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   永遠にともに - バーツ - 2007/12/19(Wed) 20:55:18 [No.717]
永遠にともに プロローグ - バーツ - 2007/12/19(Wed) 20:58:27 [No.718]
永遠にともに 第1話 - バーツ - 2007/12/20(Thu) 22:10:36 [No.719]
永遠にともに 第2話 - バーツ - 2007/12/23(Sun) 23:57:06 [No.723]
永遠にともに 第3話 - バーツ - 2007/12/23(Sun) 23:58:58 [No.724]
永遠にともに 第4話 - バーツ - 2007/12/28(Fri) 00:31:52 [No.730]
永遠にともに 第5話 - バーツ - 2007/12/28(Fri) 00:34:47 [No.731]
永遠にともに 第6話 - バーツ - 2008/01/04(Fri) 16:23:27 [No.733]
永遠にともに 第7話 - バーツ - 2008/01/04(Fri) 16:27:11 [No.734]
永遠にともに 第8話 - バーツ - 2008/01/08(Tue) 21:17:20 [No.735]
永遠にともに 第9話 - バーツ - 2008/01/31(Thu) 20:47:23 [No.743]
永遠にともに 第10話 - バーツ - 2008/01/31(Thu) 20:54:36 [No.744]
永遠にともに 第11話 - バーツ - 2008/02/06(Wed) 15:16:35 [No.785]
永遠にともに 第12話 - バーツ - 2008/02/14(Thu) 00:02:23 [No.805]
永遠にともに 第13話 - バーツ - 2008/02/17(Sun) 00:16:41 [No.819]
永遠にともに 第14話 - バーツ - 2008/02/19(Tue) 00:14:56 [No.826]
永遠にともに 第15話 - バーツ - 2008/02/21(Thu) 00:19:06 [No.834]



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永遠にともに (親記事) - バーツ

年明けとか言ったんですが、更新しようと思います!!

では、「君が好き」に引き続きまして、第二部「永遠にともに」です!!

感想よろしくお願いします^^


[No.717] 2007/12/19(Wed) 20:55:18
永遠にともに プロローグ (No.717への返信 / 1階層) - バーツ

今ならわかる。

転校してきた日に見せた、あの寂しげな表情。

泊まりに来たときに見せた、あの悲しげな顔。

あの映画を見た時の、涙の意味。

俺の告白を断った、本当の理由。

君が過去のトラウマにどれだけ苦しんで、悲しんできたか。

君の彼氏となった今なら・・・

今ならわかる。

あなたが、どんなに私の過去で苦しい思いをしたか。

誕生日プレゼントに隠された、本当の意味。

わたしと関わらないと言った、本当の理由。

私のことを、どれだけ好きでいてくれたか。

あなたの彼女となった今なら・・・

君がいたから、初めて人に恋をすることができた。

あなたがいたから、過去よりも今の大切を感じることができた。

君に、あなたに、出会えてよかった。

君のことが、あなたのことが、世界中の誰よりも、大好きです。

これからは、お互いの夢に向かって、君と共に歩いていきたい。

これからは、未来という長い道を、あなたと共に生きていきたい。

君と、あなたと、永遠にともに・・・


[No.718] 2007/12/19(Wed) 20:58:27
永遠にともに 第1話 (No.718への返信 / 2階層) - バーツ

まだまだ寒さが続く今日この頃。

すっかり元気になった俺は、以前となんら変わりない日々を過ごしていた。

「ほらっ、早くしないと学校に遅刻しちゃうぞ!」

「ちょっ、待てって」

俺らが付き合うようになってから約1ヶ月。

その間に1つだけ変わったことがある。

俺が「西野」ではなく、「つかさ」と呼ぶようになったこと。

恋人同士なら極当たり前のことなのだろう。だが、つかさを彼女としてもつ俺にとっては未だに呼び慣れないもんで…

「ん?どうしたの?」

いつの間にか俺はつかさのことを見ていたらしく、つかさはその視線に気付いた。

「いやっ、なんでもないよ!」

不意に話しかけられたから、慌てて視線を外した。

「…?変な淳平くん…。」

つかさは不思議そうな顔をして、また前を向く。

だってしょうがないじゃん、自然と君に見とれてたんだから。なんて思ったことを素直に言えるわけもなく、俺も前を向いた。

今更だけど、こんな可愛い子が俺の彼女になったのも、付き合うようになるまでに様々な事があったからだ。

(こうなるまでに色々苦労したなぁ。)

昔の出来事を頭の中で思い出しつつ、横目でちらっとつかさに目をやった。

金色の髪、エメラルドグリーンの瞳、寒さで少し赤みを帯びている頬、整った顔立ち。

つかさの顔を見るだけで、俺の鼓動は一気に速くなる。

(俺…この子の彼氏なんだなぁ…。)

端から見れば、かなり不釣り合いな2人であることは自分で十分もわかってる。

それでも、つかさは俺を選んでくれた。

過去に捕らわれることなく、今を大切にして生きようと。

あの時は本当に嬉しかった。あそこまでやった甲斐があったと思う。

つかさには言わなかったけど、もしアイツを選んでいたら、俺はつかさと二度と喋れないとまで思ったこともあった。あの時はかなりの不安が俺を襲っていたんだ。

でも、つかさはそんな不安を消し去ってくれた。恋人という新しい関係を築くとともに。

それに約束したんだ。必ずつかさを幸せにしてみせるって。

アイツとの約束は死んでも守り通す、それが彼への一番の贈り物だと思ってる。

「もうっ、今度は何?さっきっからジロジロ見られて気になっちゃうじゃん!」

つかさが頬を膨らませてちょっと怒っている。

(そんな姿もまた可愛い…なんて思う前に言い訳考えなきゃ。)

「いや…えっと…その…。」

俺は言葉に詰まり、下を向いてしまった。

(こういう時に限って言葉が出てこないんだもんなぁ。)

「あっ、そうだ。」

突然つかさが何か思い出したように声を上げた。

「ん?どした?」

言い訳をしなくて済んだ。そのことに俺はちょっとホッとして聞き返した。

「明日学校休みだよね?」

今日は金曜日。よほどのことがない限り、明日はどこの学校も大抵は休みだろう。

「そうだけど…それがどうかした?」

つかさが何を考えているのかイマイチわからなかった。

「明日デートしよっか。」

「あぁ、明日なら大丈夫…って、デートォ!?」

俺はビックリして大声を上げてしまった。

そんな俺につかさはムスッとして言ってきた。

「そんなに私とデートしたくないのか?」

「いや、だってデートなんて今まで色々あってしてなかったし…ちょっと驚いて…。」

「じゃあ…やめる?」

つかさが寂しそうに言った。

(そんな顔するなって。)

俺はつかさに笑顔を向けて言った。

「いえ、つかささんとデートしたいです!」

すると、つかさは満面の笑顔を俺に返してくれた。

「よろしい!じゃあ明日行こうね、デート!」

「おう!」

とっても嬉しそうにするつかさ。

それを見て、俺も嬉しくなった。

つかさの咲き誇る笑顔が見れるなら、俺はそれだけで幸せなんだ…。


[No.719] 2007/12/20(Thu) 22:10:36
永遠にともに 第2話 (No.719への返信 / 3階層) - バーツ

家から学校までの徒歩20分の道。これも、俺らにとっては2人で一緒に過ごす大切な時間の一つなわけで。

「で、どこ行こっか?」

つかさは楽しそうに聞いてくる。

明日は土曜日。先程、デートの約束をしたばかりだ。

「ん〜…どこがいいって言われてもなぁ…」

少し悩む俺。実際つかさと一緒ならどこでもよかった。ただ、こういうのは男が決めるものだと、昔大草にしつこく言われたことを思い出した。

(俺は映画を観たいけど、つかさは多分違うことしたいだろうし…)

そんなことを思っていると、

「淳平くん映画観たかったりするでしょ?」

「へっ?」

突然俺が思ってることを言われ、ビックリして変な声を出してしまった。

「その反応はそうだな〜?」

意地悪そうに聞くつかさ。

(勘がいいっつ〜かなんつ〜か…)

「ア…アハハ…」

笑って誤魔化すしかなかった。

そんな俺を見て、つかさは溜め息をつく。

「もうっ、しょうがないんだから」

つかさは俺に呆れていると言った方が正しいだろうか。

(あ〜、俺のバカ!つかさに呆られたじゃんか!)

こんな自分が嫌になり自己嫌悪していると、つかさの顔が俺の目の前に出てきた。

「いいよ、映画観に行こ」

「へっ?」

思ってもみなかった返事に再び驚く。

「ちょうど観たい映画あったしね〜。それに淳平くんだってその方がいいでしょ?」

つかさは笑顔で聞いてくる。

「えっ…うん…」

俺に合わしてくれたのだろうか。それとも、本当にただ映画が観たいだけなのだろうか。

もし前者の場合だったら、俺は気を遣わせたことになる。

そうあってはならないと思い、恐る恐る聞いてみた。

「つかさ?何の映画観たいの?」

ここで答えに戸惑ったら、全部俺のせいだ。

「ほらっ、ケアヌ=ルーブスが出てるやつだよ。私その人好きだからさぁ、観たいと思ってたんだよね」

「あぁ、あの新しく上映されるやつね」

(よかった…ちゃんとした理由あって)

取りあえず一安心して、胸をなで下ろした。

「もしかして…私が淳平くんに気を遣ってるとでも思った?」

俺の態度を見たのか、つかさが聞いてきた。

(勘がよすぎだよ…)

「…ちょっとね…」

「アハハ。まぁ少しはそうしてあげたかもな〜」

「えっ、そうなの?」

つかさの発言にちょっと焦った。

「ちょっと〜冗談だよ。何焦ってんのさ?」

またしても俺の顔を意地悪そうに覗き込む。

「べっ…別に何でもないよ?」

「そっ?それより早く学校行かなきゃ!このままだとホントに遅れちゃうよ!」

携帯の時計をチラッと見て、つかさは走り出した。

「あっ、おい!」

慌てて俺も走り出す。

朝のちょっとした光景。

こんなことでも、

(あぁ…俺たち付き合ってんだ…)

そんな思いに駆り立てられる。

学校に時間ギリギリで着くと、昇降口に外村がいた。

俺らの存在に気付くと、どこに隠し持っていたのか知らないが、外村愛用の扇子でパタパタと顔を扇ぎ始めた。

「あっちゃ〜。外はまだ冬で寒いってのに、ここはもう夏だね、夏!熱いったらありゃしない」

そう言って、俺たちの方をニヤニヤと見ている。

どう考えても俺とつかさのことを言っているだろう。

(外村の野郎…)

俺は顔が一気にカァーッと赤くなっていくのがわかった。

横を見ると、つかさは下を向いている。多分俺と同じようになっているに違いない。

「はっ…早く教室行こう…ぜ」

「そ…そうだね」

明らかに俺らが動揺しているとわかったのか、外村は腹を抱えて笑っている。

次第に今置かれてる状況に恥ずかしくなり、足早に教室に向かっていった。

外村のせいで、さっきまでは寒かったのに、今は本当に夏みたいな熱さが俺たちを襲っていた。


[No.723] 2007/12/23(Sun) 23:57:06
永遠にともに 第3話 (No.723への返信 / 4階層) - バーツ

「ま〜だ〜か〜!?」

「ちょっと待って〜!」

家の中から聞こえる可愛らしい声。

今日はつかさとデートの日。

せめて今日だけは寝坊しまいと、目覚まし時計のアラームを約束の2時間前にセットしておいた。

その甲斐あって、普段はかなりの確率で寝坊する俺も、余裕を持ってつかさを迎えに行くことができた。

だが、今日はあろうことかつかさが寝坊したのだ。

時計に目をやると、現在10時半。約束は10時であったため、俺はこの寒空の中30分も待っていることになる。

(早くしてくれ〜!寒過ぎる!)

そんなことを思っていると、

「お待たせ〜!」

つかさがやって来た。

「遅い…」

「ゴメン!」

顔の前で手を合わして謝るつかさ。

そして上目遣いで俺を見る。

こんな可愛い子にそんなことされたら、男だったら誰だって許さないわけにはいかないだろう。

俺はそれ以上何も言えず、

「は…早く映画観に行こ」

恥ずかしさか、それとも初デートの緊張からか、目線をずらし少し上擦り気味の声で言った。

「うん!」

つかさは笑顔で答えた。

そして、急に俺の腕に寄り付いてきた。

「ちょっ…つかさ?」

突然のことに驚いた。

「なによ〜、嫌なの?」

「嫌じゃないよ!嫌じゃない、うん」

「ならいいじゃん」

(だってそんなことされたら腕に柔らかい感触が…)

ついつい変な方向に頭が働いてしまう。

「コラ!鼻の下延びてるよ!」

(誰のせいだと思ってんだよ…)

街への道を歩く2人。

いつの間にか体を襲っていた寒さも無くなっていた。

君は俺と同じことを思ってくれてるかな。

多分、そうだね。君の今の顔を見ればわかる。さっきっからずっと微笑んでいるから。

やっぱり君も、今日を楽しみにしていたんだね。

映画館に着くと、結構人気があるのか、たくさんの人で混み合っていた。

「人多いね…」

「だなぁ。でも他にあの映画やってる映画館なんか…」

ふとあることを思い出した。

「あった!つかさ行こう!」

俺はつかさの腕を掴んだ。

「えっ?ちょっ…行くってどこに?」

つかさが困惑しているのも無視し、映画館を後にした。

俺達が向かった先、それは…

「館長!今映画やってますよね?」

『テアトル泉坂』、俺のバイト先だ。

「なんじゃ?バイトをサボる奴に観せる映画なんてないぞ」

「いや…それとこれとは関係ない…」

俺が言いかけたところで、つかさが後ろからヒョコっと出て来て言った。

「あの…最近やってるケアヌ=ルーブスが出てる映画なんですけど…」

すると、館長は急に態度を変えた。

「お〜!つかさちゃんの為ならなんだって観せたるぞ!」

そう言って、館長はスキップしながら中へ入っていく。

(んだよ、あのジジイ…。つかさの前で急に態度変えやがって…)

「淳平くん、何やってんの?早く中入ろうよ」

「お…おう」

そして俺達も中へ入っていった。


[No.724] 2007/12/23(Sun) 23:58:58
永遠にともに 第4話 (No.724への返信 / 5階層) - バーツ

「前評判通りかなり面白かったね!」

「だなぁ。久しぶりにアクション映画観たよ」

映画も観終わって、今は近くのレストランに入り少し遅い昼食をとっていた。

「それにしても館長さんの所で観れるなんてね〜」

「あ…あぁ、そうだな」

(館長いっつも古い映画しか流さないのに、なんであんな新しいやつ持ってんだ?結構ダメ元で行ったのにな…)

未だに館長の映画の入手ルートがわからない。

ちょっと考え込んでいると、つかさに話しかけられた。

「どうしたの?なんか悩んでます〜って顔してるけど?」

「えっ…いや、何でもないよ」

そう言って、頼んでおいたジュースを一気飲みした後、つかさに聞いた。

「で、この後どうしよっか?」

つかさは手に顎を置きながら答える。

「そうだな〜…カラオケでも行く?なんか久しぶりに歌いたい気分だし」

「カラ…オケ…」

(カラオケ…個室…照明かなり薄暗い…しかも2人きり…???)

いつものお得意の妄想に浸っていると、

「なに二ヤついてんのよ!」

パシッ!とつかさにデコピンされた。

「いって〜!」

そう言いながら見ると、つかさは頬をプクッとしている。

「淳平くん、今絶対ヤラシイこと考えてたんでしょ〜?」

痛い部分を手で抑えながら、つかさには無意味とは思いつつも一応反抗する。

「考えてない!考えてないってば!」

否定したいがために、ついつい大声になってしまった。

「ホントかな〜?怪しい…」

尚もつかさは疑いの目を絶やさない。

そんなつかさを強引に無視するべく、話を戻した。

「じゃ…じゃあ行くか!カラオケ!」

そう言って立ち上がる。

「あ、ちょっと〜!」

店を出て、少し先にあるカラオケ店へと入った。

「それじゃ張り切って歌ってこ〜!」

「お…おう…」

(やばい…俺女の子とカラオケとか初めてだ…)

「わ〜、上手い上手い」

「どうもどうも〜!じゃ、次は淳平くんの番だね!」

「あんま期待すんなよな?」

「大丈夫だって!期待してるぞ!」

この後数時間かなりの曲を歌いまくった。

帰り道…

「あ〜歌った歌った!」

「おかげで喉がガラガラだよ…」

「あはは。それにしても、淳平くんって歌かなり上手くない?」

「またまたそんなご冗談を…」

「そんなことないよ…」

「あたしはいいなって思ったけどな」

つかさは頬を赤らめて言っている。

「あ…ありがと…」

そして楽しく話しながら歩いていると、つかさのバイト先『パティスリー鶴屋』がふと目に入った。

「そういえば、よく今日バイト休み取れたよな」

今は2月中旬。ケーキ屋はバレンタインの仕込み等で忙しい時期だ。

「なんかね、今日は日暮さんのいとこが手伝いに来てるらしくてたまたま休み貰っちゃったんだ」

「日暮さんにいとこなんていたんだ?少し見てみたい気もするなぁ」

「ん〜、そうだね。ちょっと覗いてみようか」

ただ日暮さんのいとこを見たいと思い、中に入ってみることにした。

カランカラン…

店内はいつも通り、かなりの人で溢れかえっていた。

(俺のとこの映画館もこれくらい人が入ってくれればな〜)

そんなことを思いながら、

「日暮さ〜ん、います〜?」

厨房の方に聞こえるように少し大きな声を出して言った。

しかし、日暮からの返事はない。

その代わりに、背の高い、茶色の短髪の男が現れた。

「龍一さんなら今はちょっと買い出し行ってていないで〜?」

見た目はかっこいい。年は俺らとあまり変わらないくらいだろうか。

俺とつかさは目を合わせた。

小さな声で会話を交わす。

「…誰?」

「いや、俺もさっぱり…」

「こんな人今まで見たことないよな」

「新しく入った人かな…?」

「そしたら普通日暮さんのことを下の名前で呼ばないだろ?」

「あっ、それもそうだね…」

そしてつかさが尋ねた。

「あの…誰ですか?」

するとこの男は苦笑いをして口を開いた。

「いきなり誰って…。君らここのバイトか何か?」

「一応私がバイトですけど…」

「今日手伝いに来る奴がいるって聞いてない?」

「知ってますよ。日暮さんの…」

つかさは言いかけた時にハッとした。

俺もどういうことかやっとわかった。

驚きのあまりまた目を見合わせる。

そして、今度は2人同時に声を上げた。

「…いとこ!?」


[No.730] 2007/12/28(Fri) 00:31:52
永遠にともに 第5話 (No.730への返信 / 6階層) - バーツ

「お〜、正解!」

男は笑っている。

あまりの驚きに言葉を失った。

日暮を手伝うというのだから、それ相応の年齢で、もっと威厳がある人だと思っていた。

だけど、目の前にいるのは…

「俺は榛原大翔(はいばらひろと)。高2ね」

俺らとなんら変わりない高校生だった。

「高校…生?」

「まぁな」

「日暮さんの…手伝い?」

「おう」

また目を見合わせる。

そして次に出た言葉。

「…ありえない…」

それしか言えなかった。

「ありえないって…」

榛原はちょっと困ったような顔をしている。

「ありえるんだな〜これが」

後ろから声がする。

振り返ると、そこには袋を手にぶら下げた日暮がいた。

「大翔は天才だからな」

「天才…?」

「そんなことないっすよ〜」

そう否定しながらも、大翔は少し照れている。

「大翔はな、ケーキ作りの色々な大会で優勝してんだ」

「ホントですか!?」

つかさがいち早く反応した。

(…!?)

その瞬間、俺の頭に何とも言えない嫌な感覚が走った。

その時のつかさの目の輝きは俺が今までに見たことがないものだったから。

(つかさのこんな顔…見たことない…)

つかさは榛原と日暮と楽しそうに話をしている。俺にも見せたことがないような笑顔で…

しかもその笑顔は、今日会ったばかりの大翔に向けられている。

(なんか…孤独だな俺…)

居ても立ってもいられなくなった。

つかさ達の話が耳に入らない。

(こんな所…いたくないな…)

そう思った俺は、

「俺帰るわ…」

そう言い残し店を出ようとする。

「…ボウズ?」

「えっ、淳平くん!?いきなり帰るって…」

つかさの声がする。

でも今は…

「つかさは話してればいいだろ…」

とにかくここにいたくなかった。

大翔と仲良く話すつかさを見ていることが辛かった。

何故か知らないけど、つかさが一瞬遠くに行ってしまう気がしたんだ。

俺はそのまま店を出た。

「淳平くん!」

後ろからつかさが追いかけてきた。

そして俺の腕を掴む。

「どうしちゃったの、ねぇ!?」

つかさは必死に走ってきたのだろう、ハァハァと息を切らしている。

「…ごめん」

そんなつかさを見て俺は謝ることしかできなかった。

「私…何かした?」

つかさは真っ直ぐ俺の目を見てくる。

「…」

(やっぱり自覚してないよな…)

俺は下を向いてしまった。

大翔との会話の時の目の輝き。

俺にはそれが恐く感じられたんだ。

つかさは何一つ悪いことをしていない。

あの状況で彼女を置いて店を出た俺の方がどちらかといえば悪いだろう。

でも…それでも…

「…ごめんな」

しきりに謝った。

自分でもなんで謝っているのかすらわからない。

つかさを置いていってしまったこと?

そうっちゃあそうだが…違う。

それなのに…今の俺はつかさに謝っている。

いつの間にか目から流れ出ている涙とともに。

「淳平くん…泣いてる…?」

つかさが心配そうな顔をしている。

そりゃそうだ。いきなり謝られて、しかも涙を流しているんだから。

(俺は…初めて会った奴に嫉妬しているのか…?)

どこからかこんな考えが浮かんできた。

(今までに見たことない笑顔を…俺以外の男に見せていたから…?)

そしてつかさの顔を見た。

(そんな理由で…俺はつかさをこんな顔にさせてしまっているのか…?)

いつの間にかつかさも泣いている。

多分…自分のせいで俺が泣いているんだと思ったのだろう。

「何泣いてんだよ…」

優しく言葉をかける。

心の中の思いを必死に閉まい込んで…

「だって…淳平くん…私のせいで…」

つかさは泣きながら話す。

「つかさのせいじゃないよ…」

そう、つかさのせいではない。榛原に嫉妬した俺が悪いんだ。

今はそう言い聞かせなければいけないような気がした。

「でも…」

「いいから!ほらっ、そんな顔してたらせっかくの可愛い顔が台無しだろ?」

「つかさには笑顔が似合うんだから、なっ?」

俺はつかさの頭を優しく撫でた。

「…うんっ!」

そう言うと、つかさは涙を拭いて俺に笑顔を見せてくれた。

「じゃあ…帰るか!」

「そうだね。すっかり遅くなっちゃったし」

そして家への道を歩く。

「今日は楽しかったね〜!」

「そうだな〜」

「また…デートしてくれるよね?」

「そ…そりゃつかさがしたいんだったらいくらでも!」

「あはは。頼りにしてるよ、淳平くん!」

「お…おう、任せとけ!」

(そうだよ…つかさは俺の彼女じゃないか…)

(俺がつかさを信じてやらなくてどうするんだよ!)

心にそう言い聞かせた。

空は少し曇っている。そして俺の心の中も…

でもさっき決めたじゃないか。つかさを信じるって。

以前に同じこともあった。あの時は友達だったし少し不安だった。

けれど今は違う。

今つかさは俺の彼女なんだから…

(何があってもつかさを信じなきゃ!)


[No.731] 2007/12/28(Fri) 00:34:47
永遠にともに 第6話 (No.731への返信 / 7階層) - バーツ

「ごめんね、淳平くん。今日一緒に帰れないんだ」

今朝、学校へ向かう途中につかさに言われた。

しかし、俺自身大して驚きはしなかった。

つかさの顔をチラッと見て、

「なんで?」

と、何も知らないという感じでわざと聞いてみる。

するとつかさは頬を赤らめて、

「もうっ、わかってるくせに」

と言い、俺の顔を上目遣いで見てきた。

つかさの言うとおり、理由はわかっている。ただ確認したかっただけ。

今日は2月14日。誰もが知る2月のあの行事。ある人は喜び、またある人は悲しみに似た感情に更ける日。

そう、バレンタインデーである。

「まぁ…期待して待ってるよ」

ちょっと恥ずかしくなり、つかさから視線をずらして言う。

すると、突然俺の目の前につかさが立った。

「絶対おいしいチョコレートケーキ渡すからね!」

つかさは意気込んだ様子で、グッと細い腕で力こぶを作り俺に向けてくる。

「ケーキなの?」

「チョコは一応入ってるんだから別にいいじゃん」

学校に着き自分達の教室へ入ろうとすると…

「小宮山…そんなことしても無駄だって」

「2月14日…お前にとっては違う意味で恒例行事になってんな」

隣のクラスから外村と大草の声が聞こえてきた。

「小宮山の奴なにやってんだ?」

「さぁ…?」

俺とつかさはちょっと気になり、後ろのドアから教室内を覗いてみた。

「机を掃除することの何が無駄だ!」

そう言いながら、小宮山は一生懸命自分の机の中をハンカチか何かで綺麗に拭いて掃除している。

「綾ちゃん、さつきちゃん、それに今年はつかさちゃんが転校してきたんだ」

「しかもみんな映研部。確実にチョコレート貰える確率大だろ!」

小宮山は何故か燃えている。

俺とつかさはその様子を教室の端でじーっと見ていた。

「…」

外村は呆れて何も言えない様子である。

大草はこちらに気付いていたのか、近づいてきて、

「今の光景は見なかったってことで…な?」

と苦笑いしながら言った。

「小宮山あんなこと言ってっけど…つかさ?」

「うーん…小宮山くん、ドンマイ」

小宮山に聞こえないように小声で話した。

それを知ってか知らずか、小宮山は叫びだした。

「ちくしょー!総理大臣になってバレンタインデーなんて廃止してやる!」

「小宮山にチョコあげたい子がいたらどーすんだよ!」

小宮山をなだめるべく外村が言う。

「つーかいるなら紹介しろ!」

「アホ…」

(悲しい奴だなぁ…小宮山…)

俺はそう思いながらも、つかさからチョコを貰えるだけで、なんとなく周りより一歩勝っているという優越感に浸っていた。

そして放課後…

「じゃあ…淳平くん!後で家行くからね!」

「うん、わかった」

つかさと一言言葉を交わし教室で別れた。

その後、俺は教室に残って友達と今日のことについて話をしていた。

「いいよなー真中は。どうせつかさちゃんからチョコ貰えるんだろ?」

友達の一人が話し出した。

「俺もつかさちゃんに貰いたいな〜」

「頼んだりしたら貰えんのかな…なぁ真中?」

周りもそれに便乗してくる。

「え、いや…無理だろ」

「なんで?」

「つかさもう帰っちゃったし…」

「なにぃ!?呼び戻せ!ほらっ、早く!」

「絶対無理だって!」

友達の威圧感にも似たものに負けてしまいドアの所までたじろぐと、いきなり右腕を掴まれた。

「ひゃっ!な…なんだぁ!?」

「一緒に逃げて!」

「へっ?」

声のする方を見ると、さつきがいた。

「さ…さつきぃ!?」

「誰だあいつ!?」

「さつきちゃんは俺たちみんなのものだぞ!」

後ろからは、さつきファンの運動部の連中が物凄い勢いで走ってきている。

「ヒィ〜ッ!」

(なんで俺まで巻き込まれなきゃいけないんだ!)

なんとか校舎の裏にまで出て逃げ切った。

「もっとちゃんと手懐けろよ…運動部のあの猛獣どもを」

息も絶え絶えにしながら少し怒り口調でさつきに言った。

「ごめん…たくさんチョコ用意したけど数足りなくって」

「だからって俺を…って、え?アイツらにチョコ用意したの?」

「あ…つっても1個100円のね!」

「みんなチョコに縁なさそーな奴ばっかだし、ここまで慕われちゃったら…ね」

これがさつきの彼らに対する優しさなのであろう。

「…そーゆーとこがみんなに好かれる理由なんだろうな」

「好きでアイツらに好かれてるわけじゃないわよ!」

「そーかぁ?俺から見れば…」

「てゆーか!」

さつきは俺の話を遮ってきた。

「アイツらは多分手を差し伸べてくれる女なら誰でもいいのよ」

「女に免疫ない分かまってもらえただけで好きになっちゃう!」

腕組みをしながら話すさつきの話に俺は妙に納得してしまった。

「30個も用意したのになぁー」

空っぽになった袋の中を見ながらさつきは言った。

「ま、3月14日が楽しみにはなったけどね」

さつきはさっきとは違いどこか満足気な感じである。

「じゃ、俺は家に帰るな」

「愛しの彼女の手作りケーキが待ち遠しいのかなぁ?」

さつきはニヤニヤと笑いながら意地悪く言ってきた。

「そ…そんなわけないだろっ!ってかなんでケーキだって知ってんだよ!」

「ん〜…女の勘ってやつ?」

「それより真中ぁー顔に出てるよ!このこのっ!」

「う…うるさいっ!じゃあな!」

そう言って一旦教室に戻ろうとすると、

「あ…ちょっと待って!」

さつきは何か思い出したかのように声を上げると、急に俺を呼び止めた。

「今度は何だよ?」

振り向くと、目の前に可愛らしい小さな箱があった。

「はいっ!真中チョコレート!」

「えっ?」

突然のことに驚く。

「言っとくけど!中身は義理だからね、義理!」

「本命はちゃんと彼女に貰いなさい!」

そう言い残すと、さつきは足早に帰っていった。

一人取り残された俺。

(貰えたのは嬉しいけど…俺も運動部の奴らと同じ扱いってことか…?)

嬉しいような悲しいような何とも言えない感じであった。

教室に戻りカバンを取って廊下に出ると、ちょうど隣のクラスから外村が出てきた。

「真中、今帰りか?」

「まぁなー」

そして外村と一緒に帰ることにした。

「つかさちゃんからはもう貰ったのか?」

「えっ、なんで?」

「それ…つかさちゃんからじゃないの?」

「あぁ…これ?」

俺は先程さつきから貰った義理チョコを手に持っていた。

「これはさっきさつきに貰ったんだ。多分余り物だろうな、運動部の奴らに配ったらしいから」

「ふぅん…」

「それより早くつかさから貰いたいなー」

「羨ましいやつめ!」

話をしながら昇降口まで行くと、外村が指を指して言った。

「お前ん所のげた箱…何か入ってないか?」

「えっ?」

俺は自分のげた箱に近づいて中を見ると、小さな袋が置いてあった。

(なんだ…?)

中を見ると、そこにあったのは…

「…チョコだな」

「うわっ!?」

ビックリして後ろを見ると、いつの間にか小宮山がいた。

「おまっ…脅かすなよ…」

「それより!誰からだ?」

外村も興味津々といった様子で袋の中を覗き込んできた。

「えーっと…あれっ?」

「ん?どした?」

「名前とか何も書いてねぇぞ?」

「でも置き間違いとかでもなさそうだし…」

「ってか真中ってそんなにチョコ貰うような奴だったっけ?」

「し…知るか!そんなこと!」

「ズルいぞ、真中ばっかり!それ俺にくれ!」

「小宮山にやるくらいなら俺がちゃんと貰うっつの!」

俺はその袋を一応持ち帰ることにして、そっとカバンの中にしまい帰路についた。

その光景を、チョコを置いた本人が近くに隠れて見ていたということも知らずに…


[No.733] 2008/01/04(Fri) 16:23:27
永遠にともに 第7話 (No.733への返信 / 8階層) - バーツ

「ただいまー」

家につくと、リビングのドアからヒョコっと唯の顔が出てきた。

「あっ、淳平!今年の収穫どうだった〜?」

「…なんで唯がいるの?」

しかし唯は俺の質問に耳も傾けず、玄関までやってくると突然両手を出してきた。

「なに…この手は…」

意味も分からず突っ立っていると、唯は突然俺のバックを取り上げた。

「おい、何すんだよ!?」

「収穫って聞いたでしょ!」

そう言うと、カバンを開け手を中に入れてガサゴソと漁っている。

「ん?これは誰からかな〜?」

一つ箱を手に取りニヤニヤしながら聞いてきた。

「あぁ、それはさつきから貰ったんだよ」

「さてさて中身は…」

興味津々といった顔つきで箱を開けた。

「…なんだ、義理チョコじゃん。つまんないの〜」

「それは余り物っぽいからな。さつきの奴男子にたくさん配ったらしいし」

「ふぅん…。じゃあ…これは?」

今度はあの袋を取り出してきた。

「それは…」

言葉に詰まってしまった。説明のしようがなかったから…。

「む?もしや手作りチョコ?」

黙っている俺を見て、今度はきた!と思ったのか、唯は急いで袋から箱を取り出す。

そんな唯を見て静かに言った。

「わかんないんだよ」

「わかんないって…何が?」

俺の言葉の意味が理解できない様子で聞いてくる。

「誰が作ったのか…」

「名前とか何も書いてないだろ?」

「言われてみれば…確かに」

唯は少し納得したようだ。

「俺のげた箱ん所に入ってたから持ってきたんだ」

「へぇ〜。でもチョコをげた箱なんかに入れるかなぁ…」

「そんなこと言ったって…」

「うわぁ…これ手作りだね〜!」

俺の言葉を遮って唯が箱を開け中をながら言った。

「えっ、マジ!?」

手作り。その言葉にかなり驚いた。

見てみると、本当に手作りのチョコレートが入っている。

(俺に手作りチョコ上げたい人なんているんだな〜)

「じゃあ早速食べようか!」

「ちょっと待て!」

リビングに行く唯の腕を掴む。肝心なことを聞き忘れていた。

「それは俺が食べるの!」

「大体なんで俺の家にいるんだ?」

すると唯は、

「あ〜忘れるところだった」

と、たった今思い出したかのような話し方で言うと、一旦リビングに戻り、そして大きな紙バックを持ってきた。

「何だ…その紙バック」

「うん、これ淳平にね」

「ウチの学校の子に渡してくれって頼まれまくっちゃって」

「俺…に…?」

「そう、淳平に」

(桜海学園の生徒から!?)

(お…俺女子高でこんなにモテてるなんて知らなかった…)

俺は勝手にそう思い込んでいた。

「でね…って、淳平聞いてる?」

「お…おう、何だ?」

「これ泉坂高校サッカー部の『大草くん』って人に渡してほしいって言われて…」

「だから今から渡しに行こ!」

唯に言われて、一気に現実に引き戻された。

「あ…そう、大草ねー」

「アイツ顔いいし、サッカーも上手いし…はは…」

「まさか…自分のチョコだと思った?」

落ち込んでいる俺を見て、唯は痛いところを突いてきた。

「でもね、この大きいチョコレートは淳平の分!」

そう言って、袋の中から綺麗にラッピングされた大きめの箱を取り出した。

「淳平!これ一緒に食べよ〜!」

「…結局それって唯が食べたいだけじゃん…」

唯の言動に少々呆れてしまった。

「てか今から大草の家にその山のチョコ渡しに行くんじゃねぇの?」

「だから歩きながら食べよ!」

「歩きながらって…普通誰もそんなことしないだろ…」

「いいから!ほらっ、さっさと行くよ!」

唯に急かされ、仕方なく大草の家に向かうことにした。

「ん〜、このチョコおいしい〜!」

隣では、唯が俺の為…いや、唯自身の為に買ったチョコレートをパクパクと物凄い勢いで食べている。

(俺何やってんだろ…)

そう思いながら道を歩いていた。

「…はい、ここが大草の家」

大草の家につき、唯に説明しながらインターフォンを押す。

ピンポーン…

「はーい」

「あ、真中といいますが…大草くんいらっしゃいますか?」

「あぁ、俺だよ真中。今行く」

ガチャッ…

「どうした?てっきり西野とデートしてるかと思ったけどな〜」

大草はちょっと驚いた感じで言ってきた。

「つかさはバイトだって」

「そっか。…で…その子は?」

大草は俺の隣にいる唯に目をやった。

「幼なじみの唯だよ。前に話したことあったろ?」

「南戸唯です!淳平の幼なじみです!よろしくです!」

「あぁ、あったあった!よろしくね、唯ちゃん!」

唯は大草の笑顔にやられたのかボーっとしている。

そんな唯を横目で見ながら大草に言った。

「それで…はい、これ」

大草の前にあのチョコ山詰み紙バックを差し出す。

「なに、この紙バック…」

「唯の通ってる桜海学園の生徒からだとよ」

俺は大草にぶっきら棒に言った。

すると、大草は急に表情を変え、恐る恐る俺に尋ねてきた。

「もしかして…中身はチョコだったり…?」

「その通り」

そう言った途端、大草は額に手を当て溜め息をついた。

「ハァ…ここまでくるともういい加減うんざりしてくるわ…」

そして家の中に戻り、俺たちが持ってきたものと同等の大きさの紙バックを持ってきて、それを俺に差し出してきた。

「泉坂高校の子からも…ほら、こんなに…」

袋の中に目をやると、チョコが入っていると思われる箱が数多く入っていた。

「あっちゃ〜、こんなに食べきれんの?」

「無理に決まってっだろ。小宮山にでも分けてやろうかなぁ…」

「あはは。アイツなら全部食べきれるかもな」

「まぁ、せっかくだし有り難く頂きますよ」

そう言って、俺の持っていた紙バックを受け取った。

「じゃあ…真中、唯ちゃん。またな」

「おう」

「はい!」

大草の家を後にした。

「大草くんってかなりかっこいいね!」

「そうだな〜」

「まるでどこかの誰かさんとは大違いだね〜」

「…うるせぇよ」

少し歩くと、突然唯が静かに言ってきた。

「淳平…もう一ヵ所付き合ってほしいところがあるんだけど…」

またかと思いながらも唯に聞いた。

「ったく…今度はどこだ?」

すると、唯は意外なことを言い出した。

「…正太郎くんの家…」

これにはさすがにビックリした。

「正太郎の家!?それまたなんで!?」

「…ん」

俺の目の前に小さな箱を差し出す唯。

それを見て、なんとなく唯の考えていることがわかった。

「あぁ、なるほどね…」

そして、正太郎…つまり東城の家の前についた。

「俺はここで待ってっから…ほら、行ってこい」

「…うん」

俺は近くに身を潜めた。

ピンポーン…

「ウィーッス、東城ッスけど〜?」

中からは男の声がする。多分正太郎だろう。

「あ…あの、南戸と申しますけど…その…」

「えっ…唯ちゃん!?」

突然のことに驚いているのか、正太郎は大きな声を上げた。

そして数秒後…

ガチャッ…

家の中から正太郎が出てきたらしい。

「な…なに?どうしたの?」

ここからだと声しか聞こえない。

「しょ…正太郎くん…はい!」

「…唯ちゃん…これって…」

「チョコレート…手作りなんだけど…」

「マジ!?うわ〜っ、メッチャ嬉しい!」

「ほ…ほんと?」

「ほんとだって!唯ちゃんから貰えるとは思わなくて…ありがとう!」

「うん!じゃあ…またねっ!」

唯は笑顔で戻ってきた。

「よかったな、喜んでもらえて」

「うん!」

唯の喜んでいる姿を見ると、俺まで嬉しい気分になる。

(俺も早くつかさからチョコ貰いたいな〜)

そんなことを思いながら家に帰った。

辺りはまだまだ冬なので暗くなってきている。冷えた手を暖めるべくポケットに突っ込んだ。

そして、俺の家の前の通りに出た途端、唯が声を上げる。

「あっ…あれ西野さんじゃない?」

「へっ?どこ?」

目を凝らして前を見ると、西野らしき人が視界に入ってきた。

(ホントだ!よしっ…)

つかさに声を掛けようと思い小走り気味に走り出したが、数歩で俺の足は止まった。

さっきまでの気分が…一気に冷めた。

そして全く違う感情が俺の中に生まれてくる。

この感じ…前にも味わったことがある。

そう…これはあの時と同じ…

「なんか男の人といるね…」

唯は何か言ったのだろうが、俺の耳にははっきりとは聞こえてこない。

目の前の光景に俺は動き出すことができなかった。

つかさの家の前で、つかさが一人の男と楽しそうに話をしている。

あの姿は間違いない。

この前会ったばかりだからちゃんと覚えている。

アイツは…

「榛原…大翔…」

俺は静かに呟いた。

ポケットの中で暖められている手はまだ中に入ったままなのに、急激に冷えていった…


[No.734] 2008/01/04(Fri) 16:27:11
永遠にともに 第8話 (No.734への返信 / 9階層) - バーツ

「家…戻ろうぜ…」

見たくない、ただそれだけだった。

つかさが榛原と楽しそうに話しているのに耐えられなかった。

外村とか大草とか、アイツらとつかさが話しているのはよく見るし、嫌だとか見たくないとかなんて全然思わない。

つかさが男と話すのは当たり前のことだし、俺だってさつきとか東城とか、女の子とだって話す。

つかさはどうかしらないけど、多分思っていることは俺とたいして変わりはないだろう。

でも、コイツだけは違った。

どうしてだろう。前にも思ったことだけど、つかさがどこか行ってしまうのではないか、そんなことを思ってしまう。

淳平は家の門に手を掛けた。

「ちょっと、淳平!」

唯に引き止められたが、淳平は無視して家の中に入ろうとする。

その時、唯の声につかさは気付いたのか、榛原との話を切り上げて走って淳平の所にやってきた。

「淳平くん!」

淳平の前に立つと笑顔で俺の名前を呼ぶ。

その笑顔すら今の淳平には辛かったのだろう、直接顔を見ることすらできなかった。

「はい!」

ちょっと大きめの箱を淳平の前に差し出してきた。多分中には朝言った通りチョコレートケーキが入っているのだろうか。

「結構自信あるんだ〜!榛原くんにも少し教えてもらったしね!」

淳平の気持ちを何も知らないつかさは楽しそうに話してくる。

淳平は榛原という言葉に敏感に反応した。

(榛原…?教えてもらった…?)

このケーキは榛原絡み。

嬉しい…だけど、素直に喜べない自分がいた。

「…そっか…」

小さな声で呟いた。

「どうしたの?」

元気のない淳平を見て、つかさは不思議そうに聞いてくる。

「えっ?」

「なんかいつもと違うような気がして…」

「そっ…そんなことないよ」

つかさに心配させたくないため、淳平は無理やり笑顔を作ってつかさに向けた。

つかさには分かるだろうか。笑顔の内側に隠されている淳平の気持ちに…

「あっ、そうだ。榛原くん、ちょっと来て!」

つかさに促されて、榛原がこちらにやって来た。

「ちゃんと紹介してなかったよね」

「私の彼氏の真中淳平くん。で、隣が淳平くんの幼なじみの唯ちゃん」

「よろしくな〜!」

「…ども」

「…かっこいい…」

唯は驚いたといった表情だ。

「かっこよくないって〜」

榛原は頭を掻きながら照れているものの、満更でもない様子である。

つかさは唯に榛原を紹介しているようだ。ケーキの話でもしているのか、話が盛り上がっている。

(…はは…まただよ…)

この極度の孤独感。周りから離されているような感じ。そのことに苛立ち唇をギュッと噛み締め、手を強く握り締める。

(どうしてそんなに楽しそうなんだよ)

(なぁ…つかさ…)

「じゃあ…俺行くわ」

「うん!また明日ね!」

榛原は小走りで帰っていった。

「…」

しばしの間静寂が流れる。

それを打ち破ったのは唯だった。

「それじゃあ…唯も帰ろうかな」

「送ってくよ」

「えっ、でも…」

唯はつかさを見る。

「いいからいいから、なっ?」

淳平はそれを無理やり遮るように言った。

「そう?じゃあちょっと待ってて」

唯は自分の住む寮へ帰るため、家の中に荷物を取りに行った。

家の玄関の扉がバタンと閉まった後、つかさが話し出した。

「今日は淳平くんの家に泊まろっかな〜」

「へっ…!?」

泊まるということについつい動揺してしまった。

「あっ、今日ダメだったりする?」

「そういうわけじゃないけど…」

「じゃあ泊まらせてもらうね!少ししたら行くから!」

そう言って、つかさが自分の家に戻ると同時に唯が家の中から出てきた。

「あれ、西野さんは?」

「家に戻った。なんか今日は俺の家に泊まるとか言い出してさ」

「そっかそっか」

すると唯の顔がニヤニヤしだした。

「なんだよその顔は」

「いや〜、今日の夜西野さん大丈夫かなーって思って」

「どういう意味だよ?」

「淳平のことだから絶対エッチなことするだろうからね〜」

「…バカ」

2人並んで夜道を歩く。冷たい風が顔に当たって少し寒いけど気持ちいい。

「…何かあった…?」

唯がそっと呟く。

「え…?」

「西野さんも言ってたけど、さっきの淳平。いつもと雰囲気が違かったよ?」

「なんか…切なそうだった…」

唯には淳平の気持ちが分かっていたのだろうか。心配そうに聞いてきた。

「まぁ…ちょっとな…」

(俺は言っていいのだろうか。唯に言って少しはこのモヤモヤは晴れるのだろうか)

(確かに、話したら多少は気が晴れるかもしれない)

(でも…本当に話したいのは唯じゃなくて…)

「…唯は淳平の味方だからね」

黙っている淳平に唯は優しく声をかけてくる。

少し心が救われた気がした。

何故だか知らないけど、今の淳平にとって唯のこの言葉が凄く嬉しかったのだろう。

「…サンキュ」

寮の前についた。

「それじゃあ…今日の夜は頑張って!」

「だから俺は別に…」

「あはは、顔真っ赤だよ〜?」

唯はからかい気味に言ってくる。

「なっ…!?」

「うっそだよ〜ん!バイバイ、淳平!」

(ったく唯の奴…)

唯と別れ、自分の家へと向かう。

(やっぱり淳平くん変だよ…)

家に戻ったつかさはふぅっと溜め息を一つついた。

「今日淳平くんの家泊まってきてもいい?」

キッチンに入り、料理をしている母の背中越しに聞く。

「淳平くんのご両親はいいって言ってくれたの?」

手を休めることなく母は聞き返してきた。

「淳平くんがいいって言ってくれたから大丈夫じゃない?」

「もうっ、それじゃダメじゃない。いいわ、お母さんが話しておくから」

「はーい」

軽く返事をして二階にある自分の部屋へと向かう。

中に入るなり、つかさはベッドに横になった。

(淳平くん…何か言いたそうだった…)

つかさは知っていた。

さっき会った時の淳平のあの表情。前にも一度見たことがあった。

そう、あれはこの前のデートの時、突然店を出ていった後のこと。

淳平に追いついたつかさは彼の顔を見た。

その表情は、悲しそうな、切なそうな、それでいて何か言いたそうな、そんな顔だった。

そしてついさっきの表情。

一緒だった。全くといっていいほど…

(こういう時、私って昔っから勘がいいんだよな…)

大好きな淳平のこと、余計に深く考えてしまう。

その2つの状況に共通することといえば…

(夕方?それともバイトか何か?…いや違う…)

必死に頭を整理する。

そして一つの答えらしきものに行き着いた。

(…近くに…榛原くんがいた…?)

そんなことで彼があんな表情になるわけがない、つかさは最初はそう思った。

けれど、他に理由が見当たらない。

じゃあ、何でそうなったのか。それすらつかさにはわからなかった。

(あっ…もうこんな時間…)

気が付いたら、部屋に戻ってきてから20分が経っていた。

「行ってくるねー!」

そう言って玄関を出た。

ピンポーン…

家のチャイムが鳴った。

「いらっしゃい!さぁ上がって!」

玄関で母さんが話している。多分つかさが来たのだろう。

コンコン…

少しして、誰かが部屋のドアをノックした。

「はーい?」

「淳平くん?つかさだけど…」

思った通りつかさだ。

「あぁ、入っていいよー」

「失礼しまーす」

ガチャッ…


[No.735] 2008/01/08(Tue) 21:17:20
永遠にともに 第9話 (No.735への返信 / 10階層) - バーツ

淳平はつかさの顔が見えると同時に鼓動の速さが増したのを感じた。さっき会ったばかりなのに、もうこんなにドキドキしてる。

「…よっ」

「うん」

一言会話をするものの、ついつい彼女に見とれて言葉を失ってしまう。

「とりあえず…座っていいかな?」

黙ったままの淳平に声をかけ空いてる場所に荷物を下ろした。

「あ…あぁ」

何か話さなければ…。そう思って出た言葉は、さっきまで考えていたことに近いものだった。

「さっきさぁ、榛原くんだっけ?いたよね」

「うん。なんで?」

つかさはベッドにちょこんと座りながら聞き返してくる。

「いや、なんでいたのかなぁって思って…」

淳平も隣に座った。

「榛原くんは店の買い出しで、たまたまあたしの帰り道と一緒になっただけだよ?」

(買い出し…)

「…そっか」

榛原の話になると、何故だかマイナスの方向に考えてしまう。自分から話し出したのにも関わらず。

本当にそれだけか。他に何かあったりしないのか。聞きたいことは少なからずあるのに思いとどまってしまう。それは弱い心の現れであった。

そしてそのことは、彼を悲痛な表情へと変化させる要因となるには十分すぎるものだった。

「…またその顔…」

淳平の顔を覗きながら呟いた。

「えっ…?」

思わずつかさを見てしまう。

「淳平くん…ホントのこと言ってよ…」

「な…何が…」

何もかも見透かされているようなそんな感じがした。

「淳平くんが優しいのはわかってる」

少し俯き加減に静かに話し始める。

「気を遣って何も言わないだけなんだろうけど…あたしにはそれが…」

「…辛いよ…」

いつの間にか表情は暗くなっており、今にも泣きそうな顔になっていた。

「…」

また俺のせいで…その思いで淳平は胸がいっぱいだった。

「あたしたち付き合ってるんだよ?」

顔を上げつかさは淳平の目を見てくる。

そらすことなく、ただ真っ直ぐに…

「本音隠したままの方が仲良くやっていけるの?」

「我慢しないで何でも言ってよ…」

「私の前でくらい…無理しないで…」

一言一言が胸にしみた。

我慢するなって…無理するなって…

その言葉が今の彼にとってどれほど温かいものだったか…

泣き出しそうになるのを必死にたえながら、ゆっくりと話し始めた。

「…恐いんだ…」

「恐…い?」

「…アイツに初めてあった日、つかさが凄く楽しそうに彼と話してて…何か俺孤独だった」

「つかさは分からないだろうけど…その時のつかさの笑顔が辛かった…」

「なんか…俺と別の世界行っちゃうんじゃないかって…遠くに行っちゃうんじゃないかって思った…」

「アイツに会う度につかさが奪われそうな気がして…」

「勝手に思い込んでる俺が悪いのに…」

「ごめんな…」

まだ他に言いたいことはあったかもしれない。

でもこれ以上話したら、確実に淳平は泣いていただろう。

彼女の前では泣きなくなかった。

これが…今言える精一杯だった。

溢れる思いをこらえるため手を力強く握る。

「…大丈夫だよ…」

そう言って、そっと淳平の右手を握ってきた。

「榛原くんとは何もないし、私は遠くにだって行かない」

「淳平くんのことが大好きなんだから」

「だから…安心していいんだよ?」

淳平は目に涙をためていた。

こんな自分が情けなくて…彼女の言葉が嬉しくて…そんな思いだったのだろう。

「それに…ちょっと嬉しかった」

「嬉しかった…?」

少し微笑むつかさに少し疑問を抱き、聞き返す。

「淳平くん、榛原くんに嫉妬してたんじゃない?」

確かに…いや絶対にそうだった。

彼に嫉妬していたに違いない。

「嫉妬…つっても俺ら付き合ってるからなぁ…」

「それだけあたしのことを想ってるってことだよ」

「それならいいんだけど…」

つかさに言われ、少し気が楽になったためか、淳平の表情が緩む。

「やっと笑ってくれたね」

つかさもさっきまでとは打って変わり笑顔だ。

「大体榛原くんだってあたし達が付き合ってるの知ってるよ?」

「え…そうなの?」

「家の前で淳平くんのこと紹介したじゃん!聞いてなかったの?それにさっきまでそのことで話してたし」

(その時は気分がブルーだったから何も耳に入ってこなかったんだ)とは思ったものの、それ以上に榛原に自分の何を話したのかがかなり気になり、顎に手を当て問い掛ける。

「…何話したんだよ?」

するとつかさは淳平から視線を外し言った。

「教えな〜い」

「なっ…!?」

「まぁ、あえて言うなら?毎日寝坊するとかいっつも上の空だったりとか…要するに愚痴だね」

振り向いて、舌を出し意地悪く笑うつかさ。

「はは…俺の愚痴ですか…」

愚痴と聞いて、さすがに苦笑いするしかなかった。

「でもいいじゃん、淳平くんの不安が取り除けたんだから」

「…だな」

そして話題は榛原へ。

彼が作るケーキはどうだとか、クリームの作り方がこうだとか、つかさは楽しそうに話している。

以前はそんなつかさを見るに耐えなかった淳平だが、今となっては一緒に話せる。

(つかさは俺の彼女、その事実がちゃんとここにあるじゃないか)

(大丈夫。もう心配する必要なんてないんだ)

疑ってたわけじゃない。だけど、それに少し近かったこと。このことを考えると、彼女に申し訳ないことをしたと淳平は思った。

「そういえば、淳平くん。チョコは何個貰ったのかな?」

「へっ?チョコ?」

突然話題が変わり、反射的に内容を聞き返す。

「彼女のあたしとしてはかなり気になるんだよね〜」

つかさはニヤニヤと笑いながら言った。

「ほらっ、早く見せて見せて!」

「わーっと、わかったわかった。ちょっと待って…」

早くと急かされながら、淳平は自分のカバンの中から箱を取り出そうとしている。

「貰った相手があたしだけなら今日は許してあげようかな…」

「許すって…何を?」

カバンの中からつかさに目を移し、淳平は首を傾げた。

「えっ…まぁあれだよ、あれ!あはは…」

(若干つかさの顔が赤くなったように見えたけど…気のせいか…)

一瞬不思議に思ったが、再び淳平はカバンに目を向け中をガサゴソと漁った。

「なんだよあれって。でもどっちにしろ許してもらえないだろうけどな…」

「と言うと?」

「…ん」

淳平は2つの箱を両手に持ち、つかさの前に差し出した。

「…誰から?」

彼女の顔つきが一気に変わる。今までの笑顔はどこへいったのだろうか…

「つかさ…目が恐いよ?」

「誰から!?」

目の前のものを見て少々機嫌が悪くなったのか、さっきの優しい感じの言葉遣いではなくなっていた。

(見せてって言ったのはつかさだろ!?)

少し不満を口にしようとするも、なんとか平常心を保ちながら淳平は言う。

「あ…えーっと、こっちがさつき。ちなみに中身は義理ね」

部屋の中央にあるテーブルに箱を置いて、指で指しながらつかさに説明する。

「んでこっちは…」

「こっちは?」

少し言葉に詰まったことにつかさは敏感に反応してきた。

「…手作り。作った人はわかんない」

「何で?」

「げた箱の所にあったから一応持ってきたんだよ」

「ふぅん…」

何か腑に落ちないといった感じのつかさ。それを見て淳平は恐る恐る声をかけてみる。

「あの…つかさ?」

「何よ?」

「あっ…いや、何でもございません…」

(うわっ…つかさ怒ってる…?)

返答が怒り口調だったので淳平は軽くたじろいでいると、

「しょうがない。まずは私の食べて、ねっ?」

どういうわけかまたいつもの笑顔に戻っている。

「えっ…うん」

淳平はつかさの変わり身の早さに少し戸惑いながらも、さっき貰ったケーキをパクリと一口食べてみた。

「どう?おいしい?」

つかさは笑顔で尋ねてきた。

「…おいしい」

「…ホントに?」

「ホントに!そこら辺に売ってるケーキより全然おいしい!いや、マジで!」

想像していたよりもあまりにおいしかったため、ついつい大きな声が出てしまった。

「よかった〜!」

とても喜んでいる彼女を見て嬉しかったのか、彼自身までもが幸せそうな笑みを浮かべていた。

だが次の瞬間、淳平は隣でのつかさの行動を見て、少々その気持ちも失せてしまう。

「あの…つかささん?」

「んー?」

「それは一体…何をしているのかな…?」

つかさがしていることとは…

「何って…チョコ食べてるに決まってるじゃん」

つかさは“彼氏”の淳平がバレンタインデーにと貰ったチョコをパクパクと食べていた。

「ちょっ…それ俺がもらったチョコなんだけど…」

必死に自分のものだとアピールしようとするが、

「淳平くんは私ので十分でしょ?」

と言われ、口を開いたものの次の言葉が出て来なく、淳平は泣く泣く納得せざるを得なくなってしまった。

「あっ、これおいし〜!」

「おい!それ手作りチョコ!」

一番気になっていたあの手作りチョコも、つかさによって跡形もなく消え去ってしまった。

「何よ、私のよりそんなに食べたかったの?」

そう言われると何も言えない淳平。

「…いえ、めっそうもございません。はい…」

「ならいいじゃん」

(作った相手の気持ちを考えてみろ!)と言いたかったが、相手が誰かもわからないので言えるはずもなかった。

ケーキも食べ終わり、一段落ついた頃淳平はつかさに言った。

「…つかさ」

「なに…?」

「ケーキと…あと色々と…ありがとな」

「うん。どういたしまして」

つかさは淳平に微笑んだ。

「でもあのチョコは俺の…」

「もうっ!まだ言ってるの!?往生際が悪いぞ!」

(うぅ…つかさのやつ!絶対ホワイトデーのお返ししてやんねーからな!)

そして一日も終わりに近づいた。

部屋にはベッドが一つだけ。もちろん他に寝る場所はなく、二人で一緒に寝るということだ。

先に言っておくが、2人はまだ未経験者の類である。付き合って1ヶ月弱。まだその域には達していなかった。

「ねぇ、淳平くん?」

ベッドに入って淳平と背中を合わせながらつかさは言う。

「ん…?」

淳平は相当眠いのか、声にならないくらいの小さな声で反応した。

「さっきはああ言ったけど…その…」

段々と自分が言おうとしていることに恥ずかしくなり始めたのか、つかさの顔は真っ赤だ。

「…」

淳平からの返事はないが、それすら気付くことなく話を進める。

「…今日はあれだったし…してもいいよ…?」

言ったと同時に恥ずかしさから顔を覆った。

「…」

しかしまた返事がない。少しイラッときて、つかさは淳平の背中に体をむけた。

「大体こういうのは男の淳平くんから言うものなんだからね!…って、おーい、淳平くーん?」

「スー…スー…」

「あれっ、寝ちゃってる…?」

なるほど、だから返事がなかったのか。

一人で納得して、仕方なくそのまま寝ることにした。

(まったく…君にチャンスをあげたっていうのに何で早く寝ちゃうかなー)

自分が言おうとしたことにさらに顔を赤らめながらも、彼が心地良さそうに寝ているのを見て少し笑みをこぼした。

チク…タク…チク…タク…

午前1時。つかさは未だに眠れないでいた。

いつもなら夢の中の時間帯なのだろうが、今日に限って目が冴えてしまっていたのだ。

それは多分、隣に淳平がいるということが原因であることは間違いない。

(そういえばあの手作りチョコ…一体誰からだったんだろう…)

チラッと隣で寝ている淳平のことを見ながら、ふとそのことが頭に浮かんだ。

先程の彼と同様に、やけにあのチョコが気になりだしたつかさは、ムクッと起き上がると、チョコの入っていた箱を手に取った。

すると、箱の中から先程には見られなかった一枚の手紙らしきものが落ちてきた。

(なんだろ…?)

そう思い、紙を開き中身を見ると…

(えっ…!?)

一瞬嫌な予感が頭をよぎる。

それ打ち消すかのように、その手紙を箱の中に戻し、その箱ごと部屋の隅にあったゴミ箱に放り投げた。

そしてすぐにベッドに戻る。

(何であんなことが書いてあるの…?)

つかさの頭の中に“不安”という二文字が住み着き始めたのはこの頃だろう。

さっきの光景を忘れたいがために、ギュッと目を瞑った。

手紙には手書きの綺麗な字で一言こう書かれてあった。

「―――あなたのことがずっとずっと好きでした―――」


[No.743] 2008/01/31(Thu) 20:47:23
永遠にともに 第10話 (No.743への返信 / 11階層) - バーツ

その日一日をどんなに有意義に過ごそうとも、何もせずひたすらボーっと空を眺めていようとも、時間は人々に有無を言わせず同じリズムで流れていく。

過去を振り返り、その時一番最善の策を思いついてこうすればよかったと後悔したとしても、もう後には戻れない。

それならば、今を変えるしかない。

部屋の中には、朝の陽の光に照らされた少女の顔があった。

どことなく思い悩んでいる様子だ。

(やっぱり見せるべきかな…)

昨夜見たあの手紙。

【―――あなたのことがずっとずっと好きでした―――】

部屋の天井をボーッと見つめながら、つかさの頭の中は同じ言葉がリフレインされていた。

「はぁ…」

目を瞑り一つ溜め息をつく。

「んーっ…ん?どうかした?溜め息なんてついちゃって」

隣には寝起きの淳平の姿。

「…ううん、何でもないよ」

振り向いて笑顔を見せる。

(昨日は淳平くんの不安が取り除けたと思ったら、今度はあたしの番か…)

そんなことを思いながらベッドを立ち、いそいそと着替えを始めた。

「…あれ?」

ちょうどパジャマのボタンを2、3個外した時だった。

つかさはあることに気付き、目をキョロキョロさせ周りを見渡す。

いつもと違う色のカーテン。少し散らかっている雑誌。棚に並んだ映画のDVDの数々。

(ここは…淳平くんの部屋!)

そして突如感じた背後からの視線。ゆっくり振り向くと淳平がこちらをジーッと見ている。

「…!?バカッ!スケベッ!変態ッ!」

つかさは近くにあったクッションを手に取り、淳平めがけて勢いよく投げつけた。

「ボフッ!…え?何が…」

寝起きの目を手で擦ると、ぼやけていた視界がゆっくりと正常に戻ってくる。

そして目が完全に開き、目の前の光景に大きく口を開きアタフタしだす淳平。

「つ…つかっ、つかさ!?こんな所で何やっ…わぶっ!」

「少しそのままでいなさい!」

これまた近くにあった色の付いた紙袋を手に取り、淳平の頭から覆い被せた。

「淳平くんのエッチ!」

「なっ…今の俺のせいなの!?」

「じゃあ誰のせいっていうのよ!」

さらに今度は枕を投げつけ、ようやく淳平の口が止まった。

「でも変なカンジ…淳平くんの部屋で着替えるなんて…」

今している行為に恥ずかしさを覚えながらも、淳平の部屋ということを思い出し少し笑みがこぼれた。

(今裸!?俺の部屋でつかさが裸!?)

淳平はというと、自分の部屋で女の子が裸ということでお得意の妄想に浸っていた。

(つかさは今…俺の前で…。ヤバい、すぐに理性が吹っ飛びそうだ…)

(って考えるな俺!耐えるんだ俺!あーっ、くそっ!)

「ふぅ…淳平くーん、もういいよー…ってなに頭抱えてんの?」

「…」

つかさは着替え終わり、袋を被っている淳平に話しかけてようやく過酷な妄想から解放された。

「で?今日は何時にバイト終わるの?」

「うーん…7時くらいかなぁ」

2人とも今日はバイトが入っていたが、午後からだったため、今は淳平の部屋でくつろいでいる。

「そっか。じゃあその時間帯になったら迎えにいくよ」

「うん!よろしくね!」

ふとつかさはあのことを思い出す。

(見せるなら…今しかチャンスはないよね)

つかさは意を決し、淳平に話し始めた。

「あのね淳平くん。見てほしい物があるんだけど…」

「ん?なになに?」

つかさはゴミ箱を持ち出し、中をゴソゴソと物色し始めた。

「…?」

淳平は訳が分からずつかさの行動をジッと見ている。

そして、つかさは紙を一枚手に取り淳平に差し出した。

「これ…」

「…手紙かなにか?」

つかさから受け取り、それを不思議そうに眺める淳平。

「中身読んでみて」

「どれどれ…」

そう促されて中身を見た。

内容を読むと同時に目を大きく見開いて、すぐにつかさに顔を移した。

「これ…どうしたの?」

淳平の質問に、つかさは少し俯きながら静かに答える。

「昨日のあの手作りチョコの箱の中に入ってたんだけど…」

そう話すつかさの顔はどこか昨日の淳平と似ていた。

淳平は驚きを隠せなかった。

「マジ…で?」

「うん…」

首を縦にコクッと振るつかさ。

(俺のことが好き…!?)

(昨日見たときは何も入ってなかったのに)

(どうすんだよこれ…)

その瞬間淳平はハッと我に返り、つかさを見た。

つかさの表情は曇っていて黙ったままだ。

(何考えてんだ俺…答えはもう決まってんのに…)

ビリビリッ…

「えっ…?」

紙を破く音が聞こえ、つかさはパッと顔を上げた。

「あれ?破いちゃダメだった?」

淳平は何もなかったかのような顔でつかさを見る。

「いや、そういう訳じゃないんだけど…」

そしてつかさはまた俯いた。

そんなつかさを見て淳平は言った。

「あの日アイツと誓った約束は破ることは許されなくて」

「だけど任されたことでの使命感とか責任感は全くなくて」

「ただ純粋に君のことが」

「好きなんだ」

淳平の言葉とともにつかさの頭の中にある映像がフラッシュバックしてきた。

自分の気持ちに正直になることを決意させたあの映画のとあるワンシーン。

つかさは再び顔を上げ淳平を見る。

淳平はつかさに微笑んだ。

彼女の不安を取り除くのにはその言葉だけで充分だった。

つかさもすぐに笑顔になり淳平に言う。

「私だけの君であるように、君だけの私でいたい」

淳平はつかさを優しく抱きしめる。

つかさも淳平に身を任せた。

「大丈夫。心配すんな」

「うん」

少しそのままの状態でいた後、体を離した。

お互い見つめ合う。

そしてゆっくりと顔を近づけ唇を交わした。

数秒経ち、太陽の光でできた黒い影が一つから二つに分かれた時、どちらからともなく笑い出した。

「ぶっ、あはは!よく覚えてたなーそのセリフ」

「まぁねー。あの映画があるから今こうやって淳平くんと一緒にいるワケだし」

「それもそうか」

2人は互いに笑いあう。

そして淳平がふと何かを思い出したかのように言った。

「あっ、そういえば昨日俺すぐに寝ちゃったじゃん?」

「うん?」

「あの時つかさ何か話してたよね?」

「…!?」

――――――――――

【ねぇ、淳平くん?】

【ん…?】

【さっきはああ言ったけど…その…】

【…】

【…今日は…いいよ…?】

【…】

【大体こういうのは男の淳平くんから言うものなんだからね!…って、おーい、淳平くーん?】

【スー…スー…】

【あれっ、寝ちゃってる…?】

――――――――――

(何で今思い出すのよ〜!)

「あれ何言おうとしてたの?」

「それは…その…」

すると、つかさの顔はリンゴのように赤くなっていった。

「…?つかさ、顔赤いよ?」

「…!?淳平くんのバカァ!」

つかさは恥ずかしさを隠すためか大声で叫んだ。

「また…?俺何もしてない…」

「あ…やばっ!もうバイトの時間だよ!」

話を逸らすため、時間はちょっと早いが家を出ようとする。

「ちょっと、まだ話の途中…」

淳平も後を追った。

外は雲一つない晴天。

2人の頭からいつしか“不安”の文字は消えていて、この時は青空のように心は澄み切っていた。


[No.744] 2008/01/31(Thu) 20:54:36
永遠にともに 第11話 (No.744への返信 / 12階層) - バーツ

一向にあの手紙の主がわからないまま時間は巡る巡る過ぎて4月。

あれ以来、つかさのバイト先に行くたびに淳平と大翔は会話するようになり、いつの間にか2人は仲良くなっていった。

そして淳平たちは3年になった。

クラスは持ち上がりなので去年と一緒である。

今は朝の教室。

淳平とつかさは机を挟んで向かい合わせの格好で話しをしていた。

「淳平くん聞いた?」

「何を?」

「うちのクラスにね、転校生が来るんだって!」

「転校生?また?」

「またって?」

「いや、だってつかさも転校生じゃん」

「あっ、言われてみればそうだね」

そう言ってつかさは笑った。

(そうか…もうつかさと出会って一年経つのか…)

「おーい?淳平くーん?」

「あ…なに?」

「どうしたのポーッとして…。まぁいつものことだけど」

(いつものことって…)

「考え事だよ」

「なんの?」

「いや…つかさがこっちきて一年経つんだなぁと思ってさ」

「…そっかぁ。もう一年か…」

するとつかさは窓の方に顔を向けて空を眺め始めた。

「一年で俺の人生は劇的に変わったな」

「どんな風に?」

「うーん、どんな風にって言われても…。まぁ一番はつかさの彼氏になれたことかな」

「じゃあ私は淳平くんの彼女になったことだね」

互いに照れる2人。

そして物思いに耽った。

本当にこの一年は色々あった。

つかさの転校。

映研の夏合宿。

文化祭の苦い思い出。

淳平の交通事故。

そして晴れて結ばれた2人。

時に楽しく時に切なく、さらに寂しくもあり、そしては嬉しくもあり。

そんなことが思い出される。

「おーい!早く席に着けー!」

先生の声で現実に引き戻される。

「みんな気付いていると思うが、うちのクラスに転校生がやってきた」

転校生ということで、周りは騒ぎ始めた


「静かに!じゃあ、入っていいぞー!」

教室のドアがガラッと勢いよく開き、そして転校生が入ってきた。

「キャーー!!かっこいいー!!」

教室の中は女子の悲鳴にも似た黄色い声が飛び交っている。

そんな中、淳平とつかさは目が点になって固まってしまっていた。

そこにいたのは…

「おっ!淳平!つかさちゃん!一緒のクラスか〜!」

あの榛原大翔だった。

「おまっ…大翔!?何でここに…?」

「あれ?言ってなかったっけ?俺今日からここの生徒なんだよ」

「そんなこと聞いてねーよ…」

淳平と大翔が2人で話していると、

「ん?お前ら!知り合いか?」

先生に尋ねられた。

「まぁ知り合いですけど…」

「そうか!じゃあまずは自己紹介をしてくれ」

「えー、榛原大翔っす。皆さんよろしくお願いします!」

教室は拍手で包まれた。

「それで席は…真中、お前の隣だ」

「あっ…はい」

そして大翔が歩いて隣に来て、

「よろしくな〜、淳平!」

と明るい笑顔で言ってきた。

「おう」

こんな形で、淳平たちの高校最後の生活が始まっていった。


[No.785] 2008/02/06(Wed) 15:16:35
永遠にともに 第12話 (No.785への返信 / 13階層) - バーツ

今は昼休み。

淳平と大翔は屋上で昼飯を食べていた。

何故か大翔が屋上がいいと言うので淳平はついていった。

つかさはというと、今日は委員会があるとかで一緒に昼飯を食べれないらしい。

「なぁ淳平?」

大翔が柵越しに遠くの方を見つめながら言ってきた。

「んー?」

淳平は、大好物のミルクティーを飲みながら購買で買った焼きそばパンを食べている。

「お前ってさ、もうつかさちゃんとヤったの?」

「ブハッ!!」

大翔の言葉に淳平は飲んでいたミルクティーを吹き出してしまった。

「うわーっ!バカッ、汚いだろうが!」

大声を上げて騒ぐ大翔。

「ハァ!?お前がいきなり変なこと言うからいけねぇんだろが!!」

淳平は大翔を鋭い目つきで睨みつけた。

とは言っても、淳平なので全く怖くないのだが…

「俺がいつ変なこと言った?」

大翔は顔色一つ変えずに淳平に聞いてきた。

「今お前、俺とつかさが…その…ヤっ…ヤっ……」

淳平は今さっき大翔が言ったことに動揺したのか、言うのが顔から火が出るくらい恥ずかしいのか、最後まで言えないでいる。

そんな淳平に大翔は呆れて、

「ヤったってことか?」

と、さも普通のことのようにサラリと言った。

「そうそれだ!」

淳平は大翔を指差した。

「お前突然何てことを言うんだ!」

淳平はちょっと怒っている。

「俺は心配してやってんだぞ?」

大翔は淳平の肩に腕を回した。

「心配だぁ?」

「そうそう。付き合って2ヶ月経つってのにまだキス止まりなんだろ?」

そう言って淳平の脇腹をツンツンッと触る。

「…なんでそんなことお前が知ってんだよ」

それを手で払いよけながら淳平は聞き返した。

「外村情報」

(外村のヤロウ…)

「いつの間に外村と仲良くなってたんだよ?」

「んー、休み時間の時に色々となー」

その言葉に淳平はハァーっと溜息をついた。

「で、実際のところどうなんだ?ヤったの?ヤってないの?」

大翔はどうしても知りたいようだ。

「…してないけど…」

大翔の問いに対し淳平は小さな声で言った。

「やっぱりなー、俺が思った通りだ」

すると、大翔は淳平から離れた。

「別にいいだろ?俺たちはまだいいの」

淳平はふてくされながら残りのミルクティーをズズーッと飲み干した。

「…そんなこと言ってっとすぐダメになるぞ」

「はぁ?」

「いいか?つかさちゃんと付き合ってキス止まりってのはある意味奇跡に近いぞ、お前」

大翔はいつになく真剣な顔つきで喋っている。

「だから?」

「つかさちゃんからしてみれば不安だろ?あたしに興味ないのかなぁ?って思われるだろな」

「そしたら他の男にとられても当然だわな。つかさちゃんを好きな奴は世の中にたくさんいっから」

「じゃあ…この俺にどうしろと?」

「どうもこうも…さっさとヤれ!」

大翔は淳平に顔を近付けて言った。

「…お前ってそんなキャラだったか?なんかお前に恐怖心が芽生えてきたんだけど…」

「これが普通の俺なの!学校じゃ表で性格良く演じてっけど、裏は御覧の通りの性格ですから」

「なんで?」

「まぁいろいろとあるわけよ。信用してる奴じゃないと裏は出さないからな。裏出したことあるの家族と龍一さんと淳平くらいだぜ?」

「俺って信用されてんのか?」

「一応な」

「つーかそんなことやって疲れねーか?」

「もう慣れた」

(慣れたって…)

「ってかお前はどうなんだよ?好きな人とかいないの?」

すると、大翔は急に顔が曇りだした。

「…俺は…いいんだよ…」

そう言うと、今にも雨が降り出しそうな空を見上げた。

(…?)

淳平は何か言おうとしたが、その前に大翔が話した。

「それより、早く飯食わねーと授業始まんぞ!」

淳平は再び溜め息をつく。

「こうなったのも誰のせいだと思ってんだよ…」

「それはお前がつかさちゃんとヤってな……いでっ!!」

大翔が言おうとしたことが分かった淳平は、大翔の頭にチョップをした。

「うるさいわ!お前もさっさと食え!バカ!」

「知ってるか?バカって言った奴がバカなんだよ、バーカ」

「……ガキ」

「あ゛?何か言ったか?」

「別にー?」

そして、昼休みはあっという間に過ぎていった。


[No.805] 2008/02/14(Thu) 00:02:23
永遠にともに 第13話 (No.805への返信 / 14階層) - バーツ

学校も終わり今はバイトに向かうべく右から淳平、つかさ、大翔の順で歩いている。

淳平は昼休みにあった出来事が頭の中でグルグル回っていてずっと黙ったままだ。

大翔とつかさは何やら楽しそうに話している。

勿論、大翔は表だ。

いつもならその光景を見て少し不機嫌になる淳平だが、今回ばかりは話し出せない。

(つかさー、そいつは今そんな風に笑ってっけどな、本当は頭ん中じゃあんなことやこんなことを考えてんだぞー?)

そう思って口は開くものの言葉が出てこない状態だった。

「淳平くん?どうしたの?」

つかさがいつもと違う淳平の様子に気付き声をかけてきた。

「えっ?あっ…と、な…何でもないよ?」

いきなりだったので、淳平はどもってしまった。

つかさは不思議そうに首を傾ける。

その向こうで大翔が声を抑えて笑っていた。

(あのヤロウ…俺が今どんなこと考えてたかわかってっからってそんな笑うなよな!)

ムッとした淳平は大翔を睨む。

睨まれた大翔は、

「プッ…アハハハハッ!!」

とうとう声を上げて笑い出した。

2人の間に挟まれて一人意味が分からないといった顔をするつかさ。

「なんなのよ?2人とも」

つかさは淳平と大翔を交互に見ながら口にした。

「なっ…何でもないよな、淳平くん?」

そう言いながらも腹を抱えて笑っている大翔。

しかも何故か“くん”付けだ。

それに対し、

「なんでもねーよ」

ふてくされてぶっきらぼうに言い、そっぽを向く淳平。

「もう!知らないんだから!」

つかさは何も教えてくれない2人に怒ったのか、突然走り出して先に行ってしまった。

残された淳平と大翔。

「あーあ、つかさちゃん怒っちゃった」

「全部お前のせいだからな!」

「いや、あの事を考えてるお前が悪い」

「あれはお前がいけないんだろが!」

「事実を言っただけじゃねーか」

淳平は少しムキになっていたので、

「はぁ…もういい。考えるだけでバカらしくなってきたわ…」

と、これ以上あのことを考えないように話を止めようとした。

しかし、それが逆効果だったのか…

「何言ってんだ!お前男だろう!それくらい考えないでどうする!?」

今度は大翔が言い始めた。

(逆ギレかよ…)

「お前言ってること無茶苦茶だな…」

淳平は大翔に呆れてしまった。

「無茶苦茶だぁ!?俺はそんなことした覚えはねーぞ!」

「うっさいバカ!」

「お前知ってるか?バカって言う方が…」

「黙れバカ!」

「なっ…!?バカはお前だ、バカ!」

「俺の前でも表でいやがれ!」

「嫌だ!そんなことしたらめんどくさいだろ!」

「じゃあみんなの前でもずっと裏だ!」

「ダメだ!それはそれでめんどくさいだろ!」

そして、このやり取りは“パティスリー鶴屋”に着くまで永遠と続けられたのだった。


[No.819] 2008/02/17(Sun) 00:16:41
永遠にともに 第14話 (No.819への返信 / 15階層) - バーツ

時は過ぎて5月。

そして今日は淳平の誕生日。

なので、朝から上機嫌なのか鼻歌を歌いながら登校している淳平。

その隣では、少し迷惑そうな顔をするつかさの姿があった。

「淳平くん?嬉しいのは分かるけどさ、鼻歌はやめてよね」

つかさは淳平に軽くデコピンをした。

「えー、なんで?」

「一緒に歩いてるあたしが恥ずかしいでしょ?」

つかさの言うことはもっともだ。

「……はい」

淳平はテンションがやけに高かったため、少ししゅんとしてしまった。

「そんなしょんぼりしないで?今日はちゃんとプレゼント用意したから!ねっ?」

つかさはそんな淳平を見て笑顔で声をかける。

「マジで!?えっ、何くれるの?」

「それは秘密。夜まで我慢してね?」

ニコッと笑い、ギュッと淳平と手を繋いだ。

「ちぇっ…」

淳平はそう言いながらも、少し満足気な様子だ。

学校へつくと、

「ま〜な〜か〜!」

「ふごっ…!?」

人目もはばからず、さつきが淳平に飛びついてきた。

「ぐ〜る〜じ〜い〜!」

淳平はさつきに思いっきり胸で抱きしめられているのでかなり苦しそうだ。

「ちょっと、さつきちゃん!?」

その光景を見たつかさはご立腹である。

「んもー、今日だけだって!」

そう言うと、さつきは淳平から離れた。

そして、小さい袋を淳平の前に出してきた。

「ハイッ、誕生日プレゼント!」

「あ……ありがとう」

「中身は真中の好きなお笑い芸人の携帯ストラップだからさ」

つかさはまだ納得いかないと言った顔をしている。

「西野さんまだ怒ってるの〜?」

「そんなことないもん!」

さつきの問いに対しつかさはすねてしまった。

「ヤキモチやきの彼女で真中も大変ね〜」

さつきはニヤついている。

「えっ?」

「じゃあね真中!部活ある時はちゃんと連絡してよね!」

そう言い残すと、さつきは自分のクラスへ戻ってしまった。

「つかさ?ヤキモチやいてたの?」

「べっ…別にっ!ほら早く行くよ!」

つかさは顔を真っ赤にして歩き出した。

(なんだ、そっかそっか〜!)

つかさが思っていたことに淳平は嬉しくなり、さつき以上にニヤニヤしながら後を追った。

そして1日が終わり放課後…

淳平は今日はバイトがなく、つかさは大翔と一緒にバイトに向かったため一人で家に帰っていた。

(そういえば、東城からはプレゼント貰ってないな…)

(それよりつかさのプレゼント!気になるな〜!)

そんなことを考えていたらいつの間にか家についた。

中に入るといつものアイツが来ていた。

「おかえり淳平〜!」

「唯?来てたんだ?」

すると淳平は手を前に出した

「ん…?な〜に〜?その手は」

唯は出された手を不思議そうに見ている。

「お前今日何の日か分かって俺の家来てるんだよな?」

「およ?」

「はっ…?わかんないの?」

「うん」

淳平はちょっと大きめの声で言った

「今日は俺の…誕・生・日・だ!!」

「あぁ〜!」

唯は今やっと分かったように手をポンと叩いた。

「はぁ…分かってなかったってことはプレゼントなしか…」

少し残念そうに俯く淳平。

トントン…

「ん?」

淳平は肩を叩かれた。

顔を上げると唯はニマ〜ッと笑っている。

「忘れるわけないじゃん!こっちにあるよ」

そう言って唯はリビングに戻っていった。

(なんだよ、あるならあるって最初っから言えよな)

そう思いながらもちょっと嬉しい淳平であった。

「ハイ!これだよ」

「なっ……!?」

唯が取り出したプレゼントを見て唖然とする淳平。

「エヘヘ〜、これいいでしょ?今日は一日中それでいてね!」

唯は満面の笑みで言ってきた。

「要らんわそんなもん!」

「グスッ…淳平ヒドいよ…」

淳平の言葉に唯は泣く寸前である。

「わ…わかったよ…」

淳平がそう言うと、すぐにニコッと笑い、

「それでこそ淳平!西野さん早く来ないかなぁ〜!」

と言って、唯は意地悪そうな笑みを浮かべた。

(つかさに見られたくねぇよ…)

はたして、唯が持ってきた淳平への誕生日プレゼントとは…


[No.826] 2008/02/19(Tue) 00:14:56
永遠にともに 第15話 (No.826への返信 / 16階層) - バーツ

只今午後6時。

もうすぐつかさが家に来る時間だ。

淳平は唯から誕生日プレゼントとしてもらったある物を身に着けていた。

「淳平案外似合ってるね」

唯は楽しそうに淳平を見ている。

「これでつかさに嫌われたら唯のせいだからな!」

「大丈夫だって!唯自信あるから!」

(なんでそんなこと軽々と言えるかなぁ…)

「それより西野さん来たらこう言うんだよ」

唯は淳平に耳打ちした。

話を聞いた途端、淳平の顔は真っ赤になった。

「無理!絶対無理!」

淳平は唯に怒鳴った。

「ダメ!それを言わなきゃ雰囲気出ないでしょ!?」

「雰囲気の問題じゃねぇし!てか今日は俺の誕生日だぞ!?これじゃまるで俺が罰ゲーム受けてるみてぇじゃん!」

すると唯はケロッして言った。

「罰ゲームだよ?」

「はぁ!?」

唯の言葉に驚く淳平。

「だって淳平、私の誕生日にプレゼントくれなかったじゃん」

「ケーキ買ってあげただろ!」

「ケーキはプレゼントの内に入りません!よって淳平は罰としてその格好でいること!」

「ううっ…」

(これは罰ゲーム通り越していじめになってるだろ…)

そして淳平は思った。

(唯の誕生日にはちゃんとプレゼントあげなきゃ後でヒドい目に遭うな…)

ピンポーン…

チャイムが鳴った。

どうやらつかさが来たらしい。

「淳平!行ってこい!」

「はぁ…」

淳平は立ち上がった。

(もうこうなりゃヤケクソだ!)

ある意味吹っ切れた感じで玄関に向かう。

「淳平くーん?入っていいー?」

「どうぞー」

「おじゃましまーす…」

玄関のドアが開く。

淳平が言う言葉、それは…

「いらっしゃいませ、ご主人様!」

淳平はそう言って頭を下げる。

唯が持ってきたプレゼント。

それは、真っ白なメイド服だった。

「……は?」

つかさの声が聞こえる。

(つかさ…これには深い事情があるんだ…)

頭を下げながら淳平が思っていると、違う声がした。

「お前…そんな趣味あったんか?」

(ん?この声は…?)

淳平が顔を上げると、そこには呆然としたつかさと隣でケラケラと笑っている大翔の姿があった。

(大翔が来るなんて聞いてねぇよ…)

淳平は泣きたい気分だった。

「笑うな大翔!」

「笑うなって方が無理!アハハハハッ!」

(最悪だ…)

「だって!だって唯が…」

淳平が言い訳をしようとすると、

「唯ちゃんがどうしたの?」

つかさに聞かれた。

(唯のこと言ったらますます唯に何かされそうだな…)

「…いやっ、何でもない」

「とりあえず上がっていいかー?」

大翔はそう聞きながらすでに淳平の横を通り過ぎていった。

「大翔!テメェあとでぶっ飛ばす!」

「やれるもんならやってみー?」

大翔の余裕そうな声が聞こえる。

(あームカつく!)

するとつかさが淳平に近づいてきた。

「淳平くん?今日は泊まっていってもいいかな?」

つかさは小声でそう言うと、淳平のメイド服姿をジーッと見ている。

「お…おう。それよりあんまり見るなよな」

淳平は照れている。

「だってちょっと似合ってるんだもん」

「誉められてもちっとも嬉しくねぇぞ?」

「アハハッ。じゃあ中入ろう?ケーキも作ってきたし!ねっ?」

「あぁ、そうだな」

そして淳平の誕生日会は楽しく?終わっていった。

唯と大翔は帰り、そして後は寝るだけとなり、今はつかさと淳平の部屋で2人っきりになった。

「淳平くん!はい、プレゼント!」

つかさは淳平に小さな袋を差し出してきた。

「おお!サンキューな!中開けていい?」

「うん!どうぞ!」

中を開けるとそこに入っていたのは…

「ブレスレット?」

「そう!私とお揃いのね!」

そう言ってつかさは自分の右腕を淳平に見せた。

「マジ!?ペアリングみたいなやつ?」

「まぁ、そんなとこかな?」

「そっか。大事にするよ」

「それと…後もう一つプレゼントがあるんだけど…」

「ん?まだ何かあるの?」

「うん…」

つかさは頬が紅くなっている。

「つかさ?顔赤いけど大丈夫?」

心配そうに見つめる淳平。

すると、つかさはベッドに横になった。

「淳平くん…きて?」

「…?」

淳平は言われるままにベッドに近づくと、いきなりつかさに抱きしめられた。

そしてそのままベッドに倒れ込む2人。

淳平はつかさから少し離れた。

淳平がつかさに跨っている状態。

「つかさ…?」

つかさの行動に少し戸惑い気味の淳平。

つかさはゆっくりと口を開いた。

「プレゼントは…あたし」

「えっ…」

「淳平くんに…あたしをあげたいの…」

そう言うつかさの顔は真っ赤だ。

「いい…の…?」

淳平の問いに対しコクッと首を縦に振るつかさ。

淳平はつかさに優しくキスをした。

「つかさ…」

「淳平…くん…」

そしてその日、2人は一つになった。


[No.834] 2008/02/21(Thu) 00:19:06
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