| 本当に重大な大きな出来事、、、 アメリカ独立記念日7月4日にイランが参加・・・・・ ドルの没落というか、平等の社会が生まれようとしている
Chihiro Schuh 19時間 · 【規則に基づいた世界秩序と、国際法に基づいた世界秩序】 7月4日に上海協力機構の会議が行われて、イランが新たに加わったということだった。これは、西側の主流メディアではほとんど報道されていないけれど、世界の構造を変えるような大きなできごとだったんじゃないかと思う。 上海協力機構(SCO)というのは、NATOのBRICS版とでもいうようなもので、初めは中国、ロシア、タジキスタン、カザフスタン、キルギス共和国の5カ国で結成された軍事同盟で、その後ウズベキスパン、インド、パキスタンが加わって、今回イランが加わった。これで、ユーラシアの60%に当たる領域を占め、世界人口の40%に当たり、世界最大の国際同盟になるそうだ。そして今、上海協力機構へ加盟を希望している国は、急増しているらしい。 上海協力機構は、北大西洋条約機構(NATO)に対立するもののように受け取られているのだと思うけれど、実はコンセプトからして、まったく違うものだ。北大西洋条約機構(NATO)が、中国やロシアを最初から仮想敵国と想定して、それに対する防衛態勢を作ろうとしているのに対して、上海協力機構は、こういうブロックを作って防衛することをそもそも否定している。国連憲章に準じた国際法に基づいた世界秩序を保つことを目的としたネットワークなのだ。 国際法に基づいた世界秩序など、そんなことはNATOだって大前提にしていなければいけないはずなのだけれど、実のところ、これをまったく守っていないのが、NATOという組織だったのだ。NATOの主要部分を成す西側諸国は、「規則に基づいた世界秩序」を口にするけれど、この規則というのは、国連憲章でも国際法でもない。そもそも一定の規則というものがあるわけではない。このことは、プーチン大統領の2005年のミュンヘン安全保障会議での有名なスピーチでも言っている。西側諸国がいう「規則」なるものを誰も見たことがないし、そのときそのときで規則が変わっていると。簡単にいうと、アメリカや他のNATO諸国がやっていたら、それは規則に基づいていて、同じことをNATO以外の国がやっていたら、それは戦争犯罪だということになるというのだ。 昨年2月にロシアがウクライナの内戦に軍事介入したら、侵略だといって犯罪扱いしていたけれど、アメリカはイラクでもアフガニスタンでもセルビアでも軍事介入して、その戦争犯罪についてはまるきり裁かれていない。つまるところ、アメリカはやりたい放題に軍隊を出して、他の国を攻撃し、政権を入れ換えることができ、それが規則に基づいているということになっている。まさにそうしたやり方を保とうとするのが、NATOの「規則に基づいた世界秩序」だということになる。 上海協力機構は、そうしたNATOのやり方にしてやられないために、協力して国を守ろうということらしい。国際法に基づいた世界秩序を目指すといっているのは、NATOこそは国際法を犯してやりたい放題をやっているからなのだ。 上海協力機構は、米ドルによるアメリカと西側の支配を拒否していて、米ドルから離れる方針を出している。また、カラー革命を西側が主導しているクーデタであるとして批判している。米ドル優位の金融システムと、民主化という口実で正当化されるカラー革命こそは、アメリカ政府が世界の国々を都合のいいように支配するための手段だ。つまり、上海協力機構とは、そうした暴力的な支配から世界の国々を守るための国際組織であると言える。 昨年2月に、ウクライナの内戦にロシアが軍事介入を始めてから、それまでアメリカが関わってきた戦争では、国際法がまったく守られていなかったということがよくわかった。それというのも、ロシア軍は完全に国際法を守っていたからなのだ。こんな戦争の仕方は、第二次世界大戦でもそのあとでも、見たことがなかった。それで、私たちが普通に、「戦争とはこういうものだ」と思っていたようなことは、ほとんどすべて国際法違反の戦争犯罪だったことがわかったのだ。 NATOやアメリカ軍は、イラクでもアフガンでもセルビアでも、まずは首都を空爆して、市街地のインフラを破壊し、市民を犠牲にした。これはすべて、国際法違反だったのだ。戦争をするにしても、市民を巻き添えにしないようにすることが、国際法で決まっており、街の住民はもちろん、電力や通信ネットなどのインフラを破壊することも禁じられていた。 ロシアが軍事介入を始めてから、西側メディアは、キエフが空爆されているかのように報道していたけれど、現実にはロシア軍はキエフなど攻撃してはいなかった。ドンバスを攻撃しているウクライナ軍の拠点を攻撃していたのだ。武器庫や軍事基地、軍事用の通信施設を破壊していた。キエフの地下シェルターだという画像が出回ったりしていたけれど、最近になって、地下シェルターの建設についてキエフ市長が建設費を横領していたことが暴露され、そもそも作られてさえいなかったことが判明した。キエフでは空爆などなく、人々は電力も水道も、インターネットも使えていたのだ。 それでも、西側政府も西側メディアもロシアが市街を爆撃しているとか、市民を犠牲にしているとか非難して、これは戦争犯罪だと言っていた。市街を爆撃するのは、NATOはイラクでもアフガンでもセルビアでもやっていたけれど、そのときには戦争犯罪だなどと言われなかったのにだ。ロシアがやったということであれば、急に戦争犯罪であり、残虐行為であり、国際的に非難すべきだということになったのだ。 今、アメリカ政府がウクライナに送るといって騒ぎになっているクラスター弾も、西側政府は、去年ロシア軍がドンバスで使ったと言って、残虐な戦争犯罪だと非難していた。このクラスター弾というのは、小型の爆弾や地雷が無数に入っていて、地域一帯にばらまくようにできている。そのうち多くが爆発しないまま地上に残ることになるので、紛争が終わったあとも、広範囲に渡って土地が使えなくなってしまう。これまでも、そういう場所で遊んでいた子供たちが犠牲になって、大きな問題になっていた。それで、クラスター弾を使用禁止にしている国も多い。そのクラスター弾を、アメリカ政府がウクライナに送るということになったら、これは戦争犯罪ではなく、規則に基づいている決定だということになったのだ。 しかし、昨年ドンバスでクラスター弾を使っていたのは、ロシア軍ではなくウクライナ軍だった。ドンバスの市街で、何千という小型の地雷が、クラスター弾によってばらまかれたのだ。これは緑色をしていて、芝生の上に落ちたら、ほとんど見分けがつかない。ロシア軍は、路上にまかれた地雷を戦車で爆発させて、無効化していた。 こうした例は無数にある。このように、一方では犯罪だけれど、自分たちがやれば正当な行為だということになるというのが、NATO側のいう「規則に基づいた世界秩序」だということなのだ。それに対して、すべての国が同じ資格で同じ基準に従うようにするべきだというのが、上海協力機構だ。東側だとか西側だという軍事ブロックではない。すべての国が公正に扱われるような秩序を作ることを目指している。 国際法は、英語ではinternational law だけれど、ドイツ語ではVölkerrecht フォルカーレヒトといって、民族の権利という意味だ。憲法は国民の人権を定めるものだけれど、国際法は民族の権利を定めるものだということになる。どの民族も、同等の権利を持つということを公に定めたものが国際法だということになる。それぞれの民族には、固有の生活スタイルがあり、習俗があり、信仰や世界観がある。どれが民主的だとかそうでないとか、いいとか悪いとかを、ある一つの民族が決めて、従わせることができるというのではないのだ。どの民族もそれぞれのやり方を守る権利がある。それを定めたものが、国際法だ。 西側が民主化と称して、いろいろな国で行っていることは、まさにこの民族の生活スタイルを壊して、グローバリズムに取り込んでしまおうというものだ。それぞれの民族には、自立した生活様式というものがあるのだけれど、これを民主的でないとか子供は学校に行くべきだとか非難して、それでグローバル産業に依存した生活様式に変えさせてしまう。上海協力機構は、西側のこのやり方に抵抗して、それぞれの民族のあり方を守ろうとしている。 この100年ほど、英米の金融グローバルエリートが世界を支配しようとして、世界中でそれぞれに自立して生きていた民族を、近代化とか民主化とかいって、土着の生活様式から切り離して、お金に依存させていった。植民地は手放したけれど、やっていることは植民地化と同じことだった。この構造を軍事的に支えていたのが、NATOだったわけなのだ。 ところで、BRICSが登場してきたことによって、金融での植民地支配ができなくなってきたのと同様に、上海協力機構によって、NATOの一極支配が破れ、軍事的にも多極的な世界秩序ができていく方向に傾いたらしい。ちょうどアメリカ独立記念日である7月4日に、イランが正式に上海協力機構に加わって、この方向は確かなものになったという感がある。
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No.10754 - 2023/07/10(Mon) 18:47:15
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