[ リストに戻る ]
No.1253に関するツリー

   まえがき - つね - 2006/02/14(Tue) 21:25:27 [No.1253]
うれしかったこと - つね - 2006/02/14(Tue) 21:28:51 [No.1254]



並べ替え: [ ツリー順に表示 | 投稿順に表示 ]
まえがき (親記事) - つね

あ…、そういえば今日ってバレンタインだなあ…と思い、思いついた話を一つ。
SSのまたSSくらい短い話ですが…


今回のはSSですが、長編の更新はもう少し待ってください。
それと、投稿しておいてこんなことを言うのは本当に申し訳ないのですが、ただ今、投稿されたみなさんの作品に感想を書ける時間がありません。申し訳無いです。
ただすべて楽しく読ませていただいております。
感想はしばらく後にと言うことで、どうか許してください。
書くときはしっかり書かせていただきます。


管理人さんへ、
お手数ですがこの作品を保管庫に収めるのは少し待って下さい。
様子を見てから決めたいと思います。
お忙しい中わがままを言ってすみません。


いろいろと書きましたが読んでいただけるとありがたいです。
かなり短い作品ですが、感想までいただけるとさらに嬉しいです。


[No.1253] 2006/02/14(Tue) 21:25:27
IP1A0468.oky.mesh.ad.jp
うれしかったこと (No.1253への返信 / 1階層) - つね

すっかり暗くなった外の景色を見つめた。




部屋の中では暖房のスチームが水蒸気ができる音を立てる。




さっきから降り始めた雪は積もることのない牡丹雪だった。




大きなまるい固まりがまるでスローモーションのように落ちていく。




そう、まるであたしがこの家に来てからのほんの十数分が一時間にも二時間にも…





「唯ちゃん、ごめんねぇ。淳平何やってるのかしらね」


「あ、いえ、お構いなく」


おばさんが申し訳なさそう表情で二人分の紅茶を運んできてくれた。


あたしはお礼を言ってから、おばさんと向かい合わせに座ってまだ熱いコップをゆっくりと口元に運んだ。


「確か今日はバイト入れてないって言ってたと思うんだけどね」


今頃淳平も誰かと一緒にいるのだろうか。


足元に置いた箱に軽く触れてみる。







…淳平…どんな顔して帰ってくるだろう…








「あらっ、唯ちゃん、その箱。もしかしてチョコレート?」


「あ、はい」


「唯ちゃん淳平にチョコくれるのね。ありがとね〜。唯ちゃんみたいなかわいい子から、おばさんも嬉しいわ」


「そんなあ、かわいいだなんて、おばさんったら」


和やかな雰囲気が部屋を包む。


いつもここに来れば、まるで本当の家族のような温もりが待っていてくれた。


暖房で暖められた部屋の空気と同じように心も温かかった。


















「ただいま〜」


廊下に響く少し低めの声。


「あら、帰って来たみたい。淳平お帰り〜」


立ち上がり廊下を覗く。


「ねえ淳平、チョコもらった?」


「…ん…?…ああ…唯か…」


「ねえ、誰からもらったの?ねえってば、東城さん?西野さん?」


「誰からももらってないよ」


「またまたぁ、嘘ばっかり」





そう言ってから気付いた。


学生服の肩に雪が溶けたような跡。


もし誰かからチョコをもらってるならもっと浮かれるか、無理に嬉しい気持ちを抑えたような反応が見られるはずなのに…





「だからもらってないって言ってんだろ」





「もしかして…本当にもらってないの?」





「ああ」


「そっか」







だけど…




あたしは笑顔の淳平のほうが好きだから…







「だからってそんな顔しない。幸せ逃げていっちゃうよ?ほら、唯からチョコレート。これ一緒に食べようよ」


「…なっ………とか言って自分が食べたいだけだろ」


「何?いらないの?」


「いや、そういう意味じゃなくって…」







うん、淳平にはやっぱりそういう表情のほうが似合うよ…







「ほら、早くこっち来て。早く来ないと唯が全部食べちゃうよ?」







東城さんや西野さんやさつきちゃんのことを好きでいるってことも、







「わっ、待てって」







唯は淳平にとって妹みたいな存在だってことも、







「よーし、いただきまーす」







全部わかってるから。







「こらー、唯!」








だから、唯はこれで満足。








さっき唯が『一緒に食べよう』って言ったときの、








あの、少し驚いたような表情。








それで十分。








それだけで満足だよ。












二月十四日。天気、雪。






         淳平の家にて、






             少しうれしかったこと






                       南戸唯


[No.1254] 2006/02/14(Tue) 21:28:51
IP1A0041.oky.mesh.ad.jp
以下のフォームから投稿済みの記事の編集・削除が行えます


- HOME - お知らせ(3/8) - 新着記事 - 記事検索 - 携帯用URL - フィード - ヘルプ - 環境設定 -

Rocket Board Type-T (Free) Rocket BBS