はじめまして。大変興味深く拝見させて頂いております。 さて、ホームページを拝見し定在波の理屈なるほどと思い興味を持ち、パソコンフリーソフトを利用して周波数特性を計測してみたら計算どおりのピークディップが発生し、正直大変驚きました。 そこで、定在波撲滅のためにはどうしたら良いのだろうかとホームページを読み進めさせて頂きますと、二つの平行した壁面があるかぎり、原理的に発生してしまうとのことですので、平行面を無くせば良いのかな?と思うようになりました。 実際に前後左右の壁と天井床面の3つの平行面がある訳です。残響音などのその他のパラメーターを無視し、「ギャラリーウエーブ」などの数度の傾斜を持たせたパネルを前後左右の壁面及び天井面に設置すれば、ほぼ定在波は無くなると考えても宜しいのでしょうか?(実際はサウンドステージを再現するために左右の壁、前後の壁、天井などはそれぞれ適切な処置をしなければならないのでしょうが、あくまで原理的に。) あと、スピーカーの後ろにStainVeilパネルを展開させ、リスニングポイントからはスピーカーの後ろの壁がStainVeilで覆われて見えないような状態のとき、スピーカーの後ろとリスニングポイントの後ろの壁(所謂前後の壁)の間には平行面が無くなりますよね。この状態にすれば、前後方向の定在波はほぼ解消できると考えて宜しいのでしょうか?
低音は波長が長いため、少々の凸凹面を持ってきても、低音波から見ると平面に見えてしまうのではないか?という気がします。例えば地上から富士山を見えれば大きな山ですが、衛星写真から富士山を見ると平面写真にしか見えないように・・・。実際のところ、StainVeilやギャラリーウエーブなどの凡そ50センチ幅ぐらいの板を数度の傾斜角度を持って配置すれば大丈夫と考えて宜しいのでしょうか?
お忙しいところ恐れ入ります。ご教示願えれば幸いです。 |
No.499 2006/09/26(Tue) 11:42:08
|
■ルームアコースティックは二つのカテゴリー(減らすもの、増やすもの)の五つのパラメータで制御できます。
●Sパラメータ(Structure):減らすべき要素 1.定在波 2.フラッターエコー 3.床・壁・天井の振動
●Rパラメータ(Early Reflection, Reverberation tim):適量に増やすべき要素 4.初期反射音 5.残響時間
この五つのパラメータの中で理論的な解明または測定による解析ができるものが<1.定在波>と<5.残響時間>です。
残る三つのパラメータは有効な測定方法が確立されておらず、ルームアコースティックを論じるときに話題にさえならない状況です。
ところが音場再生の視点でルームアコースティックを検証すると、その影響力の順位は、
3.床・壁・天井の振動 2.フラッターエコー 4.初期反射音 5.残響時間 1.定在波
の順となります。上位のパラメータの調整に不具合があると、下位のパラメータの調整は無意味(効果がマスクされて分からない)です。
<3.床・壁・天井の振動>が強いと、それ以下の順位のパラメータをいくらいじっても、そこそこの音にすらなりません。ブーミーな音(125〜250Hzの振動音)と低音が不足する音(壁振動が100Hz以下を吸音)は、どちらも壁振動が原因の大半です。
振動を止めると<2.フラッターエコー>による音の濁りが聞こえるようになります。また横方向のフラッターがあると次の順位のパラメータである<4.初期反射音>が作り出すサウンドステージの奥行きを帳消しにします。
振動とフラッターを消去すると、<4.初期反射音>の適所配置によるサウンドステージの創造が可能になります。適所配置は、下記ページの<Section3:サウンドステージ>以降を参照して下さい。 http://www.salogic.com/home-select.files/home-s-sub.htm
奥行きの深いサウンドステージができると、楽器の余韻が背後の空間に消え入るようになって、その響きを無意識に追い続ける聴覚の動きにより、楽曲のテンポがグンと落ちたように感じるはずです。この状態になればルームチューンは8割方完成です。
ここまでくるとやっと<5.残響時間>の出番です。最適残響時間に近づくほどに、初期反射音が作り出したサウンドステージの彫が深くなって、果てしなく音楽を聴き続けることができるほどに、楽器の表情やボーカリストの説得力が増加します。
最後に<1.定在波>により部屋の中に低音が溜まるエリアと少ないエリアができるはずです、最初に設定したリスニングポイントで低音が不足するのであれば定在波理論に則ってリスニングポイントを移動すれば解決するはずです、しかし現実には理論通りにはなりません。
なぜ理論と食い違うのかと言うと、木造の部屋では<3.床・壁・天井の振動>の影響力の方が定在波より遙かに大きいからです。
定在波により低音がブーミーと言われている殆んどのケース(壁裏の野縁の強度が足りない)が壁振動の対策で解決しますし、定在波により低音が不足すると言われているケース(壁板の強度が足りない)も壁振動対策と強化策で大方解決します。
> そこで、定在波撲滅のためにはどうしたら良いのだろうか・・・平行面を無くせば良いのかな?と思うようになりました。 ■上にも書きましたが、定在波の影響と思われている低音のトラブルは大方壁振動であり、それにフラッターエコーも重乗しています。壁振動があると低音がブーミーになるケース、低音が出なくなるケース、の二つが発生します。
> 「ギャラリーウエーブ」などの数度の傾斜を持たせたパネルを前後左右の壁面及び天井面に設置すれば、ほぼ定在波は無くなると考えても宜しいのでしょうか? ■下記に測定データがあります、 http://www.salogic.com/home-select.files/home-25-sub.htm
壁を傾けても定在波によるものと思われる伝送特性のピーク、ディップにはあまり効果がありません。しかしGalleryにより確実に低い低音が増え、ミッドバスと思われるブーミーな低音は減ります。ブーミーなミッドバスが減るから、100Hz以下の低音が聞こえるようになると言っても良いと思います。壁を傾けるのは、フラッターエコー対策です。
定在波に有利な形状(寸法比)の部屋を作っても音楽が楽しく聴ける部屋になるわけではありません、単に伝送特性が良くなる可能性が高くなるだけです。定在波より上位の四つのパラメータを適切に調整する必要があります。
> 低音は波長が長いため、少々の凸凹面を持ってきても、低音波から見ると平面に見えてしまうのではないか?という気がします・・・StainVeilやギャラリーウエーブなどの凡そ50センチ幅ぐらいの板を数度の傾斜角度を持って配置すれば大丈夫と考えて宜しいのでしょうか? ■部屋の不具合の原因の大半は 3.床・壁・天井の振動 2.フラッターエコー です、StainVeil&ギャラリーウエーブにより壁が丈夫になれば壁振動が減ります。傾斜が付けばフラッターエコーが消滅します。
同時にStainVeilにより<4.初期反射音>が増え、奥行き(SV1200〜1800)と高さ(SV1500〜1800(SV1200では高さは出ない))のあるサウンドステージが出来上がります。
参考ページ http://www.salogic.com/home-select.files/home-80-sub1.htm
参考書籍 音楽の友社「Stereo10月号/2006年」レンジ獲得への「底上げ」を図るアクセサリー●田中伊佐資 |
No.500 2006/10/01(Sun) 23:46:55
|
|