西野つかさ誕生日SS「ショコラ・デ・ストロベリー」 - たゆ  |
キッチンからティーセットを持って現れた西野つかさは、自宅の居間のソファに力なくシャツの前をはだけて寝ている真中淳平と、テーブルの上の箱入りチョコ詰め合わせの空箱を交互に見てどんな状況なのか察知した。
「ああ!それ全部食べちゃったの?これは結構アルコール度数が高いボンボンなんだよ…大丈夫?…」
アルコール度数の高いリキュールでもフランペすれば、つまり加熱すればアルコールはある程度飛んでしまうのだが、これはアルコールが飛びにくいオレンジリキュールのグランマルニエを使用しているため、リキュールの持つ高いアルコール濃度と香りをそのままにした大人向けショコラボンボンだった。 鼻から抜けるビターチョコとグランマルニエ独特のオレンジピューレの香りを楽しむそれはアルコールに弱い人は一つ食べて顔が真っ赤になる代物だ。
テーブルの上には九つ入りだった箱が空になっている。
あくまで試作品のそれはつかさが真中に一個試食してもらおうとして置いていたものだった。 手に持っていたティーセットを盆ごとテーブルに置くと傍らにひざをつき手を真中の赤い頬に添えた。
真中は火照った頬にヒンヤリ冷たい心地よさに目を細める。
「ごめんなさい、ちゃんとお酒が入ってるって説明すればよかったね。…一個ぐらいにしておけばよかったのに…」
「・・・せっかく西野が作ったものだから・・・残しちゃ悪いなあっと思って・・・」
ふうふうと呼吸は荒く顔に腕を当てだらしなく寝そべる真中を見ると申し訳なさがにじみ出る。
「・・・冷たい水とぬらしたタオル持って来るからじっとしてて」
つかさはシンクに向かおうと立ち上がった。
「・・・西野・・・」
おでこに置かれていた腕が通り過ぎようとするつかさを掴んだ。 その力は強く真中の上につかさの身体が投げ出された。
「きゃっ!あっ!淳平くん痛くない?!ごめん!」
急いで起き上がろうとするつかさの身体を真中の両腕が抱きしめて離さない。
「淳平くん?」
何事かと振り返ると真っ赤な真中の顔がある。そしてゆっくりと近づきつかさの耳元でささやいた。
「西野も味わってみて…」
そう言うと真中は唇をそっと重ねた…と思ったらがっくりと首が横に倒れ、つかさに力の抜けた身体がのしかかってきた。
「…え?…ええ?!大丈夫?淳平くん!」
「…うーん…もう飲めない〜…アツーイ熱いよ〜…」
目を閉じてその時を覚悟したが真中を見るとぐるぐる目が回って完全にのぼせてしまっていた。 いつも通りの彼に安心してその身体を抱きしめた。
「ウフフ、いつまでもこのままでいて欲しいって言ったら困るかな?」
正体が無くなった好きな人の背中をやさしくポンポンとあやしながらクスクスと楽しそうに笑う西野つかさだった。
23歳だね! 西野つかさタン誕生日おめでとう!
[No.1524] 2009/09/16(Wed) 22:29:38 G041141.ppp.dion.ne.jp |