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No.1632へ返信


WINGBEAT COFFEE ROASTERS

all はじめに - takaci - 2012/01/21(Sat) 19:59:37 [No.1628]
10years プロローグ - takaci - 2012/01/21(Sat) 20:05:34 [No.1629]
10years-01 - takaci - 2012/01/28(Sat) 19:28:38 [No.1630]
10years-02 - takaci - 2012/02/14(Tue) 19:58:46 [No.1632]
10years-03 - takaci - 2012/05/12(Sat) 22:15:27 [No.1638]
10years-04 - takaci - 2012/07/27(Fri) 19:52:06 [No.1641]


10years-02 (No.1630 への返信) - takaci

7月。





期末テストも終わり、夏休みを迎えるだけ。





現在は3者面談の時期なので、授業は午前中のみである。





「中上も西島もいいよなあ。成績悪くても親との面談無しだろ?」





大樹が羨ましそうな目をふたりに向ける。





「いや、俺たちも面談やったぞ」





「うん」





「えっ、でも親は?」





「親父は帰って来れないんで無理。で、俺と佳奈と担任に加えて、生徒指導の黒川までも一緒」





「じゃあ4者か。でもなんで黒川が出てくるんだ?」





「どうやら俺たちのふたり暮らしを問題視してるらしい」





「ああ、なるほどなあ」





いくら家庭の事情があるとはいえ、年頃の男女がふたりっきりで生活をしている。





しかも恋愛関係にある。





普通の教師なら問題視するだろう。





「けど今更言われてもって感じだろ?」





「いくら問題があると言われても、だからってどうにもならん。佳奈をウチから追い出すなんて出来んからな」





この遼の言葉で佳奈が微笑んだ。





「で、最終的にはなんて言われたんだ?」





「まだ高一なんだから、それに見合った付き合い方をしろって言われたよ。一応そうするって答えた」





「でも実際のところはどうなんだ?」





大樹の目が好奇心旺盛の光を見せる。





それには佳奈が、





「プライベートはお答えできません!」





とばっさり応対した。











その数日後。





なにやら校内が騒がしくなった。





昼休みに佳奈が遼に相談を持ちかけた。





「ねえ遼、噂聞いた?」





「噂ってなんだよ?なんか騒がしい感じがするけど、それか?」





「実はね、映研の2年の先輩がふたり失踪したみたいなのよ」





「映研って、外村じゃん」





「その美鈴ちゃんが尊敬していた東城先輩と、映研部長の真中先輩が失踪したって」





「まさか、駆け落ちでもしたなんて言うんじゃないだろうな?」





「詳しいことは不明。でも校内はそうじゃないかって噂が立ってる」





「マジかよ?」





「なんか美鈴ちゃんもバタバタしてるんだよね。あたしたちに出来ることないかな?」





「待て、俺たちは所詮外野だ。下手に首突っ込まんほうがいいと思うぞ」





「そう・・・だね」





佳奈は渋々ながらも遼の言葉を受け止めた。











そしてその日の放課後。





ふたり揃って教室を出ようとしたとき、





「ねえ、中上に佳奈ちゃん、ちょっといいかな?」





美鈴が声をかけてきた。





「外村、どうした?」





「ふたりに相談って言うか、ちょっと話を聞かせて欲しいんだけど」





「それって、例の噂絡みか?」





「まあ、一応そうなる」





美鈴は硬い表情で答えた。





「ちょっと待て、俺たちはその噂に関しては全くの無関係だぞ」





「もちろん知ってる。けどアドバイスを聞きたいの」





「アドバイス?」





「付き合ってるんでしょ?だから恋愛絡みの意見を聞きたい」





美鈴は真剣な目を見せる。





「いいよ。他ならぬ美鈴ちゃんの頼みだもん。遼もいいよね?」





佳奈が同意を求めてきた。





「ああ、俺たちで出来ることなら手伝うよ」





「ふたりともありがとう。迷惑かけてゴメンね」











そして3人は映研の部室である指導室に移動した。





他の部員は居ない。





「あれ、先輩方は?」





「ふたりの捜索に出てる。特に北大路先輩なんてもう必死」





「その名前も聞いたことあるな。確か結構な美人だろ?」





「うん。あと真中先輩に惚れてた女子のひとりでもある」





適当に椅子を並べて、3人は腰掛けた。





「本音は興味本位で首を突っ込みたくなかったけど、こうなったらある程度は話を聞いておきたい。外村、いいか?」





遼が切り出した。





「うん。知ってる限りのことは話すよ」





そして美鈴の説明が始まった。





「まずウチの監督である真中先輩だけど、正式に付き合ってる彼女は居なかった。けど女子で真中先輩を好きな人は居たの」





「それが東城先輩か?」





「うん。あと北大路先輩も真中先輩に惚れてた」





「そう聞く限りでは真中先輩ってモテるんだな。でも外村はそんなでもないだろ?」





「あたしは理解不明。あんな優柔不断でフラフラしている男のどこがいいか分からない」





美鈴はバッサリと切り捨てた。





「でも東城先輩も北大路先輩も美人だろ?彼女居るならまだしも、フリーでそのふたりの誘いを断るって・・・」





遼には理解出来なかった。





「実はね、真中先輩には元カノが居たの」





「じゃあ、真中先輩はその元カノが好きだったの?」





佳奈が尋ねた。





「その辺はよく分からない。でも偶然にも、今年撮る映画のヒロイン役が、その元カノになったの」





「「ええっ!?」」





ふたり揃って驚く。





「これはホント偶然なんだけど、あたしが今年の映画のヒロイン探してて、そのイメージにぴったりの人を見つけたの。それで出演お願いして、最初は断られたんだけど、映研みんなで改めてお願いしたらOKしてくれた。特に真中先輩の直訴が効いたみたい」






「その元カノもウチの生徒か?」





「ううん、桜海学園の西野つかさ先輩」





「・・・なんかキナ臭いな。ひょっとして真中先輩は元カノと別れた後もちょくちょく逢ってたんじゃないのか?」





「中上は鋭いね。そうみたい。偶然真中先輩と西野先輩のバイト先が近所で、よく逢ってたんだって。しかも結構仲がよかったみたいなの」






「うわあ、三角じゃなくて四角関係かあ。ひとりの男を巡って女3人の争いって・・・なんか怖い」





佳奈は思いっきり引いた。





「で、なんで今回の失踪に繋がったんだ?」





遼が真相を聞き出そうとした。





すると美鈴の表情が強張った。





「ねえ佳奈ちゃん、例え話だけど、もし中上に他に好きな子が現れて、その娘に奪われそうになったら、どうする?」





「どうって・・・そんなの許せない。どんな手を使っても遼の心は離さないよ」





「やっぱりそう思うよね?」





「そうだよ。そんなの当然だよ。遼だって浮気なんてしないよね!?」





「する訳ないだろ。そもそも俺はそんなにモテないって」





佳奈に突然振られた遼は即答えた。





「やっぱり彼氏は全力で護ろうとするよね。そうなら・・・」





考え込む美鈴。





「おいおい、今回の失踪って真中先輩じゃなくて、東城先輩が発端なのか?」





驚く遼。





「その辺はまだ不明。でも真中先輩には動機が無い。確かに優柔不断でフラフラしてるけど、映画に関しては真面目。正式にヒロインも決まってやる気出してた。ウチの兄貴と夏休みに合宿して撮る段取りもしてて気合いが入ってた。そんな状況で撮影放り出して失踪なんてありえない」






美鈴がそう分析すると、





「でも東城先輩には動機がある。好きな男を北大路先輩と争ってて、そこに元カノが加わった。真中先輩を自分のものにするために一緒に姿を消した・・・」






遼がそう推理する。





「ねえ、まさかだけど、それだと無理心中もありえなくない?」





佳奈が不安げな顔でそう語ると、





「それ、否定しきれないのが怖いんだよね。東城先輩が思い詰めたらその可能性も・・・」





美鈴も泣きそうな顔になる。





「いや、さすがにそれは無いんじゃないか?そもそも真中先輩はなんで東城先輩と一緒に姿を消したんだ?映画撮影に本腰入れてるなら東城先輩の誘いも断るんじゃないのか?」






「じゃあ中上に改めて聞く。もし佳奈ちゃんから『一緒に遠くに行こう』って言われたらどうする?」





「行く訳ないだろ。俺にはこっちの生活基盤がある。働いてるならまだしも、まだ学生で稼げもしない。保護者である親も不在。行ける訳がない」






「それでも行きたいって言われたら?」





「理由を問いただす。そして解決策を考える。ここに居ることが前提だ。普通そうだろ?」





「そうだよね。でも真中先輩も姿を消した。ってことはよほどの理由があったってこと?」





考え込む美鈴。





「なんか手がかりは無いのか?東城先輩が発端なら部屋に書き置きとか、真中先輩の部屋にも無かったのか?」





「東城先輩の部屋に『遠くに行きます。探さないでください』って書き置きがあった。あと真中先輩のほうにも『友達と一緒にしばらく泉坂を出る。定期的に連絡するから心配しないでください』ってメッセージがあった」






「それだけ聞くなら、無理心中はありえない気がする。けど問題はどこへ行ったかだな。東城先輩が発端なら東城先輩の部屋を調べれば何か出てきそうな気がするな」






「その辺をいま先輩たちが調べに行ってる。なにか分かり次第連絡が・・・」





と美鈴が言ったとき、美鈴の携帯が鳴った。





素早い操作で携帯を取り出した。





「もしもし、兄貴?どうだった?・・・やっぱり真中先輩の部屋は手がかり無しか。じゃあ東城先輩は・・・えっうそ!?そんな・・・」






美鈴の表情が曇る。





「・・・うん・・・うん・・・わかった。じゃああたしも合流する」





硬い表情で携帯を閉じた。





「先輩方、なんだって?」





佳奈が心配そうな顔で尋ねる。





「真中先輩の部屋には手がかり無し。まあこれは予想通りだったんだけど、東城先輩の家が門前払いで入れないって」





「えっマジ?実の娘が失踪したのに調べるの断るのか?」





遼もこの対応は予想外だった。





「あたしも今から東城先輩の家に直談判に行く。中上と佳奈ちゃんは・・・」





「ここまで来たら最後まで付き合うよ」





「うん、あたしも美鈴ちゃんに協力する」





ふたり揃って席を立った。





「ありがとう。じゃあ行こう」





3人の1年生は指導室を飛び出していった。


[No.1632] 2012/02/14(Tue) 19:58:46
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