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No.1605へ返信

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第一部「WEST GATE」 第八話 - スタンリー - 2011/07/09(Sat) 19:17:25 [No.1606]
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第一部「WEST GATE」 第七話 (No.1601 への返信) - スタンリー

第7話


トモコ「・・・淳平くんが・・、淳平くんが・・・・。」


つかさがベッドから起き上がる。

つかさ「じゅんぺいくんがどうかしたの?」


トモコ「さっき、ラジオで・・・土砂崩れがあって・・・

数台の車が巻き込まれたって。地元の消防や救急車が来て


・ ・・・何人か救出して麓の町にある救急病院に運んだって

・ ・・・それでその中に」



つかさ「もしかして・・・その中に?。」



トモコがゆっくりとうなずく。


トモコ「運ばれた中の1人の所持品・・・運転免許証から

淳平君の名前が流れて・・・。」



つかさ「それで、じゅんぺいくんは大丈夫なの?」



トモコが横に首をふる。

トモコ「運ばれたことだけしか分からないの。あと病院の連絡先も

分からないし、落雷のせいか携帯の通話ができないみたいなの。

ここ別荘で固定電話がないから電話帳もないし。」




つかさ「私のせいだ・・・私が土砂崩に巻き込まれちゃえばいい

なんて言ったから・・・だから・・・。」



トモコ「そんなの関係ない。これは天災であって事故なの。あんた

のせいなんかじゃないんだから、自分を責めちゃ駄目。」


つかさがラジオを聴くために寝室を出て居間へ行く。


トモコもつかさを追いかけて下の階に行く。


居間ではラジオの番組で雑音が混じりながら音楽が流れている。


一階の居間に着いたとき一瞬つかさの脳裏に救急の手術室と外科

医や看護士たちのビジョンが写る。


つかさ(今のって・・・・もしかしたらじゅんぺいくんがER

で緊急手術を受けてるような映像ってこと?)


少しして突然ラジオの音楽が止まり、ニュースのアナウンスが流れる。



二人がラジオの側に近づきそのアナウンスを聴く。


ラジオ「・・・先程、・土砂崩れに巻き込まれ・・病院に運ばれた・・・

・・真中淳平さんが・・・たった今病院で亡くなられました。これで

この土砂崩れの死者は3人で・・・・」


つかさの目から涙が流れる。



つかさ「嘘・・・・。信じない・・・信じられるわけない・・・

だって、さっきまでここに一緒にいたんだよ。神社にだって行ったし

仕事が終わったら、ここに迎えにくるって・・・・。」



つかさが軽い錯乱状態になる。


つかさ「そうだ、じゅんぺいくんに連絡・・・メールを送らないと・・・

通話は無理でもメールなら・・・明日電車でそっちに向かうって、

だから迎えに来なくていいって伝えないと・・・携帯・・・・携帯。」



つかさがテーブルやソファの辺りを探すが見つからない。



つかさ「ねぇ、私の携帯って見なかった?ストラップにツカサ&

ジュンペイってロゴがついているのだけど。早くメールを送って

知らせないと。」



トモコが携帯電話を必死に探しているつかさの姿を見ている。


ツカサ「どこに置いたのかなぁ、おかしいなぁ、テーブルの上に置い

といたはずなのに・・・もしかして寝室かなぁ。早く伝えないといけ

ないのに。」


トモコがつかさを後ろから抱きしめ囁く。


トモコ「淳平君はもうこっちの世界にいないんだよ。だからメール

を送っても受け取れないんだよ。」


つかさがその場でしゃがみこむと同時に目から涙がこぼれおちてくる。



つかさ「こっちの世界いないって・・・・・嫌ぁぁぁぁぁぁ。

だって・・・・じゅんぺいくんは・・・じゅんぺいくんは必ず迎え

に来るって・・・。」



トモコがツカサを少し強く抱きしめ頭をなでながら。

トモコ「ずぅっとこうしてあげるから、今は泣いていいから。」







しばらくして、つかさの涙もとまり少し落ち着きがもどってくる。



つかさ「ありがとう、少し落ち着いたから。」


二人が立ち上がり離れる。



つかさ「ちょっと顔を洗ってくるね。」



つかさが洗面所で顔を洗ってから居間にもどりソファに腰掛ける。


その横にトモコが座る。



トモコ「あんなことがあって、どうやって励ましていいか

わからないけど・・・、彼のことは・・その・・言いにくい

けど・・・早く忘れたほうがいい。さっきも言ったけど、事故なの

・・だからあんたは悪くないんだから自分を責めちゃ駄目よ。」



つかさ「忘れるって・・・そんなの無理・・・無理に決まって

るじゃない。だって・・好きなの・・・卒業してから4年間

フランスにいたときだって、ずぅっと。それに帰ってきてから

だって、好きなの・・・好きで好きでしょうがないの・・・

すごく愛してるんだから。」



トモコ「好きでしょうがないの分かってる、忘れるのが無理なの

も分かってる・・・でも、もうあんたの淳平くんはいないんだよ。

そんなに彼のこと思ってると、きっと成仏できないよ。」



つかさ「成仏って・・・しなくてもいい。霊になってもいい

ずぅっと一緒にいてくれるんなら。」



トモコ「何を言ってるの。さっきの話じゃ、扉を開けないって

言ってたじゃない。淳平君にだって開けちゃ駄目だって言った

んでしょう。」




つかさ「言ったけど・・・・。」



トモコ「今は突然のことで気が動転してると思うから・・・仕方が

ないけど、幽霊でもいいなんて、親友としてそんな心が病んでる

みたいで放って置けないよ。」



つかさ「だって、苦しいの・・・胸が痛いの。」


トモコが少しためらいながら・・・。

トモコ「・・・こんな時に言うのは、いけないかもしれないけど

・ ・・ここに来た少し前に・・・女の人と二人きりでで親

密そうに食事をしていたの目撃したの。」



つかさ「二人きりでレストラン?誰よその女の人って?」


トモコ「教えてくれなかったから誰かは分からない。でも

今日あんたと話してて思ったけど、あれはきっと東城っていう

作家に間違いないわ。」



つかさ「東城・・・さん?」



トモコがうなずいた。


[No.1605] 2011/07/03(Sun) 11:31:56
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