| あらすじ第22〜23巻
・・・もしあんたを好きだったら こんなふうに出て行かない・・・さようなら
あんなに涙が出たのは初めてだった。
嘘までついて道明寺に別れを告げ、泣きながら両親と弟のいる漁村へつくしは 向かった。だが道明寺とうまくいっていると思い込んでいる家族に、「別れてきた」 とは言えなかった。
別れたあの場所には今も雨が降っていて 道明寺が立っている夢を見た。
でも現実の漁村の生活は厳しくて、針のむしろ。家族で懸命に働いても宿代や食費も払えず、後戻りも先にも進めない日が続いていた。
突然一方的に別れを告げられた道明寺は、つくしの居場所を探そうともせず、 荒れた日を送っていた。 西門や美作が道明寺を励まそうと、仲のよい友達を集めて店に呼び出しても 「うざってえんだよ。ベタベタしやがって。 気色悪いんだよ」 と冷たく言い放つだけだった。
そんな態度に西門がキレ、 「女にふられたぐらいで グダグダしやがって。 てめえの方がうざいんだよ」 と言い返し、あとは壮絶な殴り合いになった。
「おまえがそんなだから、牧野にふられるんだよっ」 バキッ
「うっせえ。 てめーに関係ねえだろっ」 ガツッ
・・・・・
つくしがいないと駄目な道明寺。 漁村で道明寺のことを思い出しては、ひっそりと涙を流すつくし。 平行線を辿るばかりの二人の間に、未来はあるのだろうか。
そんなある日のこと。類が偶然TVに写ったつくしを見たことから、誰も知らなかったつくしの居場所が判明した。類と道明寺は、それぞれつくしを迎えに出かける。 突然の訪問に驚くつくしを前に、二人は漁村の滞在費の精算を済ませた。
手を伸ばせば届く距離にいるのに、遠い存在になってしまった道明寺。
「戻ってくんのか」と訊かれて
「・・・そのうち」とつぶやくつくしに、道明寺は声を荒げる。
「俺は ずっとすげえ腹立ってた。何も言わず姿くらましやがって。 なにやってんだ。お前はっ」
そしてつくしの目をまっすぐ覗き込むと言った。 「心配すんだろ このバカ。 なんでもいいから戻ってこい。」
東京に戻っても、母親の圧力でハッピーエンドになれないとわかっている道明寺だったが、つくしの両親には心の内を話す。
「・・・オレは すげえ好きでしたよ。道明寺家なんか どうでもいいと思ってたほど。 世の中思い通りにいかねえもんなんてない と考えてましたけど、どうにもなんねえことってあんだなってよく判りました。 まあ・・・もう済んだことです。」
こうして道明寺に送られて東京に戻ったつくしは、ひとまず滋の世話でマンションに落ち着いた。居所がわかったつくし一家を漁村から迎えるために、F4や友人達が、色々準備をすすめてくれていたのだった。道明寺の元婚約者の滋、一度はつくしを罠にはめて道明寺を自分のものにしようとした桜子も、今ではすっかりつくしの味方だった。
つくしは再び英徳に通うようになったが、学校で道明寺の姿を見かけても、顔を合わせられずに隠れる始末だった。
ある日の放課後、桜子に無理やり連れて行かれた合コンで、つくしは道明寺そっくりの清永(きよなが)という大学生と出会った。あまりによく似た風貌に、思わず動揺するつくしだったが、聞けば道明寺の従弟だという。
そして清永と出会った帰り道、今度は本物の道明寺と出くわす。 あの雨の夜の別れを何度も夢に見て、それをこえようとしたつくしの目から涙があふれるが、道明寺は
「泣くな。泣いても もう俺は 何もしてやれねえ。 学校で会ったときはフツーに やろうぜ」
と言うだけだった。
つくしはそんな道明寺に、初めてもらった思い出の土星のネックレスを返したが、道明寺は一瞥しただけで川に投げ捨て、去って行った。
あたしは道明寺が好き。 思わずつくしは言ってしまいそうになった。
だが今更言えるはずもなく、つくしは冷たい川に入るとネックレスを探し始めた。
|
No.1092 - 2005/09/20(Tue) 22:51:02
|