SFCドラクエ3の褒めるべき部分 - キャノン娘 - 2017/01/02(Mon) 16:01:30 [No.905] |
└ Re: SFCドラクエ3の褒めるべき部分 - ビューラリウス - 2017/01/17(Tue) 23:29:08 [No.908] |
└ Re: SFCドラクエ3の褒めるべき部分 - キャノン娘 - 2017/01/22(Sun) 19:33:16 [No.911] |
SFCドラクエ3はいろいろ変わったところ、追加されたところがあり、 それらの変更点に関して「ここが悪かった」と指摘される部分が数多くあります。 悪かったところは多くの人に指摘されていますし、自分も同じことを考えているので、そこには触れず、 良かった部分を挙げていこうと思います。 ドラクエ3は完成されきったゲームです。 もともと100点満点だったゲームをリメイクするにあたって、 ファンから求められる最低限の点数は120点でしょうか、150点でしょうか、200点でしょうか。 とにかく、その内容が「もともとあった部分が80点に減ったが、追加部分が+70点として合計150点」では絶対に納得されないでしょう。 「もともとあった部分は100点をキープか120点に改良、そのうえで追加部分によって+80点で合計200点」ぐらいを 当然やるべき最低基準として求められてしまうものです。 SFCドラクエ3はこうした多大な壁を乗り越えるという難題に対して、 (惜しくも100点キープができなかったため指摘される部分があるにせよ) かなりの高水準でリメイクを果たしていると思うのです。 ・戦闘アニメーションがテンポを損なわなかったこと。 打撃攻撃にせよ呪文にせよなんらかのアニメーションを伴うものになりましたが、これが冗長すぎずに戦いのリズムを損なわず、 きちんとかっこいいアニメーションになっているので好感が持てました。 下手をしたらここだけで「ファミコン版の方が良かった」になってしまいかねなかった、大事な要素です。 ここを成功させたのは非常に大きい。 雷の杖で火炎放射はおかしいとか、王者の剣のバギクロスのアニメーションが長すぎてテンポを損なっているとか、 ゲーム中で見られる悪い例を挙げてみるとよく分かります。 これがゲーム全体でずっと続き、しかも避けて通れないものだったら(雷の杖や王者の剣のバギクロスは使わなくてもクリアできる) 「ファミコン版の方がいいゲームだった」と感じていたことでしょう。 ・BGMのリメイクが原曲の雰囲気を損なわなかったこと。新規追加BGMが違和感なく溶け込んでいること。 ファミコン版に存在した曲や、アレフガルドの城や町などの曲は本当に上手く出来ています。 すごろく場や、バラモス戦などの新規追加曲も上手く全体の雰囲気の中に混ざり込んでいます。 特に、ファミコン版では格好悪いと思っていた通常戦闘曲とフィールド曲が非常に格好良くなっていたのは驚きました。 あの曲がまさかここまで、と感心してしまったほどです。 何度も何度も繰り返して聴く事になる曲が格好良くなっているというのは非常に重要な要素です。 ・SFCであるため、ロード時間が存在しないこと。 城や町に出入りする、戦闘に入る、勝利する、といった作業的なプレイの間、 テンポ良くゲームが進むのかいちいち読み込みでゲームを止められてしまうのかは、 ゲームをプレイしていて感じる心地よさに大きく影響を及ぼします。 もしもこれがCD-ROMを用いるゲーム機で出ていて、何かするたびにロードで待たされたら、 「そのためだけにファミコン版に戻る」という事になっていたかも知れません。 ここまでに挙げた「アニメーション」「BGM」「ロード無し」の3つは、本当に見事に作ってくれたと思います。 ・戦士と武闘家に特技を追加しなかったこと。 ドラクエ3よりも先のシリーズで加わった要素で、これが搭載されてからのドラクエには必ず打撃職の特技要素が存在します。 やろうと思えば出来たでしょうし、それに慣れているプレイヤーであればごく自然にプレイする事もできたはず。 これを「あえて入れなかった」ことでドラクエ3の手触りを残してくれました。 もしも追加されていたら大きくイメージが広がった「超ドラクエ3」になっていた事でしょうが、そこを「ドラクエ3」で留めていてくれたことに感謝したいです。 ・パラメータに「身の守り」を追加しなかったこと。 ドラクエ3よりも先のシリーズで加わった要素で、これが無いために戦士の守備力が低く武闘家の守備力が高いという事になっています。 これを変えるべきか否かというところで、「変えなかった」という事はひとつの英断だと思います。 ・新規追加された職業が盗賊であったこと。 ドラクエ3の職業は、リメイク前の時点ですでに商人・遊び人という余剰があるほどでした。 そこにリメイクの目玉として新職業を追加しなければならない時、考えられるのはどんなものでしょうか。 バトルマスターやゴッドハンドなどの上級職、魔物使いなどゲームを一変させてしまう存在、 全く新たな魔法系統を使う魔法職、ピサロのようなこれまでのレギュラー陣に対する完全な上位互換かつ必須キャラ、 はぐれメタルやドラゴンなどモンスター職、他のシリーズからのゲストキャラクター、等々…… 「これだけはやってはいけない」というものが次々に頭に浮かびます。 SFCドラクエ3はそこに「戦闘能力は戦士・武闘家に及ばず、魔法は使えない、アイテム集めのための職業」を持ってきました。 その役柄であるべき職業はすでに商人がいて、商人は最終的な強さの面でかなり苦しい立場にあったというのに。 盗賊が問題になってしまうのは、この「最終的な装備」が強すぎて(商人が弱すぎた反動でしょうか) 「これまでのレギュラー陣に対する完全な上位互換」となってしまった事だけです。 途中経過については特に問題はないはず。 最終装備の見直しだけ行えば、盗賊はきちんとドラクエ3の仲間キャラクターの中に溶け込んでくれたでしょう。 それも、破壊の鉄球、光のドレス、ドラゴンシールドなど「どう見てもこれは盗賊用の装備じゃ無いだろう」と一発で分かるアイテムばかりなので 装備できなくしたとしてもイメージが正しくなるだけなのですし。 ・商人、遊び人を「特技キャラ」にしなかったこと。 戦士、武闘家のところにも書きましたが、後年になって追加された要素である特技を戦闘中の行動として活用はしませんでした。 もともと商人、遊び人は最終的に使い道が無くなる無駄な要素でした。 序盤の金策とか賢者への転職という一時的な物事だけで、最終的なパーティー構成の中には入って来れない職業でした。 ですから、リメイクにあたってテコ入れは必須となります。 商人は最重要要素として牢屋からの生還、まだ不足だとは言え装備の充実が図られました。 遊び人は「役立たずである」という基本設定があるために戦力は心許ないままですが、転職が可能になり賢者の量産が可能になりました。 もしも、ここでテコ入れの一環として、商人が軍隊呼びを使って攻撃できたり、 遊び人が不思議な踊りやハッスルダンスなどで支援が可能になっていたら? 遊び人専用アイテムとして戦いのドラムが追加されていたら? 確かに強いでしょうし、立派に戦いの奴に立つ仲間として生まれ変わってくれるでしょう。 しかし、それは必ず「これはドラクエ3じゃない」という違和感も生む事になるはずです。 上にも書きましたが、SFCドラクエ3は「超ドラクエ3」にはあえてしなかった。 そのために商人と遊び人は使えない職業のままになってしまいましたが、 それは、「ドラクエ3とはそういうものだからだ」という手触りを残してくれたことになるのです。 ・主人公の勇者や、仲間キャラクター達に固有名詞や人格やストーリーを追加しなかったこと。 昔のRPGはたいてい「主人公=プレイヤー自身」でした。 ゲーム中のストーリーではっきりと「ゲームをプレイしていた君がゲーム世界に吸い込まれていき……」 などと書いているゲームも特に珍しいものではありません。 こうした時代のゲームのリメイクで、今風に「勇者ロトとはどのような人物であったのか」「仲間達の構成や名前はどうなのか」を勝手に決められていたとしたら それだけでプレイを断念してしまったでしょう。 (実際、そんなことになってしまったために手に取る事をやめたリメイク作や続編があったりします) ・追加ダンジョンのラスボス神竜が全体の雰囲気を損なっていないこと。 クリア後に行ける稼ぎ用のダンジョンが追加されましたが、ここにいる神竜が秀逸です。 とてもザコ敵の色替えとは思えません。 ドラクエ3には、もともとクリア後に挑むさらなる強敵というのは「光の玉を使わずにゾーマと戦う」というものがありました。 光の玉を使わなければゾーマのHPを減らせず絶対に勝てない、という設定でも不思議では無いはずなのに、 (それは「虹の雫を使用しないとゾーマ城に行けない」のと同様、特に珍しい話でも無い普通の展開です) あえて伝説の展開に逆らい、自らの戦闘能力によって打倒が可能であるという設定は大好きでした。 この「闇の衣をまとった状態のゾーマ」とほぼ同等の戦闘能力を持ち、どちらが厳しいのかは甲乙付けがたいという数値設定。 ゾーマと競うのは大変な難題です。 ドラクエ史上最強の魔王は誰なのか、闇ゾーマとダークドレアムはどちらが強いのか、などと議論の的になったりします。 もしも神竜が「明らかに闇ゾーマよりも強い」という数値設定であったら? また、そのような台詞や表現が作中にあったら? これはもう、凄まじいバッシングを受けていたに違いありません。 逆に、「私は世界を管理する偉大な神だがゾーマには勝てないので勇者たち頼むぞ」みたいなことを言ってきたら? なんのためにわざわざリメイク作品の隠しボスとして現れたんだよ、という事になってしまうでしょう。 神竜とゾーマのどちらが強いのか、どちらが偉いのか、両者が戦ったら作品設定上どうなるのか、全く提示されないのです。 ここは本当に上手く作ったと思います。 そして、ドラゴンクエストという世界の中で最上位の存在が「ドラゴン」に属する者であってくれたというのは、妙な安心感を抱くのです。 ここで、もしも隠しボスが「エスタークやダークドレアムといったおなじみの裏ボスがドラクエ3にも登場」だったり、 「ゾーマの強化バージョン」「ゾーマよりも強い新たな魔王や神」だったとしたら、このような事にはなっていなかったことでしょう。 [No.905] 2017/01/02(Mon) 16:01:30 |