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No.1261へ返信

all 初めまして! - 光 - 2006/02/22(Wed) 10:32:33 [No.1260]
『プロローグ』 - 光 - 2006/02/22(Wed) 11:15:48 [No.1261]
第1章『その理由は・・・』 - 光 - 2006/02/27(Mon) 13:25:46 [No.1263]
第2章『ハイウェイパニック』 - 光 - 2006/03/06(Mon) 19:17:04 [No.1272]
第3章『惚気100%』 - 光 - 2006/03/10(Fri) 19:08:53 [No.1275]
第4章『再会二重奏』 - 光 - 2006/03/15(Wed) 23:47:50 [No.1280]
第5章『羅針盤MANAKA』 - 光 - 2006/03/30(Thu) 01:30:48 [No.1286]
第6章『桜 時々 いちご』 - 光 - 2006/04/22(Sat) 00:02:50 [No.1290]
第7章『Mad Compass』 - 光 - 2006/05/09(Tue) 17:44:37 [No.1295]
第8章『あいたがひ 覚束無しや 桜人』 - 光 - 2006/08/16(Wed) 17:51:10 [No.1309]
最終章『西に沈む陽』 - SSスレからの転載・たゆ代行書き込み - 2007/03/27(Tue) 12:12:37 [No.1342]


『プロローグ』 (No.1260 への返信) - 光

 別れの悲しみ、目的地への期待と希望、出掛け先での思い出。空港にはそんな思いとそれを持つ人々が、今日も集まりすれ違い、忙しなく動いている。
 たった今ゲートをくぐった彼女も、そんな大勢の一人。キャスターのついた旅行用のかばんを引き、こころなしか他人よりも早足で出てきた。ロビーに着くや否や、彼女はキョロキョロと辺りを見回し、次いで自分の小さな腕時計に目をやった。
 不安が焦りへと変わり、彼女は何度も周囲に目を走らせた。急に、彼女の首が動きを止める。見つめる先には、壁に寄りかかっている一人の男。男性も彼女の視線に気が付いたらしく、何の気なしに見つめていた爪先から、彼女の方へと視線を移す。
 視線がぶつかり合う。永遠ともとれる一瞬、互いに何の反応も示さない。我に返った男性は、見開きがちになっていた目を細め、口の端を少し持ち上げた。彼女も嬉しそうに表情をほころばせる。
 気が付けば、走り出していた。走るのには決して向いているとは言えない靴で、彼女なりに精一杯、渾身の力で彼の元へ向かった。
焦る気持ちが肉体を追い抜き、先に彼の胸に飛び込み体がそれに従った。もう久しく感じていない彼の温もりを、彼女は全身で受け止め、彼の方も彼女を優しく抱きしめ、そっと髪を撫でてやってた。 再会の喜びを充分に噛み締めながら、どちらからともなく、囁くように言葉を交わした。

「ただいま、淳平君」
「おかえり、西野」 


[No.1261] 2006/02/22(Wed) 11:15:48
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