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No.1163へ返信

all Heart of Gold - Joker - 2005/08/03(Wed) 15:52:43 [No.1160]
Re: Heart of Gold - 紅炎 - 2005/08/03(Wed) 20:49:58 [No.1164]
プロローグ - Joker - 2005/08/03(Wed) 15:53:28 [No.1161]
第1話:砕けた幸せ - Joker - 2005/08/03(Wed) 15:54:24 [No.1162]
第2話:真実 - Joker - 2005/08/03(Wed) 15:55:33 [No.1163]
Re: 第2話:真実 - ジョン - 2005/08/12(Fri) 10:26:03 [No.1174]


第2話:真実 (No.1162 への返信) - Joker

次の日、淳平は昨日の出来事のショックで学校をサボった
そして館長のいるテアトル泉坂に足を運んだ
昨日の悲惨な出来事を館長にも教えるために...
今の淳平にはそれしかできることはなかった...






館「おう淳平!こんな時間にどうしたんじゃ?」

真「実は...」



淳平は昨日の出来事を館長に話した
一緒にバイトから帰ってた事...
途中まで見送った事...
そしてそのすぐあとにつかさが引かれたこと...
今のつかさの状態...
淳平はすべてを話した



館「なるほど...あのつかさちゃんが...」

真「俺...どうしたらいいのかわからなくて...クソッ!」

館「...」



そして館長は少し思いつめたような表情でいた
一体何を考えてたのは淳平にはわからなかった
だが一つわかった事は館長が今考えてる事は多分とても重要な事なのだと...
そして館長が口を開いた



館「淳平よ...オマエに見せたい映画がある...多分今は映画なんか見る気分にはなれないだろうが...これは今見てもらいたい...」

真「...わかりました」






そして映画が始まった
『Heart of Gold-紅の花-』という映画だ
内容は一人の貧しい男が病気で苦しむ恋人のためにこの世のどこかにあるといわれどんな願いも叶えるという伝説の花、『Heart of Gold』を手に入れるため旅に出るという話だ
最終的にその男は花を手に入れることができたが、その花の『どんな願いでも叶える』という魔力がその男がずっと抑えてた欲望を爆発させた
そしてその男は目的を見失い願いを自分の欲望のために使った



『俺に誰もがひれ伏す富と力を与えよ!!!』



男の願いは叶った...
そしてHeart of Goldは枯れ散った...
そして男は誰もがひれ伏すほどの富と権力を手に入れ世界を牛耳った
だがそれから数年後、その男がとある町を乗っ取りに来たときふと見覚えのある家を発見した
そして男の欲望に飲み込まれ失ってた記憶がよみがえった...
その家は男がHeart of Goldを見つけ出すと決意を立てた家、そう、恋人の家だった...
今でも恋人がいるかもしれないと思い男は家の中に飛び込んだが、そこには誰も住んでいる形跡はなかった...
そして男は昔恋人が寝室として使ってた部屋に入ったとき、一つの写真立てが目に入った
二人で撮った写真だ...
まだ恋人が元気だったころ...
決して裕福になれるとは思わなかったがそれでもかまわないと将来を約束し、そのときに撮った写真...
男は写真立てを手にとって見つめた...
そこにはまだ貧しかったが明るい未来のためにまっすぐと進んでたころの自分が写ってた...
そして男はすぐ近くに立ててあった鏡を覗き込んだ
そこには欲に支配され多くの人々の血と命を吸い尽くしドス黒く成り果てた自分が立ってた...
男は耐えられなくなり家を飛び出し当てもなく走った...
どれだか走ったかわからなかったが気がついたら男は墓場に立ってた
せっかくだから先祖の墓でも参ろうと思い先祖の墓を探し歩いた
だが男は途中でその足を止めた
歩こうと思っても歩けない
足はガクガクと震えだし背筋に寒気が走った
男の目の前には虚しくも恋人の墓が立ってた...
男はその場で泣き崩れた...
伝説の花で男はすべてを手に入れることができた
だが、その代償として一番大切なものを失った...






館「どうじゃ?」

真「悲しい映画ですね...なんで男は自分の欲に走ったんだろう...」

館「それが『どんな願いも叶える』という人を狂わす魔力じゃよ...」

真「...」

館「淳平よ、もしオマエがこの花を手に入れたら何を願う?」

真「つかさを...つかさを元気なにつかさに戻してくれ、ですね...」

館「オマエはこの魔力に飲み込まれん自信があるか?」

真「あります!もう何もいらない...つかさが元気になるんなら俺はもう何もいらない」

館「その言葉に偽りはないな?」

真「はいっ!ってか館長?さっきからどうしたんですか?」

館「淳平よ、ワシが何の意味もなくこんな真剣な話をすると思うか?」

真「えっ...まさか...」

館「信じがたいだろうがそのまさかなんじゃ!Heart of Goldは本当に存在する伝説の花なんじゃ!」

真「そんな...バカな...」

館「確かに信じられんじゃろう...なぜなら花は存在する...だがそれと同時に存在してないんじゃ」

真「矛盾してますね...」

館「そりゃそうじゃ。なぜならHeart of Goldはこの世界には存在せんが、別の世界では存在してる」

真「えっ...?」

館「この世界のどこかにHeart of Goldが存在する異世界へとつながってる扉が存在するのじゃ...」

真「なんで...なんで館長はこんなに...」

館「ワシが何故こんなに詳しいか不思議に思ってるか...まあムリもないじゃろう...確かにこんな非現実的なことなど決してありえないだろう...ましてやこんな老人のただのボケかもしれんとも思うだろう...」

真「...」

館「ワシはな...このHeart of Goldを手に入れたことがあるのだよ...」

真「!?!?!?」

館「ワシもな...昔付き合ってた女の人が病気を患っててな...ワシは自分の無力さと彼女の死に恐れながら日々をすごしてた...そしてある日ワシは夢の中で変な光と話してた...光はな、ワシにこう問いかけてきた...『貴公は今どんな願い事でも一つだけかなえようと言われたら何を願う?』...ワシはすぐに答えた...『俺の彼女の病気を治してやってください!』...するとな、光はこう言った...『その言葉に偽りがないのなら今から言う場所を訪れよ』...とな...ワシはあくる日すぐにその場を訪れた...そしたらそこには時空の歪みがあってな...まさに光の言うとおりだった...ワシは迷わずその歪みに飛び込んで異世界へと向かった...そしてHeart of Goldを手に入れた」

真「そんな話が...」

館「確かに信じがたいだろう...今のオマエは当時のワシ同じだな...」



それから淳平は少し考え込んだ
そして決心をし顔を上げた



真「館長...俺...行きます!つかさを助けられるのなら行きます!」

館「やはり行くか...オマエならそう言うと信じてた!」

真「それでその扉は...?」

館「ふむ、扉はな...富士の樹海の奥深くに存在しておる」

真「ありがとうございます!!!」

館「淳平、最後にオマエに言っとく...これだけは絶対に忘れるな...」

真「?」

館「決して自分を失うな、そして決して欲望に支配されるな」

真「わかりました」






淳平は決心した
つかさを助けるために異世界へと向かう
Heart of Goldを手に入れつかさを助ける
そう自分に何度も言い聞かせ明日の旅立ちのための支度に取り掛かった


[No.1163] 2005/08/03(Wed) 15:55:33
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