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No.1202に関するツリー

   R『ペンションクライシス』1 - お〜ちゃん - 2005/10/11(Tue) 16:15:10 [No.1202]
Re: R『ペンションクライシス』1 - これ最高!! - 2005/11/13(Sun) 18:35:24 [No.1209]
R『ペンションクライシス』2 - お〜ちゃん - 2005/10/11(Tue) 16:18:13 [No.1203]



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R『ペンションクライシス』1 (親記事) - お〜ちゃん

「クックック・・・・ しかしこんなにも上玉が揃うとはな」

「ですな。せめて一人くらいはと思ってましたが」

「で、どうします?やはり、このままただバイトさせてハイ終わりってわけじゃないですよね?」

「当たり前だ。当然・・・・」

「では、作戦を立ててうまくやりましょう」

「私は、あの黒髪のツンと冷たそうな子がいいな」

「お前、あぁいう子好きだよな。」

「私はあのぶりっ子なアイドル系の子が好みですね〜」

「うむ、なかなかいい所に目が行くな。」

「で、若はどの子がタイプで?」

「・・・・当たり前なことをいうな。俺は・・・」

「俺は?」

「フッフッフ・・・・」

















いちご100% 「さわやかペンションクライシス 二次小説」













淳平達、泉坂高校映画研究部は夏休みを利用して部費を稼ぐためにと人里はなれた山奥に来ていた

『ペンション 爽やか』

住み込みのバイトになるが、バイト代も通常の倍以上とあって、短期間で稼ぐために淳平が申し込みをしたのであった。


真中淳平、外村ヒロシ、小宮山力也、東城綾、西野つかさ、南戸唯、北大路さつき、外村美鈴、端本ちなみ、向井こずえ。


総勢10名。


ペンションの掃除や厨房の整理、ベッドメイキング等、あらゆる雑用を皆で汗水流して初日から頑張っていた。










ガシャーン!!

大きな音と共に、淳平のすぐ横にあった大きな壺が床に倒れて割れた。


「え?えぇ!?」


突然のことに目を丸くして、その割れた破片を見つめた

「俺、触ってないのに・・・何で??」

とまどっている淳平へ、さつきと綾が駆け寄ってきた

「真中!何、今の音!?どうしたの??」

「あ、いやなんか勝手にこの壺が落ちて割れちゃって・・・」

「え?・・・・」

綾は淳平の傍で破片となった壺を見て固唾を呑んだ

「こ、この壺って・・・」

「どうしたの?東城さん」

「う、うん。確かさっきお掃除してる時に、マネージャーの式部さんが言ってたんだけど

この壺、オーナーの更埴さんが大事にしてる壺で亡くなったお父さんの形見だって・・・」

「え?形見!?」

「うん・・・・毎日ずっと大切に磨いてて、この壺を見て仕事を頑張ってるって言ってた」

「・・・・・・や、やばい。俺、そんな大切なものを・・・・・」


淳平は事の大きさに気付き、顔から血の気が引いていった


「ね、ねえ真中!早くオーナーさんに謝ろうよ」

「そ、そうよ、真中くん」

「あ、あぁ・・・・そうだよな・・・・・・」






「おい、どうした!!」

と、その時、大きな音に気付いたペンションのオーナー達がリビングルームへと走ってきた

「あ、あの・・・」

淳平が今の状況を説明するよりも早く久原が大声を上げた

「あぁーーー!キ、キミ!こ、この壺を割ったのか!?」

「・・え・・あ・・・あの・・・」

「おい、この壺はな、どういう壺なのかわかってるのか!!」

「・・グッ・・・ウゥ・・・」

胸ぐらをグイっと掴まれ、淳平は息が苦しくなった

「この壺はな、この壺はな・・・・」

声を荒げる更埴に、淳平は言葉を返せなかった




カチャ・・・カチャ・・・・



無言で粉々になった破片を式部は拾い始めた


「式部・・・」

更埴は式部の様子を見て、淳平を離した


「す、すみませんでした!!」

淳平は頭を深々と下げた


「俺、壺に触ったって感じはないんですけど、でも、その場にいたのは俺だけだったし、オーナーさんが大事にしてる壺を割ってしまったのも事実ですし・・・」


頭を下げたまま謝り続ける中、騒ぎを聞きつけたヒロシ達映研部メンバーが全員集まった


「淳平くん!?」

その姿を見て、つかさが淳平に駆け寄った

「どうしたの?一体何があったの??」

心配そうに淳平の顔を覗き込むつかさと他のメンバーに、さつきが今までの経緯をサッと説明した


「お、おい・・・真中、お前・・・・」

ヒロシも言葉に詰まった

「・・・淳平くん、ケガは?破片で切ったりしてない?」

つかさは淳平の身体を気遣った

「あ、あぁ・・・・俺は大丈夫だけど、でも・・・・・壺が・・・・」

淳平の眼は、明るさを失っていた


「困りましたな・・・・」

今まで黙っていた式部が静かに語りだした

「この壺は先代がずっと大事にしていた壺でしてな。先代がなくなられた時、このペンションも廃業しようということになってたのですが・・・

若・・・いや、こちらのオーナーが先代の意思を受け継ぎたいということで廃業せずに続いてる次第。

経営が苦しいときも、この壺を見ては、亡き先代を思い出して頑張ってきたのです」


「す、すみません!本当に・・・俺・・・・」


「・・・・どうしてくれるんだ!弁償だ!!」

「わ、若・・・・」

「いいや、警察だ・・・法的手段で出るとこに出てやる!」

「し、しかしそれはあまりにも酷ではないですか!」

「そうですよ、オーナー。彼にも悪気があったわけじゃないのですから」

「だけどな!この壺は・・・」

「わかっております。ですが、彼らには責任を取らせるわけにはいかないでしょう」

「でもな!式部・・・・」




更埴と式部、久原の会話を黙って聞いていた映研部メンバー。

美鈴が思わず尋ねた

「あ、あの。一つ質問してもいいですか?」

「なんだい?」

「その壺、ただの形見ってわけじゃない他の理由があるんですか?」


「・・・・・・・」

「・・・・・・・」


更埴と式部は眼を合わせるとそっと伏せた


「あのな、この壺はな!!」

更埴がまた騒ぎ出した

「おやめ下さい、オーナー!私から彼らにきちんとご説明いたしましょう」

「いいや、言わせて貰う!いいか、お前ら!!

この壺はな、時価1000万円はくだらない代物なんだよ!」



「「「「い、い、いっせんまんーー!?!?!?」」」」



壺の価値を知って驚愕するメンバーたち


「そうだよ!それとな、この壺はもう買い手が決まってたんだよ!!」


「!?!?!?!?」

淳平は口を開けたまま声が出ない


「ちょ、ちょっとそれっておかしくないですか?」

さつきが割って入ってきた

「だって、オーナーのお父さんの形見なんでしょ?それを何で売るわけ?毎日大切にしてるんでしょ?」

さつきの質問に皆も頷いた


「・・・・・・・恥ずかしい話なんだが・・・」

式部が話し始めた

「実は、このペンション。大分傷んでましてね、赤字経営がずっと続いてたんだ。」

「・・・?え?だってすっごく綺麗じゃないですか〜??」

ちなみが両手を広げながら言った

「今はね。でもついこないだまでは・・・。先代が死んでからは全く稼動してない状態でして・・・。ですが、こちらいおられるオーナーが先代の面影が残るこのペンションを潰すのはおししいと・・・。

それで、色々とがんばって来たのですが赤字が続いてしまいましてね。

みんなと相談して、思い切ってリニューアルオープンして新しく生まれ変わろうと。先代からの名残が多少なくなるけど、オーナーが新しいペンションを経営して、亡き先代に立派になった姿を見せてやろうってね。・・・・でも結局借金が嵩んでしまいまして・・・

そんな時、この壺を以前から欲しいって人がいたのを思い出して、思い切って売ってしまおうと・・・」


「・・・・・」


「改装するための借金が700万。壺が1000万。差し引き300万。この300万を元手に他の手の届かなかった所を改装したり広告を出したり・・・まず手始めが君たちに改装オープンの準備を手伝ってもらおうって事だったのですが・・・・」


「そうだったんですか・・・・」


「あ・・・・あの・・・」

こずえがビクビクしながら手を上げた

「あの・・・・何か私たちで手伝えないでしょうか?」


「あぁ?無理だろ。お前、1000万あるのか?」


ビクッ!

「ひ、ひぃぃやぁぁぁ〜〜〜〜」

こずえは綾の後ろに隠れてしまった


「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」



沈黙が続いた


「・・・・・俺、弁償します」


「え?ちょ、ちょっと淳平くん!?」

「お、おい真中、何言ってるんだ!1000万だぞ!!」

「あぁ、わかってる。何年かかるかわからないけど、俺、頑張って必ず弁償する」


「おいおい、わかってないな。あのな、1000万は今必要なの。いい?君が頑張ってもまだ高校生なんだからせいぜいあと5〜6年くらいしないと返せないでしょ?」

「そ、そうですが、でも・・・・」





しばしの緊張した沈黙の中、式部が整った髭を指で弾きながら言った


「・・・・・まぁ、すぐに返せる方法もありますけどね」


「え?あ、あるんですか!?」

綾が声をあげた

「えぇ、ありますとも。君たちならスグに返せる方法がね。君たちなら」


「な、なんですか、それは?教えてください!!」

さつきとつかさも式部に問い詰めた

「・・・・・・まぁ、後ほど、皆さんに個別にお話いたしましょう。全員が同じ事で協力してもらうわけではありませんのでね。」


「・・・・式部、本当にそんな方法があるのか?」

更埴は式部に尋ねた

「えぇ、お任せください。それには皆さん全員の協力が必要になります。全員のね」


「わかりました。協力します!」

「あたしも!」

「ちなみもやりまーーーす♪」

「・・・仕方ないわね、あたしもやるわ」

「真中だけに責任取らせるわけにはいかね〜しな」

「み、みんな・・・・・・・」

「オーナー。この件は私にお任せくださいませんか?決して悪いようにはいたしません。彼らにも誠意というものがあると思いますし」

「・・・・そうだな。みんな、取り乱して申し訳ない。真中くん、さっきはすまなかった・・・」

「い、いえ!そんな、オーナーさんが謝ることじゃ・・・」



「わかりました、では後ほど皆さんに個別にお話いたします。1000万円ですから、一人あたり100万円って所ですね。ちょっと男子は力仕事ですから大変ですが、決して危険なマネはさせませんからご安心ください」


「ハイ!!」






「では、ここは片付けていただいて・・・・そうそう、この破片はまとめて置いておいてください。割れてしまっては買い手も付かないですが、これはこれで形見としてオーナーに差し上げましょう」


「ハイ!!!」













「ごめんな、みんな・・・なんかこんなことになっちゃって・・・・」

淳平は深々とアタマを下げた

「いいって、気にするなよ!」

「そうだよ、淳平くんにケガがなかっただけでも良かったじゃん!」

「そうですよ!それに、偶然何かの拍子で倒れた時に真中先輩が傍を通っただけかもしれないですしね」

「そうそう、それにオーナーさん達もいい人そうだしさ!」

「みんな・・・・ありがとう・・・・」




















「クックック・・・・・・うまくいきましたな、オーナー」

「あぁ、どうだ?俺の演技は抜群だったろう」

「何を言ってるんです!私の迫真の演技があったからこそですよ!」

「しかし、あんな壺が1000万もするわけないだろうにな」

「高校生じゃわかりませんよ」

「そうだな、だが、今は高校生だからこそいい」

「そうですな」

「で、手始めにどうする?」

「そうですね」

「まず面倒な男子どもには出てってもらいましょうか」

「そうだな。なんかうまいこと理由つけて事が終わるまで」

「3日間くらい?」

「あぁ、そのくらいでいいだろう。いざとなれば延ばせばいい。例のプレハブがあったろ?」

「ありましたね。ここから車で2時間くらいでしょうか」

「そうだ。あそこを買いたい人がいるからと言って綺麗に掃除させよう。3日間」

「・・・・・そうしますか」

「久原、お前が連れてけ」

「えぇ!?私がですか!??」

「そうだ。お前が一番適任だろ」

「そ、そんなこと言って私がいない間に女の子たちと・・・・」

「フッ・・・・・心配するな。お前のお目当てには手を出さないから」

「ほ、本当ですか?」

「あぁ、本当だ」

「では、手始めに・・・・」

「そうだな、まずはこの子にしよう」



3人が囲んだテーブルの上に、更埴が差し出した一枚の履歴書









「向井こずえ」


[No.1202] 2005/10/11(Tue) 16:15:10
ppp39.airedge.sannet.ne.jp
R『ペンションクライシス』2 (No.1202への返信 / 1階層) - お〜ちゃん






「さて、君達。これから私と一緒に車に乗ってもらいますからね」

久原が淳平たちの部屋へやってきた。

「あ、ハイ!」

「でも、何処へ行くんですか?」

3人とも、このペンションで何かをするものだとばかり思っていた。

「あぁ・・・・実は力仕事が必要でして。ちょっと離れてるところなんだけど、そこを綺麗にしてもらいます」

久原は笑顔で言った。

「離れてる・・・・って、え?一体何をするんですか?」

ヒロシが怪訝そうに訊ねた

「実は離れたところに別荘が一つあってね。そこをキミ達3人である程度まで綺麗に片付けてもいます。
といっても、一日ではできる代物でもないので、3日くらい泊りがけになってしまうでしょうが。」

「3日間もですか!?」

「た、食べ物とか寝るところとかは・・・」

心配そうな淳平たちに見向きもせず、久原はドアに向かって歩き出した

「食べ物は行く途中に購入して行きます。寝るところはその別荘で寝てもらう。一通りのものは揃っているから不便はないでしょう。」

「・・・・・」

「それに、これを別荘として売りに出せばきっと500万くらいにはなるはずとの事です。既にマネージャーが買い手を何人かピックアップしてるようです」

淳平たちに拒否する権利はない

「さぁ、早く行こう!準備して!!」

「わ、わかりました」








クルマで移動すること2時間。目的の別荘へと到着した。

「こ、ここですか!?」

クルマを降りると同時に伝わる草と木の湿った匂い。

2階建ての別荘は、とてもではないが外装は綺麗とはいいがたい。

踏みしめられてない草は、建物の周り全体を覆いつくしていた。

「おい、何してるだ!早く、こっちだ!!」

建物の入り口で立つ久原のもとへ、3人は急いだ。


ギ・・ギ・・・ギギギギ・・・


古びた音と目の前に広がる埃。

思わずむせてしまう3人だが、中へ入ると一応は片付いた状態にはなっていた

「ホッ・・・よかった〜俺、中まですっげぇボロかったらどうしようかと思ったよ」

小宮山が肩を撫でおろした。

「あ、あぁ・・でも、中も結構汚いぜ」

窓からうっすらと入る光が、室内を照らす。

ロビーともとれるこの場所で、床はもちろんのこと、天井、壁、そして全ての家具までもが誇りにまみれていた


「さて、君達の仕事だけどね・・・」

一度クルマの方へ戻っていた久原が大きな段ボールを持ってきた。

それを床に投げ降ろすと、腰に手を当てて説明をはじめた


「いいかい?まずやることは見てのとおり、この建物全体の掃除だ。

一通りの道具はここに入ってる。

それと、各部屋にはベッドなどもあるから、それらも全部綺麗にしておくように。

電気・水道・ガスは通っている。電話もあるから何かあれば連絡をください。」


「あ、えっと・・・・もしかして、久原さんは・・」

ヒロシが手をあげながら質問した

「ん?私か?私は帰りますよ。オープンの向けて料理の仕込みもありますし、まだまだ思索をしなくてはなりません」

「あ、ごもっともで・・・」



「いいですか!期日は3日間!!それ以内で終わればそれでよし。終わらなければ終わるまでです!

とにかく、この別荘を見に来てくれた人がすぐに買ってくれるように綺麗にすること。

一番大変なのはこの建物よりも、外の草むしりかもしれないですがね」


確かに、外の草を全て刈るのは大変そうだ。


「何か質問はある?」


「あの・・・・」

淳平が手をあげた」

「この別荘を綺麗にしたら、俺の借金っていくら減ることになるんですか?」

一人あたり100万円の借金となってるわけで、これが300万の仕事。

つまり、最低でも300万以上で売れなければ意味がない


「あぁ、その辺についてはきちんと300万円分なくなるだろう。

マネージャーの式部が言うには、おそらくこの建物は500万くらいの値がつくはずだと言ってました。

出来栄え次第ではもっと減らしてくれるように私からも頼んであげよう」





それでもまだ700万もの借金。これをペンションに残してきた女子メンバーたちに負担させてしまうことになっている。

「わかりました。とにかく、今俺たちにできることを精一杯やらせてもらいます!」

淳平は険しい表情で言った


「ところで、女子はどんな仕事内容なんですか?」

ヒロシが質問した

「ん?あ・・・あぁ、たしかペンションの掃除と、地元新聞社の取材とかそんなだった気がするな」


「しゅ、取材!!」


「詳しくは知らないが、マネージャーが各自に仕事与えてることは間違いない」

久原が知るはずもなかった。全ては式部の指示の元動いてるのだから、当然言ってることはデタラメだ

「くはぁ〜俺たちがこんな肉体労働してる時に、向こうは呑気に取材かよ・・・」


ガクンと肩を下ろすヒロシ。


「さ、もういいか?なければ帰るからな!」

「はい、どうもありがとうございました」


バタン・・・・


ドアの閉める音のあと、しばらくすると先ほどまで聞いていたエンジンの音が、徐々に遠ざかっていった






「ふぅ〜・・・・しっかし汚ねぇ部屋だな。俺たち、ここで寝泊りもするんだろ?」

「そうなるな、とにかく今はやるしかないんだ」

「ごめんな、みんな・・・」

「い、いいって!真中が悪いんじゃないさ!それに、こんなのチャッチャと終わらせて早く帰ろうぜ!」

「そうそう!」

ヒロシと小宮山の優しさに胸が熱くなった

「じゃ、じゃあまずは部屋と風呂・トイレの掃除をしよう!」

「そうだな、寝るところがなきゃ、何もできやしない」

「おう!!」











ブロロロロロ〜〜


「ったく、あんな別荘が売れるわけねぇだろうによ」

久原は窓からツバを外に吐いてクルマを走らせた

「肉体労働?ハッ!馬鹿いっちゃいけねえ。ある意味、彼女たちも肉体労働なのによ」

自然と久原の口元が緩んでいく

「さて、俺の仔猫ちゃん、待っててくれよ〜〜」


アクセルを踏む力が強まり、行きよりも早いスピードでクルマは疾走していった














「ふぅ・・・・なんか、大変なことになっちゃったなぁ・・・」

こずえは一人、ベッドの上で座り込んでため息をついていた

「せっかく真中さんと一緒なのに、真中さん、他の場所に行っちゃうし・・・」

こずえは手をもじもじさせた

「ほ、ホントだったら・・・今頃・・・・」


『こずえちゃん、ホラ、もっとこっちに来てよ』

『え?ダ、ダメですよ、真中さん!東城さんたちもいるんだし・・・』

『大丈夫、みんなもう寝てるよ。さぁ、一緒に寝よう』

『で、でも。でも・・・・』

『こっちに顔見せて・・・』

『ま、真中さん・・・・・』


こずえは枕を抱きしめながら妄想へ突入していた



コンコン



「ひ、ひいゃぁ〜〜〜〜!!」


ドアを叩く音にこずえは驚いた


「式部ですが、大丈夫ですかな?」

「あ、ハイ!今ドアを開けます」

カチャリ


「やぁ、どうも。今、声をあげてましたが何かありましたかな?」

「い、いいえ!何もないです、ハイ!」

こずえは真っ赤になりながら答えた


「さて、皆さんに掃除をしてもらってるわけですが、これから順番に一人ずつやってもらいたいことを説明します。」

(あ、さっき言ってたことだ・・・)

「ハイ」

こずえはうなずいた

「では、ここでは何ですのでちょっと私に着いてきてください」

「え、あ、はい!」

式部に言われたとおり、こずえは後ろを歩いた

「あ、あの・・・」

「何ですか?」

「み、みんなは・・・その・・・」

「あぁ、皆さんですか?他の方々はそれぞれ掃除をしてたり、買い物に行ってもらったりしております」

「そ、そうなんですか」

「ほら、外を御覧なさい。」

式部が指さす方向をみた

「西野さんと唯さんだ!わぁ〜なんか洗濯物を干してる〜」

「そうです。皆さん、一生懸命頑張ってくれてます。」

「わ、私も頑張ります!」


こずえも気合が入ってきた

廊下の奥にある倉庫の横のドアを式部が開けた


「こちらです、暗いですので気をつけてくださいね」

「あ、はい」

ドアの中はすぐ階段となっており、小さな電球がうっすらと足元を照らしていた

(なんだろ?地下があるんだ〜へぇ〜〜。でも、こわいよぉ〜〜〜)

こずえは怯えながらもゆっくりと降りていった


「ここです」

どうやら部屋のようになってるようだ。

式部が明かりを点けた

「わ、わぁ〜〜すごい!」

こずえは眼を丸くした

眼前に広がるは、大きなカメラとたくさんの衣装。

そして、壁にはモニターも数台置いてあった

「こ、ここで何をするんですか?」

こずえは式部に尋ねた

「ハイ、向井さんにお願いしたいのは、実は衣装モデルです」

「も、も、も、モデル〜〜〜〜〜!!」

「ハイ。向井さんのその素朴さと純情さはまさにメイドにピッタリ

そこで、メイド服を着てもらい、今話題のメイド喫茶などの広告モデルをやっていただきたいのです」

「あ、あ、あたし無理無理無理!!」

こずえは両手を突き出して首を振りまくった

「だ、だってあたし全然かわいくないし、モデルだってやったことないし」

「こずえちゃんは充分かわいいよ。」

と、突然更埴が現れた

「こずえちゃんはもっと自信を持っていいと思うよ」

「そ、そんなことないです!」

「アハハ、そういう所、かわいいよね。真中くんが気になるのもわかる気がするよ」

「え?ま、真中さんが!?」

「そうだよ、あれ、気づいてなかった?

彼、チラチラとこずえちゃんのこと見てたけど?」

「え・・・・(ウソ、真中さんが・・・・・)」

「どうだい?この撮影終えたら、写真を彼にもあげるといい。きっと喜ぶと思うよ」

「真中さんが・・・喜ぶ・・・」

こずえの心が動き出した

「どうする?無理にとは言わないけど、これ、似合うのこずえちゃんしかいないんだよね〜」

更埴はメイドの衣装を手にとって見せた


「や、やります!!」

こずえは胸に手を当てた

「私、がんばります!!」


「ありがとう!」

更埴はニコっと笑った

「では、向井さん。こちらでお着替えください」

式部が別室へと案内した



「まずは順調だな」

「そうですね、とっとと終わらせて次に行きましょうか」

「あぁ、ビデオは抜かりないだろうな?」

「バッチリです。既に回っておりますから」

「着替えからか?クックック・・・そりゃいい」






カチャリ

「お待たせしました・・・」


身体をもじもじとさせながら、メイド服を着たこずえが現れた


「うっわ〜かわいい!かわいいよ、こずえちゃん!!」


黒のメイド服を纏ったこずえは、メイドとはこういうものだと言わんばかりに似合っていた

「いいねぇ〜さ、さあ!早く撮影をしようか!」

「・・・あ、・・・はい」


カメラを構えた更埴の前にこずえは立った


「いいねぇ〜そう!そのまま上目遣いでこっちを見て!」

「今度は軽く正座して・・・そう、その感じ!!」


更埴の言われるがまなにポーズをとっていった


「う、う〜〜ん・・・・」


「オーナー、どうなされましたか?」


突然、更埴がカメラをはずして悩みはじめた


「もうちょっと、こう、何と言うか・・・」

「はぁ」

「刺激が欲しいね〜」

「刺激ですか?」

「そう。あ、でもこずえちゃんにそんなこと頼むのは悪いからなぁ」


2人のやりとりを聞いていたこずえは、勢いで口を開いた

「あ、あたし大丈夫です!何でも言って下さい!どうすればいいんですか?」


こずえの言葉を聞いて、思わず口元が緩みだす二人


「あ・・・・で、でもいいのかなぁ・・・・」

未だに悩む仕草を見せてこずえの責任感をあおろうとする

「大丈夫です!多少きつくても頑張ります!」

「・・・・・そ、そうかい?」

更埴はチラリとこずえの胸元を見た


「じゃ、じゃあ今度は四つんばいになってくれるかな?」

「あ、ハイ・・・」

こずえは床に手をついた

「こ、こうですか?」

「そ、そうそう。そしてもうちょっと両手を内側に寄せてくれる?」

「はい」

こずえが言われたとおりにすると、胸元の隙間から胸が溢れそうなくらいに寄せ合ってくる


(う、うわぁ〜たまらねぇ。すっげぇいい胸してやがるぜ、こいつ!)



「じゃあ今度はこっちへ来て、同じような感じで座ってくれる?」

「あ、はい」

こずえは白いシーツが敷かれた大きなクッションの上に腰をおろした

「そうそう・・・いいねぇ〜・・・あ、ちょっと胸元を広げて・・・もうちょっと・・・そうそう・・」

更埴の言うがまま、自分が今、どのような格好になっているかなどわからずにこずえは姿勢を作った

「うん、じゃあさっき言ってたけど、本当にやるのかな?」

「は、はい!やります!!」

「OK!じゃあ・・・・・・」


更埴の手がゆっくりとこずえの肩にかかった


「ひぃぃいぃ〜〜〜!!!」


こずえは思わず身体を引いた


「おいおい、どうしたの?まだ何もしてないじゃないか」

「あ、あたし・・・・」

「撮影やめておく?」

「わ、わかりました。がんばります」


更埴の手が再び肩へとかかる


ビクン


こずえの身体が緊張で固くなる

(や、やだ・・・あ、あたし何をされるの?え?何?何??)


スルっと抜けるような感覚で、こずえの服が肩からスルリと腰まで落ちた

大きな胸を覆い隠すように、カワイイブラジャーが姿を現した

「い、い、いやぁ〜〜〜〜〜!!!」

こずえは両手で胸を隠して身体をかがめた

「ちょ、ちょっとこずえちゃん。ダメだよ。それじゃ。撮影ができない」

「いや!いや!!いや!!!ヤダ!もうヤダ!!!」

こずえは涙を流した

「ヤダって言われてもねぇ」

更埴はアタマをかきながら式部をチラリと見た

「そうですよ、向井さん。」

低く、重みのある声で式部は言った

「別にこれで中止をしてもいいですが、その代わりあなたの分の100万円。これは他の人にお願いするしかないですね」

「あ・・・・」

「ただ、他の方々もあなたが見たように大変忙しい。あなたの分まで頑張れる余裕などないはずです。

まぁ、それでもいいというなら結構です。彼にはきちんと返していただくまでここで働いてもらいますから」


「ま、真中・・・さん・・・」


そうだ。これは淳平のためにみんなで決めたこと。自分だけが逃げ出していいわけではない。

全員が与えられたことを一生懸命頑張っているのだ


「わ、わかりました・・・もう、大丈夫です」


こずえは両手を下ろした


「じゃあ行くよ」

こずえは下着姿を次々と写真に収められた

そして、欲望が抑えきれなくなった更埴の手は、更にその下着へと手を伸ばし、ゆっくりとはずしにかかった


(やだ・・・・見えちゃう)


こずえの嫌がる仕草が更埴の熱を更に上げていく


プチッ


背中のホックをはずされ、肩紐が前へと下がってきた


「さぁ、こずえちゃん。その手をどかして・・・・・・」


「・・・・・・・は、はい・・・」


こずえは震える両手をゆっくりと下ろしていった



「うはぁ〜〜す、すっげぇ!!」



こずえは生まれて初めて、両腕から開放された大きな胸を異性の前にさらけ出した



ゴクン・・・・


更埴と式部の喉元が大きく動いた


(すげぇ、こりゃ想像以上にいい身体してやがる・・・)


顔を紅潮させ、おどおどとした仕草のこずえの姿は、益々二人の体温を高めていく


カシャッ カシャッ


更埴がシャッターを押すスピードが速まっていく


(やだよぉ〜・・・・・・真中さんに一番最初に見てもらいたかったのに・・・)



「いいねぇ〜その表情!とってもいい顔してるよ」



(あぁ・・・あたし、このままどうなっちゃうの・・・・

 ま、まさか・・・・い、いや!それだけはイヤ!!)



こずえは大きく首を振った


だが、こずえの心を見透かしたように、式部がこずえの後ろに回った



「オーナー、どうでしょう?こういうのは?」



ムニュ



「ひ、ひ、ひ・・・・・・・・・・・イヤーーーーーー!!!」



式部は背後からこずえの胸をワシ掴みにした



「こらこら、暴れてはなりませぬ。彼がどうなってもよいのですか?」


式部の言葉一つ一つがこずえを縛り付けていく


「お?いいね!式部、いい構図だ!」


(も・・・もうダメ・・・・・助けて・・・

   真中さん、助けて・・・・・・)


こずえの瞳から涙が零れ落ちる




「さて、そろそろいいかな」


更埴がカメラを構えるのをやめた


「そうですね。だいぶいい写真が撮れたかと」


式部もこずえから離れると部屋の隅の方へと歩いていった




(あ・・・終わり?・・・・

  よかった・・・・・・これで、終わりなのね・・・・)



こずえは慌てて胸を隠すとホッと大きく息を吐いた





「では、オーナー。そろそろ本番と行きましょうか」


「え?!」


こずえは式部を見た

身体中の血が、体温が一気に引いて行くのを感じた



部屋の隅から現れた式部は、ビデオカメラを片手に現れ、既に上半身裸になっていた



「な、何?え!?ちょ、ちょっと待ってください!!」


こずえは身体が震えだしていた


「何を?キミ・・・・こずえちゃんだっけ?何か勘違いしてないかい?」


更埴が不適な笑みを浮かべた


「100万円だよ?写真だけで済んでたらみんな簡単に稼げちゃうよ」


「い、いや・・・・・嘘・・・嘘ですよね!?」


「いいや、嘘ではありません」


式部がこずえの頬に手をあてて嘗め回すように身体中を視姦した


「いや、見ないでください・・・やめてください」


こずえの言葉などもう無意味なものであった


「イヤかぁ・・・じゃあしょうがないね。でもいいのかい?」


更埴が髪の毛を掻きながら仕方なさそうにこずえの前に立ちはだかった



「キミの好きな真中くん、彼はいつになったら帰れるかわからないよ?

きっと彼、困るだろうねぇ・・・みんなと一緒に映画を作るために来たバイトで、逆にタダ働きの上、借金まで負ってしまって・・・」



「あ・・・・」



「今日の出来事に関してはキミが口外しない限りは決して誰の耳に入ることは無い。さっき撮影していた写真も服を着ていたの意外は全て顔は出さないと誓うし、元々出すつもりはない」


「向井さん。わかっていただきたい。我々のペンションのためにも。それに、彼・・・真中くんの為にもキミには頑張ってもらわなければならないのです」




「真中さん・・・・」


こずえはギュッと両腕を引き締めると、目を閉じた


淳平の屈託のない笑顔が浮かぶ。映画の話を自分にしていた時の凄く嬉しそうな、そして子供のようにはしゃぐその仕草



「わかりました」


「おぉ!?わかってくれる?」


だが、こずえの身体の震えはまだ止まらない




「私・・・頑張ります・・・」


小さくなったこずえの姿は、二人の男にとってはとても都合の良いご馳走となっていた



「あ・・・あの・・・一体どうすればいいんですか・・・」


流れ落ちる涙も拭かず、こずえはいじらしく小さな口を開いた



「そうだね、まず・・・・・」


更埴と式部舌釣りをすると、ギラつかせた視線をこずえの身体に向けた


「まず、身に着けている物ををはずしてそこのソファの上に横になってもらおうかな」



「・・・・わかりました」



こずえは背中を向けると小さなリボンのついたかわいらしいサクランボの下着をはずし、ソファへと向かった



「・・・・・・」


ビデオを構える式部の姿が、こずえのことをしっかりと捉えている


「そうそう、いい子だねぇ〜」


更埴は自らシャツを脱ぎながらジワジワとこずえに近づいて行く


「これから・・・・・ど・・・・・どうす・・・れば・・・・」


嗚咽が止まらず、言葉がもう出てこない


「いいから、後はもう僕達に任せてもらおうか・・・」


更埴の手がこずえの太ももをやらしくなぞった

ビクッ!

こずえの身体が大きく跳ねる



「決して悪いようにはしないからさ・・・」



(あ・・・・やっぱり・・・そうなんだ・・・・・)



こずえの中で、なんとかぶら下がっていた何かが今、カチっと音を立てて闇の中へと落ちていった



「ん・・・あぁ・・・・・・」


仰向けになっても崩れることの無い大きな張りのある若い胸を更埴は揉みながらその先端へと舌を伸ばしていく




ビビビっと身体中を走り抜けた衝撃



「は・・はぁぁぁぁ〜〜〜ん!!」


普段から敏感な身体は、意思とは関係なく、更埴たちの行為に素直に反応してしまう



「こずえちゃん・・・凄く感じやすいんだねぇ・・・」


更埴が耳元で囁く


(いや・・・・・・・そ・・・そんなことない・・・)




微かに開いた視界の先に、大きく怒張した男の象徴を曝け出したカメラを構えた式部の姿がぼんやりと見えた



「オーナー、私ももう我慢ができません」





(・・・・!?


・・・・・・ごめんなさい・・・真中さん・・・


     ごめんなさい・・・・)



薄れていく意識の中、こずえが最後に感じたのは誰も触れたことのない小さな蜜壷へのあまりにも大きすぎる快楽の一撃






「おやおや、どうやら失神してしまったようですな」


「あぁ、そうだな」



ぐったりと腕をぶらぶらとさせるこずえを二人はじっくりと眺めていた



「まぁ、その方がやりやすい・・・・か」


「そうですね。あまり騒がれても後が大変ですし」




全く抵抗のないこずえの身体に更埴たちは覆いかぶさり

まだ男というものを知らぬその未知の身体を思う存分に弄び続けた















夕方、こずえは開放された

意識を失ってからの事はなに1つ覚えてない

更埴たちは『何事も無く終わったから安心してね』と言っていた

だが、こずえの身体に残るその痛みは

空白の時間に何が起こっていたのかをわからせるのには十分であった









「若。さっきの子、まさか処女だったとは・・・」

「全くだ!真中ってガキには悪いことしちまったな!」


先ほどの出来事を一部始終捕らえたビデオテープを手で回しながら、二人は帰ってきた久原と共に次なる獲物を探していた


「ムッシュたちばかりズルイですよ!あとでそのビデオ見せてくださいよ!」


久原は戻ってからずっと文句を言っている


「あぁ、わかってる、わかってる」


「では、若。今度は久原に決めてもらいましょうよ」


「そうだな、そうしようか」


式部とオーナーの計らいに、久原は一気に機嫌がよくなる



「じゃ、じゃあ私はこの子がいいです!!」



久原は履歴書を見ながらニヤリと笑った



「その子か!クックック・・・久原、やっぱお前、いい趣味してるよな」


「そうですか?でも、みんなかわいいからホント迷っちゃいますよね〜」


「どれどれ、ほほぅ、この子ですか?わかりました。ではこの子の場合の作戦はですね・・・」


式部が二人に作戦を説明した


「では、うまくやりましょう。今回は久原シェフ。あなただけが楽しめるようにしてありますからね」





3人のテーブルの上に置かれた一枚の履歴書









『外村 美鈴』












獲物を決めた3匹の獣が、再びペンションの中へと解き放たれていった


[No.1203] 2005/10/11(Tue) 16:18:13
ppp39.airedge.sannet.ne.jp
Re: R『ペンションクライシス』1 (No.1202への返信 / 1階層) - これ最高!!

早く、続きがよみたいです☆☆  中身は最高だと思います

[No.1209] 2005/11/13(Sun) 18:35:24
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