「Some Kind of Wonderful 【reviced edition】」 - スタンリー - 2011/09/25(Sun) 22:46:50 [No.1609] |
└ 第1話 「届いてはいけない想い」 - スタンリー - 2011/09/25(Sun) 22:47:47 [No.1610] |
└ 第2話 「壊れた時計」 - スタンリー - 2011/09/25(Sun) 23:06:11 [No.1611] |
└ 第3話 「天使からの招待状」 - スタンリー - 2011/09/25(Sun) 23:46:10 [No.1612] |
└ 第4話「Reunion 前編」 - スタンリー - 2011/10/02(Sun) 16:05:31 [No.1613] |
└ 第5話「Reunion後編」 - スタンリー - 2011/10/02(Sun) 16:13:46 [No.1614] |
└ 第6話「天使の憂鬱」 - スタンリー - 2011/10/09(Sun) 20:51:42 [No.1615] |
└ 第7話「Do you see the light?」 - スタンリー - 2011/10/09(Sun) 21:17:14 [No.1616] |
└ 第8話「一人ぼっちじゃない。」 - スタンリー - 2011/10/10(Mon) 07:18:40 [No.1617] |
└ 第9話「Who’s that girl?」 - スタンリー - 2011/10/10(Mon) 07:40:56 [No.1618] |
└ 第10話「Another Angel」 - スタンリー - 2011/10/10(Mon) 19:04:51 [No.1619] |
└ 第11話「変わらないもの」 - スタンリー - 2011/10/10(Mon) 19:13:25 [No.1620] |
└ 第12話 「ギャンブル」 - スタンリー - 2011/10/30(Sun) 21:13:32 [No.1621] |
└ 第13話 「懺悔」 - スタンリー - 2011/11/03(Thu) 23:15:00 [No.1622] |
└ 第14話 「告白」 - スタンリー - 2011/11/05(Sat) 21:42:46 [No.1623] |
└ 第15話 「White Light」 - スタンリー - 2011/11/13(Sun) 20:37:11 [No.1624] |
└ 第16話「あの日の果実」 - スタンリー - 2011/12/03(Sat) 20:35:07 [No.1625] |
└ 第17話 「Forgiveness」 - スタンリー - 2011/12/03(Sat) 21:19:08 [No.1626] |
└ 第18話 「Silent Jealousy」 - スタンリー - 2012/01/15(Sun) 20:53:36 [No.1627] |
└ 第19話「幸福な時間」 - スタンリー - 2012/01/29(Sun) 20:40:44 [No.1631] |
└ 第20話 「北からの風」 - スタンリー - 2012/02/19(Sun) 21:06:15 [No.1633] |
└ 第21話 「親友」 - スタンリー - 2012/02/26(Sun) 00:10:17 [No.1634] |
└ 第22話 「遅すぎたヒロイン」 - スタンリー - 2012/03/18(Sun) 23:06:28 [No.1635] |
└ 第23話 「西高東低?」 - スタンリー - 2012/03/21(Wed) 21:12:24 [No.1636] |
└ 第24話 「愛しき人」 - スタンリー - 2012/04/14(Sat) 20:33:04 [No.1637] |
└ 第25話 「悲しい決断」」 - スタンリー - 2012/05/19(Sat) 23:10:33 [No.1639] |
└ 第26話 「優しい嘘」 - スタンリー - 2012/05/20(Sun) 20:48:06 [No.1640] |
└ 第27話 「嵐のあとに・・・」 - スタンリー - 2013/01/06(Sun) 21:14:47 [No.1642] |
└ 第28話 「Love Drive」 - スタンリー - 2013/01/12(Sat) 19:06:45 [No.1643] |
└ 第29話 「夢のグランド」 - スタンリー - 2014/08/03(Sun) 21:01:31 [No.1645] |
第4話「Reunion 前編」 祝賀会当日、綾は駅から料亭の途中で道に迷っていた。 綾(あーぁ、どうして私って、こうも方向音痴なんだろう。 夜になると全然、景色がかわっちゃってて場所が分かり づらいわ。これじゃぁ、約束の時間に間に合いそうに無いわ。 これならタクシーを使って行けば良かったのに。美鈴ちゃん に電話で遅くなる事を伝えておかないと。) 綾が携帯電話で美鈴に電話をかけた。 綾「もしもし、美鈴ちゃん」 美鈴「あっ、東城先輩ですね。どうしたんですか?」 綾「ちょっと、道に迷っちゃって、少し遅れそうなの。」 美鈴「えっ、今どの辺にいるんですか?もし分からない なら、向かえに行きますけど。」 綾「ううん、もう料亭の場所はだいたい分かったから、あと 少しでつけると思うし、あまり心配しないで。本当に少し遅 れるだけだから。」 美鈴「そうですか。じゃぁ、みんなに少し遅れるって言って おきますね。」 綾「うん、お願いね。」 美鈴「東城先輩、お待ちしてます。」 二人が電話をきる。 綾(もうみんな、集まってるみたい。じゃぁ、真中くんも 待ってるよね、急がないと。) それから15分程が経ち、ようやく綾が料亭に入ると 料亭の従業員が祝賀会のお座敷へと案内をした。 ふすまを開けて、みんなに挨拶をしお座敷にはいる。 綾「ちょっと道に迷っちゃって、遅くなってごめんな さい。」 お座敷内を見渡すと、美鈴、小宮山、端本が一緒に 話している。既に黒川先生と外村はお酒を飲んで いる。 綾が淳平がいない事に気付く。 綾(あれっ、真中くんがいないけど、ひょっとして 来ないの?折角会えると思ったのに・・・って何 ガッカリしているの、今日は完全に真中くんのこと をあきらめるつもりだったでしょ。ここにいない のは、いい機会じゃない。) 外村「そんなに気にするなよ。今日は東城が主役 なんだから。それと、おめでとう。」 端本「東城先輩、オメデトウですぅ。」 小宮山「あやちゃん、おめでとう、ますます綺麗に なっちゃったねぇ。」 黒川先生「東城、受賞おめでとう。」 綾「先生、ありがとうございます。それとみんなも 私の為に、祝賀会をしてくれてありがとうござい ます。」 美鈴「あのぉ、東城先輩、私の書いた地図が分かり づらくてごめんなさい。 駅まで先輩を迎えにいけばよかったですね」 綾「ううん、美鈴ちゃんが描いてくれた地図は とても分かりやすかったよ。ただ私がドジなだ けなんだから、気にしないで。」 美鈴「あっ、それと北大路先輩から、東城先輩 におめでとうって伝えておいてって頼まれました。」 綾「北大路さんから?うん、ありがとう」 小宮山「さぁ、主役が来たことだし、そろそろ 料理を持ってきてもらおうか。」 美鈴「待ってよ。まだ一人来てない人がいる でしょう。」 小宮山「えーっと、あと一人って誰だっけ?・・・・ あぁ、真中かぁ。」 美鈴「もう、薄情なんだから。あれでも、私達映 像研究部の監督兼部長よ。」 綾 (真中くん、来るんだ。そういえばあの頃も、合宿とか 部の集まりがあるとよく遅刻していたし。 真中くんって、あのころと全然変わっていないんだ。) 綾の心に懐かしさと久しぶりに会えるという嬉しさがこみ上げ てくる。 外村「でも、真中のヤツ、主役の東城より遅いってどういう つもりだよぉ。 美鈴、真中の携帯に電話してみたら。」 美鈴「えっ、真中先輩の携帯電話の番号って、私、知らないよ。」 外村「じゃぁ、どうやって、この祝賀会の連絡をとったんだ?」 美鈴「お誘いの連絡をした時は、真中先輩の自宅の電話にだった し向こうから連絡があったときの着信の電話番号も確か先輩の自宅 だったから・・・。アニキたちこそ、地元にいるんだから、真中 先輩たちと普段、遊んでるんじゃないの?」 外村「いやぁ、卒業後は、会ってないし・・・最後に、電話で話し たのも、この前俺が芸能プロダクションを立ち上げたことを教えた だけだったし、それも真中の自宅の電話だったから。小宮山は?」 小宮山「高校卒業した直後は、たまには会ってたけど、最近は全然 ・・。そういえば、俺もあいつの携帯の番号知らねぇや。えぇっと 綾ちゃんは?」 綾「私?ううん、私も高校卒業後に真中くんとは一度も会ってない から。携帯電話を持っているのかも知らないよ。」 黒川先生「みんな、冷たいなぁ、お前ら、あの時はみんなで仲良 く一緒につるんでただろうに。」 美鈴「そういえば、真中先輩って、一体何をしているんだろうね。 ついこの前はアメリカに行っていたみたいだけど・・・謎よねぇ。」 黒川先生「なんだ、なんだ、みんな、真中が、今何をやっているの か知らないのか?」 みんなが、酒で顔を少し赤らめた黒川先生に注目する。 綾(黒川先生、何をしているか知ってるんだ。何だろう?) 黒川先生「じゃぁ、教えてやろう・・・・・・・・・・かと 思ったが、もう少ししたら、真中も来るだろう。その時、本人 に聞けばいい。」 一同肩透かしをくらった。 黒川先生の発言後、15分程して座敷のふすまが開く音がする。 一同がその音の方に注目し、黒川先生以外の全員が高校卒業時 から変わった真中の成長した体型と顔を見て驚く。 淳平が悪びれたそぶりもみぜずに、笑顔で。 真中「いやぁ、遅くなってゴメン。あれっ、みんな食事をしな いで、待っててくれたの?俺なんか待たずに先に始めてくれり ゃぁ良かったのに。」 綾「・・・・ 」(えっ、これがあの真中・・・くん?) 美鈴「・・・・」(あれが、高校生時代、優柔不断で頼り なかった真中先輩?) 端本「やだぁ、真中先輩ったら、めちゃくちゃ格好よく なってるぅ。」 小宮山「なんか、体がしまったって言うか、がっしり したって言うか、成長したって感じだなぁ。 微妙に背も伸びた感じがするし。顔もちょっと・・・・。」 外村「何をやればそんな体に成れるんだよっ、ほとんど 別人じゃないかぁ。」 真中「えっ、俺って、そんなに変わったかぁ。」 淳平が笑いながら、袖をまくり、腕を曲げ、力こぶを つくり筋肉を自慢げに見せる。 美鈴「なっ何、馬鹿なことをやっているんですか、みんな 真中先輩の事を待ってたんですよ。」 真中「ああっ、ゴメン、ちょっと調子にのり過ぎたみたい だな。」 淳平が綾の隣の空いている座布団に座る。 外村「じゃぁ、真中も来たことだし、料理を運んで もらおうぜ。」 追加の酒類とお膳が運ばれてくる。 綾「久しぶりねぇ、真中くん。」 綾が真中のグラスにビールを注ぐ。 淳平「おっ、ありがとう、東城とは高校の卒業式以来だから ホント久しぶりだなぁ。そういえば、今回も凄い賞をとったな。 ほんと東城はスゲェやぁ。あっ、遅くなってごめん、受賞おめ でとう。」 真中が綾のグラスにビールを注いで軽く乾杯をする。 綾「あ、ありがとう。」 綾(真中君に祝ってもらえた。)『トクン・・・』 淳平「これで東城も、名実ともに一流作家の仲間入りだな。 ホント東城には、叶わねぇな。」 綾(真中君に一流作家だと認められた。)『トクン・・・』 淳平「東城の小説は、ハードカバーの本で全部持っているんだぜ っていってもまだ文庫本になってないから当たり前だけどな。」 綾「本当に?私の作品を読んでくれてるんだ。ありがとう。」 綾(じゃぁ、あのファンレターの本内さんって もしかして・・・・。) 綾「じゃぁ、今連載中の作品でね、主人公が・・・・。」 淳平「ゴメン、本は持っているんだけど・・・。その・・・ 東城の作品が掲載中の雑誌までは、読んでいるわけじゃない んだ。ホント、本になってしか読んでなくて、ごめんな。」 綾から目を逸らしながら申し訳なさそうに言った。 綾「ううん、私こそ、勝手に、思い込んだだけだから。」 綾(本内さんが真中くんのはずないじゃない、ホント私って 勝手に都合の良いように勘違いをして、バカなんだから。) 綾「ところでね、真中くん・・・」 話の途中でビールを持ってきた小宮山が会話を遮る。 小宮山「おい、真中、お前が来る前にみんなで話してたけど お前、今何をやってるんだ?」 美鈴「ここにいるみんなが真中先輩の謎について興味がある みたい。黒川先生は知っているみたいだけど、先輩本人に聞 けって教えてくれないし・・・。 今何をやっているんですか?」 美鈴が真中の近くへ寄って来る。 淳平「オイ、オイ、今日は東城のお祝いのための会だろう。 だから俺のことなんかどうでもいいだろう。 折角忙しいなか、東城綾先生に来てもらったんだから みんなで東城の話を聞こうぜ。」 美鈴「いいえ、話してもらいます。」 綾「うん、実は私も興味があるの。」 小宮山「もったいぶるなよ、真中。」 みんなが淳平に注目する。 淳平「・・・。」 少し顔を赤らめながら、恥ずかしそうに 淳平「分かったよ、みんなでそう俺を睨むなって。 それじゃぁ言うよ。でも、笑うなよ。実は・・・ 日雇いの仕事や色々なバイトをしながら、映画を 撮り続けてるんだ。」 小宮山「えっ、映画って、私費で?じゃぁ、真中っ て今プーなのか?」 苦笑しながら 美鈴「なぁんだぁ、まだ就職してなかったのかぁ。じゃぁ 仕事でアメリカへ行ってたわけじゃないんだね。」 淳平の席から離れた所にいる黒川先生が会話に割って入って。 黒川「でも、真中は、その撮った映画をコンクールとかに 応募して、この前、結構な賞をとったんだよなぁ。 それで今、角倉や他の映画関係の事務所からお誘いがかかっ ているらしいぞ。」 淳平「あっ、先生、それまだ内緒だったのに。」 黒川「あっ、えっ、そうだったのか?それは、悪い事をしたな。 みんな、私は今、酔っ払っているから、今言ったことは酔っ払い のたわごとだと思って、忘れてくれ。」 淳平「もう、遅いですって。」 美鈴「どんな賞かわからないですけど、とりあえず受賞 おめでとうございます。私、真中先輩の撮った映画を見 てみたいから、私の実家に受賞作品のコピーを送ってく ださい。」 美鈴が、ビールを注ぎに真中の隣へきた。 淳平が少しきつい顔をして。 淳平「美鈴、ついさっき俺のことを無職だってバカにしていな かったか?」 美鈴「えっ、あぁぁ、それは・・・、すみません。」 淳平「ハハハ、冗談だよ美鈴、家に帰ったら早速送るよ。」 美鈴「じゃあ楽しみにしていますからね。」 美鈴が淳平のグラスにビールを注ぐ。 淳平「俺も、久しぶりに美鈴の辛口の批評が聞けるのを 楽しみにしているよ。」 美鈴「覚悟しておいてくださいね。」 淳平「ああ、でも、お手柔らかにな。」 小宮山は端本の所へ、美鈴は、黒川先生の所へビールを 注ぎに行った。 綾「あのね、真中くん。」 淳平「何?」 綾「私も真中くんの撮った映画を見てみたいんだけど・・・ もし良かったら私にも、そのコピーを送ってくれる?」 淳平「ああ、東城の所にも送っとくよ。自宅でいい?」 綾「うん、ありがとう。ところでね、この時期に何を しにアメリカへ行っていたの?」 淳平「実は、東城からもらったあのノートのロケーション を探しに行っていたんだ。昨年はヨーロッパへも行って みた。それで、良さそうな風景や建物をカメラに収めて 使えそうな所を・・・・・。 だって、あのストーリーは、どう考えても、日本を舞台で 撮るのには、無理があるからな。」 綾の顔を見て、淳平が語りだした。 淳平「ヨーロッパの城の中− その城の若くて美しい王女は普段家来や民衆の前では 毅然とした態度でいるのに、夜、城の自室で一人でい るときは、今旅をしている愛しい勇者の帰りを健気に 待っているんだ。そして時には城の窓から夜空を見上げ 無事であることを涙して星に祈ってる。 街の石畳の道− 勇者と仲間たちが馬や馬車に乗り、沿道にいる大勢の 観衆に見送られて、街を後にしようとしている。 馬の蹄の音、沿道からの歓声、甲冑の擦れる音 馬車の車輪の音。勇者たちを見送るその観衆の なかで、機織の少女が勇者たちの後を追いながら 大きな声で涙を流しながら、幼馴染の勇者の名前 を必死で呼ぶ。 けれども観衆の熱狂的な歓声にかき消されて、幼馴 染の勇者にはその声が聞こえない・・・ って・・・・ごめん勝手に1人で熱くなって。 でも東城なら見えるよな・・・・って言っても、 その外国の景色とか見てないから無理だよな。ハハハ。」 綾「ううん、真中君の見た外国の景色は見て無いけど なんとなく見えた気がするよ。」 綾(真中くん、私の思いを込めて書き込んだあのノート を読んでいてくれてたんた。あのノートのために こんな事までしてくれてたんだ。私との約束を忘れて いたわけじゃないんだ。また私の心をキュッと掴まれた 気がする。そう中学3年生の時の屋上で真中くんの夢を 聞いたときのような・・・。) 『トクン・・・、トクン・・・』 淳平「できれば、また東城の原作・脚本で映画を作って みたいなぁ。まぁ、あのノートの話はスケールがでか すぎるから、あと何年いや何十年かかるか分からないけ どな。」 綾「うん、私も、また真中くんに私の作品で映画を作っ て欲しい。」 突然、少し酒で顔を赤くした小宮山がまたやってきて。 小宮山「おい、真中、さっきから綾ちゃんを独り占めして ずるいぞ。みんな綾ちゃんの話を聞きたいんだからな。」 美鈴「小宮山先輩の言うとおりですよ。私も色々話しを したいんですから。」 美鈴も綾の近くに寄ってくる。 淳平「わりい、小宮山、美鈴。ちょっと映画の話に夢中に なりすぎたみたいだ。 そういえば、外村に用があるんだった。俺のくだらない話 に長い間つき合わせちゃって悪かったな、東城。」 淳平が座布団からグラスとビールを持って立つ。 綾「ううん、全然くだらなくなんて無かったよ、むしろ嬉 しかったくらい。」 淳平「ならいいけど。じゃぁ、また後でな。」 淳平が外村のほうへ行った。 綾「うん、後でね。」 綾(もっと真中君と色々なことを話したかったのになぁ。 でもまた後でもっとたくさん話せるよね。) [No.1613] 2011/10/02(Sun) 16:05:31 i60-34-66-30.s02.a023.ap.plala.or.jp |