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No.721へ返信


WINGBEAT COFFEE ROASTERS

all 忘却〜第1話〜 - 惨護 - 2004/12/13(Mon) 19:28:14 [No.671]
Re: あとがき - もん太 - 2009/09/20(Sun) 00:47:19 [No.1525]
忘却〜第2話〜 - 惨護 - 2004/12/15(Wed) 15:30:38 [No.675]
忘却〜第3話〜 - 惨護 - 2004/12/16(Thu) 18:54:54 [No.680]
Re: 忘却〜第4話〜 - 惨護 - 2004/12/17(Fri) 18:51:41 [No.685]
忘却〜第5話〜 - 惨護 - 2004/12/18(Sat) 20:54:55 [No.692]
忘却〜第6話〜 - 惨護 - 2004/12/20(Mon) 21:46:46 [No.699]
忘却〜第7話〜 - 惨護 - 2004/12/22(Wed) 21:32:53 [No.709]
忘却〜第8話〜 - 惨護 - 2004/12/24(Fri) 09:02:30 [No.717]
忘却〜第9話〜 - 惨護 - 2004/12/28(Tue) 20:51:30 [No.721]
忘却〜最終話〜 - 惨護 - 2005/01/26(Wed) 20:25:28 [No.809]
あとがき - 惨護 - 2005/01/26(Wed) 20:27:17 [No.810]
Re: あとがき - ds - 2005/08/14(Sun) 15:06:10 [No.1177]


忘却〜第9話〜 (No.717 への返信) - 惨護


淳平を外村が背負ってつかさと三人で帰るとみんなが玄関で待っていた


「真中くん・・・・大丈夫なの?」


「うん・・・・・」


手を握ったままつかさはなぜか暗い顔をしている


「真中が寝てる内に話しておくことがある」


「何、外村くん?」


「・・・・・・・・・」


さつきは黙ったまま俯いて淳平に申し訳なさそうにしている
そんなことは露知らず淳平は眠っている


「・・・あたし、とりあえずご飯作るね」


つかさは淳平の手を離し、外村の話から逃げるように台所に入っていった


「・・・・・・・・実は────」


「え・・・・・・」


外村の話は今の淳平にとって残酷な話だった


        ・


        ・


        ・


        ・


夜は完全に更け、時計の針はすでに9時を回っていた
そんな中、淳平は新鮮な気分で目を覚ました


「ん・・・・ふぁ〜あ・・・・・よく寝た・・・・」


淳平は目をこすり大きなあくびをした、リビングでは大変なことになってることを知らずに


「そういや・・・・・・あの後、すぐに寝たのに何で部屋にいるんだ・・・・・」


淳平は部屋の中を見回し、ベッドから出た


「西野と・・・デジカメで俺らのことを撮ってた外村か・・・・・」


見つからないようにしていた外村だったが、神経が研ぎ澄まされていた淳平にはばればれだった


「迷惑かけたし・・・・・みんなに謝んなきゃな・・・・」


額を触り、自分で熱を測りながら部屋の外でた。リビングに向かうとみんなが黙ったまま俯いていた


「・・・・・・・」


(なんだ・・・・この暗い雰囲気は・・・・・・)


あの小宮山ですら俯いて暗くなっている


「真中・・・・もう起きてもいいのか?」


話し出しにくい雰囲気の中、外村が淳平に声を掛けた、だがその顔は暗い


「まだ体だるいし、頭痛いけど、さっきよりはましだ」


「そう・・・・か・・・・・」


外村はまるでまだ寝ていて欲しかったかのように残念そうに言った


「みんな、元気ないけど・・・・どうかしたのか?」


その一言にみんな返事することなく、俯いて暗い顔をし続けた
あの元気な唯や心配性の東城、明るいさつき、場知らずの小宮山ですら何も言わない


「と、とりあえず、迷惑かけちまったし・・・・ごめん」


雰囲気を考えて、淳平は控え目に頭を下げた
すると、外村が立ち上がった


「いいんだ、謝らなくても・・・・」


「へ?」


その一言でソファーに座っていた東城と唯が立ち上がって外村を引き止めた


「外村くん・・・・話す気なの?」


「ああ・・・・」


「でも、それを聞いたら・・・・じゅんぺーが・・・・」


「こいつの為だ・・・・」


淳平に聞こえない程度の声で3人は話した


「お〜い、何こそこそ話してんだ?」


外村が2人を振り払い、淳平に近づいて肩を持った


「いいか、よく聞けよ」


「何だよ、そんなに硬くなって・・・」


「お前は・・・・・」


息を呑んで待つ淳平に外村は真剣な顔で続けた


「お前は記憶を取り戻すと同時にいなくなる」


「は?どういう意味だ?」


案の定理解できず間抜けな声をこぼす、だが周りから笑いは見受けられない


「つまり記憶が戻ると記憶を失ってから戻るまでの記憶が消える・・・・」


「え・・・・・・・」


理解した淳平の顔は青ざめていった


「つーことは、今みんなと一緒にいるのも、風邪ひいて寝込んでるのも忘れるのか?」


「ああ、だがそれだけじゃない・・・」


外村は淳平の顔を見ないように俯いた、外村の手は心なしか震えていた


「忘れたものなら思い出せるが、もう二度と思い出せなくなる」


「・・・・・・・じゃあさ、今の俺はどうなんだよ・・・・」


その質問は外村にとっても、ここにいるみんなにとっても酷なものだった


「記憶を失ったこと自体が消える、だからあの日から今まで寝ていることになる」


外村は淳平の顔を見ないで俯いて言った、もう震えは手から体全体にまでうつっていた


「あくまで推測だ、絶対じゃない・・・・だが、可能性は高い」


「な〜に震えてんだよ」


淳平は笑顔で震える外村の肩に軽く手を置いた


「お前がそんなんだったら周りがもっと暗くなるぞ」


「なんで・・・・なんで笑ってられるんだ?」


外村は俯いていた顔を上げ、淳平の目を見て尋ねた
外村の頬には雫が流れた後が残っていた


「・・・・そうだな・・・・・・ようやく決心できたからかな・・・」


外村の表情にすこし驚いていたが、すぐに話し始めた


「おれ、忘れてたんだ・・・・・過去のことの重さを」


話し始めた淳平の顔から笑顔が絶えることは無かった


「映画の中の自分を思い出してみたら・・・・自然に笑ったり・・・外村にキレたり・・・・顔を赤くしたり・・・」


だが、話していく中に淳平の笑顔は薄れていった


「今の俺じゃあんな風にはしゃげない・・・・」


淳平は俯いて、首を横に振りながら言った


「だから・・・・・思い出して、今のことを忘れて、また元の生活に戻る決心がついた」


顔を上げると淳平はまた笑顔に戻っていた


「・・・・・・・・・・・・」


「それまでよろしく!」


淳平は親指を立てて、みんなに挨拶した


「・・・・・・・」


みんなが見たことの無い淳平のしぐさはさっきまで暗かったみんなをすこしひかせていた


「なんだよ、まだそんな顔して、にかーっと笑えよ、にかーっと」


口の端を指で吊り上げて笑ってみせた


「・・・・そうだな」


外村は無理やり作り笑いをした
それにつられてみんなも作り笑いをした


「みんな、さっきよりいい顔になったな」


「みんな、ご飯できたよ!!」


つかさは話を聞いていたからかそれとも元からかは知らないがとびっきりの笑顔で台所から出てきた


「運ぶの手伝って!」


みんなつかさの笑顔にひかれるように台所に入り、料理を運んだ


「おお!うまそう!!」


淳平が手をつけようとしたがつかさがその手をはじいた


「だ〜め、淳平くんは病人だから、後でね」


「・・・・じゃあ、部屋で待ってるし・・・ここにいたら腹が減って仕方ないし」


はじかれた手をさすりながら淳平は部屋に戻っていった


「あとで持っていくね〜!」


つかさは淳平の背中に手を振りリビングに戻るとさっきのような暗い顔になったみんながいた


「・・・・・みんな暗いよ」


「そうだよな・・・もっと明るく・・・・・」


外村は無理やり笑ったがみんな明るくなるはず無かった


「ははは・・・はは・・・・は・・・・」


「そんなの出来るわけ無いじゃん!」


さつきは机を叩いて本音をぶち撒けた


「今の真中がいなくなるなんて・・・あたしは絶対いや!!」


泣き声交じりの声は淳平の耳に届いてはいなかったが、みんなの心を痛めた


「あたしだってそうよ・・・・・でもね、さつきさん」


綾が優しくさつきに声を掛けた


「忘れたことを悔やんでる淳平くんをこれ以上見てはいられない・・・・・」


綾の声には何もしてあげれない自分に対しての怒りと淳平への悲しみが混じって混沌としていた


「・・・・でも、失って戻るなんていう取捨選択なんて出来ない!!!」


さつきが泣き叫んでいる中、つかさが思いっきり机を叩いてさつきを止めた


「西野さん・・・・・」


「あなた・・・・・自分だけが辛いと思ってるの?」


つかさは今まで誰も聞いた事の無いほど震えた声でさつきに言った


「ここにいるみんなだって辛いのよ!!」


つかさの声はさつきの心にかなり響いていた


「取捨選択なんてできないのはわかってる!でも!!」


みんな黙ることしか出来ずつかさの心のうちを聞いている


「淳平くんが淳平くんでいるためには仕方ないことなんだよ?」


「それでも・・・・あたしは・・・・・」


さつきは何か言いたそうにしていたが口を閉じてしまった


「あなたは今の淳平くんと大切な時間をすごしたかもしれない・・・・けど!」


つかさの声は気持ちが昂ぶる毎にだんだん大きくなっていく


「東城さんもゆいちゃんもあたしも同じなんだから!!」


「・・・・・・・・・・・・・・」


「これは仕方ないことなのよ・・・・・」


つかさが言い終わるとさつきのすすり泣く声だけがリビングに残った


「・・・・・」


さつきのすすり泣く声の中、外村は机に並べられた飯を食べ始めた


「みんな、さめないうちに食べろよ・・・・せっかく作ってくれたんだから」


「うん・・・・・」


外村の声でみんなも食べ始めた、食べる顔にはまだ笑顔はあったが、食べ終わるとまたみんな無口に戻った
小宮山は食べ終わるとニコニコと気持ち悪いくらい笑顔だったが、外村は小宮山を引き寄せて耳打ちした


「・・・小宮山帰るぞ」


「え、ええ〜」


小宮山の顔から笑顔が無くなって小宮山は鬱になった


「俺らが首突っ込んでいい問題じゃなくなった」


「でもお楽しみのゲームが・・・・・」


「あきらめろ、真中が元に戻ったらまたしてもらうようにするから」


鬱に入った小宮山を励ますように外村は声を掛けた


「本当だな、絶対だからな」


すこしキレ気味で外村に耳打ちした


「俺と小宮山は帰る・・・みんなでゆっくりしてくれ」


「じゃあね・・・・」  「またね、外村くん」


綾とつかさは外村の声に反応し返事をした、外村はその声に返事することなく出て行った


「じゃあね、さつきちゃん、つかさちゃん、あやちゃん、ゆいちゃん」


小宮山の声には誰も反応することなく、小宮山は出て行った


「・・・・・・・」


またリビングが無言の場になった
さつきはため息をついてから、立ち上がった


「あたし帰るね・・・・・」


さつきが帰ろうとしたら唯がさつきを引きとめた


「さつきさん、今日家に泊まってもいいですか?じゅんぺーの近くにいると風邪がうつりそうで・・・・」


唯はちらっとつかさと綾の方を見てから言った、唯の気持ちを悟ったのかさつきはまたため息をついた


「・・・・・いいよ、じゃあさっさといこっか」


「は〜い」


「じゃあね、西野さん、東城さん」


「バイバイ〜、西野さん、東城さん」


綾もつかさも二人に手を振って見送った


「・・・・・・・」


「・・・・・・・」


それからまた沈黙、その間につかさは食器を片付けている


「片付けも終わったし、あたしも帰るね」


「待って・・・・・」


綾は帰ろうとしたが、つかさに止められてしまった


「東城さん・・・・・」


「あたしじゃ、だめ・・・・・いまの真中くんには・・・・」


綾は今までためていた本音をつかさに語りだした


「西野さん、あなたが必要だと思うの」


つかさは背中を向けたまま無口で綾の話を聞き続けた


「いまの真中くんの気持ちが分かってあげられるのは、西野さんだけだとおもうの」


「・・・・・・・・」


つかさは完全に振り返り綾の肩に手を置いた


「淳平くんはあなたがいたほうがいいと思う」


さっきと同じ真剣なまなざしでつかさは話し始めた


「元は言えば淳平くんはあなたのことを好きになって、勘違いであたしと知り合っただけだし・・・・」


つかさは笑顔をみせた。でも、綾には無理に笑っているようにしか見せなかった


「しかも、あたしは淳平くんを・・・・・あんな状態にさしちゃったし」


「・・・・・だから、あなたがいてあげて欲しいの」


つかさの本音を聞いた上で綾はまた話し始めた


「え・・・・・」


「あなたは自分の辛さも淳平くんの辛さも分かってる」


綾はさっきまでのような顔ではなくすこし微笑みながら言った


「真中くんだって一番辛いのは西野さんって分かってるはずだし・・・・」


綾はつかさの手を肩からはずし、逆に綾はつかさの肩に手を置いた


「ご飯作って持っていってあげて・・・・」


「東城さんはいいの?」


「・・・・・・いいの、このままじゃなにも変わらないから・・・・」


綾はつかさの肩を掴んだ


「でも、あたしは東城さんのほうが・・・・」


「西野さん、淳平くんがおなかすかして待ってるよ」


綾の笑顔に負けたのか、つかさは台所に入っていった


「ありがとう、東城さん・・・」


「・・・・じゃあね、西野さん」


綾は一言言い残して静かに出て行った


「・・・・・・」


無言のまま、つかさは病人食を作り始めた
そこにタイミング悪く淳平が戻ってきた


「あれ?みんな帰ったんだ・・・」


「淳平くん・・・・」


つかさは出来る限りの笑顔で淳平の方を向いた


「みんな、いろいろと用事あったみたい、食べ終わるとすぐ帰っちゃった」


「ふ〜ん・・・・まあいいや、ところで西野、ご飯は?もう腹が減っちゃって減っちゃって」


淳平は腹をさすりながらそういった


「ちょっとまってて、すぐ出来るから」


つかさは台所に戻っていった


「頑張ってんな・・・・・」


つかさが台所でがんばって何かを作ってる姿を淳平はリビングからずっと見ていた


「はい、できた」


机に淳平のために作られた食事が置かれたが淳平に反応が無い


「淳平くん?」


その声で淳平はようやく現実に戻ってきた


「いや〜、なんかこうしてると・・・・新婚さん・・・みたいだな〜って・・・・・」


顔を赤くして恥ずかしそうに頭をかきながら言った


「そうだったらいいね・・・」


「え・・・・・」


つかさの声は聞き取りにくいものだったが淳平には聞こえていた


「と、とりあえず、熱いうちに食べて」


淳平はつかさにすすめられて、料理を一口、口に運んだ


「うまい!ほんとにうまいよこれ!!」


つかさは淳平が食べ終わるまで笑顔でみていた


「ごちそうさま!!」


そういって、スプーンを器に置いた


「ほんとにうまかったよ!!!」


「よかった!!」


とびっきりの笑顔で喜ぶつかさ、それを見て淳平はすこし微笑んだ


「元に戻ったな、西野」


「え・・・・・・」


「さっきまで無理して笑ってるみたいでなんか変だったから・・・・」


「・・・・・・」


つかさは恥ずかしそうに俯いた


「ところで、ちょっと真剣な話してもいい?」


「・・・・・・」


淳平の声がさっきより低く真剣な声だったから、つかさはすぐに顔を上げて無言で首を縦に振った


「何でみんな帰ったんだ?しかも唯までいないし・・・・」


「・・・・・・みんな、用事で帰ったなんてうそ」


嘘をついていても無駄と判断したつかさは史実を話し始めた


「みんな気を利かせて帰っていった、唯ちゃんなんかさつきちゃんの家に泊まるって言ってた」


「やっぱりか・・・・・あの外村が王様ゲームも何もしないで帰るわけねえからな」


「ところで、真剣な話って、何?」


これはこれで真剣な話だが淳平がしたい話ではないと分かったつかさは真剣な顔で聞いた


「・・・・言いにくいんだけど・・・・・俺さ・・・・君のことが────」


「はい、ストップ」


つかさは淳平の口を手で塞いだ


「!?」


「記憶が戻ってから聞いたほうがいいと思うの」


「・・・・・・」


「今聞いても無駄になるかもしれないしね・・・」


淳平はつかさの手を口からはずした


「俺は・・・・絶対に忘れない」


「・・・・・・」


淳平の真剣な声は一度淳平をふったつかさには痛いくらい響いていた


「・・・・あたし片付けあるから・・・・寝たら?」


つかさはこの雰囲気から逃れるように淳平に寝るのをすすめた


「・・・そうだな・・・・飯食ったら眠くなったし・・・・」


淳平も納得し部屋に戻っていった


            ・




            ・




            ・




            ・


つかさが片づけを終え淳平の部屋に入った時にはもう月が西に傾きだしていた
淳平はつかさのいる方に背中を向けて顔を見せないように静かに寝ている


「ちゃんと寝てる?」


「・・・・・・・・」


つかさの問いかけに淳平は反応が無い


「しっかり寝てるね・・・・」


ほっとしたような残念な気分に陥ったが、急に淳平の体がつかさの方を向いた


「・・・・・・」


「寝返っただけか・・・」


淳平の動作につかさはすこし動悸が早くなったが、さらに早くなるはめになった


「西野・・・・・」


淳平は起き上がり、目を擦りながらつかさの方を向いた


「あ、起こしちゃったみたいだね・・・・」


「気にしなくてもいいって・・・・・」


淳平は顔を赤くして、手を振った
そのあと少し、沈黙・・・


「ねえ、淳平くん・・・・」


「何?」


つかさは顔を赤くしながら淳平に聞いた


「一緒に寝ていい?・・・・・・・記憶が戻れば忘れるんでしょ?」


「・・・・・・・」


淳平は静かに頷いた
月はだんだん西に傾いていく



つづく・・・・・・




追伸:今回も適当になってしまったことをお詫びします
   急展開なのは時間が無いので・・・・本当にすいません


[No.721] 2004/12/28(Tue) 20:51:30
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