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   The summer from the west (前書き) - UZ - 2005/04/13(Wed) 00:05:16 [No.1028]
The summer from the west 第1話 - UZ - 2005/04/13(Wed) 00:13:14 [No.1029]
The summer from the west 第2話 - UZ - 2005/04/25(Mon) 21:41:40 [No.1100]
The summer from the west 第3話 - UZ - 2005/05/07(Sat) 23:37:45 [No.1118]
The summer from the west 第4話 - UZ - 2005/05/10(Tue) 23:04:21 [No.1121]
The summer from the west 最終話 - UZ - 2005/06/22(Wed) 23:34:52 [No.1148]



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The summer from the west (前書き) (親記事) - UZ

はじめまして。UZといいます。
この作品が初めての作品、しかもどういう話にするかも全く決めてないんでとりあえず完結を目指していきます。
できるかぎり頑張りますんで、温かく見守っていただけるとありがたいです。
なにせ創作経験がゼロに等しいのでアドバイスなどいただけたら幸いです。


[No.1028] 2005/04/13(Wed) 00:05:16
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The summer from the west 第1話 (No.1028への返信 / 1階層) - UZ

真中淳平は高校卒業後、奇跡を起こして大学に合格、大学で順調に映画監督となるために勉強を続けていた。


「ねぇ真中君。西野さん、夏休みに日本に帰ってくるんでしょ?」


「え、えぇ?あ、うん。そうだけど?」

(焦った〜。東城から西野って名前が出てきたらいまだに焦るんだよなぁ〜)


「だからね、映研のみんなで夏休みに遊びに行かない?」


「あ、それいい!きっと西野も喜ぶよ!」





夏休みに入り、つかさがパリから日本に帰ってくる日になった。遠距離恋愛中の真中はもちろん空港まで迎えに行っていた。
4ヶ月ぶりの再開を待ちわびる淳平の目に、夢にまで見たあの愛しい人の姿がうつった。しかしつかさは淳平に気付いていない。


「お〜い西野!」


淳平が大声で呼んでようやく気付き、つかさが駆け寄ってきた。


「ただいま、淳平君。」


「お帰り、西野。」


久々の再開のせいか、お互い少しはにかみ気味である。が、それも5分と続かなかった。

「・・・。でさぁ、その子がねぇ〜・・・」
つかさの土産話がしばらく続いた。


「そうだ、今日さ、西野を驚かせようとおもってさぁ」


「え?なになに?」



「つかさちゃ〜んおかえり〜!」

物陰から綾、さつき、唯、外村兄妹、小宮山が出てきた。


「みんな!ただいま!」

満面の笑みのつかさ。


こうして再会を果たしたつかさと淳平達であった。


[No.1029] 2005/04/13(Wed) 00:13:14
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The summer from the west 第2話 (No.1029への返信 / 2階層) - UZ

つかさとの再会から数日後、彼らは実家へ帰った唯を除いてテアトル泉坂へ来ていた。


館長から熱烈に(女性陣だけ)歓迎され、淳平はやはりこき使われるている。


「ねぇ、淳平君ってまだここでバイトしてるの?」


「うん、一応。あのじいさん普段はエロじじいだけど、映画の事になると凄くいい事言ってくれるからね。大学じゃ学べないものをここで学んでる、って感じ。」


目を輝かせて話す淳平を見て、つかさも自然に笑みがこぼれる。


「そっか、なんか充実してるっぽいね。最近は映画とか作ってないの?」


「作ってないなぁ。まだ一回生だし。西野はどうなの?」


「やっぱり本場は違うよ〜。日本でも楽しかったけど、パリはもっと楽しいかも。」


「お〜い真中。始まるぞ〜。」




映画が始まった。


(え?これって・・・)


スクリーンに映るのは、つかさ主演の、あの映画。


あれから2年。映画を作り続けた者、別の道を歩んだ者、それぞれである。だが、「この映画を作った」という思い出は皆共有している。




そして映画は終了した。



「あれからもう2年もたったんだね。なんか昨日の事みたい。」

「そういえば天地が遭難してたよなぁ。」

「真中がNGばっかりで・・・」



彼らは時間を忘れて昔話に花を咲かせた。







映画館へ一人の男が入ってきた。


「すまんが今は貸し切り中なんじゃが・・・」


館長が機転をきかせたが男は無視して話しはじめた。


「スイマセーン。パティスリー、ツルヤーハ、ドーコデスカ??」


あまりの片言の日本語のため館長は聞き取れなかった。


「おーい淳平。ちょっと来てくれ!」


淳平が面倒くさそうに出てくる。


「何っすかぁ?」


「スイマセーン。パティスリー、ツルヤーハ、ドーコデスカ??」


しかし、淳平も聞き取れない。




「どーしたの?淳平君。」


つかさが淳平を追って出てきた。


「え?フィリップ?」


「オー!ツカサ!!」



「えぇ?西野、知り合い?」


「うん。日暮れさんの友達で、私が今いるお店の常連さんなんだ。」


さすがフランス人だけあって、かなりの美形である。


そう言うとつかさはフィリップとフランス語で話し始める。


「#$%&’$%&*@!」

「/¥@−’&=%$$?」


(何喋ってるか全然わからない・・・)


「ねぇ淳平君。」


「何?」





次につかさが発した言葉で、淳平は人生の岐路に立たされる事となる・・・。


[No.1100] 2005/04/25(Mon) 21:41:40
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The summer from the west 第3話 (No.1100への返信 / 3階層) - UZ

フィリップはつかさに道を教えてもらい、テアトル泉坂を後にした。


「で、どうするの淳平君?って行くよね??」


実はフィリップはフランスの映画監督で、淳平に、夏休みの間に1回フランスの映画撮影の見学に来るよう勧めていた。この願ってもないチャンスのはずだが、淳平の表情はあまり明るくない。


「どうしたの?行けない理由でもあるの?」


「うん。行きたいんだけど、急な話だから先立つものが・・・ね。」



「それなら心配いらんぞ。」


館長が淳平の下へ歩み寄り、札束を手渡した。


「館長、これは・・・?」


「今までのバイト代じゃ。これでパリに行ってきたらどうじゃ?」


「館長・・・ありがとうございます!」


こうして淳平はフランスに映画の勉強のために旅立つ事になった。





「へぇ〜。これがパリか〜。思ったよりもなんか綺麗だな〜。」


初めての海外、しかも映画の勉強ができるということで、淳平はやけにテンションが高い。


「もう。はしゃぎすぎだぞ淳平君。恥ずかしいって。」


「あ、ごめん。いろいろ楽しみで、つい。」



「あ、来たよ。」


つかさが指差した方からは、一台の車が。運転席にはフィリップ。


「オー、ジュンペイ。よく来たね。」


「よく来たね、だって。」


つかさが通訳する。


「あ、短い間ですけど、よろしくお願いします。」


3人はさっそく撮影現場へと向かった。






撮影現場は日本でもよく撮影に使われそうなありきたりな海岸だった。


「ふーん。映画の撮影ってこんな感じで進んでるんだ〜。」


今度はつかさの方が興奮気味である。淳平はというと、



(パリの映画って言っても、雰囲気は日本とあんまり変わらないな〜)


少し不満気味である。



「ねぇ淳平君。日本の映画撮影と比べてどうなの?」


「そうだな、あんま変わんないかな。ちょっとのんびりしてるぐらい。」


「でもフィリップのやり方は他の人とは違うんだよ。」


そう言ってつかさはいじらしい笑みを浮かべた。





撮影はひと段落つき、現場の人たちはみんなで話を始めた。


「おーい。ジュンペイ、ツカサ。」


フィリップに呼ばれ、2人は話に加わった。


「この子が知り合いのツカサ。でこっちはツカサの彼女のジュンペ
イ。彼は日本で映画の勉強をしてるんだって。」


フィリップがスタッフに2人を紹介している。もちろんこの間もつかさは淳平に何を話しているのか通訳している。

「「よろしくお願いします。」」


2人はスタッフに挨拶をした。


「ジュンペイ。撮影を見てて、どう思った?」


淳平は返答に少し困って俯く。


(どうしよう。普通にしか見えなかったしなぁ・・)


「え・・・っと、言葉が分からないんで何とも言いにくいですけど日本の撮影とあまり変わらないように見えました。」


結局本音を言った淳平に対してフィリップは微笑みながら答える。


「その通り。ここまでは普通だ。でもここからが僕のやり方なんだ。」


そう言ってフィリップは見学に来ていた一般の人に、紙とペンを配り始めた。もちろん淳平とつかさにも。


「えぇ??」


淳平が驚いたのも無理はない。


そこには、思いもしないようなことが書かれていた。


[No.1118] 2005/05/07(Sat) 23:37:45
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The summer from the west 第4話 (No.1118への返信 / 4階層) - UZ

淳平が見たもの。それは撮影について良いと思ったこと、改善点などなどとにかく来た人がどう思ったか自由に書いてもらうアンケート用紙だった。


「ちょっとフィリップさん。素人なんかに意見仰いでどうするんですか?」


淳平は少し怒りを覚えていた。素人の意見のなどアテにならない、と。フィリップは少し呆れ気味に言った。


「それじゃ、ジュンペイはここにいる全ての素人が気付いた物全てを気付いているのかい?」


「そりゃ全部は気付かないですけど。」


「それだよ。その素人だからこそ見える物と言うのもある。それに素人の中にも目の肥えた人がいる。そういう人とのコミュニケーションで映画はさらによくなると思うんだ。」



フィリップの言葉に淳平はサッカー選手として欧州で活躍してる大草が話していた事を思い出した。







「なぁ真中、こっちのサポーターってすごいんだぜ。」


「なにが?」


「練習を見に来るサポーターっているじゃん。そのサポーターの人にな、前の試合のあのプレーはよかったとか、もっとこうするべきだとか言われんの。それがまた的確でさ。」




(あのとき大草が言ってたのと同じ・・・)



淳平はフィリップの言った事を理解し、同時に尊敬の念を抱いていた。


「そうですよね。あと、自分が玄人みたいな気になってたのに気付きました。俺なんか全然素人同然なのに。」


「その謙虚さが君の腕を上げるよ。」





これで淳平はフィリップという、明確な目標ができた。










『パリで、フィリップのもとで映画の勉強をしたい。』



パリから帰国した淳平は、日に日にパリへの想いが強くなっていた。今も外村と2人でいるにも関わらず淳平はうわの空で話を全く聞いていない。


「・・・おい、真中!!」


外村が怒鳴って淳平は気付く。外村は少し怒っている。


「どうしたんだよ?」


「どうしたんだよじゃないって。オマエが何言っても反応しないからだよ。」


「ああ、悪い。」


「どうしたんだよ?パリから帰ってきてからずっとそんなんじゃないか。つかさちゃんと何かあったのか?」


淳平はぼそっと呟く。


「いや、そんなんじゃなくて・・・パリに行きたいなぁ、って。」


「映画の勉強か?」


「ああ。俺の目指すべき人が見つかったんだ。けど、大学も卒業しときたいし・・・」


「まぁそんなすぐに決める事でもないんじゃねーの?どのみち金ためたりフランス語もある程度覚えてからだろ?」


「っま、そうなんだけどさ・・・。」
淳平の様子から、外村は何かを悟ったような表情を浮かべた。


「じゃ、そろそろ帰りますか。」


2人は家路についた。淳平と別れたあと、外村はどこかへ電話をかけていた。










(日本にいるか、パリに行くか。そりゃパリに行きたいけど、でも・・・)


淳平は家に帰ってからも相変わらず悩み続けていた。その時、淳平の携帯が鳴った。


(電話・・・東城からだ。)


「もしもし?」


「あ、真中君、こんにちわ。」


「どうしたの?」


「あ、いや、パリでの勉強どうだったのかな、って。」


「うん。監督がすごい人でさ、俺の目標になったよ。」


「それってもしかしてパリに留学とかしたり・・・?」


「いや、その予定はないけど。」


「そっか。でも真中君は行った方がいいと思うよ。大学だってパリの大学でも単位は取れるし、言葉さえ覚えれば大丈夫じゃないかな。その真中君の目標の人の元で勉強するのが真中君のためになると思うよ。」


「・・・でもさ、それじゃ東城が・・・」


「私のことは気にしないで。昔言ってたよね。夢最優先で生きてい
くって。私はそんな真中君が・・・好きに・・・なったんだから。」


「ありがとう東城。決心ついたよ。」


「じゃ、今日からフランス語の勉強ね。がんばってね真中君。」


「ああ。ホントにありがとう東城!」


(これで、よかったんだよね?真中君の夢の邪魔を私なんかがしちゃいけないよね・・・)







1年後の夏、フランス語の勉強と貯金をある程度終えた淳平は、パリへと飛び立った。


[No.1121] 2005/05/10(Tue) 23:04:21
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The summer from the west 最終話 (No.1121への返信 / 5階層) - UZ

淳平がパリへ旅立ってからさらに1年がたった。



淳平はバイトと映画の勉強と、忙しくも充実した日々を送っていた。そして今日は夏休みで日本に帰る日、なのだが彼はまだ布団の中。



そんな中、淳平の部屋の扉が静かに開く。



「ちょっと!!淳平君、飛行機遅れるぞ!!」



言葉と同時に布団を引っ剥がされる淳平。



「・・もうちょっと寝かせろよ・・・ってつかさ??そっか今日出発で・・・もうそんな時間?ヤバイ!!」



慌てて飛び起きる淳平。



「まだ大丈夫だよ。30分ぐらいは余裕あるよ。淳平君絶対寝坊すると思って早目に来たんだ!」



「サンキューつかさ!助かった!!」



こうして無事、2人は帰国の途へとついたのだった。








時は少しさかのぼり、帰国の1ヶ月前、綾から一通の手紙が届いていた。





『拝啓 真中淳平様


 
 もうすぐ真中君がパリに行って1年になるね。



 夏に1回帰って来るって外村君から聞きました。



 会えるの楽しみにしてるね。

 

 そうそう、最近忙しくて報告が遅れたんだけど、石の巨人の話が 完成しました!!
 


 帰ってきた時にでも読んでね。まだ他に読者はいないから。』
 





綾からの手紙には、他にも最近の皆の様子なども書かれていた。











「あぁ〜よく寝た。」



淳平は大きく伸びをしている。



「寝坊しといてよくそんなに寝れるねぇ。おかげでこっちは暇で暇でしょうがなかったよ。」



「ご、ごめんつかさ。でも、寝る子は育つ、って言うじゃん。」



2人は他愛無い話をしながら空港内を歩く。その時、物凄い数の人に囲まれた。



「東城先生の最高傑作はいつ映画化するんですか?」

「最高傑作とはどんな話なんでしょうか?」



ほとんどがこの手の質問だった。



「え?え??」



慌てふためく淳平。






そこにまた多くの男達がやってきた。が、彼らはプレスと言うより、力仕事をしてるような感じである。そして彼らが道を空け、淳平とつかさはプレスから解放された。



そして混乱を抜けた先にはさつきが立っていた。



「さつき?さっきの男達ってまさか・・・」



「そうよ。高校のラグビー部の連中よ。ってそろそろ追っ手が来るよ。走って真中!ほら西野さんも早く!」



こうして淳平たちはプレスから逃げる事に成功した。



「サンキューさつき。マジで助かった。ってかなんでこんなに手際よくできたんだ?」



「前から東城さんに相談されてたの。なんかよく分かんないけど東城さんが記者に何か言っちゃったみたいで、このままじゃ真中が帰ってきたら空港で大騒ぎになるけど自分が行ったら余計混乱するからって相談されて。」



「そっか。それじゃ帰ってこなかった方がよかったかなぁ・・・」



「真中がそう考えるかもしれないからこのこと東城さんも真中には黙ってたみたいよ。」



車はつかさの家の前に着いた。



「ほんとに今日は助かったよさつき。」



「ありがとうさつきちゃん。」



「じゃぁまたねー。」



さつきを乗せた車は去っていった。







その日の夜、淳平の家に綾から電話がかかってきた。



「ごめんなさい真中君。いろいろ黙ってて。」



「いーよいーよ。にしても東城の人気もすごいよな。まさか監督に
もなってない俺が映画いつ作るかとか聞かれるんだし。」



「でも、やっぱりどうしてもあの話は真中君に映画化してほしいの。どんなに遅くなってもいいから。」



「わかった。監督になって、自分に自信が持てるようになったら作るよ。あとマスコミの方には俺から説明しとくよ。」



「ごめんねほんとにいろいろ。」



「大丈夫だよ。それじゃぁおやすみー。」



電話を終えた淳平はFAXを各マスコミに送った。



自分はまだ監督デビューもしてないので映画化はしばらく先になること。だから自分も綾もそっとしておいて欲しいこと。





そして淳平は新たなモチベーションを得て、さらに映画の勉強に励むこととなった。












それからまた数年後、映画監督として軌道にのっていた淳平はついに石の巨人の映画化に取り掛かった。





                              END


[No.1148] 2005/06/22(Wed) 23:34:52
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