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R「喪失」 7 (No.781 への返信) - お〜ちゃん











キュッ



唯の部屋の洗面台を借りて、つかさは口の中を洗い流した

鏡に映る自分の姿を見つめる

「・・・・・・・・・・ひどい顔・・・・」

濡れた顔を拭くこともせず、ただ黙って立ちすくんだ

綺麗なラインの顎から、雫が一つ、また一つと舞い落ちていく



『ふぅ・・・・気持ちよかったぜ〜』

『あぁ、まさかつかさちゃんにフェラチオしてもらうなんてなぁ』



男たちの言葉が胸を締め付ける



『約束どおり、この子には何もしない』

『あぁ、さっきだって最初に泣いた時はどうしようかと思ったけどな。薬嗅がせたらすぐに寝ちまったしよ』

『そうそう。この子には暴力はしてないぜ。ただ足を載せたりはしたけどな・・・それと警察に言っても別にいいぜ。そうすりゃ今日のことが世間に知られることになるだけだけどな』



身体が小さく震え、洗面台の上に置かれた両手が小さな拳を作る



『また気持ちよくなりたくなったらいつでもいいぜ・・・クックック・・・』








キュッ!

ジャーーーーーー・・・



勢い良く蛇口をひねり、頭から少し温めの水を被り続ける





はぁっ・・・はぁっ・・・・はぁっ・・・・・



何が変わると言うわけでもない

もう既に起きてしまった事だ

自分の中で駆け回るこの例えようのない思いを洗い流してくれれば・・・

だが、口の中に残るあの余韻が

決して忘れさせてくれそうにはなかった





カタン・・・



不意に背後で物音がした

何?・・・

つかさは顔を軽くタオルで拭くと濡れた髪もそのままに、警戒しながら物音のした方へと足をすすめた

「ゆ・・・唯ちゃん!?」

「・・・あ・・・つ・・・つかさ先輩!?」

「良かった・・・眼が覚めたのね」

「ん・・・あれ?どうしてつかさ先輩が唯の部屋にいるんですか?」

と同時に、男たちによってもたらされた仕打ちが一気に蘇る

「あぁ・・・・あわわぁ・・・・うぅぅうぅ・・・」

「ど、どうしたの!?唯ちゃん!!しっかり!!」

いきなりガタガタと震えだした唯を両手でしっかりと抱きしめる

「こ・・・怖い・・・」

「・・えっ・・・」

「し・・・知らない人が唯のことを・・・」

先ほどの男たちだ

唯の身体全体を包み込むように抱きしめる

「大丈夫・・・・唯ちゃん・・もう大丈夫だからね・・・」

「あ・・・・あぅぅぅ・・・・ひ・・ひっく・・・・・・ぐす・・・・」

つかさの暖かい胸の中で、小さな身体が震え続ける

「大丈夫だよ・・・・・もう・・・・大丈夫・・・・・・」

抱きしめる腕に力が篭る

そうだ・・・あたしだけが苦しいんじゃない・・・

唯ちゃんだって・・・あんなに怖い目にあったんだ

それに・・・

唯ちゃんを守れたんだから・・・

あたしは・・・




怯え続け、その震えたか弱い声が泣き止むまで

つかさは優しく小さな少女を包み込んでいた












暗くなった夜の道を、何も考えずにただ家へと歩き続けた

あれから唯が落ち着いた後、つかさが唯の部屋にいた理由と、男たちがいなくなったことをうまく誤魔化して説明した

唯は1人になるのが怖いということで、明日からまた淳平の家にお世話になることになった

先ほど淳平の母親が血相を変えて飛んできて、つかさにお礼を言って唯の荷物を一生懸命まとめていた

きっと淳平も間もなく来るであろう

淳平に送っていかせるという母親の申し出を断って、つかさは唯の部屋をあとにしたのであった






ふと空を見上げると、都会ではもうなかなか見ることが出来ないたくさんの星達が小さく輝いている

「・・・・・・・綺麗・・・・」

チカチカと点滅を繰り返すものもあれば、ただボーっと微かな光を出しているだけのものもいる



輝く星たちが、幾重にも重なりだす

「・・・・・・あたしは・・・・・汚れちゃった・・・」



夜空に浮かぶ星たちと相反する自分の姿

道の真ん中で佇む少女は

誰にも見られることなく

ただ、か細い流れを作り出すと共に

一つの大きな決意を

その小さな胸に刻み込んでいた


[No.795] 2005/01/25(Tue) 18:32:40
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