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花の鏡 其ノ二

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10年8月27日 能「江口」の面・装束(東京国立博物館・本館9室)+能『江口』 (感想) / 兎谷
7月から行われていた「江口」をテーマにした面・装束・絵画の展示。
8月27日には平成館大講堂にて『江口』の上演が有った。
抽選だったが、募集要項にには半能と書かれていなかったので、期待したが、当選ハガキに後半のみとの記載が…無料だし仕方ないか…と思ったが。。

能の感想は後ほど。。

No.50 - 2010/10/30(Sat) 03:17:55
10年8月8日  観世九皐会(矢来能楽堂)    (感想) / 兎谷
『梅枝』弘田裕一・森常好・舘田善博・森常太郎・宮本昇・一噌庸二・観世新九郎・柿原祟志


『熊坂』古川充・御厨誠吾・大藏基誠・一噌隆之・鳥山直也・柿原光博・大江照夫


他に狂言『水掛聟』大藏吉次郎・大藏教義・大藏千太郎。
仕舞『東方朔』遠藤和久・遠藤六郎・『芭蕉』永島忠侈・『雨之段』観世喜之

感想は後ほど。。

No.49 - 2010/10/30(Sat) 03:16:14
10年8月4日  能楽座自主公演(国立能楽堂)    (感想) / 兎谷
『鵜飼』大槻文蔵・梅若玄祥・宝生閑・宝生欣哉・茂山あきら・藤田六郎兵衛・観世新九郎・安福建雄・観世元伯

他に舞囃子『松風・戯之舞』観世銕之丞・松田弘之・観世豊純・山本孝・『頼政』片山幽雪・松田弘之・大倉源次郎・安福光雄。
狂言『月見座頭』茂山千之丞・茂山千五郎。
小舞『通円』野村萬。
一調『鐘之段』近藤乾之助・曽和博朗・『土蜘蛛』福王茂十郎・三島元太郎。
語り『文蔵』野村万作。

感想は後ほど。。

No.48 - 2010/10/30(Sat) 03:14:01
10年7月22日  企画公演(国立能楽堂)    (感想) / 兎谷
仕舞『花筐クセ』大槻文藏

素狂言『無布施経』茂山千作・茂山千之丞

袴能『藤戸』近藤乾之助・福王茂十郎・福王知登・喜多雅人・茂山七五三・赤井啓三・幸清次郎・亀井忠雄

感想は後ほど。。

No.47 - 2010/10/30(Sat) 03:10:17
10年7月17日  興福寺勧進能・2部(国立能楽堂)    (感想) / 兎谷
『鵺・白頭』浅見真州・宝生欣哉・山下浩一郎・松田弘之・森貴史・亀井広忠・助川治

他に狂言『清水』野村万蔵・野村扇丞

感想は後ほど。。

No.46 - 2010/10/30(Sat) 03:08:45
10年7月17日  セルリアンタワー定期能 喜多流    (感想) / 兎谷
『忠度』友枝昭世・宝生閑・殿田謙吉・梅村昌功・槻宅聡・曽和正博・亀井広忠

感想は後ほど。。

No.45 - 2010/10/30(Sat) 03:07:00
10年7月16日  納涼能(宝生能楽堂)   (感想) / 兎谷
『井筒』本田光洋・宝生欣哉・野村万蔵・寺井宏明・曽和正博・安福光雄

出演者変更、金春安明→本田光洋。


『枕慈童』宝生和英・安田登・高橋正光・野見山光政・一噌隆之・幸信吾・大倉正之助・金春國和

もっと早く追いつく予定だったが、本格的に厳しくなってきたので、見たものの項目だけ立てておいて、後回しにする事にします。別に書く必要性もないけれど、書いておかないと記憶力の無い私は忘れてしまうので。。

No.44 - 2010/10/30(Sat) 03:05:19
10年7月11日  中央区能に親しむ会(国立能楽堂)    (感想) / 兎谷
『老松・紅梅殿』中村裕・中村政裕・古室知也・村瀬提・村瀬慧・中村弘・高澤祐介・藤田朝太郎・田邊恭資・柿原弘和・大川典良

しっかり目のシテ・ツレ 『一セイ』は良いが、シテが舞台に進むのにスタスタと歩いて老人らしくない感じ。。ワキの問いに答えるのも上品だけれど若く感じる。
『サシ』以降抑えて目でもさらりとテンポ良く進み、「神さびて失せにけり」と『ヒラキ』、ゆったりと中入するのに、鮮やかさが有って綺麗。

後はゆったりと登場、ツレが舞台に入り、シテは『一ノ松』で床几にかけると、ツレのt天女舞になるが、パパッとあっけない感じ(小書:紅梅殿で後ツレが出る)。
シテ「さす松の」としっかりと謡い、地謡で常座へ。
ゆったりと舞台を廻る(イロエ)姿に貫禄が有って、最後まで老神らしい威厳が有って良かったが、急に向きを変えたり、タイミングを計るように待ってしまったりする部分も有って、気になった。


『井筒・物着』梅若万三郎・安田登・藤田次郎・古賀裕己・柿原光博

あろうことか、メモを紛失。記憶力の悪い私は、既にどこがどう良かったのかを具他的に思い出せないのだが、とても上品で優しく、尽くす女の気配。
舞の中での踏みしめる様な足拍子をすると、足元からじわりと景色が広がってくる気がした。
小書で中入がなく、すっきりな流れ。初冠には日陰之糸を垂らしていて、その華やかさがかえって寂しくて、味わいがあるとても良い『井筒』。


他に連吟『小袖曽我』塩田清・若松泰敏・中村健郎、仕舞『菊慈童』青木一郎、『羽衣・クセ』梅若紀長、『山姥・キリ』梅若万佐晴、狂言『樋の酒』三宅右近・三宅右矩・三宅近成。

No.41 - 2010/10/04(Mon) 01:25:46

追記 / 兎谷
…と書いたらその直後にメモ発見。。というわけでもう一度『井筒』の感想。。

登場からなんとなく幽霊の様に消えてしまいそうな気配。とても静かに謡い出し、地謡『下歌』『上歌』とも重めだがとても綺麗。
「眺めは四方の」で右を見て戻り、「何の音にか」と手を合わせる姿がとても寂しそうで哀れ。
「これはこのあたりに」と何気ないが、「故ある身かと」とワキの方を向くと思いを隠しきれない感じで、「主こそ遠く」で、ワキの方を向くが、少し遅めのタイミングだったのが鬱々とした気配。
地謡『クリ』は抑えてさらり、シテ『サシ』は静かでもしっかり目で、静かな地謡が続き、『クセ』はさらにぐっと抑えてとても美しい。
シテ「筒井筒」としっとりと女らしい。地謡「げにやふりにし」としっかり目で、シテ「誠は我は」と上品で控えめな感じ。『小書:物着』で中入なし。

後シテは常座に立つと抑えてしっかり目の『一セイ』。「形見の直衣」と左袖を見る姿が悲しげ。
舞は上にも書いたが重心が低く、優雅な仕草だが、拍子を踏んで見えてくる景色にはもの悲しさが有った。
「ここに来て」としっとりで、地謡も静かで優しい。
「業平の」でスーっと井筒に寄って左手ではっきりと薄を分けるると、ほとんど俯いていないのだか、井戸の中を見ている感じがして綺麗。
地謡「我ながら」で下がって『シオ』る姿も、「色なうて」と扇で顔を隠して下がる(座らない)姿も、儚く淡い雰囲気で美しい。

No.43 - 2010/10/10(Sun) 02:40:38
10年7月14日  定例公演(国立能楽堂)    (感想) / 兎谷
出演者変更、遠藤博義→山本則重

『玉井・貝尽』坂井音重・坂井音雅・坂井音隆・坂井音晴・宝生閑・大日方寛・則久英志・山本東次郎・山本泰太郎・山本凛太郎・山本則重・若松隆・山本則秀・松田弘之・鵜澤洋太郎・柿原祟志・小寺佐七

静かな『一セイ』は綺麗だったが、その後は少し大人しい。
『サシ』はしっかりで、続く地謡は抑えて、『クセ』からはしっかりとわかり易い。
小書で6人の貝の精が登場。酌をしたり、謡ったり、舞って見せる、楽しいアイ。

後シテはどっしりの謡。杖を持って立つ姿に威厳が有る。
しかし、"針”を置いて立つのが大変そうで、以降も本当に杖にすがって立つ感じだったのが残念。
それでもしっかりとした気配で、かっこ良かった。


他に狂言『延命袋』茂山正邦・茂山逸平・茂山千三郎。

No.42 - 2010/10/04(Mon) 01:34:35
管理人からおしらせ…というか宣伝。 / 兎谷
いつも掲示板『花の鏡』や、HP『幽玄堂』をご覧頂き、ありがとうございます。

ここでは幽玄堂とか兎谷とか名乗っておりましたが、本名を“小林わかば”と申します。
突然何を言い出すのかといえば。。

『能楽ジャーナル』という隔月刊の雑誌が有るのですが、もうすぐ発売の『61号』の『視座』というコーナー(?)で能の後援会について書かせて頂きました。
そちらが本名で書いているので、一足先に(かなりギリギリですけど)お知らせしたかったのです。

というわけで、ぜひ読んで下さい〜!
ちなみに『能楽ジャーナル』は能楽堂の売店で売っていますが、普通の本屋さんでも『たちばな出版の能楽ジャーナル○号』と言えば注文出来ます。(入荷までに少し時間がかかりますが。。)

更に更に、宜しかったら定期購読して頂けると更に嬉しい!
(定期購読のお申込み方法は→http://homepage2.nifty.com/journal/page002.html

…と、完全に宣伝なのですが、どうぞよろしくお願いします。

No.36 - 2010/08/23(Mon) 00:53:03

追記 / 兎谷
その後、ジャーナルを中々買いに行けない等のご意見を頂いた。
私にメール頂ければ、実費でお送りしますので、お気軽にメールして下さい。

No.37 - 2010/09/05(Sun) 02:51:40

Re: 管理人からおしらせ…というか宣伝。 / 関東者
兎谷 様

こんばんは

 昨日(水曜日)、国立能楽堂へ出掛けた際に『能楽ジャーナル』61号を購入し、拝読しました。

 極々狭い範囲ですが私が見聞きしている状況とほぼ合っており、愛好者の一人として些か心細くなります。

 素謡・小鼓(1年ほど前から始めました)の社中(≒後援会でしょうか)ともに、さして若くもない私が最年少の年代ですし、社中でも別の稽古場のお弟子さんとの交流は皆無に近く、従って有志が寄り集まって何かをするという雰囲気ではありません。

 斯く言う私も素謡を始めたのは全く偶然の所産でありました。大半の若い方々にとっては、能楽に触れる機会そのものが極めて乏しいのかも知れません。

 話は変わりますが6月の「港能」は観に行きました。今月の「しぶかわ能」を観に行くまで趣味に費やす時間が取り辛く、ご報告すると申し上げておきながら失礼致しました。両者の能については、また日を改めて、記憶を辿りながら簡潔にご報告させて頂きます。

 それにしましても兎谷様の文才と取材力とには誠に感服仕りました。今後ともこちらのサイトや雑誌で勉強させて頂きます。

それでは

No.39 - 2010/09/09(Thu) 02:07:48

ありがとうございます。 / 兎谷
関東者様

『能楽ジャーナル』をお読み頂き、書き込みまでして下さり、ありがとう御座います。

関東者様がおっしゃる通り、今の大人には能楽に触れる機会が少ないようです。(子供たちはだいぶ学校などで機会が増えているようですが)
若い人だけでなく、それなりの年齢の方でさえ、能を見たことが無いというのを耳にします。残念な事です。

ただ、そんな中にも、きっかけさえ有れば見てみたいという人もたくさんいる様で、私は今年になってから、3人のお能が初めての人を連れて行きましたが、あと5人、連れて行って欲しいと頼まれています。
そんな中から、ハマっちゃう人が出たら良いなぁ〜と思うのですが。。

それでは、また書き込みを!そして私にいろいろ教えて下さい!
今後ともよろしくお願い致します。

No.40 - 2010/09/10(Fri) 00:27:09
10年7月4日  轍の会(国立能楽堂)    (感想) / 兎谷
『花筐』櫻間金記・野村雅・酒井夏来・森常好・中谷明・幸清次郎・安福建雄

『一ノ松』まで歩く姿は金記さんのまんまだと思ったが、“花筐”と“文”を受け取ってからは、しみじみと悲しげで、とても女性らしい。
『正中』に座り、“文”を読む様子がとても静かに上品で綺麗。
後は『一セイ』から金記さんらしい謡で良いのだが、ツレが棒読み。。
“花筐”を落とされて「何と君の」と驚いた様子で、ワキに対して抑えていてもしっかりと反論し、「我よりもなほ」と『ツメ』ると説得力がある。
ゆったりと舞台を廻る(イロエ)姿が綺麗で、シテ『サシ』も続く地謡も寂しげで、とてもどっしりと落ち着いた『クセ』が今日の金紀さんの雰囲気に合っていた。
最後はふんわりと明るく、優しい気配。
全体に控え目だったが、地謡もシテに合わせてなのか抑え目で、バランスが良く優しい一番だった。


『融』本田光洋・工藤和哉・善竹十郎・藤田次郎・亀井俊一・柿原祟志・金春國和

ゆっくりと登場したシテは控え目な謡い出しで、侘しげな秋の景色にピッタリ。
ワキの問いに答える様子は高貴な感じが良く、「や、月こそ出でて候へ」と右下を向いて水面の月を見たり、「浦わの秋も」とゆっくりと前に出て景色を見る姿が綺麗。
『正中』に座ってどっしりと語りだし、「雨の残りの」と寂しげで、「実にや眺むれば」と抑えた地謡で右を向いて「老いの波も」と、膝を崩して『両シオリ』するのも、悲しげに美しい。
その後の名所教えも変化が有って聞きやすく、「いざや汐を汲まんと」と“担桶”を取って、さっと『正先』(『角』より)に出、紐を両手でそれぞれ持って、ちょっと勢いをつける様に汲む様子は、一瞬だったけれど、下ろされた瞬間に息をつめて、重いものを引き上げたかの様な気迫を感じた。
「汲めば」と右、左と見て、さっと常座で“担桶”を下ろして『一ノ松』に行くまでは丁寧なのにさらりとして、そこで急に速度を落として静かに中入するのは、『一ノ松』で消えた感じ。
後シテは最初、高貴な感じというより、少し老人ぽい感じもしたが、しっかりと舞はじめ、次第にさらりと明るく、大らかな気配で爽やか。
…もう少しで終わりなので見ていたかったが、用が有ってここで帰る事に…最後も綺麗だっただろうなぁ。。


この日は他に狂言『惣八』大藏吉次郎・大藏彌太郎・榎本元。

No.38 - 2010/09/06(Mon) 01:49:20
『川崎九淵 五十回忌記念展』(早稲田大学演劇博物館)  (感想) / 兎谷
6月18日と8月2日『川崎九淵 五十回忌記念展』に行って来ました。
1階の一部屋だけの展示でしたが、幅広い内容で、『関寺小町』(S30.桜間弓川・松本謙三・本田光洋・藤田大五郎・幸祥光・川崎九淵、申合を録音したもの)が流れていて、面白い展示でした。
ちなみに会場にはだれもいなくて、ゆったり見られました(苦笑)。
パンフレット等、何も無かったのが残念。
展示品は
☆皆伝免状・従四位勳三等瑞宝章・第一回重要無形文化財保持者認定証とその記念写真
☆指革・指革入れ・指型・ふとん・焙じ台・へら・はけ・鎚・目打ち・ものさし・ハリ扇
☆文机・文房具
☆侍烏帽子・素袍(「大正天皇御大典の時に着用したものと思われる」と書かれていました)・紋付袴(「引退披露の時使用したもの、帯も九淵の旧蔵品」)
☆鼓胴(8個)・鼓箱・皮・調緒☆手付・書簡・日記など
☆写真(安宅・猩々・望月・羽衣・景清・菊慈童)
☆自宅の写真・杖・手提げ袋など
☆『関寺小町』上演当時の雑誌のに掲載された座談会記事。(前期展示のみ)
☆引退記念能写真・パンフレットとそれに寄せられた生原稿。(後期展示のみ)
後期展示では、引退記念能のパンフレットに収録された、ゆかりの人のコメントが読めるようになっていました。

6月23日には小野記念講堂で、近藤乾之助さんと金春惣右衛門さんの県談も有って、思い出話と録音テープ(残念ながらきちんと再生出来なかったけど)を聞くことが出来ました。

No.35 - 2010/08/23(Mon) 00:41:53
10年6月27日  白翔會(観世能楽堂)   (感想) / 兎谷
『熊野・村雨留』坂井音隆・坂井音晴・野口敦弘・野口琢弘・一噌庸二・曽和正博・安福建雄

訪ねてきた村雨の方に、ゆーっくり向く姿がとても上品。
しかし舞台に進む様子や、ワキに“文”を差し出す様子は強さが感じられて、悲しさがあんまり無かったので、『文の段』で急に悲しげになった事に戸惑った。
…その文を見つめる視線が左まで進むと、右下に戻って、2段目を読んでいたので、珍しいと思ったのだが、これが基本形だと後で知りました。(あんまりやってる人いない気がするのですが。。)
“車”の中で景色を見る様子や、儚げな謡が綺麗。地謡「深き情けを」で『シオリ』つつ『二ノ松』まで行くと、気を取り直して、ゆったりだけどはっきりとした舞。
最後は爽やかに帰って行くのは美しいけれど、全体にしっかりとしたイメージの“熊野”だった。


『葵上・古式』坂井音重・坂井音雅・坂井音晴・高井松男・井藤鉄男・三宅右矩・藤田次郎・観世新九郎・柿原祟志・助川治

『古式』の小書つきなので、シテの登場前に『一ノ松』に“破れ車”(ちょっと違うけど花見車の色違い)を出し、シテはその中に入り、ツレ(青女房)はその後方(舞台より)に立って、静かな『一セイ』。
『上歌』まで綺麗な謡が続くが、ツレ(ミコ)「青女房と」で、青女房が“車”の方を向いて座り、手を掛けて『シオル』のが、やりすぎな感じ。(地謡「情けは人のためならず」の後で“車”を下げる)
シテは『大小前』で床几にかけ、「われ人のため」とどっしりの地謡で、『面』をクモらせたのが美しい。
「今は打たで叶ひ候まじ」と“小袖”の方に寄ろうとするのを、青女房が止め、それでも目を離さない様子や、その後の“小袖”を扇で打ったりもとても迫力が有る。
地謡「ひかるきみとぞ」で前を向くと悲しげで、「昔語りに」と“小袖"を見つつ『正中』に出、扇を胸に当てて更に近づき、「その面影も」と地謡の方に少し下がって、「枕に立てる」と“小袖”に向かって扇を打ち捨てたのは、女らしくて印象的。
さっと『一ノ松』に行ってくるりと回りつつ、着ていた唐織を被いて中入。

ワキの謡が始まると、シテは唐織を被いて出、『一ノ松』で伸び上がるようにワキを見てから、ワキの後ろに身を伏せる。
ワキ「ナマクサマンダ」でシテは一度顔を上げて戻り、再びゆっくりと顔を上げると、唐織を後ろに落とし立つが、左手で自分の髪(ナガカモジ)を掴んいて、そのままワキと対峙する姿が不気味で、途中その髪をワキの方に投げつける様にするのも、気持ち悪さ倍増で素敵!
「あらあら恐ろしの」と耳を塞ぐと恐怖感がはっきりと伝わり、「これまでど」とワキの方を向いた時にはすっかり大人しく観念した感じで、「読誦の声を」と打杖を取って座ったまま『胸杖』の様に付いて聞いているのも分かり易く綺麗。

他に連吟『養老』『隅田川』、狂言『長光』、仕舞『頼政』(祥六さんの代演は谷村一太郎さん)『西行桜』。

No.34 - 2010/08/22(Sun) 04:42:35
10年6月25日  閑能会(観世能楽堂)   (感想) / 兎谷
『花月』上田公威・宝生閑・山本泰太郎・寺井宏明・大倉源次郎・大倉栄太郎

シテは祥六さんの予定でしたが、上田さんに変更。
シテは初めしっかり目で、「あら面白や」と鶯を見るのは良かったけれど、「仏の戒め」と下がって弓を捨てるのが、いかにも“型”という感じがしたし、『クセ』以降の仕草も硬い感じであまり景色が見えなかった。
しかし、物着後、「さても我」とさらりと謡い、軽快に“鞨鼓”を打つ姿は綺麗だった。


『山鳥』??梨良一・森常好・遠藤博義・一噌隆之・曽和正博・安福光雄・観世元伯

2003年初演の新作能で、初演の時から気になっていたのですが、見逃して、今回が初見。

あらすじ…
旅の僧(ワキ)が池のほとりを通りかかると、池の周囲だけ、草花が枯れていた。
不思議に思った僧が池に近づこうとすると、女(シテ)が呼び止め、池に近づいてはいけないと言う。
僧がその訳をたずねると、天地創造の折、神はあらゆる色や形を定めて草花や鳥獣を創ったが、最後に山鳥を作った時に、色が尽きてしまい、山鳥だけは地味な姿に…。自分の醜さを悲しむ山鳥はある日、草花の色を盗んでその身を美しく飾り立て、池に自身の姿を映して見惚れていたが、草花の恨みによって池に落ち、溺れ死んでしまったのだと語る。
そして自らが山鳥の霊であると明かして消える。(中入)。
アイは所の者で、山鳥と池について語る。
夜明け前、山鳥の霊が僧の前に姿を現わし、回向を頼む。僧が、「くもりなき 鏡の面にゐる塵を 目に立てて見る世とは思わじ」という西行の歌を詠んだところ、山鳥の迷いは晴れて、夜明けとともに霊は立ち去る。


どっしりと威厳の有る出だしで、静かに儚げな語も綺麗。
後は大人っぽい落ち着いた感じで、物思うような舞も綺麗でした。
しかし曲そのものは、新作という割りに、無難に纏まった印象でした。
はじめてだったので、楽しめましたが、繰り返し見るとなると、難しい曲のように思います。
友人から初演時とはかなり演出が違うと聞いたので、やっぱり初演を見ておくべきだった。。


他に舞囃子『田村』『西王母』『春日龍神』、狂言『地蔵舞』、仕舞『江野島』(祥人さんの代演は知孝さん)『阿漕』。

No.33 - 2010/08/20(Fri) 02:44:04
10年6月18日 『能面の心・装束の華』『能の雅 狂言の妙』(感想) / 兎谷
『能面の心・装束の華』(根津美術館)の展示は一部屋の展示。
能の曲目ごとに面と装束を並べるのは良いのですが、解説が曲目解説だったりして(もっとも装束に解説って付けにくいだろうけど)微妙。
個人的には上の展示室の、青銅器や、刀の拵えの方が面白かったので良かったですが、能の展示だけを見に行ったら、料金高すぎ!って感じです。

No.31 - 2010/08/19(Thu) 02:44:29

『能の雅 狂言の妙』 / 兎谷
移動して、『能の雅 狂言の妙』(サントリー美術館)へ。
こちらは立派な展示数ですが、加賀藩の装束以外は国立能楽堂の収蔵品なので、けっこう展示室で見た事が有るものが多くて、良いものがたくさん有りましたが、忙しいのにわざわざ来なくても良かったかも。。

根津美術館へ行く前に『川崎九淵 五十回忌記念展』に行ったのですが、それは改めて書きます…結局、これが一番面白かったんです。。

No.32 - 2010/08/19(Thu) 02:45:18
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