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all R『ペンションクライシス』1 - お〜ちゃん - 2005/10/11(Tue) 16:15:10 [No.1202]
Re: R『ペンションクライシス』1 - これ最高!! - 2005/11/13(Sun) 18:35:24 [No.1209]
R『ペンションクライシス』2 - お〜ちゃん - 2005/10/11(Tue) 16:18:13 [No.1203]


R『ペンションクライシス』1 - お〜ちゃん

「クックック・・・・ しかしこんなにも上玉が揃うとはな」

「ですな。せめて一人くらいはと思ってましたが」

「で、どうします?やはり、このままただバイトさせてハイ終わりってわけじゃないですよね?」

「当たり前だ。当然・・・・」

「では、作戦を立ててうまくやりましょう」

「私は、あの黒髪のツンと冷たそうな子がいいな」

「お前、あぁいう子好きだよな。」

「私はあのぶりっ子なアイドル系の子が好みですね〜」

「うむ、なかなかいい所に目が行くな。」

「で、若はどの子がタイプで?」

「・・・・当たり前なことをいうな。俺は・・・」

「俺は?」

「フッフッフ・・・・」

















いちご100% 「さわやかペンションクライシス 二次小説」













淳平達、泉坂高校映画研究部は夏休みを利用して部費を稼ぐためにと人里はなれた山奥に来ていた

『ペンション 爽やか』

住み込みのバイトになるが、バイト代も通常の倍以上とあって、短期間で稼ぐために淳平が申し込みをしたのであった。


真中淳平、外村ヒロシ、小宮山力也、東城綾、西野つかさ、南戸唯、北大路さつき、外村美鈴、端本ちなみ、向井こずえ。


総勢10名。


ペンションの掃除や厨房の整理、ベッドメイキング等、あらゆる雑用を皆で汗水流して初日から頑張っていた。










ガシャーン!!

大きな音と共に、淳平のすぐ横にあった大きな壺が床に倒れて割れた。


「え?えぇ!?」


突然のことに目を丸くして、その割れた破片を見つめた

「俺、触ってないのに・・・何で??」

とまどっている淳平へ、さつきと綾が駆け寄ってきた

「真中!何、今の音!?どうしたの??」

「あ、いやなんか勝手にこの壺が落ちて割れちゃって・・・」

「え?・・・・」

綾は淳平の傍で破片となった壺を見て固唾を呑んだ

「こ、この壺って・・・」

「どうしたの?東城さん」

「う、うん。確かさっきお掃除してる時に、マネージャーの式部さんが言ってたんだけど

この壺、オーナーの更埴さんが大事にしてる壺で亡くなったお父さんの形見だって・・・」

「え?形見!?」

「うん・・・・毎日ずっと大切に磨いてて、この壺を見て仕事を頑張ってるって言ってた」

「・・・・・・や、やばい。俺、そんな大切なものを・・・・・」


淳平は事の大きさに気付き、顔から血の気が引いていった


「ね、ねえ真中!早くオーナーさんに謝ろうよ」

「そ、そうよ、真中くん」

「あ、あぁ・・・・そうだよな・・・・・・」






「おい、どうした!!」

と、その時、大きな音に気付いたペンションのオーナー達がリビングルームへと走ってきた

「あ、あの・・・」

淳平が今の状況を説明するよりも早く久原が大声を上げた

「あぁーーー!キ、キミ!こ、この壺を割ったのか!?」

「・・え・・あ・・・あの・・・」

「おい、この壺はな、どういう壺なのかわかってるのか!!」

「・・グッ・・・ウゥ・・・」

胸ぐらをグイっと掴まれ、淳平は息が苦しくなった

「この壺はな、この壺はな・・・・」

声を荒げる更埴に、淳平は言葉を返せなかった




カチャ・・・カチャ・・・・



無言で粉々になった破片を式部は拾い始めた


「式部・・・」

更埴は式部の様子を見て、淳平を離した


「す、すみませんでした!!」

淳平は頭を深々と下げた


「俺、壺に触ったって感じはないんですけど、でも、その場にいたのは俺だけだったし、オーナーさんが大事にしてる壺を割ってしまったのも事実ですし・・・」


頭を下げたまま謝り続ける中、騒ぎを聞きつけたヒロシ達映研部メンバーが全員集まった


「淳平くん!?」

その姿を見て、つかさが淳平に駆け寄った

「どうしたの?一体何があったの??」

心配そうに淳平の顔を覗き込むつかさと他のメンバーに、さつきが今までの経緯をサッと説明した


「お、おい・・・真中、お前・・・・」

ヒロシも言葉に詰まった

「・・・淳平くん、ケガは?破片で切ったりしてない?」

つかさは淳平の身体を気遣った

「あ、あぁ・・・・俺は大丈夫だけど、でも・・・・・壺が・・・・」

淳平の眼は、明るさを失っていた


「困りましたな・・・・」

今まで黙っていた式部が静かに語りだした

「この壺は先代がずっと大事にしていた壺でしてな。先代がなくなられた時、このペンションも廃業しようということになってたのですが・・・

若・・・いや、こちらのオーナーが先代の意思を受け継ぎたいということで廃業せずに続いてる次第。

経営が苦しいときも、この壺を見ては、亡き先代を思い出して頑張ってきたのです」


「す、すみません!本当に・・・俺・・・・」


「・・・・どうしてくれるんだ!弁償だ!!」

「わ、若・・・・」

「いいや、警察だ・・・法的手段で出るとこに出てやる!」

「し、しかしそれはあまりにも酷ではないですか!」

「そうですよ、オーナー。彼にも悪気があったわけじゃないのですから」

「だけどな!この壺は・・・」

「わかっております。ですが、彼らには責任を取らせるわけにはいかないでしょう」

「でもな!式部・・・・」




更埴と式部、久原の会話を黙って聞いていた映研部メンバー。

美鈴が思わず尋ねた

「あ、あの。一つ質問してもいいですか?」

「なんだい?」

「その壺、ただの形見ってわけじゃない他の理由があるんですか?」


「・・・・・・・」

「・・・・・・・」


更埴と式部は眼を合わせるとそっと伏せた


「あのな、この壺はな!!」

更埴がまた騒ぎ出した

「おやめ下さい、オーナー!私から彼らにきちんとご説明いたしましょう」

「いいや、言わせて貰う!いいか、お前ら!!

この壺はな、時価1000万円はくだらない代物なんだよ!」



「「「「い、い、いっせんまんーー!?!?!?」」」」



壺の価値を知って驚愕するメンバーたち


「そうだよ!それとな、この壺はもう買い手が決まってたんだよ!!」


「!?!?!?!?」

淳平は口を開けたまま声が出ない


「ちょ、ちょっとそれっておかしくないですか?」

さつきが割って入ってきた

「だって、オーナーのお父さんの形見なんでしょ?それを何で売るわけ?毎日大切にしてるんでしょ?」

さつきの質問に皆も頷いた


「・・・・・・・恥ずかしい話なんだが・・・」

式部が話し始めた

「実は、このペンション。大分傷んでましてね、赤字経営がずっと続いてたんだ。」

「・・・?え?だってすっごく綺麗じゃないですか〜??」

ちなみが両手を広げながら言った

「今はね。でもついこないだまでは・・・。先代が死んでからは全く稼動してない状態でして・・・。ですが、こちらいおられるオーナーが先代の面影が残るこのペンションを潰すのはおししいと・・・。

それで、色々とがんばって来たのですが赤字が続いてしまいましてね。

みんなと相談して、思い切ってリニューアルオープンして新しく生まれ変わろうと。先代からの名残が多少なくなるけど、オーナーが新しいペンションを経営して、亡き先代に立派になった姿を見せてやろうってね。・・・・でも結局借金が嵩んでしまいまして・・・

そんな時、この壺を以前から欲しいって人がいたのを思い出して、思い切って売ってしまおうと・・・」


「・・・・・」


「改装するための借金が700万。壺が1000万。差し引き300万。この300万を元手に他の手の届かなかった所を改装したり広告を出したり・・・まず手始めが君たちに改装オープンの準備を手伝ってもらおうって事だったのですが・・・・」


「そうだったんですか・・・・」


「あ・・・・あの・・・」

こずえがビクビクしながら手を上げた

「あの・・・・何か私たちで手伝えないでしょうか?」


「あぁ?無理だろ。お前、1000万あるのか?」


ビクッ!

「ひ、ひぃぃやぁぁぁ〜〜〜〜」

こずえは綾の後ろに隠れてしまった


「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」



沈黙が続いた


「・・・・・俺、弁償します」


「え?ちょ、ちょっと淳平くん!?」

「お、おい真中、何言ってるんだ!1000万だぞ!!」

「あぁ、わかってる。何年かかるかわからないけど、俺、頑張って必ず弁償する」


「おいおい、わかってないな。あのな、1000万は今必要なの。いい?君が頑張ってもまだ高校生なんだからせいぜいあと5〜6年くらいしないと返せないでしょ?」

「そ、そうですが、でも・・・・」





しばしの緊張した沈黙の中、式部が整った髭を指で弾きながら言った


「・・・・・まぁ、すぐに返せる方法もありますけどね」


「え?あ、あるんですか!?」

綾が声をあげた

「えぇ、ありますとも。君たちならスグに返せる方法がね。君たちなら」


「な、なんですか、それは?教えてください!!」

さつきとつかさも式部に問い詰めた

「・・・・・・まぁ、後ほど、皆さんに個別にお話いたしましょう。全員が同じ事で協力してもらうわけではありませんのでね。」


「・・・・式部、本当にそんな方法があるのか?」

更埴は式部に尋ねた

「えぇ、お任せください。それには皆さん全員の協力が必要になります。全員のね」


「わかりました。協力します!」

「あたしも!」

「ちなみもやりまーーーす♪」

「・・・仕方ないわね、あたしもやるわ」

「真中だけに責任取らせるわけにはいかね〜しな」

「み、みんな・・・・・・・」

「オーナー。この件は私にお任せくださいませんか?決して悪いようにはいたしません。彼らにも誠意というものがあると思いますし」

「・・・・そうだな。みんな、取り乱して申し訳ない。真中くん、さっきはすまなかった・・・」

「い、いえ!そんな、オーナーさんが謝ることじゃ・・・」



「わかりました、では後ほど皆さんに個別にお話いたします。1000万円ですから、一人あたり100万円って所ですね。ちょっと男子は力仕事ですから大変ですが、決して危険なマネはさせませんからご安心ください」


「ハイ!!」






「では、ここは片付けていただいて・・・・そうそう、この破片はまとめて置いておいてください。割れてしまっては買い手も付かないですが、これはこれで形見としてオーナーに差し上げましょう」


「ハイ!!!」













「ごめんな、みんな・・・なんかこんなことになっちゃって・・・・」

淳平は深々とアタマを下げた

「いいって、気にするなよ!」

「そうだよ、淳平くんにケガがなかっただけでも良かったじゃん!」

「そうですよ!それに、偶然何かの拍子で倒れた時に真中先輩が傍を通っただけかもしれないですしね」

「そうそう、それにオーナーさん達もいい人そうだしさ!」

「みんな・・・・ありがとう・・・・」




















「クックック・・・・・・うまくいきましたな、オーナー」

「あぁ、どうだ?俺の演技は抜群だったろう」

「何を言ってるんです!私の迫真の演技があったからこそですよ!」

「しかし、あんな壺が1000万もするわけないだろうにな」

「高校生じゃわかりませんよ」

「そうだな、だが、今は高校生だからこそいい」

「そうですな」

「で、手始めにどうする?」

「そうですね」

「まず面倒な男子どもには出てってもらいましょうか」

「そうだな。なんかうまいこと理由つけて事が終わるまで」

「3日間くらい?」

「あぁ、そのくらいでいいだろう。いざとなれば延ばせばいい。例のプレハブがあったろ?」

「ありましたね。ここから車で2時間くらいでしょうか」

「そうだ。あそこを買いたい人がいるからと言って綺麗に掃除させよう。3日間」

「・・・・・そうしますか」

「久原、お前が連れてけ」

「えぇ!?私がですか!??」

「そうだ。お前が一番適任だろ」

「そ、そんなこと言って私がいない間に女の子たちと・・・・」

「フッ・・・・・心配するな。お前のお目当てには手を出さないから」

「ほ、本当ですか?」

「あぁ、本当だ」

「では、手始めに・・・・」

「そうだな、まずはこの子にしよう」



3人が囲んだテーブルの上に、更埴が差し出した一枚の履歴書









「向井こずえ」


[No.1202] 2005/10/11(Tue) 16:15:10
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