「空いろ夏休み」
先日の朝 「ラジオ体操」のテーマソングで目が覚めた。
そっか、夏休みになったのかあ。
アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクホウシ、ヒグラシ。。。 カエルの大合唱、ゆでたてのトウモロコシ、もぎたてのトマト。 冷たい池にプカプカと浮かぶ、でっかいスイカ。
あんな特別な時間はなかった。 転校ばかりの私には、思いあたる「故郷」はないけれど 茨城県の父の実家は農家であり、夏休みの「楽園」だった。 毎年、電車に乗る日を指折り数え、そわそわして寝れなくなった。
到着した夜は、必ず広い広い田舎の庭で花火をあげた。 毎日毎日、真っ黒になって遊び、あちこち怪我もして、食欲モリモリ。 夜は池の音を聞きながら、蚊帳の中で寝た。
「薬園」における「苦手」 あえて「トイレ」とは書かないけれど・・・
夜、母屋の外にある薄暗い「便所」に行くのは、とても怖かった。 母屋内の「お便所」も、母屋のいちばん奥まった場所にあった。 仏壇、先祖代々の遺影、福禄寿が笑う床の間をとおりぬけ、その先の 長い長い廊下を、裸電球の薄明かり頼りに行かねばならぬ。 都会の子供には、あまりにも遠い「お便所」であった。
だから、だれか大人が行くまで、いつも必死にガマンしていた。
でもね、もっとも大苦手だったのは「帰る日」
帰りたくなくて、どっかに消えた。 田舎の捜索隊は、いつも家族総出であった。
「お〜〜〜い!真紀〜〜〜」 「真紀ちゃんよ〜、どこさいったがなあ〜?、またくればいいっぺ〜」 「真紀!、いい加減になさい!」 「真紀ちゃ〜ん、うちの子になったらよかっぺなあ〜〜」
捜索隊の声はこんなかんじで、いつも、予想通りの気分になった。
見つかった時のことは全く思い出せないけれど、 呆然と虫かごを抱え、私はいつのまにか、 ポツンと帰りの電車にのっていた。
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No.403 - 2011/07/25(Mon) 19:08:49
| ☆ 空いろ夏休み / 蜂谷真紀:maki hachiya | | | 今日の空色・・・・
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No.404 - 2011/07/25(Mon) 19:09:53 |
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