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第一部「WEST GATE」 第四話 - スタンリー - 2010/11/21(Sun) 08:15:00 [No.1598]
第一部「WEST GATE」 第五話 - スタンリー - 2011/02/09(Wed) 20:54:22 [No.1599]
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第一部「WEST GATE」 第五話 (No.1598 への返信) - スタンリー

第5話


トモコとつかさが居間へ移動しソファに腰掛けて談笑している。


トモコ「淳平君にあの話をしたんだ。で、なんて答えたの?」



つかさ「ドアを開けるって。」


トモコ「やっぱりね。そう言うんじゃないかって思った。
    
嬉しかったでしょう?」



つかさ「そうね。でも、開けちゃぁダメって言っておいた。

だって、私のせいで夢をあきらめて欲しくなかったしね。」



トモコ「そうね。」


つかさ「それともし、この世からいなくなったら、直に

私のことは忘れて新しい彼女を見つけて欲しいって。」



トモコ「優しいんだね。」



つかさ「その時にね、高校時代に彼が好きだった人の

名前を出したら、怒られちゃった。」


トモコ「あの淳平君が怒ったの?」



つかさ「うん。」


トモコ「そう・・・それで好きだったって女の人って?」



つかさ「・・・東城さん。」



トモコ「東城・・・って・・・・あの小説家の東城綾のこと?」



つかさが頷く。

つかさ「彼女なら、彼と同じ高校へ通ってたし、部活も一緒で

よく知ってるから、夢の手助けしてくれると思うの。」



トモコ「でも凄い有名人でしょう?どうして分かるの?」




つかさ「実はねここに来るまえにね、東城さんに5年ぶり

に会ったときに教えてくれたの、淳平くんに自分の書いた

作品を映画化してもらうのが夢だって。」



トモコ「そう・・・・、ねぇ、もしかしてその東城さんって

淳平君のことが好きだったの?」


つかさが頷く。

つかさ「お互いの気持ちを知ってて、高校一年のとき一度

彼と別れてるから。」



トモコ「 ・・・。ねぇ彼って今でも東城さんと会ってるの?」



つかさ「どうかなぁ。一応同級生で同じ部活だから、集まりが

あれば会っているって思うけど。」



トモコ「集まりって意味じゃなくって、2人っきりでって意味

でよ。」



つかさ「私がフランスにいた時、一度も会ったことがないって

言ってたから、会ってないと思うけど。」



トモコ「感心感心、あんた達真面目に遠距離恋愛してたんだ。」



つかさ「あれっ、話してなかったっけ。向こうに行っている4年

間、彼との関係は白紙になったって。」



トモコ「うそっ・・・初耳よ。確かフランスに行くとき彼氏が見送

りに来るから空港へは来ないでって。」


つかさ「空港で別れるまでは恋人同士って約束だったから。」



トモコ「じゃあ、あんたが去年戻ってくるまで2人ともフリー

でお互いに連絡はとってなかったの?」


つかさが頷く。



トモコ「寂しがり屋のあんたが?」



つかさ「寂しかったけど、信じてたから。」     



トモコ「そう・・・・ねぇ、浮気の境界線ってどこだと思う?」


つかさ「浮気?」


トモコ「そう、どこまでだったら淳平君のことを許せる?」


つかさ「急に何を聞いてくるのよ、もう。もしかして

隆志さんが浮気をしたんじゃないの?」



トモコ「・・・・。」


つかさ「本当なの?」



トモコ「うん、でも結婚する前だけどね。最初、隆志は

会社の同僚と仕事のことで合ってたって認めなかったけ

どね。」



つかさ「それって、思い過ごしじゃないの?」



トモコ「隆志にもそう言われたの。でもね、私見ちゃったの、

携帯電話でのメールでのやり取りを。」



つかさ「あやしいメールのやりとりがあったんだ。」



トモコ「そう。」



つかさ「でも、結婚してるっていうことは、仲直りしたって

事よね。」



トモコ「隆志が謝って、もう会わないって約束したからね。」


つかさ「そんなことがあったんだ。」



トモコ「私のことはいいから、つかさは?」


つかさ「私?」


トモコ「とぼけちゃってぇ。どこまでなら許せるかってこと。」



つかさ「考えたことないなぁ。」



トモコ「じゃぁ、2人っきりで会うっていうのは?」



つかさ「お仕事とか、そこに感情がなければ・・・問題

ないと思うけど。」



トモコ「そう・・・、もし、その相手が東城さんだったら?」



つかさ「えっ!?」



浴室のドアの開閉の音がする。



居間へ髪の毛をバスタオルで拭きながら淳平が短パンとTシャツ

姿で風呂場から出てくる。


つかさとトモコが会話を止める。



淳平「お先に。いい風呂だったなぁ。あっ、なんか会話の邪魔をしちゃった

かな?続けてよ。」



つかさ「ううん、今終わったとこだから。」


トモコがビール(缶)を淳平に手渡す。

淳平がビールを受け取る。


淳平「サンキュウ。」


淳平がつかさの隣のソファに腰掛け、ビールの缶のプルトップ

を開けようとした時、突然淳平の携帯の呼び出し音が鳴る。


淳平がビールとバスタオルをソファの上に置き、短パンのポケットから

携帯電話を取り出し電話に出る。



淳平「はい、真中です・・・・角倉さん・・・・はい・・・こんば

んは、お疲れ様です・・・・えっ!?」


淳平が一瞬つかさの顔を見る。


淳平「はい。・・・・でも、・・・・・・・・・はい、そうですね・・・。

いえ大丈夫です。・・・今からだと、3時間いや2時間半もあれば・・。

分かりました。はい、・・・・気にしないで下さい。・・・・・・・

直ぐに向かいますから。」


淳平が携帯電話をきる。



つかさが怪訝そうに。



つかさ「もしかして、お仕事?」



淳平が申し訳なさそうに。

淳平「うん、営業がちょっとミスをしちゃって、映像を大至急

手直しする必要があるから、今から事務所へ行かないといけない。」



つかさ「今から?これから暗くなるし、雨が降ってるのに?」



淳平「ああ。」



つかさ「何か理由を言って断れないの?」



淳平「勝手に決めちゃって悪いけど、もう行くって言っ

ちゃったから。ホンッと、ごめん。」



つかさ「ただの我がままでいってるんじゃんないのよ。

来るとき、道の側溝から所々で水が溢れてたし、帰り

道土砂崩れなんかあると危ないと思うから心配なの。」




淳平「心配してくれるのはありがたいけど、今度の仕事は

俺に任されてた事だから。」



つかさの頭の中で隆志の怪談話が浮かんでくる。



つかさ「なんとなくだけど・・・嫌な感じがするの、だから。」


淳平がつかさの表情を見て。

淳平「もしかして、さっきの怪談話が頭に浮かんだんじゃないのか?」


つかさが頷く。



淳平「大丈夫だって。そんなにスピードも出さないし、安全運転で

帰るからさ。もし心配だったら一緒に帰るか?」



つかさ「いやよ。せっかく来たのに。・・・・いいわ、あんたなんて

土砂崩に巻き込まれちゃえばいいのよ。」



淳平「おいおい、ひっでぇ言い方だなぁ。」



トモコ「そうよ、ちょっと酷いよ、つかさ。」


つかさ「トモコはちょっと黙ってて、これは私達の会話だから。」



トモコ「・・・。」



淳平「分かった、一人で帰るけど、仕事が終わったらすぐに戻る

から。」



つかさ「いい。焦って仕事をして失敗したら嫌だし、帰りはトモコ

に送ってもらうから。」



淳平「それでも、必ず戻るから。」



つかさ「さっき言ったでしょ。私は扉を開けないって。」



淳平「おいおい、それは俺が死んで霊になった時の話だろぅ。」



つかさ「ふん。私、お風呂に入るから。大切な仕事なんで

しょ、早く帰れば?」


つかさが風呂場へ行った。




淳平が困惑気味な顔をしながら2階へ自分の荷物をとりに行った。


[No.1599] 2011/02/09(Wed) 20:54:22
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