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瞳を閉じて、 深呼吸する。 深呼吸する。 深呼吸する… 思考を覆う何かが少し晴れた気がした。 静まり返る部屋の中で独り、自分を再確認してみる。 ごくごく一般的な、自室のベッドの感触の中で、 静寂の中、 普段は気にも留めない、秒針の刻むの音の中で、 ふと、歩いてきた道のりを眺めてみる。 いつだったろう? この道を行こうと決意したのは。 いつからだろう? こうして足元を眺める余裕すらなくしてしまったのは。 駆け抜けるように過ぎ行く時。 過ごしてきた過去、自分のしたいがままに生きてきたようで、流されるまま今、ここにいる。 貫き通された意思があっただろうか? 進むということは選択するということだ。 選択することを恐れ、漂う木の葉のように自分を時の流れに浮かべた。周囲のものが■■へ運んでくれると盲信して。 時は流れる、無情に、非情に。浮かぶものすべてを押し流して。 「もうおそい?」 すでに修正が聞かないほどに踏み外してしまっただろうか? 流されてしまっただろうか? 辿り着くべき場所はもはや望むことすらできない彼方になってしまったのだろうか? 「辿り着くべき場所?」 「……………。」 まだだ。まだ、終わりじゃない。 「おれ、映画監督になりたいんだっけ…。」 それは、映画が好きだから。 いつか観た、あの映画のワンシーンのように。 観るものを解き放ち、日常を離れ、雄大で荘厳な世界へといざなう。 固く結ばれた口元には、暖かい微笑みを。 傷ついた心にはそっと、穏やかな癒しを。 「自分の手で『いつかきっと』って、そうおもってた。」 目を開けて、寝たまま机の上を探す。 煩雑に散らかされた勉強机の上、そこに一台のビデオカメラ。 瞬間、焦点が鋭い音を立てて合わさる。 薄暗い部屋の中で、そこだけスポットライトを当てたようだった。 そして、理解した。 「あぁ、そうか。」 それは『種』、然るべき時に、然るべき場所で芽吹くもの。 それは『雛』、育まれ、やがて羽ばたき大空を舞うもの。 それは『標』、今は遠く、だが辿り着くべき遥かなる■■へ導くもの。 立ち止まって、ようやくわかった気がする。 また、歩き出そう。もう一度、■■を目指して。 ありふれた自己分析という作業。 それは彼「真中淳平」に何かをもたらした。 変化に乏しい日常の中のひとつの奇跡。 涙が、溢れた。 それは、やさしい涙だった。 やわらかい涙だった。 [No.1033] 2005/04/13(Wed) 18:24:04 pcp061701pcs.unl.edu |