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心の傷〜プロローグ〜 (親記事) - カズクン

時はさかのぼり10年前の夏・・・その少年は6歳だった。




「や〜い、泣き虫〜!!悔しかったら取り返してみろ〜!」

「やめてくれよぉ・・・返してくれよぉ・・・」

その日の体育はプールの授業だった。

その少年は、見学でプールの授業に参加できなかった別の少年に更衣室から衣服を全て持ち去られてしまったのだ。

「やめろってばぁ・・・」

「そんなに返してほしけりゃ返してやるよ。ホラ!」

そういうと手に持っていた服を外へ投げ捨ててしまった。

「あ・・・なんてことするんだ!」

「なんだよ、すぐ近くにおいてやっただけだろ!早く取りに行かないと女の子とかも来ちゃうぞ?」

「うう・・・」

少年は急いで投げ捨てられた衣服を取りにいく・・・しかし・・・当然のごとくそれは起こった・・・

「きゃあ〜!!なんなのよ、コイツ!」

「校庭に何も着ないで出てくるなんて・・・」

「変態よ、変態!」

「近寄るんじゃないわよ!この変態!」

「そ・・・そんな・・・そんなつもりじゃ・・・」

「これはいったい何の騒ぎだ!・・・お・・・お前・・・何をやってるんだ!」

「先生・・・」

「とにかく職員室に来い!」

その後少年は職員に事情を話し・・・誤解は解けたもののそのときの自分の姿を多数の女子生徒に見られ罵声を浴びせられたことがショックで女性不振に陥ってしまう・・・

それから10年以上の月日が経ってもこの少年の女性不振は続いた・・・


[No.949] 2008/03/31(Mon) 15:08:25
心の傷〜第1話〜 (No.949への返信 / 1階層) - カズクン

泉坂高校の昼休みの体育館裏・・・ここでいつもの光景が繰り広げられていた・・・

「西野つかさちゃん!君のことが好きだ!俺と付き合ってくれ!」

つかさ「う〜ん・・・悪いんだけどあたしキミのことそんなよく知らないし・・・ゴメンね。」

「ダメだったか・・・」

男子生徒がうなだれて体育館裏を後にする・・・

つかさ(はぁ・・・もうこれで何人目?いい加減イヤになっちゃうなぁ・・・)

告白を断った少女・・・西野つかさ1年生・・・

自分では気がついていないがこの少女、とにかくもてる。

アイドルにも引けを取らない可愛さとその明るさで高校1の美少女である。

当然同級、先輩関係なしに告白してくる。それを当然のように断る・・・それが毎日のように繰り返されているのである。

トモコ「お〜い!つかさ〜!」

つかさを呼ぶ少女・・・つかさの親友トモコである。

トモコ「あんたまた断っちゃったの?」

つかさ「だって・・・知らない人なんかと付き合えないもん。」

トモコ「そりゃそうだけど・・・こんなこと繰り返してちゃ評判悪くなるよ?」

つかさ「まあどうだっていいじゃん!教室戻ろう!」

トモコ「もう・・・」




2人が教室に戻ると・・・すでに噂は広がっていた。

「おい!1組のあいつ、つかさちゃんに振られたってよ!」

「これで今月だけで10人目か・・・」

「一体誰ならいいんだろうな・・・」

「4組の大草とか3組の天地とかくらいじゃね?」

「いや、天地は4組の東城に惚れてるからないな・・・」

「もしかして俺だったりして・・・」

トモコ「あちゃ〜・・・もう広まってるよ・・・」

つかさ「いつものことだから気にしないよ♪」

そういってつかさは席に座る。

そのあとつかさは質問攻めにあっていたが持ち前の明るさで難なく振る舞っていた。





放課後・・・つかさとトモコは一緒に下校していた・・・その途中・・・

トモコ「あ・・・つかさ!見てみな!あそこにいるの・・・大草くんだ!」


つかさ「へぇ〜・・・あれが大草くんかぁ・・・あとの2人は?」

トモコ「あれは・・・小宮山と真中だね。」

つかさ(小宮山くんと・・・真中くんか・・・)

2人の少し前を歩いている3人の少年・・・いずれもつかさと同級生だ。

大草はサッカー部に所属している少年だ。これが非常に美形でファンクラブが存在するほどのもてっぷりだ。

小宮山は大草とは正反対で顔はイマイチ、おまけに頭も少し弱い。

そして・・・真中淳平・・・どこにでもいるようなごく普通の男の子。

頭も普通より少しいいくらいだ。しかし・・・1つの夢を持っておりそれに向かって突き進む、好感が持てるタイプではある。

そんな3人がなにやら話をしていた。

小宮山「しっかし・・・これでつかさちゃんが告白を断ったの・・・10人目か。」

トモコ「つかさ・・・あんたのこと話してるみたいだよ・・・」

つかさ「もういいよ・・・慣れてるからさ。」

そういいつつも聞き耳を立てている2人・・・そしてこのあと・・・2人はとんでもないことを聞いてしまう。

大草「まぁしょうがないだろう。西野にだって選ぶ権利はあるんだからさ・・・」

小宮山「それはそうだけどよぉ・・・」

大草「こういうことは真中に聞くのがイチバンいいかな?どうよ、真中?告白してみたら?」

トモコ「おお〜!つかさ、次の人決まりそうだよ?」

つかさ「別にいいよ、どうせ断るだけだし・・・」

トモコ「・・・つかさ・・・アンタ・・・」

トモコが何かを言いかけた・・・そのときだった。

淳平「・・・別に告白なんてしないよ。ていうか・・・その西野つかさって・・・ダレ?」

大草・小宮山「・・・な・・・なにぃ〜〜〜!!!」

トモコ・つかさ(・・・え・・・えええぇぇぇ〜〜〜!!!)

淳平「な・・・なんだよ・・・そんな驚いて・・・」

淳平以外の全員が驚くのも無理はない。なんせ話題に上がっている少女は高校1の美少女だ。

いやでも噂は広まるし顔を知らない人などいないはずである。

しかし・・・今こうして実際に知らない人がいた・・・この事実は4人を驚かせるには充分だった。

小宮山「お・・・お前・・・本気で言ってるのか?」

淳平「本気もなにも知らないものは知らないし・・・」

大草「それはいくらなんでも遅れてるな・・・西野つかさは知る人ぞ知るうちの学校1のアイドルだぞ!?」

淳平「はぁ・・・そうなの?」

小宮山「そうなの!お前・・・どこまで無関心なんだよ・・・」



トモコ「驚いた・・・あんたのこと知らないやつなんていたんだねぇ・・・」

この発言にトモコがビックリしたのもそうだが1番ビックリしているのは当のつかさ本人である。

つかさ「ホント・・・信じらんない・・・」

そう・・・つかさと淳平はクラスこそ同じにはならなかったものの中学も一緒なのである。知らないはずがない・・・なのに・・・知らない・・・

このことはつかさのプライドにわずかながらの火をつけることとなる、そして・・・それが燃え上がるのにそう時間はかからなかった。

大草「そういえばお前・・・中学のときからホント恋愛のことに関しては無関心だったよなぁ・・・」

小宮山「そういえばそうだよなぁ・・・お前・・・カノジョとかほしくないの?」

淳平「え・・・」

大草「もしかして・・・お前・・・男しか好きになれないってか!?」

淳平「な・・・んなわけないだろ!?ただ・・・」

小宮山「ただ・・・なんだよ?」

淳平「ただ・・・」

大草「・・・ただ?」

淳平「・・・・・・いや・・・なんでもない・・・」

小宮山「なんだよぉ!?教えろって!?」

大草「気になってしょうがねぇじゃんか!」

淳平「そ、そんなことより早く帰ろうぜ!な!」

淳平はそういうと走り出してしまった。

小宮山・大草「お、おい!待てよ!」

あとの2人も淳平を追いかけるように走っていった。

トモコとつかさは3人の話を聞いて呆然としていた。

トモコ「はぁ・・・あんなやついたんだねぇ・・・女の子に興味がないって・・・病気だね・・・ってつかさ?」

つかさ「・・・」

つかさは黙りこくっていた・・・というより・・・少し怒っていた。

つかさ(あたしのことを知らないなんて・・・しかも・・・興味がない?)

(向こうがそう思ってるなら・・・意地でも振り向かせてやるんだから!)

つかさは何かを決意したようにトモコに話す。

つかさ「トモコ・・・あたし・・・真中くんに告白する!」

トモコ「・・・えぇ!?」

つかさ「だって、このままじゃ気がすまないんだもん!」

トモコ「だからって・・・いくらなんでも・・・意地になりすぎなんじゃ・・・」

つかさ「もう決めたから!」

こうしてつかさは淳平に告白することを決めたのである。

しかし・・・大草も、小宮山も、トモコも、そして・・・当然つかさも・・・

真中淳平という男が心に負っている深い傷を・・・知らない・・・

そしてこのことが・・・1つの事件へと発展していくのだった・・・


[No.950] 2008/03/31(Mon) 16:14:31
心の傷〜第2話〜 (No.950への返信 / 2階層) - カズクン

『西野つかさが告白する。』

このテの情報が広まるのは本当に早い。

あっという間にほぼ全ての生徒の耳に入った。

「おい、聞いたかよ!」

「ああ、つかさちゃん告白するんだって?」

「マジか!で、ダレに告白するんだ?」

「それが・・・3組の真中らしいぞ。」

「な・・・なにぃ!?あの真中か?」

「なんであんなヤツに・・・」

ある生徒は妬み、またある生徒は興味津々、またある生徒は本気にしない・・・反応はさまざまだった。

トモコ「うわぁ・・・すごい事になってきたな〜。」

つかさ「なんであたしが告白するくらいでこんなに騒ぎになるかなぁ〜。」

トモコ「あ・・・あんた・・・わかってないの?」

つかさ「だって告白するだけでしょ?あたし以外だってしてるじゃん。」

トモコ「う・・・」

トモコは言い返せない。当然だ。告白なんていうものはつかさに限らず誰だってするものだ。

ただ告白するのは学校1のアイドル・・・そんな話を聞けば周りが盛り上がるのもまた当然のことだ。

つかさ「と・・・とにかく!あたし行ってくる!」

トモコ「あたしもついていくよ。おもしろそうだし♪」





つかさは体育館裏へと向かった。

そのころ淳平は・・・

大草「どうだ?告白される心境は?」

淳平「・・・」

小宮山「だんまりかよ?黙ってちゃわかんないだろ?」

淳平「・・・・・・」

大草「まあ仕方ないか。なんせ相手は西野だしな!」

小宮山「ほんとうらやましいぞ、ちくしょー!」

大草と小宮山はすっかりその気だ。

そして淳平も体育館裏へと着いた。

そしてその影で大草や小宮山、トモコを含む多数の生徒がその様子を見ていた。

つかさ「あ、きた!キミ・・・真中淳平くんだね?」

淳平「う、うん・・・そうだけど・・・きみは?」

つかさ「あたしは西野つかさ、キミと同じクラスだよ!」

淳平「はぁ・・・(こんなカワイイ子・・・うちのクラスにいたっけ?)」

同じクラスなら普通は知っていて当然だが・・・淳平は本当に知らなかった・・・いや、知ろうとしなかった、のほうが正しいか。

とにかく淳平は女というものが怖いのだ。だから1歩が踏み込めない。

そんなことは全く知らないつかさ。そして・・・

つかさ「あ、あのね・・・淳平くんって呼んでもいい?」

淳平「・・・別に構わないけど・・・なんで?」

つかさ「キミって・・・けっこう鈍いね・・・」

淳平「い、いきなり何を・・・」

つかさ「はっきり言うね。あたし・・・淳平くんが好きなの・・・あたしをカノジョにしてください!」

つかさは淳平に気持ちを伝えた・・・といっても見せかけだが・・・

つかさ(あたしから言ったんだから当然OKでしょ♪)

しかし帰ってきたのは意外な答えだった。

淳平「・・・ゴメン。西野のことあんまりよく知らないから・・・」

つかさ(・・・え!?)

その場で見守ってた人全員(・・・・・・な・・・な・・・なにぃ〜〜!!!)

呆然とするつかさ。当然周りの人間も。

淳平「それに・・・どうもきみの言ってることって本気に思えないんだよね。なんか俺を振り向かせたいだけって感じ?」

つかさ(ウソ・・・見透かされてる?)

実際には淳平はつかさの真意はわかっていない。ただつかさの表情や声のトーンで淳平はつかさの気持ちを読み取ったのだ。

淳平「はっきりいってむかつくんだよね!好きでもないのにそういうこと言われるの。迷惑なんだよ。」

つかさ「・・・・・・」

淳平「もういい?行くから。」

そういうと淳平は体育館裏をあとにした。

大草・小宮山「・・・ま、待てよ、真中!」

2人は淳平のあとを追った。

トモコ「あっちゃぁ・・・見事にやられちゃったね・・・!・・・つかさ・・・」

つかさ「・・・・・グスン・・・ヒック・・・」

淳平に完膚なきまでに叩かれたつかさはその場で泣いてしまった。

トモコ(つかさ・・・それにしても真中のヤツ・・・もうすこしやわらかい言い方できないの?少しイラッとしたなぁ・・・)





つかさが振られた・・・この結果は瞬く間に校内に広まった。

「つかさちゃん振られたってよ!」

「ま・・・マジか!」

男子生徒は自分のように喜び・・・

「なんなの?真中って最低だね!」

「ほんとよね!自分の立場わかってないのよ、きっと!」

女子生徒はいっせいに淳平への印象を悪くした。

つかさは男子のみならず女子からも慕われている。

大草「なんで断ったんだよ!」

淳平「断りたいから断った。それだけだよ。」

小宮山「お前ってヤツは・・・ホントに無関心なんだな!」

真剣にあきれる2人・・・

淳平「別にいいじゃんかよ!ホラ、行くぞ!」

そんなことは関係なしに教室へ戻る淳平・・・

しかし・・・淳平は気付いていなかった・・・

つかさの告白を断ったことでこれから自分の身に起こる出来事に・・・


[No.951] 2008/04/01(Tue) 17:55:42
心の傷〜第3話〜 (No.951への返信 / 3階層) - カズクン

それは・・・放課後まもなく発生した。

ガシャーーーーン!!

「真中淳平ってやつを出せ!」

3組のドアが音を立てて開いた。

大草「あ・・・あいつらは・・・」

小宮山「・・・だよなぁ・・・」

トモコ「つかさ!」

つかさ「うん・・・」

教室はやってきたのは3年生2人を中心とし、2年生が4人、1年生が4人で合計10人・・・

この10人、つかさに告白し見事に振られたメンバーである。

淳平「俺ですけど・・・」

大草「バ・・・バカ、行くなよ!」

小宮山「そうだよ!殺されに行くようなもんだって!」

淳平「別にいいよ。」

「・・・顔かせや。」

淳平「わかりました。」

淳平は10人に連れられていった。

小宮山「ど・・・どうするよ、大草・・・」

大草「俺たちも行くぞ!」

小宮山「ああ!」

トモコ「あたしたちも行くよ!」

つかさ「う、うん・・・」

4人は急いで淳平のあとを追った。





一方淳平は・・・10人に取り囲まれていた。

「お前・・・つかさちゃん振ったんだってなぁ・・・」

淳平「・・・はぁ・・・」

「なんで・・・なんでつかさちゃんを振った?」

淳平「なんでといわれても・・・」

「ふざけんな!こっちは告白しても振られたんだぞ!?」

そう・・・こいつら10人は振られている。

つかさが告白して・・・淳平に振られた・・・そんな光景を面白く思わないのは当然だ。

淳平「振りたいから振った・・・それだけです。もういいですか?帰りますんで・・・」

淳平がその場を去ろうとした・・・その瞬間だった。

バキィッ!

淳平「ぐあっ!」

淳平は顔の右側を殴られた。

淳平「な・・・何するんだ!」

「気にいらねぇんだよ・・・てめぇの態度がな!」

ドスッ!

淳平「う・・・」

ドカッ!バキッ!ガスッ!

淳平は次々に繰り出される蹴りやパンチに対応できず、やられるだけの状態になってしまった。

そしてしばらくして・・・

つかさ「・・・!淳平くん!」

トモコ「・・・!あんたたち!なにやってんの!」

「ヤベッ!逃げるぞ!」

トモコに見つかり10人は逃げ去った。

あたりにはギャラリーができていた・・・

大草「大丈夫か!?」

小宮山「派手にやられたなぁ・・・」

大草と小宮山は傷だらけになった淳平を抱え上げた。

淳平「わ・・・悪いな・・・」

もうボロボロの淳平・・・しかし・・・そんな淳平を見た周りの反応は・・・

「へん、いい気味だよな!」

「そうだよな!だいたい真中がつかさちゃんに告ってもらえること自体が奇跡なのに断るからだよ!」

「そうよね〜!しかもあんなひどいこといって・・・」

「最低よねぇ!」

一気に罵声を浴びせ始めた。

大草「くッ・・・好き勝手言いやがって!」

小宮山「おい、お前ら!あんまり真中を悪く言うんじゃねぇ!」

大草と小宮山は淳平をかばう。そして淳平は・・・

淳平「・・・なんだよ・・・なんなんだよ・・・」

大草・小宮山「・・・真中?」

淳平「俺が・・・何をしたって言うんだ・・・」

淳平「俺は・・・むかついた・・・人のことをバカにしてるから・・・ムカついたから振ったんだ・・・それのどこが悪い!!」

淳平は声を荒げて叫ぶ。しかし周りは止まらない・・・

そして・・・ついに・・・トモコがキレた・・・

トモコ「ちょっと、真中!!」

ガッ!

トモコは淳平の胸ぐらを掴んだ。

大草「お、おい・・・一応ケガ人だぞ!?」

トモコ「大草は黙ってて!」

大草「・・・」

トモコ「あんた・・・振るのは別にいいけど・・・もう少し言い方ってもんがあるだろう!」

つかさ「やめてよ、トモコ!もういいから・・・」

つかさは必死にトモコを止めに入る・・・しかしトモコは収まらない・・・

いつしか周りは・・・

「いいぞ〜!やれー!」

「トモコちゃん!そんなやつやっちゃってよ!」

ほぼ全員がトモコの味方になっていた。

トモコ「どう?これがみんなの・・・そしてつかさの・・・!」

淳平「お・・・俺が・・・ハァ・・・な、何を・・・ハァ・・・したっていうんだ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

トモコ「・・・真中?」

大草・小宮山「・・・おい、真中?」

つかさ「・・・淳平くん?」

淳平「ハァ・・・ハァ・・・お・・・俺・・・が・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ」

明らかに淳平の様子がおかしい・・・4人は気付いた・・・そして・・・

淳平「お・・・ハァ・・ハァ・・ハァ・・・俺が・・・な・・・何をしたっていうんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

大草「おい!真中落ち着け!!」

小宮山「しっかりしろ!」

トモコ「真中!!」

つかさ「淳平くん!!」

しかし・・・4人の声は淳平には届かない・・・

淳平「ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

荒れ狂う淳平・・・その様子を4人と周りはただ見守るしかなかった・・・


[No.953] 2008/04/01(Tue) 18:54:16
心の傷〜第4話〜 (No.953への返信 / 4階層) - カズクン

淳平「ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

大草「真中!落ち着けって!おい!!」

小宮山「真中!!」

大草や小宮山が必死になだめるがなおも淳平は叫び続ける。

トモコ「・・・・・」

つかさ「あ・・・あ・・・」

トモコとつかさは淳平の鬼のような形相を見てただすくみ上がるだけだった。

周りも騒然とする・・・

「お、おい・・・真中のヤツ・・・どうしちゃったんだ?」

「いきなり叫び始めて・・・なんなんだ?」

「なんか・・・怖い・・・」

誰もがどうしていいのかわからない状態になってしまった。

しばらくして・・・騒ぎに気づいた数人の教師が駆けつける。

その中には担任の黒川の姿もあった。

黒川「どうした!?これはいったい何の騒ぎ・・・!?真中!?」

真中の異変に気づいた黒川は4人のもとへ駆け寄るとすぐさま淳平を抱えた。

大草・小宮山・トモコ・つかさ「黒川先生!」

黒川「おい!真中!落ち着け!私だ!担任の黒川だ!おい!」

淳平「うわあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

黒川「クソッ!間に合わなかったか・・・誰か保健の先生を呼んで来い!それから真中のカバンを持ってくるんだ!」

つかさ「あたし呼んできます!」

小宮山「俺真中のカバンとってきます!」

つかさと小宮山は急いで校舎へと向かった。

数分後・・・保健の先生がやってきた。小宮山もカバンを取って戻ってきた。

小宮山「取ってきました!」

黒川「よし!先生、頼む!」

「はい!」

黒川は淳平のカバンから薬剤らしきものを取り出す。

保健の先生はすばやく注射器を用意し、薬剤を淳平に投与した。

淳平「ああああああぁぁぁぁぁ・・・・・・」

数分後・・・これまですさまじい形相で叫び続けていた淳平の顔がたちまち穏やかになっていった・・・

淳平「・・・あ・・・あれ?俺・・・」

黒川「ようやく戻ったか・・・私がわかるか?」

淳平「・・・黒川先生・・・そうか・・・俺・・・またやっちゃったんですね・・・」

黒川「ああ・・・でも心配するな・・・いま精神安定剤を打ったから。」

淳平「・・・すいません・・・また迷惑をかけて・・・」

黒川と淳平のやりとり・・・そばにいた4人には全く訳もわからなかった。

大草(・・・またやっちゃった?)

小宮山(・・・どういうことだ?)

トモコ(・・・いままでにもこういうことがあったってこと?)

つかさ(・・・精神安定剤?・・・どうして?)

黒川「みんなはもう帰れ。あとは私が面倒を見る。」

黒川は周りの生徒に帰宅を促し、それに反応するかのように野次馬はなくなっていった。

大草「俺たちも帰るか・・・」

小宮山「そうだな・・・トモコちゃんとつかさちゃんは?」

トモコ「・・・帰ろう。つかさ。」

つかさ「うん・・・」

4人は淳平を心配しながらも帰宅の途につこうとした・・・しかし・・・

黒川「待て。お前ら4人は残ってくれ。」

4人「・・・え?」

黒川「真中がどうしてこうなったのか・・・その経緯を話してほしい。」

4人「・・・はい。」

そして4人は黒川に連れられ・・・職員室へと向かった。


[No.960] 2008/04/02(Wed) 19:59:49
心の傷〜第5話〜 (No.960への返信 / 5階層) - カズクン

黒川に連れられた4人は職員室の応接間にいた。

少し遅れて黒川も入ってきた。

大草「先生・・・真中は?」

黒川「ああ・・・今は保健室で休ませている。」

小宮山「そうですか・・・」

黒川「さて・・・それじゃあいきさつを話してもらおう。」

つかさ「はい・・・始まりはあたしが淳平くんに告白して振られたところからです。」

黒川「・・・・・!」

つかさ「そのあと放課後に・・・クラスにあたしに振られた生徒が10人教室に来て淳平くんを出せって・・・」

黒川「ふむ・・・それで?」

大草「俺と小宮山は行かないように言ったんですが・・・真中は別にいいって言ってそいつらに連れて行かれて・・・」

トモコ「あたしたちが見つけたときには真中はもうボロボロの状態でした。」

小宮山「俺と大草が真中を抱え上げた途端に周りで見てたやつらが真中に罵声を浴びせて・・・」

黒川「・・・うむ。」

トモコ「そのあとに・・・真中が・・・つかさに対してひどいこと言ったんでカッとして・・・思わず胸ぐらを掴んだんです・・・」

つかさ「そしたら・・・淳平くんが・・・いきなり騒ぎ始めたんです・・・」

黒川「・・・なるほどな・・・」

一通り話し終えて・・・しばらく沈黙が続く・・・

黒川「・・・わかった。その殴った生徒たちに対してはこちらの方で処罰する。」

4人「・・・はい。」

黒川「それじゃあ、お前らはもう帰っていいぞ。私は真中を家まで送る。」

黒川は4人にそういうと席を立ち上がろうとした・・・しかし・・・

大草「待ってください。黒川先生。」

大草がとっさに黒川に声をかけた。

黒川「・・・なんだ?」

大草「アイツ・・・いったい何があったんですか?」

黒川「・・・別になにもない。あってもお前たちには話せない。」

小宮山「・・・なにもないなんて嘘ですよね?さっきの先生の慌て方は半端じゃなかった。」

トモコ「そうですよ!それに・・・真中は・・・またやっちゃったっていってたじゃないですか!」

黒川「お前らには関係のないことだ!」

つかさ「関係なくありません!あたしたちは・・・淳平くんの親友です!知る理由はあると思います!」

黒川「・・・し・・・しかし・・・」

大草「俺たち・・・それを聞くまでゼッタイ帰りません!」

黒川「・・・・・・・・・・・・・・」

黒川は・・・しばしの沈黙のあと・・・観念したかのような表情になった・・・そして・・・

黒川「・・・わかった・・・話そう・・・」




黒川「まず・・・話す前に・・・この話はお前たち4人の秘密にすること。他の生徒には決して話すな。」

4人「・・・はい・・・」

黒川「高校に入学する前に真中の親御さんから聞いたんだが・・・真中は・・・女性不信に陥っているんだ・・・触られるだけでもイヤになるそうだ。」

4人「・・・え?」

黒川「きっかけはあいつが6歳・・・つまり小学1年のときだ・・・」

黒川は4人に対して全てを話した・・・

大草「・・・そんな・・・」

小宮山「・・・アイツに・・・そんなことが・・・」

トモコ「・・・」

つかさ「・・・」

黒川「アイツは10年たった今でもなおそのときの出来事が頭から離れないそうだ。」

トモコ「それじゃあ・・・今回の真中の発作は・・・」

黒川「・・・そのときと非常によく似ていたんだ。それを思い出したんだと思う・・・そこにお前が掴みかかったのが決定打になったんだろう・・・」

つかさ「そんな・・・それじゃあ・・・あたしたちがしたことは・・・」

黒川「・・・言いにくいことだが・・・真中の心の傷をいたずらに拡げてしまった・・・そういうことだ・・・」

その言葉を聞いて・・・トモコとつかさは泣き出してしまった・・・

つかさ「うっ・・・うっ・・・」

トモコ「ヒック・・・ご・・・ごめんなさい・・・」

大草・小宮山「・・・」

大草と小宮山も言葉を失う・・・当たり前だ・・・親友がそのような苦しみを持っていることなど知らなかったのだから・・・

そんなことも知らず・・・つかさと付き合うことを促したりしたのだから・・・

黒川「まあ・・・今回の件についてはお前たちも知らなかったのだから仕方がない。」

4人「・・・・・・」

黒川「でもな・・・あいつも苦しみながら必死に自分の女性不信を克服しようとしている。」

4人「えっ?」

黒川「さっき・・・保健室で真中が言っていたよ・・・」

----------------------------------------------------------

淳平「先生・・・4人は?」

黒川「ああ・・・これから事情を聞くつもりだ。」

淳平「先生・・・あの4人を責めないでください・・・」

黒川「・・・真中・・・」

淳平「俺が悪いんです・・・せっかく西野が告白してくれたのに・・・」

淳平「本当なら嬉しいはずなのに・・・俺の心が弱いから・・・あいつを傷つけるようなこと言って・・・」

黒川「・・・・・・」

淳平「俺・・・西野の気持ちに応えてあげたい・・・俺・・・西野なら・・・西野となら・・・変われるような気がするんです!」

黒川「・・・真中。」

淳平「みんなに・・・すまないって・・・言っといてください・・・」

----------------------------------------------------------

4人は黒川の言葉を聞き・・・泣き崩れた・・・

大草「俺・・・アイツの親友なのに・・・アイツの苦しみわかってやれなかった・・・」

小宮山「・・・俺・・・真中の親友である資格・・・ねぇな・・・」

トモコ「・・・こんなことになるなんて・・・」

つかさ「淳平くん・・・ごめんなさい・・・ごめん・・・なさい・・・あたし・・・淳平くんを傷つけちゃった・・・」

黒川「・・・お前たち・・・」

4人はなおも泣き続ける・・・

黒川「もういい・・・済んだことだ。もう泣くな・・・」

つかさ「先生・・・あたしは・・・あたしはどうしたらいいんですか!?このままじゃ・・・淳平くんに謝っても謝りきれない・・・」

黒川「・・・西野・・・」

大草「俺たち・・・なんでもします!」

小宮山「そうだ!俺たち・・・真中が笑顔になれるなら・・・どんなことだって!」

トモコ「先生!あたしたち・・・まず真中に謝りたいです!」

黒川「・・・そうだな・・・それじゃあ・・・一緒に保健室に来い。」

そして・・・5人は淳平のいる保健室へと向かうのだった・・・


[No.961] 2008/04/02(Wed) 21:04:56
心の傷〜第6話〜 (No.961への返信 / 6階層) - カズクン

5人は淳平のいる保健室にやってきた。

黒川「入るぞ。」

カチャッ

「おや、黒川先生。」

保健室には先程淳平に処置を施した保険医がいた。

黒川「先生・・・真中の様子は?」

「ええ。薬が効いてるようで今はもうすっかり落ち着いていますよ。今は薬のせいもあって眠っていますがね。」

黒川「そうか・・・迷惑をかけた。さあ、みんな・・・こっちだ。」

黒川に連れられ4人は淳平が眠っているベッドへ向かった。

淳平はさっきとはまるで違い、実に穏やかな顔で眠っていた。

大草「・・・真中・・・」

小宮山「・・・さっきと全然違うな・・・」

トモコ「うん・・・すごくいい顔で寝てる・・・」

つかさ「少し前まで・・・ものすごく苦しんでたんだよね・・・あたしのせいで・・・」

4人・・・特につかさは自分がしたことの重大さを思い知ると同時に淳平に対する申し訳なさでいっぱいだった。

黒川「済んだことなんだからもう気にするな。もうすぐ真中が起きるぞ。みんなそんな顔をするな!」

黒川は笑顔になって4人に言うが・・・当然4人は笑顔にはなれなかった・・・そして・・・

淳平「う・・・う〜ん・・・・・・」

淳平の目が少しずつ開いた・・・

淳平「・・・あ・・・みんな・・・」

淳平が目を覚ますと・・・

大草「・・・真中・・・すまなかった・・・」

小宮山「俺たち・・・俺たち・・・」

トモコ「・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

つかさ「淳平くん・・・あたし・・・あたし・・・うぅぅ・・・」

また泣き始める4人・・・そんな4人を見た淳平は・・・

淳平「お・・・おいおい・・・どうしたんだよ、4人とも・・・どうして俺見て泣くんだよ?」

淳平はなぜ4人が泣いているのかわからなかった。

つかさ「だって・・・だって・・・」

黒川「真中・・・こいつらには・・・お前の過去と今のお前のことを全て話した。」

淳平「え・・・」

大草「なんで・・・なんで相談してくれないんだよ!俺ら・・・親友だろ!?」

小宮山「そうだ!俺ら・・・おまえが叫び続けるの見てて・・・辛かった・・・」

トモコ「真中・・・あたし・・・真中にとどめさしちゃったんだね・・・余計に傷を拡げちゃった・・・ゴメン・・・ゴメ・・・ン・・・」

淳平「・・・いいよ、別に・・・みんなは俺のこと知らなかったんだから・・・仕方ないって!」

淳平は4人に笑顔で言った。

つかさ「淳平くん・・・あたし・・・淳平くんのためなら何でもするから・・・その苦しみを・・・あたしにも背負わせてよ・・・」

淳平「・・・西野・・・」

つかさ「さっき黒川先生に聞いたの・・・あたし・・・淳平くんのこと傷つけたのに・・・気を使ってくれてたって・・・」

淳平「え・・・き、聞いたんだ・・・」

つかさ「うん・・・それでね・・・たしかにさっきの告白は見せかけだったけど・・・」

淳平「・・・・・・」

このとき・・・つかさにはある1つの感情が芽生えていた。

つかさ「でも・・・今度は違う・・・いつか淳平くんがこの心の傷を消し去ることができたら・・・」

淳平「・・・うん・・・」

つかさ「もう1度・・・告白させて?・・・本気の告白を・・・」

淳平「・・・うん・・・今はまだダメだけど・・・俺・・・がんばって昔の自分に打ち勝って・・・西野と向き合えるようになるから・・・」

トモコ「あたしたちもいるってこと・・・忘れないでよね?」

大草「俺たちだって・・・真中の苦しみを背負っていきたいんだ・・・だから・・・辛いときは何でも言ってくれよ!」

小宮山「そうだよ、真中!俺たち・・・親友だから・・・さ。」

それぞれが励ましの言葉をかける・・・そんな4人に淳平は涙を抑えることができなかった。

淳平「・・・ありがとう・・・みんな・・・」

黒川「こりゃあ、私はお呼びじゃないようだな。悪いがお前たち真中を家まで送ってやってくれないか?」

4人「はい!」

こうして淳平は4人に送られて家へと帰った。





大草「それじゃあ真中、またな!」

小宮山「またな!」

トモコ「元気出してね!」

淳平「ありがとう!またな!」

3人は先に帰っていった・・・そして・・・家の前には淳平とつかさが残った。

つかさ「それじゃあ・・・あたしも行くね?」

淳平「ああ、ありがとう西野!」

つかさ「ねぇ・・・淳平くん・・・」

淳平「・・・?」

つかさ「握手・・・しない?仲直りのしるしに。」

淳平「え・・・握手?」

淳平は一瞬ためらう・・・しかし・・・

淳平(いつまでも・・・逃げてちゃダメだな・・・自分の問題なんだから・・・自分が努力しないと!)

そして・・・淳平はつかさの手を握った・・・

つかさ「・・・淳平くんの手・・・あったかいね・・・」

淳平「そ・・・そうか?」

しばらく握手を続ける2人・・・

淳平「・・・うっ・・・」

つかさ「ど、どうしたの!?」

淳平「う、うん・・・ちょっとだけ・・・寒気が・・・」

つかさ「そっか・・・やっぱいきなりはきついよね・・・」

つかさは淳平の手を離した。

淳平「・・・ゴメン・・・」

つかさ「ううん、いいの!ゆっくり・・・ゆっくりでいいから・・・ね?」

つかさ「それじゃ淳平くん、また明日学校でね!」

淳平「帰り気をつけてな!」

こうしてつかさも家へと帰っていった。

淳平(やっぱりダメだったか・・・握った途端寒気がした・・・でも・・・)

淳平(・・・なんだろう・・・この・・・なんともいえない気持ちは・・・)

淳平は・・・まだ気づいていなかった・・・自分の過去の傷が・・・少しずつ治まり始めていることに・・・

そして・・・西野つかさという女性に・・・少しずつ心を開き始めていることに・・・


[No.964] 2008/04/03(Thu) 20:51:33
心の傷〜第7話〜 (No.964への返信 / 7階層) - カズクン

2月14日・・・巷ではバレンタインデーというイベントでにぎわっている。

当然・・・つかさもこの例に漏れることはない。

つかさは将来パティシエを目指したい・・・そんな夢を持っている。

もちろん誰も知らないが・・・そんなつかさは手作りのチョコレートを前日に作っていた。

つかさ「うん!上出来♪あとはこれを包んで・・・」

つかさはかわいらしい包装紙で箱につめたチョコを包む。

渡す相手はもちろん・・・淳平だ。

しかし・・・1つの不安がある・・・それは・・・

つかさ「淳平くん・・・受け取ってくれるかなぁ・・・」





登校する途中トモコと会う。

トモコ「おはよう、つかさ!」

つかさ「おはよう!」

トモコ「いやあ〜、今日はバレンタインか・・・アンタ誰かに渡すの?」

つかさ「うん・・・そのつもり。」

トモコ「ホント!?相手は・・・聞くまでもないか♪」

つかさ「な・・・わかるの?」

トモコ「どうせ真中だろ?つかさってわかりやすいからね〜♪」

つかさ「もう・・・でも、心配なんだ・・・受け取ってくれるかどうか・・・」

トモコ「・・・・・・」

トモコは声をかけられなかった・・・

確かに淳平は少しずつではあるがトモコとつかさには心を許し始めている・・・それでも・・・100%受け取ってくれるかは確信がない。

トモコ「・・・まあ心配するなって!きっともらってくれるって!」

トモコは精一杯の返事を返す・・・

つかさ「うん・・・そうだよね!」

そして2人は学校へと向かう・・・しかし、学校へ着くと予想していなかったことが起こった・・・




ガラッ

つかさ「あれ・・・淳平くん・・・まだ来てない・・・」

トモコ「ホントだ・・・」

大草「よう、西野、トモコ!」

小宮山「おはよう!」

つかさ「おはよう、大草くん、小宮山くん!・・・淳平くんは?」

大草「それが・・・俺もわからないんだ・・・」

つかさ「そう・・・」

心配するつかさ・・・そして授業が始まる時間・・・それはわかった。

ガラッ

黒川「よし、授業を始める・・・その前に・・・今日は真中は欠席だ。」

4人(・・・欠席?)

黒川「どうも風邪を引いたそうで熱があるらしい。さっき親御さんから連絡があった。」

それを聞くと周りは騒ぎだした・・・

「ふ〜ん・・・馬鹿でも風邪引くんだな!」

「仮病じゃねぇの?」

「きっと来たくないのよ・・・学校!」

4人はそんな周りの勝手な推測を聞き・・・怒りを覚えた。

大草(好き勝手言いやがって・・・)

小宮山(クラスメイトだろ?何でそこまでいう!)

トモコ(あんたたちは・・・なにも知らないからそんなことが言えるんだ!)

そして・・・

つかさ「ちょっと!あんたたちいい加減に・・・」

つかさが言いかけたそのとき・・・

黒川「うるさいぞお前ら!さっさと授業を始めるぞ!」

黒川はつかさのセリフをさえぎり、周囲を黙らせる・・・そしてつかさを見て首を横に振る・・・

黒川(すまない・・・西野・・・ここは抑えてくれ・・・)

つかさは言いかけたことをしまいこみ席に着いた。

つかさ(あ・・・危なかった・・・もう少しで口が滑りそうだった・・・黒川先生、すいません・・・)

そして授業は始まった。

しかし・・・4人は授業に集中できない・・・

大草(・・・ホントに風邪か?)

小宮山(・・・心配だな・・・)

トモコ(・・・ふさぎこんじゃったのかなぁ?)

つかさ(せっかく・・・これ渡そうと思ったのに・・・そうだ!帰りに淳平くんの家に行ってみよう!)

それぞれがそんなことを考えながら授業に励んでいた・・・





そのころ淳平は・・・

淳平母「それじゃあ、ここで待ってるからがんばってね!」

淳平「がんばれって・・・いつものことじゃんか・・・」

淳平は母に連れられあるところに来ていた・・・


[No.968] 2008/04/04(Fri) 11:13:48
心の傷〜第8話〜 (No.968への返信 / 8階層) - カズクン

淳平が母に連れられてきた場所・・・その表の看板には・・・

『清水精神科』と書かれていた・・・

実は、淳平は週に1回カウンセリングを受けているのだ。そして今日はその日のため学校を休んだのだ。

『真中さん、どうぞ〜』

淳平母「がんばってきなさい!」

淳平「ああ。」

そして淳平は診察室のドアをあけ中へ消えていった。





カチャッ

清水「あら、真中くん、いらっしゃい!」

中にはここの院長である清水という女性がいた。

清水「それじゃはじめましょうか。」

淳平「よろしくお願いします。」

淳平はごく普通に清水先生と会話をする。触れられてもなんともない。

実はこの清水先生・・・淳平が完全に心を許している数少ない女性の1人である。

現在淳平が母親以外に心を許している女性は担任の黒川、幼馴染、そして・・・清水先生だけだ。

清水「真中くん、この1週間何かあったんじゃない?」

淳平「え!?」

清水先生の突然の質問にビックリする淳平・・・

清水「真中くんは顔に出るタイプだからね。何かがあったことくらいわかるわよ♪」

淳平「そうですか・・・実は・・・」

淳平は先生に全てを話す・・・いきなり女の子から告白されたこと・・・

それを断り殴られたこと・・・女の子に胸ぐらをつかまれたこと・・・

それによって・・・自分の理性が失われまわりに迷惑をかけたこと・・・

清水「・・・大体わかったわ。」

淳平「俺・・・正直不安なんです・・・ずっとこのままこの恐怖を克服できないのかもって思うと・・・」

清水「そうね・・・でもね、こういうのはすぐに結果を求めちゃダメ。少しずつ、少しずつ行くのがいいの。」

淳平「・・・そうですよね。」

清水「それにね・・・先生少し安心してるんだ♪」

淳平「・・・?」

清水「その告白してきた女の子・・・西野つかさちゃんだったわよね?」

淳平「はい。」

清水「その女の子を見たとき・・・それほどいやではなかったんでしょ?」

淳平「ええ・・・最初はビックリしてついひどいこと言っちゃいましたけど・・・」

淳平「でも・・・そのあと感じたんです。このコは・・・他のコとなにかが違うって・・・もしかしたら・・・このコならって・・・」

清水「それと・・・トモコちゃんだったわね?」

淳平「ええ・・・あのコとも・・・話すくらいなら・・・」

清水「それはね・・・キミがそのコたちを受け入れようとしているサインなのよ。」

淳平「サイン・・・ですか・・・」

清水「そうよ。それってすごいことよ!確実に前へ進んでるわよ♪」

清水「でも・・・決してあせらないでね?」

淳平「はい!俺・・・がんばります!」






こうしてカウンセリングを終えた淳平は家に向かった。

淳平母「・・・あら?家の前に誰かいるわね?」

淳平「ホントだ・・・あ・・・あれは・・・!」

淳平の家の前にいたのは・・・つかさだった。

つかさ「あ・・・淳平くん!」

淳平「西野・・・どうしてここに?」

つかさ「うん・・・淳平くんが学校休んで・・・すごく心配で・・・それと・・・渡すものもあるし・・・」

淳平「・・・渡すもの?」

淳平はわからないが・・・淳平の母はそれが何かを直感で感じ取ったようだ。

淳平母「あら〜かわいいコねぇ♪お名前は?」

つかさ「あ、はじめまして、淳平くんと同じクラスで西野つかさっていいます♪」

淳平母「つかさちゃんね♪せっかくだから上がっていきなさい。お茶出すわね♪」

つかさ「え・・・でも・・・」

つかさは気を使っていた・・・淳平のために・・・しかし・・・

淳平「そうしなよ。俺は構わないよ。」

思いがけない淳平からの誘い・・・

つかさ「・・・淳平くん・・・わかった!お邪魔します♪」

つかさは淳平の誘いに甘えることにした。

こうして・・・淳平の家に初めて女の子が入ることになった。


[No.969] 2008/04/04(Fri) 21:30:31
心の傷〜第9話〜 (No.969への返信 / 9階層) - カズクン

つかさ(これが・・・淳平くんの部屋・・・)

今つかさは淳平の部屋にいる。

カチャッ

淳平母「2人ともお茶入れたからここに置いとくわね。」

淳平「ありがとう、母さん。」

つかさ「ありがとうございます。」

そういい残し母は部屋を後にした。

しばしの沈黙が続き・・・淳平が話し出した。

淳平「俺の部屋・・・汚いでしょ?ゴメンな。」

つかさ「ううん!そんなことないよ!綺麗だよ♪それにしても・・・映画のDVDがいっぱいあるね・・・」

淳平「ああ・・・俺・・・映画好きだからさ。暇があると観るんだ。」

つかさ(淳平くん・・・映画が好きなんだ・・・)

淳平「ところでさ・・・なんで西野家の前にいたんだ?」

つかさ「え?ん・・・んとね・・・」

つかさは顔を赤くしている・・・

淳平(西野・・・どうしたんだろう?顔が赤い・・・)

つかさ「あのね・・・今日淳平くんが学校休んだのが心配で・・・」

淳平(そういえば・・・そんなこといってたな・・・渡すものがある、ともいってたっけ・・・)

つかさ「あのね・・・今日なんで淳平くんが学校休んだのか・・・知ってるんだ・・・」

淳平「・・・!・・・黒川先生か?」

つかさ「うん・・・お昼休みのときに先生に呼ばれて・・・」

----------------------------------------------------------

黒川「4人ともちょっといいか?」

大草・小宮山・トモコ・つかさ「なんですか?」

黒川「お前たちには話しとこう。まあ、うすうす気づいてるとは思うが・・・今日真中は風邪で休んだんじゃない。」

大草(やっぱり・・・)

小宮山「それじゃあ、どうして・・・」

黒川「今日はカウンセリングの日でな。」

トモコ「・・・カウンセリング・・・ですか?」

黒川「ああ。1週間に1回な。それで今日は欠席というわけだ。」

つかさ「そう・・・ですか・・・」

黒川「それでだ・・・申し訳ないんだが誰か真中の家まで行って様子を見てきてくれないか?本来なら私が行くんだが今日は職員会議でどうしても行けないんだ・・・」

小宮山「わかりました!4人で行って・・・」

つかさ「待って小宮山くん!今日は・・・今日だけはあたし1人で行かせてくれないかな?」

小宮山「え?どうして?」

トモコ「(・・・!なるほどね♪)まあまあ、いいじゃん!今日は2月14日だしね♪」

大草「(・・・ははぁ・・・そういうことか・・・)わかった。西野、頼むよ。」

小宮山「待てよ!俺も・・・」

大草「小宮山・・・察してやれ・・・今日は何の日だ?」

小宮山「何って・・・今日は2月14日・・・!」

トモコ「ようやく気がついたかな?」

小宮山「・・・そういうことなら仕方ない。つかさちゃん、よろしく頼むよ。」

つかさ「うん!」

黒川「すまないな・・・西野。」

----------------------------------------------------------

つかさ「・・・というわけ。」

淳平「そっか・・・ありがとう。ところで・・・渡したいものって・・・なに?」

つかさ「ん〜・・・ヒント!今日は2月14日ってこと♪」

淳平「・・・?ゴメン・・・わからない・・・」

つかさ「な・・・淳平くんって・・・小宮山くんと同じくらい鈍いね・・・」

淳平「・・・悪かったな・・・」

つかさ「まあいいや♪はい、淳平くん♪」

淳平「・・・これは・・・開けてみてもいい?」

つかさ「うん。」

淳平は綺麗に包装された包みを破り・・・箱のふたを開けた。

淳平「・・・あ・・・チョコレート・・・」

つかさ「うん・・・今日はバレンタインでしょ?」

淳平「バレンタイン・・・そうか・・・」

つかさ「ね、食べてみてよ。けっこう自信あるんだよね〜♪」

淳平「(・・・自信?どういうこと?・・・まあ、いいか。)それじゃ、いただきま〜す♪」

そして淳平はチョコレートを口に運ぶ・・・

・・・パクッ・・・

つかさ「どう・・・かな?」

淳平「・・・うまい・・・これ・・・すっげーうまい!」

つかさ「ホントに!?よかった〜♪自信はあったんだけど・・・手作りだったから万が一失敗してたらイヤだったんだよね♪」

淳平「え!?これって・・・西野が作ったの?」

つかさ「うん、そうだよ♪」

淳平(これ・・・西野の手作りだったんだ・・・)

淳平はつかさを見る・・・よく見るとつかさの指の一部には包帯が巻かれていた。

淳平「西野・・・その指・・・どうしたの?」

つかさ「あ、これ?チョコを作ってるときにヘマしてやけどしちゃった♪」

つかさは舌をペロッと出して微笑んだ。

淳平(西野・・・俺のために・・・こんな俺のためにここまでしてくれたんだ・・・)

淳平(俺・・・今までこんなのもらったことなかったから・・・)

つかさ「・・・!・・・淳平くん?」

気がつくと・・・淳平の目からは涙がこぼれていた・・・


[No.970] 2008/04/05(Sat) 19:49:27
心の傷〜第10話〜 (No.970への返信 / 10階層) - カズクン

つかさ「・・・淳平くん・・・」

淳平「・・・あ・・・ゴメン・・・つい涙が・・・」

つかさは不思議に思う・・・

つかさ(そんなに嬉しかったのかな?)

淳平「西野が俺のためにここまでしてくれるなんて・・・そう思ったら涙が出てきて・・・」

つかさ「淳平くん・・・」

淳平「それに・・・俺・・・いままで女の子からこういうのもらったこと・・・1度もなかったから・・・初めてなんだ・・・」

つかさ「・・・!」

つかさは理解した。淳平の涙の理由を・・・

つかさ「淳平くん・・・あたし・・・淳平くんにほめてもらえて・・・すごく嬉しい。」

目に熱いものがこみ上げてくるつかさ。本来ならばここで抱きついたりするのが普通なのだろうが・・・それはできない・・・

それをすることによって・・・淳平を怖がらせてしまうかもしれないから・・・

つかさ(ここは・・・ガマンだよね・・・)

抱きつきたい気持ちをぐっとこらえるつかさ。しかし・・・それは突然やってきた・・・

・・・キュッ・・・

つかさ「・・・あ・・・」

淳平「・・・西野・・・」

なんと・・・淳平がつかさを抱きしめたのだ。

つかさ「・・・淳平くん・・・」

つかさは淳平の暖かさを感じた・・・それと同時に・・・淳平の体の震えも・・・

つかさ(・・・淳平くん・・・ムリ・・・してるんだ・・・)

つかさは淳平の手を振りほどくか迷ったが・・・あえてしなかった。

つかさ(きっと・・・淳平くんは自分と向き合って・・・必死にがんばろうとしてるんだ・・・それをやめさせちゃいけない・・・)

しばらくして・・・2人の体は離れた。

淳平「いきなりゴメン・・・なんか・・・こうしなきゃいけないような気がして・・・」

つかさ「淳平くん・・・無理はしないでね?」

つかさの言葉が淳平の心に優しく染み込んでいく・・・

淳平(西野・・・やっぱりこのコは・・・違う・・・)

確かに、淳平は今つかさに抱きついた。体が震えていたこともわかっていた・・・怖かったのだ。

しかし・・・もう1つ・・・それとはまったく別の感情がわきあがっていた・・・

淳平(俺・・・西野を・・・好きになったのかもしれない・・・)

そんなことを考えていてとき・・・突然つかさが話しかけてきた。

つかさ「ねぇ、淳平くん。あたしの作ったチョコ・・・どのくらいおいしかった?」

淳平「え!?う〜ん・・・とにかくうまかった・・・少なくともそこいらで売ってるようなチョコレートとは比べ物にならないくらいうまかった!」

つかさ「へへっ♪ありがとう!・・・あたしね・・・夢があるんだ・・・」

淳平「・・・夢?」

つかさ「うん。まだ誰も知らないけど・・・あたし・・・将来はお菓子作りの職人・・・パティシエになりたいんだ!」

つかさは淳平に自分の夢を打ち明ける。淳平にはそのときのつかさがまぶしく見えたに違いない。

淳平「西野にも・・・夢があるんだ・・・」

つかさ「え・・・淳平くんも?」

淳平「うん・・・笑わないでくれよ・・・」

淳平「俺は・・・映画監督になりたい・・・」

つかさ「・・・」

つかさはようやく理解した・・・この淳平の部屋の膨大な量の映画のDVDを・・・

つかさ「淳平くん・・・映画が好きなだけじゃないんだね・・・」

淳平「うん・・・こういうものはとにかくたくさん観ないと・・・たくさん観て勉強して・・・いつかはそうなりたいって・・・」

つかさ「淳平くん・・・」

つかさはそんな淳平を見て・・・こう思った・・・一緒に夢を追いかけたい・・・と・・・

淳平「でも・・・そのためにはまずこのトラウマを克服しなくちゃ・・・な!」

つかさ「・・・え?」

淳平「だってそうだろ?女優を撮影するたびにびくびくして体震わせてたら・・・こんな情けない映画監督いるわけないっしょ♪」

つかさ「・・・クスッ・・・そうだね♪」

2人の間に笑顔が生まれる・・・そしてつかさは感じた。

つかさ(淳平くん・・・こんな笑顔で笑えるんだ・・・こんな笑顔・・・初めて見た気がする・・・)






こうして時は過ぎ・・・夕方になっていた。

つかさ「それじゃあ、そろそろ帰るね?」

淳平「ああ、今日はありがとう!明日は学校行くから。」

つかさ「うん、待ってるからね♪」

淳平「またなー!」

つかさ「バイバイ、淳平くん!」

淳平はつかさの後姿を眺めていた。

淳平母「つかさちゃんって・・・いい子ね。」

淳平「うん。」

淳平母「そういえば・・・アンタあのコと普通に話してたわね・・・イヤじゃないの?」

淳平「まだわからない・・・まだダメなのかもしれない・・・けど・・・俺・・・そこまで悪い気はしないんだ。」

淳平母(淳平・・・あんたはまだそれほど実感できてないかもしれないけど・・・)

淳平母(それは・・・もうほとんど心を許してるようなものなのよ・・・)

淳平母「淳平・・・がんばって心の病・・・克服するのよ!」

母は息子の背中をポンと叩いた。

淳平「・・・言われなくたって!」

この日・・・淳平はまた1歩・・・確実に前進したのだった。


[No.971] 2008/04/05(Sat) 21:02:51
心の傷〜第11話〜 (No.971への返信 / 11階層) - カズクン

淳平「う〜ん・・・」

淳平は迷っていた・・・

今日は3月14日・・・ホワイトデーだ。

淳平はつかさへのお返しのプレゼントを買いに来ていた。

淳平「どれがいいものか・・・こういうの初めてだしなぁ・・・それにしてもアイツ・・・一緒に来てくれたってよかったじゃないか・・・」

話は1週間前にさかのぼる・・・






淳平「ただいま〜♪」

淳平母「あら、お帰り、淳平。」

淳平「あ〜、疲れた・・・」

淳平が部屋のドアを開けると・・・

カチャッ

「あ・・・おっす!」

淳平「・・・な・・・お・・・お前・・・いきなり何しに来たんだよ!唯!」

唯「あ〜!ひどぉい!幼馴染みに対して・・・」

淳平の部屋にいた少女・・・「南戸 唯」は淳平の幼馴染みで淳平が心を許す人物の1人だ。

唯「最近じゅんペーが元気になってきたって聞いたから様子を見に来たのに・・・ふぇ〜ん・・・じゅんぺーに嫌がられたぁ・・・」

淳平「だーっ!!泣くなよ!今度和光堂の芋ようかん買ってきてやるから!」

唯「・・・わお!そちも気がきくのう♪」

淳平(やれやれ・・・)

唯「ところでじゅんぺー・・・女の子からバレンタインのチョコもらったらしいじゃん。」

淳平「・・・な・・・なんで唯が知ってるんだよ!」

唯「おばさんから聞いたの♪ついにじゅんぺーもチョコをもらえるまでになったか〜・・・」

淳平(・・・母さんめ・・・余計なことを・・・)

唯「それで・・・お返しはもう買ったの?」

淳平「・・・え?なんで?」

唯「・・・それ・・・本気で言ってる?だとしたらじゅんペー・・・スッゴイニブチン!!」

淳平「う・・・うるせぇ!なんなんだ、会うなりひどいこと言いやがって!」

唯「あのねぇ・・・来週はもうホワイトデーだよ?バレンタインでチョコもらったらその日にお返しするものなの!」

淳平「え・・・そうなの?」

唯「そうなの!!」

そう・・・淳平はバレンタインデーでチョコをもらったのが初めてならお返しをするのも初めてなのだ。

当然のことながらどんなものを買えばいいのかなんてわかるはずもなく・・・淳平は苦悩する。

淳平「な・・・なあ・・・唯・・・女の子って・・・どういうのもらったら喜ぶんだ?」

唯「そんなの人それぞれだよ。これって言うものはないよ!唯の場合はお菓子とかでも全然いいけど・・・」

淳平「さすがにそれは失礼だよな・・・唯!頼む!お返し選ぶの手伝ってくれ!」

唯「・・・イヤだ・・・」

淳平「えぇ!?」

唯「じゅんぺー・・・こういうのは自分で選ばなきゃダメだよ!自分で選んでこそ価値があるの!唯が選んで相手に喜んでもらったってじゅんぺー嬉しくないでしょ?」

淳平「・・・うっ・・・」

唯「・・・というわけで唯帰るからがんばってねぇ〜♪・・・あ、芋ようかん忘れるなよ〜♪」

淳平「お・・・おい!・・・ったく・・・」





そんなわけで・・・淳平は1人デパートで商品とにらめっこしていた。

淳平(いろいろあってわっかんねぇなぁ・・・)

そんなとき・・・淳平はある商品に目が止まる。

淳平(あ・・・これ・・・このペンダント・・・)

淳平が目にしたもの・・・それはいちごをあしらった可愛らしいペンダントだった。

淳平(こういうのでも・・・いいんだろうな・・・値段も手頃な感じだし・・・よし!これにしよう!)

淳平「すいませ〜ん、これください。」

「かしこまりました。」

こうして淳平はホワイトデーのお返しを買いつかさの家へ向かった。





ピーンポーン・・・

『はーい。』

淳平「あ・・・真中といいますけど・・・つかささんいらっしゃいますか?」

『あ・・・淳平くん!ちょっと待ってて!』

数分後・・・つかさが玄関から出てきた。

カチャッ

つかさ「淳平くん!どうしたの?」

淳平「あ・・・いや・・・あの・・・その・・・」

つかさ「・・・?」

つかさは淳平を見て首をかしげる。

つかさ(淳平くん・・・どうしたのかな?)

淳平「に・・・西野!・・・こ・・・これ・・・受け取って!」

淳平はつかさにきれいに包装されたプレゼントを渡す。

つかさ「・・・これは?」

淳平「今日って・・・その・・・ホワイトデーってヤツでしょ?俺・・・こういうの初めてだからわからなくてさ・・・」

つかさ「え・・・わざわざそのために来てくれたの?」

つかさは驚きを隠せない・・・同時に嬉しさも隠せない。

なぜなら淳平からのお返しなんて想像していなかったからである。

女性が苦手な淳平だから・・・きっとお返しは来ない・・・そう思っていたから・・・

つかさ「ねぇ、開けてもいい?」

淳平「ああ、いいよ。」

つかさは包装を取って箱を開けた。

つかさ「・・・うわぁ・・・これ・・・すっごく可愛い♪」

つかさはいちごのペンダントを見て満面の笑みを浮かべる。

つかさ「さっそくつけてみるね♪」

淳平「うん・・・」

つかさはその場でペンダントをつけた。

つかさ「どう?淳平くん?」

淳平「・・・・・・」

つかさ「・・・淳平くん?」

淳平は言葉が出ない・・・いや、言葉が見つからない・・・それくらい似合っていたのだ。

淳平「え・・・と・・・その・・・か・・・可愛いよ・・・すごく!」

つかさ「・・・淳平くん♪」

つかさは笑顔で答えた、そして・・・うっすらと涙を浮かべた・・・

淳平「ど・・・どうしたの?」

つかさ「うん・・・嬉しいの・・・あたし・・・男の子からプレゼントもらうの初めてだから・・・しかもこんな可愛いペンダントくれるなんて・・・」

淳平(西野も初めてだったんだ・・・)

初めてもらった・・・それを聞いて淳平は嬉しくなった。

つかさ「ありがとう!大事にするね♪」

淳平「気に入ってもらえてよかったよ。それじゃ・・・帰るね。」

つかさ「あ・・・ちょっとまって。」

淳平「なに?にし・・・」

スッ・・・

淳平がつかさのほうを振り向いた途端・・・つかさは淳平の頬にキスをした。

淳平「・・・」

つかさ「・・・エヘッ♪お礼だよ♪(ホントは口にしたかったんだけど・・・今の淳平くんには辛いよね・・・)」

淳平を想ってこその・・・精一杯の頬へのキスだった・・・

淳平「西野・・・俺・・・がんばるから!」

つかさ「・・・うん♪」

こうしてホワイトデーは幕を閉じた。

そして淳平たちは2年生へと進級する。

そこでとんでもないことが起こることも知らずに・・・


[No.973] 2008/04/07(Mon) 22:04:36
心の傷〜第12話〜 (No.973への返信 / 12階層) - カズクン

淳平「・・・今日から2年生か・・・」

淳平は感慨深げにカレンダーを見つめる・・・

今日から淳平も2年生になる。

いつもより早めに起きた淳平は支度をしていた。

そのとき・・・

ピンポーン

インターホンのベルが鳴った。

淳平「はーい。」

大草・小宮山「オッス!」

大草と小宮山だった。淳平を迎えに来たのだ。

淳平「ちょっと待ってて、すぐ行くから。」

支度を終えた淳平はすばやく大草たちのもとへ向かった。

カチャッ

淳平「待たせて悪い。行くか!」

そして3人は学校へと向かった。




つかさ「淳平くん、おはよう♪」

淳平「あ、西野!おはよう!」

大草「おはよう、西野。」

小宮山「おはよう、つかさちゃん♪」

つかさ「おはよう!大草くん、小宮山くん♪」

トモコ「3人とも・・・トモコさんには挨拶はなしって訳ですか・・・」

3人「あ・・・おはよう!」

トモコ「おそ〜い!・・・まっ、いいけどね♪」

つかさ「それより早く新しいクラス見に行こうよ!」

大草「そうだな!」

小宮山「みんな同じだといいな!」

淳平「そうだな!」

そして5人は掲示板に張られている新しいクラス名簿に目を通した。

淳平「・・・おっ!・・・やったぁ、みんな一緒だ〜♪」

つかさ「やったね、今年もよろしくね、淳平くん♪」

トモコ「よろしくね、みんな!」

大草「こちらこそ、よろしくな!」

小宮山「よっしゃ〜!ことしもつかさちゃんとトモコちゃんと一緒だ〜!!」

全員同じクラスになった・・・その事実は淳平にとってとても心強かった。

誰もが楽しい2年生をおくれる・・・そう思っていた・・・

しかし・・・それは突然やってきた。






それは2ヶ月が経ったある日のことだった。

淳平「おっす!みんな、おはよう!」

つかさ「おはよう♪」

大草「おはよう!おい、真中。噂だと今日転入生が来るらしいぞ!」

淳平「え・・・ホントか?」

トモコ「なんか男の子らしいよ♪楽しみだなぁ♪」

小宮山「チェッ・・・野郎じゃなぁ・・・なんか面白くないなぁ・・・」

つかさ「まあまあ・・・いいじゃん!新しい子に変わりはないんだから仲良くしないとね!」

ガラッ

黒川「よし!授業を始める・・・その前に転入生を紹介するぞ。」

そして、クラスの全員が入り口に注目した。

ガラッ

「初めまして!」

入ってきたのは背が高く、顔が整った、大草とも引けを取らない男子生徒だった。

「自分の名前は『堂島 孝平(ドウジマ コウヘイ)』です!よろしく!」

周り・・・特に女子生徒からは黄色い声が飛び始めた。

「堂島くんって・・・なんかカッコいい♪」

「すてきよねぇ♪」

逆に男子生徒はそんな堂島をよく思っていなかった。

「なんだよ・・・入ってくるなり・・・」

「不公平だよなぁ・・・」

大草(・・・なんだかなぁ・・・)

つかさ(確かにカッコいいけど・・・そんなに騒ぐほどかなぁ?あたしは淳平くんのほうがカッコいいと思うけど♪)

トモコ(う〜ん・・・)

小宮山(なんか面白くねぇなぁ・・・)

それぞれがそんなことを思いながら淳平のほうを見ると・・・明らかに冴えない顔をしている淳平に気がついた・・・それどころか青ざめているようにも見えた。

大草「お・・・おい真中・・・大丈夫か?顔色悪いぞ?」

大草が小声で淳平を心配したが・・・

淳平「あ・・・ああ・・・なんでも・・・ない・・・」

淳平はあくまで何もないようなしぐさをみせる。

どこをどう見てもなんでもないようには見えなかった・・・しかし大草を含む4人はあえて追求はしなかった。

黒川「よし、じゃあ堂島は西野の隣に座ってくれるか?」

堂島「えっと・・・どこですか?」

黒川「あの金色の髪をした女子が西野だ。」

堂島「・・・あのコ!?うわぁ・・・すっげぇカワイイじゃないっすか!いいんすか?」

黒川「そこしか空いてないからな。」

堂島「はーい♪」

つかさ「よろしくね、堂島くん!」

つかさは堂島に笑顔で答えた。






昼休みになり転入生の噂を聞きつけた他のクラスの生徒がいっせいに淳平たちのクラスへ押しかける。

「みてみて!あの人じゃない?転入してきた人って!」

「キャ〜ッ!メッチャ好みなんだけどぉ♪」

「こっち向いて〜♪」

「なんだ・・・男かよ・・・面白くねえ・・・」

大草「さっそく話題になってるな・・・堂島のこと・・・」

小宮山「ホント・・・カッコいいやつはいいよなぁ・・・」

トモコ「ホント・・・あたし立候補してみようかなぁ?」

つかさ「トモコったら・・・いきなりそれは早いんじゃないの?ねぇ、淳平くん♪」

淳平「・・・ああ、そうだな・・・」

相変わらず淳平の顔色は冴えない・・・

そんな中・・・堂島がつかさに話しかけた。

堂島「なあ、西野さん!」

つかさ「なに、堂島くん?」

堂島「放課後空いてないかな?込み入った話があって・・・」

つかさは直感した・・・告白だろうな、と・・・

つかさ「(ここで断るのも失礼だし・・・)うん、いいよ。」

堂島「よっしゃあ!放課後体育館裏で待ってるから!」

そういい残し堂島はその場をはなれた。

トモコ「あのノリは告白だろうね・・・」

大草「どうすんの?」

つかさ「もちろん断るよ。あたしには淳平くんがいるもん♪」

淳平「・・・西野・・・」

小宮山「それより真中・・・お前大丈夫か?ずっと顔色が冴えねえけど・・・」

淳平「え!?い・・・いや・・・別に・・・」

つかさ(・・・淳平くん・・・何か隠してる?)

つかさはそう思ったが・・・無理に聞いて淳平の気を損ねるよりは・・・と思い、聞くのをやめた・・・





そして放課後・・・

つかさ「それじゃ、ちょっと行ってくるね。」

大草「おう。俺たちみんな校門の方で待ってるから!」

そしてつかさは堂島の待つ体育館裏へと向かった。

堂島「やぁ!待ってたよ。」

つかさ「話って何かな?」

堂島「うん・・・いきなりで悪いと思ってるんだけど・・・一目惚れしちゃってさ・・・俺と付き合ってください!!」

つかさ「(・・・やっぱりね・・・)悪いけどキミのことまだそんなよく知らないし・・・それにあたし・・・好きな人いるから。」

堂島「・・・え!?誰だよ、そいつ!?」

つかさ「別に誰だっていいじゃん!それじゃ、行くね?」

堂島「ちょ、ちょっと西野さん!」

堂島はつかさのあとを追う。そして・・・堂島はある光景を目にする。

つかさ「お待たせ〜♪淳平くん、みんな♪」

つかさは淳平の腕を取った。

淳平「お、おい西野・・・」

つかさ「いいじゃん、腕くらい♪」

大草「真中もだいぶ西野のこと受け入れられるようになったよな。」

淳平「ああ!」

トモコ「この分だと克服できそうだね♪」

小宮山「がんばれよ、真中!」

堂島(な・・・西野さんって・・・あんな冴えないやつのことが好きなのか!?)

堂島(しかも名前で呼んでたし・・・淳平くんって・・・)

堂島(・・・ん?・・・なんだ?あの名前・・・どこかで聞いたような・・・)

堂島(・・・・・・!!)

その瞬間・・・堂島は不敵な笑みを浮かべた・・・

このとき・・・淳平たちは知らなかった・・・とんでもないことが起こることを・・・


[No.975] 2008/04/10(Thu) 18:54:22
心の傷〜第13話〜 (No.975への返信 / 13階層) - カズクン

翌日・・・淳平はいつものように学校へ行く支度をしていた。

ピンポーン

淳平「はい。」

『あ、大草ですけど。』

淳平「待ってて。今行く!」

そして・・・いつものように大草・小宮山と揃って学校へと向かった。





つかさ・トモコ「おはよう!」

3人「おはよう!」

そして、いつものようにつかさ・トモコと顔をあわせ、5人で教室まで向かう・・・ここまではなんら変わりなかった・・・しかし・・・





教室へ入ると重苦しい空気が流れていた。

そして・・・ある1人の生徒が淳平の姿を発見した途端・・・それは起こった。

「おっ、女嫌いの真中さまがいらっしゃったぞ〜!」

5人「!?」

淳平を含む5人は状況が把握できなかった。

しかしそれはどんどん広がっていった。

「しっかし真中って子供のころからこんな大胆なことしてたんだな・・・びっくりだよ・・・」

「しかも校庭の目立つところであんなことするなんて・・・」

「ホンット最悪よねぇ・・・」

周りは淳平を蔑んだような目で見つめていた。

淳平「な・・・なんなんだよ、いきなり!」

淳平は声を荒げる。そのとき・・・つかさがあるものを発見した。

つかさ「・・・!!!じゅ、淳平くん・・・あ・・・あれ・・・」

つかさが指差した先は黒板だった・・・そして黒板を見て・・・淳平たち5人は絶句する・・・そこには・・・

『僕は女が大嫌いです!』

この言葉と共に淳平の生まれたままの姿が写された写真が何枚も貼られていたのだ。

しかも・・・写真だけではなく淳平を馬鹿にするような言葉がこれでもかとばかりに書きたてられていた。

大草「な・・・なんだよ・・・これ・・・」

小宮山「だ・・・誰だ!こんなことをしたヤツは!」

トモコ「信じらんない・・・」

そのとき・・・1人の生徒が声をあげた。

『おっす、西野さん、みんな!』

つかさ「・・・堂島くん・・・」

5人に声をかけたのは・・・堂島だった。

大草「・・・これはどういうことだ?誰がやったんだ?」

つかさ「お願い・・・教えて、堂島くん!」

堂島「教えてほしいかい?」

小宮山「当たり前だ!ぶん殴ってやる!」

トモコ「許せない・・・ゼッタイ!」

そんな5人をあざ笑うかのように・・・堂島はこたえた。

堂島「・・・昨日は西野さんしか見てなかったから気づかなかったけど・・・まさかまた会えるなんてなぁ・・・」

大草たちは何のことかわからず首をひねる・・・ただ一人・・・淳平を除いて・・・

堂島「・・・久しぶりだなぁ・・・泣き虫真中。」

4人(!?)

ここで4人は・・・初めて淳平と堂島が前から知っていた仲だということに気づいた。

淳平「堂島・・・てめぇ・・・」

堂島「いやぁ、初めはわからなかったよ。」

淳平「・・・なんで・・・いまさらこんなことをしやがる・・・」

淳平は今にも爆発しそうな怒りを抑えて堂島に尋ねた。

堂島「ふん・・・あのときのお返しだ。」

淳平「・・・お返しだと?」

堂島「そうさ・・・あの時・・・てめぇがもっと早く服を取りに行ってれば・・・あんなことにはならなかったんだ!おかげで俺は先公から大目玉さ!」

大草(・・・なんだと!?)

トモコ(もしかして・・・コイツ・・・)

小宮山(コイツが・・・)

そんな時・・・つかさがたまらず堂島に尋ねた。

つかさ「・・・キミなの?」

堂島「・・・?」

つかさ「キミが・・・6歳のとき淳平くんにあんな仕打ちを・・・」

堂島「・・・!へぇ・・・知ってるんだ・・・なんでかは知らないけど・・・」

大草「俺たち・・・黒川先生から真中のことを聞いた・・・そんなことより・・・こたえろ・・・これは全部・・・お前の仕業か?」

堂島「ここまで言ったんだからもうわかっただろ?そうさ・・・6歳のときも・・・そして今回も・・・やったのは全部俺さ!!」

堂島のその言葉を聞いた途端・・・なにかが弾けたように小宮山が飛び出した。そして・・・

バキィッ!!

小宮山は堂島の右頬に強烈なパンチを見舞った。

小宮山「堂島ぁぁ!!!てめぇぇぇぇ!!」

突然の出来事に当たりは騒然とする。

しかし・・・小宮山の怒りは当然収まらなかった。

つかさ「小宮山くん!やめて!」

あわててつかさが止めに入るものの小宮山は止まらない。

小宮山「つかさちゃん、止めないでくれ!コイツだけはゆるさねぇ!」

大草「小宮山落ち着け!騒ぎが大きくなるだけだ!!」

大草も止めに入る・・・しかし、つかさも大草も、そしてトモコも・・・

怒りは限界に近づいていた。その怒りを必死で抑えているような状態だった。

そのとき・・・体勢を立て直した堂島がお返しとばかりに小宮山に殴りかかった。

ドカァッ!

小宮山「うわっ!」

小宮山は体勢を大きく崩しその場に倒れてしまった。

淳平「こ、小宮山!」

堂島「ふん・・・俺が空手やってるの知らずにかかってくるからそうなるんだ!」

淳平「もうやめてくれ!!!」

淳平は悲痛な叫びで堂島に訴えた。

堂島「ふん・・・やめねぇよ・・・」

淳平「・・・どうすれば・・・やめてくれるんだよ・・・」

淳平は堂島に尋ねた・・・そして・・・堂島が返した言葉は・・・淳平にとって最も重い一言だった。

堂島「・・・西野さんとかかわるな。」

つかさ「・・・な・・・」

淳平「・・・なんでだよ・・・」

堂島「女を満足に好きになれないようなヤツがなに言ってやがる!」

淳平「・・・」

淳平は言葉が返せない・・・そんな淳平に堂島は次の一言で完全に止めを刺してしまった。

堂島「そんなんじゃ女の子はもちろんまわりの人間も迷惑なんだよ!」

この瞬間・・・淳平の中で何かが壊れた・・・そして・・・

淳平「みんな・・・今までゴメン・・・」

そういい残し、淳平は教室から走り去ってしまった・・・

つかさ「淳平くん!!!」

大草「真中!!!」

そして・・・最悪の事態へと進んでいく・・・


[No.976] 2008/04/14(Mon) 18:33:16
心の傷〜第14話〜 (No.976への返信 / 14階層) - カズクン

大草「まずいぞ・・・俺真中の後を追うから!」

つかさ「あ、あたしも行く!」

トモコ「あたしも行きたいけど・・・小宮山が心配だから残るよ。」

そしてつかさと大草は淳平の後を追いかけた。

小宮山は堂島から食らった一撃で気を失っていた。

そんなときだった・・・

ガラッ

黒川「よし、授業を・・・な・・・なんだ、これは!!!」

黒川は黒板と倒れている小宮山を見て叫んだ。

トモコ「せ・・・先生・・・真中が・・・真中がぁ・・・」

黒川「真中に何があった!?」

トモコは泣きながら黒川に全てを話した。

黒川「そうか・・・おい、堂島!!」

堂島「なんっすか?」

黒川「お前後で職員室に来い・・・それより先に真中を探すぞ!お前たちは教室で自習していろ!」

そういい残し黒川は教室を飛び出した。

「やったー。自習だってよ!」

「これで寝られるな♪」

「ホントラッキーよね♪」

そんな周囲の言葉を聞き・・・ついにトモコの怒りが爆発した。

トモコ「あんたたち・・・人間じゃない・・・」

「はぁ?だって真中が勝手に出ていったんじゃん・・・」

「そうよね・・・別にあたしたちは何もしてないし。」

「ていうかなんでトモコちゃんあんなヤツのために一生懸命なの?」

「かかわらないほうがいいよ?トモコちゃんまで嫌われちゃうよ?」

あまりにも勝手な周囲の意見にトモコの怒りはさらに増した。

トモコ「あんたらだって真中のこと全部知ったんだろう?何とか力になってあげたいとは思わないわけ!?」

「・・・」

周りは黙ってしまった・・・

トモコ「もし・・・あんたらがそんなこと少しも思ってないんだったら・・・あたしはあんたらを許さない。」

小宮山「・・・イテテテ・・・その通りだ・・・」

トモコ「小宮山!気がついた?」

小宮山「ああ・・・お前ら・・・見てみぬふりかよ・・・それじゃあ堂島と同じだな・・・てめえら全員カスだ・・・」

「なんだとぉ!?」

「小宮山に言われたくないわよねぇ!!」

周囲は激しく反発する。

小宮山「・・・もういい・・・こんなやつら相手にしてても無駄だ・・・トモコちゃん、俺たちも真中を探しに行こう。」

トモコ「・・・そうだね・・・」

そして小宮山とトモコも淳平を探すため教室を飛び出した。

黒川(真中・・・クソッ!どこへ行った?)

大草(どこに行ったんだ・・・真中・・・)

小宮山(真中よぉ・・・)

トモコ(真中・・・ゴメンね・・・守れなくて・・・)

つかさ(淳平くん・・・お願い・・・お願いだから・・・変な気を起こさないで・・・)

5人それぞれが淳平の行方を追い・・・そして無事を祈っていた。

しかし・・・それは叶わなかった・・・






ドサッ!!

5人(・・・い・・・今の音は・・・)

5人が鈍い音に気がついた・・・その瞬間だった・・・

「き・・・きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「ひ・・・ひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

5人はその悲鳴を聞きつけ急いで校舎の外へと向かった。






黒川「どうした!?何があった!?」

黒川が悲鳴を上げた女子生徒に声をかけた。

「う・・・上・・・」

黒川「・・・?」

「上から・・・人が・・・」

黒川「!?」

女子生徒が指差した先は花壇だった・・・そして・・・そこには・・・最も見たくなかった・・・最も起こってほしくなかったことが起こってしまっていた・・・

黒川「ま・・・ま・・・真中ぁ!!」

大草「・・・じょ・・・冗談だろ・・・」

小宮山「・・・う・・・嘘・・・だよなぁ・・・」

トモコ「・・・」

全員言葉を失い・・・つかさはひざから崩れ落ち・・・泣き叫ぶ・・・

つかさ「淳平くん・・・じゅ・・・ん・・・ぺい・・・くん・・・い・・・いやあぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・」

黒川「落ち着け!まだ息はある!すぐに救急車を呼ぶんだ!急げぇ!!」

4人「は・・・はい!!!」






数分後・・・救急車が到着し・・・何も言わない淳平を乗せた救急車は黒川を含む5人と共に救急病院へと向かっていった・・・


[No.978] 2008/04/15(Tue) 18:19:24
心の傷〜第15話〜 (No.978への返信 / 15階層) - カズクン

救急病院に着くと淳平はすぐさま手術室へと姿を消した。

黒川たち5人は待合室でひたすら待った。

つかさ「・・・淳平くん・・・お願い・・・無事でいて・・・」

そのとき・・・淳平の母と唯が駆けつけてきた。



淳平母「あの・・・真中淳平の母です。」

黒川「・・・お母様・・・大変申し訳ございませんでした・・・私の監督不行き届きでこんなことに・・・」

黒川は今にも泣きそうな顔で深々と頭を下げた。

淳平母「いえ・・・黒川先生・・・頭をお上げになってください。」

唯「・・・じゅんぺー・・・」

黒川「唯ちゃん・・・すまない・・・」

トモコ「あ・・・あの・・・」

黒川「・・・どうした?」

トモコ「その子は・・・?」

黒川「ああ・・・この子は・・・真中の幼馴染みの子だ。」

大草(幼馴染み・・・か・・・)

唯「あ・・・はじめまして・・・『南戸 唯』と言います。」

4人「よろしくお願いします。」

そして4人は唯にそれぞれ自己紹介をした。






淳平が手術室に入ってから3時間以上が経過した。

まだ出てこない・・・その場にいた全員にどうしようもない不安が走る・・・

小宮山(頼む・・・無事で・・・無事でいてくれよ・・・)

大草(お前がいなくなるなんて・・・考えないからな!)

トモコ(今度こそ・・・みんなでキミの事を守るから・・・だから・・・)

つかさ(・・・淳平くん・・・あたしと約束したでしょ?破っちゃ・・・イヤだよ・・・帰ってきてよ・・・)

そのとき・・・

フッ・・・

「手術中」のランプが消えた。

そして痛々しい姿で淳平が手術室から出てきた。

つかさ「淳平くん!」

小宮山・大草「真中!」

トモコ「真中・・・」

医師「・・・ふぅ・・・」

黒川「先生・・・真中は・・・」

医師「いやぁあの患者さんは幸運の持ち主だ。一命はとりとめましたよ。」

全員「・・・!!」

医師の言葉を聞いた瞬間・・・全員の顔から安堵の表情が浮かんだ。

つかさ「よかった・・・淳平くん・・・よかったよぉ・・・グスッ・・・グスン・・・」

大草「がんばったな・・・真中・・・」

医師は言葉を続けた。

医師「但し・・・何らかの症状は出るかもしれません・・・花壇の土とはいえ頭を打ち付けていますので・・・」

淳平母「そうですか・・・」

医師「とにかく手術は無事成功です。しばらくは集中治療室に入ってもらって、来週には一般病棟に移れると思います。」

全員「ありがとうございました!」

医師「いえ。あとは真中くんのがんばり1つだと思いますので・・・皆さんも真中くんを最大限サポートしてあげてください。」

そういい残し・・・医師はその場を後にした。

淳平母「皆さん・・・申し訳ございませんでした。あとはあたしが付き添いますので・・・」

つかさ「あの・・・あたしも付き添っていいですか?」

淳平母「あら、あなたは確か・・・つかさちゃんだったわよね?」

つかさ「はい。」

淳平母「助かるわ。そのほうが淳平も喜ぶだろうから。」

つかさ「ご迷惑をかけるかもしれませんが・・・」

淳平母「そんなことないわよ。人がいたほうがあたしも助かるから。」

唯「ホントはあたしもいたいんですけど・・・今日は用事があるのでこれで・・・」

黒川「私も学校へ戻って今日のことを報告しないといかんからな。すまないが大草たちは私についてきてくれ。」

大草・小宮山・トモコ「わかりました。」

そして・・・淳平と淳平の母・・・そしてつかさを残し黒川たちは病院を後にした。

淳平はとてもケガ人とは思えないような顔で眠っている・・・もっとも麻酔がきいているので眠っている、とは言いがたいが・・・

そんな淳平を見てつかさが淳平に声をかけた。

つかさ「淳平くん・・・どうして・・・飛び降りなんてしたの?」

つかさ「あたしの・・・あたしたち4人のせいなの?」

つかさ「もし・・・そうだとしたら・・・あたし・・・淳平くんにあわせる顔がないよ・・・」

そのとき・・・淳平の母がつかさに声をかけた。

淳平母「つかさちゃん・・・自分を責めないで。」

つかさ「・・・でも・・・」

淳平母「つかさちゃん・・・淳平なんだけどね・・・つかさちゃんのことが好きみたいなのよ・・・」

つかさ「・・・!」

淳平母「自分ではまだダメかも・・・まだわからない・・・そんなことばかり言っているけど・・・」

淳平母「この子ね・・・つかさちゃんの話をするとき実に楽しそうな顔をして話すのよ。」

つかさ「え・・・そうなんですか?」

淳平母「ええ。今まで自分から女の子とのことなんて話さなかったのに・・・こっちから話しても嫌な顔をするだけだったのに・・・」

淳平母「きっと・・・それだけつかさちゃんに何かを感じたんでしょうね・・・」

つかさ(淳平くん・・・嬉しい・・・あたしも・・・淳平くんのこと好きだから・・・だから・・・)

淳平母「これからも淳平のことお願いね?」

つかさ「はい!約束します!」

つかさは淳平の母と固い約束を交わすのだった・・・


[No.980] 2008/04/17(Thu) 14:04:12
心の傷〜第16話〜 (No.980への返信 / 16階層) - カズクン

淳平が入院してから1週間が経った。

淳平は一般病棟へ移ったもののいまだ目を覚まさないでいた。

ほぼ毎日のように淳平の母、つかさや大草たち、そして唯がお見舞いに訪れるのだが・・・目を覚まさない。

そして今日も黒川を除く全員がその場に来ていたのだ。

ちなみに黒川は淳平の事故の後始末、そして堂島に対する処罰その他諸々の対応に追われていて動けなかった。







淳平母「先生・・・淳平はいつ目を覚ますんでしょうか・・・」

「・・・はっきりとした日はいえませんが・・・もうすぐ目を覚ますと思います。」

つかさ「・・・あれから1週間経つんだね。」

大草「・・・ああ。」

小宮山「真中・・・はやく・・・目ぇ覚ませよ・・・」

トモコ「みんな・・・キミが目覚めるのを待ってるんだから・・・」

唯「じゅんペー・・・」

全員が祈るように淳平に目をやる。

・・・そのときだった。

「・・・う・・・う〜ん・・・」

かすかな声が辺りにこだまする・・・

全員が一斉に向けた視線の先には・・・

眠そうな顔をしながら上半身を起こした淳平の姿があった。

つかさ「あ・・・」

淳平「・・・」

つかさ「う・・・う・・・うぅぅ〜っ・・・」

つかさは淳平の姿を見て泣き崩れた。

大草たちも目に涙をためながら淳平に声をかける。

大草「真中・・・気づいたか・・・よかった・・・ホントによかった・・・」

小宮山「馬鹿野郎!!飛び降りなんかしやがって・・・心配したんだぞ!」

トモコ「そうだよ・・・死んじゃったかと思ったんだから・・・」

唯「じゅんペーのバカァ!!唯を置いて行かないでよぉ・・・」

そんな光景を淳平はきょとんとした顔で見つめる・・・

誰もがこれで元通りになる・・・そう思っていた・・・

しかし・・・母だけが淳平のわずかな異変に気がついた。そして母が淳平に話しかける。

淳平母「・・・淳平・・・淳平、大丈夫?」

そして次の淳平の言葉で・・・その場にいた全員を一瞬で奈落へと突き落とした。

淳平「・・・おばちゃん・・・誰?」

淳平母「・・・淳平・・・あ・・・あんた・・・」

唯「ちょっと!!じゅんぺー、自分の母親でしょ!?なんでそんなこと・・・」

淳平「・・・お姉ちゃん・・・だれ?」

誰もが言葉を疑った。淳平の悪ふざけだとばかり思っていた。

大草「おい、冗談はやめろって・・・」

淳平「・・・お兄ちゃんは・・・誰?」

小宮山「いい加減にしろよ!大草や・・・俺まで忘れちまったのかよ!」

淳平「・・・このおにいちゃん・・・怖いよぉ・・・」

トモコ「・・・嘘でしょ・・・」

そして・・・つかさも淳平に話しかけてみる。

つかさ「ねぇ・・・嘘・・・だよね?淳平くん・・・嘘なんでしょ?あたしも・・・忘れちゃったの?」

淳平「・・・お姉ちゃん・・・だれ?それに・・・じゅんぺいって・・・誰なの?」

つかさ「そんな・・・自分の名前も忘れてるなんて・・・」

少なからず後遺症が出るかもしれない・・・医師の言葉は現実となった・・・しかも・・・最悪の形で・・・

淳平「・・・この人たち・・・怖いよぉ・・・うえぇ〜ん・・・」

淳平は泣き始めてしまった・・・そこで始めた全員が気づいた。

全員(・・・いつもと様子が全然違う・・・)

そこに担当医がやってきた。

「すいません・・・ちょっとよろしいですか?真中さんの術後の経過を説明させていただきたいのですが・・・」

淳平母「・・・わかりました。どのくらいで終わりますか?」

「はい・・・30分くらいで済みますので・・・よろしかったら付き添いの方々もご一緒に・・・」

全員「わかりました。」

そして・・・病室に淳平を残し、全員は応接室へ案内された。

淳平母「先生・・・淳平は・・・」

「・・・はい・・・大変お気の毒ですが・・・真中さんは・・・記憶を失くされております。」

全員「・・・」

「おそらく・・・直前に起こった出来事によるものかと思われます。」

つかさ「・・・どういう・・・ことですか?」

「自分の過去の傷を拡げられたことにより、その部分を抹消してしまおうという一種の防衛機能が働いたのでしょう。」

「しかし・・・それが強すぎたのでしょう・・・自分の名前も忘れてしまってる上に・・・自分の年齢を6歳だと思い込んでしまっている・・・」

大草「そ・・・そんな・・・」

小宮山「先生・・・真中は・・・元に戻れるんですか!?」

「・・・わかりません・・・一時的なものではあると思いますが・・・いまの状態ではかえって悪影響を与えかねません。」

トモコ「それじゃあ真中は・・・」

「・・・大変申し上げにくいことですが・・・皆さんと一緒に卒業することはほぼ不可能です・・・」

つかさ「・・・そんな・・・淳平くん・・・淳平・・・くん・・・」

「・・・だからといって放っておく訳にもいきません。皆さんはできる限り真中さんにやさしく接してあげてください。」

「そうすることで真中くんは心を開いていくかもしれません。その過程で記憶を取り戻す・・・ということもあります。」

唯「ホントですか!?」

「・・・確信はありませんが・・・ただ我々も精一杯のことはさせていただきます。ですから皆さんもどうか悲観的にはならないでください。」

「・・・一番辛いのは他ならぬ真中さん本人です。本人を決して不安にさせないようにしてください。」

全員「・・・わかりました。」

こうして医師の説明が終わり全員は再び淳平が待つ病室へと戻っていった。


[No.984] 2008/04/21(Mon) 20:05:42
心の傷〜第17話〜 (No.984への返信 / 17階層) - カズクン

病室へ戻ると・・・先程とはうって変わって明るい表情の淳平が全員を出迎えた。

淳平「あ、お帰りなさい!」

無邪気な笑顔を振舞う淳平・・・つかさはそれを見て胸が痛くなった。

つかさ(淳平くん・・・記憶がなくなったって言うのに・・・)

淳平母「淳平・・・申し訳ないけどもう少し入院が必要だって言うからガマンしてちょうだいね・・・」

淳平「(・・・僕の名前・・・淳平って言うんだ・・・)うん!わかった!」

淳平母「その間ここにいるみんなができる限り淳平のこと世話するから心配しないでね?」

淳平「・・・この人たち・・・誰?」

淳平のセリフを聞いて、大草たち5人はまたもや泣きそうになった、しかし・・・

『一番辛いのは他ならぬ真中さん本人です。』

医師のこの言葉が大草たちの胸を打ったのだろう。あくまで優しく接しよう・・・そう思わせたのだ。

大草「俺は大草っていうんだ。よろしくな、ま・・・あ、いや、淳平!」

小宮山「俺は小宮山力也っていうんだ。力也でいいぞ!」

淳平「大草兄ちゃんと力也兄ちゃんだね!」

トモコ「あたしはトモコでいいよ♪」

淳平「うん、トモコ姉ちゃん!」

唯「あたしは南戸唯っていうの。唯でいいからね、じゅんぺー♪」

淳平「よろしく、唯姉ちゃん!あとは・・・この・・・すごく綺麗な人・・・」

記憶を失ってはいても他の4人と何かが違う・・・淳平はとっさに感じ取ったのだろう。明らかに違う反応を示した。

つかさ「あたしは西野つかさ・・・つかさって呼んでね、淳平くん♪」

淳平「うん・・・よろしく!つかさ姉ちゃん!」

記憶を失くし年上に見られているとはいえ・・・淳平から『つかさ』と呼ばれたのははじめてであるがゆえ・・・つかさは一瞬顔を赤くした。

淳平「つかさ姉ちゃん・・・どうしたの?」

つかさ「えっ!?あ、いや、なんでもないよ。」

トモコ「つかさ、おぬし・・・名前で呼ばれたのが嬉しかったな?」

つかさ「ちょ、ちょっと!こんなときにそんなこと・・・」

トモコ「隠すな隠すな♪」

つかさ「・・・バカ・・・」

久しぶりに訪れたやすらかなひととき・・・その場にいた全員が柔らかな笑顔に包まれた。





大草「さて・・・そろそろ行くか。またな、淳平!」

小宮山「しっかり寝てろよ!」

淳平「うん!バイバイ、大草兄ちゃん、力也兄ちゃん!」

トモコ「つかさ、あたしたちも行こう。」

つかさ「そうだね・・・じゃあまたね、淳平くん♪」

淳平「バイバイ、つかさ姉ちゃん、トモコ姉ちゃん!」

こうして4人は病室を後にした。

大草「・・・やりきれねぇ・・・」

小宮山「ああ・・・」

トモコ「なんで・・・なんで真中がこんな目にあわなきゃいけないの・・・」

つかさ「うっ・・・うっ・・・淳平くん・・・」

病室を出た直後・・・4人はそれまで抑えていた感情があふれてしまった。

そのときだった。

淳平母「・・・ちょっといいかしら4人とも・・・」

淳平の母が4人のあとを追ってきた。

大草「おばさん・・・どうしたんですか?」

淳平母「ええ・・・実は淳平の今後のことについてなんだけど・・・あなたたちには話しておこうと思って・・・」

小宮山「・・・今後・・・ですか?」

淳平母「・・・あくまで黒川先生と相談してからだけど・・・休学届を出して・・・記憶を取り戻すことに専念させてみようと思うの・・・」

トモコ「え・・・でも・・・それはまずいって・・・」

淳平母「ええ・・・わかってる・・・でも今の状態では学校になんか行けないし・・・記憶が戻らないにしてもせめて学校に行ける状態だけにはしてあげたい・・・」

淳平の母は真剣な顔つきで4人に告げた。

つかさ「・・・わかりました。そのほうが・・・淳平くんにとって一番いいでしょうから・・・」

淳平母「・・・ごめんなさいね・・・みんなをこんなことに巻き込んでしまって・・・」

大草「いえ、謝るのは俺たちのほうです。アイツのこと守ってやれなかった・・・」

小宮山「俺・・・アイツのためなら何でもします。たとえ記憶が戻らないにしても・・・親友ですから!」

トモコ「・・・ひどいことをしちゃったあたしが言えたことじゃないですけど・・・真中くんはいい人です。あたしも彼の力になってあげたいです・・・」

淳平母「・・・みんな・・・」

つかさ「あたしも・・・淳平くんのために一生懸命がんばります。淳平くんとの約束もあるから・・・」

淳平母「・・・約束って?」

つかさ「・・・ごめんなさい・・・今は言えません・・・でも・・・いつか淳平くんが全てを思い出したら・・・」

つかさは真剣な表情で淳平の母に告げた。

淳平母「・・・わかったわ。今はムリに聞かない。」

つかさ「すいません・・・」

淳平母「いいのよ。淳平にとって4人は希望だから。あたし自信自身淳平が記憶を取り戻すにはあなたたちの力が絶対に必要だと思うから。」

4人「・・・」

淳平母「お願い・・・どうか・・・あの子の力になってあげて・・・淳平を・・・助けてあげて・・・」

そういうと淳平の母は泣きながら深々と頭を下げた。

4人「もちろんです!」

淳平母「ありがとう・・・ホントに・・・ありがとう・・・」

そういうと淳平の母は病室へと戻っていった。

4人は改めて決意した。

淳平の力になると・・・そして・・・必ず記憶を取り戻させてみせる、と・・・


[No.988] 2008/05/01(Thu) 11:11:05
心の傷〜第18話〜 (No.988への返信 / 18階層) - カズクン

早いもので淳平が無事に退院してから半年近くが過ぎようとしていた。

淳平は、退院はしたものの未だに記憶は戻らないままだった。

生活スタイルも大幅に変わってしまった。

まずは学校だ。

淳平の母も大草たちに話していた通りだがあのあと黒川と話し合った結果、予定通り休学届を提出したのだ。

ただ、今の状況では到底学校には行けないため無期限の休学扱いとなっている。

最悪の場合はそのまま退学・・・その話もちらほら出始めている。

ちなみに原因を作った堂島だが・・・

職員会議にかけられた結果、堂島自身も無期限の停学処分が下った。

実際には堂島自身もかなりまいってしまったようだ。

まさか淳平がそのようなことになるとは思っていなかったのだろう・・・

その後堂島は何度か淳平のところにお見舞いに行こうとした。

しかし・・・病院の手前で足が止まり、帰ってしまう・・・それの繰り返しだった。

淳平が退院した今でもその状態で、なかなか淳平本人に会えていない。

もっとも行ったとしてもつかさをはじめとする4人に面会を断られるだろうから、というのもあるようだ。

次にカウンセリング。

今までは週1回だったのが週3回必要になった。

清水先生と淳平の母が二人三脚で何とか淳平の記憶を呼び起こそうと頑張っているのだがなかなか効果は現れてくれなかった。

淳平母「・・・思うようにいきませんね・・・」

清水「こればかりはあせってはいけないんです・・・じっくりいくしか・・・」

何とか淳平の記憶を・・・

そんな母の願いもむなしくただ時間だけが過ぎていき・・・気がつけばクリスマスのイルミネーションが街を彩っている・・・そんな時期になってしまった。







一方・・・ある家では1人の少女が鼻歌交じりにあるものを作っていた。

つかさ「・・・よし!できた〜♪うん、けっこううまくできたかな♪」

つかさはケーキを作っていたのだ。真中家でクリスマスのパーティーのためだ。

もちろんパーティーにはつかさだけではなく大草や小宮山、トモコ、そして唯も一緒に行く。

この半年この5人・・・特につかさは淳平のためにあらゆる手を試してみた。

思い出の場所に行ってみたり、遊んでみたり・・・時には記憶喪失に関する医学書までひらいてみた。

それでも淳平の状態は変わらなかったのだ。

ただ・・・前と違っていたのはごく自然に人と関われるようになっていた。

記憶がなくなっているので当然といえば当然だが・・・それがつかさには嬉しかったのだ。

だから・・・記憶を戻させたい一方で・・・戻ったときの反応が怖い・・・そんな思いもあった。

つかさ(記憶が戻ったら・・・きっと今みたいには話せないんだろうなぁ・・・でも・・・戻らないままよりはずっといい・・・それが淳平くんのためだもん・・・)

そうこうしているうちに大草たちがつかさの家にやってきた。

大草「おーい、西野〜。」

つかさ「(あ、大草くんたちだ。)待って、今行くから!」

支度を終えたつかさは大草たちと共に淳平の家へと向かいだした。

大草「真中の記憶・・・今年中には戻らなさそうだな・・・」

小宮山「そうだな・・・まぁあせっても仕方ないだろ・・・」

トモコ「そうだよね・・・ところでつかさ、その手に持ってるのは?」

つかさ「これ?ケーキだよ。あたしが作ったんだ。」

小宮山「え!?つかさちゃんの手作り?うおぉ!楽しみだ〜!」

大草「西野ってそんな器用なことできるんだ。」

つかさ「まぁね♪みんなに食べてもらいたくて。」

トモコ「みんなじゃなくて真中に、のまちがいでしょ?コノコノ〜♪」

つかさ「な・・・もう・・・トモコったら・・・」

つかさは顔を真っ赤にさせた。

ほとんど図星だった。クリスマスケーキを作ったのはみんなに・・・というより淳平に食べてもらいたい・・・そう思っていたのだ。

小宮山「まあまあ・・・つかさちゃんらしくていいじゃない。」

大草「おっ、見えてきたぞ。真中の家が。」

つかさ「今日は精一杯楽しもうね、みんな♪」






ピンポーン♪

淳平母「はーい。」

『西野です。4人でパーティーに来ました〜♪』

淳平母「あ、どうぞ上がって♪」

ガチャッ

4人「おじゃまします。」

唯「みなさん、こんにちは♪」

トモコ「唯ちゃん、こんにちは♪」

大草「唯ちゃん・・・真中は?」

淳平「ここにいるよ、大草兄ちゃん♪」

唯のうしろから淳平がヒョコっと顔を出した。

大草「よう、淳平!」

淳平「みんな、ようこそ♪」

つかさ「こんにちは淳平くん♪」

淳平「つかさ姉ちゃん♪・・・あれ?つかさ姉ちゃん、その手に持ってるものは?」

つかさ「今日のために作ってきたケーキだよ♪たくさんあるからね♪」

淳平「ホント?わーい、ケーキだ〜♪」

無邪気に喜ぶ淳平・・・事情を知らない人たちがこれを見たらきっと誤解するに違いない・・・

それほどまでに嬉しかったのだろう・・・

淳平「ありがとう、つかさ姉ちゃん♪」

つかさ「どういたしまして♪」

こうした和やかな雰囲気のなかクリスマスパーティーは始まった。

そしてこのあと・・・つかさの作ったケーキがある1つの奇跡を呼ぶのであった・・・


[No.990] 2008/05/02(Fri) 17:45:08
心の傷〜第19話〜 (No.990への返信 / 19階層) - カズクン

淳平「ジングルベール、ジングルベール、鈴がーなるー♪」

唯「ちょっと、じゅんぺーはしゃぎすぎ!」

小宮山「まあまあ・・・いいじゃない。」

大草「そうだな。なんせ年に1回のクリスマスイヴだしな。」

トモコ「今日は楽しまなくちゃね♪」

淳平母「さあ、お待たせ。自信ないけど召し上がってちょうだい♪」

淳平の母はせっせと料理を運ぶ。

見渡す限りのご馳走がところ狭しと並べられていく。

淳平「うわぁ〜・・・おいしそー♪」

大草(真中のおばさん・・・すごいがんばったなぁ・・・)

小宮山「お、俺・・・もう腹へって・・・限界・・・」

トモコ「もうすぐ準備終わるから待ちなさいって・・・」

そこへつかさがケーキを持ってやってきた。

つかさ「はい、お待たせ〜♪」

淳平「・・・うわぁ・・・」

淳平はつかさのケーキを目を輝かせて眺めている。

大草「スゲェ・・・」

小宮山「つかさちゃん、すげぇうまそうだよ!」

つかさ「ホント?アリガト♪いちばん得意なチョコレートケーキにしてみたんだ♪」

トモコ「いや、これはおいしそうだね〜♪」

淳平母「それじゃあ、いただきましょうか。」

全員「いただきま〜す♪」

こうして淳平たちは掛け声と同時にいっせいに料理に手を出していった。

淳平「お肉おいしい〜♪」

大草「ホントうまい!」

小宮山「おばさん料理上手っすね♪」

淳平母「だてに長年主婦やってませんから♪」

トモコ「今度料理教えてくださいよ〜・・・あたし下手くそで・・・」

淳平母「いいわよ♪」

全員が淳平の母の作ったご馳走に満足し・・・ついにつかさのケーキに手を伸ばすときがやってきた。

淳平「つかさ姉ちゃんのケーキたーべよっと♪」

大草「おっ、それじゃ俺も・・・」

小宮山「おーれも♪」

唯「あたしも♪」

トモコ「つかさのお手並み拝見といきますか♪」

つかさ「どうぞ召し上がれ♪」

全員がケーキを口に運ぶ・・・

つかさ「どうかな?」

大草「・・・西野・・・これ・・・すげぇうまい!」

つかさ「え!?」

小宮山「うん、ホントうまいよ!」

唯「あたしこんなおいしいケーキ初めてです♪」

トモコ「うーん・・・悔しいけど・・・これはおいしいや♪」

つかさ「みんなありがとう♪」

周りからは絶賛の声が飛んだ・・・ただ1人、淳平を除いて・・・

淳平「・・・」

つかさ「・・・淳平くん?」

大草「おい、淳平?」

小宮山「どうした、淳平?」

トモコ「黙っちゃって、どうしちゃったの?」

唯「・・・じゅんぺー?」

全員が見守る中、淳平の目からは涙がこぼれた。

全員「!?」

淳平(・・・あれ?なんで・・・なんで僕泣いてるんだろう?)

淳平(つかさ姉ちゃんのケーキは食べるの初めてなのに・・・)

つかさ「淳平くん!?」

淳平(・・・僕・・・もしかしたら・・・この味を・・・知って・・・るの?)

淳平母「淳平!?」

母の問いかけに淳平は気づいた。

淳平「あ・・・ゴメン・・・」

つかさ「淳平くん・・・おいしくなかった?」

淳平「え!?そんなことないよ!すごくおいしくて・・・泣いちゃった♪」

つかさ「よかった〜♪おいしくなかったのかなって思っちゃったよ・・・」

つかさはほっと胸をなでおろした。

淳平(やっぱり・・・僕はこの味・・・いや・・・この暖かさを・・・知ってるのかも・・・)






淳平「今日はありがとう、みんな♪」

つかさ「またね、淳平くん♪」

大草「また来るからな♪」

こうしてパーティーは終わり、大草たちは淳平の家を後にした。

淳平(・・・つかさ姉ちゃん・・・)

このパーティーで淳平の心の中で・・・そして頭の中で確実な変化が起こっていた。

そんな淳平に周りは気づかないが・・・歓喜の瞬間は少しずつ、確実に訪れていた。


[No.995] 2008/05/12(Mon) 21:59:30
心の傷〜第20話〜 (No.995への返信 / 20階層) - カズクン

あのクリスマスパーティーから2ヶ月が経とうとしていた。

すっかり年も明けつかさや大草たちは心機一転学業に励んでいた。

そして淳平の記憶を取り戻す、これを全員の目標としていた。

そしてその淳平は・・・

淳平(・・・つかさ姉ちゃん・・・みんな・・・僕は・・・)

あの日以来何かを考えることが多くなった淳平。

それは自分がいったい何者なのか・・・なぜつかさのケーキに対して感じたものがあったのだろうか・・・

そんなことばかりを考えていた。

カウンセリングのときもそれが頭から焼きついてはなれなかった。

もっとも清水先生は淳平の母にはいい方向に向かっている、とは言っていたのだが当の本人は淳平が塞ぎこんでしまったんじゃないか、と心配で仕方なかった。







一方・・・つかさは淳平へ渡すチョコレートを作っていた。

つかさにとって、そして淳平にとって2回目のバレンタインがやってきたのだ。

つかさ「・・・よし!できた♪今回もいい出来だなぁ♪」

つかさは去年と同じように出来あがったものを箱につめ、綺麗に包装した。

つかさ(去年は・・・あたしがチョコをあげたら淳平くん泣いて喜んでくれたっけ・・・)

つかさ(でも・・・今年は違う・・・あのときの淳平くんじゃない・・・でも・・・あたしの気持ちは変わらないからね。)

つかさは物思いにふけりながら淳平の家へ向かった。






ピンポーン

『はーい。』

「西野です。淳平くんいますか?」

『あら、つかさちゃんね。どうぞ〜♪』





カチャッ

つかさ「おばさま、こんにちは。」

淳平母「いらっしゃい♪」

淳平「あ・・・つかさ姉ちゃん・・・」

つかさ「淳平くん、こんにちは♪」

淳平「あ・・・こんにちは。」

つかさ「淳平くん・・・どうかした?元気ないぞ?」

淳平「え!?そんなことないよ!ゲンキだよ♪」

そういうと淳平は体を動かしてみせた。といっても明らかにから元気だということがつかさにはわかった。

つかさ(淳平くん・・・ムリしてるの?)

淳平の母はつかさに伝えるべきか迷ったのだが・・・つかさが手にしているものを見てやめた。

淳平母「つかさちゃん・・・それは?」

つかさ「これですか?淳平くんにバレンタインのチョコレートを渡そうと思って・・・」

淳平「え!?僕に?」

つかさ「心して味わうように♪」

淳平「わあ・・・つかさ姉ちゃん、ありがとう!」

つかさ「どういたしまして♪それじゃあ、あたしはこれで・・・」

淳平母「あら、もう帰っちゃうの?せめてお茶だけでも・・・」

つかさ「あ、お構いなく。このあと用事もありますから。」

淳平母「そう・・・またいらしてね?」

つかさ「もちろんです♪あ、淳平くん!」

淳平「なに?」

つかさ「チョコ食べたらあとで感想聞かせてね♪」

淳平「うん!」

こうしてつかさは淳平の家をあとにした。

淳平「さっそく食べよっと♪」

淳平は部屋に戻りつかさからもらったチョコレートに手をつけた。

淳平「・・・すごくおいしいー♪ホントに・・・おい・・・しい・・・」

淳平は・・・自分の目から流れる涙に気がついた・・・

淳平(・・・まただ・・・なんで・・・なんで涙が・・・)

そのときだった・・・淳平の頭の中にさまざまなビジョンが流れ込んできた・・・

『はっきり言うね・・・あたし真中くんのことが好きなんだ。あたしを真中くんのカノジョにしてください!』

(え・・・これは・・・つかさ姉ちゃん?)

『はい、淳平くん!チョコレート♪』

(また・・・つかさ姉ちゃん・・・)

『俺・・・こういうの初めてだから・・・嬉しくて・・・』

(この声・・・僕・・・なの?)

『頼む!唯!ホワイトデーのお返し選ぶの手伝ってくれ!』

『イヤだ。そういうのは自分で選ばなくちゃダメだよ!』

(唯ちゃん・・・ホワイトデーって・・・何のこと?)

『すいません!このいちごのペンダントください!』

(このペンダント・・・これって・・・どこかで見た・・・)

『うわぁ・・・かわいいペンダント・・・さっそくつけてみてもいい?』

(・・・つかさ姉ちゃん!)

『その・・・スゲェかわいいよ・・・』

『ありがとう♪』

(・・・つかさ姉ちゃん・・・僕は・・・僕は・・・)

淳平の頭の中で今までの思い出が交錯した・・・そして・・・弾けた。

ドサッ!!

そして淳平は力なくその場に倒れ・・・気を失った。

淳平母「淳平、ご飯・・・!?」

淳平の母は倒れこんだ淳平を見つけ救急車を呼び、淳平は病院へと運ばれるのだった。


[No.996] 2008/05/15(Thu) 20:47:12
心の傷〜第21話〜 (No.996への返信 / 21階層) - カズクン

淳平が倒れた・・・この知らせはつかさや大草たちにすぐに知らされた。

たまらず4人は淳平が搬送された病院へと向かった。

大草「なんで急に・・・」

小宮山「知るかよ!とにかく今は病院へ急がねえと・・・」

トモコ「つかさ・・・気を確かに!」

他の3人もそうだが特につかさは押し寄せる不安で今にも押しつぶされてしまいそうだった。

つかさ「淳平くん・・・お願い・・・無事でいて・・・」






30分後・・・4人は病院に到着した。受付で淳平の病室を聞き、急いで病室に向かった。

ガチャッ!!

4人「失礼します。」

淳平母「あら、いらっしゃい。」

大草「おばさん・・・真中の具合は・・・」

淳平母「心配しないで、この通りよ。」

母の指差す先には気持ちよさそうに眠っている淳平の姿があった。

4人はそれを見てホッとした。

つかさ「よかった・・・ホントによかったよぉ・・・」

トモコ「真中くんはいったいどうしたんですか?」

淳平母「わからないの・・・あたしが部屋に入ったときにはもう倒れこんでたから・・・先生も原因がわからないって・・・」

小宮山「とりあえずよかった・・・心配かけやがって・・・」

淳平母「とにかく後は淳平の目が覚めるのを待ちましょう。」





そして1時間後・・・淳平は目を覚ました。

淳平「う・・・う〜ん・・・あれ?ここは・・・」

つかさ「淳平くん!!」

つかさはたまらず淳平に抱きつく。

つかさ「心配したよ・・・よかった・・・」

淳平「・・・・・・」

大草「淳平・・・心配させやがって・・・」

淳平母「どこか痛いところはない?」

小宮山「大丈夫か?」

トモコ「ひとまず安心ってとこだね・・・」

それぞれが淳平に声をかける。

そのとき、淳平は・・・

淳平「・・・みんな、ゴメン・・・ちょっとつかさ姉ちゃんと2人だけになりたい・・・」

大草「・・・淳平?」

つかさ「・・・淳平くん?」

淳平「つかさ姉ちゃん・・・いいかな?」

淳平母「いっておいで、つかさちゃん。」

つかさ「・・・わかりました。」

つかさは首をかしげながらも了解した。

淳平「屋上いこっか♪」

つかさ「うん。」

淳平とつかさは大草たちを部屋に残して屋上へ向かった。






つかさ「うーん、屋上は少し寒いね・・・」

淳平「・・・・・・」

つかさ「・・・淳平くん?どうしたの?元気ないけど・・・」

淳平はつかさに背を向けたまま話し始めた。

淳平「・・・ゴメンね・・・」

つかさ「え?」

淳平「つかさ姉ちゃんや・・・大草兄ちゃんたちに迷惑かけちゃった・・・」

つかさ「ううん・・・そんなことないよ。」

淳平「チョコありがとう!すごくおいしかったよ♪おいしくてまた泣いちゃった♪」

つかさ「ホント?ありがとう♪」

淳平「・・・あのチョコを食べたとき・・・いろんなことがあって・・・目の前が真っ暗になっちゃって・・・」

つかさ「・・・淳平くん?」

淳平「気がついたら・・・病院のベッドに寝てた・・・」

つかさ「淳平くん・・・」

つかさは淳平の話をただ聞いていた・・・いつもと同じように・・・

淳平は話を続ける。

淳平「クリスマスのときもそうだった・・・」

つかさ「・・・」

淳平「つかさ姉ちゃんのケーキ・・・すごくおいしくて・・・そのときも泣いちゃって・・・」

つかさ「・・・」

淳平「あの日からいろいろ考えたんだ・・・それで・・・チョコレートを食べてみて・・・はっきりした!」

つかさ「淳平くん?」

つかさは淳平の言葉がイマイチ理解できないでいた。

そして背を向けていた淳平はつかさに視線を向けた。その顔は晴れやかだった。

つかさ「・・・淳平・・・くん?」

淳平「・・・ありがとう・・・今年のも・・・スゲェうまかったよ。」

つかさ「!!」

淳平「・・・今までゴメン・・・」

つかさ(まさか・・・まさか・・・)

つかさはまだ確信しかねていた。そして・・・目の前の視界がぼやけた。

淳平「俺・・・やっと思い出した・・・迷惑かけてホントごめん。」

つかさ「淳平くん・・・あたしの知ってる・・・淳平くん・・・なの?」

淳平「・・・ありがとう・・・西野・・・」

その声と眼差しに、いつもの子供っぽさはなかった。

つかさがよく知っている大好きな淳平のそれだった。

つかさ「・・・グスン・・・グスン・・・」

つかさは突如訪れた喜びで泣き崩れた。

淳平「・・・真中淳平・・・ただいま戻りました!!」

つかさ「淳平くぅぅぅぅぅぅん!!!」

つかさは淳平に飛びついた。淳平はつかさをしっかりと受け止めた。

つかさ「うぅ・・・淳平くん・・・記憶・・・戻ってよかった・・・もうずっと戻らないんじゃないかって・・・心配したんだからぁ・・・」

淳平「うん・・・西野のおかげでまたこうして思い出せた・・・嬉しいよ。」

つかさ「・・・もうどこにも行かないでね?あたし・・・もうこんな思いしたくないよ・・・」

淳平「ああ、約束する・・・西野・・・目つぶって・・・」

つかさ「?」

つかさは言われたとおりに目をつぶる・・・その瞬間だった。

つかさの唇にやわらかいものが当たった。

つかさ(・・・え?)

それは淳平の唇だった・・・お互いの初めてのキス・・・それも女が苦手なはずの淳平からしてくれたのだ。

つかさはもう何も考えられなかった。

淳平「・・・これが約束のしるしってことで・・・」

つかさ「・・・嬉しい・・・」

淳平とつかさはしばらくお互いを抱きしめたままはなれなかった。

これまでの空白を埋めていくかのように・・・

つかさ「・・・あたたかい・・・」

淳平「俺もだよ・・・」

2人は幸せを感じ・・・ひたすらその幸せに浸っていくのだった。


[No.997] 2008/05/16(Fri) 21:18:05
心の傷〜第22話〜 (No.997への返信 / 22階層) - カズクン

2人が抱き合ってかなりの時間がたち、2人は体を離した。

つかさ「そろそろもどろっか。みんな心配してると思うから・・・」

淳平「そうだな。」

つかさ「でも・・・みんなビックリするかもね♪」

淳平「ああ、俺が記憶を取り戻したなんて知らないだろうしな!」

淳平「とにかく大草や小宮山、トモコさんに謝らなきゃな。さあ、戻るか!」

つかさ「うん!!」

そして2人は病室へと戻っていった。






ガチャッ

つかさ「ただいま〜♪」

大草「お帰り・・・って西野、お前その顔どうしたんだ!?」

つかさ「え?あたしの顔なんかヘン?」

トモコ「ヘンも何も・・・あんたの顔涙でグシャグシャじゃん!」

つかさ(しまった・・・)

つかさは自分が泣いていたことを忘れるほど淳平の記憶が戻ったことが嬉しかった。そして夢中で抱きついていたがために自分の顔を整えるのを忘れてしまっていた。

しかしながらそんな事情があったことなど少しも知らないほかの4人は淳平が何かしでかしたと思いいっせいに問いただし始めた。

淳平母「淳平、つかさお姉ちゃんに何したの!?」

淳平「え?」

小宮山「淳平、正直に言ってみろ?力也兄ちゃんはおこらねえから。」

淳平「え?え?」

トモコ「駄々こねてたんだよねぇ?淳平くん?トモコ姉ちゃんにはおねだりできないしね♪」

淳平「・・・」

大草「さあ、淳平。素直に話してみろ?」

淳平はしばしの間沈黙した、そして・・・

淳平「・・・プッ・・・クックックッ・・・アーッハッハッハッハッ!!」

大草「な、何がおかしいんだよ!」

小宮山「そうだ!いくらなんでもいきなり笑うことはねえだろ?」

淳平「いやぁ、悪い悪い。お前らの対応があまりにもおかしくてさぁ♪」

トモコ「コラ!その口の利き方はないだろ!一応目上の人だろぉ?」

淳平母「淳平!謝りなさい!」

この4人はまだ淳平の記憶が戻ったことに気がついていない。

つかさも淳平の陰に隠れて笑いをこらえていた。

トモコ「ちょっとつかさ!何がおかしいの!?」

つかさ「だって・・・だってぇ・・・アハハハハハ!!」

小宮山「つかさちゃんまで・・・」

つかさ「ゴメンゴメン♪淳平くん、もういいんじゃない?」

淳平「ああ、そうだな・・・」

淳平は一呼吸おき、みんなの前で深々と頭を下げた。

淳平「母さん・・・大草・・・小宮山・・・トモコさん・・・今までゴメン・・・そして・・・ホントにありがとう・・・」

このとき・・・4人は初めて気がついた。淳平の様子がいつもと明らかに違うことを・・・

大草「お、おい・・・淳平・・・」

小宮山「まさか・・・お前・・・」

淳平「おいおい、いつもどおり真中でいいって!なんかお前らから淳平って呼ばれるの慣れなくてさ。」

トモコ「・・・ウソ・・・」

淳平母「淳平・・・あんた・・・記憶が戻ったの?」

淳平「ああ・・・完全に思い出した。あの日・・・俺は堂島に西野に関わるなって言われて・・・」

淳平「もうどうしようもなくなって学校の屋上から飛び降りたんだ・・・」

4人「・・・」

淳平「あのときはみんなに申し訳ないって思ってた。でも今までもっとみんなに迷惑かけちゃったみたいだね。ホントにゴメン。」

淳平「でも・・・もう大丈夫。俺はもう迷わない。これからは自分と向き合って・・・一生懸命がんばるから。」

淳平「みんな・・・本当にありがとう!真中淳平はいま・・・完全に立ち直りました!」

大草「・・・バッカヤロー!!心配かけやがって!」

小宮山「・・・真中・・・真中よぉ・・・うおぉぉぉぉぉ!」

トモコ「グスッ・・・グスッ・・・うえぇぇぇん・・・真中ぁ・・・」

淳平母「じゅんぺぇぇぇぇぇ!!!」

4人は何かにはじかれたかのように淳平の元にかけより抱擁を交わした。

淳平「みんな・・・ただいま!!」

つかさ(ホントによかったね・・・お帰り、淳平くん!)

こうしてつかさたち5人の努力は実を結んだ。

そして・・・これまでの苦労を洗い流すかのように嬉し涙を流すのだった。


[No.1001] 2008/05/30(Fri) 20:41:18
心の傷〜第23話〜 (No.1001への返信 / 23階層) - カズクン

淳平が記憶を取り戻して数日がたった。

淳平はその後問題なしということですぐに退院した。

そして・・・約8ヶ月ぶりに高校へと向かおうとしていた。

淳平(今日から復学か・・・わかってはいたけど・・・不安で押しつぶされそうだ・・・)

淳平はどうしようもないくらいの不安に駆られていた。

果たしてクラスの人間は久しぶりに登校する淳平を受け入れてくれるのか・・・

そしてもう1つ・・・堂島の存在である。

淳平が記憶を失うきっかけになった張本人・・・

『会いたくない・・・』淳平は心の底から思っていた。

そのとき・・・インターホンのベルが鳴り響いた。

ピンポーン♪

『淳平くーん!迎えに来たよ〜♪』

(あ・・・西野だ。)

「ちょっと待ってて!」

淳平は身支度を済ませて家を出た。





淳平「おはよう、西野。」

つかさ「おはよう♪さっ、学校行こっか。」

淳平「ああ・・・」

つかさと合流しても淳平は不安を隠せなかった。

つかさ(淳平くん・・・不安そう・・・そうだよね・・・久々だもんね・・・)

そんな淳平を見たつかさは・・・

つかさ「・・・エイッ!」

つかさはとっさに淳平の鼻をおさえた。

淳平「・・・フガッ!?」

つかさ「そんな不安そうな顔しないの!」

淳平「え?」

つかさ「不安なのはわかるけど行く前からそんな不安になってちゃ学校の中になんか入れないぞ?」

淳平「・・・わかってるけど・・・」

つかさ「だ〜いじょうぶ!あたしがついてるぞ♪」

淳平「西野・・・そうだな!」

つかさのこの一言で淳平は気が楽になった。





そしてついに学校の前までたどり着いた。校門の前には大草、小宮山、そしてトモコの姿があった。

大草「あ、来た来た。おーい、西野、真中!」

つかさ「あ、大草くんたちだ!おーい!」

淳平「おはよう、みんな!」

小宮山「よう!・・・久しぶりに制服姿の真中をみたなぁ・・・」

トモコ「ホント・・・久しぶりだね・・・改めて・・・お帰り、真中!」

淳平「・・・ありがとう!」

つかさ「さあ、教室に行こう!」

淳平「あ・・・その前に行かなきゃいけないところがあるから・・・」

つかさ「あ・・・そうだった。まずは挨拶だよね。」

淳平「ああ。みんなは先に教室へ行っててよ。」

つかさ「うん!」

大草「またあとでな!」

こうしてみんなといったん別れて淳平は報告のため職員室の黒川のところへ向かった。






淳平「失礼します。黒川先生いらっしゃいますか?」

黒川「なんだ?今私は忙しい・・・!?」

黒川は自分の目を一瞬疑った。

黒川「真中・・・」

淳平「ご迷惑をおかけしました。でも・・・おかげさまでここに来れるまで回復できました!」

黒川「・・・そうか・・・そうか!!よかったな〜!心配したんだぞ!このヤロ!」

そういうと黒川は淳平の頭を片方の腕で押さえ込み、もう片方の腕で淳平の頭を軽く小突いた。

淳平「ちょ、ちょっと、先生!?」

そういって淳平が黒川の顔を見上げると・・・黒川の目からはうっすらと涙が出ていた。

黒川「なんだ?私はなぁ・・・今日ほど嬉しい日はないぞ〜!」

淳平(・・・黒川先生・・・)

黒川「よし!さっそく教室へ行くか!」

淳平「教室・・・ですか・・・」

黒川「なあに、心配するな。私や西野たちが守ってやるから。それに・・・あの日以来クラスのやつらはお前に対する認識を改めているんだ。」

淳平「・・・え?」

黒川「お前が飛び降りた日から・・・みんなお前のことを心配していてな。」

黒川「少なからず自分たちにも原因がある・・・そう考えていたみたいなんだ。」

淳平「そうなんですか・・・。そういえば堂島は・・・」

黒川「アイツはまだ無期限の停学中だ。でもな・・・アイツもアイツで私に相談してきてな。」

淳平「・・・?」

黒川「お前たちは知らないだろうが・・・堂島は病院までお前のお見舞いに何度も足を運んでいたんだ。」

淳平「・・・堂島が・・・ですか?」

黒川「ああ。もっとも・・・どうしても病院の前で足が止まってしまってその先まで行けなかったがな。お前や西野たちに対する後ろめたさもあったからな・・・」

淳平「・・・」

黒川「そしてようやく病院に晴れるようになったときにはすでにお前は退院してしまっていて会えずじまい・・・というわけだ。」

淳平「・・・」

淳平はこのとき・・・初めて堂島に対する恐怖心が薄れていった。

淳平「先生・・・放課後アイツの家まで連れて行ってくれませんか?」

黒川「・・・いいのか?」

淳平「はい・・・アイツには言わなきゃいけないことがありますから。」

黒川「よし。わかった。」

こうして淳平は堂島に会うことを決意した。

黒川「さあ、そろそろ予鈴だ。教室に行くぞ!」

淳平「はい!」

そしてついに淳平は黒川と共に教室へと向かっていった。



その頃教室では・・・

つかさ(淳平くん・・・遅いな・・・)

小宮山(もめてんのか?アイツ・・・)

先に教室に入っていたつかさや小宮山が心配していた。

そのときだった。

大草「・・・足音だ!来たぞ。」

つかさ(ホッ・・・よかった。)

ガラッ

黒川「よし!授業を始める・・・その前に・・・」

「お、おい・・・先生の後ろにいるの・・・」

「あっ・・・」

淳平の姿にクラスメイトがざわつき始める。

黒川「真中・・・みんなに一言頼む。」

淳平「はい・・・みんな・・・今まで迷惑かけてすいませんでした。」

淳平「俺は・・・あの日屋上から飛び降りて・・・一時的にほとんどの記憶を失いました。」

「・・・・・・」

淳平「もしかしたら・・・もう記憶が戻らないかもしれない・・・医者はそう言っていたそうです。」

淳平「でも・・・西野や大草、小宮山にトモコさん・・・みんなにお世話になって・・・またこうして学校に来ることができました。4人には感謝してもしきれません。」

4人「・・・・・・」

淳平「今・・・こうしてクラスのみんなと向き合って・・・少し不安もあったけど・・・今は嬉しい気持ちでいっぱいです!みなさん、これからもよろしく!」

全てを言い切った淳平を待っていたのは・・・

パチパチパチパチ・・・・

「今までゴメンな!」

「お帰り、真中くん!」

「ホントに悪かった。仲良くしような!」

クラスメイトからの暖かい拍手と言葉だった。

淳平「みんな・・・ありがとう。」

黒川「さあ、授業を始めるぞ!」

こうして淳平は無事に泉坂高校に帰ってきた。


[No.1018] 2008/06/06(Fri) 23:11:09
心の傷〜第24話〜 (No.1018への返信 / 24階層) - カズクン

キーンコーンカーンコーン・・・

淳平にとって久々の学校での1日がが終わろうとしていた。

つかさ「お疲れ様、淳平くん♪」

つかさが淳平に声をかけると、淳平はこの世の終わりのような顔をしていた。

つかさ「ちょ・・・ちょっと淳平くん!?」

淳平「西野・・・どうしよう・・・授業全然ついていけなかった・・・」

つかさ「・・・仕方ないよ・・・ずっと休んでたんだもん・・・」

大草「そんなに気にするなよ。」

小宮山「さあ、帰ろうぜ!」

トモコ「そうそう!こういうときは思いっきり遊ぶ、これ大事よ!」

淳平「あ・・・ゴメン。今日はムリだ。」

つかさ「え〜っ!どうして?」

淳平「このあと・・・黒川先生と一緒に堂島に会いに行くんだ・・・」

4人「・・・えぇ!?」

4人は驚きを隠せない。

大草「いまさらあいつに会ってどうするんだよ!?」

小宮山「そうだ!また同じことになるんじゃないのか!?」

トモコ「真中・・・」

淳平「実は・・・」

淳平は4人に黒川から聞いたことをを全て話した。

つかさ「そうなんだ・・・堂島くんが・・・」

淳平「俺・・・あいつに話さなきゃ。」

大草「・・・わかった。ホントは俺も行ってやりたいけど・・・そういうわけにもいかないだろうしな。」

小宮山「ガンバレよ!」

淳平「サンキュー♪」

黒川「よし、行くか。」

淳平「はい。」

そして、淳平は黒川と共に堂島邸へ向かった。





黒川「・・・準備はいいか?」

淳平「・・・はい。」

淳平は冷静に答えた。

そして黒川はインターホンのベルを鳴らした。

ピンポーン

『はい。』

「担任の黒川です。堂島くんはいますか?」

『あ、先生。少々お待ちください!』

数分後・・・ドアが開き、堂島がその姿を現した。

堂島「・・・なんですか?」

黒川「お前に会わせたいヤツがいる。」

堂島「今はそんな気分じゃ・・・!?」

淳平「・・・久しぶり・・・だな。」

堂島「・・・真中・・・」

8ヶ月ぶりの再会・・・堂島は動揺を全面に押し出していた。

堂島「もう・・・いいのか・・・」

淳平「・・・おかげさまでな。」

堂島「そうか・・・」

お互いに会話が続かない。何を話していいのかわからないのだ。

しばらく2人は沈黙してしまった・・・その沈黙を破ったのは淳平だった。

淳平「お見舞い・・・」

堂島「・・・?」

淳平「お見舞いに・・・来ようとしてたんだってな。」

堂島「・・・先生に聞いたのか?」

淳平「ああ。」

堂島「・・・確かに何度も病院に行こうとしたさ。でも・・・怖かったんだ・・・」

堂島「お前の状態を聞いて・・・俺がお前を底まで追い詰めちまって・・・合わせる顔がないんじゃないかって・・・」

淳平「・・・」

堂島「それに、仮に行ったとしても西野さんや大草たちに見つかったらきっとお前と会わせてくれないかも知れないと思ったから・・・」

淳平「堂島・・・」

堂島「だから・・・今日お前と会えて嬉しかったよ・・・これで・・・心残りはない。」

淳平「・・・堂島?」

黒川「実はな・・・堂島は今年度で高校を退学して引っ越すんだ。」

淳平「・・・え?」

堂島「これから復学しても授業にはついていけないしな。それに・・・みんなに会わせる顔がないし。」

淳平「そうか・・・」

堂島「お前はどうするんだ?学校続けるのか?」

淳平「ああ。高校は卒業しておきたいしな。留年は免れないだろうけど・・・」

堂島「・・・ガンバレよ。」

淳平「ああ・・・」

黒川「それじゃあ行くか。」

堂島「先生、ありがとうございました。真中、気をつけて帰れよ。」

淳平「ああ・・・」

淳平に別れを告げ、堂島は家の中に入ろうとした・・・そのときだった。

淳平「・・・堂島!」

堂島「?」

淳平「あの日・・・お前に言われた一言・・・すげえ効いた。」

淳平「俺は・・・もう自分から目を背けない!がんばって自分の弱さを克服して・・・あいつに・・・西野にふさわしい男になって見せる!」

堂島「真中・・・」

淳平「・・・また会おうぜ!」

堂島「・・・ああ!絶対会おうな!」

こうして淳平と堂島は和解した。

もうお互いいがみ合っていた頃の2人はいない。

よき友人として・・・再会を約束して2人は別れを告げた。


[No.1019] 2008/06/06(Fri) 23:49:15
心の傷〜第25話〜 (No.1019への返信 / 25階層) - カズクン

黒川「真中・・・ちょっといいか?」

淳平「・・・はい。」

淳平が復学してから1週間がたったある日、黒川は神妙な面持で淳平を呼び出した。

つかさ「淳平くん・・・」

淳平「そんな心配すんなって。」

つかさ「でも・・・」

大草「みんなお前が心配なんだよ。」

小宮山「そうだぞ。まあ・・・先生の話・・・大体想像はつくけどな・・・」

トモコ「・・・仕方・・・ないのかな・・・」

淳平「・・・とにかく行ってくるよ。」






そして淳平は職員室に向かい、黒川と応接室で面談にのぞんだ。

黒川「・・・さて。ここにお前を呼んだのはほかでもない。今後のことだ。」

淳平「・・・大体想像はついてました。覚悟は出来ています。」

黒川「そうか・・・それならば率直に言おう。」

黒川は淳平の顔を見つめ、一呼吸おき、淳平に告げた。

黒川「・・・残念ながらお前の留年が決定的になった。」

淳平「・・・やっぱり。」

黒川「私も校長や、教育委員会にかけあってはみたんだが・・・やはり認められなかった。」

淳平「・・・仕方ないですよ。」

確かにその通りだ。淳平のみを特別扱いするわけにはいかない・・・

たとえそれがどんな事情であっても・・・

黒川「それでだ・・・お前この先どうするつもりだ?」

淳平「・・・堂島にも話したとおりもう一度やり直します。」

黒川「・・・本当にいいのか?これから先は1つ下の人間と接しなければいけない。今よりも辛い環境にはなるかもしれんが・・・」

淳平「もちろんです。もう俺は逃げない・・・そう誓いましたから。」

黒川「そうか・・・わかった!お前の決意が固いことはわかった。私もそのつもりで手続きをしよう。」

淳平「ありがとうございます。」

黒川「よし、戻っていいぞ。」

淳平「はい。」

淳平は黒川との面談を終え、クラスへと戻っていった。

黒川(真中・・・頑張れよ。私も最大限サポートするから。)






教室に戻った淳平は4人に結果と今後のことを全て話した。

つかさ「・・・淳平くん・・・」

淳平「西野・・・泣くなって。学年がちがくなるだけじゃないか。あと1年は一緒にいられるんだからさ。」

大草「俺たちお前のこと最後までサポートするからガンバレよ!」

小宮山「辛くなったらいつでもいえよ!」

トモコ「あたしたちは・・・いつでも真中の味方だから・・・」

淳平「・・・ありがとう!これからもよろしく頼むぜ、先・輩♪」

つかさ「・・・クスッ・・・もう・・・まだ同学年じゃん・・・」

全員「アハハハハハハ・・・」

こうして淳平は留年が決定し、淳平はもう一度2年からのスタートとなった。






それから1年余りが経過した。

淳平はもう一度2年からやり直し、つかさたちは3年生となった。

心配されていた淳平だが何とかクラスメートとも打ち解けることが出来、充実した1年を送ることが出来た。

もちろんつかさや大草、小宮山、トモコ、黒川・・・そしてクラスメートの協力があってこそだったが・・・

それでも淳平はこの1年で変化を見せた。

「真中さーん。」

淳平「いいよ。同じ学年なんだからくん付けで。」

「あっ、ごめんなさーい、つい・・・」

淳平「それで一体どうしたの?」

「ここの問題教えてくださいよ〜。」

淳平「ああ、これは・・・こうして・・・こう!」

「なるほど〜・・・ありがとうございます♪お礼に・・・エイッ♪」

淳平「こ、コラッ!とびつくなって!怪我するぞ?」

「照れちゃって〜♪真中くん、か〜わいい〜♪」

淳平「まったく・・・しょうがないなぁ・・・」

このようにほぼ女性に対しての恐怖心をなくしていた。

すなわちごく自然に女の子と会話が出来るようになっていた。

淳平(トラウマを克服できたのも西野たちのおかげだな・・・ありがとう!)






そして・・・ついにこの日がやってきた。

3年生の卒業式。この日でつかさたちは泉坂高校を卒業する。淳平とはなればなれになってしまうのだ。

式は滞りなく進み・・・いよいよ卒業生が会場から退場するときが来た。

淳平は卒業生が通る通路のすぐそばだった。

『卒業生・・・退場。』

この1声と共に次々と卒業生が姿を消していく。

つかさも目を潤ませながら会場を後にしようとしていた・・・そのとき・・・

つかさが淳平のすぐそばまで来た・・・そして・・・

スッ

淳平(・・・こ・・・これは・・・)

つかさは淳平に紙切れを渡して会場を後にした。

淳平(・・・!・・・何か書いてある・・・)

----------------------------------------------------------

淳平くんへ

1年間よくがんばったね!

あたしたちも淳平くんのこと支え続けることが出来てうれしかったよ♪

でも・・・女性恐怖症を克服できたのは間違いなく淳平くんが頑張ったからだよ・・・

ホントによかったね!

それでね・・・この後・・・会えないかな?大事な話があるんだ・・・

体育館は目立っちゃうから・・・今日の夜とかに公園に来てくれるかな?

待ってるからね♪  

また後でね〜♪

つかさより

----------------------------------------------------------

淳平(大事な話・・・か・・・)







その夜・・・淳平は約束どおり公園に姿を現した。

そして・・・あたりを見回すと・・・

『あっ、淳平く〜ん♪』

「西野・・・」

淳平「ゴメン、待った?」

つかさ「ううん、今来たとこ♪」

淳平「西野・・・大事な話って・・・何かな?」

つかさ「うん・・・あのね・・・」

つかさは淳平の顔を見つめ・・・目を潤ませた。そして・・・告げた。

つかさ「淳平くん・・・今日は・・・淳平くんにお別れを言いにきたの・・・」

淳平「・・・え?」


[No.1026] 2008/06/09(Mon) 21:51:43
心の傷〜第26話〜 (No.1026への返信 / 26階層) - カズクン

つかさから突然告げられた言葉に淳平は固まるしかなかった。

淳平(・・・な・・・なんで・・・)

つかさ「・・・ん・・・」

淳平(俺・・・悪いこと・・・したっけ?)

つかさ「・・・くん・・・」

淳平(・・・)

つかさが声をかけているが淳平には届いていなかった。

淳平は頭の中にさまざまな憶測をとばしておりもはや話を聞くどころではなくなりかけていた。

しかし・・・そのときだった。

つかさ「コラ!ちゃんと人の話をきけ!」

ポカッ!

淳平「い・・・ってぇ〜・・・」

つかさ「もう・・・ちゃんと聞いてよ、淳平くん・・・」

淳平「あ・・・ゴメン。」

つかさ「どうせ淳平くんのことだからあたしが淳平くんのことイヤになったんだ、とか思ってるんでしょ?」

淳平「う・・・」

つかさのいったことはまさに図星だった。

淳平はてっきりつかさに嫌われた・・・そう思っていた。

つかさ「・・・違うよ・・・」

淳平「え?」

つかさ「あたし・・・決めてたんだ。淳平くんががんばって記憶を取り戻すことができたら・・・自分もがんばってみようって・・・」

淳平「・・・どういうこと?」

つかさ「淳平くん・・・あたし1度淳平くんにあたしの夢・・・話したことあったよね?」

淳平「・・・えっと・・・」

淳平は思い出していた。つかさとのこれまでの会話を・・・

1つ1つかみしめるように思い出していた。





『あたし・・・夢があるんだ。』

『お菓子作りの職人・・・パティシエになりたい!』






淳平「・・・あっ!」

つかさ「・・・思い出してくれたかな?」

淳平「ああ、思い出した。お菓子作りの職人になりたいって言ってたっけ。」

つかさ「よかった、覚えててくれて♪」

淳平「でも・・・どうしてそれが・・・」

淳平は理解できていなかった。なぜこのことが別れに結びつくのか。

しかし、つかさの次の一言で淳平は理解する。

つかさ「あたしね・・・パリに留学するんだ。」

淳平「・・・えぇっ!?」

つかさ「確かに勉強は日本でも出来ると思うけど・・・でもあたしはどうせやるなら思いっきりやりたいの。」

淳平「・・・」

つかさ「だって・・・淳平くんが一生懸命がんばって記憶を取り戻したんだもん・・・あたしだって・・・何かを掴みたいよ・・・じゃないと・・・」

淳平「・・・」

つかさ「・・・じゃないと・・・」

淳平「・・・西野?」

つかさは一瞬言葉を詰まらせたが・・・満面の笑顔で淳平に告げた。

つかさ「じゃないと淳平くんのカノジョとして釣り合わないじゃん♪」

淳平「・・・え・・・えぇぇっ!?」

つかさ「あ〜っ!なんだよ、その反応はぁ?あたしじゃイヤなのかな〜?」

淳平「いやいや、そうじゃないって!!」

つかさ「じゃあなんなのよぉ?白状しろ〜!」

つかさは頬をプクッと膨らませて淳平をポカポカ叩いた。

淳平「だ〜っ!ゴメン、いきなりだったからついビックリして・・・」

淳平「西野にそういってもらえてすごく嬉しくて・・・」

つかさ「淳平くん・・・♪」

つかさは機嫌を直したようで笑顔になった。

つかさ「淳平くん・・・あのときの約束・・・果たすときが来たね・・・」

淳平「・・・そうだな・・・」

約束・・・それは淳平が1年のときの約束・・・淳平が理性を失い・・・つかさたちがおのれのしたことを悔やみ、淳平を支えていこうと決めたとき・・・

そして・・・淳平が心の傷を克服できたとき、と決めていたこと・・・

つかさ「淳平くん・・・あたし・・・いつ日本に戻れるかわからないけど・・・がんばるから・・・」

淳平「・・・うん。」

つかさ「一生懸命がんばって周りに認められるような人間になるから・・・」

淳平「・・・うん。」

つかさ「淳平くん・・・あたしを淳平くんのカノジョにしてください・・・!」

つかさは言い切った・・・そして淳平は・・・

淳平「西野・・・俺・・・待ってるから・・・」

つかさ「・・・!」

淳平「何年経っても・・・俺は西野のこと待ってる。だから・・・がんばってな!」

つかさは淳平の言葉に涙した・・・そして気がつくと淳平に抱き寄せられていた。

つかさ「淳平くん・・・ホントだよ?あたしのこと・・・待っててね?」

淳平「ああ!約束だ!」

つかさ「エヘヘッ♪約束・・・1つ増えたね♪」

淳平「そうだな。ま、それも楽しみの1つだしな!」

こうして淳平とつかさは恋人同士となった。


[No.1032] 2008/06/12(Thu) 20:22:59
心の傷〜最終回〜 (No.1032への返信 / 27階層) - カズクン

つかさと淳平が恋人同士になり1週間が過ぎた。

ついにつかさがパリへ旅立つ日がやってきた。

つかさ「わざわざ見送りに来てくれてありがとう!」

淳平「いいって。当然のことだよ。それより・・・見送りは俺だけ?」

つかさが旅立つにもかかわらず見送りは淳平のみ・・・少し寂しすぎやしないか、淳平は思っていた。

つかさ「あたしがお願いしたんだ。見送りは淳平くんだけでって・・・」

淳平「そうなんだ・・・」

つかさ「だってせっかくカップルになれたんだもん。出発のときまで2人きりでいたいもん♪」

淳平「西野・・・」

2人はその場で抱き合った。

つかさ「あ〜あ・・・この暖かさを感じるのもしばらくお預けかぁ・・・」

淳平「俺も・・・寂しいな・・・」

『パリ行きにご搭乗の方は手続きを開始いたしますので1番ゲートにおこしください。』

つかさ「あ・・・時間だ・・・行かなくちゃ・・・」

淳平「え・・・もう?」

つかさ「そういうものだからね、飛行機は。」

つかさ「それじゃ、いってくるね!」

淳平「気をつけて!あ、それと、これ・・・」

つかさ「?」

淳平「飛行機の中で読んで。」

淳平はつかさに封筒を渡した。

つかさ「中身は・・・なにかな?」

淳平「後のお楽しみってことで。」

つかさ「・・・うん!それじゃ淳平くん・・・またね!」

淳平「がんばれよ!」

そして、つかさはゲートへと姿を消した。






つかさを乗せた飛行機は無事離陸した。

つかさ(さて・・・と)

つかさは淳平から手渡された封筒を開ける。

つかさ(あ・・・手紙・・・)

それは淳平からの手紙だった。

つかさは手紙を手に取り、ゆっくり読み始めた。

----------------------------------------------------------

西野へ

たぶん見送りだけじゃ全部言えないだろうから手紙にしました。

まず最初にお礼を言わせてください。

俺がトラウマを克服できたのはあなたのおかげです。

思えば1年の最初の出会い・・・印象は最悪だったよね。

せっかく西野が告白してくれたのに・・・俺はそれを断っておまけにひどいこと言って・・・

あれは周りから責めたてられても仕方ないって思ったし・・・迷惑かけちゃったし・・・

あのあと俺が理性を失くしたのに気を使ってくれて・・・いろいろしてくれて・・・ホントに嬉しかった。

あの頃からかな・・・西野のことを意識し始めたのは・・・

怖いっていうのもあったけど、西野となら変われるかもって真剣に思えたんだ。

2年になってもそれは変わらなかった。

でも・・・あんなことになって、申し訳なかったって思ってます。

あのときは正直・・・消えてしまいたいって思った。

だから・・・飛び降りなんてしちゃったんだ。

その結果・・・俺は記憶を失って・・・もっと迷惑をかけて・・・

でも・・・大草や小宮山、トモコさん、そして・・・君のおかげで俺は自分を取り戻せた!

もう逃げない・・・もう過去を振り返らないようにする。

一生懸命がんばるから・・・西野も一生懸命がんばってください。

最後に・・・ホントにありがとう!また会える日を楽しみにしてます!

大好きな・・・つかさへ      真中淳平

----------------------------------------------------------

手紙を読み終えたとき・・・つかさは泣いていた。

つかさ(・・・ずるいよ・・・淳平くん・・・)

つかさ(はじめて名前で呼ぶのが手紙でだなんて・・・)

つかさ(でも・・・嬉しい・・・今度会うときも・・・名前で呼んでね・・・)

つかさ(あたしも・・・大好きだよ・・・淳平くん・・・)










あれから5年が経った・・・淳平はある場所に来ていた。

淳平(もうすぐだ・・・)

淳平は人を待っていた。

突然の手紙・・・差出人は・・・もちろん・・・

「お!えらい!15分前行動!」

淳平「・・・久々に会った第一声が・・・それ?」

「そんなこといわないでよ〜。会えただけでも嬉しいんだからさ♪」

淳平「・・・綺麗になったね・・・つかさ・・・」

つかさ「・・・」

淳平「・・・?」

つかさ「やっと・・・名前で呼んでくれた。」

淳平「・・・え?」

つかさ「・・・それ・・・見送りのときに欲しかったな〜・・・」

淳平「・・・ゴメン・・・」

つかさ「・・・な〜んてね♪」

淳平「つかさ・・・」

つかさ「淳平くん・・・ただいま!」

淳平「お帰り、つかさ!」

2人は再会し、お互いを確かめ合うように抱きしめた。

つかさ「・・・5年ぶりの暖かさ・・・やっぱり気持ちいいなぁ・・・」

淳平「俺も・・・」

つかさ「あの日の手紙・・・ちゃんと読んだよ。」

淳平「ホント?」

つかさ「うん・・・ホントに嬉しかった。あれで・・・5年間一生懸命がんばれたよ。」

淳平「よかった・・・俺も・・・もっともっとがんばらなきゃ!」

つかさ「淳平くん・・・離れ離れになってたぶん・・・取り戻そうね!」

淳平「そうだな!これからもよろしく、つかさ!」

つかさ「淳平くんも、あたしのこと大事にしてね♪」

そして2人は唇をかさねた。

2人の気持ちはもう離れることはないだろう。

もう淳平に昔の面影はない、最良のパートナーを見つけ、そして成長したのだから・・・

2人の前途は明るいものになるはずだ・・・いや、するのだ。

2人にはそれだけの力があるのだから・・・

淳平「さあ、行こうか!」

つかさ「うん!」




心の傷 〜fin〜


[No.1035] 2008/06/13(Fri) 22:07:46
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