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見えない明日・見える未来〜プロローグ〜 (親記事) - シン

プロローグ「死・そして全ての始まり」


1997年1月14日


当時10歳の少年、真中淳平にとってはなんでもない日そして、

東城綾にとっては10歳の誕生日だった・・・

しかし、一方では・・・




15:27・泉坂総合病院


「黒笹先生!患者の心肺が停止しました!」

「くっ・・・死ぬな!死ぬなよ・・・!」

少年がベッドに横たわる少女に呼びかけている・・・

「心臓マッサージを行え!諦めるな! 健治君のためにも、、、」

黒笹と呼ばれた老医師が指示を出す

「だめです!心肺停止状態のままです!」

そして・・・


「・・・今脳波が停止しました、、、」

「くっ・・・ここまでじゃ・・・」


「・・・そんな・・・・・・死んだのか・・・?」

「・・・真矢ーーーーー!!!」

健治と呼ばれた少年の絶叫がこだましていた・・・


「わしの・・・せいじゃ・・・すまない・・・」

「・・・黒笹先生だけのせいじゃないですよ・・・」

「肝心な所で守れなかった俺のせいでもありますから・・・」

「健治君・・・」






20:12・京都府某所


そこでは・・・村一つが丸ごと燃えていた・・・

「うっ・・ううぅっ・・・お父さん・・お母さん・・・」

全てを焼き尽くす炎

それによりこの7歳の少年は全てを失った・・・

父も、母も、友も、故郷も・・・





翌日、京都府のある料亭の近くにて・・・

「うぅっ・・ひぐっ・・」

「・・・ん?」

北大路優成は、その少年・・・そう、村一つを焼き尽くした大火事の唯一の生き残りである少年を見つけた・・・

どうやらここまで歩いて来たらしい


「どうしたんだい?」

「ううっ・・みんな燃えちゃった・・・お父さんも、お母さんも、

みんな燃えちゃった・・・」

「・・・そうか・・・でも・・それなら君だけでも生きなきゃ君の

お父さんもお母さんも悲しむと思うよ・・・」

「・・・うん・・・でも、もうぼくには何もないよ・・」

「それならこれからまた作ればいい。」

「え・・・?」

「おいで・・・みんな歓迎してくれるから・・・」

「・・・うん・・!ぼくは火野修平、おじさんは?」

「おじさんか・・・まいったなぁ。ま、いいか。」

「おじさんは北大路優成。修平君よるしく」

「うん!よろしく!」

「これで一馬にもいい兄弟ができるな・・・」


こうして、修平は北大路家に居候することになった。




自身に大きな秘密を抱えたまま・・・



そして・・2004年9月・・・

物語は動き始める・・・










どうも、初めての投稿のシンです

初めてなのでかなり下手だとは思いますがよろしくお願いします。


[No.64] 2006/05/10(Wed) 00:52:22
見えない明日・見える未来〜第1話〜 (No.64への返信 / 1階層) - シン

第1話「必然の出会い」


2004年9月1日金曜日  泉坂中学校3−4

そこには転校生として2人の少年がいた。

約8年前、家族を亡くした火野修平とそんな彼と兄弟のように

過ごした北大路一馬だ。



さて、なぜ彼らがここにいるのかを説明しよう。




約1ヶ月前…京都府某所の家

「…えー、と言うわけでお父さんは転勤することになったぞー!」

「…そのハイテンションはやめてくれって言ってるだろ…」

「まあいいじゃん。…って、転勤!?」


これは北大路家での出来事である。


ちなみに、一馬の父の優成は実際はこんなハイテンションな

人物である。

これを知ったとき、修平は開いた口が塞がらなかったらしい…


さて、本題に戻って、

「で、どこに転勤することになったの?」

一馬の母の裕子が尋ねる

「東京の本社だ!」(優成)

「…って出世ってことかよ!」(一馬)

「マジかよ…」(修平)

「じゃあ家も探さないとね…」(裕子)

「あ、そっか」

「当然だろ…(あーあ…なんでこんな事に…)」

「でも…どこがいいだろ…」

「うーむ…」


その時、地図を見ていた修平はあることに気がついた。

「あれ?ここって泉坂に近いよな?」

「ん?泉坂だって!?」

「あ、本当だ!」

「そうよ、泉坂ならさつきちゃんもいるし

いいじゃない。」

「よーし!では泉坂に引っ越すと言うことで文句は無いな!?」

「OK!!!」

「俺もOK!!!(…こんなノリでいいのか?)」



こうして、修平以外の者がハイテンションのまま

引越し先は決まった…







さて、放課後の泉坂高校の映像研究部では…

「じゃあ、今から真中と東城が今回の映画のプロモーション映像を

撮る場所の下見に行くということでいいか?」


この若い教師は今年赴任してきた石原裕紀という教師だ。

彼は映像研究部の副顧問となっている

かなり熱意をもっており、そんな彼がいたことで淳平たちの

高校最後の作品はとてもすばらしい出来となった。

ただ、彼はかなりの方向音痴で

今でもたまに校内で迷うことがあるという。


「ま、それでいいんじゃないか?」(外村)

「(…編集を真中先輩がすればいい気が…ま、いいか)

それでいいと思いますよ。」(美鈴)

「どうでもいいじゃん。早くしようぜ。」(小宮山)

「真中!東城さんとふたりきりだからって変な気起こすなよ〜」

(さつき)

「そんなセリフ前にも聞いたぞー!」(真中)

「じゃあ東城、遅くなるといけないから早く行こうよ。」

「うんそうだね。」(東城)

そして、二人は部室から出た

「…で…端本はまたサボりか…」(裕紀)

「「「「…今更?」」」」

「…え?」

話が微妙に遅れている裕紀にツッコミをいれる残った4人であった





一方、

「なあ修平、さつき姉ぇに会いに行くか?」

「おっ!俺も同じことを考えてた所だ!」

「じゃあ行くか!」

「まず高校のほうへ行くか。」

「そうだな。それにひょっとしたら

『真中』って人の顔も拝めるかもな!」

「ああ。どんなヤツかじっくりと見てやる!」


…もちろん『真中』とは淳平の事である





数分後…

「「……迷った……」」

「ヤ…ヤバイぞ一馬…」

「完全に迷ったな…俺たち…」

「「どうしよう…」」

気づくと二人は信号の無い交差点へとさしかかっていた。

何度か来たことのある土地とはいえ、

慣れない土地だったため迷っていた。






そのころ淳平達は…

「さーて早く戻らないとな。」

「うん。結構遅くなったしね。」

淳平と綾は信号の無い交差点へと歩いていった。






「「どうしよう…」」



「どうしたの?」


うなだれる二人。

そこへ女の声がした。

修平と一馬は声がした方を見た。


そして、彼らは出会った。

それは、偶然のような必然だったのかもしれない。


[No.66] 2006/05/15(Mon) 23:50:22
見えない明日・見える未来〜第2話〜 (No.66への返信 / 2階層) - シン

第2話「再会」


修平と一馬は声のした方を見た。

そこにはどこからどう見ても普通にしか見えない少年と

セミロングの艶やかな黒髪が印象的な少女がいた。

「あのー実は道に迷ってしまって…」

修平が問いに答えた。

「どこへ行きたいんだ?」

「えーっと、泉坂高校なんですけど…」

今度は一馬が淳平の問いに答えた。

「それならちょうど良かった。今から戻るところだったんだ」

「え!?そうなんですか?」

「それなら案内してくれますか?」

「うん、いいよ。じゃあついてきて」

綾は快く引き受けた。

「「良かった〜」」

これにより胸をなでおろす2人であった。




「そういえばなんで泉坂高校へ?」

途中、淳平が尋ねた

「俺たちここに引っ越したばかりなんだけど」

「泉坂高校にいとこがいるから会おうと思ってたんだ」

「へー、いとこがいるんだ」

「いとこか…そういえばさつきが今日何か言ってたけど…」



数時間前…

「それでね、今日からいとこがこっちに引っ越してきたのよ」

「北大路のいとこか…それって女の子?」

外村が例のごとく(?)さつきに訊いた。

「残念。男だよーん。」

「そうですか…」

「「「「………」」」」

呆れて物が言えない淳平をはじめとする4人

(裕紀は部室に来る途中で迷っている)

「でもさつきのいとこか…会ってみたいな」

「確かにあたしも先輩のいとこに一度会ってみたいですね」

「じゃあ、一度呼んであげるよ。でも、あっちから

訪ねてくるかも」

「でも、それはさすがにないと思うよ北大路さん」

「うーん…でもあいつら2人は本当にわかんないわよ」

「ウィーッス、やっとついたぞー!」

「…先生…また迷ったんですね…」

呆れる美鈴(実際には全員呆れているが)

そしてこれにより話は中断するのであった。




「…今、『さつき』って言いましたよね?」

「ん?それがどうした?」

「それって北大路さつきのことですよね!?」

「あ、あぁ」

修平の剣幕に淳平は押されっぱなしだ。

「やっぱりか〜」

「実はこいつ(一馬)はさつきのいとこなんですよ」

「えぇっ!?じゃあ北大路さんが言ってたいとこって

君たちなの!?」

「んー、まあね…」

「それなら、部室にすぐに行こうよ真中くん」

「そうだな」

「「真中!?」」

「…え?」

「ど…どうしたの?真中くんがどうしたの?」

「「ま…まさかな…」」

「「…ありえねーーー!!!!」」

どう見ても普通にしか見えないこの少年が

さつきの意中の男の

『真中』であるというのは修平と一馬にとって

まさに『ありえねーーー!!!!』ことだった。

「「???」」

そんな2人の様子が全く理解できない淳平と綾は

首をかしげることしかできなかった。





さて、映像研究部の部室に4人は入った。

「ん?だれだ?その2人は」

外村が尋ねると同時に

「あーっ!一馬に修平じゃなーい!」

「「!!!(来る!!!)」」

さつきはいきなり2人にその胸を押し付けた!

「「「「「「!!!!!!」」」」」」

その場にいた全員が驚いた

「あ…あの北大路が真中以外に…」

「う…羨ましいぞあいつらー!」

「せ…先輩…正気?」

「き…北大路さん…?」

「さ…さつき…大丈夫か?」

「あ…ありえない…」

「「むぐっ!むがむごむー!!!(や、やめろー!)」」

「い…一体北大路に何が…?」




それからしばらくして…


とりあえず自己紹介した

「へ〜きみが北大路のいとこか〜」

「えぇ。俺がいとこの一馬です」

「で、こいつは居候」

「おい!って言っても否定できないんだよな〜」

「あ、それから俺は火野修平です」

修平は確かに居候である

「それにしてもでかいな…本当に中3か?」

小宮山が疑問に思うのも無理はない。

一馬の身長は178cmもあり

さらに修平に至っては184cmもある

「修平についてはよく分からないけどとにかくあたしの家系は

発育がいいのよ発育が」

「…なるほど(だからさつきの胸はあんなに…)」

淳平は妙に納得した

「あ、そうそう、修平がなんで居候しているかについては

訊かないでね。修平はかなり辛い思いしてるから」

「あ、あぁ」

「分かった。」

「そうね、秘密にしておいたほうがいいこともありますしね」

「そういえば一馬くんたちってあんまりこのあたりに

慣れてないよね?」

「うぅ…そうなんですよ東城さん…」

「ここに何度か来た時にさつき姉ぇに案内してもらったけどな」

「じゃあ、あたしたちで泉坂を案内してあげない?」

「東城さんそれ名案!」

「あたしもいいですよ」

「俺もその話乗った!」

「それじゃあ明日の部活は一馬と修平を案内するということに

しよう!」

「先生!最後だけ話に入ってこないでくださいよ!」

「「「「「「「ハハハハハ!!!」」」」」」」

淳平のツッコミで部室内に笑い声がこだました。





こうして、修平と淳平は出会った。

そしてこの時より彼らの運命は少しずつ動き出した…


[No.67] 2006/05/17(Wed) 00:44:24
見えない明日・見える未来〜第3話〜 (No.67への返信 / 3階層) - シン

第3話「泉坂珍道中 (前編〜テアトル泉坂〜)」


9月2日土曜日AM10:00 泉坂高校前

「よーし、みんないるな?」

裕紀が確認する。

「みんないるぜ」

「そうか、じゃあ行くか!」

「…って、どこに?」

美鈴のキツイ突っ込みが入る。

「それに先生に任せたら絶対迷うしな。」

外村もキツイ突っ込みを入れる。

「うっ…」

もう何も言えない裕紀であった。

「これって、どういうことですか?」

修平が近くにいた綾に小声で尋ねる。

「先生はすごい方向音痴なの」

「…それでよく先生ができるな…」

ある意味感心する修平であった。

「そういえば、一馬くんたちって、映画はよく見る?」

「俺たちよく見るよな。一馬」

「あぁ。結構見るよな」

「それならいい映画館があるからそこに行こうよ」

「あっ!先輩それって…」

「そ、あそこだ」

「それに、あそこの近くには俺の知り合いもいるしな」

「知り合い?」

よく分からない一馬。

その時綾が一瞬複雑な表情をしたのを修平は見逃していなかった

「とにかく行こうぜ」

「あ、あぁ」






それからしばらくして…


「(どこへ行くんだ?)」

疑問を感じる修平。

「あっ、先に寄っていこうか」

そう言って淳平は一軒のケーキ屋

「パティスリー鶴屋」に入っていった。


「あっ、淳平くんじゃない!」

「えっ?淳平?」

店の中には2人の少女がいた。

「西野…となんで唯がいるんだ!?」

驚く淳平。

「「?????」」

やっぱりよく分からない修平と一馬。

「あたしは西野先輩にちょっと会いにきただけだよ」

「は、はぁ…」

うなずくしかできない淳平。

「それにしてもみんなで来るなんてね〜…ところで淳平くん、

その2人は?」

「あ、こいつらね。」

さつきが答える。



それからしばらくして…

「へ〜さつきちゃんのいとことその居候か〜」

堂々と言う唯。

「(否定できない…ってゆーか、これで高2!?)」

自分よりずっと小さい唯に軽く驚く修平であった。

「でも、まさか映研総出で、案内するなんてね〜」

「あ〜あ、あたしも行きたいな〜」

「それならつかさちゃんも行って来ればいいじゃろ」

鶴屋の店長のおばあさんが言った。

「え?いいんですか?」

「いいもなにも、本当はきょうはつかさちゃんは休みの日

なんじゃよ」

「え!?そうでしたっけ!?」

「に、西野さん…」

「おいおい…西野…」

軽くこける綾と淳平。

「じゃあ唯も行く!」

「よーし、それじゃあ改めていくか!」

「「(…だからどこへ!?)」」



少し歩くとそこには映画館があった。

「ここだよ」

淳平が指を指した

「「テアトル泉坂?」」

「おぉ、誰かと思ったら淳平につかさちゃんじゃないか」

「「あ、館長」」

「それにしても、みんなどうしたんじゃ?」

「ちょっと映画を見せたくて…」

「そうか、久しぶりの客か」

「「…おいおい、大丈夫か?ここ…」」

さすがに不安になる修平と一馬。

「とにかく入ろうよ。それにここの映画ってどれもいいものばかり

なんだぜ」

「へぇ、それは楽しみだな〜」

「俺も楽しみだぜ」

一瞬よぎった不安をすぐに消し去り映画に期待する二人であった



そのころ、館長の豊三郎はあることを思っていた。

「(あの修平君という子…淳平や周君の時も思ったが…

健治君のようないい目をしている…)」

豊三郎は、ある少年を思い出していた…




そして、映画が始まった。

その映画は淳平がここにはじめてきた時に見た映画だった。

「(…やっぱり…この主人公…俺に似てる…)」

「(俺も決めなきゃいけないんだよな…)」

「(みんなのために…自分のために…)」

淳平はそんなことを思っていた…





そして、映画は終わった。

「すげぇ…大分昔の映画だけどそんなの関係なしにすげぇ…」

「やっぱり修平もそう思うか?」

「だろ?ここの映画って本当にいいだろ?」

「それじゃあまた来てくれよ。待っておるからな」

「館長さん。もちろん、また来ますよ」

「淳平もつかさちゃんも来てくれよ〜」

そして、一行はテアトル泉坂を後にした。





「(…やっぱり思い出すのう…あのころの健治君を…)」

「(修平君や淳平を健治君が見たらどう思うじゃろうなぁ…)」

「(そう考えるとすっかり変わったのう…)」

豊三郎は本当なら今映画監督をしているだろう男のことを

考えていた…


[No.68] 2006/05/20(Sat) 23:31:08
見えない明日・見える未来〜第4話〜 (No.68への返信 / 4階層) - シン

第4話「泉坂珍道中 (中編〜駄菓子屋『中屋』〜)」


テアトル泉坂を後にした一行はいろいろな所をまわっていた。

(道中、天地やこずえにどういうわけかでくわし、

修平と一馬を紹介するたびに「これが中三!?」と驚いた。)

「次はどこへ?」

修平が淳平に尋ねた。

「次か…」

「あ、ちょっと寄りたい所があるんだけど」

いきなり綾が言い出した。

「え?どこに?」

「ちょっとした駄菓子屋なんだけど…いいかな?」

「駄菓子屋?」

心当たりのない淳平は首をかしげた。

「駄菓子屋って…あっ!」

「ん?北大路、どうした?」

外村が尋ねる。

「東城さん、それって…」

「え?ひょっとしてあそこ?」

つかさと唯にも心当たりがあるらしい。

「???」

ますます訳の分からなくなる淳平。

「駄菓子屋…まさか…」

裕紀の顔色が変わった。

「どうしたんですか?先生」

顔色が変わった裕紀に美鈴が尋ねた。

「い、いや。なんでもない!」

慌てて、『何か』を否定する裕紀。

「じゃあとにかく行こうよ」

綾、つかさ、さつき、唯の4人が先導する。

「「「???」」」

わけも分からずついて行くしかできない

淳平、修平、一馬の3人であった。

(正確には小宮山と外村兄妹もだが)





しばらく歩くと1軒の駄菓子屋に着いた。

「なんだここ?『中屋』?」

「こんな所に駄菓子屋があったなんてな〜」

驚く淳平。

「やっぱりここかよ…」

対してうなだれる裕紀。

「「??」」

裕紀の行動が理解できない外村兄妹。

「とにかく入りましょ」

綾がうながした。


中屋に入ると若い店員が3人いた。

「いらっしゃい…って、久しぶりだな東城。…で、なんで

裕紀までいるんだ…」

まずこの3人のリーダー格(?)と思われる男が入ってきた綾に

声をかけた。

「(東城の知り合い?)」

「おいおい、今日は西野に北大路そして南戸までいるじゃん」

続いてどこか野球選手を思わせる体格の男が話しかけた。

「(???この人達との関係って…?)」

余計わけが分からなくなる淳平。

「で、何の用だ?」

そして、3人目の眼鏡をかけどこか無愛想な感じのする男が

言った。

「(この人達って一体…?)」


それから…

「そうか、映研メンバー総出で2人を案内してたのか」

「そういうことだ」

「おっと、言い忘れてた。俺は中間健治ここの店主だ」

「で、俺は松井英雄。健治や裕紀のガキの頃からのダチだ」

「一ノ瀬広樹だ」

3人が自己紹介した。

「ところで、東城達とはどんな関係が?」

淳平が気になっていたことを尋ねた。

「ま、お得意様ってところか?」

健治が答えた。

「ちなみにあたしは東城さんにこの店を教えてもらったのよ」

「えっ!?さつきちゃんも!?」

唯が驚く。

「あたしは唯ちゃんに教えてもらったから

最初に知ってたのは東城さんになるね」

「うん。そういうことになるね」

つかさの問いに答えた。

「そういえば、一つ訊きたいですけど…少なくとも松井さんは

泉坂出身ですよね?」

外村が英雄に尋ねた。

「おっ、よく知ってるな〜。確かに俺も健治達も泉坂出身さ」

「やっぱりか〜。何かで聞いたことがあるからな」

「そりゃそうさ。俺は10年前の高校野球で優勝した時の

一年生エースだったからな」

「「「「「「「「「「え!?」」」」」」」」」」

「もっとも、あの時に肩をやったから掛け持ちだった映研に

専念したけどな」

「映研って…松井さんもそうだったんですか?」

淳平が尋ねる。

「ああ、裕紀も含めてここにいるのはみんな元映研さ」

「そ、そうなんですか!?」

「ってことは、俺たちの大先輩かよ!」

小宮山も驚く。

「もっとも、あの時のメンバーの一人は…

「広樹、健治にとってそれは禁句だろ」

裕紀が制止する。

「…ああ、そうだな」

「(一体何があったんだろう…それに、中間さんの目からは

なんだか悲しい雰囲気が出てる…)」

淳平は健治の『悲しいオーラ』を感じ取っていた。


「それにしても、ここって品揃えがすごいな〜」

単純に驚いている一馬。

「確かに…そう見つからない物もありますよ…」

やはり驚く美鈴。

「ま、いろいろなルートで手に入れた物もあるな」

健治が答えた。

「ルート…?」

健治の言葉で裏があると直感した修平であった。

…もっとも、あるといえばあるのだが…

「(…バレてないよね…?)」

実は彼らの『裏』を知る綾は冷や汗を流していた。





「では、おじゃましました〜」

「いつでも来てくれよ〜」

そして、一行は中屋を後にした。


「…あいつが真中か…」

「…どうした?」

健治のつぶやきに広樹が反応した。

「確かに、裕紀の言う通りだ…あいつの目は昔の俺に似ている…」

「…そうだな」

「今なら…東城の気持ちも…真矢の気持ちも分かる気がする…」

「…そうか、だが…いつまでも真矢のことを引きずるのは

やめろよ…」

「………ところで…あの火野って言ったっけ?あいつも

俺に似ているな…」

「ああ…あの2人…真中と火野…

あいつらはなかなか面白そうだ…」

「角倉もそうだったしな…どうやら、俺たちの意志は受け継がれて

いるみたいだな…」

「おーい、健治、広樹、もどってこーい!」

英雄が呼んでいる。

「ああ、すぐ戻る。」


「(…真矢…あの頃の志は受け継がれているぜ…)」

健治は胸のペンダントにいる少女に語りかけていた…

その少女の顔は…まさに綾そのものだった…



こうして、1997年の1月14日に

人生の一つの節目を迎えた修平、綾、健治の3人が

泉坂の地に集まった…


[No.69] 2006/05/22(Mon) 01:14:59
見えない明日・見える未来〜第5話〜 (No.69への返信 / 5階層) - シン

第5話「泉坂珍道中(後編〜映像研究部部室〜)」




「真中さん、映研で作った作品を見せてくれませんか?」

案内ももう終わりという時、修平が言った。

「あ、それ同感」

「そうね、あたしも見てみたいな」

一馬とつかさも同意した

「え?まだ編集中だけど…」

「いいってそんなこと」

「そうだな。修平くんがそう言ってるし見せるか」

裕紀が許可した。

「じゃ、行くか」

一行は泉坂高校に向かった…





映像研究部部室

「まだ編集中だけど、これが今年の作品だぜ」

そう言って淳平はテープを回した。

「おっ、始まるな」

「楽しみだな修平」

そして、映画が始まった。






そして、話は進み…

この映画のクライッマックスである綾が扮するヒロインの

告白シーンが来た。

『でもあなたが好き。ずっとずっと好き…』

「(…一馬…気づいたか?)」

「(気づかないわけが無いだろ…)」

2人は気づいていた…綾の本音に…

もっとも、さつきからいろいろ話は聞いていたのだが…

「(……東城さん……)」

つかさは複雑な心境だった…

つかさもまた気づいていた…





「どうだった?」

映画が終わり淳平が尋ねた。

「すげぇ…こんなのが作れるなんて…」

「さすがですね…」

2人はこの作品を絶賛した。

「ホント淳平くんはすごいよ。こんなにすごいのが

できるなんて」

つかさも絶賛した。

その表情はどこか複雑だったが…


「あ、そういえばちょっと東城さんに話が…」

いきなり修平が切り出した。

「修平、どうした?」

「どうしたの?修平くん?」

「なんだなんだ?ひょっとして何かいやらしいことでも?」

「外村、ブラックジョークはほどほどにな」

さすがに裕紀が止めた。

「でも…なんで東城に?」

淳平が尋ねる。

「ちょっと、監督である真中さんじゃなく、脚本家の

東城さんに訊きたいんで」

「うん、わかった。」

綾は快く了承した。

「ちょっと、別の部屋で話がしたいけど…あと一馬も来てくれ」

「ん?あぁ」

一馬も修平と綾について行った。

「なにを綾ちゃんに訊く気なんだ?」

小宮山が疑問に思う。

「ちょっと、見てくる」

美鈴が言った。

「あぁ。何も無いと思うが見てきてくれ」

外村が頼んだ。





その頃…

「このシナリオって東城さんが書いたんでしょ?

すごいですねー」

「あ、ありがと…」

「確かに修平の言うとおりこれは普通じゃ書けないって」

「で、本題なんですけど…」

「ん?何?」

「東城さんって真中さんのこと好きですよね?」

「え、えぇぇっ!!!???」

綾は一瞬で顔が真っ赤になった。

「ちょ…ちょっと、そんなこと…」

「じゃあ、あの告白のシーンは何なんですか?」

「あ、あれは演技だって…」

「うーん…でも修平の言うとおりだと思うぜ」

「ちょ、ちょっと一馬くんまで!!!」

激しく慌てる綾。

「ま、俺は決して冷やかしたりする気じゃないぜ

俺はただ東城さんと真中さんの関係が知りたいだけさ」

「確かにさつき姉ぇからいろいろ聞いたことがあるけど、

真中さんについてはまだよく分からない。

正直、なんでこの人が!?って思ったしな」

「だから、俺は真中さんについてよく理解したいだけなんだ」

修平は自分の考えを言った。

綾は少し考えた後、淳平について、

そして、自分自身の淳平への想いもゆっくりと

語りだした…



「(…あの東城先輩が…普通に真中先輩とのことを

話してる…)」

「(あの2人…最初から思ってたけど…なんかすごい…)」

「おーい、美鈴どうだ?」

外村がやってきた。

「シッ!」

「ん?」

「邪魔しないほうが、いいみたい。あの東城先輩が本音を

バラしまくってるしさ」

「あの東城が…?」

「そう。だから戻ろうよ」

「あぁ」






「…俺、すげー感動した!」

一馬はほぼ半泣き状態だった。

「あぁ。東城さんにそんなことがあったなんてな」

「それに、真中さんのいいところが少し分かった」

「俺、立場的にはさつき姉ぇを応援するべき立場だけど、

さっきの話聞いたらそんな事言ってられないぜ…」

「修平くん?」


「俺は決めた。なんとしても東城さんに幸せになってもらいたい。

だから、なんとしても真中さんに東城さんを選ばせる!」

修平は決断した。

「修平……よーし、なら俺も修平に同意するぜ!」

「え…修平くん…一馬くん…」

修平と一馬はこの時、目的が一つできたのであった。




そのころ

「どうだった?」

淳平が尋ねる。

「あぁ、大丈夫だったよ。もっとも、邪魔しないほうが

よかったからさっさと帰ってきたわけだけどね」

美鈴が答えた。

「邪魔しないほうがいいって…?」

「俺はノーコメントにしとくぜ」

「あたしも兄貴と同じ」

「?一体何があったんだろう…」

「(…何だろう、この胸騒ぎ…淳平くんを東城さんに

取られそうな…)」

「(でも、どうして?あの2人ってさつきちゃんを応援する

立場よね…?)」

つかさは得体の知れない不安を感じていた…


[No.70] 2006/05/25(Thu) 00:24:56
見えない明日・見える未来〜第6話〜 (No.70への返信 / 6階層) - シン

第6話「決断」



「そういえば、16日ってあたしの誕生日だよね」

帰り道、つかさがこう切り出した。

「あ、そうだよな」

「だからさ、16日はあたしとデートしない?」

「あ、あぁ分かった。それならどこに行きたい?」

「うーん、どこにしよう…    」


そんなこんなでつかさとのデートが決まった。




16日、桜海臨海公園

「15分前についたっと…早すぎたかな?」

「えらい!15分前行動!」

「…あちゃ〜西野の想定の範囲内だったか…」

「淳平くん、それじゃ行こうよ!」

「お、おい!ちょっと待ってくれー!!!」

「のんびりしてるとおいてくぞー!」

「待ってくれー!西野ー!(相変わらずマイペースだなぁ…)」

いきなりつかさに主導権を握られる淳平だった。




さて、珍しく何事もなくデートは進み

(もっとも、つかさに主導権を握られたままだが)

もうデートも終わりというような時間になってしまった。

注・シンがサボっただけだろってツッコミは無しでお願いします


「もうこんな時間か〜」

「うん、そうだね」

「ん?どうしたんだ西野?」

「(…東城さんもさつきちゃんもごめんね。

でも……これだけは譲れないの)」

つかさは決断した。

「淳平くん、ちょっと行きたいところがあるんだ」

「え?どこ?」

「とりあえず、ついてきて」

「お、おい!西野!!!せめてどこに行くかだけは!」

「それはまだ秘密!」

「えーっ!マジかよ!!!(あーあ…結局西野にペース握られた

ままかよ…)」

つかさに言われるままついていくしかできない淳平であった。




「あれ?ここって、俺たちの中学じゃん」

「うん。ここに来たかったの」

「え?」

そう言うと、つかさは鉄棒の前に行った。

「(!確か2年半ほど前は俺が西野に…!)」

淳平の頭の中にあの日の出来事がよみがえった。

そうこうしている内につかさは鉄棒を握っていた。

「西野!?まさか!?」

そして、つかさは懸垂をはじめようとした。

「お、おい!いくらなんでも西野には危ないって!」

淳平が止めようとする。

だが、つかさは淳平の制止を無視して懸垂を続けようとする。

そして、つかさが口を開いた。


「淳平くん…あれから今までいろいろあったけど、

やっぱりあたしは淳平くんのことが好き!」

「だから、またあの頃のようにあたしとつきあってください!」


つかさはついに自分自身の想いを伝えた。

「に…し…の……」

「(…俺も…答えを出す時なんだな…)」

「(なら…俺の答えは……!)」


「…俺も、西野のことがずっとずっと好きだ!」

「だから…俺とまたつきあってくれますか!?」

「…淳平くん……ありがと…って、キャアッ!?」

つかさは鉄棒から落ちてしまった。

「西野!大丈夫か!?」

「うん、あたしは平気。それより淳平くん…」

「あぁ、俺はもう迷わない。西野をまた悲しませたくないからな」

「淳平くん…!」

つかさは淳平に抱きついた。



「西野…」


「淳平くん…」





2人は目をつぶった。





そして、ゆっくりと2人の唇が重なった…





それは、2人の想いを確かめるかのようなキスだった。








しかし、これが後に大きな波乱と悲劇の元となろうとは


この時、だれにも予想できなかった。







同時刻、テアトル泉坂

「おお、健治君ではないか」

「館長さん久しぶりです」

「そうじゃ、健治君に来客じゃ」

「来客?」

「中間先輩、お久しぶりです」

「お、お前は角倉!?久しぶりだな!」

現在、若手No1映画監督と言われる角倉周と、健治は

普通に話していた。


「いやー久しぶりだなぁ。調子はどうだ?」

「ま、いい感じに映画ができてるよ」

「そうか、それなら安心だ」

「あ、そういえば栞ちゃんは元気にしてる?」

「あぁ、黒川か?それなら裕紀に訊いた方が早いぞ」

「あ、そうだったっけ」

「ま、いいや。館長さん、今日はあの映画を見せてくれ」

「あれじゃな。分かったすぐに準備する」


「あれっていうと健治さんが映画監督になろうとした

きっかけの映画ですね」

「あぁ。2週間ほど前にちょっとおもしろいヤツを見たんだ」

「だからちょっと、またあの映画が見たくなったからな」

「へー…おもしろいヤツですか。」

角倉は興味津々だ。

「ちょっと会ってみたいですね」

「ま、近いうちに会うかもな」

「ははは。そうかもしれないですね」

「おーい!準備ができたぞー!」

「お、そうか!」

「じゃあ僕も久しぶりに見ようかな」

そして、2人は映画を見るために入っていった。






さて、こちらは

「じゃあ淳平くんまたね」

「あぁ、またな西野!」



「(やった…これでまた西野とつきあうわけか…)」

「(東城やさつきには悪いと思うけど…でも、こうなったら

嘘はつけない)」

「(つぎの学校の日に伝えないとな…)」




「(これで、やっとまた淳平くんの恋人になれた…)」

「(あとは東城さんとさつきちゃんよね…)」

「(東城さん、さつきちゃん、悪いけど淳平くんは

渡さないから……どんな手を使っても…)」

(ちなみに、こずえについてはつかさはほとんど知らない

ということを忘れないでほしい)


[No.72] 2006/05/28(Sun) 01:37:34
見えない明日・見える未来〜第7話〜 (No.72への返信 / 7階層) - シン

第7話「涙 (前編〜強く弱い心〜)」



9月19日火曜日(18日は休日のため)

「おっはよー!真中ー!」

いつものように(?)さつきが飛びついてきた。

(クラスが違うはずなのだが)

「おわぁぁぁ!?さつき!?」

ドシーン!

淳平は防御に失敗しさつきに押し倒された。

「さ、さつき!やめろ!」

「なーに言ってんのよ。いつものことじゃない!」

「あのなぁ…」

「ねぇ真中、そろそろ文化祭も近いし大事な話がしたいんだけど」

「だ、大事な話?」

「昼休みに2年前に行った校舎裏に来て。話はそこでするから」

「…俺がさつきに想いを打ち明けたあの場所か」

「…分かった。俺も話さなきゃならない事があるからな」

「…うん、分かってる。今日の真中…なんか変だもん」

「そうか…やっぱり気づいてたか」

そして、さつきは自分のクラスに戻った。

「…真中、どうしたんだ?」

「外村、俺はもう決めたから」

「…そうか、なら俺は真中の邪魔はしないでおこう」

「誰を選んだにしてもな…」

「あぁ」



昼休み・校舎裏

「さつき、話って?」

「真中、あたし真中のことが大好き!だからもう今までみたいな

曖昧な関係じゃなくてあたしと付き合って!」

淳平は少し考え込んだ。

「(どう言えばさつきのためになる?)」

そして、敢えて非情に徹することにした。

「さつき、俺はもうさつきを笑わせてあげることはできない」

「俺はもう西野と付き合うことにした」

「え……!?そ…ん…な…」

「さつき、ごめんな。だけどこれは今まで曖昧な関係を続けて

さつきを悲しませた俺なりのけじめなんだ…」

「…そんな…そんな……うぅっ…」

「…さつきは俺なんかよりいいやつを好きになったほうが

いいと思うよ。少なくとも俺なんかじゃさつきと付き合っても

さつきを悲しませるようなことばかりするだろうしな…」

「ま…真中…うわぁぁぁん!」

硬いダイヤモンドが壊れやすいように

さつきの強い心も壊れやすかった…

さつきはついに大声で泣き出してしまった…

「(さつきがこんなに泣くなんてな…)」

「(さつき…ごめん。でもこうしなきゃならなかったんだ…)」

淳平はさつきのもとを立ち去った…




「見てたぞ真中」

「外村、見てたのかよ」

「西野に決めたのか」

「あぁ、そうだ」

「次は東城か…」

「あぁ、東城にも嘘はつけないそれが俺なりのけじめだ」

「…そうか」




そして、放課後…

「真中くん?」

「東城、話があるんだ屋上へ来てくれ」

「…うん、分かった」

綾は勘付いていた。

これは告白だが告白ではないということに…


[No.73] 2006/05/29(Mon) 00:08:40
見えない明日・見える未来〜第8話〜 (No.73への返信 / 8階層) - シン

第8話「涙 (後編〜天地の信念〜)」



屋上…

「真中くん話って?」

「東城、何も隠さずに言うな」

「俺…東城の気持ちには気づいてた。だけど…」

「俺…西野と付き合うことにしたから」

「だから俺はもう東城の気持ちには答えられない」

「だから…ごめん」

「…うん…分かってる。大体分かってたんだ、今日の真中くんは

何か変だったから」

そう言う綾の顔には涙が流れていた。

「…ごめんな、ずっと曖昧なままで」

「ううん、謝るのはあたし…真中くんには西野さんがいるって

あの頃から分かってたのに…それなのにあたしの想いを

押し付けようとしてたから…」

「東城…」

「真中くん、ごめんね……ご…めん…ね…」

「う…ううっ…」

綾はその場を立ち去った…

大粒の涙を流しながら…




しばらくして…

「…真中」

「外村か…」

「…それだけじゃないぜもう一人いるんだ」

「え…天地!?」

外村の横には天地がいた。

「真中、お前は今綾さんを振ったな?」

「あぁ、そうするしか無いしな」

「…なら僕が綾さんをもらってもいいわけだな…って当然か」

「あぁ、俺ではもう東城を笑わせることなんてできない」

「東城が俺を想い続けたら東城は苦しむだけだ」

「だから、東城に俺のことを忘れさせてくれ」

「東城を悲しませておいてこんなこと言うのも身勝手だけどさ…」

「…分かった。なら僕はお前の頼みを受けよう」

「だが…僕は綾さんが一番幸せになれる方法をとるつもりだ」

「え?」

「安心しろ、別にお前とつかさ君の仲を引き裂くような真似は

しない」

「そもそも、そんなことで綾さんをお前の恋人にしても

綾さんは決して幸せにはならないからな」

「(ホッ…)」

さすがに内心安心する淳平であった。

「…男が関わるべきでない問題もある」

突然天地が言った。

「え?それってどういう…?」

「僕は場合によっては綾さんを諦めて

綾さんの友人に綾さんのことを頼むつもりだ」

「それに、今日はもう友人の真紀君を呼んでおいたから

このまま真紀君に綾さんのことを全て任せようとも思う」

「時にはそっとしてあげる…

それもまた女性を大事にする方法の一つだと思っている」

天地は綾の幸せのためなら恋すら諦めると言っているのだ。

「…そうか、東城を諦めるのは辛いと思うけど…それでも

やってくれるのか…天地、ありがとう」

「礼を言われるようなことじゃない。ただ当然のことを

するだけさ」

「それより、北大路くんの方が心配だ」

「え?」

「確かに…北大路のヤツすごく泣いてたもんな…」

外村は昼休みのことを思い出した。

「まあ、それこそ僕の出番かも知れないな…」

「まあそうかもな」

外村が同意した。

「(天地…ホントはいいやつなんだな…)」

淳平は意中の女性の幸せのためなら

自分の恋すら諦める天地に感謝していた…


[No.74] 2006/05/29(Mon) 01:18:46
見えない明日・見える未来〜第9話〜 (No.74への返信 / 9階層) - シン

第9話「一時のテンション」



淳平と天地の話の数分前…

「うぅっ…」

「綾さん…」

「え?天地くん…?」

「東城…」

「綾ちゃん…」

「…外村くんに真紀ちゃんも?」

「天地と真紀ちゃんは俺が呼んでおいたんだ」

「では真紀くん、綾さんを頼むよ」

「うん。じゃあ綾ちゃん、ちょっと帰ろうか」

「うん…迷惑かけてごめんね…」

「…天地、行くぞ」

「ああ」

そして、前回の淳平と天地の話となる。



帰り道…

綾はその後も真紀に付き添われていた。

「あれ?東城さん?」

「あれ?本当だ」

「修平くんに一馬くん?」

「え?綾ちゃん、この人のこと知ってるの?」

「うん、ちょっとね…」

「それより、東城さん…なんで泣いているんですか?」

修平が尋ねた。

「うん、実はね…」

真紀は先ほどの一件について話した。



「…何だって?」

「…ふざけんなー!!!!」

先日、綾の恋を応援するといったばかりであるだけあって、

この事実は衝撃的であった。

「…でも…俺に何ができたんだ?」

「あ…」

怒りと同時に自分の無力さに気づいた。

「…くそっ!」

「ううん、気にすることは無いから……うぅっ…」

「東城さん…」

と、ここで修平はあることに気づいた。

「…あれ?だとすれば…」

「どうした?修平」

「俺たち…一時のテンションで東城さんを応援するって言ったけど

だとすればさつき姉ぇのフォローはどうするんだ?」

「………………………………………あ、忘れてた」

すっかり身近な人物のことを忘れていた二人。

「俺たちって…」

「馬鹿かもしれない…」

「一馬、これじゃ『かも』じゃなくて完璧に馬鹿だぜ」

「…クスッ」

「…ふふっ」

思わず笑いがこぼれる綾と真紀であった。


「(…考えてみれば元に戻っただけだよね?)」

「(ただの片思いに…)」

「(あたし…まだ真中くんを見ていてもいいよね…?)」





次の日の昼休み…

問題のさつきは…みごとに復活していた。

ただ、隣に天地がいるが。

「さつき?なんでまた天地と?」

さすがに淳平が尋ねた。

「うーん、なんと言うか…ねえ、天地」

「これは…あれだ、さつきくんへの僕なりのけじめかな?」

「?(天地…さつきの呼び方変わったな…)」

「僕はさつきくんのおかげで今まで綾さんにアタックできたと

思っている」

「何しろ昔の僕ならさつきくんほど積極的にはなれなかった

だろう。でも、僕はさつきくんと出合ったから少し前のように

綾さんに思い切ってアタックできたと思う」

「あ…だから東城があの頃はいろいろ迷ってたんだ…」

「天地が思い切った行動に出たから…」

「で、そうできたのはさつきのおかげって訳か」

「そうだ、だからその恩返しのために今こうしてさつきくんの

そばについていることで少しでも心の傷を癒してあげようと

しているわけだ」

「へ〜…」

「ま、あたしも天地といる時間って結構楽しかったから今

こうしているのよ」

「そっか…でも…東城はどうだろう…」

「…綾さんは……」

そこで言葉が少し詰まった。

「まあ大丈夫だろう。綾さんを支えてくれる人がいないわけじゃ

無いわけだし、そこまで綾さんは弱くないさ」

「…そうだよな、東城も大丈夫だよな」

「あ、そうだ、天地!さつきは頼んだぞー!」

「ああ。言われなくてもな!」

「あたしももう真中がいなくても大丈夫だからねー!」

こうして、さつきの淳平への恋は終わった…


「(でも…天地はあの時何を言おうとしたんだ?)」

「(何であそこで一瞬詰まったんだ?)」

「(天地…一体何を考えているんだ?)」

「(それに東城は…)」

淳平は天地の言葉に疑問を抱いていた…


[No.79] 2006/05/31(Wed) 19:13:13
見えない明日・見える未来〜第10話〜 (No.79への返信 / 10階層) - シン

第10話「泉坂高校の事件簿」



嵐泉祭をあと2週間後に控えた9月20日より泉坂高校では

ありとあらゆる騒ぎが起こっていた。



まず、天地とさつきが付き合いだしたという事件(?)が

話題となった。

これにより、天地派の女子によるさつき叩きや

さつき派の男子による天地叩きが起こると予想されたが、

全く起きなかった。

この凸凹コンビならぬ凸凹カップルは意外にお似合いだった。

なおかつ、さつきはその性格ゆえ女子からも人気があったので

誰もこの2人を邪魔しようとはしなかった。




もう一つの大きな事件は綾が突然いつも以上に暗く消極的に

なったことだろう。

この原因についてはすぐに失恋が原因だと断定された。

(この時、淳平とつかさが付き合いだしたという噂が流れていた)

この時よりまず淳平に白い目が向けられた。

なにしろ、綾が淳平に思いを寄せているというのは

すでに共通の認識だったためである。

これにより淳平が集団リンチに遭いそうになるということが

しばしば起こっていた。

もっとも、直前でどういうわけか天地とさつきが止めに入るので

何事もないのだが…


また、暗黙の了解として二つのことが決められた。

一つ目は、「今はそっとしてあげよう」ということである。

まあ、当然と言えば当然である。

(実は失恋のショックにより

ドジ発生率が通常の『3倍』になっている。

ちなみにこの『3倍』に某ロボットアニメとの関係は一切無い)

二つ目は、「今が落とすチャンスと思うな」である。

簡単に言えば、『東城はもともと真中しか眼中に入ってない。

振られた今でもこの状態なら誰にも落とせるはずが無い』

ということである。

もっとも、この暗黙の了解を無視して綾にアタックを仕掛けた

男が3人いたが、(めんどくさいので以下3バカ)

この3バカはあえなく撃沈した。

さらに、暗黙の了解その1を無視したということでこの3バカは

多数の生徒により『粛清』されたという。

(そのうち1名は現在行方不明とも)






さて、嵐泉祭を3日後に控えた10月1日…

淳平とつかさはデートしていた。

「そういえば淳平くん、最近なんか変だよ」

唐突につかさが尋ねた。

「あ、あぁ実は…」

淳平は今までのことを話した。





「…そう…東城さんが…」

「あぁ、だからなんとかしてやれないかなって…」

「それにこのまま放っておくといつか酷い目に遭わされるしさ」

「うーん…なら、あたしに任せて。次に会ったときにちょっと

言っておくから」

「あぁ、悪いな西野」

「もーっ!また苗字で呼んだ!−20点!」

「うげっ!しまった!ごめん西…の…ってあああ!」

「淳平くん!」


「(…東城さん…まだ淳平くんのことあきらめられないのね…)」

「(ならあたしは…非情に徹するしかないわね…)」

つかさはある決意を固めた。



そして、10月4日嵐泉祭…


[No.81] 2006/05/31(Wed) 23:21:36
見えない明日・見える未来〜第11話〜 (No.81への返信 / 11階層) - シン

第11話「大乱闘」



朝、部室に一番乗りした美鈴はあるものを見つけた。

「?」

それは、ちなみの退部届けだった。

もっとも、書いている内容については小宮山のことも考えて

触れないことにしておく。

「(…端本…!)」

この後、美鈴がちなみに悪態をつくが諸事情により

省略させてもらう。

「(…後で小宮山先輩をなぐさめなきゃ…)」

「(あ〜あ…先輩かわいそう…)」




そして、ついに嵐泉祭が始まった。

「よーし、じゃあ一馬、映研に行くか」

「そうだな」

2人はまず映研に向かった。

ちなみに、2人も綾の一件に関する暗黙の了解は

守ることにしているため、今日はおとなしくすることにしている





一方…

「おっ!おーい、つかさー!」

「あっ、淳平くん!」

「よーし、それじゃあ回るか!」

この時、淳平とつかさが付き合っていることを全く知らない

こずえが2人を見てしまった。

「…………え?真中さんに彼女…?」

「お…おい向井…これは、予定外だけど…」

「舞ちゃんっ!これって夢!?悪い夢よね!?」

「向井…どうやら、夢じゃないみたい…ってゆーかあたしの

頬つねらないでよ…痛い痛い!」

「あっ!ご、ごめんね舞ちゃん!」

…あっけなくこずえの恋は終わった…

(こんなこと言うのもアレだが、サボっただけ?)




さて、視聴覚室…

(ちなみに今更だが綾の一件の後、淳平は美鈴に一度シメられた)

「(…東城さん…どんな気持ちでこのセリフを言ったんですか?)」

「(真中さん……なんで…

東城さんの気持ちに答えてあげられないんですか?)」

修平は心の中で問いかけた。



そして、これといった混乱もなく嵐泉祭はおわりを告げた…

「これで今年もおわりか」

黒川が感慨深げに言う。

「そうですね。今年は何事も無くて良かったけど」

淳平が答える。



「それじゃまた明日ー!」

「今度は受験だー!」

「うげっ!そうだった!」

そんなこんなでみんなとは別れた。


「さーて、あたしも帰るか〜」

「つかさ、送っていくよ」

2人は一緒に帰りだした。




一方…

「(…早く…帰ろう…やっぱり今の真中くんと西野さんを見るのは

辛い…)」

綾は急いで帰ろうとしていた。


「おおっ、こいつ映画のヒロインの子じゃねーかよ!」

「うおっ!マジでかわいい〜!」

「おーい、俺達とちょっとこねーか?」

綾は突然10人ほどの暴走族風の男たちに声をかけられた。

どうやら、映画を見ていたらしい。

「ちょ、ちょっと困ります!」

「なんだよ、つれねぇなあ」

「いいから来いよ!」

「ちょ、ちょっとやめてください!」

「(おねがい…誰か来て…!)」

「!東城!?」

「え、真中くん…」

綾の願いが通じたのか、偶然ルートが同じだった淳平が来た。

「!なんだぁ?こいつは?」

「邪魔するんじゃねーよ!」

「やっちまえー!」

「東城!早く逃げろ!」

「う、うん!」

「ちょっと!淳平くん!?」

綾が逃げると同時に嫌な音が聞こえ出した。

「オラァァァ!」

「邪魔してただで済むと思うなー!」

バキッ ベキッ ズゴッ ガスッ!

「じゅ、淳平くん!?」

「あ…そんな…あたしのせいで…」

「おい!どうした!?」

と、そこへ外村たちも異変に気づきやってきた。

「ゲッ!アレって確かこのあたりで一番タチの悪い暴走族じゃ

ねーかよ!」

外村が危険を察知した。

「え!?じゃ、じゃあ淳平くんは…」

「ああ、このままじゃヤバイな…だが、下手に手も出せない…」

「東城先輩、警察には連絡してますよね?」

「う、うん」

「でも、これじゃ警察が来る前に淳平くんが…」


だが、話が単純に進むわけが無かった。

「オラァァァァ!死ね…よ!?」

ゴスッ!

その時、一人が吹き飛ばされていた。

「なんだ!?誰が喧嘩売ってんだ!?」


「やーれやれ、何か面倒なのがいるぜ」

「全くだ、だけど面白ぇ…!やってやるか…」

そこには、修平と一馬が立っていた。

そして、大バトルが…始まったら困るのだが。


[No.82] 2006/06/01(Thu) 00:32:32
見えない明日・見える未来〜第12話〜 (No.82への返信 / 12階層) - シン

第12話「正体 (前編〜銃口〜)」



お詫び・この話は非常に支離滅裂な内容となっております

(単なる予防線?)



「なんだぁ?こいつらは?」

「おい、邪魔する気なら…」

「邪魔する気なら…なんだって?」

「行くぞ、修平!」

「やるか!」

2人はチンピラ軍団に突っ込んだ。



「…ちょっと…これヤバくない?」

「いくらなんでもあの2人じゃ…」

「修平くん、一馬くん…」

心配する一同。

だが…

ゴスゴスゴス!

「オラオラオラオラオラオラ!」(修平)

「こ…このガキぃぃぃ!」

ドゴドゴドゴ!

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」(一馬)

「どっかで聞いたことあるぞぉぉぉぉぉ!」

「でも強ぇぇぇぇぇぇぇ!」

「…あれ?あの2人…」(淳平)

「うん…何と言うか、強いと言うより…」(つかさ)

「非・人間的だな…」(外村)

「あれ〜?なにやってんの?」

「あ、北大路さん」(綾)

さつきが通りかかった。

「北大路、ちょっと訊きたいことが…」

外村が尋ねる間にも2人はチンピラ軍団を『マ●リックス』

顔負けのアクションで倒していく。

「あぁ、あれね…あんなことやろうとおもえばあたしも

少しぐらいならできるよ」

「…確かにさつきって上級生を一撃で沈黙させたことも

あったよな…」

やっぱり妙に納得する淳平。



「なんだ、ザコばっかかよ」

「そうだな」

淳平が妙に納得している間にチンピラ軍団は全滅していた。




が…



「ザコとは言ってくれるじゃねーかよ…」

「お遊びはここまでだ坊主」

ジャッコン!

「「え?」」

明らかに嫌な音がした。

そして2人のこめかみには何か冷たい物が当たっていた。

「おい…一馬…俺には何が突きつけられてる?」

「おい…修平…俺には何が突きつけられてる?」

そして、2人は同時に答えた。

「「銃」」

「「(…終わった…何もかも……)」」

どうやら、さらに上の連中まで来てしまったらしい。





「ちょっと淳平くん!これはさすがにヤバイって!」

「そ、そんな事俺に言われても…」

「だ、だからこのあたりで最悪の連中なんだよ…」

しかも、気づけば周りにはまたチンピラ(暴力団?)

が増えていた。






このまま大量の血が流れ、少女たちの叫びがこだまするのか?

(何が起こるかはご想像にお任せします)







ジャッコン!

だが、もう一度嫌な音がした。

「「「「へ?」」」」

なにも分からない4人(銃を突きつけている男も含む)

銃を突きつけている2人にさらに銃を突きつける者が2人いた。




さらに、周りの男が声を上げた。


「う、うわぁ!よりによって、こいつらが!?」

「なんでここにいるんだよ!」

さらに2人の男が周りのチンピラ共を叩きのめしていた。





「「「「「「「???」」」」」」」

綾を除く7人はこの状況を全く飲み込めない。

(どういう訳か小宮山、天地はいない)

そこには4人の男がいた。

その男達とは…




石原裕紀



中間健治



一ノ瀬広樹



松井英雄の4人だった。


[No.85] 2006/06/03(Sat) 23:29:50
見えない明日・見える未来〜第13話〜 (No.85への返信 / 13階層) - シン

第13話「正体 (後編〜万事屋『東真』〜)」



「な…なんで、あなたたちが…?」

淳平は健治に尋ねた。

「あー、それは後で話すとして、おい広樹、英雄、

そいつらを黙らせろ」

「「分かった」」

「「え…だ、黙らせるって…」」

完全におびえている2人。

(銃口が向けられているので仕方ない)

そして、



ドォン!



同時に発射音が響いた。

そして、2人のチンピラは倒れた。



「…撃った…よな?」

「間違いなく…撃ったけど…」

さすがにヤバイと思う外村兄妹。

「あーこれは強化ゴム弾だから死んでないから」

一応裕紀が答えた。


「ところで、なにやったんだ?」

健治が傷だらけの淳平に尋ねた。

「あぁ、ちょっとこれは…」

言葉に詰まる淳平。

「それより、あなたたちは…」

「何で先生もいるんですか?」

淳平とさつきが再び尋ねる。

「それになんで東城は驚いていないんだ?」

さらに外村が尋ねる。

「うん、それはね…」

綾が答えようとした時…




「テメーらぁぁぁぁぁ!また手柄を横取りかぁぁぁぁぁ!」

ようやく警察が到着。

(ここの警察はどうなっているんだ?)

「うげっ!また上田のとっつあんが来た!」

健治が刑事ドラマに出ても違和感が無い警官に言った。

「だ、誰がとっつあんだ!テメーらはル●ンじゃないだろ!」

「まあこれはお約束じゃん」(英雄)

「まったくだ」(広樹)

「とにかく、ここで何をしたぁ!?」

「はいはい、また泉坂署に行くんでしょ」

「そうだ、ついでにそこの君たちも来てくれ!」

「あ、怪我はそこで手当てするから」

健治が言った。

「え、えぇ!?」

淳平達は半ば無理やり泉坂署へ行くことになってしまった。

(当然といえば当然だが)






しばらくして…

淳平達は先ほどの騒ぎの事情聴取を終えて部屋を出てきた。

(淳平の手当ても同時に行った。

注・どうやら、傷自体はそれほどひどくはなかったようだ)

「やっと終わった〜」

裕紀が言った。

「いつものことじゃん」

健治が裕紀に切り返す。

「あの〜ところであなたたちは…」

淳平が本題であることを尋ねた。


「そうだな、隠してももう意味が無いな」

「なら話すか…」

「(ゴクリ…)」

「俺たちは万事屋(よろずや)だ」

「…は!?」

淳平はこの言葉を飲み込むのに時間がかかった。

もちろん他の者も同じである。

「俺たちは東真という万事屋をやっている。要は何でも屋だ」

「! じゃあ、駄菓子屋はそのカモフラージュってことか…」

修平はすぐに理解した。


「そういえば、噂では聞いたことがあるな…

泉坂に限るが報酬さえもらえれば小さな事でも危険なことでも

やり遂げる万事屋があるって…」

外村が記憶の隅からこれに関する噂を引っ張り出した。

「そう、それだ。よく知ってるな外村」

裕紀が言った。

「ちなみに、東城の親から依頼を受けたこともあるな」

「え!?そうなんですか?」

美鈴が驚く。

「あ、だからあの時東城は驚かなかったんだ…」

「実際に見ているから…」

淳平はようやく理解した。

「ま、俺たちは警察からも一目置かれる存在だ」

「だからあんなもの(強化ゴム弾の銃)も使えるわけだ」



「そうだ、こいつらは今までに潰した暴力団が2つあるからな」

取調室から出てきた上田刑事が言った。

「え!?」

「ぼ、暴力団を潰すって…」

つかさが驚く。

「な、中間さん…一体何者…?」

淳平も驚く。

「「あ、ありえねぇ…」」

修平と一馬もまた驚いていた。





「あ、そうだ東城さん、あたし話があるんだけど」

ここで、つかさがいきなり言い出した。

「う、うん。どうしたの西野さん?」

「ちょっと来て…」

「うん…」

つかさと綾はそのまま立ち去った。





「……………」

これに何か不穏なものを感じる修平であった。


[No.86] 2006/06/04(Sun) 00:29:05
見えない明日・見える未来〜第14話〜 (No.86への返信 / 14階層) - シン

第14話「片思い」



takaciさん及び、読者の方々にお詫び



この話は都合上『ever free』と酷似してしまってます。

ですが、盗作ではありません。

この話がなければ第15話の話の辻褄が合わなくなってしまうから

であります。

『パクリだ!』とか言う前にこのことをよく考えてください。

(そもそも、どうしても展開が似てしまうなんて事は

よくある事だと思うが)



               二次小説作家 シン






綾とつかさは廊下に出て人が来なさそうな場所まで来た。

「西野さん話って?」

綾はつかさに厳しい言葉をかけられることを覚悟していた。

(途中、修平や健治の乱入があったため

忘れている人もいるだろうが、そもそもこの騒ぎの元は綾が

チンピラ共に絡まれたことにある)



だが、つかさから放たれた言葉は綾の想像の遥か斜め上を

行くものだった。

「東城さん、もう淳平くんのことは諦めて」

「もう淳平くんに近づかないで」

「あなたが淳平くんを諦めないから淳平くんは苦しんでいるのよ」

「だからもう淳平くんには…近づかないで」

「え…」

「そ、そん…な…」

「東城さんにとってとても辛いことだってあたしも分かってる」

「でもこれは…東城さんのためでもあるのよ」

「…あたしを恨んでも憎んでもいいから」

「でもやっぱりこれは…淳平くんを諦めることは…」

「東城さんにプラスになるはずだから」

「…それじゃ…」

つかさはその場から立ち去った。







つかさが立ち去ってしばらくした後…

「う…  うぅっ…  そ… そんな…」

「もう片思いも…駄目なの…?」

「そんなの… 酷いよ…」



想いが届かなくても淳平を見続けることが綾の幸せだった。


だが、それすら否定された。





それは死刑宣告同然である。








いや、死刑宣告のほうがまだ人間的である。




死刑ならその瞬間全てが無に帰す。




しかし、綾の場合は永遠に続く『生き地獄』である。






綾の心には二度と癒えることの無いほどの傷が付けられた…


[No.87] 2006/06/04(Sun) 15:32:04
見えない明日・見える未来〜第15話〜 (No.87への返信 / 15階層) - シン

第15話「暴走する想い」



嵐泉祭の後、綾は学校へ来なくなった。

一応病気だという扱いになっているが、

その理由を淳平は大体分かっていた。

嵐泉祭の日の夕方のつかさとの会話である。

その日のうちに淳平はつかさから話を聞かされていた。



綾が来なくなった理由について

学校中でいろいろな憶測が生まれた。

だが、やはり結論は淳平に振られたショックと言うことになった



ちなみに、この頃から淳平を集団リンチしようとする者は

いなくなった。

と、言うのも天地とさつきの2人が綾援護派の面々に

(全校生徒のほとんどがすでにそうなっている)

「武力行使はするな。ゆっくりと真中の考えを改めさせろ」

と声をかけていた。



と、言うのも天地はすでに

「綾さんを幸せにできるのは自分ではなく真中だ」

と考えていた。

さらに、さつきに至っては、

「自分以外では東城さんしか真中のそばに

いるのにふさわしい女はいない」

と最初から思っていた。



この2人の話には全員が乗っていた。






さて、10月6日金曜日 夜  綾の自宅

綾は最近ずっと部屋にこもって泣いてばかりいた。



だが、今日は違う。



綾の中である抱いてはいけない感情が芽生えていた。




「…西野さんさえいなければ…」

「あたしは…真中くんと…」



「そうよ…西野さんさえ消せば…」

「西野さんさえ居なくなればあたしは…」

「あたしは…もう苦しむことは無い…」

「西野さん…もうあたしはあなたを…放っては…置けない…」






淳平への想い、つかさの言葉、

それらが暴走し綾に芽生えた感情…

それはつかさへの殺意だった…







次の日…綾は久しぶりに外へ出かけた。

だが、いつもとは違う。



その優しい目は狂気に満ち、



そのポケットには凶刃が潜んでいた…







そんなことを知るはずもない淳平とつかさは

いつものように(?)デートを楽しんでいた。



そこへ、綾がちょうど通りかかった。

つかさは暴走している綾のテリトリーに入ってしまった。



「!東城さん…」

「と、東城…」

「真中くん…」

綾はその顔を上げようとしない。

その目に満ちた狂気を悟られないようにするためだ。





「…西野さん」

「ん?どうしたの東城さん?」

「…今ならまだあたしは押さえが利く」

「…真中くんと…別れて…」

「え!?」

淳平はいきなり驚いた。

「え?そういわれてもそれはできないよ」

つかさは冷静に答えた。



「なら…あの時の言葉を取り消して」

「それも無理」

「あたし東城さんなら分かってくれると思ったけどな…」

「そう…」

つかさは綾の狂気に気づかない。

つかさへの憎しみで綾の理性は消えようとしていた。



「東城さん、前に言ったけどもう諦めて」

「それが東城さんのためになるから」

つかさは綾の怒りに完全に触れてしまった。

もう綾の狂気は止まらない。



「西野さん…」

「東城さん?どうし…



だが、つかさの言葉は綾が振り上げた物で左手を切りつけられた

ことで遮られた。



綾は手にナイフを持っていた。

その刃は折りたたみ式とは思えないほど長く、

心臓ぐらいなら簡単に貫ける代物だった。



「と、東城!?」

淳平は綾の狂気に気づいた。

「と、東城さん!なにをするの!?」

「あたし…言ったよね?今なら押さえが利くって…」

「でも…もう遅いわ…」

「西野さん!あんたが居なければーーっ!!!」




綾は憎しみの凶刃をつかさに向けて突進した。




つかさにその凶刃が突き刺さるのに

時間はほとんど残されていない。




もう、逃げられない。





だが、淳平は慌てずにその手をはたき、


凶刃を綾の手から落とさせる。





そして、そのまま淳平の左手は綾の頬をはたいていた。


[No.88] 2006/06/04(Sun) 16:38:35
見えない明日・見える未来〜第16話〜 (No.88への返信 / 16階層) - シン

第16話「悲しき瞳・怒れる瞳」



少し時をさかのぼる。

修平と一馬はテアトル泉坂を訪れた後、

適当に歩いていた。

と、そこへ綾とつかさのやり取りが聞こえてきた。



「と、東城!?」

「と、東城さん!なにをするの!?」


「(お、おい一馬!さすがにこれはヤバイだろ!)」

「(で、でもこれじゃ入っていったら

こっちも巻き添えを喰うって!)」


と、まあこんな話をしていた。




そして、時間軸を元に戻す。



パァン!

それは淳平が綾の頬をはたいた音だった。

「え…?」

つかさは淳平の行動に驚いた。

さすがに淳平が綾を殴るなどということは想像できなかった。



「東城、いつまで俺のことを引きずる気だ」

「つかさが東城のためを思って言ってくれてるのが

分からないのか」

「俺の知ってる東城はこんな奴じゃねぇ!」


それは、淳平からの綾との決別の言葉だった。



「そ… ん…  な…」



「う…  うわぁぁぁぁぁん!」



もはや、綾はその悲しみから声を抑えることができなかった。



そして、同時に…



「(………何だよそれ)」

「(何で今までそばにいた人にそんなことが言えるんだよ)」

一馬は怒りで体が震えていた。

「(…一馬…落ち着け……今、俺たちに…何ができる…?)」




「東城、分かったならつかさの言うとおり俺のことは

諦めてくれ」

「俺の心はもう揺るがない」

「それに、つかさの言うとおりこれは東城のためなんだ」

淳平から止めともいえる言葉が放たれた。






綾にとって、淳平は自分の存在理由そのものだった。

だが、この時その存在理由は消滅した。


綾の目からさらに涙が溢れる。









「(……それは…違うだろ…)」

「(…あの野郎…!もう許せねぇ…!)」



「真中ー!てめぇぇぇぇぇ!」

一馬の怒りはピークに達し、考えるよりも先に殴りかかった。




「一馬くん!?」

「!?何でここに!?」

そして、一馬の拳が淳平の顔面にヒットした。

その一撃で吹き飛ばされる淳平。

「ちょ、一馬くん!何するの!?」

「うるせぇ!西野!てめぇも同じだ!」

つかさの静止にも耳を傾けない。

「てめぇ!何で東城さんにそんなことが平然と言えるんだよ!」

「散々東城さんを苦しめやがって!ぶっ殺すぞ!」

そして、再び怒りの拳が振り下ろされようとした。

しかし、その拳は修平によって止められていた。



「おい…何するんだよ!」

「一馬、少し落ち着け」

「俺が話をつける」

「…ったく…この単細胞が…」

「…ま、そう言うことで、こいつは許してやってくれ」

「あ、あぁ」

「だが…」

バキッ!

「俺のことは許してくれなくても構わない!」

修平の怒りの拳が淳平に振り下ろされた。

「お、おい!お前!」

さすがに今度は一馬が止める。

「うるせえよ一馬」

だが修平は一馬を裏拳で撃破した。

「…てめぇ…東城さんの気持ちが分かってんのか…?」

「ずっと真中さんのことを想い続けてきた

東城さんの気持ちがなぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ゴスッ!ガスッ!バキッ!

怒りの拳は止まることなく淳平に振り下ろされる。

「ちょっと!やめて!」

つかさが止めようとするものの修平は止まらない。




だが、

「もういいの!やめて!」

綾が叫んだ。

「と、東城さん…でも…」

修平が反論する。しかし…

「もういいの…元々あたしが悪いんだから…」

「あたしが真中くんを諦めようとしないから…」

「だからこんなことになっちゃったのよ…」

「みんな…迷惑かけてごめんね…」

「と…東城さん…」

綾はゆっくりとその場を立ち去った。





「…東城さんがああ言ってるからな…もうここまでにしよう…」

「だが…これ以上東城さんを苦しめるような真似をしたら…

その時は…!」

そう言う修平の炎のような赤い瞳は怒りに燃えていた。

そして、修平は気絶している一馬を引っ張って立ち去った。




「淳平くん…大丈夫?」

「あぁ、平気さ…だけどつかさこそ…」

「ううん、そんなに深くないから」

「そうか…」

淳平は少し安心した。






「……真矢…東城を…幸せにするにはどうすればいい?」

物陰で聞いていた健治は『真矢』に尋ねていた…







綾の自宅

「ねーちゃん、どうしたんだ?」

家に入ると正太郎が出迎えた。

「…………………ぐすっ…………」

「ねーちゃん!何で泣いて…!?」

「…正太郎、気にしないで…大丈夫だから…」

「ど、どこがだよ!最近なんか変だぞ!」

「学校へ行かなかったり部屋でずっと泣いてたり…大丈夫かよ!」

「だから大丈夫だから…気にしないで…」

「で、でも…」

「正太郎は…心配しすぎだ… よ……?」

「うっ…!」

その時、綾を謎の苦しみが襲った。

「!?ねーちゃん!?」

綾はそのまま床に倒れこんだ。


[No.90] 2006/06/05(Mon) 00:15:45
見えない明日・見える未来〜第17話〜 (No.90への返信 / 17階層) - シン

第17話「勘の鋭すぎる男」




泉坂総合病院…

「…はっきりと言います…」

医師は悲痛な面持ちで話をはじめた。

「娘さんは現代の医学ではもう…助かりません」

「それほど厄介な奇病なんです」

「そう…ですか…」

「そ、そんな… ううっ…」

「…入院はもはや無意味です」

「今のうちに、娘さんの願いを一つでも多く

かなえてあげてください」

「…分かりました…」

「…告知するかどうかは、あなた方に任せます」

この夫婦は大きな悲しみに包まれた…






つかさとのデート中に起こった騒動の後も学校に綾は来なかった…

さすがにヤバイと思った淳平とつかさは謝りに行くことにした。




綾の自宅

ピンポーン

「ん?誰だ?」

中から美形の男が出てきた。

「あのー真中って、言うんですけど東城は…

「真中だと!?てめぇ!どの面下げて来やがった!」

淳平の名を聞いた瞬間その男は怒り出した。

「ちょ、ちょっと何よ!」

その怒りは理不尽だと思ったつかさは怒った。

だが、

「てめぇのせいでねーちゃんはずっと部屋に閉じこもって

泣いてばかりいて、もう飯もロクに食わねぇんだよ!」

「てめぇはそれを分かってんのか!?」

「ねーちゃんを苦しめやがって…!」

「お、おい!俺たちは謝りに来たんだよ!」

「ああ?そんなこと言ってもねーちゃんはもうてめぇらの

顔も見たくなけりゃ声も聞きたくないって言ってるぞ!」

「なっ…!」

「そ、そんな…」

「だからもう帰れ!二度と来るな!」

淳平達は正太郎の言いなりになるしか無かった。








「…まさか…東城が俺のことを嫌うなんてな…」

予想外の事態に淳平は驚いていた。

「うん…さすがにあたしも言い過ぎたとは思ってるけど…」

「けど?」

「やっぱり、東城さんは淳平くんのことを忘れるべきだと思うの」

「だから、しばらく放っておこうよ」

「東城さんもしばらくすれば元に戻るって!」

「そう…だな」

「つかさの言うとおりだ、しばらくそっとしておこうか」

「うん、そうしようよ!」

淳平は最近重い表情しか見せなかったが、つかさのおかげで

久しぶりに心が晴れていた。









正太郎は綾の部屋の前で扉越しの会話をしていた。

「…ねーちゃん、言われたとおり追い返したけど…」

「そう…」

「謝りに来たって言ってたけど、いいのか?」

「そう…謝りに来てくれたんだ…でも…やっぱり会いたくない」



「あたし、真中くんを拒絶してる…」



「こんなあたし…大嫌い…」




「うっ…  ううぅ…」



「ねーちゃん…」


自己嫌悪に陥る綾を心配する正太郎であった。






同時刻・泉坂総合病院

「…あのヤブ医者め…まだ肩こりが治らねぇ…」

健治は肩こりの治療で来ていた。

「さーて、帰るか…」



「あれー?健治君?」

健治は女性看護師に声をかけられた。

「…その声は…青木か…」

青木という名の看護師は健治より一つ上で、

健治と古くからの付き合いがある。

そのため、健治にとって頼れる姉貴的存在である。

「おい青木、ここの整形外科医は何でヤブ医者ばかりなんだ!」

「知らないわよ!そんな事!」

「でも、ヤブ医者ばかりなのは本当よね…」

「全くだ。  ところで…青木」

「ん?どうしたの?」

「…お前…何か隠していないか?」

「え!?な、何も隠してなんかないわよ!」

「…バレバレだって……で、何を隠しているんだ?」

その時、健治の目が変わった。

「……例えば…誰かが変な病気にかかったとか?」

「………相変わらず勘がいいのね…」




「残酷なほどに…」




その言葉で健治の顔がさらに変わった。



「…!まさか……!いや、そんなはずは…」

「…残念だけど…健治君の勘は当たってるわ…」



「ちょっと…来て……話するから………」



健治と青木は空いていた談話室に入っていった…


[No.92] 2006/06/05(Mon) 22:57:13
見えない明日・見える未来〜第18話〜 (No.92への返信 / 18階層) - シン

第18話「蘇る過去・孤独の中の好機」




「…何だと…!」

「まさかとは思ったけど…本当に東城が…!?」

「えぇ、本当よ」

「だから言ったのよ『残酷なほどに勘がいい』って…」

「…くそっ…!よりによって…!」

「…悪い、一人に…させてくれ…」

健治はその場から逃げるように立ち去った。





「……さすがに、ショックが大きすぎたようね…」

「仕方ないか…綾ちゃんは真矢ちゃんに異常なほど似てるし…」

「……しかもかかった病気まで同じなんてね…」







次の日

「…そうか…追い返されたのか…」

淳平は外村に一応相談した。





と、言うのも美鈴が本来なら適任なのだが、

美鈴は綾援護派の筆頭なので相談をしようものなら確実に

「なんで東城先輩の気持ちに答えてやらなかったんだー!」

と、言われて酷い目に遭わされるのがオチだ。





そこで、中立を保っている外村に相談しているわけだ。



「…で、どうするんだ?」

「…つかさはここはしばらく放っておこうって言ってたけど…」

「まあ、俺も同意見だししばらくそっとしておこうって思ってる。

それに、東城はもう俺のことを嫌ってるし、俺が関わらない方が

いいはずさ」

だが、この言葉はさすがにいけなかったようだ。





「…真中、お前はいつからそんな冷たい男になった」

「え?」

「・・・1回追い返されたらもう謝りにも行かない気か」

「!?俺はそんなことは…!」

「お前が言ってるのはそういうことだ!」

「な…っ!」

「じゃあな、お前はせいぜい西野と2人っきりで過ごしてろ」

「お、おい!外村!」

「…俺は真中淳平なんて奴は知らない」

「それじゃ失礼」

外村はそのまま振り返ることなく立ち去った。






この一件以降、淳平への冷たい視線はさらに酷くなった。



今まで中立を保ってきた生徒も外村の話により綾援護派となり、

淳平はついに孤立した。

(小宮山はさつきの話の時点で綾援護派となっている)






そんなある日…

淳平はテアトル泉坂にやってきた。

「(俺は…何を間違えた…?)」

「(いや、間違えては無いはずだ)」

「(そもそも俺が誰と付き合ってもいいじゃないか…)」

「(そうだよ…おかしいのはみんなだよ…)」

「(…でも…なんでだろう…

なんで最近つかさとうまくいかないような気がするんだ…?)」

最近、淳平とつかさの仲が微妙にギクシャクしているのだ。

もっとも、ほとんどいつもと同じなので気づかないが…




淳平がいつまでも考えていると豊三郎の声がした。

「おーい、淳平!今日はお前に来客だ!」

「え?俺に!?」

「とにかく来い!」

「え?あ、ちょっと!?」




中に入った。

「君が真中淳平くんだね」

若い男の声がした。

「え…あなたは…?」

「僕は、角倉周っていいます」

「君と話がしたくてここまで来ました」

そこにいたのは間違いなく若手No.1の映画監督の

角倉周だった。


[No.93] 2006/06/06(Tue) 14:38:15
見えない明日・見える未来〜第19話〜 (No.93への返信 / 19階層) - シン

第19話「驚愕」




「角倉って…え!?ほ、本物!?」

「そうだね。少なくともこれは幻じゃないね」

「え、えぇ!?と、ところで、話って一体!?」

「あ、それそれ。本題に入るけど、今年のコンクールの結果は…

君たちの作品は…3位だね」

「ま、こんなものは昔より頭の固いおっさんばかりが審査員だから

全く参考にならないけどね」

「え、あ、はぁ…」

「ま、僕はこの作品が今年の最優秀作品だと思ってる」

「何より作品への気合が違うからね」

「ま、僕自身あの頃の志を受け継いでいる人がいてほっとしてるよ」

「あの頃?」

「ああ、僕が7年前に最優秀賞を取った頃さ」

「7年前って…あ!じゃあ、あの作品は角倉さんが!」

淳平は2年前に綾と見た映画を思い出した。

「お、よく知ってるね〜」

「だって俺はあの作品を目指していたんですから!」

「ははは、それはどうも。でも、本当にすごいのはその1年前に

先輩たちが撮った映画だけどね」

「先輩?」

「ああ、中間先輩っていう人だけど…」

「え!?中間さん!?」

淳平は派手に驚いた。

「あ、君も知ってたんだ」

「ええ、何度か会ったこともありますし…」

「まあ、本当に中間先輩たちはすごかったな。実際、最優秀賞も

取ったけど、やっぱり気合が僕たちの頃と全然違う」

「もっとも、その最優秀賞をとった作品はもう中間先輩しか

持ってないからまず見れないけどね」

「は、はあ…」

「中間先輩は今頃世界レベルの映画監督になってたはずさ。

もっとも、あることがきっかけで諦めたけど…」

「え?やっぱり何かあったんですか?」

「うん、まあね…」

「実は気になってたんで教えてくれませんか?」

そこで、角倉は少し考え込んだ。




「うーん…やっぱり駄目だ。こればっかりは教えられない」

「え!?」

「まあ、時が来れば先輩から話してくれると思うから」

「は、はあ…」

と、そこへ…



「淳平くん、おっす!」

「!つかさ!?」

入り口につかさがいた。

どうやらまた豊三郎に出前を頼まれたらしい。

「へ〜これが真中君の彼女か〜」

「ちょ、ちょっと角倉さん!」

淳平が角倉の口を塞ぐ。(角倉の発言は正しいのだが)

「へ!?角倉って…確か…」

「えええええええええええええっ!?」

つかさは激しく驚いた。

「で、でも何でそんな人がここに!?」

「あ、ああ実は…」

淳平はつかさにこれまでの経緯を話した。

そして…




「ええええええええ(以下略)!?」

再びつかさは激しく驚いた。




そんなこんなで…

「では、また会う時を楽しみにするよ」

「は、はい。ありがとうございました!」

あの後、淳平は映画に関していろいろ教えてもらった。

(その中には健治達の話も入っている)







「はあ〜すごいね淳平くん。あの角倉さんに目を付けられてる

なんてさ〜」

「は、ははは…」

「あ、そうだ、ちょっと相談が…」

「ん、何何?淳平くん」

「実は…」





淳平はこれまでの学校での出来事を話した。




「う〜ん…確かに外村くんの言うことももっともだけど…

でも、やっぱり今淳平くんが行ったら余計に酷くなるかも」

「だから、謝るのは東城さんが復活してからにしようよ」

「大丈夫!東城さんは優しいからきっと許してくれるって!」

「そう…だよな!別に東城が元通りになってからでも

遅くはないよな!ホントつかさの言うとおりだよ」

「でしょ!だからとにかく東城さんが早く元気になるのを

願おうよ!」

「そうだな!」

「(そうだよ…東城は優しいから許してくれるよな)」

「(別に急がなくてもいいんだ、東城が元気になってからゆっくりと

話し合おう。それにやっぱり俺は東城と夢を叶えたい)」

「(そうだ…元気になってから………)」

淳平に少し明るい未来が見えたような気がした。

最初に感じていたつかさとのギクシャクした感じはいつの間にか

消えていた。









「…真中君か…確かに先輩の言うとおりおもしろそうだな…」

「まさかあの頃の先輩と同じ目をしているなんてね…」

角倉は昔の健治を思い出していた。


[No.95] 2006/06/09(Fri) 00:42:53
見えない明日・見える未来〜第20話〜 (No.95への返信 / 20階層) - シン

第20話「亀裂」



淳平が角倉と話をしていた頃…

「では失礼しました〜」

「悪いな、今日も来てもらってよ」

「後輩が先輩の心配をするのは当然ですよ」

「ま、そうだな」

「では、また今度〜」

「では正太郎くん、綾さんを頼みます」

修平や美鈴、さつきたちは綾の家を訪ねていた。





帰り道…

「はぁ〜今日も東城さんは塞ぎこんだままか…」

「でも、一馬くんの言うとおりの事があったなら仕方ないといえば

仕方ないけど…」

「うん、真紀くんの言うとおりだ、多分今の綾さんは

もう立ち直れないほどのダメージを受けているはずだ」

「そんな状態じゃ僕たちでは支えになってあげる事もできない」

「どうにかしてあげたいけど…僕たちでは何もできないんだ…」

天地の目は悲しみに満ちていた。

「そう…ですね…」

「でもやっぱり東城さんをなんとかしてあげたいよね…」

「たとえ、無理だと分かっていても…」

「ああ、さつき姉ぇの言うとおりだな」

「あんな東城さんは見ていられないぜ…」

一馬も同意する。

「そうだな……」

「ん?修平、どうした?」

「いや…何か引っかかるんだよな…」

「え?引っかかる?」

美鈴が尋ねる。

「ああ、前からずっとなんだけど、何か大きな事を東城さんの

家族が隠しているような気がするんだ」

「それが何かは分からないけどな」

「何か…?」

一馬が疑問に思う。

「…確かに修平くんの言うとおりかも」

「言われてみれば何かみんなの様子が変な気がするのよ…」

真紀は家族の様子を思い出した。

「…本当に何か隠しているのなら、余計に大変だな…」

「そうよね…東城さん大丈夫かな…」

綾を心配する一同であった。




その頃、駄菓子屋…(万事屋)

「…何を考えているんだ?健治」

インターネットをしている健治に広樹が話しかけた。

「何だっていいだろ…」

「…東城の事か…」

「!」

「…やっぱりか……」

広樹は健治の反応から見破った。

「…前から言ってるが、いくら似ていても真矢と東城は違う」

「…いつまでも真矢の事をを引きずるな!」

いつもは冷静でポーカーフェイスの広樹が

珍しく感情を顔に出した。



「…お前に東城の何が分かる…?」

「なら、健治こそどうだ?」

「…だまれ…しばらく放っておいてくれ!」

「…健治……」

「…………お前一人で…抱え込むな」

「8年前から…変わってないな…」

これ以上何を言っても無駄だと思った広樹は、

その場から立ち去った。





「(……健治…一体どうしたんだ…?)」

「(何か…あったのか?)」

広樹はいつもと違う健治の様子に疑問を抱いていた。







「…東城…俺はお前を…死なせたりしない」

「それは俺の…義務だ…」

「真矢…力を…貸してやってくれ…」

健治はペンダントの中にいる少女に問いかけていた…


[No.96] 2006/06/09(Fri) 22:53:43
見えない明日・見える未来〜第21話〜 (No.96への返信 / 21階層) - シン

第21話「健治」




淳平と角倉の話の数日後…

ピンポーン

「はーい、東城です」

「久しぶりです」

「あら、健治さんホント久しぶりですね」

そう話すのは綾の母だ。

「娘さん…どうですか?」

「やっぱり…塞ぎこんだままです…」

「そうですか…まあとりあえず失礼します」

「はいどうぞ」

健治は家に入った。






「それにしても、健治さんにはいつもよくしてもらって…」

「いえいえ、それほどでも」

健治は前に綾の父親から依頼を受けてからというもの、綾の家族と

たまに交流している。

「しかし…娘さん…まさかこんな事になるとは…体の事といい…」

「え?じゃあ綾の病気のこと…」

「ええ、ちょっと前に病院の知り合いから聞きました」

「そう…」

「でも、この事って健治さんにとっては…すごく…」

「ええ…まさかとは思いましたけど…本当にアレだったとは…」

「あまりにも…似すぎですよ…」

「そう…ですね…」

「ところで、娘さんは?」

「今部屋にいるはずですけど…」

「そうですか、では案内してください」

「あ、はい」





「ここです」

「そうですか…」

「あ、少しだけ2人で話がしたいので…」

「あ、分かりました」

綾の母はすぐに立ち去った。

そして、健治は扉の向こうの綾に呼びかけた。

「おーい、健治だ!」

「…健治…さん?」

「ああ、入っていいか?」

「…今は誰とも会いたくない…」

「……全く…駄目って言われても入るぞ」

健治はそう言うなり扉を開けて部屋に入った。

「ちょ…健治さん!」

「なんだ、少し元気出たじゃん」

確かに先ほどの綾の声には生気が少しだが戻っていた。

健治の荒療治である。

「やれやれ、とは言っても布団にこもったままかよ」

「全く…これじゃ話にならないな…」

「こんな調子じゃいつになっても元気になんかなれないぞ」

「………元気にって…あたしは…」

「あー、それについてはもう知ってる」

そして、健治の口調が少し変わった。

「…『NFP』は近いうちに治る病気になる」

「…それを覚えとけよ…」

「………………」



「ま、早い所学校に行けよ」

「裕紀の話じゃみんな待ってるってよ」

「お前は一人じゃないぞ」

「………そう…みんな待ってるんだ…」

「ああ……」

「ま、話はここまでにしておくか」




「あ、それから最後に言っておく」

「決して…早まったりするなよ…」

健治は最後にこう言い残して部屋を出た。





「健治さん…綾の様子は…?」

部屋を出ると綾の母が尋ねてきた。

「……相当ヤバイですね…」

「あんな調子じゃ余計に病気の方もひどくなりますよ…」

「そう…ですか…」

「…では俺はこのあたりで失礼します」

「あ、はい」

そして、健治は綾の家を後にした。











それからまたしばらくの時が流れた…

綾はやっぱり学校には来れないようだ。

もっとも、学校の中に綾が本当の病気にかかっていることを

知っている者はほとんどいないというより、ゼロだった。

そんなある日…

「それじゃ淳平くんまたね〜」

「ああ、またなつかさ!」

「今度はクリスマスな!」

「オーケー!」







「はあ〜クリスマスか〜」

「今年はつかさと一緒に過ごすんだよな〜」

「こうなったら、夜は………        フフフフフ…!」
 
淳平はクリスマスのことを妄想していた。







「クリスマスか〜」

「そういえば、淳平くんとはじめて過ごすクリスマスだよね〜」

「昼は思いっきりデートして…夜は……       」

つかさも少し期待しているようだ。

「だけど…何か引っかかるのよね〜」

「なんだか昔の友達同士の関係の方が

よかったような気がしてるし…」

「はあ〜あたしって一体なんなんだろう…?」

つかさは疑問を感じていた。


[No.97] 2006/06/10(Sat) 23:30:50
見えない明日・見える未来〜第22話〜 (No.97への返信 / 22階層) - シン

第22話「過去・蘇る悪夢」




12月24日

今日は映像研究部でクリスマス会をしている。

(淳平とつかさのデートはその後。また、なぜか天地もいる)

ちなみに、淳平とその他の人との確執は消えていた。

どうやら、いつまでもいがみ合っていても仕方が無いと

いうことだそうだ。

「それにしても…何で東城はいつになっても来れないんだ?」

「もう2ヶ月以上になるしさすがに変だぞ」

外村が率直な疑問を述べた。

「確かに外村の言うとおりよね…ホント変だって…」

さつきも同じだった。

「まさか、とんでもない病気にかかっているとか?」

「おい、小宮山!冗談はやめろ!」

「ハハハ!だとしたら相当ヤバイって事じゃん」

「おい!外村もやめろ!」

「おいおい真中…さすがに冗談だって…」

「それくらいは気づけよ…」

「ホント天地の言うとおりよ…」

「あ、天地にさつきまで…」

軽くショックを受ける淳平。

「真中、冗談の通じない男はかっこ悪いぞ」

「く、黒川先生……」

ますます追い詰められる淳平であった。

しかし、裕紀は「病気」という言葉に妙な胸騒ぎを感じていた。

「(…まさか…?いや、よりによってそんな事はないはずだ…)」

「(だが…仮にそうだとすれば健治の様子がおかしいことにも

説明がつく…)」

「(だが…本当にそうなら東城の命はもう…)」

「石原先生?」

美鈴が裕紀の様子に気づいて声をかけた。

「あ、いや、なんでもない。気にするな」

「………?」

裕紀の様子にますます疑問を抱く美鈴であった。





そんな時、

「ちょ、ちょっとみんな大変よ!」

真紀が突然部室に入って来た。

「え!?真紀ちゃん!?一体どうしたのよ!?」

ものすごく慌てた真紀の様子に驚くさつき。

「ちょっと前に用事で病院に行ってたんだけど、その時に

綾ちゃんについてヤバイ事聞いちゃったのよ!」

「「「「「「「「え!?」」」」」」」」

そう言う真紀の目には涙が浮かんでいた。

その時、裕紀の携帯に電話が入った。

「!?何だ!? 広樹からか…」

「おい!何だ!?」

[裕紀!健治が最近ずっと調べていた事が分かった!]

「何っ!?」

[どうやら、『NFP』について調べていたようだ!]

[裕紀!何かそれについて心当たりは無いか!?]

「……やっぱりか…ちょうど今それについて何か分かりそうな

ところだ!」

[そうか…]

「とりあえず、このまま切らずに置いておくぞ!」



「…悪いな、じゃあ話してくれ」

「う、うん…実は…」

そして、真紀の話が始まった。





「え…そんな…東城さんが…」

「不治の…病…」

「うん…聞き間違いだと思ったけど…本当みたい…」

「…広樹…聞いてたか?」

[ああ…まさか本当だったとはな…]

「でも、『NFP』って…?」

淳平が尋ねる。

「それについてはあたしもよく分からないけど…」

「俺が説明する…」

「石原先生…?」

「え?じゃあ何か知ってるんですか?」

淳平が再び尋ねる。

「ああ…この病気はな…8年前に発見された謎の病気だ」

「正確な病名は忘れたし、かなり訳の分からない病名だったと

思うけどな」

「まあ、この病気は一種の心臓病みたいなものだ」

「ただ、心臓そのものに問題はなく、血液中に毒素が発生する事で

心臓に悪影響を及ぼして心臓発作を起こさせる病気だ」

「ただ、その毒素の発生原因はさっぱり分からないし、

心臓以外には何も影響がない。」

「しかも、その毒素は体内から出ると簡単に死滅するから

ほとんど見つからないんだ」

「だから、この病気は大抵の場合普通の心臓病扱いになるんだ」

「もっとも、それはただ単にその医者がヤブ医者ってだけだがな」

「ま、見つからない毒って訳だ」

「だから確か『NFP』を正確に言うと、『Not find poison』

だったはずだ(文法的に合ってるかどうかは知らないが)」

「そ…そんな病気だったのか…」

「確かに修平くんの言うとおりだ…………………

本当に綾さんはとんでもないことを隠していたなんて…」

悲痛な面持ちの天地。

「じゃあ、東城さんはもう…」

もうこの世の終わりというような表情をするさつき。

「い、いや、望みが無いわけじゃない」

「今は病状の悪化を抑える薬もあるし治療法だってすぐに見つかる

はずだからそんなにひどく考える事じゃないさ」

裕紀は考えつく言葉でみんなを励ました。




「(…そんな…東城…夢どころかまだ謝っても無いのに…)」

「(なんでだよ…なんで東城が…)」

淳平は完全に追い詰められていた。







「そういえば、何で石原先生はそんなことを知ってるんですか?」

美鈴が疑問に思っていたことを口にした。

「…それは…裕紀先輩…健治先輩のことがあるから…」

言葉を濁す黒川。

「………健治のことを考えるとあまり話したくないが…仕方ない」

「……『NFP』の第一号患者はこの泉坂にいた…」

「え!?そうなんですか!?」

驚く美鈴。

「しかも…その患者は…………」

そこで、裕紀の言葉は詰まった。






「その患者は……俺の同級生…いや、映研の仲間……いや、

そうじゃないな…」









「………その患者は…健治の…恋人だ……」

「「「「「「「え!?」」」」」」」

全員が驚く。

しかし、裕紀はさらに衝撃的な言葉を口にした。























「しかも………異常なほど東城に似ている奴だったんだ!!!」

そう言う裕紀の顔には複雑な表情が見えていた。


[No.98] 2006/06/11(Sun) 22:56:49
見えない明日・見える未来〜第23話〜 (No.98への返信 / 23階層) - シン

第23話「最後の希望」




裕紀が淳平たちに衝撃的な言葉を放っている頃…

健治はパソコンの画面と格闘していた。

「…だめだ…ここにもロクな情報が無い…」

「くそっ…もう時間はあまり無いのに…」

健治は『NFP』の治療法について調べていた。

しかし、これといった成果は無い。

そのことが健治の焦りとなっていた。

「…もう…駄目なのか…?」

そんな事を考えている時に思い出したのは今は亡き恋人の笑顔…




そして……昔の淳平の事を想う綾の笑顔…




その時、健治は最後の希望に気がついた。




「……黒笹…先生…」




「そうだ…あの人しかいない…」




「『NFP』を治せる医者がいるとすれば…」





健治は携帯を手に取った。



そして、ある番号に電話をかけた。



「……黒笹先生…ですね…」

[!その声は…健治君…どういう風の吹き回しじゃ?」






「……一つ訊きたいのですが…先生は『NFP』を……

治すことができますか?」

健治はダメもとで訊いた。



その答えは…













「…確かに8年前は治せなかった…」




















「じゃが…今は…治す方法を見つけている…!」








「え………?それは…本当ですか?」

「ああ…本当じゃ」

それは希望を失った健治にとってずっと待っていた言葉だった。





「……そうですか…それなら、しばらく時間を取れますか?」

「ああ…」

「それなら手術の依頼です…『NFP』の患者です…」

「詳しい話は来てからします…」

「分かった、ならわしはその依頼を受けるまでじゃ」

「わしは健治君のためならどこからでもかけつけるぞ」

「…そうですか…ありがとうございます…」

「まあ今日の夜には着くじゃろう…」

「分かりました、泉坂総合病院に来てください」

「うむ、分かった」






そして、電話を切った。







「…よかった……これで…ようやく……」





「…さて、今度は東城だ…」

そして、健治は部屋を出た。












しばらくした後…家の裏にて

(説明が遅れたが、健治たちはこの駄菓子屋兼家に住んでいる)

ここには二つの墓石がある。






一つは「中間家の墓」と書かれており、

もう一つの墓石には「東堂家の墓」と書かれている。

その墓石にはもう一つ「東堂真矢よ永遠に」と書かれていた…



そして、健治はその墓石の前にいた。







「…真矢…ようやく東城を助けられそうだ…」

「だけど、俺と黒笹先生の力だけじゃ足りない…」

「真矢…力を…貸してやってくれ……」

健治は天国の『真矢』に祈っていた…












「………さて…」

健治は外に出ようとした。

「…健治、どこへ行く気だ」

広樹が前にいた。

「!広樹……どこだっていいだろ…」





「…東城の所か…」

「…ああ…」

「…その目を見る限りどうやらお望みの物は手に入ったらしいな」

「!?それはどういう…」

「…もう知ってんだよ…東城が『NFP』だって…」

「裕紀から聞いたからな………」

「そうか…なら隠してもしょうがないか…」



「……黒笹先生が治療法を見つけたってよ…」







「そうか……………」




「で、俺は何をすればいい?」

「!?何をって…別に何も…」

「……お前はいつも一人で抱え込むよな…全く…」

「………お前は一人じゃない…」

「ああ、そうだぜ健治は一人じゃないぜ」

いつの間にか英雄もいた。




「…お前ら………」

「……そうだな、俺は…一人じゃない…」

「…行くか…東城に希望の光を照らすために………」

「「ああ…!」」

健治たちはついに希望と共に動き出した。


[No.99] 2006/06/11(Sun) 23:58:00
見えない明日・見える未来〜第24話〜 (No.99への返信 / 24階層) - シン

第24話「俺たちの仕事」




「あれ?中間さんたち?」

「!修平くんに一馬くんか…」

修平と一馬が店の前にいた。

「全員でどこへ行く気ですか?」

「せっかく東城さんに何か差し入れしようと思ってたのに…」

「おい一馬、この場合差し入れって言うのか?」

「知るか、そんな事今はどうだっていいだろ」

「東城か……」

「ん?どうしたんですか?健治さん」

「……君たちには話しておくか…」

「「……?????」」





そして、健治は綾の今の状況を話した。




「な、何だって!?」

「お、おい!本当に修平の言うとおり東城さんは

とんでもないことを隠してたのかよ!!!」

「ああ、だが、とりあえず手術できる医者ならすでに

健治が見つけているから問題は無いってさ」

「あ、ああ、だけど……」

「心配するなって2人とも、あの人は俺から見ても最高の名医さ」

「そうは言っても、松井さん…東城さん自身は……」

「確かにそれが問題だが、それは今から説得しに行くからな」

「だから、2人もついて来てくれ」

「ああ、分かった」

「俺もOKだぜ」

そして、修平と一馬を加えた5人は綾の家に向かった。








綾の自宅…

「こんにちは、健治です」

「け、健治さん!?」

扉から綾の母が慌てて出てきた。

「!おば様!?」

健治は異常に気づいた。

「い、一体何が!?」

修平と一馬もこの状況には驚いているようだ。

「じ、実は綾が……!」

「!娘さんに何が!?」

そして、綾の母の話が始まった。








「何だってぇ!?一人でどこかに行って行方不明!?」

「え、ええ、連絡も全く無いですし……」

「なんてこった…」

広樹や英雄も少なからず驚いている。

「確か東城さんは一人でどこかに行けるような状態じゃ無かった

はずだけど……」

「し、修平!こ、これってもしかして……」

「お、おい!そんな事言うんじゃねぇ!!!」

「だが……どっちにしてもまずいな…発作でも起きたら事だぞ…」

「そ、そんな…」

綾の母は泣き出してしまった。




「健治!ど、どうする!?」

「こうなったら、まずは…」

そう言って、健治は携帯を取り出した。

そして、迷わずある携帯に電話をかけた。





「おい!上田のとっつあんか!?」

[健治!何のつもりだ!!!]

その携帯とは、上田刑事の携帯だった。

「ちょっと面倒なことになった!捜索願いなんか出してる暇が

無いんだ!!!」

[捜索!?一体どうしたんだ!?]

「いいか、それについて話すぞ!」

[わ、分かった!]




そして、これまでの経緯を話した。






[なんだってぇ!?]

「ああ、嘘みたいだが本当だ!」

[まさかあの子が…]

[と、とにかく分かった!俺の部下をすぐに手配する!]

「すまないな無理言って」

[フン!こっちも落ちぶれちゃいねぇよ!]

[とにかく俺はまず東城の家に向かう!とりあえず待っててくれ!]

「ああ、分かった」



そして、電話を切った。



「よし、これで警察は動ける」

(行方不明である理由が特に無いので、警察に届け出た場合は

家出扱いになる場合があり、その場合動くのが遅れるため、

警察官自身に連絡を入れたのである。ちなみに、健治の名を出せば

上田刑事ならどういう訳か少々のことなら問題無く動けるらしい)

「さて、俺はここに残るから、広樹と英雄は一旦戻ってくれ」

「分かった」

「それなら俺はいろいろと準備するか」

「あと、修平くんと一馬くんはどうする?」

「俺は……東城さんを探します!」

「俺も修平と同じだ!」

「フッ、どうやら訊くだけ無駄だったようだな」

「皆さんすいません…うちの綾のために…」

「気にしないでください、もともとこういうのが俺たちの仕事

なんですから」

「よし、じゃあ動くぞ!」

修平たちは動き出した。





「(……東城……早まるなよ…!)」

健治はどこかにいる綾に祈っていた。

















少し時をさかのぼる。

映像研究部部室にて…

「え、えええ!?」

「東城に…似ている!?」

「ああ……健治のことを考えるとあんまり言いたくなかったがな…」





「…………まあ…今、言えることは…」











「今日はクリスマス会を楽しむことだ!」

「「「「「「「えええええええええええええええええええええ!?」」」」」」」

想像の遥か斜め上を行く裕紀の発言に黒川を除く全員が

思いっきりこけてしまった。







「でも事実だろ?今の俺たちに何ができる?」

「できる事といえば今ここに来れない東城の分まで楽しむことだ」

「あ……確かに…」

外村はその言葉で納得した。

「まあ、確かに言われてみればそうだよな」

「今、俺に何ができるかなんて分からないもんな」

淳平も納得した。

そして、結局全員納得した。



「じゃあ真紀ちゃんも一緒に楽しもうよ!」

「う、うん、そうだね!」

そして、さつきの言葉で真紀も加わった。








そして、時間軸を元に戻す。

「あ、そろそろ5時だぞ」

「え!?もう5時!?」

「よし、なら西野のところへ行って来い!!!」

「いてて!外村!蹴るなよ!!!」

「うるさい!これは全国のもてない男の恨みじゃーーーー!!!」

「「「「「「「ハハハハハハハハハハハ!!!!!!!」」」」」」」

全員の笑い声がこだました。






そして、淳平がつかさの元へ向かって数分後…

♪〜♪♪〜〜

「ん?また広樹からかよ」

「はい、もしも〜し、今度は何だ〜〜〜〜?」

「裕紀大変だ!」

「東城が行方不明になった!!!」

「えええええええええええええええええええええええええええ!?」

裕紀は派手に驚いた。




「な、何?今の……」(真紀)

「今のはさすがのあたしもビビッたじゃないのよ…」(さつき)

「い、石原先生…ご乱心……!?」(美鈴)

「うるせーーー!バーロー!男なんてーーーー!!!(酔ってる)」

「く、黒川先生もご乱心…?」(外村)

「酔ってるだけでしょ…………」(美鈴)

「どっちにしても、一体何なんだ!?」(小宮山)

他の理由で外村たちも驚いた。


[No.101] 2006/06/13(Tue) 15:29:23
見えない明日・見える未来〜第25話〜 (No.101への返信 / 25階層) - シン

第25話「一番いい関係」








広樹は現在の状況を話した。





「おい広樹!それはどういう意味だ!?」


[そのまんまの意味だ!]


「………マジなのか?」


[ああ、第一、俺が冗談を言ったことがあるか?]


「……………どうやら訊いた俺が馬鹿だったようだな」




「で?他の連中は!?」


[健治は上田を待っている、他は…知らん!」


「他は他でいろいろやっているからな、修平と一馬も…]


「あの2人まで……」






「………分かった、俺たちも行動を始める」


「さすがにこれはヤバイしな」


[そうか、分かった]






「おい!クリスマス会は中断だ!」


「え!?ど、どうして!?」


いきなりのことに美鈴は驚いた。


「今、広樹から連絡が入った」


「東城が行方不明らしい!」


「え!?」


「ちょっと待て!行方不明だと!?」


「そんな…綾さんが…」


「綾ちゃん……」


「警察も動いているらしいが、上田刑事が動かせる人の数にも


限界がある!」


「発作が起きれば事なんだ!下手をすれば手遅れになる!」


「よって、この後は東城の捜索を行う!」


「わ、分かった!なら真中にも連絡を……」


「いや、待て外村、真中にこれ以上負担はかけられない」


「だから、私たちだけで行動するぞ!」


黒川はかなりやる気だ。


「とりあえず、東城の行動範囲をまわるぞ!」


裕紀が指示を次々と出していった。









その頃、広樹の部屋…


「……さて…面倒なことになった…」


「今の俺がやるべきことは…黒笹先生の手助けだ…」


「…これがバレると面倒だが…そんな事は言ってられない…」


そう言って、広樹はキーボードを凄まじいスピードで叩き始めた。









同時刻・綾の自宅…


「警察です!」


「あ、はい!どうぞ……」


先ほど帰宅した綾の父が扉を開けた。


「失礼します…」


「上田…今日は早いじゃん…」


「……健治…それはどういう意味だ?」


「…そんな事はどうでもいい」


「(……自分で言ったんだろうが…………)」


「とにかく、まずは情報収集だ!」


「ああ、健治に言われなくてもな!!」


「まず、娘さんの部屋は!?」


「え、ええ…こっちです…」


「あと…上田、俺はやるべきことがあるからちょっと出てくる」


「……?」


「何かあったら連絡を入れろ」


「じゃ、俺は出るぜ……」


「ああ、わかった」


そして、上田も動き始めた。





































それからしばらくして……


「淳平くん、おっす!」


「つかさ、おっす!」


「それじゃあ、どこに行く?」


「………そうだな〜……ところで、淳平くん」


「な、何?」


「何か……隠してない?」


「え……?何でそんなことが…」


「う〜ん…直感かな…?何か今日の淳平くんって変だもん」






「……仕方ないか…つかさにも話しておくよ」


「うん……」


淳平は綾の一件について話した。







「そ、そんな……」


つかさは目に涙を浮かべていた。


「と、東城さんが不治の病って…嘘でしょ!?」


「だけど…本当らしいんだ…」


「そ、それじゃあ東城さんは…!!!」


そして、つかさは泣き出してしまった。





無理も無いだろう、いくらライバルだったとはいえ


つかさにとって綾は大切な友人だったからだ。






「だ、だけど石原先生の話じゃ治る病気になるのも近いってさ!」


「だ、だからそんなに心配するなって!」


「そ、そう……」


淳平の言葉でようやく落ち着きを取り戻し始めたようだ。


そして、この時つかさはある決断をした。


綾に少しでも希望を持たせるための…


そして、淳平と一番いい関係になるための…


「淳平くん」


「な、何!?」


「………やっぱりあたしたちの関係を白紙に戻さない?」


「え…………!?」


突然のつかさの衝撃的な言葉に淳平の思考が一瞬停止した。


「つ、つかさ?今日はエイプリルフールじゃないぜ!


クリスマスなんだぜ?」


「そんな事分かってるって!」


「え………じゃあ俺がさっき東城の事を考えてたせい…?」


「つ、つかさ!悪かった、もう俺は…


「ううん、淳平くんは悪くないよ」


「え?じゃあ何で……」


「気づいたんだけどさ、あたしたちって夢を応援しあう友達の時は


うまくいってるけど…」


「これが恋人同士になると微妙にうまくいかないんだよね…」


「だ、だから俺が悪かった!もうつかさの事しか…


「いや、そうじゃなくて…」


「あたしが言いたいのは、あたしたちは恋人同士よりも


夢を応援しあう友達の方がうまくいくわけだから、ここはあえて


前のように友達同士にならない?っていいたいわけ」


「それに、恋人同士だとあたしがフランスに行ったときに


淳平くんがいないと寂しくてあたしがだめになりそうなの」


「でも、夢を応援しあう友達なら…いつでも応援してくれてるって


思うだけで乗り越えていけそうなの」


「第一、淳平くんもこのままじゃあたしがいないと


ちょっとキツイでしょ?」


「う…確かに…何か分かる気が……」


図星の淳平。


「でも…やっぱり俺はつかさと一緒に居たいんだよ!」


「それなのに…今、つかさに離れられたら俺は…」


淳平は正直な気持ちを伝えた。







しかし、つかさは…





「…大丈夫、淳平くんには東城さんがいるじゃない」


「いや、それこそ駄目じゃん…東城は俺のことを嫌ってるのに…」


「ううん、東城さんは表ではそう言っててもやっぱり淳平くんを


待ってると思うの」


「東城さんが不治の病だとかそんなの関係ない、淳平くんは


東城さんの支えになってあげるのが一番いいと思うの」


つかさの言葉…それには不思議な説得力があった。










「(……つかさ…本気なんだ…)」


「(これじゃあ何を言っても無駄だな…)」


淳平はつかさの意志が固いことを悟った。


「(それなら…俺は……)」









「………はは…確かにそうかもな………」


「つかさの言ってることは確かに正しいかもな…」











「………だけど…今日だけは…後少しの間だけは…」














「…俺の恋人でいてくれるか……?」


それは、淳平の切実なる願いだった。





「……うん、いいよ」


つかさは了承した。


「…ありがとう……………じゃあどこに行く?」


「じゃあ、あそこに行こうよ」


「…OK!」








































その頃…とあるビルの屋上…


「…………ふう…ここなら簡単には見つからないよね…」


綾はそこにいた。

















だが、綾の体は柵の外側にあり、靴だけが内側にあった。














綾の心は完全に絶望に包まれていた……













「………あたしの病気は治らない…」








「それに生きていても苦しいだけ………」


















「それならもういっそのこと死んだ方が楽になれる…………」
























「…………みんな……サヨナラ…」

























































同時刻・泉坂駅


「……7年半ぶりか…泉坂に戻るのは…」


駅から降り立ったのは黒笹広男…通称・ブラックジャック


(略して『黒男』のため)


健治が呼び寄せた『間違いなく世界一の医者』である。






「……行くか…」


「(…それにしても、何で健治君は患者について詳しく


説明しなかったんじゃろう…?)」


「(何か……ありそうじゃのう…)」


そして、広男は泉坂総合病院に向かって歩き出した…


[No.102] 2006/06/15(Thu) 00:03:21
見えない明日・見える未来〜第26話〜 (No.102への返信 / 26階層) - シン

第26話「絶望と失望」





完全に絶望に包まれた綾は地上45mはあるビルから


意を決して飛び降りようとした。






「あなたはまだ死んでは駄目……」


「え……?」





だが、それを止めようとする自分の『声』が聞こえた。


だが、近くには人などいない上、


自分がそんなことを言うはずがない。


だが、間違いなく自分の声が聞こえていた。


それも、空の上から……




「今のは…何?」


「何であたしの声が………?」






その声に綾は疑問を抱いていた。


そうこうしている内に……


「何だ!?ひ、人がいるぞーーー!!!」


「え?きゃーっ!本当よーーー!」


「と、飛び降りようとしてるぞー!!」


ビルの下の通行人が(あくまで偶然にも)綾の姿に気づいた。


その時…ビルの下では…





「ん?何の騒ぎだ!?」


英雄が騒ぎに気づいた。


英雄はあの後家で『何か』を準備した後単独行動をしていた。


その途中、上田の部下の若手警官の下村に出会ったので共に行動を


していた。


「ちょ、これって…まさか……飛び降り…ですよね?」


「……だろうな…だが、誰が…… あ!まさか!!!」


英雄は直感した。


「まさか!?だとすれば早く上田さんに連絡しないと…!」


英雄の言葉で気づいた下村は上田に連絡した。


「俺も連絡を入れておくか…」


英雄も裕紀達に連絡を入れ始めた。












「!下村!?」


「上田だ!どうした!?」


[上田さん!多分見つかりました!]


[●●ビルの屋上に飛び降りをしようとしている人がいるみたい


なんです!]


[ここからではよく分かりませんが、ほぼ間違いありません!]


「何だと!?飛び降り!?」


「わ、分かった!すぐに向かうから、待っていろ!!!」


そう言って上田は電話を切った。


「う、上田刑事…綾はどこに………?」


綾の父が心配そうに尋ねる。


「大体分かりました、今から向かいましょう」


「は、はい……」


「それから…」


上田はある携帯に連絡を入れた。


「…上田です」


[・・・・・・・・なんだって?]


「はい…そこで・・・・・・・・・」


[分かった、下手に刺激するなということだな?]


「はい……」


[それならマスコミには私から伝えておく]


[説得は…任せたぞ、一応中島を向かわせるがな…]


「…はい……!(何で俺が説得なんかしなくちゃいけないんだ…)」


「(いくら中島がいるからって……)」





















その頃…裕紀たちは携帯を持っている部員を中心にして


綾を探していた。


「!英雄から!?」


「おい!どうした!?」


[東城の居場所が大体分かった!●●ビルに来てくれ!]


[今…飛び降りようとしているみたいだ…!」


「何だってぇ!?わ、分かった、すぐに行く!」






「い、石原先生…綾さんは…?」


天地が裕紀に尋ねた。


「ちょっとヤバイことになってるみたいだ…」


「すぐに●●ビルに向かうぞ!」


「は、はい!」


「外村、他の連中にも連絡をすぐに入れろ!」


「わ、分かりました!!」


美鈴が他のメンバーに連絡を入れ始めた。















そんなこんなで、数分後……


●●ビルの屋上…





「(どうしよう…こんなに来ちゃった…)」


「(今飛び降りたら他の人まで巻き込んじゃう…)」


「(でも…もう苦しいのは……いや……)」


綾は迷っていた。







「綾ちゃん!無茶な真似はもう止めなさい!」


上田の元・部下の若手女性刑事の中島が綾を必死で説得している。


(つまり、中島は上田に比べてかなり出世が早い)


彼女は綾の母の知り合いで綾とも何度か会っており、綾の相談に


乗ったりもしていた。(これは主に真中の事についてである)


そのため、綾の説得に抜擢された。





「綾!戻ってきてくれ!」


「綾ちゃん!自分ひとりで抱え込まないで!」


綾の両親も説得していた。


「先輩!みんな先輩の帰りを待ってるんですよ!」


「そうよ!東城さん!あたしにできることがあれば


何でもするから一人で悩まないで!」


「綾さん!僕にはさつき君がいるって言ってもやっぱり綾さんが


いなくなったら……!」


さつきや美鈴たちも綾の説得に加わっていた。


だが、思うように行かない……


「くそっ……説得は俺の専門外だってのに…!」


上田が毒づく。


説得しようとしている者全員に焦りが見えていた。






















同時刻…


「ん、電話?誰から…?」


「つかさ?」


「外村くんから?なんでまた…?」


「もしもし、外村くん?どうしたのよこんな時に」


[に、西野!真中はそばにいるか!?]


その声からはただならぬ焦りが見えた。


「ど、どうしたの!?」


「外村!?どうした!?」


淳平もつかさの様子から異常に気づいた。


[真中も聞け!]


[まず、●●ビルに来い!]


「え!?それってどういう事!?」


[話は途中でする!だからとにかく電話を切らずに来てくれ!]


「あ、ああ!分かった!」


淳平達は走り出した。






「で、外村くん!どうしたのよ!」


[実は東城が飛び降りようとしてるんだ!]


「な、何だってぇ!?」


淳平は激しく驚いた。


「(なんだよそれ…東城…)」


「そ、そんな……東城さん…」


[だから、説得に来てくれ!俺たちでは駄目でも


真中が説得すれば何とか………!]


だが、ここで淳平はあることに気づいた。





「……無理だよ外村…俺は東城に嫌われてるんだぜ…」


「そんな状態で俺が行っても……」




[………真中……お前…本当に腐ったんだな……]


「!どういう事だ!?」


[俺の知ってる真中は簡単に人を見捨てたりしなかったぞ!]


[俺は本当にお前に失望したぞ!]


「そ、外村……」


「…ホント…外村くんの言うとおりだよ……」


「あたしが……好きになっていたのは…」


「こんな淳平くんなんかじゃないよ…」


「つ、つかさ………」


「(はは……俺って馬鹿だなあ……とうとうつかさにまで…)」







「…東城さんを救えるのは淳平くんだけだよ…」


「だから……まだあの頃の淳平くんの気持ちが残っているのなら…」


「東城さんの所へ…行ってあげて…!」








「(…!あの頃の…気持ち……)」


「(そうだよ…俺が最初に好きになったのは東城だ………)」


「(……なら……俺は……その気持ちを伝えるだけだ………!)」


「…分かった…!やっと分かったよ…!」


「俺の…本当の気持ちが…!」


「俺……東城のところへ…行くぜ……!」


「だから……それまで東城を止めてくれ…!」


[やっと分かったか…全く…]


[ま、分かったぜ……早く…来いよ……!]


「ああ…!」


そして、電話を切った。











「つかさ…ごめん……」


「ん?どうしたの淳平くん」


「今日だけは恋人でいてほしいって言ったけど……」


「もう、その約束は……果たせそうに……無いや…」


「……うん、分かってる」


「だから、あたしのことは忘れて東城さんを連れて帰ることに


集中してよ」


「大丈夫!さっきも言ったけど、東城さんは口では淳平くんの事を


嫌っていてもやっぱり淳平くんを待ってるはずだから!」


「ああ……分かったぜ………!」


淳平の目の前にはビルが写っていた…


















同時刻…泉坂総合病院前……


「……やっと来ましたね…黒笹先生…」


「健治君…久しぶりじゃのう……泉坂を旅立って7年半ぶりじゃ…」


「まったくだ……」


「で、一応病院には説明してある」


「だからそのまま行くぞ」


「うむ……」











「!あなたは…!まさか……」


病院に入ると驚きの声が聞こえた。


「ブ、ブラックジャック先生…!?」


と、そこへ青木がやってきた。


「違うわ、確かにそう呼ばれているけど、今は黒笹先生よ…」


「ああ、確かにな」


健治も青木と同意見だった。


「さて、黒笹先生、患者の説明をする」


「うむ、分かった」


健治は説明を始めた。







「・・・と、言うわけだ」


「なるほどのう…」


「まあその程度……今のわしには怖くは無い…!」


「……ただ…その余裕は…消えるぞ…」


「ん?どういうことじゃ?」


広男にはその言葉の意味が分からなかった。






「患者の写真だ」


そう言って健治は綾の写真を見せた。


「!!!健治君…これは……!」


「ああ、それは真矢じゃあないぜ…」


「なるほど…確かにこれは……」


「これなら健治君が黙っていたのもよく分かる……」


広男は健治の言葉の意味を理解した…


[No.104] 2006/06/18(Sun) 00:13:37
見えない明日・見える未来〜第27話〜 (No.104への返信 / 27階層) - シン

第27話「突入・希望を求めて」





「さて……今から言う物を準備してくれ!」


広男は手術の準備を始めた。


「さて……俺は迎えに行って来るぜ……」


「そうか……」


「ま……真中がいれば黒笹先生の出番はあるさ……」


広男にも綾の話は伝わっていた。


「うむ……迎えは…任せたぞ…」


「誰か!ドクターヘリを出すのじゃ!」


「は、はい!」








同時刻・広樹の部屋


「…………A型のRh−の血液が少ないな………」


「まさか……そこまで似てるわけが無いとは思うが…」


広樹にはある懸念があった……












ビルの下…


淳平は何とかビルの入り口まで来た…


「やっと…ここまでは来た…!」


「後……少しだ……!」


淳平はビルへと入ろうとした。


「こら!ここから先は立ち入り禁止だ!」


だが、警官に止められた。


「ちょっと待ってくれ!俺は東城を説得しに来たんだよ!」


「説得!?君は……?」


「(!しまった……ひょっとしたら友達じゃあ入れてくれない


かも知れない……!だけどこんな事をしている時間は…!)」


淳平は焦っていた。





と、そこで…


「淳平くんは東城さんの支えになってあげられる人です!」


「だから……淳平くんが説得すればうまく行きます!」


つかさが突然警官に向かって言った。




「!つかさ………」


「それはどういうい……み…!?」


ゴスッ!


警官が考えている間にその警官の顔面にに2つの拳が


ものの見事にHITしていた。












「え……修平くんに一馬くん!?」




そこには修平と一馬がいた。




「何でここに……?」


淳平が疑問に思うと同時に修平は口を開いていた。


「真中さんは早く東城さんの所へ!」


「この分からず屋共(警官)は俺と一馬が止めるから早く!」


「……!わ、分かった……!」


淳平とつかさはビルへと入った。









「さーて、どうするよ……?」


修平は一馬に尋ねた。


「こ、このクソガキ…!公務執行妨害で逮捕するーーーーっ!!!」


どうやらここの警官は対応が遅いだけでなく


少々気が狂っている(?)らしい。


「ま……決まっているだろ?」


「や〜れやれ、一馬に訊いた俺が野暮だったみたいだな」


「か、かかれーーーっ!逮捕だーーーー!!!」


「行くぜっ!」


「おうよ!」


そして修平&一馬VS泉坂署の警官のバトルが始まった。

















屋上へ向かうエレベーターの中で淳平は冷や汗を流していた。


何しろ勢いだけでここまで来たようなものなので、


綾にかける言葉を全く用意していなかった。


「……そういえば……つかさはどうするんだ……?」


「あたしは……東城さんに誤解されたらマズイから、後ろから


淳平くんを見守るから……」


「……つかさ……悪いな………」


「……俺は……つかさの想いに…何としても答えるぜ……!」






























一方…


「綾ちゃん!何でそこまで思いつめちゃうの!?」


「あたしが相談に乗ってあげれたのに…!」


中島が必死で呼びかける。


「綾!さっきも言ったけど『NFP』は近いうちに治る病気に


なるって先生(裕紀の方である)も言ってただろう!」


「綾……あなたがいなくなったらみんな悲しむのよ……」


「そうだぜねーちゃん!早く戻って来いよ!」


綾の家族も必死で呼びかけるが全く意味が無い。













今の綾には両親たちの声が耳には聞こえているが、


その完全に絶望に包まれた心にはその声は届いていなかった。













時間が経つにつれ焦りは加速する…


現在の綾はいつ発作が起きてもおかしくない状態である。


発作が起きればその影響で転落する可能性があるからだ。

















「…東城さん……やっぱり真中の事なんだよね……」


さつきが真中の事を口にした。


「……真中くんには…もう会いたくないよ……」


「あたし……真中くんの事を考えると……もう苦しくて…」







「だから………あたしはここに……」













「東城さん!それは自分の本当の気持ちなの!?」


さつきが口調を荒らげた。







「東城さん……嘘ついてる………!」





「本当は今でも真中の事が好きなんでしょ!?」






「だけど諦めなきゃならないから……自分が病気だからって…


何でそうやって逃げようとするのよ!」


「東城さんの病気は治る!治ってから真中にもう一度


アタックすればいいじゃない!」


さつきは綾に力強く声をかけた。













だが……


「……北大路さんはあたしが何を言われたか知らないから


そんな事を言えるのよ………」


「え……?」


さつきはその言葉に驚いた。


「ちょっと待ってくれ綾さん!確か一馬くんの話では…!」


「……一馬くんはああ見えて優しいから…真中くんを完全な悪者に


したくなかったから…本当の事は言わなかったのよ……」


「え!?それってどういう事!?」


真紀も驚いた。






驚くのも無理は無い。


修平と一馬はつかさが綾に少々きつい事を言い、


淳平が同じ事を言った………と、いう程度の話にしていた。




そのため、綾がつかさを刺そうとした事や、


淳平の少々問題のある(?)発言は伝わっていなかった。












「……あたしは………真中くんにまで……もう近づかないでって…


言われたのよ……!」


「な、何ですってぇ!?あの真中がぁ!?」


「ま、真中……あの馬鹿は……!」


天地が毒づく。


「そ、そんな……真中先輩が東城先輩にそんなひどい事を……」


美鈴も驚きを隠せない。






















「あたしの居場所はもう………どこにも無い………」









もう、綾の心に迷いは無い。


綾はビルの下を見た。


そして、静かに祈りを捧げた……

























「(今度こそ……本当に………サヨナラ………………)」















綾はついに全てが無に帰す一瞬の旅に出ようとした。


























「(くそっ!打ち合わせ通りに行くか!!!)」


それを見た裕紀が左手に隠し持っていたスイッチを押した。













「!裕紀!?くそっ!」


下にいた英雄に連絡が入った。


「それなら……左肩に響くけど……やるしかねぇ!!!」






「間に合えぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」


英雄は手に持っていたバズーカ(おい)を上空に向けて撃った。























綾が飛び降りようとしたその瞬間、それは起きた。


突然泉坂の摩天楼が閃光と爆音に覆われた。


「!な、なんだぁぁぁぁぁ!?」


「う、上田さん…?これって…?」


「………英雄…お前…これを持ってきてたのか…」


裕紀は英雄が『何』を撃ったのか理解した。


英雄は閃光弾を撃ったのだ。


その閃光と爆音には皆がひるんだ。








それは綾も同じだった。







飛び降りようとした瞬間、凄まじい爆音と共に閃光が


綾の視界を奪った。


そして、綾は少しばかりひるんだ。





















































その一瞬があれば十分だった。


綾が一瞬ひるんだその瞬間、淳平が屋上の扉を開けた。


































「東城!!!!」

淳平の叫びが摩天楼にこだました。


[No.105] 2006/06/19(Mon) 00:53:17
見えない明日・見える未来〜第28話〜 (No.105への返信 / 28階層) - シン

第28話「見えない明日・見える未来」





綾が一瞬ひるんだ次の瞬間、綾の心にわずかに光が差した。





綾は恐る恐る振り向いた。





「東城!!!!」


淳平がそこにいた。







「ま……な…か………くん………?」


全員の視線が淳平に集中する。










「よかった…間に合って……」




「やっと……東城に…会えた…………」










「………今更……何なのよ…………」


だが、綾の心はまだ絶望に包まれたままだ。


一瞬差した光もすぐに消えていた。







「東城……俺…いくつも言わなきゃならない事があるんだ………」





「まず………ごめん………あの時東城の気持ちに答えられなくて…」





「それから……何も考えずにひどい事言って……」


「東城がどんな気持ちなのか全く考えずにいて………」


「それも………ごめん……………」


「こんな事言うだけで許してもらおうとする方もする方だけど…」












「ホントだよ……今更………そんな事……遅いよ……………」





「そんな事言われたら……変に希望を持っちゃうじゃない!」





「だけど……そんな希望は………すぐに消えるのに………」










「…東……城…………」










「……あは……本当にあたしって嫌な女だね……」





「真中くんが…あたしの事を思って言ってくれてるのに……」





「それを分かってるのに…………あたし…それを拒んでる………」










「……あたし……こんなあたしが……大嫌い…………」










「だから……もう……死なせ……


「そんな事言うなよ!!!」


淳平が綾の言葉を遮った。


「何で東城はいつもそんな風に考えるんだよ!!!」







「俺……東城がいなくなりそうになってやっと気づいた……」


「俺にとって東城は………………


絶対にそばにいてくれなくちゃ困る人なんだって…」


「今更だけど気づいたんだ!」


「今、東城が居なくなったら……多分もう俺の夢は叶わない……」


「東城にはずっとそばに居て欲しいんだ!」


「………え………?」


綾の心に光が間違いなく差し込んだ。








だが、まだ綾には気がかりな事があった。


「だめだよ……真中くんは西野さんのそばについていてあげて……」


綾はつかさの事を口にした。







「いや……西野(呼び方が戻っている)とは……もう別れたよ…」


「西野が…言ったんだ………俺は東城のそばに居るべきだって…」








「……え……?西野さんが……そんな事を…………?」


「ああ、『あの頃の気持ちが残っているなら東城さんのところへ


行ってあげて』……ってな………」


「あの頃の……気持ち…………?」









「ああ……俺は……最初に屋上で会った時から………今もずっと…」










「俺は…………東城の事が好きなんだ!!!!!」


それはとても強い想いだった。


その想いは綾の絶望を消し去っていく。













だが、最後に残った絶望はとてつもなく大きい……


「………やっぱり…ダメ……」


「あたしにはもう明日も分からない………」


「あたしは…………もう永くは生きられないのよ!」


「真中くんの気持ちは嬉しいけど……でもそれじゃあたしが


死んだ時に真中くんは…………!」













確かに綾の言う事は正しかった。


だが……淳平は焦らなかった。


「東城、確かに今は治せないかもしれない……」


「明日は見えないかもしれない…………」







「けど……希望を捨てなければ………明るい未来が見えていれば…」


「東城は生きていける!絶対に……死なない!!!」


「俺には見えるぜ!東城と一緒に夢を叶えている姿が!」










「だから………俺と2人で一緒に……生きていこう!!!」


それは淳平の飾ってなどいない本心だった。


その想いは綾の絶望を完全に消し去った………







「………あたしにも……真中くんと一緒に夢を叶えてるのが……


見えた……!」


「あたし……やっぱり………生きたい!!!」


「生きて……真中くんともっと楽しい時間を過ごしたい!」


綾の目から涙がこぼれる。


綾の心にもう迷いは無い。


だが消えたのは、生きる事への迷いだった…







「綾ちゃん!じゃああたしの手を握って、命綱を付けて!」


いつの間にか中島が綾の隣まで来ていた。


どうやら中島は高所恐怖症とは無縁らしい。


(余談だが、広樹と上田は高所恐怖症らしい)


(ちなみに、広樹にこの事でいたずらをしようものなら


後日凄まじい『反撃』を喰らうとか)


「は、はい!」


綾は力強く中島の手を取り、命綱をしっかりと結びつけた。














そして、柵を越えて綾が戻ってきたとき辺りは歓喜に包まれた。


「みんな……迷惑かけて…ごめんなさい…………」


「いや……謝るのは…私だ………」


「綾の苦しみに…気づけなかったからな……」


「そうね……私も同じよ…綾…」


両親もまた綾に謝っていた。


「ねーちゃん…よかった………やっと……ねーちゃんの想いが…


実ったんだよな………」


正太郎は……泣いていた……


「先輩……これで…幸せに……なれますね……」


「そうだな……美鈴……」


「綾ちゃんがたすかってよかった〜!」


「綾ちゃん…やっと……想いが…実ったんだね…」


みんな…喜びと共に………泣いていた……………







「坊主……やるな………」


上田だった。


「……俺は……何もやってないですよ………」


「ただ……本心を伝えただけですから……」


「……そうか (…まだ…アレは言うべきでは無いな…)」


「(それにしても……健治のやつ……遅いな……)」


と、そんな時……


「真中くーん!」


「おわっ!?と、東城!?」


綾が(いつもならありえない事だが)淳平に抱きついた。


「と……東城!?」


「あたし……ずっと真中くんのそばに……いてもいいんだよね!?」


綾は目に涙を浮かべながら言った。


「……ああ……もちろんだよ……」


「今まで傷つけた分まで……全部受け止めてやるから………」


「あ…り……が……とう…………」


綾の目からさらに涙がこぼれる。


淳平を抱く力がさらに強くなる。


そんな綾を淳平は優しく、かつ力強く抱きしめた。














「ああやって見るとやっぱり真中の隣には東城さんが居るべきよね」


「本当だ……やっぱり僕の判断は…正しかったという事か……」


「綾さんのあんな顔……始めて見た気がする…」

















「それにしても、まさか西野が真中をあっさりと諦めるなんてな…」


外村がつかさに話しかける。


「やっぱり……パリに行ったときにさびしいのは…やだもん…」


「それに、外村くんの言うとおり、やっぱりあの時の淳平くんは


あたしの知ってる淳平くんじゃなかったのもあるしね」


「そうか…」









そんな事を言っている間に、淳平と綾は完全に自分たちの世界に


入り込んでいた。


もう、周りの目は気にしない………











そして、2人の唇が近づいていき……………






































と、そこへ突然ヘリのローターの音が聞こえた。







「わあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


「きゃっ!?」


淳平と綾はいきなり現実に引き戻された。


[No.106] 2006/06/19(Mon) 18:59:33
見えない明日・見える未来〜第29話〜 (No.106への返信 / 29階層) - シン

第29話「隠し事」





「おーい!」


突然飛来したヘリに乗っていたのは健治だった。


「な、中間さん!?」


「どうして…?」


困惑する淳平と綾。


(もっとも、この場に居るほとんどの人が困惑しているが)


「真中、東城!乗れ!」


「え!?」


「俺からの…ちょっとしたクリスマスプレゼントだ!」


「???」


余計に混乱する淳平。


「健治!それってアレだな!?」


「上田!まだそれについては黙っとけよ!」


「え?だから何!?」


「とにかく話は後だ!乗れ!」


そして、ヘリの救急隊員が綾をまず引き入れ、そして淳平もヘリに


乗った。


「上田!後は頼んだぞ!」


「任せとけ!」


そして、ヘリは再び飛び立った。







「あの………一体何が……?」


まず、綾の母が尋ねた。


「まあ、今はまだ教えられません」


「そういえばこの様子だとまだ裕紀は知らないようだな」


「ああ、どういう事なんだ!?」


「だからまだ教えられないって言ってるだろ!」


「とにかく、『ある場所』へ行くぞ!ついて来い!!」


「????????」


「ど、どうしたんだ?」


「さあ……?」


「とにかくついていくしかないわね……」


結局、何も知らないまま全員ついていった。























下まで降りると乱闘を終えた修平と一馬が居た。


「……なにやってたんだ!?」


「この分からず屋共を足止めしていたんだよ!」


「それにしても、松井さん!見てないで手伝ってくださいよ〜」


「知るか、お前らが勝手に喧嘩を売ったんだろ」


「というより、バズーカなんか撃つなよ……」


「実弾じゃないからいいじゃん」


「……英雄…それはただの屁理屈だぞ…」


「後で…トイレに来い」







「……上田さん、警察署じゃなくてそこですか……」


修平が呆れながら突っ込んだ。






















その頃……


「ま、俺の出番があってよかったぜ……」


「中間さん…結局どこへ……?」


淳平が尋ねる。


「あと、さっきはタイミングが悪かったな」


「ま、これからキスすることなんてよくあるだろうけどな」


「……中間さん…話聞いてください……」


「そ、そうよ!真中くんの言うとおりよ!」


「それにさっきのは今考えるとすごく恥ずかしかったのよ!」


「でも、事実だろ?」


「た、確かにそうだけど……ヤッやだ……なに言ってんだろ…」


「ちょ、ちょっと東城!?」


「って、だからどこへ行くんですか!?」


「あ〜も〜うるせえ!黙ってろ!」


「(ついに逆ギレした……)」


「(……アンタもうるせえよ…………)」


「(……と、言うよりあの子………ホントに病人なのか?)」


「(確かに……あの子…どう見てもムチャ元気だぞ……)」


真中が呆れると同時に救急隊員の方々も呆れていた。


























それから数分後……


「ここって……病院…ですよね?」


「ああ、そうさ」


「え?でも『NFP』は治らないって…」


「あ〜そりゃ普通ならな」


「ま、とにかく入るぞ」


「「は、はぁ………」」





















それから少し遅れて……


あの後、上田の車を先頭にして泉坂総合病院を目指していた。


(ほとんどの者はその事を知らないが)


「あれ?ここって……」


「普通の…病院…だよね……お兄ちゃん……?」


「なんで中間さんはこんな所を指定したんだろう………?」


「そうよね……確か『NFP』はまだ治せないって…」


「(まさか……健治……!)」


裕紀は勘付いた。


「そのまさかさ」


「英雄!?それって………」


「ああ、今まで黙ってたけど…」


「英雄、もう少し待て」


上田が英雄をけん制した。


「どうせなら驚かせたいだろ?」


「それもそうか」


「(だからなんなんだよ!)」


「(健治くんは……何を隠しているんだろう…?)」


「(さあ………)」


何の事か分からない綾の家族は首をかしげる事しかできなかった。



























その頃……


上田より綾の救出に成功したとの連絡を受けた


広樹もまた泉坂総合病院に着いていた。


「(……まさか……そこまで似ている事は無いはずだが…)」


「(それにしても、真中……やるな…………)」


「(さて……久しぶりに黒笹先生に会いに行ってくるか……)」


広樹は病院に入っていった。


[No.109] 2006/06/25(Sun) 17:33:55
見えない明日・見える未来〜第30話〜 (No.109への返信 / 30階層) - シン

第30話「あまりにも似すぎた二人」










全員が到着して数分後……


「ん?やっと来たか」


広男が広樹と共に歩いてきた。


「あれ…?何かのテレビ番組で見た事があるような……」


「え、何か知ってるの?お父さん」


綾の父が何かに気づいた。


「さて…紹介するか……」


健治が切り出した。


「この人は黒笹広男先生……通称・ブラックジャックだ」


「へ!?中間さん!それはギャグで言ってるんですか!?」


淳平が健治に尋ねた。


「ギャグじゃない」    (もっとも俺[シン]はギャグで使ったが)


「そして……この手術の執刀医である」


「!執刀医………!なるほどな………」


裕紀がそれに気づいた。


「ちょっと待て!ねーちゃんの病気は………!」


正太郎がごもっともな疑問を口にした。


「そ、そうだよ!俺だって今日、石原先生からそれについて聞いたばかりなのに!」


淳平もさすがにそれを口にする。


「…ま、最初から説明する……」


「ただでさえ信じられないような内容だからな」


「は…はい……」


綾の父はただうなずいた。





「確かに裕紀が真中たちに言ったように『NFP』は治せない病気だった」


「だが……それはもう過去の話だ」








「俺は娘さんの件を聞いてからいろいろ情報を調べた…」


「そんな中、俺は8年前までこの病院の院長をしていた黒笹先生に連絡を取った…」


「そして……結果が…これです……」


「ま…まさか……」


綾の父が『それ』を理解した。


「その通りです………」


「『NFP』の手術を行う方法を……見つけていたんですよ……」


「え……まさか……それなら…………東城が……助かるって……事なのか!?」


「ああ、その通りだ」





「………やったよ……東城……俺たち……まだ一緒に…いられるかもしれないって……」


「……うん…………あたしも…よかった………」











「さて…あとは黒笹先生…頼みます」


「そうじゃな…これからはわしがこの手術の説明をする」


「あと、患者の検査をしてくれ」


「あ、はい!」


看護師たちが慌しく動き始めた。






「あの……俺…東城のそばに…いても……いいですか?」


淳平が広男に尋ねた。


「ああ、構わんよ」


「話は聞いているよ。君はあの子のそばに付いていてくれ」


広男は快く認めた。






「じゃ、真中くん……だっけ、君もこっちに来て」


それを受けて、青木が淳平を誘導した。












「さて、説明を行うとするかのう……」


そして、説明が始まった。





















「……と、いうわけじゃ」


「つまり、手術自体はそれほど時間もかからず、患者への負担も小さいというわけじゃ」


「は…はい……」


「あなた…よかった……」


「やれやれ……健治の奴…………よくやるぜ……」


「それにしても、黒笹先生はこれが『リベンジマッチ』になるわけなんでしょ?」


「ああ、そうだな……裕紀くんの言う通りじゃ」


「……あの〜石原先生に黒笹先生……あなたたちの関係って……」


ずっと気になっていたことに美鈴が質問した。


「ああ、黒笹先生は…俺たちがガキの頃からの知り合い……というより友人だな」


「まあ、会うのは7年半ぶりだけどな」


「は、はあ………」





「先生!検査終了です!」


「ふむ……これが結果か……」


広男は結果に目を通していた。


と、そこである項目で目が止まった。


「血液型……A型のRh−か……」


「(これは…いくらなんでも……似過ぎじゃが……まあいい………)」


「すぐにA型のRh−の輸血ができるように準備じゃ!」


「Rh−の血液を取り寄せるのじゃ!」


「Rh−だと!?」


広樹が唸った。


「まずいな……よりによってRh−か…………」


「さっき……調べてきたが……Rh−はほとんどないぞ……」


「な、なんじゃと!?」





「そ、それは一体………?」


綾の母が尋ねた。


「わしが説明しよう」


「Rh型とは血液型のもう一つの形といったところじゃ」


「+と−があってこれが合わなければ輸血は不可能じゃ」


「そして、日本人のほとんど……99%以上は+じゃ」


「そして、娘さんはその1%以下の確率の……−の型を持っているのじゃ」


「な、何だって!?」


綾の父は狼狽した。





「くそっ……よりによってそこまで似ているのかよ………!」


健治が毒づく。


「(いくらなんでも似すぎだ……これじゃ……手術以前の問題だ…!)」


「(どうする……!?     !!!そうだ!最後の手段があった!)」


健治はひらめいた。


「黒笹先生!Rh−の血液なら……確かこの病院のどこかにあったはずだ!」


「!健治くん!それは…………!」


「ああ!先生があの時放っておいた研究用に取った血液!あれがRh−だろ!」


「よし、分かった!すぐに探せ!」


「健治君、それは一体……?」


綾の父が尋ねる。


「……真矢の……血ですよ………」


「真矢も……Rh−でしたから…………」


「そうか………」









数分後………


「黒笹先生!ありました!これですね!?」


「おお!それじゃ!」


「あとは何としてもありったけの血を集めるのじゃ!」


「多くて困る事は無いからな!」


「はい!」












それから数十分後……


「よし……準備は完了じゃ」


「あとはこの書類にサインを」


「はい………」


綾の両親が手術同意書にサインした。












そしてその数分後、手術室前………


「先輩!がんばって!」


「ここが踏ん張りどころよ、東城さん!」


「東城……ま、話は出てきた後にするか」


「綾ちゃん!大丈夫だからね!」


「そうだぜ!戻って来いよ綾ちゃん!」


「東城さん、俺……いろいろ話したい事があるからとにかくがんばって!」


「俺も修平と同じだぜ!」





修平が、一馬が、美鈴が、さつきが、外村が……みんなが綾を励ます………






「東城さん……………………」


つかさは綾にかける言葉が思い浮かばなかった。


「……やっぱり……後にするね」


「東城さんに謝るのは……………」


「だから………絶対に……戻ってきて………」


「……うん…………心配しないで」


「あたし、真中くんとこれから一緒にいられるのにここで死んだら話にならないからね……」


「……それなら大丈夫だね!」


「……と、言うより俺としては黒笹先生が失敗するなんて思ってもねーけどな」


「…………ま、中間さんもそう言ってるし、東城さんもこれなら大丈夫ね!」


つかさには不思議と不安が無かった………










「………俺……手術中もそばにいるよ………」


「え!?ちょっと淳平くん、それ本気なの!?」


淳平が突然切り出した。


「本気さ、今まで傷つけた分も全部受け止めるって言ったばかりだし………」


「それに、俺自身…東城といつでも一緒にいたいから………」


「そうか………それじゃ、黒笹先生、できるか?」


淳平の意思を感じ取った健治が広男に言った。


「ああ、構わんよ」


「え!?いいんですか!?」


さすがに看護師の一人が異議を唱える。


だが、


「なに、この程度の事で手術ができないなんて言ったら……」


「天下のブラックジャックの名に傷が付いてしまうからのう」


「それに、この子……真中君がいなければ不安になるじゃろうしな」


「じゃから、別に問題は無いのじゃよ」


「は、はあ………」


「ま、相変わらずだな……黒笹先生……」


健治は半ば呆れながらも少しの笑みをこぼしていた………






















「さてと、それじゃ俺たちは終わるのを待つとするか」


「そうじゃな…………では……行ってくる……」


「東城……俺が…ついてるからな………」


そして、手術室の中へ消えていった…………


[No.110] 2006/06/29(Thu) 00:23:39
見えない明日・見える未来〜第31話〜 (No.110への返信 / 31階層) - シン

第31話「心の中で生きる少女」







「さて…そろそろ麻酔も効いてきた……」


「ところで、真中君は…この手術を…見ていられるのかね?」


さすがに広男が淳平に訊いた。


「はい、俺…少々の事なら大丈夫ですから!」


「ふむ、どうやら訊くだけ無駄だったようじゃな」


「さて、真中君は…手を握ってやっておいてくれ……」


「ちょ、黒笹先生!それはさすがに………」


先ほど淳平が手術室に入る事に異議を唱えた看護師が言った。


「じゃから、この程度……わしにとってはハンデにもなりゃせんよ……」


「それに、この子も真中君がいないとさぞかし不安じゃろうからな」


「は、はあ………」








「東城……大丈夫だから……」


淳平は綾にそっと語りかけた……


「俺が………ついているから………」















「さて、これより術式を始める!」


先ほどまで穏やかだった広男の目が一気に鋭くなった。


「(さて……真中君のためにもこの身体に傷は残せないな……)」


「(まあ…………この程度なら………)」

















「!始まった………!」


健治が『手術中』のランプを見て言った。


「いざこうなると……やはり不安だな」


「そうね………」


「大丈夫です、黒笹先生がミスをしたことなんて聞いたことが無いですよ」


「そうだな、健治の言うとおりだ」


裕紀も同意見だった。





「ま、こんな事言うのもアレだけど……俺たちが騒いだところで無意味なんだし、ゆっくりと待とうぜ」


「俺も…修平の意見に同意だぜ」


「………ま、そうよね、修平と一馬の言うとおりよ」


「……それじゃさつき姉ぇもそう言ってるしのんびりと待とうぜ」


「………そうだな……修平くんの言うとおりだ……」


「今は手術が終わるのを待つだけだ」


綾の父も同意した。

































それから……どれだけの時間がかかっただろう………


「さて……あったぞ………」


「これを…切除すれば……終わりじゃ」


そして、広男は患部の切除をした。





「あの〜黒笹先生……真中君…………寝ちゃってますけど……」


青木が突然言った。


「ん?  おやおや……まあ、仕方ないか……夜中じゃしのう……」


「まあ……真中君も綾ちゃんもどこか幸せそうな顔をしているのう……」


「ホントですね……夢の中でも2人でいるのかも……」





「すまんが…もう一台ストレッチャーを持ってきてくれ……」


「このままにしておくわけにもいかんしのう……」


「あ、はい!」






「さて……最後の仕上げじゃ………」


「最後まで気を抜くんじゃないぞ!」


「はい!」








そして、その後淳平をストレッチャーに寝かせた……























































ほぼ同時刻……


「……あれ?ここは………?」


綾は『そこ』で目を覚ました。


「東城!」


声がした方を向くと淳平がいた。


「真中くん?」


「悪いな…ちょっと待ちきれなくて……会いに来ちゃった」


「え……?  ありがとう………………」


「ところでここは?」


「ああ、どうやら…夢の中みたいだぜ」


「そう……」


「まだ…手術は終わってないって事みたいだぜ」


「まあ、心配する事じゃないだろうけどな」


「うん……」


「ん?どうしたんだ、東城……」


「ねえ、真中くんはあたしがいなくなったら……どうなる……?」


「え!?そりゃ……なんと言うか………」


「正直……目の前が真っ暗になるだろうな………」


「俺……こうやって目の前に東城がいることで感じてるけど……」


「やっぱり東城がいないと俺は本当にダメ人間になるだろうな…………」


「だから……もう一度言うけど……東城には俺のそばにいてほしいんだ……!」


「うん……ありがとう……真中くん…………」


「あたしも……真中くんに……そばにいてほしい…………」


「ああ……!そばに……いてあげるよ……いつでも………」


そして、2人は夢の中で抱きしめあった…………











そして、再び2人の唇が近づき…………

























「……綾ちゃん……」


「「え!?」」


突然どこかから綾の声がした。


「この声………確かビルの屋上でも………」


「え?どういうこと?」


淳平と綾がが考えているうちにその声の主が姿を現した……





「え……あれは………」


「と、東城!?」


そこにいたのは綾に瓜二つな少女だった。


「東城か……少し違うよ……あたしは………健治くんの心の中で永遠に生き続ける者………」


「え!?どういうことなの!?」


綾は混乱を隠せない。


「中間さんの心の中で………?」


「2人とも今なら話せるから会いに来たけど………」


「え?話があるのか?」


「うん………君が真中くんね……」


「あ、ああ」


「あたしから言う事は…綾ちゃんを……幸せにしてあげてね……」


「あたしが幸せになれなかった分までね…………」


「え…?それってどういう事………?」


「…それは……時が来れば健治くんが話してくれると思うから……」


「あと、綾ちゃんには…多分近いうちに健治くんがあたしの意志を伝えてくれると思うから……」


「だから、それを受け取って…………綾ちゃんがこれから小説を書くのに役に立つと思うから………」


「うん………分かった………」


「あと、綾ちゃんには……あたしに残された最後の力を……あげるから……」


そう言うとその少女は綾の中に入っていった…………






「……何だったんだ………?」


「うん…………」


そして、そこで2人の夢は途切れた。



















































同時刻


手術中のランプが消えた。


そして、中から黒笹が姿を現した………


「せ、先生!綾は……!」


綾の父が詰め寄る。


「手術は…無事成功じゃ」


その言葉で歓喜が沸き起こった。


「や、やったーーーっ!」


「さ、さすが先生!」


「よかった〜」


「す、すげえよ!」


「ああ、あの『NFP』の手術を成功させるなんてな!」


「コラコラ!今は夜中よ!静かにしなさい!」


青木の一喝で静かになった。


そして、綾の眠るベッドが中から出てきた。


「あれ?淳平くんは?」


つかさが淳平の不在に気づいた。


「あれ?真中さん…確か手術室に……」


「あ、修平……真中さんならいたぜ…」


「え?」


「ちょっと、それ本当!?」


つかさが一馬の見ている所を見る。


「あ……寝ちゃってたんだ………」


「え?それは本当なの!?西野さん!」


「あ、本当だ……東城と一緒に……寝てるや…………」


淳平は綾と寄り添って寝ていた………


「真中……東城が助かって……安心したんだな…………」


「そのようだな、健治……」


広樹もどこか安心したような表情を見せている。


「はいは〜い!とりあえず病室へ行くからそこどいてよ〜」


「あ、そうだな……」


健治がまず道を空けた。













「さて……後は意識が戻ったら呼んでくれるかのう」


「ああ、分かった」


そして広男はそこから立ち去った。







「さて…後はみんな休んでてよ」


修平がいきなり切り出した。


「そうだな、俺と修平で見ておくから」


一馬も同意する。


「え?それなら俺も起きとくぜ」


「中間さんも?」


修平が尋ねる。


「ああ、まあとりあえずみんなはゆっくり寝とけよ」


「そうですな、後は健治君たちに任せておきましょう」


綾の父が言った。


「それじゃ修平、一馬、たのんだよ〜」


「任せといてよさつき姉ぇ!」


そして、みんなはゆっくりと休む事にした。










































そして、もっとも長い一日がようやく終わった………………


[No.112] 2006/06/30(Fri) 00:18:17
見えない明日・見える未来〜第32話〜 (No.112への返信 / 32階層) - シン

第32話「哀れな人々」






手術が終わってどれくらいの時間が経っただろう……


「う…  う〜ん…………」


「!東城さん!?」


「おっ!目を覚ましたようだな!」


「一馬!黒笹先生を!」


「OK!」










一馬が広男を呼びに向かった後、健治はみんなを起こした。


「先生!早く!」


「一馬、早かったな!」


「おうよ!」





「さて……気分は…どうかね………?」


広男は綾に語りかけた。


「はい…大丈夫です……!」


「そうか……よかった………」


と、ここで綾が異変に気づいた。


「あれ……?真中くんは……?」


「……気づけよ…………真中なら…そこにいるぞ」


健治が半ば呆れながら言った。


「え……?」


「真中くん……どうしてあたしの隣に……?」


「ああ、真中君は途中で寝てしまってのう……」


「じゃからあえてそのままにしておいたのじゃ」


「あ……だから………夢の中で真中くんに会えたんだ………」


「本当に……ずっとあたしのそばにいてくれたんだ……」


「…それにしても真中…起きないわね………」


「ホント、東城先輩が目を覚ましたのに……いつまで寝るつもりなのよ!この人騒がせな先輩は!」


「…美鈴……こんなこと言うのはアレだけど……人騒がせは東城だぜ………」


「あ、そういえば兄貴の言うとおりね」


「ハハハハハハハハハハハ!!!!!」


その言葉で病室に笑いがこだました。












それから数分後……


「…ん……」


「ん?真中も起きたか?」


「…あ!そ、そうだ手術は!?」


「……ってここはどこだ!?」


「おーい……時間がずれてるぞ………」


「あれ?石原先生?」


「って、あれ?なんで隣に東城が………?」


「……分からないのか?」


「え?中間さん、それってどういう………?」






「手術は……成功だよ…………」


「え……?マジで…………!?」


「ああ、マジだ」


「だから今こうしてここにいる」


「ちなみに、君は途中で寝てしまったからあえて二人一緒に寝させたのじゃよ」


「あ………だから東城がここに……………」


「だから……俺…途中で変な夢を…………」


「え?真中くんも見たの?」


「え?じゃあ東城も?」


「うん……」


「何なんだ?その夢って………?」


気になった健治が尋ねた。


「うん……あたしは……真中くんがそばにいてくれる夢を見たんだけど……」


「あ、俺も同じだぜ」


「だけど……途中であたし自身を見たの………」


「ああ、俺も見た」


「だけど、その人は中間さんの心の中で生きる者って名乗ったんだ………」


「中間さんに心当たりはありますか?」


「なるほど………真矢が……会いに来たんだな…………」


「真矢………?」


淳平は首をかしげた。


「あ、それってひょっとして……石原先生が言ってた中間さんの恋人なんじゃ………」


美鈴が直感で言った。


「……何?裕紀が……そんな事言ったのか?」


「ええ、確かにそう言いました」


「………………」


「い、いや…………さすがに黙っておけなくてな……」


「……要らん事を言いやがって…………」






「まあ……真矢が会いに来たのも…無理は無いかもな……」


「あ、そういえばその後……その…真矢さんが…あたしの中に入って来たんだけど、それって?」


「ああ、それは多分………」


「ああ、わしは輸血に真矢ちゃんの血を使った」


「多分……それじゃろうな……………」





「まあ……真矢について詳しい事は今は話せない……」


「時が来れば……俺から話すからな………」


「は、はあ…………」







「あ、言い忘れていたのじゃが……」


「2人のその後の事を考えて綾ちゃんの身体には傷を残さないようにしておいたからのう」


「………黒笹先生………それって……どういう意味ですか?」


「そのまんまの意味じゃ……」


「そうですか……」

















「あ、そういえば……」


「何?西野さん……?」


「忘れないうちに…言っておくね…………」


「東城さん……ごめんね……あたし………東城さんのためになると思ってキツイ事を言ったけど……」


「でも………やっぱりそれは東城さんのためには………ならなかったね…………」


「東城さんを……苦しめるばかりで…………」


「だから……ごめんね………ごめんね………ご…め……ん……ね………」


「…いいのよ……西野さん……」


「あたしだって……西野さんを……………思わず殺そうとまで……しちゃった………」


「え!?東城さん!そんな事があったの!?」


「嘘でしょ!?まさか東城先輩に限って!」


「ううん、本当なの…………あたしが……真中くんに無理矢理あたしの想いをぶつけようとして………」


「だから……これはおあいこかな?」


「いや……そんなこと言ったら……俺だって……東城を傷つける事ばっかりして……」


「だから……まただけど……ごめん……………」


「あと……西野も………今日だけは恋人でいてって俺が言ったくせに…………」


「さすがに…状況が状況だったけど………でも、やっぱり………ごめん……………」


「ううん、淳平くんの責任じゃないよ………」


「かといって東城さんの責任でもないけどね」


「いや、でもやっぱりごめん……」


「やっぱり…西野さん……ごめんね………」


「ううん、あたしだって………ごめんね………」


「ごめん」


「ごめんね……」


「あたしも…ごめん……」


「ごめん………」


「ごめんね」


「ごめんね………」







「………何だ……?この三角関係は………………?」


ついていけなくなった修平が思わず口に出した………











「あれ?ところで中間さんと上田刑事は?」


「あれ?一馬の言うとおりね……いないわね………」


いつの間にか健治と上田がいなくなっていた。





「それじゃ……ちょっと探してくるか……」


「おい、裕紀だけ行くなよ!」


「やれやれ……俺も行くか……」


「わしも探しに行くか……」


「あ、それじゃあ私も……」


「私も探しに行こう……」


「礼も言わなければならないしな………」


「それじゃあたしも行こうかな」


裕紀、英雄、広樹、広男、青木、綾の父、中島も病室を出た……






















そのころ……病院の屋上………


「……健治、どうだ?一服吸うか?」


「それじゃもらうか……」


健治は上田からタバコを受け取った。


「さ〜て……それにしても大変だったな………」


「ああ…悪いな……とっつあんにまで無茶させて………」


「ああ?そんなもん一つの命に比べりゃ安いものさ」


「ま……それはそうか…………」


「それはそうと……まさか報道規制までかけたとはな……」


「ああ、どうせ健治も事を大きくしたくなかっただろ?」


「まあな……どう考えてもワイドショーの格好のネタになるからな……」


「東城のこれまでの話に『NFP』、さらに下手すれば小説の事も増えるしな」


「全くだ………」







「まあ、今日は……飲むか?」


「ああ、いいぜ……今日は俺がおごるぜ………」


「そうか………」





「へ〜、健治がおごるのか〜」


「へ!?裕紀!?なんでここに!?」


裕紀たちがそこにいた。


「それじゃ私も〜」


「青木!?」


「そうね、あたしたちもおごってよ!」


「中島と…その部下たち!?」


「わしも久しぶりに飲ませてもらおうかのう……」


「く、黒笹先生!?」


「さて、今日は無礼講で行こうではないか……健治君……」


「ちょ、なんであなたまで!?」


ついには綾の両親もやってきた。






「ちょっと待て!聞いてねーぞ!」


「いいじゃねーか、金なら綾ちゃんの両親からたっぷり搾り取れるんだからな!」


「てめ………っ!上田!俺がそんな胸糞が悪くなる事はしないって知ってて言ってるだろ!」


「第一本人がいるんだぞ!」


「まあまあ、健治君は落ち着いてってば」


「青木……他人事と思って………!」






「えーーーい!!!こうなったら自棄だ!」





「もう今日はとにかく遊びまくるぞーーーーっ!」









「みんなついてこーーーいっ!」


ついに健治は自棄を起こしてしまった。


[No.113] 2006/06/30(Fri) 23:45:45
見えない明日・見える未来〜第33話〜 (No.113への返信 / 33階層) - シン

第33話「思い出と共に…」





1月14日


今日は綾の誕生日である。


そして、修平と健治の人生が変わった日である………






中屋にて…


健治は墓の前にいた……


「真矢……今日がお前の26歳の誕生日のはずだったんだよな……」


「……俺は………いつになっても真矢の事を忘れたりしない………」


「真矢……行ってくるぜ………」






健治は病院へ向かって歩き出した………










その頃……泉坂総合病院………


綾は手術後当分の間は入院する事になっていた。


なんでも、「NFPの手術はこれが2回目じゃから術後経過を見る必要があるからのう」と、いうことだそうだ。


ちなみに広男は院長に復帰している。


「東城、入っていいか?」


「うん、いいよ」


その声で淳平は扉を開けた。




「おっ!さつきと天地もいたのか!」


淳平は綾のベッドのそばにいる2人に声をかけた。


「真中、今日は早いね〜」


「まあ、恋人の誕生日だから当然だろうね」


「ははは……天地が言うとなんか説得力あるな………」


「それじゃああたしたちはちょっと花を換えてくるね」


「ああ、真中、その花を出してくれ」


「あ、ああ」


淳平は天地に片手に持っていた花を渡した。


さつきは花瓶を持っている。


そして2人は病室を後にした。








「(……気ぃ使ってんのかな…………)」


「あ……そうだ、本題だよ…………東城、誕生日おめでとう」


そう言って淳平は綾に包みを渡した。


「ありがとう……開けてもいい?」


「ああ、見てくれよ」


綾はゆっくりとリボンをほどき包装をはがした。


「真中くん…これって………」


その包みには2枚のDVDが入っていた。


「東城がいつだったかこの映画がいいって言ってただろ?」


「だからその映画のDVDを手に入れてきたのさ」


「考えてみれば2年連続でDVDだけど………」


「ううん、あたし……すごく嬉しい………」


綾の目はもう潤んでいる。


「ところでもう1枚は?」


「ああ、これはちょっと前に正太郎くんから東城のノートを渡されたんだ……」


「え?それって確か石の巨人じゃない方よね?」


「ああ、それで……俺はそのノートの中の小説の内の一つを映像化してきたんだ……」


「え!?ひょ、ひょっとしてアレを!?」


「ああ、もっとも中間さんたちが手伝ってくれたからできたんだけどな……」


「すごいよ……真中くん…………」


「はは………ありがとうな……東城………」







「…真中くん………」


「東城…………」


お互いを見つめ合う………


そして2人は………










「東城さん、入っていいですか〜?」


「わあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


「きゃあっ!?」


突然修平の声がした。





「は、入っていいよ……」


「それじゃ失礼します……」









「……何やってたんですか?真中さんに東城さん………」


一緒に来た一馬が尋ねた。


「い、いや!なんでもない!!!」


「そ、そうよ!キスなんてしてないよ………………あ!!!」





「……それは失礼…………」


「ちょ、ちょっと修平くん!?」


慌てる綾。


「まあいいや……とにかく東城さん、誕生日おめでとう!」


「俺からもおめでとう!」


「あ、ありがとう………」


「とにかくさっきはごめんね〜、もっと遅く来ればよかった……」


「だ、だから修平くん!」













まあそんなこんなで…


それからしばらくすると映研のメンバーと万事屋メンバー、そしてつかさと唯もそろった…


「いや〜このメンバーでそろうのは久しぶりだな〜」


「中間さんの言う通りですね」





「あ……そうだ……そろそろ俺の昔の話を聞きたいか?」


「え?中間さんの昔の話?」


修平が聞き返す。


「そういえば時が来れば言うって言ってたっけ………」


「それなら……話してくれませんか?」


淳平が言った。





「そうか……なら話そうか………」








そして、健治の話が始まった……


「俺は…小さい頃に交通事故で家族を亡くした……」


「親戚はいなかったから俺は孤児院に入るはずだった……」


「だけどそんな俺を受け入れてくれたのが幼馴染の真矢がいる東堂家だ……」


「……なんか…修平に似てるな………」


「ああ、確かに俺に似ている………」


「真矢とは一緒に過ごすことが多くなった……」


「ちなみにその頃から裕紀や青木といろいろ無茶ばかりしてたな……」


「で……中学になった頃には……俺は真矢と付き合うようになった……」


「あ……だから恋人だって言ってたんだ………」


淳平は裕紀の言葉の意味を理解した。





「ああ、あと健治は間違いなく真矢と×××はしてたぜ」


「おい英雄!それはやってないって言ってるだろ!」


英雄の言葉に反応する健治。


「ふふふ……健治…その気迫もいつまで持つかな?」


「へ!?」


「い、一体何が……?」


疑問を持つ淳平。





「広樹、『アレ』を出せ」


「分かった」


そう言って広樹は1枚のディスクを出した。


「ん?なんだそ…りゃ………!?ま、まさか!?」


「ど、どうしたんですか!?」


綾が健治に尋ねる。


「ひ、広樹……まさかそれは………」


「心当たりがあるようだな」


「て、てめえ!いつの間に部屋に隠しカメラなんか仕掛けてたんだ!?」


「無論、健治の知らない間にな……」


「それにしてもこの内容は……ヤバいぜ………」


「……ヤバい?(ま、まさか!?それは俺が真矢を………!!!)」


「やっと尻尾を出したか」


「…………まあいい……話を続けるぞ……」


「(…………一体何が!?   by.淳平)」


「真矢は小説を書いていた……そして俺は映画を作る人になりたかった……」


「まあ、このあたりは真中と東城に似てるな」


「で、俺たちは考えが同じで映画好きだったからみんなで泉坂高校に進学した……」


「で、俺たちで映像研究部を立ち上げた……」









「真矢には才能があった……そして俺はその才能を伸ばしてやりたかった……」


「そして、俺は真矢を一生守っていきたかった………」


「………中間さん……まさか………」


「ああ、真中の想像通りだ」


「8年前の高3の夏……映画の撮影が終わった後だ……」


「真矢は……倒れた……」


「それは謎の病気だった……」


「これにはその頃この病院の院長をやっていた黒笹先生もお手上げだった…」


「ま、まさか………」


「ああ、8年前の今日………真矢の誕生日でもある日だ………」


「真矢は……死んだ…………後に『NFP』って呼ばれる病気で…………」


「俺はそれからずっと頭の中が真っ白になっていた……」


「俺にとって真矢は俺が映画を作るためにはいなくてはならない人だった……」


「だが……死んだ……」


「そんな時励ましてくれたのが裕紀や広樹、英雄、青木だった……」


「そんなこともあって俺はなんとか立ち直れた……」


「そして、俺はある事を考えた………」


「『俺みたいに苦しんでる人はたくさんいるんじゃないのか?)』」


「『そんな人のために俺に何かできる事は無いのか?』ってな……」


「そして俺たちは小さな事でもいいから何かためになる事をしようってことにして……」


「今の万事屋『東真』を作った……」


「ちなみに名前の由来は真矢の苗字、東堂と真矢の名前をつなぎ合わせたものだ………」


「で…最初はボランティア程度だったけど……」


「何を間違えたのか今じゃ乱闘上等な武装組織化してるからな……」


「…確かに……と、言うよりバズーカはさすがに問題があるでしょ……」


修平が言った。


が………








「「「「気にするな!!!」」」」


4人が口をそろえて言った。


「……………訊いた俺が馬鹿だった…………」


「確かに……やっぱりこういう連中なんだな……」


一馬も呆れていた。






「俺の時間は8年前で止まっている………」


「そうしなきゃ……俺は間違いなく立ってはいられない………」


「悪く言えば引きずっているだけだが……真矢の死は『東真』を作ったきっかけでもある……」


「だから決して俺は真矢を忘れはしない………」


「……それが俺の………やるべき事だ………」


「……そんな事が………」


淳平の目には涙が見えた……


みんな……目に涙を浮かべていた……






「で…………これが真矢の写真だ………」


健治は真矢の写真を見せた。


「…これ……東城だよな………?」


その写真に写る少女は綾にそっくりだった。


「うん、淳平くんの言うとおりよね……」


「ま、東城だと思っても仕方ないか……」


「真矢と東城はあまりにも似すぎている……」


「外見だけじゃない、声も似てたし性格もほとんど同じだ……」


「だから初めて東城に会った時……俺は固まったよ………」


「なんか……分かる気が……」


淳平も健治の気持ちが分かった……


「まあ……真矢と東城は……間違いなく別人だけどな……」


「………」


「ま、血液型も完全に同じだったのはよかったぜ……」


「そうじゃなきゃ面倒な事になってたからな……」


「あ……そういえば東城はRh−か何かって……」


「そう、それだ」


「真矢の時はそれもあってまともに調べられなかった……」


「だが、その真矢の血が……真矢の一部が……今、東城の身体を流れている……」


「あ………そういうこと……なんだよね………」


綾はそれに気づいた。


「ああ………だから……そう辛くはない……」


「真矢はまだ生きているんだからな……」
















「あ、そうだ……これを東城に渡しておく……」


そう言って健治は鞄から数冊のノートを出して綾に渡した。


「これは………?」


「これは……真矢の意志………俺と真矢をつなぐ夢の欠片………」


「どういうことだ!?」


淳平がそのノートを読んだ。






「……これは………!小説…………!」





「しかも……これ………東城の小説もすごいけど……これも負けないくらいすごいや……」


「ちょ、あたしにも見せて!」


美鈴もそのノートを見た。





「す、すごい……東城先輩の時みたいに……才能を感じる………!」


「ひょっとしたら……先輩以上かも…………」


「ええ!?美鈴!あたしにも見せてよ!」


さつきもノートを読み出した………





「でも……なんでこんなものをあたしに……?」


「これって健治さんの大切な物なんじゃ………」


綾が健治に尋ねた。


「……これは俺が持っているより東城が持っているほうがいいからさ………」


「今の俺にはこれを持っている資格は無い………」


「だから……持っていてくれ……」


「まあ、参考になるかも知れないしな………」


「うん……分かった………」


綾はこれを受け取る事にした……
















「……俺も…8年前に……家族を亡くしたんだよな………」


突然修平が言った。


「あ……そういえばさつきが何か言ってたっけ……」


淳平はそれに気づいた。


「……あれには理由があったんだ………」


「え!?それってどういう事!?」


つかさが尋ねる。


「………でも……もう忘れたよ………」


「何か中間さんの話を聞いてたら…………俺の事なんかどうでもよくなったからな………」


「だから、俺はもうこのことは気にしないことにするぜ……」


「ま、いつまでも考えているだけ馬鹿らしくなってきたしな……」


「ま、修平の言う通りかもな」


一馬も同意見だった…………








「ま、しみったれたのは俺の性に合わねぇ!」


「とにかく笑って過ごそうぜ!」


「…………そうだな……修平くんの言うとおりだ………」


健治の表情は……どこか晴れていた………


[No.115] 2006/07/01(Sat) 23:25:33
見えない明日・見える未来〜最終話〜 (No.115への返信 / 34階層) - シン

最終話「旅立ち」







3月15日14:30・泉坂高校……


「おい!急ぐぞ!」


「ま、待てよ真中……速すぎ………」


「んじゃ小宮山は置いていくって事で」


「そうね、兄貴」


「ほら、急ごうよ!」


「よし、俺が真中を連れて東城を迎えにいく!」


「黒川先生!他の連中は頼んだぞ!」


「任せろ!しっかりと送り届ける!」


映研メンバーは急いでいた。


















その数分後…泉坂総合病院


「東城!準備はできてる!?」


「うん、いつでも行けるよ」


「よし、じゃあ行こう!」


「それじゃあ裕紀くん、綾ちゃんを見ててよね!」


「青木!任せろ!」


「さて、行くぞ!」






















そして、彼らが向かった先は……


羽田空港………


そう、今日はつかさの旅立ちの日なのだ。









空港の出発ロビーで日暮と共につかさは彼らを待っていた……


「西野!」


そして、つかさが待っていた者達がついに来た。


「淳平くん!みんな!!」


「間に合ってよかった……」


「西野!頑張れよ!応援してるからな!!!」


「うん…頑張るよ……!淳平くんが応援してくれる限り………いつまでも………!!」





「西野さん!こっちは心配しなくてもいいからね!」


「そうね…さつきちゃん………!」





「つかさちゃん!また会おうぜ!」


「西野!帰ってきたら写真をいっぱい撮らせろよ!」


「小宮山くん…外村くん………うん、また会おうね……!」





「西野さん、この馬鹿が東城先輩を泣かせたりしないように見張っておきますから!」


「うん、お願いね美鈴ちゃん!」





そして、遅れて裕紀と車いすに乗った綾がやってきた。


「西野……しっかりやれよ……!」


「うん!あたし頑張るから!」





「西野さん……また、真中くんの事とかでいろいろ話をしようね……」


「うん…東城さんこそ……淳平くんと幸せになってよね!」


「うん…………」










「「おーい!ちょっと待てーーーっ!」」


「!修平くんに一馬くん!?」


修平と一馬がやってきた。


「西野さん!元気にやってください!」


「そうだぜ!また帰ってきたら何か食わせてくれよ!」


「うん!帰ってきたらタダでお菓子を作ってあげるから!」


「マジで!?ありがとう!」


「一馬……この単細胞が…………」























「それじゃあ日暮さん、西野をよろしく頼みます」


「任せとけ坊主!つかさに悪い男は近づけさせないからな!」


「はい、お願いします!」



















「それじゃあもう時間だから……行くね………」


「…そうだな……西野………」


「……頑張れよ!」


そう言う淳平の目には涙が浮かんでいた……


「うん……あたし………頑張る!!!」


つかさの目にも涙が浮かんでいた………









つかさは……振り返る事は………無かった………






これは永遠の別れではない……






また……会うことができるから………振り向く必要は無い………






そして、涙を見せる必要は………無かった…………












それが、元とはいえ恋人同士であった2人のけじめなのだろう………

























そして、つかさはパリへ旅立った…………


[No.116] 2006/07/02(Sun) 00:05:34
見えない明日・見える未来〜エピローグ〜 (No.116への返信 / 35階層) - シン

エピローグ「全てを受け入れる者」







3月16日・泉坂高校卒業式………


「(……西野は……パリに着いたのかな………?)」


「(俺も……先へ進まなきゃ…………)」


「(……東城と……夢を叶えるために………)」









今日も綾は外出許可を取っている。









そして、卒業証書の授与が終わり、卒業生代表の答辞となった………








「答辞、卒業生代表、3年4組 東城綾」


「はい」


その言葉と共に特別に綾の隣にいた淳平が綾の手を取り綾を支える。





「東城、無理するなよ…」


「うん…大丈夫……」


そして、2人は壇上に上がった。










そして、綾による答辞が始まった……


「3年前の今頃…私はある夢を抱いてこの泉坂高校を受験しました」


「それは中学時代からの同級生と共に映画を作るというものでした」


「ですが、すでにその夢を叶えられる部はすでに存在しておらず全てが手探りの状態から始まりました」


「本来は高校生の本分は勉強なのかもしれません」


「ですが、私の3年間は映像研究部の仲間と共にあったと思います…」





「そして、私は去年とても辛い経験をしました」


「しかしそれを乗り越えられたのは夢を共にする仲間の存在があったからと心から思います…」


「そして私はこの3年間で夢を共にする仲間の大切さを学びました………」













「最後に、あまりにもありふれた言葉ではありますが」


「この泉坂高校で過ごした3年間は私の大切な宝物です……!」















「卒業生起立!」


「礼!」


その時…綾は……笑っていた……淳平も始めて見るような笑顔で………





それは淳平とのこれまでの思い出…


そして、淳平と過ごす希望に満ちた未来を見ているかのようだった……
























卒業式が終わり……


「よっ!真中さん、東城さん!」


「あれ!?修平くんに一馬くん!?」


「なんでここにいるの?学校は?」


「卒業式予行だけどサボった!な、修平!」


「ああ、卒業式だって知ったらいても立ってもいられなくてな!」


「はは………」


ちなみに修平と一馬は難なく泉坂に合格した。


どうやらさつきとは違い頭の発育もいいらしい。









まあ、そんなこんなで……


部室でパーティーをしていたがあっという間に夕方になってしまった。


(天地とどういうわけか真紀もいた)


「これでここに来る事もないんだよな〜」


外村がしみじみと言った。


「そうだよな〜」


小宮山もである。


「一馬、修平!映研の未来はアンタにかかってるんだからね!」


「あ、でも北大路先輩の言うとおりですよ!」


「「ははは………」」


2人は映研に入ることにしている。







「そういえば真中先輩はこの後何をするんですか?」


気になった美鈴が淳平に尋ねた。


「そういえば真中のヤツ……受験してないよな……」


「ああ、東城が1年遅れるから俺も1年遅らせようってね」


「やっぱり2人で一緒に居たいしな」


「それにどうせ今のままじゃ合格なんてできないし…………」


さすがに声のトーンが落ちた。


「へ〜……東城さんのために……」


「ま、並大抵の覚悟じゃできないよな」


「一馬と修平の言うとおりよね……」


「それだけ真中が東城を大切にしたいってことだ……」


「そうだな、石原先生の言うとおりだ」












「あ、そうだ……真中くん、ちょっと…行きたい所があるんだ…」


「いい?」


「あ、ああいいよ」


「じゃあ、ついてきて……」


そう言うと綾はどこかに向かって歩き出した。


「お、おい!無茶はするなよ!」


淳平は慌ててついて行った。










「追うか………」


「そうですね……石原先生」


黒川も同意した。


「真中さん………どこに行く気なんだろ?一馬」


「分かんねえよ……」


そして気づかれないように全員ついて行った………






ただ、道中  「ママー、何あれ?」 「こら!見ちゃいけません!」


などというやりとりが聞こえたが………


(気づかれないようについて行っていたため不審者に見えたらしい………)






















なにはともあれ、淳平はその後も綾について行った……





途中、澄んだ青い目をした少年とすれ違ったが気にはしなかった。



















「あれ……?ここって中学だよな………?」


綾は泉坂中学校にやってきた。


「うん……」


そして綾は入っていった……


「(……どこへ……?   まさか!!!)」




















そして、綾は校舎の中を通りある所にやってきた。


そこには『立ち入り禁止』と書かれた札があり18段の階段を上ると屋上へ出る事ができる。


そこを綾は上がっていった。








扉を開けるとそこには最高の景色……


そして……そこは…………


「(ここは…………俺が東城と…出会った場所………)」


「東城?どうしてここに?」


「…ここで初めてあたしと真中くんが夢を語り合ったんだよね……」


「そして、ありのままのあたしをを受け入れてくれたんだよね…………」


「……東…………城……………」































「真中淳平くんに質問です……」


「これからもずっと………あたし、東城綾の全てを受け入れてくれますか?」









































綾の問い……淳平の答えは………












































































「はい……俺、真中淳平は……東城綾の全てを………これからもずっと受け入れます………!」















「ありがとう…………」







綾の目から大粒の涙がこぼれ落ちた…………








「真中くん……大好き………」







「俺も……好きだよ……東城…………いや、綾……………」


























そして、2人は距離を詰める………
























淳平は綾を優しく抱き寄せた………




















綾もまた淳平の袖を握り締める………
















まるで繋ぎとめるように………………








































































そして、夕日を背に2人の唇と想いが重なった………















































































そして、影から見守っていた者たちもまた涙を流していた………































「幸せにな………東城さん……真中さん…………」












修平がつぶやいたその言葉は全員の気持ちを代弁していた…………








見えない明日・見える未来 

第一部・完


[No.117] 2006/07/02(Sun) 01:12:46
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