07455

離床相談コーナー

3月26日大阪シナリオスタディ

日本離床研究会事務局

肺炎の診断で入院した65歳の男性。入院当日、聴診をしたところ、右下葉領域の呼吸音減弱に加え、断続性のブクブクという副雑音が聴取された。中葉領域の呼吸音はまずまず保たれていた1)。2日後、中心静脈のカテーテルを挿入しようとしたときに気胸を併発。胸腔ドレーンを留置。すると、翌日から39.2度の発熱を認め、気管挿管が必要な状態になった。胸部レントゲンを撮影したところ、気胸になった肺の再拡張は得られているものの、肺野は左右共に末梢まで透過性が低下していた。人工呼吸器装着下、FIO2=0.8で心不全の兆候は認められなかった2)。

A 1)の状態から予想される胸部レントゲン画像所見を述べなさい。
B 2)の所見からこの患者さんにどのような変化が起こったと思いますか?
C この患者さんが端座位以上の離床を開始できる状態になるためには、上記のパラメータがどのような変化をたどることが必要ですか?具体的数値を用いて答えて下さい。

No.136 2017/03/26(Sun) 21:08:02


> 3月26日大阪シナリオスタディ / March

A 1)の状態から予想される胸部レントゲン画像所見を述べなさい。
右下葉に浸潤影・air bronchogramが見られ、右下葉血管影が消失していると考えられます。
また、右下葉領域では水泡音が聴取されたが、中葉領域の呼吸音はまずまず保たれていたことから、陰影は葉間胸膜を超えていない・超えかけていると考えられます。

B 2)の所見からこの患者さんにどのような変化が起こったと思いますか?
?@2日後、中心静脈のカテーテルを挿入しようとしたときに気胸を併発。
 →右下葉の肺炎により肺胞破壊と線維化をきたし、胸膜腔内の空気が増大し、さらに横隔膜運動に伴う陰圧によりブラが破綻し、臓側胸膜に孔が開いたために気胸が生じたと考えられます。
胸部レントゲン:右肺の虚脱・臓側胸膜の偏位・deep sulcus sighn・血管影の消失が見られることが予測されます。
?A胸腔ドレーンを留置すると翌日から39.2度の発熱を認め、気管挿管が必要な状態になった。
→・胸腔ドレナージにより、細菌が入り込み感染が起きたと考えられます。
 ・胸腔ドレーンの位置が胸腔外へ移動・ドレーンの屈曲・閉塞が起きた可能性も考えられます。
・胸腔ドレーンの先端位置が胸膜を圧迫し孔が開き、胸腔内圧がより上昇した結果、緊張性気胸(肺虚脱、横隔膜平低化、左側への縦隔偏位、静脈還流障害による心拍出量の低下)を引き起こしたとも考えられます。
 ?B胸部レントゲン:気胸になった肺の再拡張は得られているが、肺野は左右共に末梢まで透過性が低下。
人工呼吸器装着下、FIO2=0.8で心不全の兆候は認められず。
→気胸は改善傾向にあるため、緊張性気胸は引き起こしていないと考えられます。
肺野が左右共に末梢まで透過性が低下していることから、左右ともに炎症やその他の疾患のために肺の含気量が少なくなり肺血流も減少していることが考えられます。また、末梢まで透過性が低下していることから、気管挿管時に気管分岐部を損傷もしくは胸腔ドレーン留置によって引き起こされた感染により左側にも炎症が発生し、両側肺炎を引き起こした可能性が考えられます。
空気中のFiO2(吸入酸素濃度)は0.21(21%)。人工呼吸器導入時はFiO2=1.0(100%)で開始するが、高い酸素吸入濃度は酸素中毒を起こし肺障害の原因となるため、酸素化が改善し保持できるようであれば速やかに下げ、60%以下に保つべきとされていることや、FiO2=0.8(80%)で心不全の兆候は認められなかったことから、人工呼吸器装着により徐々に酸素化が改善されてきていると考えられます。

C この患者さんが端座位以上の離床を開始できる状態になるためには、上記のパラメータがどのような変化をたどることが必要ですか?具体的数値を用いて答えて下さい。
?@38.0℃以上の発熱がみとめられない(解熱している)こと
?A安静時より異常呼吸(10回/分以下の徐呼吸・40回/分以上の頻呼吸)がみられないこと
?BSpO₂が90%以上になる(人工呼吸器は装着下でよい)こと
?CFiO2(吸入酸素濃度)=0.6以下に保てるようになること
 上記の変化をたどることが必要だと考えます。
 …が、B・C難しく、自分の回答に自信はないです…。

No.137 2017/03/27(Mon) 10:00:46


> 3月26日大阪シナリオスタディ【模範回答】 / 日本離床研究会事務局

Marchさん>
回答ありがとうございます。

講師より模範解答を預かっておりますので、公表いたします。

A 右下葉の葉・区域にあった透過性低下
 その領域にエアーブロンコグラムを認める
  右横隔膜のシルエットサイン陽性 
B 肺炎という侵襲に気胸というさらなる侵襲が加わったことによるARDS
C 炎症のコントロールが効いてFIO2が0.7を切って改善傾向にある場合に開始を考慮。
  この現状でも循環動態をモニターしつつHead Up・腹臥位を考慮。

No.145 2017/04/13(Thu) 17:55:54

3月26日東京シナリオスタディ

日本離床研究会事務局

参加したゼミ生の皆さんは、下記シナリオを読んで自分なりの答えを29日の水曜日までに投稿してください。実名でなく投稿できるので、間違っていても全く気にしないで良いです。30日の木曜日に解答を掲示します。

設問1
右中大脳動脈閉塞(心原性脳塞栓症)による脳梗塞(前頭葉−側頭葉−頭頂葉にかけて広範囲)を発症した78歳女性。脳ヘルニアはなく保存的治療目的に入院となる。
入院翌日主治医より、安静度をベッド上フリーとし離床開始の指示あり。
バイタルサインと神経所見
・意識レベル:JCS?U-20(GCS E3V4M6) ・麻痺:MMT 上下肢1 ・感覚:重度鈍麻
・疼痛:特になし ・瞳孔不同:なし
・発熱:なし ・血圧:170/80 mmHg ・心拍数:90-110拍/分 ・SpO2:97-99% (RA)

1)離床開始にあたり、確認すべきアセスメント項目(検査値・バイタル・フィジカル)を挙げてください。
2)上記アセスメントを踏まえ、安全に離床が可能か答えてください。

No.135 2017/03/26(Sun) 17:45:43


> Re: 3月26日東京シナリオスタディ / 2期生の〇〇

課題ありがとうございます
難しいなあ・・・と思いながらどこまでどう考えていいのかわからず、何となく長文になってしましました。

自信はない回答ですが
アップしてみました。


1) 離床開始にあたり、確認すべきアセスメント項目(検査値・バイタル・フィジカル)を挙げてください。

検査値
PT-INRを含む凝固検査は特に注意して確認する
血液凝固検査(TAT、D-ダイマー、PT-INR、APTT)
➤今回の発症が心原性である為、ワーファリンなどの服用の可能性あり
 それによって梗塞性出血の可能性もリスクとして考えておく
 高齢者なので1.6〜2.6が適正とされているが現在の値はどうか確認しておく

血算 貧血の有無
➤消化管出血の否定の要素として確認しておく

尿素窒素、クレアチニン
総コレステロール、中性脂肪、LDL-コレステロール、HDL-コレステロール、HbA1c
血糖 栄養状態 感染兆候
➤高齢者であること、不整脈があることなどから、心不全のことも視野に入れ、疾患に絡んだ様々な値も異常値がないかは確認しておくが現時点すぐに必要となる情報ではないか 


バイタル
血圧:170/80 mmHg 
現時点の血圧はやや高めであるが、脳梗塞後であり管理上の血圧値としては問題なし。入院後の血圧推移は確認しておく
もともとの健常時の血圧は確認の必要あり
高圧管理する場合には必要な情報

心拍数:90-110/分 
やや頻脈であること、今回の発症因子が心原性である為、現在のモニター上の不整脈も確認が必要
トレンド、リコールでモニター経過を把握。(おそらく心房細動があった患者である為)
血圧の維持はできているが脈拍測定しながら皮膚状況(湿潤や乾燥)脈拍緊張などのフィジカルアセスメントも行っておき、代内水分状況や脱水などに関連した観察は起きなっておく。


フィジカル
現在の意識レベル、麻痺、感覚、瞳孔不同などは入院後から症状進行がないか確認が必要
➤広範囲の梗塞であり、入院から時間経過も1病日である。経過の中で症状の進行がないかは入院時の症状と比較して確認する。現時点の症状の把握を行う。
➤脳梗塞発症後、数日から数週間以内に起こる可能性のある出血性脳梗塞のことを視野に入れて、症状変化を確認する。
特に抗凝固療法が開始されたときには注意が必要なので、不整脈の為、薬剤の服用は必須の確認。また、抗凝固剤服用患者の可能性があるため、データーとともに確認。

・右中大脳動脈閉塞で前頭葉−側頭葉−頭頂葉にかけて広範囲の脳梗塞を起こしているため、高次機能障害症状としては、相貌 失認 病態失認 半側無視が考えられる。しかし、前頭葉−側頭葉−頭頂葉にかけて広範囲の梗塞で、その部位は上縦束によって結ばれていることから、注意・遂行機能・発動性・空間認知・視覚と、様々な高機能障害が残る可能性も考えられる。その事を念頭に置いたうえで患者の現症状を確認しておく。
(今後の障害残存を念頭に置いたうえで生活環境、患者の人物像を知る上でも、家族や近しい方から患者情報は収集しておく・・・看護師)

脱水ではないことの確認 心不全ではない状況も確認
(各種のフィジカル情報収集
 血圧 脈拍・緊張 皮膚状態 水分出納 尿量 浮腫 経静脈など)


2) 上記アセスメントを踏まえ、安全に離床が可能か答えてください。

発症から24時間以内に座位、立位などのリハビリテーションを開始して、急性期の訓練量を多くすることにより、その後の機能予後も良い傾向があるといわれているため、リハビリは早期に開始したい。
一般的に必要な、脱水ではないことの確認 心不全ではない状況も確認して離床に伴う字血圧の低下や負荷の考慮は必要。
(各種のフィジカル情報収集
 血圧 脈拍・緊張 皮膚状態 水分出納 尿量 浮腫 経静脈など)

また、不整脈の視点で見た場合もおそらく新たな不整脈ではないとするならば、離床を見合わせる必要はない。

しかし、梗塞性出血のリスクのある方、高齢者で入院前の生活状況が不明瞭な点があるので、そこは上記のバイタルやフィジカル データーを考慮して離床判断とする必要があると考えました
現時点で離床を進めるとするならば、寝返り、座位、セルフケアなどの自動運動を進めていく。
その場合、血圧(低下だけでなく上昇も)、脈拍の変動に注意するとともに、特に、意識レベルや頭痛、嘔気などの症状も併せて確認しながら無理なく離床していくことが必要と考えました。

No.138 2017/03/27(Mon) 22:41:47


> 3月26日東京シナリオスタディ:追加情報 / 日本離床研究会事務局

発症1ヶ月が経過。急性期治療は終了し内服薬(抗凝固薬と降圧剤)。胃瘻増設し昼のみ訓練食。意識清明、重度左片麻痺(MMT 2)、感覚障害、構音障害を認める。社会情報として夫(83歳)と二人暮らし。夫はセルフケアは自立しているが、移動に杖・手すりが必要。

2)この症例(右利き)に起こると予想される高次脳機能障害を答えてください。
3)この症例の社会的ゴールはどのように考えるか教えてください。

No.140 2017/03/28(Tue) 22:02:18


> Re: 3月26日東京シナリオスタディ / 東京2期生。

2)相貌失認、半側空間無視、病態失認、注意障害、記憶障害など。
3)キーパーソンの夫の介護力には期待できない印象です(高齢、移動に杖・手すりが必要)。そのため、近くにその他の協力出来る家族がいれば、介護保険を使用し、自宅での生活も可能かと思います。もし、夫だけであれば、胃瘻の管理が出来る施設が現実的であると考えます(発症から1ヶ月が経過し重度の麻痺に加えて、おそらく高次脳機能障害もあるため、移動の自立は難しいと思われます)。

No.141 2017/03/30(Thu) 08:16:47


> Re: 3月26日東京シナリオスタディ / 日本離床研究会講師陣

2期生の◯◯さん、東京2期生さん
投稿ありがとうございます。

最初の質問であるアセスメントと離床可否の判断についてですが、2期生の◯◯さんが大変まとめた内容で考察を踏まえ投稿してくれました。あれだけの情報から心原性脳塞栓症の離床についてとても良くみていると思います。
次の人は投稿することが無くなってしまった感じですね(^_^;)
敢えて不足情報を挙げるならば、心原性脳塞栓症であれば、心エコー検査も無視できないと思いますが、どなたか心エコーについて情報を投げてみてください。
また、予想される高次脳機能障害ですが、東京2期生さんが挙げてくれた障害以外に起きそうなものは無いですか?
ゴール設定については、「夫の介助・介護でも、私だったら自宅退院を目指します。」という方は居ませんか?居れば自宅派正解はありませんし、長文でなくていいので、コメントを他の人からも出してもらえると嬉しいです。

No.142 2017/04/03(Mon) 14:50:30


> Re: 3月26日東京シナリオスタディ / 2期生〇〇

心エコーに関しては考えていませんでした
そうか〜と気づかされました

No.143 2017/04/03(Mon) 21:51:41


> Re: 3月26日東京シナリオスタディ / 日本離床研究会講師陣

約1週間が経過しましたのでコメントします。

1.
事例の方におこりうる高次脳機能障害として、
2期生◯◯さん、東京2期生さんが挙げてくれました、
・相貌失認、病態失認、半側空間無視、注意障害、遂行機能障害、発動性低下、視覚失認、記憶障害などが考えられ、挙げていただいた通りかと思います。
その他前頭葉障害では、脱抑制、人格障害、強制把握反射、運動維持困難が、劣位半球頭頂葉では構成障害、道順障害などが挙げられるかと思います。

2.
予後予測については、東京2期生さんが回答してくださった通り、夫の介護力が期待できない以上、自宅復帰よりは療養型あるいは介護施設を目指すというのが一般的かと思います。一方で訪問サービスや別のサポートで自宅を目指すという意見が、地域の違いなどによってあると興味深いディスカッションになるかと思ったのですが。。。
自宅復帰が難しい条件が並んでいたので、設問にも問題があったと考えます。

No.144 2017/04/07(Fri) 17:33:50

2月26日東京講演「症例で学ぶ呼吸循環アセスメント60」ケーススタディ

日本離床研究会事務局

お疲れ様です。
2月26日東京講演「症例で学ぶ呼吸循環アセスメント60」にお越しいただきありがとうございます。
本日講師がご紹介したたくさんの症例から、多くの学びを得られたかと思います。

ところで、アメリカ国立訓練研究所の研究によって導き出された、ラーニングピラミッドはご存知でしょうか。
学習方法を学習定着率を元に試算したものです。
講義聴講を学習定着率5%、グループディスカッション50%、ティーチング90%と、より能動的、主体的な学習で教育効果が高いと言われています。
せっかくの学びのチャンス、皆さんの教育効果が最大限に高まることを、研究会関係者ともども切に願っております。

では早速症例です。
今回は設問が2つあります。

症例
80歳代 女性 
心不全にて入院加療中
体重40kg
BP 84/55 mmHg  HR 90  SpO2 98%(room air)  KT 36.4℃
(血圧は以前より低めで推移している)
カテコラミン 塩酸ドブタミンDOBが2γ、塩酸ドパミンが3γ投与
尿量 900ml/day
胸部X-P:心拡大(CTR 60% 臥位)、胸水認める

設問1
この時の離床の判断として、
1、離床を開始する場合、段階的に離床を進めたいと思いますが、上記のデータから循環は安定していると考えられますか?

不安定だとした場合、離床は控えますか?離床を開始しないことでのリスクを考えられますか?

No.117 2017/02/26(Sun) 20:08:34


> Re: 2月26日東京講演「症例で学ぶ呼吸循環アセスメント60」ケーススタディ / 東京2期生です

設問1
・上記のデータから循環は安定していると考えられるか?
➡カテコラミン(DOA、DOB)を使用しているにもかかわらず血圧はSBP80台と低値であり、「血圧は以前よりも低めで推移している」ことから循環は不安定であると考えます。

・不安定だとした場合離床を控えるか?離床を開始しないことでのリスクは?
➡離床を開始しないことで二次的合併症のリスクが考えられます。年齢が80歳代と高齢であり、離床を行わずに臥位でいることで呼吸器(無気肺、下側肺障害、肺炎)や運動器(筋力低下、骨量低下)にも問題が出てくる可能性があるため、その日のバイタルやフィジカルアセスメントを確認しながら「可能な範囲」で段階的な離床を進める必要もあると考えます。

No.118 2017/02/27(Mon) 00:20:31


> 2月26日東京講演「症例で学ぶ呼吸循環アセスメント60」ケーススタディ / 日本離床研究会事務局

>東京2期生です

投稿ありがとうございます。

設問1
投薬、血圧より、複合的な評価から循環を不安定と考えられています。さらに臨床推論が深められるようアドバイスいたします。

この時の尿量、胸部X線はどうなっており、そこからどう解釈しますか。
様々な評価から全体のストーリーをつかむことは有益だと思いますので是非、考えてみてください。

また二次的合併症は総称して何というでしょうか。呼吸、運動器の弊害は把握されておりますので、それ以外に考慮できることはどんなことでしょうか。

ぜひとも皆さんで"学び"を深めていけたらと思います。

No.119 2017/02/27(Mon) 17:06:18


> Re: 2月26日東京講演「症例で学ぶ呼吸循環アセスメント60」ケーススタディ / 東京2期生

 尿量に関して、1日で約1,000mlが理想であり、現在は900mlです。ドパミン3γを使用しており、電解質の異常が起きないようにゆっくり利尿を図りたいのではないかと考えています。現在の尿量としては悪くはないと考えました。
X線に関しては、CPアングルが鈍化している可能性があります。その為、その日の利尿が900mlであることから、もし利尿のコントロールがうまくいけていればCPアングルは鋭角に近づいてくると思います。鋭角へ向かっているのであれば段階的なベッドアップを進めても良いのかと考えます。
経過の中で、カテコラミン、DOBを使用し、循環動態も安定していないことが予測されるので、意識レベルはもちろんですが末梢の状態(手足の冷感・湿潤)の変化を確認、血圧が維持できるかを見る目的で橈骨動脈を触知しながら行います。
もし、開始時と比較して冷感・湿潤が出現してきた場合には離床は中止します。
デコンディショニングを防ぐためにチャレンジするも必要ではないかと感じました。

そして、次の日のバイタルや尿量、手足の冷感・湿潤、胸部Xの状態を確認し、経過を追うことも必要ではないかと思いました。

No.120 2017/02/27(Mon) 23:25:51


> 2月26日東京講演「症例で学ぶ呼吸循環アセスメント60」ケーススタディ / 日本離床研究会事務局

>東京二期生

そうですね。 尿量は、体重当たり時間(目安:40kg×24hour=960ml/日)でており、この症例ではおおむね排出できていると考えます。
また、電解質異常については、血液ガスデータ「0.6の法則」を用いて計算すると良いのでした。(今回の症例は血液ガスデータはありませんが、血液ガスデータについて詳細は完全マニュアルP100 をご参照ください。)
症例情報の胸部X線より、「胸水がたまっている」との情報がありました。肋骨横隔膜角(CPアングル)の鈍化、肺野が下方に凸の形をしていることが胸水のチェックポイントです。多量の胸水がある場合は圧迫性無気肺に注意が必要です。

このような状態で離床を見合わせては"デコンディショニング"を招く可能性が高いので、離床を進めていきます。離床することでワッサーマンの歯車を回し、全身状態の改善を図ることが必要です。
離床する際は、フィジカルアセスメントをForrester分類に照らし合わせ、サブセット?V,?Wである場合は離床を再検討するようにします。
また、翌日の評価も大切です。前日の運動負荷量が適切であったか評価します。心負荷による尿量の減少、浮腫、体重の増加に注意しましょう。

"デコンディショニング"については、多臓器に影響が及ぶことが問題となります。呼吸器、循環器、運動器以外にも、腸閉塞(イレウス)や褥瘡、起立性低血圧、低栄養、認知症の悪化等様々です。特に高齢者は予備能力が低く、診断以外に様々な合併症を併発している事が多くあります。そのため、早期より介入を開始し予防していくことが大切となります。

考え方の筋はしっかりしていますね。
是非、臨床判断する際にご活用いただき、他スタッフや患者さんご家族に、"今"行っているリハやケアの意義を"伝えられる"スタッフになると、、、
そして、そのことがご自身の"自信"につながっていただければと思います。

No.122 2017/02/28(Tue) 18:48:11


> ケーススタディ 設問2 / 日本離床研究会事務局

設問2を公開します。
設問1、設問2どちらに答えていただいてもかまいません。
(答える際は、文頭に設問1か2と明記下さい。)

設問2
その後、段階的に離床を開始してhead up 60°の時点で、
生あくび、顔面蒼白症状を呈したため、バイタル測定を行った。
BP 90/52 mmHg HR 95 SpO2 96%
血圧に大きな変動認めないが、起立性低血圧症状を疑い臥床状態に戻りました。

その時の対応として、
下肢挙上が必要でしょうか不要でしょうか?
意見交換できればと思います。

No.123 2017/02/28(Tue) 18:53:23


> Re: 2月26日東京講演「症例で学ぶ呼吸循環アセスメント60」ケーススタディ / 東京2期生です

設問2
下肢挙上は必要ではない

理由
現在起立性低血圧症状は出ているものの、血圧は90以上あり脳血流は保たれていると判断はできます。
生あくび、顔面蒼白症状があるということは、脳血流が一過性に低下して症状の出現があったとは思われます。

臥床状態に戻った後の症状の経過を観察し、脈拍の触知と血圧の変化、軽減しているかなどを観察していきます。
この方は心不全の方であるので、下肢の挙上によって静脈関流量が増加し、心負荷が増加し心不全の悪化や不整脈を招く恐れがあるので実施はしない方がいいと考えました。

下肢の挙上は緊急処置としては実施されることがありますが、あまり推奨はされていませんし、このケースの場合は適切ではないと考え、下肢挙上はしないと判断しました。

No.126 2017/03/02(Thu) 12:08:54


> ケーススタディ / 日本離床研究会事務局

>東京二期生です さん

投稿ありがとうございます。
初期対応について要点をしっかり押さえられています。
まずは血圧の変動を認めなくても、"生あくび""顔面蒼白"の症状を優先したケア・リハビリは大切になってきます。臥床に戻し、経過観察、再度フィジカルアセスメントを取りましょう。

また下肢の挙上に関して、
講義の内容を反映した答えがしっかりできています。
心不全の方に対しては、「心臓への負荷(前負荷)が挙がってしまうため、下肢挙上は必要ない」でしたね。

下肢挙上に対してはたくさんの意見が考えられるかと思います。
是非考察してみてください。

No.130 2017/03/06(Mon) 16:56:14


> ケーススタディ 模範回答 / 日本離床研究会事務局

ケーススタディ参加の皆様

お疲れ様でした。
今回のケーススタディの模範解答を公開いたします。

症例
80歳代 女性 
心不全にて入院加療中
体重40kg
BP 84/55 mmHg  HR 90  SpO2 98%(room air)  KT 36.4℃
(血圧は以前より低めで推移している)
カテコラミン 塩酸ドブタミンDOBが2γ、塩酸ドパミンが3γ投与
尿量 900ml/day
胸部X-P:心拡大(CTR 60% 臥位)、胸水認める

設問1
この時の離床の判断として、
1、離床を開始する場合、段階的に離床を進めたいと思いますが、上記のデータから循環は安定していると考えられますか?

不安定だとした場合、離床は控えますか?離床を開始しないことでのリスクを考えられますか?

この症例は収縮期血圧90mmHgを切っているものの、以前より低めであり、カテコラミン投与下で循環は安定していると考えられる。尿量は体重あたり時間排出している。このような状況下で離床を控えていてはデコンディショニングを招く可能性が高い。また胸水に対してもワッサーマンの歯車を考慮しても離床によって歯車を回し、全身状態の改善を図るアプローチが優先度の高い考えだと思います。

設問2
その後、段階的に離床を開始してhead up 60°の時点で、
生あくび、顔面蒼白症状を呈したため、バイタル測定を行った。
BP 90/52 mmHg HR 95 SpO2 96%
血圧に大きな変動認めないが、起立性低血圧症状を疑い臥床状態に戻りました。

その時の対応として、
下肢挙上が必要でしょうか不要でしょうか?
意見交換できればと思います。

まず、血圧変動が認められなくても、症状を優先したケアは大切ですので、臥床に戻ることは正解だと思います。

下肢挙上については、
色々な意見があり、
・心不全の方には、心臓(前負荷)への負担があがってしまうため、下肢挙上は必要ない。
・肥満傾向の方の場合には、下肢挙上による腹部臓器の圧迫により呼吸状態を悪化させてしまう可能性があるので、下肢挙上は注意が必要。
・下肢挙上をしてもわずかにCO,CI,血圧が上昇するだけで一過性である。
・下肢挙上による静脈還流量は下大静脈に貯留され、心拍出量に影響を与えず血圧上昇にはあまり効果はない。

参考文献:
吉岡 哲 他:受動的な下肢挙上が下大静脈横断面積および一回拍出量に及ぼす影響.川崎医療福祉学会誌.Vol.19 No.2 :285-290.2010.

Halm MA et al:Trendelenburg position: "put to bed" or angled toward use in your unit? Am J Crit Care.No;21(6):449-452.2012

以上より、
下肢挙上による血圧上昇は効果があまり期待できず、心負荷や呼吸状態を悪化させる危険性もある。
安易に血圧低下から下肢挙上というケアも危険であり、アセスメントしながら行うことが良いと考えます。

次回の離床時の対策として
・弾力包帯による圧迫
・筋ポンプ運動・呼吸ポンプ運動の考慮
・脱水・輸液のアセスメント
上記の対応を取りながら、段階的に離床を進めたいと思います。

いかがでしたでしょうか?

また次回開催の際はご協力をお願いします。

No.132 2017/03/10(Fri) 15:36:22


> Re: 2月26日東京講演「症例で学ぶ呼吸循環アセスメント60」ケーススタディ / 東京2期生。

質問があります。
設問1の模範解答で「この症例は収縮期血圧90mmHgを切っているものの、以前より低めであり、カテコラミン投与下で循環は安定していると考えられる。」とありますが、この症例は「以前より低めである」ことが良い事なのでしょうか?カテコラミンを投与しているにも関わらず、血圧が以前よりも低くなっているのであれば、循環は不安定な印象を持ってしまい、離床を進めることに不安を感じてしまうのですが。
今後の臨床のためにもご指導頂けると幸いです。

No.133 2017/03/11(Sat) 22:16:18


> ケーススタディ追記 / 日本離床研究会事務局

追記)

症例の血圧につきまして

BP 84/55 mmHg  HR 90
(血圧は以前より低めで推移している)

の文章ですが、"血圧は以前より「も」"低めであると誤認識しやすい表現としておりました。
正しくは"血圧は低いですが、大きな変化はなく、以前と同じように推移している"状態です。

誤解を与える表現につきまして、心よりお詫び申し上げます。

No.134 2017/03/14(Tue) 17:03:15

2/25早期離床のリスク管理講座 シナリオスタディ

臨床をアツく!ケーススタディ

関西ゼミナール生の皆様、本日の講座お疲れ様です。
ケーススタディを開始します。
設問数が盛り沢山なので、すべてに答えていただいても、一部に答えて頂いても結構です。
それでは、ケーススタディを始めます。

下記シナリオを読んで自分なりの答えを29日の水曜日までに投稿してください。実名でなく投稿できるので、間違っていても全く気にしないで良いです。30日の木曜日に解答を掲示します。

頚部骨折術後で心不全を合併している整形外科の患者さん(体重50kg)。歩行可能となり、退院予定であったが心不全が増悪し加療中(心電図に異常なし)。胸水を認めたため昨日からラシックス(R)が投与された。投与後の尿量は12時間で1200ml(1)。本日のレントゲン上では、昨日より肺門部より上に見えた肺静脈陰影が薄くなってきている(2)。本日離床を試みようと病室を訪問すると、収縮期・拡張期血圧共に昨日より15mmHg 以上低く(3)、心電図は心房細動(AF)波形を示している(4)。現状の離床のリスク(5)と今後の離床方針を相談するため、主治医と討議する(6)ことにした。

1) 下線部1の尿量は多いですか?少ないですか?その根拠もあわせて答えなさい。
2) 下線部2の変化はどうしておこったと思いますか?理由を答えなさい。
3) 下線部3の変化はどうしておこったと思いますか?理由を答えなさい。
4) 下線部4の変化はどうしておこったと思いますか?理由を答えなさい。
5) 下線部5の離床リスクを列挙してください。
6) 下線部6主治医と討議するにあたりあなたならどのような提案をしますか?

No.116 2017/02/25(Sat) 20:41:37


> Re: 2/25早期離床のリスク管理講座 シナリオスタディ / マートン

解答
1)この症例の体重であれば24時間で1200ml程度が理想であると考えられますが、既に12時間で1200mlの尿が排出されているため、尿量は多いと考えます。

2)尿の排泄量が増加し、胸水が軽減したことで肺門部より上に見えた肺静脈陰影が薄くなったと考えます。

3)尿量が急激に増加したことで循環血液量が低下し、血圧が低下したと考えます。

4)尿量の増加に伴い電解質が乱れてしまい、不整脈(心房細動)を引き起こしたと考えます。

5)循環血液量低下による起立性低血圧、心房細動による心拍出量の低下(⇒血圧低下)や心内血栓の出現(⇒心源性脳梗塞)、心不全の増悪が考えられます。

6)尿の排出をもっと緩やかに行うことは可能か相談します。また、循環血液量が低下している(電解質が乱れている)可能性もあるため、このことに対して輸液が可能かも相談したいです。

No.121 2017/02/28(Tue) 01:05:39


> Re: 2/25早期離床のリスク管理講座 シナリオスタディ / がんきょう

1) 尿量を1ml/kg/hを目標として考えると多いと考えました。
  しかし、水分摂取量がどの程度であったかも関係すると思います。

2) 利尿が進んだ事で、循環血液量が減少し、肺水腫が軽減したためと考えました。

3)循環血液量の減少により、血圧が低下したと考えました。

4)利尿剤により急激に排泄水分量が増加し、電解質異常が生じたことが影響していると考えました。

5)循環血液量の減少による起立性低血圧、意識消失、心房細動による心内血栓形成からの脳塞栓症、DVTからのPTE(頚部骨折術後と低活動のため)、心負荷の増加による心不全増悪、新たな致死性不整脈の出現

6)利尿剤の調節を提案します。エコーで心内血栓が確認されれば抗凝固療法あるいは抗血小板療法の開始は必要ないかを確認します。抗不整脈薬が開始されていなければ必要性についてそちらも確認したいと思います。

No.124 2017/03/01(Wed) 12:47:23


> Re: 2/25早期離床のリスク管理講座 シナリオスタディ / さすらうPT

解答1)〜5)に関しては同じ意見です。

解答6)の主治医との討議についてですが、運動負荷量についても提案していきたいと考えます。

今回はせっかく全身状態が落ち着き退院可能となったのに、心不全が増悪し加療が必要となりました。「そもそもなぜ心不全が増悪したのか」を考えないと、輸液や投薬で改善しても、また心不全増悪が発生する可能性があります。

現状でのリスク対策を討議するとともに、どこかでoveruseとなっていなかったかをセラピストとして考え、離床後の安静度・運動負荷量もこの段階からドクターと討議し提案できればと考えます。

No.125 2017/03/01(Wed) 13:50:35


> シナリオスタディ / 日本離床研究会ゼミナール応援団

>マートンさん がんきょうさん さすらうPTさん

回答、ありがとうございます。
1)〜5)についてはおおむね一致した見解というところでしょうか。
今回のケーススタディの大筋をつかめており、講義の内容をしっかり踏襲されていると思います。

5)について、心房細動(AF)が「初発」か「既往」かという事が記されていませんでしたので、それによってもリスクの度合いが変わってきますね。

6)について、
皆さんの意見はおおかた尿量の調節についてはしっかり着目された上で、
マートンさんは「輸液の検討」について、がんきょうさんは「血栓予防のため抗凝固、抗血小板、抗不整脈の検討」を提案頂きました。
またさすらうPTさんは、「安静度・運動負荷量の検討」というリハビリらしい視点から意見をいただきました。

まさに三者三様の意見で、どれも素晴らしい意見かと思います。
情報が少ない状況から予測するのは悩ましいかと思いますが、同じ現象であっても見る人が異なれば、考え方も異なります。
リスク管理は様々な原因を考慮しどれだけ未然に防げるかが、大事なのではないかと考えます。

なかなか投稿できないと思われている方も是非投稿してみてください。

No.127 2017/03/02(Thu) 18:06:02


> Re: 2/25早期離床のリスク管理講座 シナリオスタディ / バル

確認するのが遅くなりました。そのうえ皆様の投稿内容と同じような意見で申し訳ありませんが、投稿させていただきます。

回答

1)成人の1日の排尿量は1000〜1500mlと言われていますので、半日(12時間)で1200mlの排尿量は『多い』と考えます。

2)利尿剤投与による排尿量増加により、胸水が減少し、陰影が薄くなったと考えます。

3)排尿量増加により循環血液量減少(マイナスバランス)を引き起こし、血圧低下に至ったと考えます。

4)循環血液量低下による電解質異常により、Afが発生したと考えます。

5)Af発生により、血圧低下や心内血栓を生じる可能性があると考えます。また、心不全に対する加療中に活動性が低下した場合、廃用やDVTを生じさせ、別の疾患の引き金となってしまう可能性があると考えます。

6)利尿剤投与量の検討をまず提案したいです。加えて、今回Af出現が見られているので、リスク管理として抗不整脈薬の投与もご検討いただくよう上申します。


こうやって書いてみると、本当に同じようなことしか書けずで申し訳ありません。他の視点からのご意見も、是非後学のためにお教えいただければ幸いです。

No.128 2017/03/05(Sun) 22:23:08


> Re: 2/25早期離床のリスク管理講座 シナリオスタディ / 匿名

1) 下線部1の尿量は多いですか?少ないですか?その根拠もあわせて答えなさい。
?@尿量は体重1kgに対して0.5mL/時が最低でも必要とされるため、50kg×0.5mL×12h=300mlが12hに必要な最低尿量になる。
?A尿量の基準値は、水分の摂取量、運動量、気温、年齢などにより多少異なるが、約500ml〜2000ml/日が目安となり通常1500ml前後といわれている。
?Bラシックスはループ利尿薬の1つで、塩化ナトリウムの再吸収を抑制する利尿薬であり、効果発現が早く、持続時間は3〜6時間と短めである。
上記より、ラシックス投与後の尿量:1200ml/12hは多いとも少ないとも言えないと考える。

2) 下線部2の変化はどうしておこったと思いますか?理由を答えなさい。
 ?@X線検査では体にX線を照射すると、体がX線を通過させた部分では黒く写り、体がX線を阻止した部分は白く写る。ゆえに、皮膚・脂肪・筋肉・肺はX線の透過度が高く、逆に骨・炎症・腫瘍はX線の透過度が低い。
 ?A昨日との違いはラシックス投与の有無
 上記より、ラシックス投与により肺野に貯留していた胸水が排泄されてきていると考えられる。

3) 下線部3の変化はどうしておこったと思いますか?理由を答えなさい。
 ?@昨日との違いはラシックス投与の有無
 ?A1回心拍出量=拡張末期容積−収縮末期容積
  心拍出量=1回心拍出量×心拍数
  血圧=心拍出量(循環血液量)×末梢血管抵抗
 ?Bループ利尿薬は、利尿作用は強いが、作用時間が短く、降圧効果も小さいと言われている。
上記と2)から、ラシックス投与でナトリウムを体外に排泄することにより水も排泄され、循環血漿量が減らされたため血圧低下がみられたと考える。また、効果が強く出てしまい、急激な血圧低下が引き起こされたとも考えられる。

4) 下線部4の変化はどうしておこったと思いますか?理由を答えなさい。
 ?@心房細動:心房の収縮が不規則に行われ、通常の心拍数をはるかに上回った状態のこと。
 ?Aラシックスは、ナトリウムの再吸収を阻害すると同時にカリウムの再吸収も抑制するため、副作用に低カリウム血症があり、筋力低下・嘔吐・便秘・麻痺・動悸・息切れ・けいれん・めまい・立ちくらみなどの症状が出現することがある。
 ?B心房細動を起こす原因の明らかな基礎疾患の1つに低カリウム血症がある。
上記より、ラシックスの副作用の1つである低カリウム血症が起こったため、心電図でAF波形が見られたと考える。

5) 下線部5の離床リスクを列挙してください。
 ?@頚部骨折術後で心不全を合併している整形外科の患者さんで歩行可能となり、退院予定であった。
 ?A収縮期・拡張期血圧共に昨日より15mmHg 以上低くなっている。
 ?B心電図は心房細動(AF)波形を示している。
 上記より、離床リスクとして、a:起立性低血圧による転倒・骨折 b:過負荷による心不全増悪 c:患者さんの病識低下による骨折・心不全憎悪

6) 下線部6主治医と討議するにあたりあなたならどのような提案をしますか?
 5)の離床リスクを踏まえ、
?@臥位から座位、立位へと移行していく段階で大きく血圧低下が見られればリハビリは床上で行うこと
?A心拍数や血圧の変動、自覚症状の有無をみながらリハビリの強度を調整すること
?Bもともと退院予定であった患者さんであり病識の低下や心身の不安を抱いていることが予測されるため、主治医より本人やご家族などに現状について説明していただき理解を促していただくこと
を提案する。

No.129 2017/03/06(Mon) 01:12:42


> シナリオスタディ 模範回答 / 日本離床研究会事務局

>バルさん 匿名さん

回答ありがとうございます。
詳細に考察いただき、ありがたく思います。
講座より一週間以上たちましたので講師より預かっております、模範解答を掲示します。

【症例】
頚部骨折術後で心不全を合併している整形外科の患者さん(体重50kg)。歩行可能となり、退院予定であったが心不全が増悪し加療中(心電図に異常なし)。胸水を認めたため昨日からラシックス(R)が投与された。投与後の尿量は12時間で1200ml(1)。本日のレントゲン上では、昨日より肺門部より上に見えた肺静脈陰影が薄くなってきている(2)。本日離床を試みようと病室を訪問すると、収縮期・拡張期血圧共に昨日より15mmHg 以上低く(3)、心電図は心房細動(AF)波形を示している(4)。現状の離床のリスク(5)と今後の離床方針を相談するため、主治医と討議する(6)ことにした。

【設問】
1) 下線部1の尿量は多いですか?少ないですか?その根拠もあわせて答えなさい。
2) 下線部2の変化はどうしておこったと思いますか?理由を答えなさい。
3) 下線部3の変化はどうしておこったと思いますか?理由を答えなさい。
4) 下線部4の変化はどうしておこったと思いますか?理由を答えなさい。
5) 下線部5の離床リスクを列挙してください。
6) 下線部6主治医と討議するにあたりあなたならどのような提案をしますか?

【模範回答】
1) 少ない場合とは概して1日の尿量が1000mlを切る場合である。この症例の場合12時間で1200mlなので24時間では2400mlと多いことがわかる。通常体重あたりの尿量の目安は1ml/kg/時間であり、この症例では1×50kg×24時間で1200mlを基準量と考えれば倍量の尿が排出されていることとなる。
2) 胸部レントゲン上、肺門部より上部の肺静脈陰影が強い場合、肺うっ血の所見と捉えることができる。この症例では、利尿剤の効果によりこうしたうっ血所見が軽減された可能性がある。
3) 利尿が進んだ結果、血管内の循環血液量が減少し血圧低下を招いた可能性がある。
4) 利尿が進んだ結果、血管内の循環血液量が減少したこと、電解質の乱れを生じたことから心房細動を招いた可能性がある。
5) 心房細動が初発である場合、心内血栓が飛び、脳塞栓などの塞栓症を引き起こす可能性がある。既往に心房細動があり投薬済みの場合は離床を進めるが、負荷で心拍数が上昇した場合、心負荷の上昇から血圧の低下、心不全の増悪を招くリスクに十分配慮して離床を行う。また、血圧低下が著しい場合、起立性低血圧による転倒のリスクがあるため、しっかりと血圧測定や幻暈の問診を行いながら離床する。
6) 初発の場合→塞栓症予防のために抗凝固療法を行ってから離床を進めるべきこと
既往にAFがあり投薬済みの場合
 →血圧低下・心拍数の上昇に留意して離床を進めるべきこと
できれば洞調律に戻って離床できるのがベスト。利尿剤の投与量変更、電解質の補正を検討すべきこと。

皆様の頂いた回答も模範解答を踏襲し理解できており、さらに自身の経験や知識を踏まえた答えとなっていたと思います。
また講座後のケーススタディを、アウトプットの場として提供できればと思います。

今後も皆様の臨床のお力になれれば幸いです。

No.131 2017/03/08(Wed) 15:06:52

起立性低血圧について

spe66am

起立性低血圧の診断基準についてお尋ねします。

起立性低血圧の診断基準に「立位後3分以内に、収縮期血圧が20mmHg以上低下、収縮期血圧の絶対値が90mmHg未満に低下、拡張期血圧が10mmHg以上の低下」とありますが、なぜ3分以内なのでしょうか?

初歩的な質問で申し訳ありませんが、ご回答の程宜しくお願い致します。

No.115 2017/02/24(Fri) 20:55:37

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