シリーズ・野球ルールの面白い、変わった、珍しい話ーその8です。
○「振り逃げ3ラン」の話 野球ルールを巡っての話で、やはりあまりにも有名なこの“事件”を取り上げない訳にはいきません。2007年7月28日、選手権神奈川大会準決勝の東海大相模VS.横浜戦の4回表、東海大相模の攻撃の場面です。当時私はこの試合のテレビ中継を偶々見ていて長い試合中断をよく覚えています。
場面は、0−0の均衡からこの4回表に相模が3点を先制し更に2死一・三塁であの菅野智之投手が打者でカウントは2ボール2ストライク。ここで横浜エース落司投手が投げたスライダーがショートバウンドするも菅野選手はハーフスイング。球審は一塁塁審にジャッジを求めると「スイング」の判定をコールします。そこで球審は「ストライク」のジェスチャーをします。球審はここで「今のはスイングだよ」と指示しました。横浜の選手は皆ベンチに戻ります。
菅野選手は7・8歩ベンチに戻りかけますが、ベンチからの声で慌てて一塁に走り出し、一瞬二塁を回って止まりかけるも2走者とともにとうとう本塁まで駆け抜けました。
審判が集まり2度協議しましたが、「振り逃げ」を認定し相模の3得点を認めました。横浜側が長時間抗議しましたが認められませんでした。翌日の新聞報道では「横浜ベンチは、審判がアウトのジェスチャーをしたと抗議したが認められず」ともありましたが詳細は不明です。
一塁塁審がスイングのジャッジをして「3ストライク」ですが、まだ「アウト」ではありません。ショートバンドして捕手の「完全捕球」ではないので、小田捕手は打者にタッチするか一塁に送球して「アウト」にする必要がありました。捕手は明らかに打者にはタッチしていませんでした。
振り逃げに関する規則6・09(b)では「第3ストライクと宣告されただけで一塁に向かおうとしなかった場合、その打者はホームプレートを囲む土の部分を出たらただちにアウトになる」と定めています。
菅野選手は、7・8歩ベンチに帰りかけましたが、まだダートサークルは越えていませんでした。このダートサークルは、この年の選抜から引かれるようになり、この試合にもしっかり引かれていました。
この試合、その後横浜高校が4点を取り猛追するも6−4で東海大相模が勝利します。決勝では桐光学園が10−8で優勝しました。
この時の横浜高校の三塁手は当時一年生で4番打者だった筒香選手でした。横浜高校は、翌年春夏と甲子園に出場し、夏は全国4強でした。
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No.237 - 2022/03/08(Tue) 17:05:47
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