を見ては顔を赤くする。

そして、次に決まって隣で歩いている淳平の方を睨む。

そんな視線が淳平は痛かった…

そんな中、淳平はいろいろとつかさに町を案内してもらい、今はデパートの中に居た。

「へぇ〜 すごいなぁ!」

淳平が驚きの声をあげる。

その目はとても輝いていた。

「俺が住んでたところはこんなデパートなんて無かったし。」

淳平は興味深深のようで、キョロキョロしている。

(淳平くんったら子供みたい〜)

あれやこれやと見ている淳平を可笑しく思う。

「そうなんだ〜 ここに来ればだいたいの物はそろうよ!」

そんな会話をしながら、二人はいろいろとデパートの中を探索していた。

そんな時

「わぁ〜 これ可愛い!!」

つかさが何やら見つけたようだ。 

「いちごのペンダントだぁ〜!!」 

「でも、ちょっと高いな・・・・」

そして、淳平も来て

「ふぅ〜ん、西野ってこういうペンダントとか好きなんだ〜」

淳平は興味深深で聞いてきた。

「うん! 女の子なら誰でも好きだと思うよ!」

そして、つかさは少し頬を赤らめて

「淳平君は、女の子にこういうのあげた事無いの?」

と、聞いた。

淳平は少し照れながら

「無いよ〜 残念ながら〜」

「俺、彼女とか出来た事ないし、女の子とかともあんま話したこと無いし・・・正直良く分からないんだよねこういうの。」

「久しぶりに女子としゃべったなぁ〜」

「自分で言うのも悲しいけど・・・」

淳平は、恥ずかしそうに手を組みながら苦笑している。

(そっか・・・ 淳平君は彼女とか居ないんだ!!)

つかさは自然と笑みがこぼれた。

「まぁ、俺なんかカッコよくないし、女の子とは一生縁が無いかもね〜」

更に淳平が言う。

つかさは思わず

「そんな事無い! 淳平君はカッコいいよ!!」

と、ムキになって言ってしまった。

淳平はキョトンとしている。

淳平にとっては、初めて言われた言葉。

びっくりしたものの嬉しくもなった。

「あ・・ありがとう。」

そして、二人はまた歩き出した。

「西野は彼氏とか居ないの? 西野すっごいモテるでしょ?」

「残念ながら居ないんだ〜」

「ふ〜ん、西野ならいつでも出来そうだけどね。」

淳平は笑いながら言う。 

つかさは顔が赤くなった。

「そ・・そんなことないよ〜」

「じゃー彼氏は居ないんだったら、今好きな人とか居ないの?」

淳平は更に追及してくる。

つかさはドキっとしてしまった。

(・・・・多分あたし淳平君が好きなのかも・・・)

と、思ったがさすがに口には出せず

「うん・・まぁ、一応いるかな・・」

と、だけ言った。 

「そうなんだ! 西野みたいな人に好かれるなんて羨ましい人だね。」

淳平は屈託の無い笑みでつかさに笑いかけた。

そして

「ゴメン、ちょっとトイレ行ってきていいかな?」

「いいよ。じゃあ、ここで待ってるね♪」

そう言って、淳平はトイレに向いつかさはベンチに座った。

(あたしが淳平君の事好きって言ったら、どうなるんだろう・・・)

(淳平君・・・泉坂高校に入ってくれないかな・・・) 

そんな事を思っていると、淳平が帰ってきた。

「ゴメンゴメン!」

「大丈夫だよ!じゃ、行こっか♪」

そう言って、二人はまた歩き出した。




そして、デパートから出ると、後ろから呼ばれる声がした。

「西野!!」

「つかさ〜」

二人は振り向くと、大草とトモコだった。

「心配したんだぞ! 風邪は大丈夫だったか?」

そう言って、つかさの手を握ってきた。 

淳平はその光景を見ていた。

つかさは淳平の視線が気になり、急いで大草の手を外した。

「大丈夫大丈夫♪ もう元気になったから!」

「ふ〜ん、すっごいカッコいいなこの人!」

つかさが淳平の方を見た。

大草とトモコもびっくりしたような目で淳平の方を見ている。

「もしかして、西野の好きな人って・・・」

淳平は意地悪い笑みを浮かべている。

つかさ「違うよ!!」

つかさは焦りながら否定するものの、淳平には効かなかった。

「さてと、邪魔者はおいとましますかな♪」

つかさは寂し気な顔を浮かべてしまう。

「え!?もう?? って、そんなんじゃないって〜」

しかし、淳平がつかさに近づいて行き

「いい男じゃん!頑張れよ!」

と、小声で言って、淳平は帰って行った。

(そんなんじゃないのに・・・)

つかさはそう思いながら悲しげな目で淳平を見ていた。 

大草とトモコもまだ淳平を見ている。

そうしていうると、急に淳平が何か思い出したように足を止め、戻ってきた。

「そうそう、忘れる所だった。」

そう言って、ポケットからなにやら袋を出して、

「はい!これ! 案内してくれたお礼!」

つかさに手渡す。 

(何だろう?)

つかさは袋を開けると中にはいちごのペンダントが入っていた。

「これ・・・さっきの・・・高いのに・・」

予想外の淳平からのプレゼントからつかさはびっくりしてしまった。

「さっき、西野欲しそうにしてたじゃん? だから、今日のお礼だよ! 金の事なら気にしないで!」

(そんな・・・こんな事されたらあたし・・・ますます・・・)

そしてつかさは、満面の笑みを浮かべながら

「ありがとう!」

と言った。 

淳平もニコッと笑い再び帰って行った。

つかさはいちごのペンダントを握り締めながら淳平の後ろ姿を見えなくなるまでずっと見ていた。

トモコは何やら興味深深な顔をしている。

大草は悔しそうにつかさの事を見ていた・・・・


[No.525] 2007/09/27(Thu) 02:15:31
約束 第5話「思わぬ再開」 (No.525への返信 / 6階層) - あーまん

第5話「思わぬ再開」





「つかさ!今の誰よ??」

側に居たトモコが目を輝かせながら聞いてくる。

トモコにとっては、他のどんな面白い話しよりも今の目の前で繰り広げられたやり取りが面白かった。

何せ、つかさは今までほとんど男に興味持ったことが無かった。

どんなにかっこいい男でも、軽くあしらってしまう。

大草とも仲良くしているが、つかさは特別な感情を持っていないことをトモコは知っている。

それだけに、つかさが初めて男に見せた嬉しそうな表情・恥ずかしそうな仕草をトモコは見逃さなかった。

「い・・・今のは・・・えーっと・・・」

つかさは何とか誤魔化そうと言葉をはぐらかせていた。

(なんで・・・こんなタイミングに・・・)

内心、不快に思うつかさだった。

「西野!! 今のは・・・彼氏??」

大草がつかさに聞いてきた。

『彼氏』

その言葉を聞いた瞬間、つかさの顔が赤くなったのを大草・トモコは見逃さなかった。

「か・・・彼氏じゃないよ〜」

顔を赤くしながらも苦笑いをするつかさ。

つかさは、何とかこの場を離れたかった。

今の段階で淳平の事を説明するのは嫌だったのである。

そして、

「ご・・・ごめんね・・・今から用事あるから・・・じゃあね!!!」

そう言ってつかさは半ば強引に帰っていった。

「あ!!ちょ!!!」

トモコが叫ぶがつかさは走って二人の視界から消えていった。

「大草君も大変なライバルが出来ちゃったね・・・」

「え!?」

トモコの突然の発言に大草はびっくりして声をあげてしまった。

「トモコさんには分かるんだよ。」

「大草君はつかさの事が好きなんでしょ??」

トモコは何もかも見透かしたように大草にニヤリと笑いかけた。

「俺は・・・・」

「西野の事が好きだ・・・」

ボソッとつぶやくように言う大草、それを見てトモコは

「頑張んなよ!!」 

「でもなぁ〜あたし、今までつかさのあんな顔見たこと無いしなぁ・・・」

「それにしても、あんな男の何所がいいんだろ?? 大草君の方が全然かっこいいのに・・・」

「明日、つかさをとっつかまえて何もかも吐かせてやるんだから!!」

独り言なのに多弁になっていた。

「でもま、大草君は同じ学校なんだし・・・・頑張ってね!」

そう言って、トモコは帰っていった。

残された大草は

「西野・・・誰なんだよあいつは・・・」

そうつぶやくと、重い足取りで家に向かった。





翌日、つかさはトモコにつかまり、全てを吐かされたのは言うまでも無い・・・・






数日後・・・・・

放課後

つかさは、帰り支度をして廊下に出ていた。

そうして歩いていると、何やら男の声が聞こえてきた。

「お前、何でジャージなの??」

一人の男がジャージを着ている男に向かって笑っている。

「あぁ、これか・・・」

もう一人の男はきつい表情を浮かべていた。

「ほら、4組に東城って奴が居るだろ? あの、黒ブチメガネのダサい女。」

「あいつにさぁ〜 転んだ勢いでバケツにあった水ぶっかけられたんだよなぁ〜。」

「げーーー」

「美人ならトロイのも可愛いけどよぉ〜 ブスだとどうしようもねぇよな、マジで。」

「西野みたいな人に水かけられたら、笑って許してあげるんだけどなぁ〜」

そう言うと二人は笑っていた。

(何あれ?? 最低!!)

(やっぱり、男って顔だけでしか判断しないんだ・・・)

(でも・・・淳平くんは・・・・)

そんな風につかさが思っていたとき。

「きゃあ!!」

後ろから女の声がした。

思わず後ろへ向くと、何やら女が転んで男に水をかけていた。

その男は制服を着ていなくて、何故か私服だった。

「あぁ〜またやってるよ、あのトロイ女。」

後ろから声が聞こえてきた。

(あれが・・・東城さんか・・・)

そう思った瞬間、男の顔がはっきりとつかさの目に飛び込んだ。

(淳平くん!!)

淳平が学校に来ていたのだ。

すぐ駆け寄ろうと思ったつかさだったが、思わず静止してしまった。

「ご・・・ごめんなさい。」

東城が淳平に謝る。

「うわぁ・・・びちょびちょだなぁ・・・」

淳平は服を見ながら少し困っていた。

そんな淳平を見て、東城は

(また・・・怒られる・・・)

と、不安になり目を閉じていた。

しかし、

「大丈夫?」

思わぬ言葉が返ってきた。

そして、目を開けると笑顔の淳平が手を差し伸べていた。

「え!?」

思わず東城は声をあげてしまう。

「ごめんな〜 君は濡れてない??」

そうして、淳平は東城の手を取って立たせた。

「は・・・はい・・・」

「でも・・・あなたかが・・・」

東城はびっくりしながらも淳平のことを気にする。

「俺?」

淳平は笑顔で

「俺なら大丈夫! 今日、暖かいし、すぐ乾くよ!!」

そう言って、ハンカチで濡れた所をふき取っていた。

「じゃあ、これからは気をつけろよ?? じゃあね!」

そう言って、ポカンとしている東城の頭を軽く叩いて階段を降りていった。

今のやり取りを見ていた人は、みんな東城と同じ状態だ。

一部では

「すごい!! 顔はかっこよくは無いけどああいう人って良いよね〜」

と言う言葉も聞こえてくる。

つかさももちろんの事今のやり取りを見ていた。

(淳平くん・・・やっぱり君は他の男とは違うんだね・・・)

さらに、淳平に対する想いが深まるつかさだった。


[No.537] 2007/10/06(Sat) 01:41:42
約束 第6話「お礼」 (No.537への返信 / 7階層) - あーまん

第6話「お礼」




その日の夕方、淳平は家で晩御飯を作っていた。

(泉坂高校って、めちゃくちゃ頭いいじゃん!!)

(やっぱり芯愛高校かなぁ・・・)

そんな風に思いながら晩御飯を作っているとき



ピンポーン



家のインターフォンが鳴った。

(誰だろう?)

「はーい。」

と、言ってドアを開けた瞬間。

「オッス!淳平くん!」

元気な声が聞こえてきた。

「その声は・・・西野か!」

「ピンポーン♪正解!」

淳平は顔を上げると可愛らしく笑っているつかさの顔があった。

「どうしたの??」

淳平が聞く。

「うんとね・・・この前のお礼がしたくて・・・」

そう言って、つかさは横を見た。

途端、二人の男女が出てきた。

「そのお二方は・・・?」

淳平が尋ねると

「つかさの両親です。」

「この度はつかさがお世話になりました。」

そう言って、二人は深くお辞儀した。

「いえ・・・そんな・・・当然の事をしたまでで・・・」

淳平はかしこまってしった。

「本当に感謝しております。 それで・・・つまらないものですが是非食べてください。」

そう言って、なんとも高そうな果物の詰め合わせを渡してきた。

「そ・・・そんなにしてくれなくてもいいですよ!!」

「いいんです! せめてものお礼です!」

「じゃあ・・・ありがたく受け取ります。」

とうとう淳平が折れた。

淳平が受け取ると、二人は満足した様子になった。

「あ・・・お茶でも出しましょうか??」

「いや、いいんです。 もう帰りますから。」

そう言うと、

「こう言っちゃなんですが・・・真中君もいろいろと苦労されてると思いますが、力になれることがあれば言ってくださいね!」

淳平は少し感激してしまった。

「あ・・・ありがとうございます!!」

思わず声が張りあがってしまった。

「では、これで・・・」

そう言って二人は帰ろうとする。

しかし、つかさは帰ろうとはしなかった。

「お父さん、お母さん。」

つかさが二人を呼び止めた。

「「ん?」」

二人は振り向く。

「あたし・・・もうちょっと淳平くんと話してきても良いかな?」

「私たちはいいが・・・真中君は迷惑じゃないかね?」

そう言うと、淳平は笑顔になり

「俺なら全然大丈夫ですよ!」

と、言った。

「真中君さえ良かったら別にいいよ。」

そう言って二人は帰っていった。

「じゃあ、取り合えず上がれよ。」

「うん!ありがとう!!」

つかさスマイル全開だ。

(う・・可愛いな・・・)

淳平は思わずそう思ってしまった。

そして中に上がった二人。

つかさは、いい匂いがするのに気づいた。

「淳平くん、なんかいい匂いがするね!」

「あぁ、今晩御飯作ってるところなんだよ。」

「晩御飯・・・」

つかさは閃いた。

「あたしが作ってあげるよ!!」

思わずつかさの方を見る淳平。

「え??いいよ。そんな・・・」

淳平は手を前に出して遠慮する。

「いいから♪ お礼も兼ねてさ!」

「それに、あたし料理得意なんだよ?」

つかさは笑顔ではしゃいでいる。

淳平にご飯を作ってあげられるのが嬉しいようだ。

こうなったらもう止められない。

(でも・・・食べてみたいな・・・)

「じゃあ・・・お願いするよ!」

少し疲れながらも、つかさの料理が楽しみになっている淳平だった。


[No.543] 2007/10/09(Tue) 03:16:58
約束 第7話「説得」 (No.543への返信 / 8階層) - あーまん

第7話「説得」





「うま!!!」

辺りに歓喜の声が響く。

つかさの料理を食べた淳平が思わず発する言葉だった。

「マジ美味い!! レストランみたいだな!!」

つかさの料理にがっつく淳平。

そんな淳平をつかさは微笑ましく見ている。

「そ・・・そんなこと無いって〜」

あまりに淳平が誉めるので逆に恥ずかしくなってくる。

「いや、才能あるよ!」

「なんか・・・ごめんな・・不味い俺の料理食べさせちゃって・・・」

淳平はそう思わずにはいられなかった。

こんなにつかさが料理が美味いとは思わなかった。

それだけに自分が半ば無理強いをして自分の料理を食べさせたのが恥ずかしくなってきた。

「そんなことない! 淳平くんの料理、美味しかったよ!!」

「何より・・・嬉しかった!!」

思わず言ってしまうつかさ。

「嬉しかった??」

その言葉に淳平は敏感に反応する。

途端、つかさは顔が赤くなる。

(つい思ったことを・・・)

「な・・・何でも無いよ・・・」

あわてて否定する。

淳平は少し腑に落ちない顔をしていた。

「そ・・・そういえばさ・・・」

「今日、泉坂高校に居たよね??」

とにかく話題を逸らし、聞きたかったことを聞いた。

「あぁ、行ったよ!」

「見学しに行ったんだ〜」

そう言いながら、バックから資料を出して少し読む。

「やっぱり〜 放課後淳平くん見かけたからさ〜」

「それに・・・すごいかっこよかったね!」

「え?」

資料から目を外しつかさの方を見る。

「だって・・・水・・かけられてたとき・・ 笑って許してた・・・」

つかさは、頭の中でその光景を思い出していた。

「あぁ・・・あれね〜」

「だって、あそこで怒ったってしょうがないし、転ぶのはしょうがないことじゃん?」

「それに、女の子のほうが濡れなくて良かったよ。 ハハハ・・・」

淳平は笑っていた。

「淳平くんって優しいね。」

トロンとした目で淳平の顔を見つめるつかさ。

淳平は少し慌てながら

「そ・・そんなことねぇよ! あたりまえじゃん!!」

と、言って否定する。

「でも、その子別の男子にも水かけちゃったみたいで、そのかけられた男子は、すっごい責めてた。」

「ブスにかけられちゃどうしようもねぇよなぁ〜とか・・・」

「美人にならかけられても笑って許すとか・・・」

「へ〜、そういうこと言う奴も居るんだ・・・」

淳平は少し驚いているようだ。

「そういう人ばっかだよ・・・」

少しつかさは暗くなる。

「でも、淳平くんは違うよね・・・」

「まぁ・・・確かに普通の人とは違うってよく言われるからなぁ・・・」

淳平は再び苦笑する。

「あたしは・・・そういう人、素敵だなぁ〜って思うけど?」

上目遣いで淳平の顔を見る。

途端淳平の顔は赤くなる。

(ちょ・・・そんな顔で・・)

淳平は目のやり場に困ってしまった。

(さりげなくアピールしてるのに気づいてるかなぁ・・・)

つかさはそう思いながらも次の淳平の反応を待った。

「と・・・ところでさぁ〜」


ガク!!


つかさは少し落胆する。

(やっぱり気づいてない・・・か・・・)

「泉坂高校ってレベル高いんだなぁ・・・・」

「俺・・・泉坂高校受けないかも・・・」

「え!?」

つかさは思わず驚いてしまう。

「な・・・なんで!?」

淳平と同じ高校に成りたい!

それだけを思っていた。

しかし淳平からは期待していた答えと違っていた。

「俺の頭じゃ・・・入れるか入れないかギリギリなんだよね・・・」

「だから・・・芯愛高校にしようかなと・・・」

淳平は申し訳なさそうに話す。

「そ・・・そんなのやってみないと分からないじゃん!!」

つかさは反論する。

「個人的には泉坂のほうが良かったよ。 でもさ・・・」

「西野と同じ高校に成れないのは少し残念だけど・・・」

「頭の方がさ・・・」

淳平が言い終わると、少しの間沈黙が流れた。




「じゃあ、あたしが勉強教えてあげる!!」

「へ!?」

突然の申し出に驚く淳平。

「確か・・・次の日曜日が試験だったよね?」

「だから、あたしが泊り込みで勉強教えてあげる!!」

「は!?」

さらに驚く淳平。

「で・・・でも・・・それはマズイんじゃ・・・」

「大丈夫だよ! きっとお母さんも分かってくれると思うし・・・ それにこう見えてあたし頭良いんだよ?」

つかさは目を輝かせながら淳平を説得していた。

「だ・・だからって・・・」

あまりのつかさの迫力にビビる淳平・・・・

「あたしだって、淳平くんと同じ高校が良いもん!!」

「だからさ、芯愛高校に行くなんて言わないで、泉坂高校を頑張ってみようよ!!」

(どうして・・・俺のためにここまでしてくれるんだろう・・・)

淳平はビビりながらも考えていた。

(俺だって・・・出来るならば、せっかく西野と友達になれたんだし・・)

「じゃあ・・・頑張ってみようかな・・・」

力なく答える淳平。

「本当に!?」

対照的に喜ぶつかさ。

「でも・・・さすがに泊り込みっていうのは・・・無理なんじゃない?」

「大丈夫大丈夫♪」

「じゃあ、一回帰って荷物とか取ってくるね〜」

そう言って笑顔で淳平の部屋から出て行った。

「ほんと、マイペースだなぁ・・・・」

淳平は苦笑する。

「でも・・・なんかこういうの心地良いや・・・」

そう思いながら、待つこと30分。





「ただいまぁ〜」

つかさが帰ってきた。

「どうだった??」

淳平が尋ねると、つかさは満面の笑みでピースしながら

「OKだよ!」

と、言った。

「それじゃあ・・・よろしくお願いします!」

淳平が頭を下げると

「まっかせなさぁ〜い。」

敬礼をしながら、輝いているつかさの顔があった。


[No.544] 2007/10/09(Tue) 16:34:45
約束 第8話「二人の勉強会」 (No.544への返信 / 9階層) - あーまん

第8話「二人の勉強会・初日」




「え〜っと・・・ここはね・・・」

「うん・・・」

「こうするでしょ??」

「う〜ん・・・・」

「で、こうやればいいんだよ。」

「お!! そうか!!」

淳平とつかさ、二人の勉強会が始まっていた。

基本的に分からない問題をつかさに教えてもらうという感じである。

もう夜の12時近くになるのだが、勉強の手はなかなか止まらなかった。








「しっかし、西野は頭いいなぁ〜」

「今日だけで大分頭良くなった感じがしたよ!!」

さすがにもう夜遅いということもあり、今日はお開きにした。

「淳平くんだって十分頭いいよ!!」

「教えることだってあんまり無かったし!!」

二人その場で談話していた。

勉強しすぎたのか、二人には少し疲れの表情が見える。

「でも、ごめんな・・・」

「俺の勉強のために付き合わせちゃって・・・」

淳平は申し訳なさそうにしている。

「そんな・・・あたしから勉強教えてあげる!って言ったんだから、淳平くんが謝ることないよ!」

「寧ろ、泊まらせてもらうんだから迷惑かけてるのこっちなんだし・・・」

「あたしこそ、無理言ってごめんね?」

つかさは、申し訳なさそうにしている淳平をなんとか慰めようと明るく言った。

「ぜ・・・全然迷惑じゃないよ!」

淳平はどうも迷惑という言葉に反応してしまったらしい。

「そうだね・・・謝るよりも感謝だね!!」

「ありがとう!」

淳平はそう言って笑顔になった。

「うん!じゃあ、もうそろそろ寝よ!」

つかさも笑顔で言った。

「そうだな、じゃあ、西野は前みたいにその布団使って!!」

「分かった!ありがとう!!」

「じゃあ、お休み〜」

淳平はそう言って部屋から出て行った。

初日はこんな感じで終わったのである。





そして次の日・・・

「起きろ〜!! 遅刻するぞ!!!」

アパートの一室に淳平の声が響き渡った。

「う〜ん・・・」

つかさは眠たい目を擦りながら渋々と起きる。

「おはよう・・・」

「おはよう・・・って、今日は学校だろ?? 早くしないと遅刻するぞ?」

そう言って淳平は時計を指差した。

現在7時20分・・・

遅刻するような時間では無かった。

まだ余裕はある。

「まだ大丈夫だよ〜」

そう言いながら布団から出るつかさ。

「あれ?そうなの?? 俺まだ分からなくてさ〜」

淳平はそう言いながら苦笑していた。

「まぁいいや。 改めておはよう!」

元気良くつかさが言った。

淳平も笑顔で

「おはよう!」

と、言う。

「朝ご飯出来てるから、仕度出来たらこっち来てね〜」

「うん!分かった!!」

そう言うと淳平は出て行った。





「おいし〜い。」

つかさは仕度が終わり淳平が待つ食卓へ行き朝ご飯を食べていた。

「またまた〜、西野が作った方が美味いくせに・・・」

淳平はまだつかさが作ったご飯が心に残っているようだ。

「そんなことないってぇ〜」

つかさは恥ずかしくなり小さくなってしまった。

そんな感じで食事が終わりつかさが登校する時間になった。

「いってきま〜す!」

つかさが元気良く玄関のドアを開けた。

「いってらっしゃい!」

見送りに淳平も玄関に来た。

つかさはこの感じをなんだか嬉しく思った。

「なんか・・・新婚夫婦みたいだね!」

そう言ってつかさは赤くなりながら小走りで階段を降りていった。

「新婚夫婦!?」

残された淳平はこの言葉にただ圧倒されていた。

しかし、最初は恥ずかしかったものの、段段と淳平の顔は暗くなっていた・・・・

「夫婦・・・・か・・・・」

淳平はボソッと呟きながら、家の中に戻っていった。


[No.573] 2007/10/22(Mon) 01:30:37
約束 第9話「大草の尾行」 (No.573への返信 / 10階層) - あーまん

第9話「大草の尾行」




(う〜ん・・・今日はあたしが料理しようかなぁ〜・・・)

泉坂高校のとある教室、つかさは一人ペンを回しながら考えていた。

(淳平くんもあたしの料理喜んでくれたみたいだし・・・)

その顔はとても明るい。ニコニコしている。

誰が見ても、つかさの機嫌が良いのは容易に分かった。

「こら!!西野!!聞いているのか!!」

突然、先生に怒られる。

それもそうだ、今は授業中なのである。

「は・・はい!! すみません・・・」

「ちょっと〜つかさ〜大丈夫??」

「あんた、妙にニコニコしてるよね??」

隣のトモコが話しかけてきた。

「え??そんなことないよ〜〜」

「大丈夫大丈夫♪」

そうは言うもののつかさの顔は依然として明るいままだった。

(絶対、何か良いことあったなコイツ・・・)

そして、そんなやり取りを大草は厳しい目で見ていた。




そして、時間は過ぎ放課後・・・・

「西野!!帰ろうぜ!!」

「ごめん!!今日も用事あるんだ。」

大草が誘ったもののまたしてもつかさは一人で帰ってしまった。

「またか・・・・」

大草は一人つぶやく。

「でも、最近西野、おかしいよな・・・」

「何があるんだろう・・・」

「よし!!」

大草は決心すると、ばれない様につかさの後をつけて行った・・・・




「フン♪フッフフーン♪♪」

つかさは気分が良いせいか、鼻歌を歌いながら軽やかな足取りで歩いていた。

その後に大草はつけていく。

(ここまでは、いつも通りだよな・・・)

ばれないように、気づかれないように慎重に慎重につけていく。

やがて、つかさの家が見えてきた。

そして、つかさも家の方向に歩いていく。

(やっぱり・・・普通に用事なのかな・・・)

大草がそう思い出した瞬間。

つかさが家の前を通り過ぎた。

(!?)

当然、大草は驚く。

(家を素通りして、どこへ行くんだ!?)

そうは思うものの、つかさは足取り軽やかに歩いていく。

少しスピードが上がったようなので、大草もスピードを速める。



そして、つかさはあるアパートの階段を登り始めた。

(アパート!? 知り合いかな・・・)

そうは思うものの、何故か大草は不安に刈られた。

(この不安・・・・なんだろう・・・)

そして、つかさはある一室のドアの前に止まりインターフォンを鳴らした。

ピンポーン♪

大草のところまでにもインターフォンの音が聞こえる。

それと同時に大草の心拍数も上がっていく。

(誰が出てくるんだろう・・・)

不安になりながら待っていると、ドアが開いた。

「ただいま〜」

笑顔のつかさ。

「おかえり〜」

(あ、あの男!?)

大草の不安は的中した。

淳平である。

あの日、つかさが風邪で休んでいた日。

つかさと一緒に居た男。

あの男が出てきたのだ。

ずっと淳平が心に引っかかっていたのだ。

(ただいま・・・)

(ただいまって何だよ・・・)

大草がそう思っていると、しばらくその場で話していた淳平とつかさが中に入って行きそうな様子である。

大草は焦った・・・・・・

今にも二人は中に入ろうとしている・・・・

そして・・・

「西野!!!!」

無我夢中で叫んでしまった。


[No.621] 2007/11/12(Mon) 17:52:09
約束 第10話「淳平の気持ち」 (No.621への返信 / 11階層) - あーまん

第10話「淳平の気持ち」




「大草君!?」

つかさは自分の名前を呼ばれたので、声がする方へ顔を向ける。

そこにはどこか悲しげな表情をした大草がいた。

しかし、大草の目線は一直線につかさの方へ向けられている。

(なんで、大草君がこんなところに・・・)

つかさは驚く。

そして、部屋に入りかけた淳平も戻ってきた。

「あれ?」

「あの人・・・」

思わず言葉を出すと、淳平は少し笑い。

「おーい、君!!せっかくだから家に上がったら??」

と、大声で大草に声をかけた。

「ちょ!!淳平くん!!!」

つかさは、淳平との二人だけの時間を邪魔されたくなった。

つかさにとって、今の淳平との時間はとても至福のときなのである。

一秒でも長く淳平と一緒に居たかった。

しかし、淳平はそんなつかさの気持ちは分からないのか、

「まー、いいじゃん!! だって、西野の好きな人だろ??」

「んじゃ、俺ちょっと買い物してくるから、あの人と家で話しててよ!!」

「じゃ、頑張れよ!」

淳平はそれだけ言うと階段を降りていった。

「淳平くん!!!」

つかさは、必死で淳平を呼ぶが淳平は振り返らなかった。

「違うって言ったのに・・・」

「淳平くんのバカ・・・鈍感・・・」

元気が無いように呟く。

そうしていると、大草が階段を上がってきた。

「西野・・・・」

「とりあえず・・・入ろ?」

そう言うと、二人は淳平の家へ入っていった。





淳平は歩きながら考えていた。

さっきは、買い物があると言ったものの別にこれと言って欲しい物がある訳では無かった。

空は夕暮れの時間。

あてもなくぶらぶら歩く。

そして、目に付いた店に入っては、適当な品物を見て回る。

つかさと行ったデパートにも行ってみる。

そこには、以前行った時と同じようにいろいろな品物があった。

そして、しばらく店内をうろつく。





「あ!!」





思わず声が出た。

「いちごのペンダント・・・」

淳平がつかさにプレゼントした物がまだ売られていた。

それを見ると、淳平はつい考えてしまう。





(西野・・・)




実は淳平は、つかさの事が気になっていた。

しかし、淳平は必死でその思いを消そうとしていた。



(俺が好きになっちゃいけないんだ・・・・)



(俺には好きになる資格なんてないんだ・・・・)



ペンダントを手に取りながら一人考える。



(あんなに可愛くていい子は、俺なんかじゃダメなんだ・・・)



(俺には親も居ない・・・親戚も少ない・・・一人なんだ・・・)



(こんな俺に何が出来る?)



(俺なんかじゃ例え西野と付き合えたって、迷惑かけるだけだ・・・)



(それに西野はあの、大草って奴が好きなんだろ??)



(絶対そっちの方が幸せになれる。)



そう思いながら自分の気持ちを押し殺す。



(そろそろ戻ってもいいかな・・・)



そう思い、ペンダントをしまい、出口に向かった。

階段を降り、デパートから外に出る。

空はすでに暗くなっていた。



(ははは・・・まるで俺じゃねーか・・・)



淳平は空を見ながら、悲しげに笑った。

そして、帰り道をゆっくりとした足取りで歩いた。



(俺には、西野を好きなってはダメなんだよな?)



(父さん・・・母さん・・・・


・・・・唯・・・)


[No.641] 2007/11/25(Sun) 21:29:32
約束 第11話「焦る気持ち」 (No.641への返信 / 12階層) - あーまん

第11話「焦る気持ち」




ある古いアパートの一室。

少し汚れている部屋。

男物ばかりの荷物。

その荷物自体も少ない。

いかにも冴えない男が住んでいるように思えるその部屋に、今は華がある。

その華は二輪ある。

片方は日が差しており咲き誇っている。

しかし日が届いておらずもう片方は閉じている。

ある華は、淳平の部屋に居ること自体が嬉しそうである。

対照的にそんな花を見る片方の片方の華は悲しそうだ。




「しっかし驚いた〜 大草君と会うなんて・・・」

「いや・・・たまたま西野を見かけたからな・・・たまたま・・・」




二輪の華の主・・・・


つかさ


大草


二人は、まさに『華』が当てはまる美少女と美男子。

どこからどう見てもお似合いだ。

しかし、その表情は全くの正反対だが・・・・



(なんでそんなに嬉しそうなんだよ・・・・)

大草は思う。

「ところでさ!!」

そして、たまらず話を切り出した。

「何??」

つかさは首をかしげて聞き返す。

しかし、つかさが聞き返すが、大草はなかなか話せずに居た。

口で何かを言おうとしては、またすぐにその言葉を飲み込む。



しばらくの沈黙・・・・



「あのさぁ〜 言いたい事あるならはっきり言いなよ?」

少しイラっとしたのか、つかさは大草言葉を投げかけた。

ビク!とする大草。

「お・・おぅ・・・」

「じゃあ・・・」

そして大草は覚悟を決める。

「あのさ・・・さっきの男は西野の何なの?」

(やっぱり・・・・)

つかさの予想通りだった。

しかし、つかさはどこかで聞かれたくないと思っていた。

大草に淳平が見られた事で聞かれるのは分かっていた事なのだが・・・

実際に聞かれると、顔が赤くなる自分が居た。

そして、そんなつかさの変化を見逃す大草では無かった。

(西野・・・・やっぱり・・・)

暗い表情が、僅かばかり暗くなる。

(なんて答えればいいんだろ・・・・?)

(淳平くんは私にとって何??)

(それは、好きな人には変わりないけど・・・・)

(恩人でもあるし・・・尊敬も出来る・・・)

つかさは頭の中で思考していた。

そんなつかさをずっと大草は凝視する。




再び沈黙・・・・




「さっきの人は・・・・あたしの好きな人だよ。」

つかさは、しばらく考えた後、大草に言う事にした。

実際、大草とは仲も良かったし、友達として信頼もしていたからだ。

その言葉を聞いた大草は、目を大きく開いた。

「さっきの人・・・・淳平くんはね。」

「あたしの恩人でもあって、尊敬も出来る人・・・」

「あたし・・・たまたま、熱で道に倒れた事があって・・・」

「その時に、見ず知らずのあたしの事を一生懸命介抱してくれてね・・・」

「それから・・・自分一人の力で生きてて・・・妥協しないで・・・自分に甘えなくて・・何事にも一生懸命で・・・」

「何より優しいんだ・・・」

その瞬間、つかさは、淳平が泉坂高校に来たときの事を思い出していた。

「とっても素敵な人だよ・・・」

つかさは言い終わると、自分の頬が熱くなるのを感じた。

(恥ずかしいなぁ・・・もう・・・)

(それにしても遅いな〜 淳平くんは・・・)

一人でそんな事を思っていると・・・・

「俺だって・・・・」

突然大草が声を出した。

「え??」


「俺だって・・・西野が倒れたら一生懸命介抱する・・・・」


「ちょ・・・大草君??」

びっくりしたつかさが思わず聞き返す。

しかし、大草は止まらない。


「俺だって、自分一人の力で生きる自信はある・・・」


「自分に妥協だってしない・・・」


「あいつより、良い人間でいる自信ある!!!」


「ちょっと・・・何言って・・・・」


「あいつより、西野を幸せにする自信がある!!!」

もはや、大草は声を張り上げてしまっていた。

さらにつかさも驚いたようで、目を真ん丸くして大草を見た。

大草も西野のその目を凝視している。

そして大草は、拳を握り締めて立った。

一瞬、周りの空気が強張ったように感じる。

この二人の空間に遮る物は何も無い。



「好きなんだ・・・・・西野のことが・・・

      ずっとずっと前から・・・・」



大草は・・・もう、抑えられなかった。


[No.708] 2007/12/14(Fri) 22:06:57
約束 第12話「変化」 (No.708への返信 / 13階層) - あーまん

第12話「変化」




「大草君・・・今・・・何て・・・」

「だから、俺は・・・西野のことがずっと好きだった!!」

つかさにとっての突然の告白。

つかさは大草を見る。

大草はとても真剣な表情をしている。

冗談とかそういった顔ではない。

「本気なの?」

つかさは聞く。

「もちろん!」

大草は強く答える。

「でも・・・大草君とは、今までだって・・仲がいい友達だったし・・・」

「その・・えっと・・・」

つかさは言葉が上手くでない。

つかさにとっては、大草は仲がいい友達。

今まではそう思っていた。

しかし突然の告白。

驚くのも無理は無い。

「西野はそう思ってるのかもしれないけど・・・」

「俺は本気だから!!」

そおいう大草はつかさに近づいた。

そして・・・・

ガバ!!!

つかさを抱きしめた。

(!?)

つかさはどうすることも出来ない。

が、しかし、不思議と嫌な感じはしなかった。

つかさの心臓の鼓動が早くなる。

ドキドキ・・・・

つかさ自身、体が熱くなっていくのが分かる。

何も考えられない。

大草の抱擁はつかさの思考能力を奪っていた。

しばらくして・・・

カンカンカン・・・・

階段を登る音が聞こえてきた。

(淳平くん!?)

ふと、頭が考える。

ドン!!

それと同時に音が聞こえた。

大草の体が後ろの壁に突き飛ばされている。

とっさに大草を突き飛ばしていた。

「あ・・・・」

それだけしか言えなかった。

「イテテテ・・・」

大草が背中を軽くさすりながら体制を整える。

つかさはその場で固まっている。

そんなつかさに対して笑顔を向けて

「じゃあ・・・返事はいつでもいいから・・・」

そう言い残し玄関の方へ向かって行った。

ガチャ・・・

それと同時にドアが開く。

淳平が帰ってきた。

ちょうど玄関で二人は向き合う。

「あぁ、帰るの?」

淳平は笑顔で声をかける。

大草は、返事をせずにその場で少し淳平の顔を見ていた。

まるで、ライバルを見ているかのような眼。

鋭い目線が淳平に向けられていた。

「お邪魔しました。」

淳平を見終わると、それだけ言って淳平の家を後にする大草だった。

淳平は不思議そうな顔になる。

「俺、なんかしたかなぁ?」

そう独り言を言うと、バツが悪そうに頭をかいた。

そして淳平は部屋に入っていった。





淳平が部屋に入るとつかさは放心状態だった。

「西野?」

返事が無い。

「西野ぉ〜??」

またしても返事が無い。

「西野!!!」

「!?」

どうやら気づいたようだ。

「じゅ・・・淳平くん・・・」

ひどく驚いた顔をしている。

「お・・・お帰りなさい・・・」

「ただ帰ってきただけだけど・・・・」

淳平は苦笑していた。

そうして、淳平は洗面台へと消えていく。

消えていく淳平を目で追う。

それだけで、さっきとは違う胸が締め付けられるような胸の鼓動が襲う。

その度に『好き』という感情が増加しているのが分かった。

(やっぱり・・・あたしは淳平くんが好き・・・)

(だって・・・いいとこいっぱい見てきたから・・・)

しかし、つかさはあることが引っ掛る。

それは、大草に抱きしめられた時・・・・

(でも・・・・)

(何で・・・?)

(何で・・・大草君に抱きしめられた時・・・)

(胸がドキドキしたの?)

(こんなに淳平くんが好きなのに・・・)

(何でだろう・・・・?)

いくら考えても分からない答え。

淳平のことが好きなはずなのに、大草にもドキドキする自分・・・

何故だろう・・・

疑問ばかりが思い浮かぶ。

しばらく考えた後・・・・

(あたしは淳平くんが好きなんだ!)

(これは変わらないよ!!)

そう強く心に思う。

言い聞かせる。

思い込ませる。

しかし・・・

いくら思い込ませても、心の何所かで引っ掛っていた。


[No.916] 2008/03/16(Sun) 00:17:44
以下のフォームから投稿済みの記事の編集・削除が行えます


- HOME - お知らせ(3/8) - 新着記事 - 記事検索 - 携帯用URL - フィード - ヘルプ - 環境設定 -

Rocket Board Type-T (Free) Rocket BBS