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all 作品投稿所:子供たちに贈りたい物語 - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ - 2008/06/04(Wed) 15:00:13 [No.7]
Re: 作品投稿所:子供たちに贈りたい物語 - Jack Ma - 2018/09/02(Sun) 21:49:46 [No.243]
投稿を締め切ります - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ - 2008/06/21(Sat) 05:05:50 [No.109]
地を掘るニワトリ - 四方 無畏@羅幻王国 - 2008/06/21(Sat) 00:07:09 [No.107]
Re: 作品投稿所:子供たちに贈りたい物語 - 霰矢蝶子@レンジャー連邦 - 2008/06/21(Sat) 00:06:22 [No.106]
おいしい時間 - 吾妻 勲@星鋼京 - 2008/06/20(Fri) 23:58:52 [No.105]
Re: 作品投稿所:子供たちに贈りたい物語 - 嘉納@海法よけ藩国  - 2008/06/20(Fri) 23:45:48 [No.104]
Re: 作品投稿所:子供たちに贈りたい物語 - 黒野無明@無名騎士藩国 - 2008/06/20(Fri) 23:42:26 [No.103]
3本目 - 西田八朗@アウトウェイ - 2008/06/20(Fri) 23:29:53 [No.102]
可愛い子には鍋をさせよ - 銀内 ユウ@鍋の国 - 2008/06/20(Fri) 23:29:37 [No.101]
約束をした青年 - 里樹澪@ビギナーズ王国 - 2008/06/20(Fri) 23:27:30 [No.100]
二本目 - 西田八朗@アウトウェイ - 2008/06/20(Fri) 23:25:21 [No.99]
ある旅人のお話 - 那限逢真・三影@天領 - 2008/06/20(Fri) 23:22:26 [No.97]
Re: 作品投稿所:子供たちに贈りたい物語 - 西田八朗@アウトウェイ - 2008/06/20(Fri) 23:21:40 [No.96]
よろこびのうた - 00-00778-01:エド・戒:天領所属 - 2008/06/20(Fri) 22:18:47 [No.93]
Re: 作品投稿所:子供たちに贈りたい物語 - 志水高末@たけきの藩国 - 2008/06/20(Fri) 21:54:45 [No.92]
魔王の子守唄 - 下丁@になし藩国 - 2008/06/20(Fri) 21:52:52 [No.91]
なんにもできない女の子 - たらすじ@後ほねっこ男爵領 - 2008/06/20(Fri) 21:30:27 [No.90]
Mimie the Funny Cat - 久遠寺 那由他@ナニワアームズ商藩国 - 2008/06/20(Fri) 20:39:50 [No.89]
天から降ってきたコイン - みぽりん@神聖巫連盟 - 2008/06/20(Fri) 20:31:35 [No.88]
修正しました - みぽりん@神聖巫連盟 - 2008/06/20(Fri) 22:20:00 [No.94]
ふけない涙 - 空馬@レンジャー連邦 - 2008/06/20(Fri) 13:46:40 [No.86]
…@ずーっと友達でいます。 - 久遠寺 那由他@ナニワアームズ商藩国 - 2008/06/20(Fri) 13:17:21 [No.84]
僕とカボチャ怪人 - 久遠寺 那由他@ナニワアームズ商藩国 - 2008/06/20(Fri) 13:06:31 [No.82]
影の薄い子 - 藻女@神聖巫連盟 - 2008/06/20(Fri) 12:12:06 [No.80]
コロの里 - 南天@後ほねっこ男爵領(代理投稿) - 2008/06/20(Fri) 02:26:50 [No.77]
クルミと月夜の物語 - 桂林怜夜@世界忍者国 - 2008/06/20(Fri) 02:00:45 [No.75]
廻る世界は夢を見る - 小野青空@よんた藩国 - 2008/06/19(Thu) 22:37:36 [No.74]
幸せの花 - 小野青空@よんた藩国 - 2008/06/19(Thu) 22:32:21 [No.72]
男の子と女の子とペンギンのお話し - YOT@ゴロネコ藩国 - 2008/06/19(Thu) 20:34:43 [No.71]
りゅうにつかえるいちぞくのおはなし - 月光ほろほろ@たけきの藩国 - 2008/06/18(Wed) 00:27:50 [No.68]
りゅうじんさまのおはなし - ソーニャ@世界忍者国 - 2008/06/15(Sun) 22:51:56 [No.56]
t:→次のアイドレス=執筆依頼(イベント) - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ - 2008/06/16(Mon) 01:15:24 [No.57]
掃除をした猿 - ウル@ゴロネコ藩国 - 2008/06/15(Sun) 19:22:13 [No.55]
Re: 作品投稿所:子供たちに贈りたい物語 - 槙 昌福@よんた藩国 - 2008/06/14(Sat) 00:18:33 [No.47]
龍と姫君 - 月光ほろほろ@たけきの藩国 - 2008/06/13(Fri) 01:31:48 [No.45]
翼を欲しがった少年 - 月光ほろほろ@たけきの藩国 - 2008/06/12(Thu) 00:44:58 [No.42]
ボク - 皆見一二三@リワマヒ国 - 2008/06/11(Wed) 20:43:34 [No.40]
ごみ姫さまのお話 - あんどーなつ@天領 - 2008/06/11(Wed) 18:32:09 [No.39]
ふたつの光 - 薊@リワマヒ国 - 2008/06/11(Wed) 08:39:10 [No.37]
冬を追い払った男の子の話 - 深夜@後ほねっこ男爵領 - 2008/06/11(Wed) 02:39:37 [No.35]
Re: 作品投稿所:子供たちに贈りたい物語 - アム@ゴロネコ藩国 - 2008/06/10(Tue) 20:19:58 [No.29]
月の果ての物語 - あんどーなつ@天領 - 2008/06/10(Tue) 19:31:09 [No.28]
文字数 - あんどーなつ - 2008/06/11(Wed) 07:29:54 [No.36]
ナデオニ - 沙崎絢市@天領 - 2008/06/09(Mon) 21:23:52 [No.23]
甘くないケーキ - 黒霧@星鋼京 - 2008/06/09(Mon) 20:53:35 [No.22]
虫愛でる姫君 - 槙 昌福@よんた藩国 - 2008/06/09(Mon) 19:00:01 [No.21]
男の子と星降る夜のお話 - 多岐川佑華@たけきの藩国 - 2008/06/09(Mon) 13:53:21 [No.20]
子供たちに贈りたい物語 - 二郎真君@たけきの藩国 - 2008/06/08(Sun) 23:55:56 [No.17]
たいそう大きな黒猫の約束 - ヒオ・スクル・ヒルダ@愛鳴之藩国 - 2008/06/08(Sun) 23:44:21 [No.16]
星の願いごと - 相葉 翔@アウトウェイ - 2008/06/08(Sun) 20:42:28 [No.13]
ヴィオラと吼える谷 - テル@るしにゃん王国 - 2008/06/08(Sun) 18:35:37 [No.11]


廻る世界は夢を見る (No.7 への返信) - 小野青空@よんた藩国

○13-00775-01:小野青空:よんた藩国
○廻る世界は夢を見る
○1635


 詩人のようにはなれないけれど、この瞬間を少年は描き続けていました。
 世界はとても綺麗で美しく、時に不思議で奇妙。
 毎日少年は飽きることなく世界をその小さなカンバスの中に移そうと、今しかない世界を留めようと、ひたすら筆を動かしていました。
「この絵が欲しいんだけど」
 いつものように世界を見つめていると、不意に声をかけられました。
 その声の主、バイオリンのケースを抱えた少女は、少年の描き散らかした絵の一枚を手にしていました。
「いいよ。いくらでも持っていって。いつも欲しいという人にはあげているから」
「ありがとう」
視線をすぐに戻し、少年はまた世界を描き始めました。
赤、青、黄、世界は色に満ち、少年は必死で世界を写します。
しかし、今日はどういうわけか、作っても作っても色がどうしてもすぐに足りなくなるのでした。一生懸命色を重ねても、世界は次から次へと変化するのです。それはまさに万華鏡のようで、くるくると色と輝きを変えながら表情を変え、少年は夢中になって絵を描きました。
綺麗でした。でも、
「その絵は綺麗じゃないね」
 先程の少女が言いました。
 絵にはたくさんの色が法則もなく重なり合い、人や物は形をなさず、光も影もありません。
 少しも綺麗じゃない絵を完成した少年は、だけど、にっこりと満足げに笑いました。
「そうだね。でも、僕は『綺麗なだけ』の世界なんてこの世にはないって知っている。僕の描く絵も僕にとってはどれも綺麗で美しい世界だ。けれど、他の人から見てもそうだとは思っていない」
「醜いものは醜い。汚いものは汚い。それは変わらないよ」
「世界を醜くしているのは、世界自身ではないよ。逆に、世界を美しくしているのも、世界自身ではない」
 少女は首を捻りました。
「ねえ、もう一度弾いてよ」
 絵を描く少年は、音楽を奏でる少女に言いました。
 ケースから出されたバイオリンが少女の手にありました。
絵を貰ったお礼にと、少女は少年の隣でバイオリンを演奏していたのです。
 再び、ゆっくりと少女は音楽を紡ぎだします。
 少年の目に映る世界はまた、万華鏡の世界になりました。

 たった一人だけの世界では、そこにある色は限られる。たくさんの人や物が集まって、世界には色が足されてゆく。
 だからこそ、世界は限りなく美しくなり、どこまでも醜くなる。

「綺麗な世界がいい」
 弾き終えた少女は言いました。
「どうして醜い世界も愛せるの?」
 綺麗なものがいいと誰もが思う。
 綺麗な世界であって欲しいと誰もが願っている。
 だから少女は、醜いものはいらないと。
「それが僕の生きる世界だから」
 少年は世界に要求しない。世界が少年に要求しないように。
 世界は少年に綺麗であることを求めないし、少年も世界に綺麗であることを求めない。
「世界はね、不完全なんだ。そこに生きているのは、不完全な僕、君、大勢の人、たくさんの動物や植物。だからこそ世界は回るんだ」
「不完全なままなら、何も回らないわ」
「回るよ。不完全だからこそ皆で補って回すんだ。世界はね、凄く綺麗でいて、同時にとても醜い」
 少年は新しいカンバスを取り出しました。
 真っ白なカンバスは穢れもなく綺麗です。
 だけど、少年はその無垢を惜しむことなく絵の具を散らし、カンバスは綺麗ではなくなりました。
 綺麗な色。
 汚い色。
 カンバスに少年の描いている世界は、色を増やし、まるで迷路のようになったかと思いきや、
「これが、世界」
 どれだけたくさんの色がつけられているかも分からない、けれど、少女の目にもその絵は確かに世界でした。
「僕もね、綺麗なものは好きだよ。でも、醜いものをそぎ落としたら、本当に世界は綺麗なんだろうか? そぎ落とした分だけ、世界は歪になる」
 最初、少年の世界と少女の世界は違うものでした。
 けれど、世界は一つきり。
 少女は自分の見ていた世界が、世界のいくつもの顔の一つでしかないことに気付きました。
「私ももっと世界が見たいわ」
「じゃあ、一緒に行こうか」
 差し出された少年の手を少女が握ります。
 世界はまた、そうして回り始めるのです。


[No.74] 2008/06/19(Thu) 22:37:36

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