[ リストに戻る ]
No.1274へ返信

all はじめのコトバ - りゅうか - 2006/03/06(Mon) 02:09:59 [No.1270]
時を越えて・・・【プロローグ    in現在 〜始まり〜】 - りゅうか - 2006/03/06(Mon) 02:18:06 [No.1271]
【1章  in過去 〜妖精と仕事〜】 - りゅうか - 2006/03/07(Tue) 01:23:20 [No.1273]
【2章   2年前の・・・・】 - りゅうか - 2006/03/08(Wed) 00:44:06 [No.1274]
【3章    2度目の初めまして】 - りゅうか - 2006/03/11(Sat) 02:40:29 [No.1276]
【4章  映画鑑賞と夢の違い】 - りゅうか - 2006/03/14(Tue) 23:51:25 [No.1279]
Re: 【5章  望みとその世界】 - りゅうか - 2006/03/26(Sun) 23:05:17 [No.1285]
[削除] - - 2006/03/13(Mon) 23:13:20 [No.1278]


【2章   2年前の・・・・】 (No.1273 への返信) - りゅうか

  




   【2章   2年前の・・・】



 



 今まで、何度と無く、歩いていた道。
 
 その道を、つかさは、肩に小女を乗せて歩いていく。
 
 小女が言うに、つかさ以外には、誰にもララの姿は見えないらしい。
 
 それでも、やはり緊張してしまう。
 
 だがそれも、ララのことだけでは無い。
 
 今つかさが向かっているのは、淳平の家なのだった。
 
 

 (映画の撮影って・・・どうやって頼めばいいのかな)
 
 淳平はまだこの時、つかさには、会ってすらいないのだ。
 
 赤の他人であるつかさを撮影するなんて事あるだろうか・・・
 
 (事情を話したって・・・)
 
 自分が過去に来たことを信じた、たった一つの証拠であるララの姿  
 
 は、淳平に見えないのだ。
  
 それよりつかさが心配なことは、淳平が彼女に対してとるであろう態  
 度。
  
 見知らぬ人から、一緒に映画を作ろうなんて言われて、本当に作る人

 なんていないだろう。
  
 いくら淳平君でも・・・・
  
 あれこれ心の中で考えているうちに、自然とうつむき加減になってい

 く。
  
 つまり、つかさは、ろくに前も向かずに歩くことになる。
  
 その事に対する結果は、すぐに訪れた。
  
 「つかさ!前!!」
  
 「っえ、きゃぁ!」
  
 ララの警告もむなしく、つかさは、前を歩いていた人物の背中へ、思  
 
 いっきり激突してしまった。
  
 「痛って!」
  
 「ご、ごめんなさ・・・・」
  
 つかさの目の前には、金髪の、恐そうな顔をした男が、彼女を見下ろ  
 
 していた・・・ 
 
 
 
 







 「あ〜もう、小宮山のやつどこいったんだぁ!」

 両手にDVD入りのビニール袋をぶら下げ、自宅へと向かう少年。

 彼、真中淳平は、中学3年の受験生だ。

 まあ、だからといって特に勉強に勤しんでいると言うわけでもなく、

 夏休みに入った今日も、小宮山と夏休みの宿題をやろうとしていたの

 がいつの間にか、親の居ない間に、DVDを借りに行っている始末。

 だが、突然小宮山が居なくなり、探してもなかなか見つからないの 

 で、淳平が帰ったと勘違いして、小宮山が先に戻ったのかもしれない

 と思い、淳平は家路を急いでいた。

 「まったく・・・俺らが行ってはいけない様なコーナーに行ったと思

 ったら、急に居なくなるんだもんなぁ」

 アスファルト塗装が剥がれかけの、見慣れた道路は、自宅がもうすぐ

 であることを淳平に伝えてくれる。

 ここまで来れば、あとは、目を閉じてでも歩ける、と淳平は、目を細

 めつつ空を見上げる。

 夏。この季節には、何かが起こりそうな気がしてくる。

 映画でも、何か特別なことが起こるのは夏だ。

 海を連想させるほどに真っ青な、雲一つ無い晴天。高い気温と湿度の

 中、優しく髪を揺らす静かな風。そして、うるさい程に歌う、セミの

 声。

 「痛って!」

 「ご、ごめんなさ・・・」

 その時だった。淳平の耳に、なにかがぶつかる音と何者かの声が聞こ

 えてくる。

 当然セミの声では無い。

 (こ、この声・・・・!)

 聞き覚えのある声を耳にし、淳平は、声のした方の道へ曲がると、そ

 の先にいたのは、つかさと、恐い顔の男。

 2年後の淳平ならば、迷わずつかさに声をかけるのだろうが、今の淳

 平は違っていた。

 淳平がまず声をかけたのは、男の方。

 だがそれは、つかさも同時だった。

 「小宮山!」

 「小宮山君!」

 二人に同時に呼ばれた小宮山だったが、その声は届いていない。

 淳平のものに限っては・・・

 「ああ!!つかさちゃんこんな所で会うなんて偶然だなぁ。あれ、つ

 かさちゃん髪切ったの、いいな〜その髪型もすっごく似合うな〜」

 つかさを前にして、それ以外のものは、目に入らないようだ。

 だがもちろん、つかさは、淳平の姿を捕らえていた。

 肩に乗るララも、すぐ淳平の存在に気が付き、つかさに尋ねる。

 「あれが、淳平だよね」

 その問いに、つかさは軽く頷いて、小宮山に、

 「ありがとう」

 と、だけ言い、軽くあしらってから、淳平の元へと歩み寄る。

 三十分ほど前に会った時よりも、10センチほど身長がちぢみ、顔も

 幼く見えるが、彼は、間違いなく淳平だった。





















 「・・・・・淳平君・・・・・・」
























 目一杯の愛情を込めて言った、彼の名。

 そして、それに対する返事は・・・・・ 


































  「っえ、・・・えっと・・・・誰、です・・・か?」















 いつもの様に頬を赤く染め、彼から発せられた言葉は、いつものそれ

 では無かった・・・
































































一日一章、三日で三章♪

最近、寝不足です・・・


[No.1274] 2006/03/08(Wed) 00:44:06
61-22-216-100.rev.home.ne.jp

Name
E-Mail
URL
Subject
Color
Cookie / Pass

- HOME - お知らせ(3/8) - 新着記事 - 記事検索 - 携帯用URL - フィード - ヘルプ - 環境設定 -

Rocket Board Type-T (Free) Rocket BBS