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感情と理屈 NEW / 赤ん坊
  詩を理屈で解釈すること
  理屈を詩で表現することは
  どう違う? 国語で計算し数学で涙を作る
  アインシュタインの答え ボーアの答え
  谷川俊太郎の答え 茨木のり子の答え 吉野弘の答え
  すべて条件付きの回答だ
  正解は簡単だ
  答えはない 答えを出す必要がない
  答えはあなただけのなかにある

No.2001 - 2025/03/29(Sat) 05:00:44
「星の唄」 NEW / 万年 草
1、      2、     3、

愛しい     やさしい   誰か悲しみ
愛しい     やさしい   癒してあげて
この星が    この星が   誰か怒りを
               鎮めてあげて
傷つき     怒りに
壊れて     任せて    みんななくなる
泣いている   暴れだす   このままじゃ
               みんなつぶれる
勝手気ままな  傍若無人な  そのままじゃ
人間たちに   人間たちに
               助けて
汚され     牙むき    助けて
打たれて    爪たて    この星を
泣いている   暴れだす 
               泣いて
               怒れる
               この星を

No.2000 - 2025/03/28(Fri) 16:04:07
雪鎖 / ぺんぱいなぽあぽぺん
夜がくるたび、
名前を置いていく。
肩にかかる言葉も、
くちびるの形も、
知らない誰かのものになる。

指が触れるたび、
少しずつ剥がれていく。
皮膚は柔らかい紙みたいに、
折られ、数えられ、
手の中で薄くなっていく。

「ここにいるよ」と言ってみる。
でも声は乾いていて、
風に流されて、
どこにも届かない。

朝になれば、
体は少し足りなくなっていて、
鏡に映る顔も、
どこか欠けていた。

最後の夜、
まぶたを閉じたら、
指先がふっと消えて、
空気の中に溶けた。

朝がくると、
部屋にはただ、
小さな紙切れが落ちていた。




その街の娼婦は、夜ごと名前を変え、触れるたびに自分を失っていくと言われている。朝には、君の存在を示すのは小さな紙切れだけだった。

No.1995 - 2025/03/26(Wed) 20:56:25

Re: 雪鎖 / 荻座利守
娼婦の哀しみや独特な感覚が、繊細に描かれた詩ですね。
「指が触れるたび、
少しずつ剥がれていく。」
という表現が秀逸だと思います。
夜ごと名前を変え、その名前と存在を紙切れと化して、一枚ずつ剥がしてゆく。それは自分を失うと同時に、自分を保つためのもののようにも思えました。
そんな矛盾した感覚が、行間に感じられます。

No.1999 - 2025/03/27(Thu) 16:39:50
「大丈夫」 / 万年 草
どんなにつらく
苦しい時も
瞳に光が
あるうちは
何があっても
大丈夫

どんなに暗く
悲しいときも
そこに生きて
いるうちは
つらくはないよ
大丈夫

雨が降っても
嵐の日でも
そばにあなたが
いるかぎり
生きてゆけるよ
大丈夫

どんなことが
あったとしても
ひとりじゃないから
泣いたりしない
明日があるから
大丈夫

No.1993 - 2025/03/26(Wed) 16:00:40

Re: 「大丈夫」 / 荻座利守
「大丈夫」という言葉には「立派な男性」という意味もあるそうですが、どんなに立派で大丈夫そうに見えても、そこには秘めたる苦しみがあったり、背後で支えてくれる人がいたりするのかもしれませんね。
No.1994 - 2025/03/26(Wed) 19:28:34

Re: 「大丈夫」 / 万年 草
荻座様、
ご感想ありがとうございます。
そうですね、人から「大丈夫」って、
言われたら、なんだかうれしいですよね。

No.1998 - 2025/03/27(Thu) 14:18:03
みんな / 赤ん坊
  みんなちがって みんないい
  みんながおなじでなくては
  ならないときもある
  みんなとはずれた人もいる
  みんながいない時もある
  みんなが違った場合はどうしよう
  あなたがあなたでなくなる日
  みんなはみんなどう思う?

No.1989 - 2025/03/26(Wed) 08:02:58

Re: みんな / 齋藤純二
短い作品の中でみんなへのさまざまな場合での意識が端的に語られ
読者が「みんなはみんなどう思う?」を考えるように
上手に書かれていますね。

No.1991 - 2025/03/26(Wed) 08:54:07
故郷は遠くに思う / タンチョウ
仰ぎ見ている空の星

心の居場所が無い時に

光り輝く


神の空いつか帰れますように

No.1988 - 2025/03/25(Tue) 23:53:23

Re: 故郷は遠くに思う / 齋藤純二
いつか見た夜空の星、
ぽっかり空いた心の穴を埋めてくれるようですね。
思えば遠くに来たもんだ、
中原中也の詩も被らせ拝読していました。

No.1990 - 2025/03/26(Wed) 08:45:19

Re: 故郷は遠くに思う / タンチョウ
齋藤純二様返信有難うございます。
詩人の居た場所にも結構行った事があって・・
この本のこの言葉の気持ちだとか共通点を探して・・
あぁ気持ちわかるわぁ・・ってなる感じで・・

No.1992 - 2025/03/26(Wed) 12:09:33
春の訪れ / 異邦人
川は浅く川はきらめいている 静かに足を水に漬けた 小魚の群れが見えた 手も浸してみた 素直に喜べない自分がいた 春から投げられたボールをとりそこねてボールは今も川を流れている 水から足を抜くと座っていた岩の上に立った 水鳥が頭を水に突っ込んでいた 蛙の鳴き声が遠くに聞こえた 川面は相変わらず強い陽光を宝石のように反射していた ほかに輝くものはなかった 私は遺骨を拾うように小石を集めた 手が握った石の塊は冷ややかで私をつき離していた 木陰で手をひろげてみた 指の間から小石がこぼれ落ちた 手に残った石をぎゅっと握った 自分の首を思い切り絞めているようだった 素直になれない自分を自分は持て余していた 日が西に傾きはじめた
No.1984 - 2025/03/23(Sun) 02:21:01

Re: 春の訪れ / 荻座利守
川の景色の描写と内省の描写とが、美しく組み合わさっていると感じました。
「私は遺骨を拾うように小石を集めた」という表現は秀逸です。
また、「手に残った石をぎゅっと握った 自分の首を思い切り絞めているようだった」というそのすぐ後に「日が西に傾きはじめた」という文を置いた表現も、ままならぬ自分自身への心情を巧みに表しています。
全体的に非常に美しい詩だと思います。

No.1987 - 2025/03/23(Sun) 11:04:32
地表に浮かぶブラックホール / ほわいと
地表に浮かぶブラックホールを眺めていた
穴の淵よりうねる稲妻に似た黒い閃光が迸る
静かに漂う不明瞭な輪郭より
世界を隔てているような音が聞こえる

椅子に座りヴァイオリンを奏でる麗しの御方
伏し目がちに奏でる旋律は深淵と呼応する
それが吸い込んだのは人々の魂
それが吸い込んだのは悪い夢

旅立たれし作曲家
が最後に残したものは、軌跡と
あなたの見た全ての、景色
それから、あなたが考えた全てのこと

穴の中は覗けないけれど
そこに煌めく星のような
黒く輝く、高貴な魂があるのは分かります
あなたではない私たちは
祈り心を穴に委ね、あなたを求める

我々を深き闇に吸い込んでいく
それは心地よい一つの丸い 幻影
黒い魂はエレガンス
言の葉が穴の淵に浮かび上がっては消える

この現象は、稀に発生する奇跡のようで、
驚嘆です。
この現象を、エレガンスと呼びたい。

No.1983 - 2025/03/22(Sat) 22:22:07

Re: 地表に浮かぶブラックホール / 荻座利守
「地表に浮かぶブラックホール」とは、ヴァイオリンから流れてくる旋律のことでしょうか。
全体的に独特な比喩が光っていると感じました。
特に「言の葉が穴の淵に浮かび上がっては消える」というところは、より幻想的で美しいと思います。
「MY DEAR掲示板」に、ペンネームとメルアドを届け出て、投稿されてはいかがでしょうか。

No.1986 - 2025/03/23(Sun) 10:55:31
振り子の法則 / タンチョウ
栄華を極めれば

どん底も深い

組織の中では右往左往する

みんなロボット

人間って形だけの社会の奴隷

ボンボン時計の振り子にはなりたくない

時間に縛られる奴隷になりたくない

時計何ていらない

No.1977 - 2025/03/21(Fri) 14:21:25

Re: 振り子の法則 / 齋藤純二
組織、社会、時間に縛られる奴隷、そりゃなりたくないですね。
その反面、そこで守られていることはあるが、
自由がないと楽しくはないですね。
はい全て自由です、となった途端に不安が襲ってきそうですが、
やはり奴隷、ロボットでなく人間であるという実感がする生活をしたい、
と私も拝読しながら思いました。

No.1981 - 2025/03/21(Fri) 22:14:14

Re: 振り子の法則 / タンチョウ
齋藤純二様返信ありがとうございます・・

何もせずに大海原でプカプカ一日浮いていたい気分でございます

時速100キロメートルの振り子−ダイジェスト/大科学実験YouTubeは発狂レベルの振り子ですよ・・

No.1982 - 2025/03/22(Sat) 20:50:04
/ POU

自由気ままに生きている
今日は車の下を通って
軒下を通って
屋根裏を登って
日向ぼっこをした
そうしたら
魚のやけるいい匂いがした
そっと家の中を覗いて見た
靴がないから勝手に上がると失礼か
今日のところは退散しよう
こちらでは
ネズミの色の服を着た人間が
頭をペコペコしている
人間は幸せなのか
奴らは私を見るとおやつをくれる
いいやつらだ
幸せだといい
また暖かくなってきた
桜の花びらで遊べる時期も近い
もうひと眠りしよう
おやすみ

No.1976 - 2025/03/21(Fri) 10:03:34

Re: 猫 / 荻座利守
のんびりとした、暖かな感じのする詩ですね。
「ネズミの色の服を着た人間が
頭をペコペコしている」というところが、どこかアイロニカルでありながら、優しさも感じられていいですね。
とても春らしい作品だと思います。

No.1979 - 2025/03/21(Fri) 17:30:54
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