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花の鏡 其ノ二

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10年12月22日  藤田大五郎3回忌偲ぶ会(国立能楽堂)  (感想) / 兎谷
『清経・恋之音取』野村四郎・鵜澤久・宝生閑・藤田貴寛・幸清次郎・安福建雄

以下舞囃子。
『葛城・大和舞』梅若万三郎・藤田次郎・観世豊純・國川純・小寺佐七

『江口・干之掛』観世銕之丞・一噌庸二・大倉源次郎・亀井忠雄

『安宅・延年之舞』坂井音重・成田寛人・曽和正博・亀井広忠

『天鼓・バンシキ』梅若玄祥・一噌仙幸・観世新九郎・安福光雄・助川治

『乱・双之舞』久田勘鴎・久田勘吉郎・藤田貴寛・住駒充彦・佃良太郎・小寺真佐人

『融・遊曲』近藤乾之助・藤田次郎・鵜澤洋太郎・柿原祟志・観世元伯


他に、一調一管『唐船』高橋章・一噌幸弘・金春惣右衛門。
仕舞『砧』観世清和、『楊貴妃』橋岡久太郎、『遊行柳』山本順之、『西行櫻』観世喜之。
連吟『鉢叩』野村万作・野村萬斎。
一調『鐘之段』石原昌和・亀井俊一、『笠之段』櫻間右陣・内田輝幸、『山姥』梅若猶彦・三島元太郎。

感想は後ほど。

No.82 - 2011/02/17(Thu) 04:14:40
10年12月15日  研究会(観世能楽堂)  (感想) / 兎谷
『葛城・大和舞』武田宗和・森常好・高野和憲・一噌仙幸・大倉源次郎・柿原弘和・小寺佐七


『舎利』津田和忠・角幸二郎・則久英志・竹山悠樹・寺井宏明・曽和正博・原岡一之・観世元伯


他に狂言『胸突』野村万作・深田博治。
仕舞『巻絹・キリ』谷村一太郎、『胡蝶』岡久広、『鐘馗・キリ』清水義也。


感想は後ほど。

No.81 - 2011/02/17(Thu) 03:47:53
10年12月12日  梅若研能会(観世能楽堂)  (感想) / 兎谷
『経正・替之型』梅若万佐晴・梅若昌功・藤田貴寛・鳥山直也・亀井実


『葛城・大和舞』梅若万三郎・安田登・山本則秀・藤田次郎・古賀裕己・柿原弘和・助川治


『鉢木』加藤眞悟・長谷川晴彦・??井松男・山本則俊・遠藤博義・成田寛人・森澤勇司・??野彰


他に狂言『仏師』山本則俊・山本則秀。


感想は後ほど。

No.80 - 2011/02/17(Thu) 03:45:32
10年12月11日  ユネスコによる無形文化遺産能楽第三回公演(観世能楽堂) / 兎谷
『隅田川』友枝昭世・井上大風・森常好・舘田善博・一噌仙幸・曽和正博・安福建雄


『殺生石・女体』豊嶋三千春・高安勝久・野村万蔵・一噌庸二・幸清次郎・國川純・小寺佐七


他に狂言『鐘の音』野村万作・野村萬。

感想は後ほど。

No.79 - 2011/02/17(Thu) 03:42:48
10年12月4日  第2回満次郎の会 夜の部(宝生能楽堂) / 兎谷
この日はかけもち。移動したら先ほど見かけた面々が…。
ロビーが何やら豪華で、能の会とは思えない…いけばな、漆器、大画面で当日販売されていたDVDが流れてしました。パンフレットも豪華…ですが、出演者・スタッフ紹介に力を入れすぎで、ちょっと解説が少ないんじゃないかなぁ。。

『海人・懐中之舞』辰巳満次郎・森常好・石黒空・小笠原匡・藤田六郎兵衛・大倉源次郎・安福光雄・観世元伯

他に仕舞『花筐・狂』金井雄資、『融』渡邊荀之助、『采女・キリ』近藤乾之助。
狂言『清水』野村万蔵・野村扇丞。
一調一管『安宅』観世喜正・藤田六郎兵衛・大倉源次郎。

またしても、追いつけない感じになってきました…感想は後日。

No.78 - 2011/02/17(Thu) 03:41:10
10年12月4日  第5回山井綱雄の會(国立能楽堂)  (感想) / 兎谷
『翁』山井綱雄・山本東次郎・山本則俊・一噌隆之・鵜澤洋太郎・坂田正博・飯富孔明・亀井広忠

山井さんは正先に出て長めに頭を下げる、「どうどうたらり」と謡い出しもどっしりと丁寧。
舞はじめると、ゆったりだが、重すぎず、子供が舞っている様に見える瞬間もあったりして、貫禄は無いけれど、不思議な雰囲気が有って好印象。
則俊さんの千歳はとても勢いがあるし、東次郎さんの三番叟はキリっとかっこいい。


『高砂・舞序破急之伝』山井綱雄・中村昌弘・宝生閑・(ワキツレ2人)・山本則秀・一噌隆之・鵜澤洋太郎・亀井広忠・金春國和

ワキ・ワキツレはしっかり目の『次第』…『三編返し』、なんだか久しぶりに聞いた気がする。
ツレ・シテと『橋掛リ』に出、『一セイ』は抑えてゆったり。(たぶん『下歌』『上歌』が省略だったと思う)
舞台に入り、ワキのさらりとした問いに、さらりと静かに答え、シテ「まづ案じてもご覧ぜよ」とワキの方を向いて『ツメ』ると静かでも威厳がある。
「四海波しづかにて」とどっしりの地謡で、シテは『正先』に出、「げにあふぎても」と左に回って『正中』に座り、『クリ』『サシ』『クセ』とどっしり目。
シテ「高砂の」とたっぷり目に謡い、立つと、「かけども落葉の」と「八」の字を書く様に掃くが、ちょっとかっこつけ過ぎな気がした。
地謡は抑え、シテ・ツレは上品な『ロンギ』は、優しい雰囲気で良い。

後シテは颯爽と常座に登場、謡はしっかりだが、動きは上品。
舞は小書が付いていたので緩急がはっきりになって面白く、威厳もあるが、どちらかと言えば爽やか、華やかな雰囲気。地謡もどっしりと綺麗。
若い人らしいというか、山井さんらしい『高砂』でした。


終演後の質問タイムで、クセの文句「十八公のよそほひ」の意味を説明して欲しいとの要望に、地裏の御簾をひょいっと上げて、金春安明さんが答えてました。(十八公とは松のこと、漢字を分解しただけ)お元気そうで何より。

No.77 - 2011/02/15(Tue) 03:00:49
10年12月2日  粟谷能の会研究公演(国立能楽堂)    (感想) / 兎谷
『檜垣』友枝昭世・森常好・山本東次郎・一噌仙幸・鵜澤洋太郎・國川純

シテは立ち止まってから、ゆっくりと『一ノ松』へ。
姿勢の良い友枝さんの美しいままの姿なのに、これが彼女にとってめいっぱいの速さで、歩いている老婆に見える。
暗く寂しげな『次第』も「それ籠鳥は」としみじみとして美しい。
「ここはところも」とややはっきりと言いつつ、舞台へ向かうが、回向の為にと、一生懸命に進んでいく感じがした。
『作り物』の前に座り、“桶”を置いてしっかり目に弔いを頼み、「何と名を」とワキを見つめる姿が上品で、静かに身の上を話し、どっしり、はっきり目な地謡で中入。

後シテ「あら有難の」と儚く、しみじみとした謡。
地謡「理を論ぜざる」と、ちょっと硬い感じで、「老少といっぱ」の前に『打切』をいれて、強調しようとしたのだろうが、その効果は感じなかった。
「誰白川の」でゆっくりと『引廻し』が下り、「我古は」と上品でも苦しげな感じがして、「このほど」とワキの方を向くと、ちょっとホッとした様に和らぐのが自然。
地謡「釣瓶の水に」で立ち、右手を『作り物』の柱にかけるようにして、ゆっくりと出、“桶”を後見に預けて、『正中』へ。
シテ『サシ』「それ水は」と寂しげで、抑えた地謡が続き美しい。「紅の涙に」と静かな『シオリ』には心がなくて、ただ風が抜けていくような空虚な感じがしたが、それがかえって哀れ。
ゆっくりと『正先』に出、扇を立てに持ち、左手もその下につけて両手で引き上げるような仕草は、あまり綺麗だとは思わなかったが、「釣瓶の掛縄」でゆっくりと下を見つめ、「紅葉の」で体を起こすと、昔を思い出す感じで、「水に映る面影」と右手で左袖を押さえて下をのぞく姿がとても綺麗。
「緑に見えし」と左手で髪をなでると、やはりそこには黒髪はなく、ただむなしく空をなでるだけで、それがとても暗く、もはや女ですらなくなってしまった…若い頃の片鱗すら見えない事を思い知るような、寂しい感じ。
『序ノ舞』の中で、立ったまま静止したのが、ふとボーっとしてしまう老人のリアルな姿に見えて印象的。
舞の後は、シテはしみじみと、地謡はどっしりと綺麗で、『作り物』の前に座り、丁寧に扇を置くと、「罪を」と『合掌』し、そのまま終曲まで静止し、『残留』ではなく謡いと共に囃子も終わる。
一貫してとても静かだったが、この最後の演出が、とても強い妄執を強調して、「罪を浮かべて」と、この後もずっと祈り続けているのではないかという気がした。

今回の会のコンセプトは「地謡充実」だったはず、その割にいつも通りだったのが残念。


他に仕舞『忠度』粟谷明生、『松風』粟谷能夫。

No.76 - 2011/02/11(Fri) 04:20:48
10年11月28日  秋の別会能 第2日(宝生能楽堂)    (感想) / 兎谷
『実盛』當山孝道・宝生欣哉・山本則重・寺井久八郎・観世新九郎・安福光雄・大江照夫

前シテはとにかく抑えて静か。
「さては名のらでは」とちょっと困った感じや、「我、実盛の幽霊なるが」と名を明かしたことで、わずかに緊張が緩む雰囲気が良かった。

後シテは「所は不退の」からややしっかりで、老体でも強さが感じられる。
シテ『クリ』「それ一念」としっかりと言いつつ『正中』に進み、力強く袖を返すと“床几”にかけ、威厳の有る気配で、憂いを含みつつ、しっかりとした『語』。
地謡「御前を立って」と立って洗うあたりから丁寧だが、ややかっちりとしすぎかも。
シテ「しかれば古歌にも」とさらりとして、「錦の袂を」と左袖を持ってしっかりと拍子を踏んだり、「月の夜すがら」と後ろを『サシ』てから、ワキの方を向く姿は綺麗。
しかし『ロンギ』地謡はさらりと静かで、押さえつけて首を切る型あたりまで、シテも大人しく、「捨ててけり」と左を見るだけなのも地味な感じ。
「二疋が間に」と扇を前に手を合わせる様にして「どうと落ちけるが」とゆっくりと回って座る様子はスロー再生を見ているように滑らかだが、迫力も有ってかっこ良かった。


『葛城・大和舞』近藤乾之助・宝生閑・山本則孝・一噌庸二・曽和正博・國川純・観世元伯

シテはゆっくりと登場すると、『胸杖』してから、「迷ひ給ふは」と優しく言いつつ、『二ノ松』まで進み、「この岨づたひの」と見つめてから、ゆっくりと舞台に進むのがとっても寒そう。
「肩上の笠には」と少し出て右に回り、「たどりたどり」と再び少し出て、左に回って「着きにけり」と正面を向くだけの型だが、雪が積もった道を進む距離感が感じられた。
シテ「これなる標を」と言いつつワキの方を向くと、大人しいが芯の強い気配で、「御心なきやうにこそ」と寂しげなのも自然で良いが、「言の葉そへて」と少し出るのがスタスタとして雰囲気がないのが惜しい。
「松が枝そへて」とワキの前に座って“枝”を置いて仰ぐ姿は美しく、どっしりとした『クセ』で『正中』へ行くと、そこからは優しく「篠懸もさえまさる」とワキを見つめ、「かたしく袖の」で『正中』に座り、静かに左手を出す様子に気遣いがある。
「御勤めとは」と実感がこもり、静かに悲しげに話して中入。

後シテはゆったりと常座で「われ葛城の」と優しいが、いつもにも増して猫背な姿は、さすがに美しいとは言いがたい。
「葛城山の岩橋の」と抑えた地謡で『脇正』へ出、「見苦しき」とワキの方を向いてからすぐに正面を向いて顔を伏せる、恥らう様子が超可愛い!
幣を持つと厳粛な様子で、「神楽歌はじめて」と『大小前』に座ると、右を向いて「ふる雪の」と静かで、正面を向いて幣を振り、立って舞台を廻り、『大小前』に座って幣を捧げ持ち、下ろして再び捧げ持ってから立ち、『正先』に出て、幣を肩にかけ、右に回って『正中』、舞台を廻る。(小書で序ノ舞が大和舞に)
「月白く」と『角』から『正先』を見渡したり、「面なや」と下がり、「おもはゆや」と右手を『月の扇』の様に左に上げて扇で顔を隠し、ゆっくりと『橋掛リ』を向いて、進み、『一ノ松』で、正面を向き、「あけぬ先にと」とゆっくりと幕に向かった。
最後はとても奥ゆかしげだが、体がつらそうに見えてしまい、ちょっと残念。


『烏帽子』折宝生和英・植島幹登・大坪喜美雄・武田孝史・山内祟生・野月聡・小倉健太郎・渡邊茂人・小倉伸二郎・和久荘太郎・辰巳孝弥・澤田宏司・東川尚史・辰巳満次郎・森常好・山本則孝・山本泰太郎・山本則重・山本則秀・山本則俊・藤田朝太郎・大倉源次郎・亀井忠雄・小寺真佐人

子方はのびやかに『呼掛ケ』、「ただ伴ひて」とはっきりとして、しっかりとした雰囲気。
「唯今の早打を」とテンポ良く、慌てた感じが良く出ている。
シテ「誰にて」とゆったりなのは良いが、「易き間の〜」はちょっと重め。
シテは『正中』に座り、静にしっかりと語り出したのは良かったが、地謡になると少し素に戻ってしまった感じがして惜しい。「かやうに祝ひつつ」とゆったり謡いつつ立つと凛々しく戻ったが。
「結ひすまし召されて」と子方に烏帽子をつけると、見守るような雰囲気がとても良い。
ツレは『橋掛り』で『シオル』姿が懐かしげで美しく、夜打ちを告げるアイには緊迫感が有って、3人の盗賊も暗闇にいる感じが出ていて楽しい。

後シテは長い長刀を綺麗にさばいて力強く、風格が有った。
立衆(澤田さん)の欄干超えも見事に決まり、法師武者(辰巳さん)も綺麗な『仏倒れ』だったし、最後の子方の晴れやかさも良かった。


他に狂言『鶏聟』山本東次郎・若松隆・山本凛太郎・山本泰太郎。仕舞『花月キリ』中村孝太郎、『熊坂』今井泰行、『弓八幡』佐野登、『三輪クセ』今井泰男。

No.75 - 2011/01/21(Fri) 03:34:39
アンケートにご協力下さい。 / 兎谷
いつも、御覧いただき、ありがとう御座います。
兎谷こと、小林わかばです。

能楽関係のサイトやブログ等の利用者が、実際にどのくらい舞台を見に行っているのか?
能楽関係のサークルは、学生を能楽堂に導いているのか?
そんな事を調べて、少しでも能楽愛好者を増やすヒントを探れたら…それを会を行う主催者に伝えられたら…と思います。
そこで、アンケートの集計を元に、記事を書き、『能楽ジャーナル』に寄稿します。
ブログ等を閲覧したり、中には書き込みさえしたりしているのに、その割に能を見に来ないという人もいるようなので、それはなぜかが、特に気になります。
ですから常連の方はもちろん、能はほとんど観に行かない・・といった皆さんからの積極的な回答もよろしくお願いします。

アンケートはこちらから↓
http://homepage2.nifty.com/seiadou/q-top.html

No.70 - 2010/12/27(Mon) 01:33:49

ご協力感謝! / 兎谷
1月9日までで、72件の回答をいただきました。
ご協力下さった皆様ありがとうございます。

今のところ、10代0%・20代6%・30代29%・40代40%・50代12%・60代10%・70代以上3%(学生の回答をのぞく)で、男性1に対し女性2の割合でした。

地域別では関東が57%と圧倒的で、ついで関西、九州・東北・中部・中国・北海道です。

学生の回答が思ったより集まらず、残念ですが、するどい指摘も多く大変興味深い内容でした。

アンケートは1月25日まで実施します。

まだお答えでない方はぜひご協力をお願いいたします。
特に学生さんお願いします〜!もちろん常連の皆様も!又、書き忘れた事など御座いましたら、メールでもご意見いただければ幸いです。

No.74 - 2011/01/13(Thu) 03:08:53
今年の国立! / 兎谷
2011年度の国立能楽堂自主公演の予定が発表されました。

面白そうな演目がいっぱい。そしてチケットが取り難そうな公演も…。
今年もがんばってチケット取らなきゃ!

まだ公演情報ページには入れてありませんので、
こちらが一覧。

http://homepage2.nifty.com/seiadou/kokuritu2011.html

No.73 - 2011/01/12(Wed) 04:24:03
10年11月25日  浅見真州の会(国立能楽堂)    (感想) / 兎谷
『定家』浅見真洲・森常好・舘田善博・森常太郎・山本東次郎・藤田六郎兵衛・森澤勇司・柿原祟志


ワキ『次第』は静かで、ゆったりの『道行』も綺麗だが、もう少し明るくても良いかも…。
シテは抑えながらもしっかり目に『呼掛ケ』、姿を見せると大人しい様子だが、「ここにて歌をも」と『一ノ松』に止まって、正面を向き、「勧め参らせんその為に」とちょっとはっきり目に言いながら、ワキの方を向く様子が、もの言いたげで自然。
舞台に入ってからも、抑えて、思い煩うように寂しく、「心澄みにし」と右を見るのがさりげなくて綺麗。
静かに墓所へ案内すると、そこからはややどっしりとして、「互いの苦しみ」と実感がこもっている。
『正中』に座ると、その姿がとても美しく、『サシ』謡もとても綺麗なのに、続く地謡がやや乱れて硬く、『クセ』もメリハリはっきりだが、だからこそ機械的な感じがして微妙。。
「雲の通路」から抑えて綺麗な地謡になり、『ロンギ』は地謡はさらり、シテは少ししっかり目で、「この上は、我こそ」と立つと一気に気配が弱まって幻の様に見えたのが見事!と思ったが、「助け給へと」で、右に回って『作り物』の横に移動する時に存在感が戻ってしまい惜しい。

ワキ・ワキツレは寂しく綺麗な『待謡』。
シテは「夢かとよ」と辛そうでも、比較的はっきりで、「夕べの雨と」と感情が高ぶる様。
「外はつれなき」で『引廻し』を下ろすと、“蔦”は下の枠にまで絡み付いていて、額縁の中にいるようで、外の世界との距離感が有り過ぎるような気がした。
しかも、シテの姿は凛として氷の様な美しさ…葛に閉じ込められた苦しみというより、完全に外とは遮断された隔絶された世界。
「かかる涙も」で立ち、「ほろほろ」と“作り物”の中でギリギリまで前に出ると、やんわりと明るくなっていく様で、静に外に出て、丁寧な『合掌』も、「面無の舞の」と少し遠慮がちに常座に向かう姿も自然。
舞はとても静で、初段は明る目で美しかったが、二段目で右袖を被いで、舞台を廻ると、その袖がとても重く、押しつぶされてしまうのではないかという気がした。
その後も冷たい氷の様な印象で一向に融ける感じはなく、舞の後も辛そうな暗い気配。
「元のごとく」と向かって右から”作り物”に入り、前に出て、「葛の」と左から入る型は、作り物の柱に手を掛けないで、袖が摺れるように回り、座ってゆっくりと扇で顔を隠して、『残留』だったが、そもそも、一見外に出ていても、心は氷ついたまま、という感じがしたので、墓に戻っていくのが白々しく、全体にとても綺麗だったけれど、冷たすぎて重かった。
囃子はシテの雰囲気と比較して、軽い印象だったが、かえってそこに救われた感じがした。


他に仕舞『菊慈童』観世銕之丞。狂言『秀句傘』山本東次郎・山本泰太郎・山本則重。

No.72 - 2011/01/04(Tue) 04:08:14
10年11月24日  青山能(銕仙会能楽研修所)    (感想) / 兎谷
『道明寺・笏拍子』清水寛二・西村高夫・殿田謙吉・宝生欣哉・大日方寛・石田幸雄・槻宅聡・観世新九郎・柿原弘和・観世元伯

シテ・ツレ『一セイ』はゆったりで、シテ「これに出でたる」とかなり、しっかり。
「いざや歩を」と抑え、「神さぶる〜」とどっしりと良い感じ。
しかし、「こなたの事にて」とワキの方を向くのが硬い。
ワキはゆったりでもさらりと語り、聞きやすいが、シテ「かかる有りがたき」と抑えているのが、暗く見えてしまい残念。
「よくよく御拝み候へ」とワキの方に『ツメ』るに説得力が有り、次第にしっかりと威厳がある気配。
『クリ』『サシ』と謡いは硬めな印象だが、変化が有るので聞きやすい。
地謡「げに有難や草木も」からゆったり目で、シテ「おのづから」と立ち、「この数珠」と数珠を見、「必ず授け」とワキの方へ乗り出すようにするのも、積極的なのに、「天神の御使」と常座の方に向かうのが、急に覇気がなくなってしまう感じがした。

『出端』で登場したツレは扇を広げつつ舞台に進み、ゆったりと『作り物』の前から『橋掛リ』に向くと「急いで出でよと」と『ヒラク』のが待ちかねる雰囲気で良い。
シテはゆったりと威厳ある気配で、地謡「かかやけるその中に」で『シテ柱』の横に座り、“狩衣”の袖を脱いで“笏”を横にして持って、左手は動かさず、右手を上下して打ち始める。
ツレが舞いはじめて、『角』に出たところで打ちやめ、ツレが舞台を廻っている間に、シテは“笏”を後見に預け、袖を戻して扇を持つ。
シテは続きを舞うが、はじめは丁寧すぎて弱い印象…最後の方でしっかり目になったが、もう少し。
しかし、シテ「ただ今かなづる」と抑え、地謡もどっしりとして「膝を屈して」と座って頭を下げてたり、「枕は袂」と袖で顔を隠す仕草や、「雨風を」と『招き扇』してすっと『作り物』に寄り、「木の実を」と『角』を向いて扇で掬うようにして、ワキに差し出したりと、ゆったりとした型が続くが、しっかりとした威厳を保っていて、好印象。


他に狂言『おひやし』高野和憲・深田博治。


終演後に10分程度の小講座。
木槵樹(モクゲンジュ)の実の本物を見せてくれた。
「ムクロジ」の実(羽根つきの羽についてる玉の部分はこれ)にそっくり!と思ったら、やっぱり木槵樹はムクロジ科だった。(ムコロジは以前住んでいたところの近所に生えていたんです〜実も持っていたけど捨ててしまった。とっておけば良かった。)
ちなみに、「ムクロジ」の実の外皮にはサポニンが含めれていて、石鹸として使えます。落語『茶の湯』に登場する「椋の皮」はこの「ムクロジ」の、間違いのようで…「椋の皮」じゃ泡立たないもんなぁ。。

No.71 - 2011/01/03(Mon) 02:35:56
10年11月20日  東京金剛会(国立能楽堂)   (感想) / 兎谷
『六浦』山田純夫・野口敦弘・野口能弘・野口琢弘・大藏千太郎・藤田次郎・幸信吾・大倉正之助・観世元伯

ワキはややまったり。
そこに暗いシテの『呼掛ケ』で上品だがちょっと地味。
「功成り名遂げて」と少ししっかりなのは良かったが、「これ天の」と弱く、「ただ常磐木の」とさらりとワキの方を向いてしまうのも、説得力にかける感じ。
「今は何をか」と言い方にはとても雰囲気が有って良いのに、ワキの方に向く動作はやっぱりさらりと、普通の人という気配。。前半はさらりとあっけない印象。

ワキ『待謡』は静かに綺麗。後シテも静かだがしっかり目の謡。
シテ『クリ』でさっと『大小前』に行き、シテ『サシ』は静かで、さらりとした地謡が続き、左を向いて「千本の花に」と扇を広げて回すのが、ちょっとぎこちないけれど優しい。
「さるにても」と寂しげで、地謡も抑えて美しい。
静かな『序ノ舞』は次第に大人びて美しくなっていく様にで、良い感じ…と思っていたら、最後の段が少々荒っぽくて残念。
舞の後はシテは静かに、地謡も抑え目に綺麗な謡で、謡に合わせた明るい動きが爽やか。


『通小町』遠藤勝實・熊谷伸一・殿田謙吉・栗林祐輔・住駒匡彦・柿原弘和

ツレはしっかり目に謡い出し、「いかにこの家へ」と『正中』に進むのが、ズケズケと進入する様で品がない。
『下居』して「かたじけなき」から静かで綺麗だが、今度は少し弱いかも。。
「かき消すやうに」と『後見座』に控える。

ツレ「嬉しの御僧の」とはっきりと明るく謡うと、シテは「いや、叶ふまじ」と暗く、実際は『一ノ松』にいるのに、どこか遠くから響く様。
シテ「包めど我も」とゆっくりと顔を上げ、“衣”を後ろに落とし、静かでも迫力の有る謡。
地謡「恐ろしの」で舞台の方に進み、ツレの肩に手をかけて引きとめ、「引かるる」と二人で少し下がるのも、引止めたい感じが出ていた。
しかし「我が袂も」とツレは左を向いて『大小前』へ、シテは右に回ってその横に並ぶ仕草が、目立ちすぎる気がした。
“笠”を持つと、「笠に蓑」と“笠”を見たり、「さて雪には」でツレの方を向くと力がこもり、“笠”を落とす場面もはっきりとわかり易い。
シテ「夕暮れは」と恨めしげなのも良い感じ。「辛からじ」と『シオリ』、下がって座り込むと、シテ「かやうに心を」と報われない辛さが伝わりとても良いが、「待つ日に」と立っても変化がなく暗いままで、「戒めならば」とツレの前に扇を出すのは優しくても、その瞬間だけで以降はやはり暗く、ツレが『橋掛リ』に行くのも嫌々に見えて、残念ながら二人とも成仏したようには見えなかった。


研修能『鵺』田村修・大日方寛・大藏教義・藤田朝太郎・住駒充彦・高野彰・大川典良

シテ『一セイ』は静かと言うより弱々、続く地謡もイマイチ纏まりにかける。
地謡「黒雲一村」で右を見たり、シテ「矢取って」と扇を持つ姿は綺麗だけれど、弓を放ったり、『正先』に出て押さえつける場面での迫力は弱い。
後は丁寧ではあるが、1つ1つタイミングを計りすぎて勢いが無いのが惜しかったが、「頼政右の」と堂々として、その後ラストまで、しっかりと大きな型で楽しめた。


他に連吟『砧』佐藤定祐・猪野宏實・金子晃・高木貞次・川合重穂・吉田信司、
仕舞『七騎落』坂本立津朗、
『玉葛』斉藤忠、
『枕慈童』高木貞次、
『歌占クセ』金剛永謹、
狂言『萩大名』大藏彌太郎・大藏基誠・大藏吉次郎。

No.69 - 2010/12/16(Thu) 03:35:00
10年11月12日  銕仙会定期公演(宝生能楽堂)    (感想) / 兎谷
『俊寛』浅見真州・馬野正基・浅見慈一・森常好・深田博治・松田弘之・大倉源次郎・國川純

今日もワキは常好さんだが、今日は少し重め。
シテもゆっくり現れると、『次第』は暗く、『サシ』にはすでに一人の世界にいる様な孤独感が漂う。
康頼(馬野さん)はちょっと硬い感じだが、シテは自然に話し、酒をつぐ姿も綺麗。
「飲むからに」とゆったり目の地謡で、常座に戻って、「あら恋しの」とゆっくりと見渡す様に右を向くのも、「落つる木の葉の」と『角』に出つつ“桶”を前に出して座り、流れを見るのも風情が有って美しい。
シテは赦免状を受け取ると、とても嬉しそうで、「やがて康頼」とちょっと急かす様な感じが自然。
「何とて」と不思議そうだが、自分の名が書かれていないなんて、毛頭思っていない様なのも良く、次第に焦りが見えて、「こはいかに」と激しく、「配所も」と手が震え、膝を崩して俯くのも納得がいかない感じが見事。
「このほどは」と辛そうで、地謡『クセ』はどっしりと抑え、「先に読みたる」で再び赦免状を広げて見つめ、「もしも」と裏返したり、少し身を乗り出すようにして見るのも、「僧都とも」で下げて、「こは夢かと」と膝を打ち、立って「さめよ」と『打合』るのは、はっきりで、浅見さんらしいわかり易さなのだが、少々やり過ぎ。
二人が舟に向かうと、シテは康頼の肩に両手をかけて引きとめ、そのままの姿勢で必死に訴え、ワキの剣幕に手を放し、「さすが命の」と寂しげに『正先』の方に向かい、さっと戻って“綱”を持つ必死な感じが良い。
地謡「もとの渚に」とはっきりで、「声も」とゆっくり『両シオリ』すると、もう怒りとか憤りはなくて、ただただ寂しげ。
ツレ・ワキ「痛わしの」とすでに距離感が有って、その後もどんどん遠くなって行く感じが有る。
シテ「これは誠か」と腰を上げると、迫力が有り、「たのもしくて」で立ち、3人が幕の方に向かうと、地謡はゆっくりと暗く変化して美しく、シテも後を追う様にゆっくりと常座に向かい、羨望する眼差しの中に2人を信じたいという思いと寂しさが有った。


『海士』谷本健吾・伊藤嘉寿・宝生欣哉・大日方寛・野口能弘・竹山悠樹・八反田智子・観世新九郎・亀井広忠・小寺真佐人

シテは『一セイ』から暗く、少ししっかりし過ぎて、男っぽい印象。
「不思議や雲の」とワキの方を向いたり、「かづき上げしも」と『ツメ』るのは自然で優しいが、基本的にしっかりし過ぎな印象。
「みづから大臣の」としっかりの子方が」上手く、「よしそれとて」と抑えた地謡で雰囲気が変わり、シテ「げに心なき」と切なげで、「事もおろかや」で子方の方を優しく見るのも良い感じ。
「その時あま人申すやう」と決意する様な迫力が有って、はっきり、しっかりの『玉ノ段』。
「かくて浮みは」とゆったりとナレーションの様で、「その時息の下より」ほんの少し強く、本人の意識が戻った様な変化が良い。
「今は何をか」と優しく、「幽霊よ」と暗く沈み、「立つ波の」と若干芝居臭い下がり方をしたけれど、それも悪い感じはしなかった。
しかしここまで、特に悪いところは無いのだけれど、とにかくしっかり濃厚で、もう一曲見終わった様な気分…まだ中入なのに!

後シテは柔らかな気配。
所々あてぶりっぽさが有ったり、地謡がサバサバし過ぎるところも有ったが、明るめで威厳も有って、マズマズ。


他に狂言『茶子味梅』石田幸雄・高野和憲・野村万之介。

No.68 - 2010/12/06(Mon) 03:36:18
10年11月7日  友枝会(国立能楽堂)    (感想) / 兎谷
『翁』友枝雄人・野村万蔵・吉住講・一噌隆之・成田達志・住駒充彦・森貴史・亀井広忠

吉住さんの千歳は『披キ』だったらしいが、カチッと真面目なのは良いけれど、ちょっと変なところで間が有るような、緩んでしまう部分が有るように見えたのが惜しい。
雄人さんの翁は、重厚感はないが、落ち着いていて、ゆったりと1つ1つまじめに丁寧でがんばっている感じがした。万蔵さんの三番叟は力強さはあるけれど、全体的に均一な感じでちょっと物足りない。


狂言『松囃子』野村萬・小笠原匡・野村扇丞・野村太一郎・一噌仙幸

『翁』の後、休憩15分を挟んで、狂言。『翁』から続けてしまってもいいんじゃないかと思う。
萬さんがいい味。


『井筒』友枝昭世・宝生閑・小笠原匡・一噌仙幸・曽和正博・柿原祟志

ワキのゆったりと鄙びた雰囲気作りが良い感じ。
シテは抑えた『次第』で、淡々とした『サシ』、さらに静かな『下歌』で、「定めなき世の」で“井筒”の方に寄って“井筒”に向かって座って『合掌』するのも、すでにすべてをあきらめてしまっている様に見える。
優しいワキの問いに静かだがしっかり目に答え、「故ある者かと」と自然で、「昔男といはれし身の」としみじみと思いを馳せる様で、「これこそそれよ」と、とてもゆっくり“井筒”の方向いてを見つめるとそのまま少し動かないでいる様子がとても寂しそう。
『正中』に座り、地謡『クリ』は抑え目でもしっかりで、シテ『サシ』は完全に自分の事を話している様な感じで寂しそう。地謡『クセ』も抑えて美しく、シテ「筒井筒」と静かに泣いている見たい。
シテ「紀の有常が娘とも」と上品で、「我なりと」と立つと優雅な気配だが、中入まで憂うる感じでいつ消えても不思議でないくらい静か。

ところが後シテははっきり目の『一セイ』。
「我筒井筒の」と抑さえ目でもたっぷりで「業平の」とゆっくりと左手を上げて「直衣」と少し強めに謡い、自分の方に引き寄せるのが、いとおしそうでとても印象的。
ゆったりの『序ノ舞』で業平になっていく…なりきろうとしている様で、シテ「ここにきて」と寂しげだが少し男っぽく、「月やあらぬ」とさまよう様な感じでだんだん悲しげになり、「筒井筒」と深い悲しみをこらえて搾り出すような流れは自然。
「業平の」と“井筒”に寄って、立ち止まり左袖を返して、左手を『作り物』の縁についてしっかりと…本当に井戸を覗くみたいに覗き込み、「見れば」としみじみと実感がこもり、「我ながら」と抑えた地謡でゆっくりと顔を上げるのは、もっと業平の姿を見ていたいという名残惜しさの様で良かった。
しかし、その後もゆったりと美しいけれど、後シテは男装した生きた女の存在感が有って、前半はあんなに消えそうだったのに、最後に消えた感じがしなかった。


『猩々乱』友枝真也・宝生欣哉・槻宅聡・森澤勇司・國川純・助川治

基本的にはきっちりとした型なのだが、止まった時にブレる事も…。
前半は流れ足も、蹴る型も綺麗だったけれど、だんだん型を次々とこなしているだけになってしまい、何を演じているのか分からなくなってしまった気がした。


他に仕舞『西王母』友枝大風、『春日龍神』友枝雄太郎。

No.67 - 2010/11/26(Fri) 04:08:08
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