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SS五部作 罰ゲーム 第1部 (親記事) - あーまん


「いぇ〜い! つかさの罰ゲーム!!」



泉坂高校のとある教室の昼休み。



女子高生のグループがトランプをしていたようだ。



なにやらそのトランプも終わった模様。



「ちょ!! もう一回やろ?」



その中で必死に再選を望む西野つかさ。



「だめぇ〜 最初に言ったじゃん! 三回勝負だって。」



その申し出を拒絶するトモコ。



「だってぇ・・・」



そしてつかさは落胆してしまった。



「それじゃ〜罰ゲームの『告白』決定ね!!」



そう、つかさは勝負に負けて、罰ゲームをさせられる羽目になってしまったのだ。



遡る事、30分前・・・・



「つかさ〜 大富豪しようよ〜」



「うん!いいよ!!」



トモコの提案から始まり、なんだかんだで五人で大富豪をやることになった。



そして、やり始めたところで、一人の女子が提案した。



「ただやるだけじゃ、つまらないから・・・・ 負けた人は『告白』ね!」



「おぉ〜いいじゃんいいじゃん!!」



「絶対負けないからなぁ!」



会場は熱くなる。 



つかさもそれに乗じて熱くなっていた。



それにつかさは負けるとは微塵も思っていなかった。



何せ、このメンバーでの大富豪では今まで一度も負けたことが無いからだ。



「よっしゃ!! やるわよ〜!!」



こうして、大富豪は始まったのだ。



話を元に戻す。



ついに大富豪の不敗神話が見事に崩れ去ったつかさ。



さっきまでの熱い表情はどこに行ったのだろうか・・・・



今ではすっかり冷めてしまっている。



「誰に告白させようか・・・」



トモコは、勝ち組と話し合っていた。



「ちょっと!! 変な人は止めてよね!!」



せめてもの抵抗を見せるつかさ。



「うるさい! あんたに発言権は無いの!!」



それをあっけなく破るトモコ。



「うぅ・・・・」



もはや、つかさには従うしかなかった・・・・



つかさを退けた勝ち組は、引き続き話を進めている。



「誰がいいだろう?」



「つかさったら好きな人いないからねぇ〜・・・」



「しかも、告白された事はたくさんあるくせに・・・・付き合ったことも無い。」



「まぁ、振られることは絶対無いからなぁ〜・・・」



西野つかさという人物は非常にモテる。


その容姿に惹かれて、今までかなりの男子が告白してきた。



しかし、つかさは興味ないのか、今までバッサバッサと振ってきたのだ。



以前トモコが聞いたことある。



「つかさって、男に興味ないの?彼氏とは欲しくない訳?」



するとつかさはこう答えた。



「欲しくなくは無いけど・・・」



「だからって、好きでも無い人と付き合う訳無いじゃん。」



この言葉に、トモコはかなりの衝撃を受けた。



とにかく、つかさはかなりの男子から告白を受けてきたのだ。



それも、カッコいい男子ばかり。



そんなつかさだけに、話はヒートアップする。



「つかさの好みって良く分からないからね〜」



「きっと生半可なカッコよさじゃダメなんだよね。」



「大草君は・・・・ダメダメ! あたし達の憧れがつかさに取られちゃう。」



「そうすると天地君もダメでしょ・・・・」



好き勝手に話を進める勝ち組。



カッコイイ人には告白させたくないらしい。



なにせ、つかさだと100%OKされるからである。



「かと言って、小宮山みたいな奴だとさすがに可哀相だよね・・・」



「う〜ん・・・・」



かなり悩んでいるようだ。



(もうどうにでもなれ!!)


そんな中、つかさは自暴自棄になっていた。



「あ!! あいつがいいんじゃない?」



女子の一人が良い人を見つけたようだ。



「だれだれ?」



「小宮山と大草君といつも一緒に居るやつ・・・ 真中淳平!」



「「「あぁ〜!!!」」」



「いいね!!いいね!」



「無難〜無難〜」



よほど手ごろなのか、全員一致したようだ。



「つかさ!」



トモコが呼んだ。



「それで・・・決まったの?」



恐る恐るつかさはトモコに尋ねる。



トモコはニヤっと笑い。



淳平の方へ指差した。



「あいつ!! 真中淳平!!」



そう言われてつかさは淳平の方を見る。



淳平は、大草・小宮山と楽しそうに話していた。



(普通な人だな・・・)



特に何の感情も湧かなかった。



むしろ、よく淳平の事を知らないだけに少しだけ怖かった。



「今日の放課後あいつに告白すること!!」



「そして、必ず二週間は付き合うこと! 毎日下校は一緒にすること! デートは最低1
回はすること!」



トモコが得意げな顔をして言ってきた。



つかさはその場でため息をして



「ねぇ・・・本当にやるの?」



と、トモコに取り消しの意味を込めて聞いた。



「もちろん!」



当然のごとく却下するトモコ達。



「はぁ〜」



今度は声にだして、ため息をするつかさだった。









キーンコーンカーンコーン



6時間目の終わりのチャイムが鳴った。



みんながガサガサと帰り支度を始める。



淳平も帰り支度を始めているようだ。



そして、みんな帰り始めた。



つかさはそんな淳平をずーっと横目で見ていると。



「ほら!! さっさと行って来る! 帰っちゃうよ?」



とても楽しそうな表情を浮かべた、勝ち組がやってきた。



「分かってるわよ!」



投げやりになるつかさ。



そして、つかさは席を立ち、淳平の方へ向かっていった。



「ガンバレヨ〜」



勝ち組はニヤケながらつかさに手を振っている。



(あいつら・・・いつか絶対仕返ししてやるんだから!!)



そう思いながら淳平に声をかけた。



「あの・・・真中くん?」



「何?」



呼ばれて振り向く淳平。



その顔は少し赤くなっている。



なんせ、美少女・西野つかさに声をかけられたのだ。



「話があるんだけど・・・ちょっと来てくれる?」



「いいけど・・・」



そう言うと、つかさは真中を校庭に連れ出した。



その間、何人の人に見られたことか・・・・



見る人見る人淳平・つかさという、異色な2ショットに目を丸くしている。



「で、話ってなんなの?」



校庭に着いた淳平は、つかさに聞いた。



(はぁ〜 何で告白しなきゃいけないんだろう・・・)



内心でそう思いながらも、笑顔を作って



「あのね・・・ あたし・・・」



「君のことが・・・ずっと好きだったの・・・」



「え!?」



突然のことに戸惑う淳平。



無理も無い、あの西野つかさからの突然の告白だからだ。



「だから・・・付き合って欲しいな・・・って。」



教室から勝ち組がニヤニヤしながら見ている。



「えっと・・・その・・・」



淳平は上手く言葉が作れないようだ。



(もう・・・なんであたしが・・・・)



返事を待つ間、つかさは更に不機嫌になっていた。



「・・・・俺なんかで良かったら・・・」



ついに淳平が返事をした。



その姿はとても嬉しそうだ。



「本当に!! ありがとう!!」



つかさは笑顔を作り喜んでみせる。



「じゃあ、さっそく一緒に帰ろ?」



つかさが上目遣いで淳平に聞くと



「あ・・・うん・・・」



緊張しながら答える淳平だった。


[No.754] 2008/02/02(Sat) 02:09:02
SS五部作 罰ゲーム 第2部 (No.754への返信 / 1階層) - あーまん



「西野ってさ、本当に俺のこと好きなの?」



帰り道、二人は並んで話しながら帰っていた。



そんな時の突然の淳平の言葉。



(好きじゃない・・・・)



つかさの本心はこれである。



しかし、罰ゲームなので



「もちろんだよ! 何言ってるのさ!!」



と、本心とは裏腹の言葉を必要以上に強く言ってしまう。



罰ゲームは、必ず実行しなければならない。



鉄の掟である。



つかさ達にとって、鉄の掟を破ることは『恐怖』そのものである。



何をされるかは分からない。



故に、『好きな相手と別れたくない』という意味での強調ではなく、『罰ゲームを破ったら怖い』という意味での強調である。



「ふ〜ん・・・俺にはそう見えないんだよね・・・」



淳平は少し悲しげになる。



「そんなこと無いよ!!」



と、つかさは再び否定する。



「なんかさぁ、俺のこと好きって言った割には、全然嬉しそうじゃないし、何か別のこと考えてるっていうか・・・」



「そう見えるんだよね。」



「だから・・・もし、何かの事情があって、無理に告白したりしたんだったら、まだ訂正出来るからさ。」



淳平は真剣な表情でつかさの顔を見つめる。



(やば・・・顔に出ちゃったのかな・・・)



そんなことを思いつつ、やはり罰ゲームが怖かった。



(ちょっと大胆かもしれないけど・・・)



するとつかさは、淳平の胸に飛び込んで抱きしめた。



その途端淳平の顔が赤くなる。



「ちょ・・!? 西野!?」



「これでも分かってくれない?」



つかさは淳平の胸に顔を埋めたまま聞く。



「あたし、本気なんだから・・・ 淳平くんの事大好きなんだから・・・」



少し涙交じりの声で淳平に訴えるつかさ。



もちろん演技である。



しかし、その演技は淳平には十分効果があったようだ。



「わ・・・分かった・・・信じるから・・・」



しどろもどろにあせる淳平。



それを聞くとつかさは、淳平から離れてニコっと笑いかける。



「ご・・・ごめん、疑ったりして・・・・」



淳平は素直に謝った。



「いいよ。 分かってもらえたからさ。」



つかさがそう言うと、二人はまた歩き出した。



そうしている内に、つかさの家の前に着いた。



「あ、ここがあたしの家だよ。」



「へぇ〜、デカイなぁ〜 俺の家とは大違いだ。」



「アハハ〜 そうなの〜?」



「俺んちなんてさ・・・・・」



いつの間にか自然と会話が多くなっていた。



つかさの家の前で二人でしばらく話していた。



「それじゃ、ばいばい〜」



「また、明日〜」



そう言って二人は別れ、つかさは家の中に入ろうとすると



「ちょっと待ちな!」



と、不意に声をかけられた。



つかさは、その声の方へ顔を向けると・・・



「ト・・・トモコ達!?」



勝ち組がいたのだ。



「やっほーつかさ♪」



ニヤニヤしながらつかさの方へ歩み寄って来る。



「ちょ・・・あんた達着いてきてたの!?」



つかさは、とても焦る。



なぜなら、さっきのシーン・・・



淳平に抱き付く『演技』をしたシーンを見られたのかと思ったのだ。



「もちろん! こんな楽しい事は滅多に無いからね〜」



「しかも、初日から熱いシーンを見せ付けてくれちゃってさ〜」



「案外つかさ・・・」



勝ち組はとても面白そうである。



「ちょ!! あれは演技よ演技!!」



激しく否定するつかさ。



「罰ゲームなんだから本気にしないでよね!!」



顔が本気になっている。



「こっちだってやりたくてやってるんじゃないんだから!」



半ばキレているようだ。



「分かってるって!」



そんなつかさに対してなだめるトモコ。



「からかっただけだよ〜 本気になるなって。」



勝ち組は苦笑している。



「もう・・・ あと二週間なんだからね!」



「はいはい、分かってます。」



からかいに来たつもりがどうやらつかさを怒らせてしまったらしい。



勝ち組はこれ以上、つかさを刺激してはいけないと思ったのか



「じゃ・・・あたし達帰るわ。」



と、言ってそそくさと帰っていった。



(もう・・・あいつらめ・・・)



(でも、淳平くんって案外話しやすかったな。)



そう思うとつかさは家の中に入っていった。







そして次の日・・・・



「つかさちゃん!!」



「つかさちゃん!!なんであんな男なんかと!!!」



「つかさちゃん!」



「つかさちゃん!!」



「つかさちゃん!!!・・・・・」



当然のごとく、学校中で話題になっていた。



つかさはいろんな男に付きまとわれ、質問攻めに遭っていた。



(もう・・・だから嫌なんだよね!!)



と、内心思いつつも罰ゲームの事は言えるはずも無いので



「うるさいなぁ〜 あっち行ってよ!!」



としか言えなかった。



淳平の方ももちろん大変である。



「真中ぁ!!! よくもつかさちゃんを!!!」



「なんで真中なんだよぉ!!!」



「しっかし、西野さんも物好きよねぇ〜」



などなど、どうやら淳平はひどいことを言われていた。



それもまぁ、当然といえば当然である。



真中みたいな冴えない普通の少年が、学年1のアイドルと付き合うのである。



誰がどう考えたっておかしい。



淳平はただ、頭をかきながら苦笑いをしていた。






そして、再び放課後・・・・



昨日のように二人で帰る。



「今日は大変だったな。」



淳平が話を始めた。



「そうだね〜 あたしなんか男に囲まれちゃって・・・」



「ははは・・・そりゃー西野はモテルからな。」



「そんなこと無いよ〜」



「俺なんかさ、『なんで真中なんかと・・・』なんて言われちゃって・・・・」



「アハハ・・・ひどーい。」



二人して笑い合う。



昨日に比べて、大分会話が自然になっていた。



つかさ自身気づいていないのだが、つかさからも積極的に話題を振るようになっていた。



どうやら、昨日の家の前での会話が相当効いたようだ。



しかし、それでも・・・



(あ・・・そうだ、デートしなきゃいけないんだっけ・・・)



(面倒だなぁ・・・・)



と、あくまでつかさは罰ゲームの上でのことだった。



「ねぇ!淳平くん。」



つかさが話を切り出した。



「何?」



淳平が答える。



「明日ってさ、ほら、学校休みじゃない?」



「うん。」



「だからさ、デートしない?」



つかさが提案すると・・・



「デ・・・デートォォォ!?」



ひどく驚く淳平。



「な・・・なんだよ! あたしとデートしたくないのか!?」



少し不満に思ったのか、声を荒げるつかさ。



そんなつかさに淳平は焦ってしまう。



「いや・・・ちょっと・・・驚いてしまって・・・」



「滅相もございません・・・・ デートしたいです。」



何故か敬語になる。



(ぷ・・・この人面白いなぁ・・・)



と、思いつつ



「じゃあ、明日の10時に家の前集合でいい?」



と、言った。



「うん・・・分かった。」



と、淳平は顔を赤くして答えた。



そうしている家に、つかさの家の前に着く。



「じゃあ、明日・・・・」



そう言うと淳平は帰っていった。



つかさはその場で両腕を上に上げて、背伸びすると。



「さぁ〜て、明日、頑張ろ・・・」



と、言って家の中に入っていった。



その顔は晴れやかだった。



つかさは、自分でも気づいていないが・・・・



つかさの中で確実に、少しずつ、何かが変わっていった。


[No.775] 2008/02/05(Tue) 02:33:39
SS五部作 罰ゲーム 第3部 (No.775への返信 / 2階層) - あーまん



「遅いなぁ〜 淳平くんは・・・」



只今の時刻10時15分。



集合時刻は10時である。



しかし、淳平はまだつかさ家に来ていなかった。



(デートで遅刻するなんて・・・ 最低だし・・)



(しかも普通は時間前に来るだろ!)



時間どおりに来ない淳平に対しイライラするつかさ。



ただでさえ好きでもない相手とデートするだけでも嫌なのに、おまけにその相手が遅刻したのである。



そして、一向に現れる気配はない。



(たっくも〜 何なのよ!)



さらにつかさはイライラする。



そして、つかさは淳平を探すためにその辺を歩き出した。



そして、すぐ側の角を曲がったところに淳平の背中を見つけた。



それを見た瞬間、つかさは声をかけようとする。



「こら!じゅんぺ・・・」



しかし、それ以上は言えなくなってしまった。



と言うのも、淳平のとある行動を見て何も言えなくなってしまったのである。



「うぇ〜ん、うぇ〜ん・・・・」



小さな子供が淳平の前で泣いている。



「どうしたの??」



つかさが見た淳平は、しゃがんで優しく子供に話し掛けていた。



「グスン・・・お母さんの誕生日プレゼント買おうと思って・・・・5000円貯めたのに・・・」



「・・・その5000円行く途中で落としちゃって・・・グスン」



「6ヶ月、お小遣い貯めたのに・・・うわぁ〜ん・・・」



そう言うと、子供はその場で再び泣き出した。



淳平は、優しく子供の頭を撫でながら



「よしよし、偉いな〜君は。」



「お母さんの誕生日プレゼントに半年もお金貯めたなんて・・・」



そう言うと、淳平は自分のポケットから財布を取り出し



「ホラ、君の落とした5000円。」



と、泣いている子供の手に5000円札をのせた。



子供はびっくりし



「え!?・・・これ・・」



と、淳平に尋ねる。



「さっき、そこで拾ったんだよ。」



「ラッキーと思って、ネコババしてやろうと思ったんだけどさ。」



「君があまりにも偉いから、返さなきゃ!」



そお言うと、淳平はニコっと笑いかけた。



それを見ると子供は、たちまち笑顔になり



「ありがとう!お兄ちゃん!」



そう言って、走って道を行ってしまった。



「もう落とすなよ〜」



淳平は大声で子供を見送った後、ふとため息を着く。



「はぁ〜 今日のデート資金が・・・」



つかさは、見とれていた。



そして、何故か自分の胸の心拍数が上がってくる。



胸がきゅんと締め付けられる。



(淳平くん・・・自分の5000円あげたんだ・・・)



(何・・・?この気持ち・・・)



その場で思っていると、淳平がこっちの方へ向かってきた。



つかさも慌てて自分の家の前まで戻る。



「はぁ・・・はぁ・・・」



少し走ったので息が切れてしまった。



「ヤバイ・・・何て言っていいか・・分からない・・」



つかさは、さっきの光景に衝撃を受けていた。



もはや、淳平が遅刻したなんでどうでも良くなった。



淳平の行動に、ただただ圧倒されていたのだ。



そして、淳平が来た。



「ごめん! 寝坊しちゃって・・・・」



そういう淳平の顔は本当に申し訳なさそうである。



つかさは淳平の顔を見る。



すると、すぐに自分の顔が熱くなるのが分かった。



(え!? 何!? この気持ち・・・)



つかさの中にある想いが芽生えかかったのだ。



「西野?」



不思議そうに淳平はつかさの顔を見る。



つかさはハッと我に返り



「あ・・・うん・・大丈夫だよ・・・」



と、一言言うと、ニコっと笑顔を作った。



「んじゃ、行こ!」



そういうとつかさは歩き出す。



「あ・・・うん。」



淳平も慌ててつかさの隣に並ぶ。



「あのさ・・・」



「遅刻したこと怒らないの?」



淳平が恐る恐る聞いてきた。



(怒る訳無いじゃん・・・)



と、思いながら



「怒ってないから大丈夫だよ。」



「遅刻は誰にでもあるからね!」


と、明るく言った。



淳平は、つかさの予想外の言葉にびっくりしたのか



「あ・・・ありがとう・・・」



ドモってしまった。



そして、つかさは再び笑顔を作り



「じゃ、映画館行こ!」



と、言って、二人は映画館に向かった。












映画を見終わり、ゲームセンター行ったり、ボーリングしたりで、夕方になった。



「あ〜楽しかった!」



(淳平くんと一緒だと楽しいなぁ・・・)



つかさは、心底そう思った。



「本当に? それは、良かった。」



笑顔になる淳平。



「うん! 今日はありがとね!」



つかさも笑顔で返す。



すると、淳平が



「あのさ、西野に見せたい欲しい場所があるんだ。」



「だから、付いてきてくれないかな?」



と、言ってきた。



「いいよ〜」



つかさは、即座に答える。



それを聞くと淳平は、ほっとした様子で



「良かった〜 じゃ、ちょっと付いて来て」



と、行って歩き出した。



(どこ行くんだろう?)



そう思いながらもつかさも黙って付いて行った。















歩くこと20分、場所は人気の無い場所になり、しかも林の中を歩いていた。



つかさは、段段と不安になってきた。



(ちょっと〜 何所まで行くのよ〜)



そう思いながらも、淳平は黙って歩いていく。



「ちょっと、何所まで行くの?」



つかさが、そう尋ねると、



「もうすぐなんだ。 だから、もうちょっと頑張って。」



と、それだけ言って、また黙って歩き出した。



(しょうがない・・・頑張るか・・・・)



つかさはそう思いながら頑張って付いていった。





更に歩くこと10分。



先に行く淳平の足が止まった。



そして、淳平はつかさの方へ向き



「着いたよ。」



と、笑いかけた。



そして、つかさは淳平に追いつくた瞬間、



「奇麗・・・」



それだけ言って、言葉を失った。



辺りはもう真っ暗、場所は小高い丘の上、自分たちが住んでいる町が下に見える。



その町の家一軒一軒の光が、見事なイルミネーションを作っていた。



そして、上には澄んだ空にある夜空が広がっている。



なんとも美しい景色である。



つかさは、見とれてしまっている。



「いい景色だろ。」



淳平が話し掛けてきた。



「うん・・・」



それだけしか言えなかった。



「ここは、俺だけの秘密の場所なんだ。」



「この俺たちが住んでいる町って、こんなにも奇麗なんだぜ?」



「凄いよな。 普段は何とも感じない、場所なのに上から見るとこんなに奇麗なんだ。」



「西野にも見て欲しかったんだ・・・俺の好きな人だから・・・」



淳平は真剣な表情で話している。



「うん・・・凄い奇麗・・・感動するよ。」



つかさは淳平の横顔を見ると、ドキドキするのが分かった。



「そう!感動するんだよな!!」



淳平は少し強めの声を出した。



「西野にしか言わないけど・・・」



「俺の夢は映画監督になることなんだ。」



「こんな風に、人を感動させたり・・・・ドキドキさせたりしたいんだ。」



そう言う淳平の顔はとても輝いていた。



(ドキドキしてるよ。淳平くん・・・)



(あたし・・・本気でこの人を好きになっちゃったかも・・・・)



つかさは、さらに胸の鼓動が激しくなっていた。



「成れるよ・・・・淳平くんなら・・・」



本当に思った言葉。



「そ・・・そうかな?」



淳平は苦笑しながらも照れている。



「絶対成れるよ!淳平くんなら!!」



再びつかさは、強調した。



もはやつかさの顔は演技なんかではない。



本気の顔である。



「あ・・・ありがとう・・・」



「西野にそう言われると嬉しいよ・・・」



「じゃ、帰ろうか?」



淳平がそう言うと



「そうだね・・・でも、またここに来ようね!」



笑顔で言った。



「そうだな! また来ような!」



淳平がそう言うと、二人は帰って行った。


[No.810] 2008/02/14(Thu) 00:28:56
SS五部作 罰ゲーム 第4部 (No.810への返信 / 3階層) - あーまん




「淳平く〜ん!! ごめんね! 待ったでしょ?」



つかさが、小走りで校門で待つ淳平のところに寄って来る。



「そんなこと無いよ。 俺も今来た所。」



「・・・嘘・・」



そう言うと、つかさは淳平の手を掴む。



「へ!?」



焦る淳平。



「だったら、何でこんなに手が冷たいのかな〜?」



上目遣いで淳平を見るつかさ。



「え〜っと・・・それは・・・」



左手で頭をかく淳平。



「もう、本当に嘘つきなんだから・・・淳平くんは・・・」



「そのくらい本当の事言えばいいのに・・・」



少し、つかさの顔が暗くなる。



「ご・・・ごめん・・・」



同じように顔が暗くなる淳平。



「ま、そんな所が淳平くんの良い所なんだけどね!」



さっきとは一変して笑顔になるつかさ。



そして、淳平の手を握る。



「ちょ・・・西野!?」



顔を赤くし、再び焦る淳平。



つかさはクスっと笑い



「いいじゃない。 ほら!帰るぞ〜。」



と、言って淳平を引っ張って行く。



「強引だなぁ・・・」



淳平が呟くと、途端につかさは淳平を睨む。



「なんか言った!?」



「いえ・・・滅相もございません・・・」



「よろしい! じゃあ、行くぞ!」



そう言って仲良く帰っていく二人だった。



誰がどう見てもとても仲がよい二人。



明日でちょうど付き合ってから二週間。



罰ゲーム期間は二週間である。



期間の最終日。



その事に気づかない勝ち組ではない。



勝ち組はその光景をもちろん見ていた。



「なんかさ〜 つかさと真中って随分自然に成ったよね〜」



「もしかして、つかさ本気になっちゃってたりして・・・」



「んな訳ないじゃん〜 演技に決まってるわよ。」



「アハハ・・・そうだよね!」



「ついに明日つかさが振るのか・・・」



明日の事で盛り上がる勝ち組。



しかし、ただ一人トモコは、話に加わることなく真剣な表情で校門をずっと見ていた・・・・











そして翌日の昼休み。



勝ち組は教室のドアの前でつかさと話していた。



「つかさ〜二週間お疲れ〜!」



「大変だったでしょ?」



「放課後振るんだよね?」



楽しそうにつかさに話し掛けてくる。



(まだ、言えないなぁ・・・)



つかさは言いにくかった。



自分の本当の気持ちを。



「う・・・うん。」



だから、生返事で答えるしかなかった。



「しっかし、真中もいい夢見させてもらったよね〜」



「そうそう。 なんせ、学年ナンバー1アイドルと付き合えたんだから!」



「むしろ、感謝してほしいって感じ?」



好き勝手に騒ぐ勝ち組。



「もしかして・・・・つかさ本気になってたりして?」



「そ・・・そんな訳無いわよ!!」



「罰ゲームなんだから!」



つい、条件反射的に反応してしまう。



その瞬間・・・・



ドスン!!



廊下から人が転ぶような音がした。



「なんか音したよね?」



「なんだろなんだろ〜」



そう言って、グループは廊下を見る。



しかし、誰も居なかった。



「なんだ・・・気のせいかな?」



「まぁ、いいや。」



「じゃ、つかさ! お疲れ様〜。」



そう言うと、勝ち組は席に戻っていった。



しかし、トモコは残っていた。



「どうしたの?」



つかさは、トモコを見る。



すると、トモコはつかさの事を見返し、



「あんた・・・真中のこと本気で好きになったんでしょ?」



と、言った。



「!?」



その言葉に敏感に反応するつかさ。



「やっぱねぇ〜」



その反応を見て、笑うトモコ。



「親友には分かるのだよ。」



つかさは顔を赤くして



「・・・まだ、誰にも言わないでよ?」



と、トモコにお願いをする。



「分かってるって!」



「でも、まぁ〜つかさも物好きだね〜」



そう言って、トモコはつかさをからかう。



「もぉ〜 別にいいでしょ!!」



つかさは顔赤くしてトモコに喰らいつく。



「はいはい・・・あたしも席に戻りますよ。」



そう言って、トモコも席に戻っていった。



「もう・・・」



つかさは、ため息をつきながらも笑顔だった。











そして放課後・・・・



(やば・・・今日も遅くなっちゃった・・・)



小走りで校門に向かう。



そして淳平を見つけると自然に笑顔に成っていく。



「ごめん!! 待った?」



そう言うと、つかさは次の淳平の言葉を予想する。



(また、今来た所って言うんだろうなぁ)



そう思ったのだが、今日は違った。



と、言うよりも淳平は何も言わなかった。



つかさは不信に思い。



「もしも〜し!」



と、言った。



しかし、それでも淳平は反応しない。



(どうしたのよ〜)



と、思い。



「コラ!淳平くん!!」



と、強く言う。



すると、淳平はゆっくりとつかさの方へ顔を向ける。



しかし、その顔はとても悲しそうだった。



そして、淳平は口を開いた。



「・・・言ったじゃん・・・」



「え・・・?」



淳平から発せられた言葉。



つかさには理解出来なかった。



がしかし、どんどん不安な気持ちが込み上がってくる。



「まだ訂正出来るって言ったじゃん・・・」



(どういうこと?)



つかさはまだ理解が出来ていなかった。



しかし、次の言葉で、つかさは完璧に理解する。



「罰ゲーム・・・なんだろ・・・?」



「!?」



一気につかさは焦る。



何故淳平が知っているのか。



この事は、大富豪をやったメンバーしかしらないはずである。



(ばれたの!?)



(でも・・・何所で!?)



すると、つかさに心当たりが出てきた。



(あの時・・・昼休みの時・・)



(人が転んだような音・・・)



「今日の昼休み聞いちゃったよ・・・」



図星だった。



淳平に聞かれたのである。



(嘘・・・・)



出来るならば、このまま知らないでいて欲しかった。



しかし、もう遅い。



「何で言ってくれなかったの・・・?」



「え・・・?」



「罰ゲームだって、知ってたら俺だって協力したのに・・・」



「本気で好きなんかにならなかったのに・・・」



淳平の顔はとても悲しそうである。



「そ・・・それは・・・」



つかさは反論したいのだが、いい言葉が全く思い浮かばない。



「なんか・・・馬鹿だったな俺。」



「一人で浮かれて、一人ではしゃいで・・・」



「西野は俺のことなんか全然好きじゃないのにな。」



淳平は苦笑いする。



つかさはもはや何も言えない。



何て言っていいか分からない。



ただ・・・ただ・・・淳平の顔しか見れない。



「すると・・・なんだ・・・」



「俺は、西野と両思いだとばかり勝手に勘違いして・・・自分の夢語ったり・・・秘密の場所なんか教えたり・・・」



「デートだってしたくてした訳じゃないんだよな?」



「仕方なくしたんだよな?」



(違うの・・・あたしは・・・本当に・・・)



心では、思えることが言葉にでない。



「だいたいさぁ〜、俺なんかが西野なんかと付き合える訳ないんだよな。」



そう言って淳平はつかさに背を向けた。



その途端、地面に涙が落ちた。



「良く考えれば分かることなのに・・・・」



「俺・・・本気で信じちゃって・・・」



「馬鹿だよな・・・本当に・・・」



「じゅんぺ・・・」



つかさは声をかけようとした瞬間。



「お疲れ様でした!」



淳平がその場で大きな声を出して遮った。



「二週間お疲れ様!」



顔だけつかさの方へ向き、ニコっと寂しく笑いかけた。



そして、顔を前に向けると、



「俺だって・・・結構傷ついたんだぜ・・・」



「好きだったのに・・・・本気で好きだったのに・・・」



独り言のようにその場で言うと、



「じゃあな!」



そう言って、走って行ってしまった。



(淳平くん・・・)



(淳平くん・・・・・・)



(あたし・・・淳平くんをすごい傷つけた・・・)



つかさはその場でひざまずいてしまった・・・・



堪えてた涙がどんどん溢れてくる。



「ヒック・・・嫌だよ・・・淳平くん・・・嫌だよぉ・・・」



「あたしだって・・・本気になったのに・・・」



「別れたくないよぉ・・・・ヒック」



「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・淳平くん・・・」



その場で人目も気にせず泣いてしまった。


[No.816] 2008/02/16(Sat) 23:02:46
SS五部作 罰ゲーム 第5部 (No.816への返信 / 4階層) - あーまん

「淳平くん・・・」



教室で元気なく机にうなだれているつかさ。



あれから一週間経った。



つかさと淳平は一言も話していない。



というより、淳平がつかさのことを避けているのだ。



つかさと淳平がはち合う時、淳平はつかさの顔を見ようとしない。



そしてつかさもそんな淳平の顔を見れないのである。



つかさは、何度も淳平に声をかけようとするのだが、淳平を見ると勇気が萎んでしまう。



大好きな相手に嫌われたり無視されるととても悲しいものだ。



しかし、実際につかさは淳平に対してひどい事をした。



この出来事は当然学校中に知れ渡った。



「おい、聞いたかよ!」



「真中と西野さん別れたらしいぜ?」



「あぁ、知ってる。」



「しかも、罰ゲームで西野さんがしょうがなく真中に付き合ってたんだろ?」



「そうそう! だよな〜 真中なんかが西野さんとまともに付き合えるわけないんだよな〜」



「俺にもチャンスが回ってきたぜ!!」



「おまえには無理だよ・・・」



こんな感じの会話が学校中で響き渡っていたのである。



もちろん、こういった会話は淳平の耳に届く。



そして、再び淳平を傷つける結果になるのである。



また嫌なことにつかさは、別れたとなると当然のごとく男がやってくる。



しかし、つかさはもう他の男の事なんか考えられなかった。



つかさは、後悔の念と謝りたい気持ちでいっぱいだった。



(淳平くん・・・ごめんなさい・・・)



心ではもう数え切れないほど唱えている言葉なのだが、ただ一回も淳平には伝えられないのだ。



すっかり元気を無くしたつかさだった。













そして、ある日の学校の放課後。



つかさは、やはり元気の無いままだった。



そんなつかさを見かねてかトモコがやってきた。



「つかさ!」



「トモコ・・・」



元気の無い顔をトモコに向ける。



「どうしたの? 最近元気ないみたいだけど・・・・」



「・・・・・・」


つかさはなかなか口を開こうとしない。



しかし、トモコには分かっていた。



「真中のことだろ?」



トモコの口からそう放たれるとつかさビクンと反応した。



「罰ゲームでしょうがなく付き合ったのに、付き合っていくうちに本気で好きになっちゃって、幸せになってたのに、罰ゲームって事がばれて、別れちゃったってとこでしょ?」



「うん・・・・」



ようやくつかさが声を出した。



「それで、つかさはまだまだ真中の事が大好きで、別れたくなかったってとこか。」



「うん・・・・」



再び元気なく頷く。



「それじゃあ・・・」



「こういうのはどう?」



「つかさが、真中に体で迫るの! つかさの魅力を持ってすればたいていの男なんてイチコロだよ!」



当然トモコは冗談で言ったつもりだ。



いつものつかさなら



「いやねぇ〜 トモコったら!」



と、冗談で返してくるはずである。



当然そう言って来ることを予想していたのだが・・・



つかさの口から思ってもみなかった言葉が出た。



「・・・・そうだね・・・やってみようかなぁ・・・」



(!?)



当然びっくりするトモコ。



「ちょっと・・・マジで言ってんの?」



思わず聞いてしまう。



「うん・・・」



そう言うつかさの顔は真剣そのものだ。



冗談とかそういった意味の顔ではない。



しかしトモコは、実際にそんなことをやって欲しい訳ではない。



当然、冗談である。



「ちょっと、そんなことで男捕まえたって、幸せになれる訳無いじゃん!」



「あたしが言ったのは冗談だよ。 真剣に考えないでよ!!」



少しムカッとしたのか、強く言ってしまった。



その瞬間つかさは泣き出してしまった。



「・・・グスン・・・だって・・・」



「だって・・・どうすればいいの・・?」



「どうすれば・・・また仲良くなれるの・・・?」



「分かんないよ・・・ヒック・・・」



「淳平くんとまた仲良く成れるなら・・・体だって使ったっていいよ・・・」



「グスン・・・」



つかさは本気で泣いてしまった。



(あんた・・・・そこまで真中のことを・・・・)



だったら、言ってやれることは一つだ。



「つかさ!」



泣いているつかさに向かって強く言う。



「真中と話してきな!!それが一番だよ!」



そう言うとトモコは立ち上がり、



「じゃ、帰るから。」



と、言って扉を開けて出て行ってしまった。



しかし、トモコは、



(つかさ・・・頑張れよ。)



と、思った。



しばらくその場で泣きつづけるつかさ。



しかし頭の中ではトモコに言われたことを反復させていた。



(淳平くんと話すのが1番・・・・)



(・・・そうだよね・・・)



(話さなきゃダメだよね・・・・)



(今まで、結局話せないで居たのは・・・・あたしが逃げてたからなんだ・・・)



(逃げちゃ・・・ダメだよね・・・)



そう思うと、つかさは席を立ち、右腕で涙を拭いて走って教室から出て行った。



















ピンポーン



とあるマンションの一室のチャイムが鳴る。



「はぁ〜い。」



ガチャ・・・・



ドアが開いた。



「あれ? あなたは・・・」



「淳平くんと同じ高校の西野つかさという者なのですが・・・・」



「淳平くん居ますか?」



ここは、淳平の家の前。



つかさはあれから走ってここに来ていたのだ。



淳平に想いを伝えるために・・・・



「淳平ね! ちょっと呼んでくるわね。」



淳平の母はそう言ってドアを一旦閉めた。



(淳平くん・・・来てくれるかなぁ・・・)



そう思いながら不安に刈られるつかさ。



今はもう冬である。



それに雪が降ってもおかしくない季節だ。



つかさは、両手を息で暖めながら待っていた。



すると中から小さいが声が聞こえた。



「淳平!! 西野つかさって子が見えてるわよ〜」



淳平の母の声である。



つかさはその声を聞いた途端、全身が身振るいがした。



しかし・・・つかさは耳を澄ますもののなかなか返事が返ってこない。



しばらくの沈黙・・・・



「居ないって言っといて!!」



・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



(やっぱり・・・・・)



一気に力が抜けてしまった。



中で、何か揉めているがもはや聞こえなかった。



しばらくして、淳平の母が出てきた。



「ごめんねぇ・・・ なんか、あの子会いたがらないみたいで・・・」



申し訳なさそうに淳平の母が言うと、つかさは笑顔で



「いいんです。 突然押しかけてすみませんでした。」



と言って、つかさはマンションを降りていった。






















時刻は11時30分。



「ふぅ〜、終わったぁ〜」



淳平は、珍しく学校の宿題をやっていた。



普段は、全くといっていいほどやらないのだが、何故か今日はやる気になったのだ。



「やれば出来るじゃん俺!」



しかも、結構出来たらしい。



「さて寝るかなぁ〜」



淳平はそう言って、机から立ち上がり電気を消した。



すると・・・・



「何だ?この音・・・」



何かの音が聞こえた。



キーコーキーコー・・・・



(ブランコ?)



そう思うと、淳平は窓を開けて公園の方を見た。



(誰か居る!?)



淳平は目を凝らす。



すると、雪の中ブランコをこいでいる金髪の女子が見えた。



(・・・・・西野!?)



そう思った瞬間、淳平は走り出していた。
















つかさは一人ブランコをこいでいた。



ただ漠然と何も考えていないまま。



というよりも何も考えられなかった。



ただひたすらブランコをこぐだけのつかさ。



すると突然・・・・



「西野!」



名前をふと呼ばれた。



つかさは声の方向へ顔を向けると・・・・



息を切らした淳平が立っていた。



「淳平くん・・・・」



「何してんだよ! こんな所で!!」



「風邪でも引いたらどうするんだよ!!」



淳平は本気で怒っているようだ。



つかさは、顔を下げた。



そして・・・



「あたし・・・・淳平くんが好き・・・」



そう言うとつかさは顔を上げた。



淳平の顔を見る。



ひどく驚いていた。



しかし、すぐに険しい顔になり、



「なんだよ!! またからかいに来たのかよ!!!」



声を荒げた。



「まだ満足してねぇのかよ!」



かなり怒ったようだ。



しかしつかさは表情を変えずに



「お願い! 聞いて!!」



そう今まで、自分でも出したことの無いような声を出した。



「・・・・・・」



その迫力に何も言えなくなる淳平。



つかさは再び淳平に顔を向ける。



雪が降る中、淳平の目をぐっと見つめる。



「ごめんね・・・・」



「確かに・・・・淳平くんに告白したのは罰ゲームだよ・・・・」



「初めは、二週間付き合って、さっさと別れちゃおうと思ってたんだけど・・・」



「でもね・・・ 淳平くんと付き合っててね・・・ どんどん淳平くんの良さが分かってきてね・・・」



「5000円落とした小さい子供に自分の5000円あげたり・・・・」



「自分の夢に向かって突き進んでたり・・・・」



「他のカッコだけの男子には無いような所ばかり持ってて・・・」



「あ、こんな人も居るんだな〜 って、思ったの・・・・」



「そうしていく内にね・・・ すっかり、淳平くんに心奪われる自分が居たの。」



「罰ゲームの事は、このままじゃいけないとは思ってたんだけど・・・」



「なかなか言い出せなくて・・・・」



淳平は黙って下を見ながら聞いていた。



その体はピクリとも動かない。



つかさは話を続ける。



「でね・・・あの時は罰ゲームだったけど・・・」



「今度は違う。」



「あたしの本気の想い。」



「もう一度、あたしを淳平くんの彼女にしてください!」



「恋人として、付き合ってください!!」



つかさは言い切った。



お互い少しも動かない。



・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



しばらく沈黙が続いた。



(淳平くん・・・・)



つかさはどんどん不安になっていく・・・・



すると・・・淳平が口を開いた。



「冗談じゃねえよ。」



一言。



それだけだった。



(やっぱり・・・)



つかさは覚悟はしていた。



しかし、やはり落ち込んでしまう。



目に熱いものが溜まってくる。



しかし、淳平の前で見せるわけにはいかない。



つかさは出来るだけ笑顔を作り



「そ・・そうだよね・・・」



「当たり前だよね・・・・都合が良すぎるよね・・・」



「じゃ、あたし帰るね・・・本当にごめんなさい・・・」



そう言って、淳平に背を向け駆け足で公園を出て行った。





















公園を出て歩くつかさ。



(あ〜あ、やっぱりなぁ・・・)



(当然だよね・・・)



深い落胆がつかさを襲っていた。



(好きになるのが遅すぎたんだぁ・・・・)



(もう、話せないのかなぁ・・)



そう思うと涙が出てくる。



(やっと本気になれたのに・・・罰ゲームのせいで・・・・)



いくら後悔しても、やり切れなかった。



まだ雪が降っている。



まるでつかさの悲しみを表しているかのようだ。



「クシュン・・・」



つかさは咳をしてしまった。



(寒いなぁ・・・・)



そう思った途端・・・



ふわ・・・・



暖かい物がつかさの体を覆った。



それと同時に声が聞こえた。



「ほーら、言わんこっちゃない。」



おそるおそる振り返るつかさ。



そこには、淳平の顔があった。



「淳平くん・・・」



「こんな雪の日にあんなとこにずっと居るから風邪なんか引くんだ!!」



「ごめんなさい・・・」



落ち込むつかさ。



再び沈黙が訪れる・・・・









すると淳平がその沈黙を破った。



「信じていいのか?」



突然の淳平の言葉・・・・



「え!?」



思わず反応してしまうつかさ。



「だから、さっき言ってたことを信じていいのか?って聞いてるの!」



「も・・・もちろんだよ!!」



つかさは慌てて言った。



しかし、淳平の顔は曇る。



「でもなぁ・・・イマイチ信じらんないんだよなぁ・・・」



(それはそうだよね・・・・あんなことしたんだもん・・・)



当然のごとくそう思う。



「だって、あんなことされたわけだし・・・・!?」



突然、淳平は何も言えなくなった。



というよりも、淳平の口は塞がれた。



つかさの唇によって。



そしてつかさは唇を離すと、固まっている淳平に向かって



「これがあたしの本気。」



「本気で好きじゃなきゃ、キスなんか出来ないでしょ?」



そう笑顔で淳平に言った。



淳平は固まっている状態から、我に返ると。



「確かにな・・・」



そう言って、指を自分の唇に当てた。



するとつかさの顔を見て



「こちらこそ・・・宜しくお願いします!」



と、笑顔を向けた。



「え・・・!?」



つかさはひどく困惑している。



何がなんだか分からない。



「だって・・・・さっき・・・・」



そうなのだ、確かに振られたはずなのだ。



しかし、淳平は答える。



「だって、俺だけあんな思いさせられたら、不公平じゃん!!」



そう言って再び笑顔を向ける。



「だ・・・・だましたなぁ〜!!」



そう言うつかさの顔は笑顔である。



「あたし・・・本当に振られたと思って、ショックでショックで・・・・」



そう言うと、淳平がつかさの頭に手を置いて



「まぁ、いいじゃん。」



「これでおあいこだよ。」



と、言って笑顔を向けた。



「送ってくよ。」



「うん。」



つかさは笑顔で答える。



晴れて再び恋人どうしになった二人。



とても幸せそうだった。



そしてその岐路の途中・・・・・



「なぁ・・・」



「何?」



「俺が来なかったらどうしてたんだ?」



淳平がつかさに気になってたことを聞く。



つかさは、顔を上に向け



「う〜ん・・・・」



「そんなこと分かんない。」



と、言った。



「わ・・・分かんないって・・・」



驚く淳平。



「だって、あの時は淳平くんに想いを伝えるだけしか考えてなかったから・・・」



「ははは・・・・そうなんだ・・・」



お互いに照れあう。



淳平は左手で、つかさは右手で恥ずかしそうに頭をかいてお互い左右反対方向に向いている。



しかし・・・・



淳平の右手。



つかさの左手。



そのお互いの手は、しっかり握られていた。






           
          
                罰ゲーム 完


[No.862] 2008/02/27(Wed) 01:08:55
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