『もう、待てないよ・・・。だから今度こそ、サヨナラ・・・』 バレンタインの夜、俺はさっきの言葉を頭の中で繰り返していた。 「あぁ、今度こそ終わっちゃったんだな・・・。」 (そうだよ、俺は本当に西野のことが好きだったんだ) もし、最初から西野一人を好きでいれたら、そんなことは言われないですんだと思う・・・ 『あたし、泉坂高校には進学しないの・・・』 もし、あの時西野を引き止められたらどうなっていたんだろう・・・
TSUKASA100% in future.
泉坂高校に進学しない、そう告げた西野は「ひとりで先帰るね」 と手を振って、歩いてゆく。 俺は、その姿をただ眺めるしかできなかった。 西野が50mくらい先に行ったところで、ふと我に返った。 (なにやってんだよおれ。おれは西野の彼氏だろうが、追いかけていく権利があるだろぅ) 俺は西野とまだ一緒にいたい、という一心で走った。運動の苦手な俺でも走れば歩くよりは速くなる。 「西野っ!!」 西野はその言葉に振り返る・・・ 「どうしたの淳平くん・・・?」 西野は不思議そうな趣で俺を見つめる。 「あ・・えと・・・・」 何も考えてなんかいなかった。西野を引き止めて、その後なんて言うかなんて、考えてもいなかった。ただ西野と同じ学校で同じ時を過ごしたい。それだけだった。 (なにやってんだよ。素直に気持ちを・・・思ってることを言えばいいだろ) でも気持ちを言葉にしようとすると、なかなか口が開かなかった。 「・・・?どうしたの?」 西野は何もしゃべらない俺をじっと見つめて、しだいにふくれっつらになってきた。 「もう、用がないなら引き止めないでよね!」 西野はそっぽを向いて、歩き出す。 「あ、ま・・・待って!」 この時『行かないでくれ』という言葉が頭に浮かんだ。初めて思いが言葉になった。 「西野っ、行かないでくれ!!」 「!!」 西野は驚いたように振り返った。その顔は、懸垂をしながら告白した時以上の驚きで、目にはわずかに涙が浮かんでいた。 「俺、西野と同じ高校に行きたいんだ。わがままだと思う。・・・でも、西野のことがす・・好きだから!!」 西野の目から涙がこぼれる。涙が地面に落ちると同時に、西野が駆け寄ってくる。 「うわっ・・!?」 おもいっきり抱きつかれた俺は、ふと付き合い初日の公園でのことを思い出していた。 『女の子一人ぐらい支えてよ、バカぁ!』 こんどは、西野をしっかり受け止める。そう思い必死に足をふんばった。 「ありがとう、淳平くん」 西野がそっとつぶやいたその言葉が心に沁みた。 「西野・・・」 俺は西野を抱き返して、もう一度たずねた。 「一緒に泉坂いこう・・・」 「うん・・・やっぱり淳平くんと一緒にいたい」 俺はうれしかった、また西野と毎日一緒に帰れる・・・この前までは、何気なかったことが今は幸せに思えた。 「・・・でも、東城さんのことはいいの?」 その言葉は俺に重くのしかかった。 「え・・・?あ、そ、それ・・・は、」 たった今、西野だけを好きでいようと決めた心が一瞬でゆるんでしまった。 (だめだ!!) 東城のことは忘れよう、そう思いなおして答える。 「いや、いいんだ。東城のことは最初からなかったことにしたい・・・」 そうは言ったもののまだ、心は動揺したままだった。 「ふぅん・・・」 (これ以上心を揺るがせないでくれ東城) 西野一人を一途で思えるようにと俺はある決心をした。 「に・・西野。」 「ん?」 「俺、も、もう迷わないから」 「え?」 「に、西野一人を、守っていくから!!」 そう言い、俺は西野の肩を引き寄せ。やさしくキスをした。 「・・・・。」 「あ・・・」 口と口が離れると今度は西野からキスをしてきた。 「・・・!?」 「淳平くん・・・」 西野が俺の横に並ぶ。 「じゃあ、学校に合格の報告しに行こう?」 「あ、そうだな」 そうして、俺と西野は二人で歩いていった。
/END
「淳平くん・・・」 「なに?西野」 「そういえば淳平くんは合格決まってないんだよね?まだ・・・」 「はぅっ!!!!!そ、そうだった・・・」ガクッ↓
作+HIDE
[No.540] 2007/10/07(Sun) 20:55:39 |