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   作品投稿所:誰かの笑顔のための物語 - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ - 2008/06/04(Wed) 15:01:29 [No.8]
投稿を締め切ります - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ - 2008/06/21(Sat) 05:04:22 [No.108]
今、傍にいない君へ - 那限逢真・三影@天領 - 2008/06/20(Fri) 23:23:46 [No.98]
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黒耳猫のお花見 - 久遠寺 那由他@ナニワアームズ商藩国 - 2008/06/20(Fri) 13:09:01 [No.83]
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人間 - 不離参@海法よけ藩国 わかば - 2008/06/16(Mon) 16:20:51 [No.59]
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疑惑(2) 暗躍篇 - 薊@リワマヒ国 - 2008/06/15(Sun) 11:42:53 [No.51]
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審議中です - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ - 2008/06/15(Sun) 14:48:02 [No.53]
作品を受領いたしました - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ - 2008/06/17(Tue) 16:47:02 [No.64]
『心の声』 - 鈴藤 瑞樹@詩歌藩国 - 2008/06/14(Sat) 23:32:46 [No.49]
貴方はどなた? - 不離参@海法よけ藩国 わかば - 2008/06/14(Sat) 14:37:57 [No.48]
名前の無い海の物語(修正1) - むつき・萩野・ドラケン@レンジャー連邦 - 2008/06/10(Tue) 16:30:14 [No.26]
文字数の再チェックをお願いいたします - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ - 2008/06/10(Tue) 23:20:00 [No.34]
あなたにメリークリスマス - 志水高末@たけきの藩国 - 2008/06/10(Tue) 03:45:54 [No.25]



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作品投稿所:誰かの笑顔のための物語 (親記事) - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ

こちらは、『誰かの笑顔のための物語』部門の作品投稿所です。
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【テンプレート】
○国民番号:PC名:藩国
○「作品タイトル」
○テキスト文字数

(以下、テキスト本文)
   ・
   ・
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 ファイルにて提出ご希望の方は、以下のメールアドレスにご送信ください。

○スタッフ:舞花・T・ドラッヘン@天領
 keikodck☆hotmail.com(☆⇒@に置き換えてください)
 


[No.8] 2008/06/04(Wed) 15:01:29
あなたにメリークリスマス (No.8への返信 / 1階層) - 志水高末@たけきの藩国

○26-00497-01:志水高末:たけきの藩国
○「あなたにメリークリスマス」
○文字数:1978文字

以下本文

「では、あの夜の事を話していただけますか?」
「・・・はい。よく、覚えています。肌を突き刺すような寒い日でしたから」

 /*/

あの日は聖夜
東国人の国、たけきの藩国といえども
街に人々の明るい笑顔があふれるのは他の藩国と同様であった

が、どこでも例外というものは存在する
「俺たちは今宵、しっと団へと名前を変える。世の男女に鉄槌を下さんがためにッ!!」
「閣下」
「どうした竹戸」
「月光さんが酒瓶抱えて泣いてます」
「・・・・・・ほんとはさ、俺、ヨーコさんとデートしたかったんだ・・・」
涙をぽろぽろと流しながら、ぬぐおうともせず飲み続ける月光
あまりにも不憫な背中を見つめつぶやく
「・・・今日は騒ぐのやめるか」
「そうですな、今日は朝まで飲み明かしましょう」
「そうですね。あ、でも九時からアノ人と会わなくちゃいけないんで、僕はその辺までで・・・あ、え?」
「月光、それで殴ったらたぶん死ぬぞ」
「今の俺は手加減できねぇ。竹戸、死んでくれ」

 /*/

街にはささやかなイルミネーションが取り付けられ、夜を待つ
道の中心にはお決まりのツリー
人々はしばし足を止め眺め、微笑む

そんなな空気は、子供たちにもただよう
「なぁ、もうすぐクリスマスだけどお前知ってるか」
「なに?」
「枕元に靴下置いておくとプレゼント持ってきてくれるらしいぜ。知らないのかよ」
「え、なんだよお前サンタなんてまだ信じてんの?だっせー」

そんな会話を交わす子供たちを目で追う、腹の出た中年紳士が連れに話しかける
「お二人とも聞きましたかな?」
「聞いた。なんとかしてやらないとな・・・おい志水、大丈夫か」
「ウェッ・・・ウゲッ・・・大丈夫だ。酔いは醒めた。子供たちも大丈夫だ」
「よし、水飲んでから話せ」
ペットボトルを渡され、一気に飲み干す
「・・・俺たちがサンタになろう」
「良い案ですな。ですが時間がありませんぞ?プレゼントはどうします」
「藩国の倉庫に眠っている『アレ』を使う」
「おいおい・・・『アレ』を使うのか!?」
「いえ、『アレ』は元々使われなければただのモノ」
「そうだ、使われてこそ初めて価値があるモノに変わる」
「末端価格1億とも言われる・・・・・・いや、やるか!!」
妙に酒臭い三人の男は周囲の目を気にせず、高笑いしながら走り去っていった

 /*/

「ちょっと待ってください!!その中身は藩国の備品でっ」
「はははは!藩王には上手く言っておいてくれみたん!」
「すまねぇな。この借りはいつか返すぜ」
「代わりに私の履いてるふんどしを差し上げましょう。わらしべ長者みたく出世できるかもしれませんよ?」
背後で叫ぶひわみを背に、三人は満面の笑みを浮かべ駆け出す
外はオレンジの世界から星の瞬く世界へと変化する瞬間
夜はもうすぐだった

 /*/

「え?備品を強奪して逃げた?」
「はい。ほんとに素早くて私だけではとても」
世間はクリスマスだというのに、私は何をしているのだろう
本当だったら今日はヤガミと・・・
「藩王様、聞いてらっしゃいますか?」
「ごめんなさい。もう一度」
「ヤガミさんからここに来てくれと伝言が。さ、お出かけの準備を」
「でも、まだ仕事終わってないし。むしろ増えてるし」
「今日くらいは良いでしょう。後は私が文字通り始末しておきますよ」
「みたん・・・ありがとう」
「みたんって言うな」

 /*/

その夜、闇夜に溶け込まない赤と白と肌色の何かが街を駆け回る
ひわみの組織した捕縛グループも駆け回る
「向こうの道に入ったぞ。追え!!」
志水はなんとか一団をやり過ごし、近くの窓を静かに開け(割)る
忍び足で枕元へ近づき、靴下の中にプレゼントを押し込む
満足げな笑みを浮かべ割った窓から脱出
「いたぞっ」
休む暇なく駆け出す
おかしいな。今日は良いことしてるはずなんだが

「お、摂政は見つかりましたか」
響き渡る悲鳴を聞きながら
モモは軒下から侵入
枕元の靴下を探すが見つからない
「仕方ありませんね」
苦笑しながら自分の靴下を片方脱ぎ、プレゼントを押し込む
枕元にそっと置き、窓の鍵をあけ闇の中へ

「ヨーコさん。俺、今頑張ってるよ」
星空を見上げそうつぶやき、窓へと目をやる
すると目の前にはまだ起きていた子供が
「・・・サンタさん?」
「ああ。さ、靴下を出しな。プレゼントをあげよう」
子供の顔が満面の笑みへと変わる
月光は子供が寝室へ靴下を取りに行っている隙に、プレゼントを窓枠へ置き去る
「あれ、サンタさん?」
周りを見回すと窓のところに靴下が片方
急いで中身を取り出すとそこには
「・・・くつした?」
その疑問を解く者は冬空へと消え去っていた

 /*/

数日後、政庁
顔を腫らした男が縛られて転がされていた
「で、なんで備品の靴下を強奪したかはわかりました」
「はい」
「で、なんで靴下」
「子供たちが靴下を好きになるように。あわよくばハント」
「おい」
「靴下が、大好きだからーッ」
そう力の限り叫んだ男の脳天にバットが振り下ろされた

 ―沈―

ここまで

感想:
書いたはいいけど、なんか趣旨と違う?場違い?
メッセージは世界に向けてラブソックス
ハイ、すみませんorz


[No.25] 2008/06/10(Tue) 03:45:54
名前の無い海の物語(修正1) (No.8への返信 / 1階層) - むつき・萩野・ドラケン@レンジャー連邦

○06-00735-01:むつき・萩野・ドラケン:レンジャー連邦
○「名前の無い海の物語」
○1989文字
#今回文族に限らずという事でしたので、応募してみました。
 技族の拙い文章ですが、少しでも何かの力になれます様に。
#カウンターツール使わせてもらいました、お手数をおかけします。

キー1234

(以下、テキスト本文)

「遠い未来に前と会えるのなら、幸せな事だろうなあ。」

年老いた一人の男が腰まで海水に漬かり、水面から頭を出したこれまた年老いた一頭のイルカの頭を優しくなでる。
「俺はもう長く無い、こうやっているのも体に堪える様になってしまったよ。」
深い皺が刻まれた顔をくしゃりと笑みの形にし、顔を上げるといつもと変わらぬ太陽と、照りつける光を反射し輝く海を忘れじと目に焼きつけた。
「…イルカよ、お前に貰ったものだが、これを預ってもらえないか?」
男は海を見据えたまま懐に大事にしまっていた小袋を取り出すと、その中味をイルカくわえさせる。
「我が子には預けられぬ…悲しい事だが欲にとり憑かれてしまってな…、残るものなどさほど無いというのに」
日々争う声、荒む空気、大切なものを無くしてしまった子供達の醜い姿に彼はため息をつく。
「これはお前の子供達が受け継ぐのがいい…いつか大切な友が出来た時に渡す事ができればそれは幸いだ。」
イルカは寄り添う様に体を彼に預けていたが、その言葉に
「ピイ」
と一つ鳴くとゆっくりと周囲を回ってから沖へと泳ぎ出す。
男は笑むとその姿をいつまでも見送り、生涯最後となる涙を皺深い頬から海へと落としたのだった。

…彼が亡くなったのはそれからすぐの事、子供達は必死に彼の持っていた大粒の真珠を探したが、とうとう見つかる事が無かったという。
主人のいなくなった家の外、彼の孫達が庭先の砂で遊びながら無邪気に話していた事を大人達は気付かない。
「おじいちゃんは、うみにかえすんだっていってたの」
「しってる、おじいちゃんのいるかさんにでしょ」
二つの可愛い声の主は、男から不思議なイルカとの友情の物語を一緒に口ずさむ。何度もねだって聞いたのですっかり憶えていた。

『むかしむかし、ひとりの若い漁師がいました…』

漁師はある日、晴れた海へと小舟を出していた。しかしその日は天気が良いにも関わらず魚がちっとも捕れず、不思議に思っていると小舟の側に一頭のイルカが泳いでいるのに気付いた。
漁師は退屈紛れにイルカに話す。
「イルカよ、今日の海はどうしたというのだ、こんなにも晴れているのに魚がいない、いったいどういう事なのか?」
エサに使う小魚をその口先へと持って行けば、イルカは口をあけ魚をぱくり。それから水面から顔を出すと紛れも無く人の声で漁師に話し始めたのだ。
「二本足の者よ、これより海は大きく揺さぶられる、我の仲間はこれより沖に皆移動した、そなたもここから離れることだ」
イルカはそれだけ言うと驚く漁師を置いて沖へと泳いでいってしまった。
我に返った漁師は、ありったけの力を振り絞り舟を漕ぎ陸へと向かう。途中仲間に声をかけ陸に戻る事を話したが、信じる者は少なく戻ったのはほんの何艘かだけだった。
半信半疑の皆と共に舟を陸に上げ、疲れた体を休めようとした時、にわかに激しい突風が吹き、浜辺の砂を巻き上げそれがその身を叩きだした。
「何事だ!」
仲間達も驚き沖の方を見やれば、今までに無いほどの巨大な黒い雲がみるみる内に空一面に広がり、先ほどの穏やかさが嘘の様な強風と豪雨、そして高波が彼らを襲ったのだ。
それは3日3晩続き、そして漁師の言う事を信じず海に残った仲間は誰一人戻る事は無かったという。

漁師は嵐の去った後、イルカと出会った場所へと向かう。波間を覗き込めば魚の姿、あの時はそれも無かったのだと思い出す。
「イルカよ、いるだろうか?この間の漁師だ!そなたに感謝を、お陰で俺は礼を言う事ができる!」
いるだろうか、いないかもしれない、それでも漁師は声を大にして感謝の心をイルカへ海へと伝えた。
穏やかに戻った海を見つめ、漁師は余りにも近くに有り過ぎて見えなかった海の恵み、太陽の恵みに思いを馳せる。あの嵐が終り日の光を見た時、どれだけ感謝しただろうか、海に繰り出し釣り上げた魚を手にした時の喜びを噛み締める。
「二本足の者よ、生きたか」
ふと声をかけられ驚きそちらを向けば、波間につるりとした丸い頭黒い瞳。
「…イルカよ」
漁師は日に焼けた顔を破顔させると、恩人の元へと舟をよせたのだった。


「…それから漁師は何度もイルカの元へ、そうして二人は仲の良い友人になったそうだ。で、漁師はイルカに大きな真珠を友情の証に貰うんだけど、それはその人が亡くなったとたん消えてしまったって不思議な話」
一人の青年が最後におしまい、と言葉を切ると、隣に座る自分の友人に向かい笑顔を向けた。
「これ、俺の家に代々伝わる話な、あんまり信じてる奴いないんだけど、アリなんじゃないかなと思うよ、お前さんと出会えたし」
青年は腕を組むと視線を隣に向けた。そこには人の言葉を話すイルカ知類の姿。
「奇遇だな二本足の友よ、その話なら我らも良く知っている」
イルカは懐かしそうに目を細めると、大切にしまっていた宝物を長い時を超えて返えせるという喜びを、口を開く事で表わしたのだった。


[No.26] 2008/06/10(Tue) 16:30:14
文字数の再チェックをお願いいたします (No.26への返信 / 2階層) - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ

> ○06-00735-01:むつき・萩野・ドラケン:レンジャー連邦
> ○「名前の無い海の物語」
> ○1975文字


○文字数カウント:2053文字

ご投稿ありがとうございます。
文字数カウントしましたところ、当方のチェックでは2053文字となりました。
大変恐れ入りますが、文字数をご確認の上、改めてご投稿をお願いいたします。


[No.34] 2008/06/10(Tue) 23:20:00
貴方はどなた? (No.8への返信 / 1階層) - 不離参@海法よけ藩国 わかば

〇04-000770-01:不離参:海法よけ藩国
〇「貴方はどなた?」
〇文字数704文字

ソレには、お婆さんから聞いた話しがありました。
お婆さんは小さい頃色々大変なめに会いました。
戦争で空襲にあい、歩いて居るうちに、足袋の底が無くなり、足が痛いので死体の上を歩いて怒られました。
貧乏なので、魚のアラを買って来いとお使いに出され。そんな魚はないと、魚屋さんに馬鹿にされました。
紡績工場に出稼ぎに行って、貯めた大金を盗まれました。
痴呆が酷くても、忘れないソレに、何も良いことのない人生だったと言いました。
ソレは、良いことになってやれなかったのかなと思いました。

ソレには、お父さんから聞いた話しがありました。
お父さんは、色々と職をてんてんとして居ましたが、あまり貧乏ではありませんでした。
皆に信頼されているから、皆手伝ってくれると喜んで居ました。
でも罪を犯して、実際より長い年月、刑務所に入れられることになりました。
皆に騙されたと、泣いて謝って居ました。
ソレは、白紙に名前を書けば幸せなれるという人や、助けてくれる人も見て居ました。

ソレには、辛く苦しい記憶がありました。
皆で楽しくやって居たら、お前は存在してはならないと言われました。
ソレ自身にさえも。

みんな他人は信用出来ないと言いました。

でも、ソレにはわかりませんでした。

何処からが、他人で助けなくて良いのか、わかりませんでした。

何処からが他人なのでしょう?

ソレは、自分が誰で、何処から来て何処に行くのか、わかりませんでした。
わかって居るのは、ソレが今ここに居て、何処かもっと楽しい所に行きたいと思って居ることでした。

ソレに会ったら、名前をつける前に、聞いてみてください。

きっとソレは、ソレがソレで、ソレが誰であるか思い出して、答えてくれると思います。

<了>


[No.48] 2008/06/14(Sat) 14:37:57
『心の声』 (No.8への返信 / 1階層) - 鈴藤 瑞樹@詩歌藩国

○18-00343-01:鈴藤 瑞樹:詩歌藩国
○『心の声』
○852文字




『心の声』

あなたの伝えたいことはなに?

もしかしたら。

あなたは今、おなかをすかせているのかもしれない。

大丈夫だよ。

私のパンをわけてあげる。

温かいスープもあるよ。

だから。

その子供から食べ物を奪わないであげて。

その子が持っているのは、配給所で並んでようやくもらったパンなの。

パンがなくなったら、きっとその子は悲しい気持ちになるよ。

足りなかったら私の分もあげるから。

そうして、おなかがいっぱいになったら。

今度はあなたがわけてあげて。

おなかがすいて困っている人に、あなたの分をわけてあげて。

/*/

あなたの伝えたいことはなに?

もしかしたら。

あなたは今、寒くてこごえているかもしれない。

大丈夫だよ。

私の毛布を貸してあげる。

ふかふかでやわらかくて、とっても温かいよ。

だから。

おばあさんの毛布を盗まないであげて。

それはおばあさんが体を温めるために使っているんだよ。

もしその毛布を盗んでしまったら、おばあさんは困ってしまうよ。

足りないなら私の分も使っていいから。

そうして、体が温まったら。

今度はあなたが貸してあげて。

寒さにふるえている人に、あなたの毛布を渡してあげて。

/*/

あなたの伝えたいことはなに?

もしかしたら。

あなたは今、悪い人に襲われて、怖くて泣いているかもしれない。

大丈夫だよ。

私があなたを守ってあげる。

怖がってるよって伝えてあげて、めーして来てあげる。

だから。

その手に持った銃を下ろしてあげて。

それを撃ってしまったら、撃たれた人はいたくていたくて泣いてしまうよ。

怖くてしかたがない時は、私が抱きしめてあげるから。

そうして、怖い気持ちがおさまったら。

相手の人を許してあげて。

そうすれば、あなたのこともきっと許してくれるよ。

本当はね。悪い人なんていないんだよ。

ただ、みんながすこしづつ困っているだけ。

困っている人を見かけたら、今度があなたが助けてあげて。

ふるえて泣いている人に、大丈夫だよって声をかけてあげて。

/*/

あなたの伝えたいことはなに?

私が伝えたいことは、あなたの心の中にあるよ。

あなたの伝えたいことはなに?


[No.49] 2008/06/14(Sat) 23:32:46
疑惑(1) 立ち込める暗雲篇 (No.8への返信 / 1階層) - 薊@リワマヒ国

連作を2本投稿させて戴きます。


〇34-00430-01:薊:リワマヒ国
〇「疑惑(1) 立ち込める暗雲篇」
〇1552文字(文中に半角英数字が含まれているので正確ではないです)



 オリオンアーム内tera領域。
第7世界からの介入者が数多く集うこの世界には、どうやら何か重要な秘密が隠されているらしい。
そのためかテラ領域の藩国群は事ある毎に存亡の危機に見舞われている。
そしてまた、その秘密に関わる新たな危機が近づいていた事に当時の私達は誰も気付いていなかった。

これは華やかな舞台の裏でひそやかに繰り広げられた冒険の軌跡である。


 ここはリワマヒ国。かつてポケット藩国と呼ばれていた国。
内職や生産に追われ続けたこの国は、外敵よりも何よりも、とにかく貧乏と戦い続けてきた。
そんな零細藩国が、てんやわんやの末に極貧生活から脱出できたばかりか
市場の信頼まで勝ち得てしまったのだから世の中は摩訶不思議である。

豊かにはなったものの、身に染み付いた生活習慣はそう簡単に変わるものではない。
藩王を始めとする国民の慎ましやかな生活は長らく変わる事はなかった。

とはいえ、リワマヒ国は南国。南国人というものは得てしてお祭り好きだったりする。
オーマの進攻が一段落して平和な日常を謳歌できるようになると
ようやくリゾートに目を向ける余裕も出てきたようである。


 私こと薊は宮城のおこたの間で技士のシコウと茶を飲んでいる。
今日は藩王の室賀兼一と摂政の東 恭一郎が揃って小笠原へ出向いているため暇である。
たしかポー教授の経済講座を受講するとか言っていたような気がするが、どこまで本気なのやら。

「そろそろお昼ですね。おふたりは息抜きしてる頃でしょうか(昼から呑むのかぁ)」
「お勉強しに行ったから学食かも〜(食堂で呑むのか・・・・・・)」
きっとまた呑んでくるに違いない。
タフト元大統領に謁見すると言って出掛けた時は、しこたま呑んで上機嫌で帰ってきたのだから。


「あ、帰ってきたみたいですー」
「おかえりなさいませ〜」

『薮蛇だぁ〜!!』
兼一王と東はユニゾンでわめきながら帰ってきた。

「なんですか薮から棒に」
「いえ、棒ではなく蛇が」
「蛇なんかその辺にいくらでもいるじゃないですか」
「それはそうなんですけれども、いや、そうではなくて」
酔っ払いのたわ言だと思い適当にあしらう私と、事態の大きさに冷静さを失っている兼一王。
どんどん話がズレていく。

「それはおおごとネウ!」
「ふえ?」
「ん?」
見ると、シコウが拳を握りしめて立ち上がっている。

どうやら東は酒を呑んで落ち着いたらしい。こちらを無視してシコウに説明していたようである。
それにしても、掘りごたつから立ち上がっちゃうくらいのおおごとってどんなや(汗)。
シコウの慌てぶりからすると本当に大変らしい。

「一体何事ですか?」
「お金が無いんですっ!」
取り急ぎ結論を述べる兼一王。
「そんなのいつもの事じゃないですか」
「それはそうなんですけれども、いや、そうではなくて」


 改めて、今度は真面目に話を聞く。
なにやら難しい話を聞かされたが、どうやら公金横領の疑いがあるらしいという事は理解できた。
共和国の共有資産とも言える中央銀行の準備高におよそ5000億にゃんにゃんもの使途不明金がある。
その金に手を付けられる立場にいるのはタマ大統領だけなのだが、現在タマは拘束されている。
誰も手を出せない筈の金が何に使われたのか皆目見当がつかないのだそうだ。

「おおごとですー!」
思わず立ち上がり、拳を握りしめる。
「ええ。ですからどうしたものかと」
「ここまで桁外れの金額だと放っておくわけにもいかんだろうし」
「悪用されたら大変な事になるネウ」
シコウまで加わって頭を抱えてしまった。

息抜きしに行った筈の小笠原で余計な難題を抱え込んで帰ってきた兼一王と東。
消えた5000億の行方を探る2人の冒険は、後にニューワールド全土を震撼させる事になる。


 ここはリワマヒ国。
どういう訳か王道からは縁遠い国。
今日も今日とて地味で特殊な裏街道を驀進中である。

<了>


[No.50] 2008/06/15(Sun) 11:39:16
疑惑(2) 暗躍篇 (No.8への返信 / 1階層) - 薊@リワマヒ国

2本目です。
藩国チャットで野次馬していたのはここまでなので序章でおしまいになります。


〇34-00430-01:薊:リワマヒ国
〇「疑惑(2) 暗躍篇」
〇1731文字(文中に半角英数字が含まれているので正確ではないです)


 オリオンアーム内tera領域。
第7世界からの介入者が数多く集うこの世界には、どうやら何か重要な秘密が隠されているらしい。
そのためかテラ領域の藩国群は事ある毎に存亡の危機に見舞われている。
そしてまた、その秘密に関わる新たな危機が近づいていた事に当時の私達は誰も気付いていなかった。

これは華やかな舞台の裏でひそやかに繰り広げられた冒険の軌跡である。


 ここはリワマヒ国。
莫大な生産量を誇る食糧生産地として名高いこの国は、生産した食糧の大半を市場に卸している。
資金源を持たないこの国にとって市場は貴重な収入源であり、市場取引は命綱である。
そのため市場の閉鎖は命取りとなりかねず、必然的に藩王 室賀兼一は市場を注視するようになる。
兼一王は摂政を務める東 恭一郎と共に市場の動きを監視し、閉鎖が起こらぬよう介入を試みた。
食糧の安定供給と並行して数々の取引が繰り返され、いくつかの事件の末に
リワマヒ国は市場に顔が利くようになっていった。


「……おかしい」
東は違和感を感じていた。
今後のためにと過去の市場の流れを分析していたところ、些か不自然に思える動きが見つかった。
物流の増加に伴い拡大し安定したかに思えた市場が急激に縮小していたのである。
大規模な公共事業が行われた後であれば市場の縮小はやむを得ない。それは理解できる。
しかし7800億ともなると公共事業だけでは説明がつかない。ここまで極端に縮小するものだろうか?
不正な支出があったのだとしたら法官の仕事にも関わってくる。調査した方がいいのかもしれない。

東は兼一王に相談し、調査に乗り出す事にした。
まずは経済に明るいナイアル・ポー教授に助言を請おう。教授の見解が問題ないのならそれでいい。
だが、専門家の目から見ても不自然だとしたら……


 一方、おこたの間では……

「冬ですネウ〜」
どてらを羽織ったシコウがコタツに突っ伏していた。

リワマヒ国は南国に分類されてはいるが、季節の移り変わりによる寒暖の差が激しい国である。
オフシーズンの到来と共に少しずつ暑さが和らぎ、今やすっかり冬の気配が色濃くなっていた。

私こと薊も同様の格好をしている。焼きミカンを食べながらシコウに協調する。
「冬ですねー」
ずずっと茶をすする。ちょっと熱い。
たくあんを茶に浸して食べ、再度茶をすする。
「染みますネウー」

猫はコタツで丸くなる。護民官だろうと補給士官だろうと寒いものは寒いのである。


 東と兼一王は本格的に横領の調査を始めたらしい。

「ただいま戻りました」
「おかえりなさいませ〜」
「おつかれさまですー」

事が事だけに、戻ってきたばかりの2人に茶を出しながら経過報告を促す。
「お疲れでしょうけど話してください」


「……という具合に、ケーキを輸入した会社は既に倒産し綺麗さっぱり引き払われていた」
「まさか我が国から事件が始まっていたとは思いもしませんでした」

税務資料を当たると、ケーキの輸入という名目で多額の資金が国外へ流出していた事が判明した。
資料によると100億相当のケーキが輸入されており、頻繁に運送会社が出入りしていたようである。

「賞味期限内に売り切れなくて倒産しちゃったんですか?」
「いえ、ケーキは偽装でした」

あまり日保ちのしない品を莫大に、それも短期間に輸入するというのはおかしな話である。
調査を進めたところ、実際はケーキではなく航空機やI=Dの部品が流通していたらしい。

「ケーキではなく計器類だったんですね」
「不謹慎な」
「すみません」
「まあ、駄洒落のように聞こえなくもないですが、洒落にならない事態である事は確かなようです」

輸入された大量のケーキは羅幻王国を経由して海路で運搬されたらしい。
輸出先は……タマ民主主義藩国!?

「やっぱりタマですか?」
「そのようですね。表向きには、ですが」
「単独で動いているとしたら性急で大胆すぎるようにも思える」
「タマは捨て駒でトカゲの尻尾切りですかネウ?」

まだ調査を始めたばかりだとはいえ、謎は深まるばかり。
宇宙に巨大な円盤が出現したという情報がもたらされるのはもう少し後の話である。


 ここはリワマヒ国。
市場の信頼を得た事が裏目に出てか、陰謀の拠点が置かれてしまっていた国。
今後は公的な査察機関の確立を検討していく必要があるのかもしれない。

<了>


[No.51] 2008/06/15(Sun) 11:42:53
気がつけば「よけ祭り」 (No.8への返信 / 1階層) - 青にして紺碧@海法よけ藩国

○04-00085-01:青にして紺碧:海法よけ藩国
○「気がつけば「よけ祭り」」
○タイトル込みで1997文字

 気がつけば「よけ祭り」


 それは、ある日の藩国での出来事。

「陛下ぁ!」

 海法よけ藩国藩王:海法 紀光の執務室のドアを、ある人物が荒々しくドアを開けた。

その名は青にして紺碧。数字は3以上数えられないという困った特徴を持つ、(一応)藩国の摂政だった。

「………来たか」

海法はつぶやく。全く、どうせ追いかけてくるならゆかりたんにしてほしいよ、というのが本音だ。ゆかり、というのは海法の個人ACEにして王妃(予定)だ。

「き、今日こそこの書類にサインを!」

紺碧は右手に掲げた書類の束をばっさばっさと振りかざす。

「紺碧さんや」
「なんでしょうか、陛下?」
「それ、何枚あるか今数えてみて」
「は、はい。それでは、えーと1、2、3……ええと……」

床にしゃがみ込み、書類の枚数を3まで数えてはまた先頭に戻る紺碧。その姿を見やりながら、執務室の窓を開ける海法。そしてそこから身を躍らせ、飛び降りた。
 藩王に逃げられた、もとい職務を避けられたと紺碧が気づいたのはそれから3分後のことだった。

「……へ〜い〜かぁ〜!」

書類の束を握り直し、とにかく政庁の外へ闇雲に駆け出す紺碧。なんとしても今日こそは、この書類にサインをしてもらわないと、このままではどんどん職務がたまってしまう。

「待ってください〜!へ〜い〜か〜!」

藩国中に響かんばかりの大声で叫びながら、紺碧は走る。

「なんだなんだ?」
「ほら、いつものあれよ。陛下が職務を避けて、紺碧さんが追いかけてるの」

入国したばかりの不離参が、鬼の形相で走る紺碧を遠くに見やる。それについて簡潔に説明する森沢。

「ああ、藩国の年中行事とか言うあれですか。でも、紺碧さん、陛下の行方はわかるのかな」
「……追いかけ慣れてるからねぇ」

「紺碧さん、これをっ!」

通りかかった秘書官:蒼のあおひとが紺碧に何かを投げてよこす。

「おお、これはぽてち!かたじけないあおひとさん!」

封を開けてぽてち(ポテトチップス)をばりばり食べながらなおも追いかける紺碧。ぽてちは紺碧の好物の1つで、ヒマがあればしょっちゅう食べている。

「紺碧さん、これを!」
「ありがとう近衛さん、ってうわっぷ!」

国民:近衛カケルが投げつけたのはこねかけのうどん粉だった。それが紺碧の顔面にクリーンヒットした。

「あれ?勝手によけ祭りでも始めたと思ってたけど違うの?」

 よけ祭り、とは国内で突発的に起こるイベントで、傷んだオレンジや別れた恋人の写真、請求書など、投げつけたら嫌がられる物をそれぞれが投げ合い、それを避けるというものだ。

「なに、よけ祭りとな?」
「今回は標的役を摂政様が務めるらしいよ」

瞑想通信で誤った情報があっという間に国内全土に流れていく。設定国民たちは手に手にいろいろなアイテムをもってメインストリートに現れる。そこにマラソンランナーよろしく現れた海法に、簡易給水所を設けて水を渡すゆかり。海法はにっこり笑ってありがとう、といいながら水を飲み、また走る。その後ろから追ってくる紺碧に向かって、国民達&ゆかりがいろいろな物を投げつける。

「ちょ、ちょっと待ってみんな、なんでそんなにいろいろ投げつけてうわっ!」

四方八方から飛んでくるさまざまなアイテムを避けながら走る紺碧。しかしたまに避けきれず後頭部にヒットする。今当たったのは出せなかったラブレター100通の束だ。投げつけたのは誰だ?

「あれはなんですか?」
「晋太郎さん、あれはよけ祭りと言って……」

よけ祭りを見たことのない個人ACE:夜國晋太郎に説明する夜國涼華。

「不毛だな」
「そうやね、でもどんなときでも娯楽って必要やろ?」

追われる藩王と追う摂政を一言で片付けるソウイチロー・黒崎と、勘違いの答えを返す黒崎克耶。これで会話が噛み合っているのだから不思議だ。

「なあ、紺碧さん」
「ぜぇ、ぜぇ、な、なんですか殿下?」

殿下こともう一人の摂政:嘉納が紺碧を呼び止める。

「いろんな物を投げつけられても、その手の中の書類は汚さないところはさすがだけど。それ、俺たちがサインしても問題ないんじゃない?」
「へ?」

嘉納が、プリントアウトしたテンダイスのとあるページを取り出す。

「あ、“*摂政は摂政の持つ全ての権利と藩王に忠誠と輔弼の義務を持つ。”でしたね……がくっ」

 嘉納の一言でぐったりと倒れる紺碧。

「この書類は俺がサインして返しておくから、紺碧さんは思う存分、祭りの的になるといいよ。じゃあね」

 ひらひらと手を振ってその場を去る嘉納。地面に倒れた紺碧をぐるりと取り囲んで、国民達がにこやかににじり寄る。

「それでは、みなさん、どうぞ!」

ゆかりのかけ声で、紺碧に向かって一斉にいろんなアイテムを投げつける国民達。みんな一様に楽しそうな表情をしている。

「い、いいんだ。国民のみんなが楽しんでくれるならそれで……」

投げつけられた腐った卵とよけキャベツにまみれ、埋もれながら紺碧は本日最後の一言を発した。


[No.52] 2008/06/15(Sun) 12:34:49
審議中です (No.50への返信 / 2階層) - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ

勢いがあって、大変楽しく読める作品なのですが、

・1話単体を取り上げて、話の内容が把握できるか
・2話連作としても、話全体が完結していない

という点で、今回の募集規定から外れているように思います。
審議のため、しばしお時間の猶予をください。


[No.53] 2008/06/15(Sun) 14:48:02
審議中です (No.51への返信 / 2階層) - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ

勢いがあって、大変楽しく読める作品なのですが、

・1話単体を取り上げて、話の内容が把握できるか
・2話連作としても、話全体が完結していない

という点で、今回の募集規定から外れているように思います。
審議のため、しばしお時間の猶予をください。


[No.54] 2008/06/15(Sun) 14:48:57
(No.8への返信 / 1階層) - 不離参@海法よけ藩国 わかば

〇04-00770-01:不離参:海法よけ藩国
〇「人」
〇文字数 426文字
「貴方はどなた?」の続きです。

ソレは自分が誰か思い出しました。
「私」は「私」で、「私」は人でした。

その人には、おじいさんが居ましたが、生まれる前に亡くなって居たので、会ったことはありませんでした。
聞いた話しによると、戦後国からもらった土地を、頑張って開墾し、家を建て畑を作りました。
その人は、ソレがあるから今が在るのだと思いました。

その人には、お母さんに聞いた話しがありました。
お前は何がやりたいんだい?
親はいつまでも生きていられないんだよ?
自分の人生自分で選べなくてどうするの?
上手くいかなかったら、他人のせいにするのかい?
その人は、自分がやりたいことで、みんなを幸せにしたいと思いました。

その人には、どうしてもやりたいことがあったのです。
子供の頃にみた、色あせることのない夢が。

人は間違うし、自分を制御することも難しい。
でも人間は間違っていると思うなら正そうとすることが出来ます。

人間は人が見た夢でした。
自分は、こんな立派な人になりたいと思う。

人は人間になるために努力しました。

<了>


[No.58] 2008/06/16(Mon) 14:46:14
人間 (No.8への返信 / 1階層) - 不離参@海法よけ藩国 わかば

〇04-00770-01:不離参:海法よけ藩国
〇「人間」
〇文字数 378文字
「人」の続きです。

人はもともと一人ではありませんでした。
自分の目標とする、立派な人間になるために努力していたら、助けてくれる人間が現れました。
次から次へと、みんな夢を見ていたのです。殺しあわなくてもすむ未来を。

その人間には聞いた話しがありました。
戦うことを生業としているにもかかわらず。
殺すことを良しとせず、自分の役割が必要とされなくなる明日を望む人間の話しを。

その人間には聞いた話しがありました。
育てることを義務としているにもかかわらず。
一人でもみんなと生きていけるように。
ころんでも自分で立ち上がれるように。
困っている人が居たら、助けてあげられるように。
自分の役割が必要とされなくなる明日を望む人間の話しを。

その人間は、どうしても明日が見たかったのです。
来ないかもしれない、明日を呼ぶために戦う。
仲間どうしで争わず、協力する明日を。

人間は明日を信じました。そんな明日を。

<了>


[No.59] 2008/06/16(Mon) 16:20:51
明日 (No.8への返信 / 1階層) - 不離参@海法よけ藩国 わかば

〇04-00770-01:不離参:海法よけ藩国
〇「明日」
〇文字数 364文字
「人間」の続きです。

昨日の次は今日、今日の次は明日。
今日は、昨日の明日です。

そうしようと努力する人間が居るかぎり。

でも、人の一生より長い夜は、ザラにあると聞いたことがあります。
無意味な人生はあるのでしょうか?
ソレは無いと「私」は思います。
人が一人で生きられないのは、人が世代を重ねるのは、人間が人間であるということは、無意味なものを無くすためなのだろうと。

人は昔も今もこれからも変わらないのかもしれません。
人は人として完成しているのかもしれません。

人間は、その時代その時代によって変わっています。
人間は人間として完成しないのかもしれません。

でも、昔も今もこれからも変わらないということは、変わっているということだと思います。
少しずつ変わっているからこそ、変わらない。
そういうことだと「私」は思います。

そんな、あるがままの明日を「私」は信じています。

<了>


[No.60] 2008/06/16(Mon) 16:58:14
あるがままの貴方 (No.8への返信 / 1階層) - 不離参@海法よけ藩国 わかば

〇04-00770-01:不離参:海法よけ藩国
〇「あるがままの貴方」
〇文字数384文字

「明日」の続きです。

ソレには、辛く苦しい記憶がありました。
でもソレは、自分が誰か思い出しました。

「私」は「私」で、「私」は人でした。
人は人間の夢を見ました。
人は人間になるために努力しました。

人はもともと一人ではありませんでした。
助けてくれる人間が現れました。次から次へと。
みんな夢を見ていたのです。争わなくてすむ明日を。
人間は明日を信じました。そんな明日を。

昨日の次は今日、今日の次は明日。
今日は、昨日の明日です。

明日は来ます。きっと。
そうしようと努力する人間の居るかぎり。

昔も今もこれからも変わらないということは、変わっているということだと思います。
少しずつ変わっているからこそ、変わらない。
そういうことだと「私」は思います。

そんな、「私」を嘲笑する他人は居るかもしれません。

それでも、そんな、あるがままの明日を「私」は信じています。

そんな、あるがままの「貴方」を「私」は信じています。

<了>


[No.61] 2008/06/16(Mon) 18:37:28
作品を受領いたしました (No.53への返信 / 3階層) - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ

作品を受領し、ページに反映させていただきました。

この続きはどうなるのかと、すごく気になってしまうのですが、
5000億事件の、リワマヒ藩国での裏事情のワンシーン、
という形の作品と理解いたします。

回答がこんなに遅くなりましたこと、本当に申し訳ありません。

舞花・T・ドラッヘン@スタッフ


[No.64] 2008/06/17(Tue) 16:47:02
作品を受領いたしました (No.54への返信 / 3階層) - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ

作品を受領し、ページに反映させていただきました。

この続きはどうなるのかと、すごく気になってしまうのですが、
5000億事件の、リワマヒ藩国での裏事情のワンシーン、
という形の作品と理解いたします。

回答がこんなに遅くなりましたこと、本当に申し訳ありません。

舞花・T・ドラッヘン@スタッフ


[No.65] 2008/06/17(Tue) 16:47:58
けものになった王子さま (No.8への返信 / 1階層) - みぽりん@神聖巫連盟

【テンプレート】
○36-00695-01:みぽりん:神聖巫連盟
○けものになった王子さま
○1952文字(タイトル含めず1941文字)

むかしむかしのおはなしです。
ある国に王子さまがいらっしゃいました。
とても勇敢で とても賢くて
国王も王妃も臣下も国民も皆、王子さまを誇りに思っていました。
王子さまも皆がだいすきでした。

ある日のこと。
ふもとの町に、皆を恐がらせる化け物があらわれました。
その化け物は全身硬い毛におおわれ、目はぎらぎらして、おおきな口からは赤い舌をのぞかせているのでした。
ふもとに住む者は、国王に化け物を退治してほしいといいました。
国王は軍隊を派遣して町の周辺を探索させましたが、化け物は見つかりません。
王子さまは決心しました。
「皆を恐がらせる化け物を私が退治して参りましょう!」
王子さまの勇敢なお言葉に、町のひとは喜びました。
王子さまは剣を持ちふもとの町まで向かいました。
「町人をこわがらせる化け物よ出て来い!私が相手になってやろう!」
町はずれの草原で王子さまはさけびました。
そのときです。
がさごそとおとがして、化け物があらわれました。
全身硬い毛におおわれ、目はぎらぎらして、おおきな口からは赤い舌をのぞかせていました。
町びとが言ったとおりだと思い恐ろしさで数歩あとずさりしましたが、王子さまは勇敢に剣をふるいました。
剣は化け物にあたり、化け物は目をつむりました。
そして、ふらふらしながら、どこかへ行ってしまいました。
王子さまは化け物を追いましたがもうどこにもいません。
疲れを感じた王子さまはさらさら流れている湧き水をすくって飲みました。
水はとても甘く、蜜を落としたような味がしました。
木にもたれて休んでいるうちにうとうと眠ってしまいました。


王子さまは夢をみました。
煙のような黒い塊が王子さまの口から入ってくるのです。
苦しさと気味の悪さに必死で抵抗するのですが、黒いものは血管を通り王子さまの全身をかけめぐります。
いつしか王子さまは夢の中でも意識を失いました。


頬をなでる草の感触に王子さまは目を覚ましました。
くすぐったくて右手で頬を触るとごわごわと違和感を感じました。
左手でも触れてみて、信じたくない思いで両手を見ると、王子さまの両手は獣のようになっていたのでした。
立ち上がろうとして、立てず、仕方なくよつばいで水辺にゆき姿を映してみるとその姿はあのいやしい化け物だったのです。
あまりのことに王子さまは泣きました。
しかし両の目からは涙は一滴も出ないのでした。

助けてほしくて、獣になった王子さまはふもとの町までやってきました。
獣になった王子さまをみて、町の皆は恐怖に恐れおののきました。
「いやしい化け物!これでもくらえ!」
子供の投げた石が王子さまの右目に当たりました。
あまりの痛さに王子さまは身をすくめました。
それをみた町のおとなたちは皆で石を投げつけました。
王子さまはふらふらと王城にむかいました。
父王、母王妃ならきっと自分だとわかってくださると信じて。

しかし王も王妃も獣になった王子がわが子だとはわかりませんでした。
「衛兵よ!弓もておいはらえ!」
するどい声で家臣に命じます。
力をふりしぼって、王子さまは逃げました。

どこまで駆けたのか。
王子さまは力つきてその場に倒れました。
さわさわと草がゆれ、昼下がりのやわらかな日差しが王子の体を照らします。
美しい世界。
なにも変わらないのに、私だけが変わってしまった。
悲しくて、ただ悲しくて、王子さまは泣きました。
しかし瞳から涙は一滴も出ないのでした。
私は泣くこともできないのか
そのときがさごそと音がしました。
みるとあの化け物です。
化け物はそっと王子さまに近づくと、その舌で王子さまの右目をぺろりとなめました。
まるでなぐさめるように、全身の傷もひとつずつ、丁寧になめてゆきます。
そしてうつむきました。
王子さまは不思議な気持ちになりました。
もしかしてこの獣は、私のために悲しんでくれているのか?
胸に熱いものがこみあげました。
全身の力をふりしぼって、王子さまは獣に近づきました。
悲しみを癒したくて頬をぺろりとなめました。

そのときです。
2匹の獣を明るいひかりが包み込みました。
みると獣の姿が美しい少女の姿に変わってゆきます。
頭には小さな王冠が輝いています。

王子さまももとの美しい姿にもどっていました。
「王子さまごきげんよう。わたくしは海の国の王女です。あなたがわたくしのきもちをわかってくれたから、わたくしはにんげんに戻れました。ありがとう」
海色の美しい瞳からは涙がこぼれていました。
王子さまは頬につたう涙をそっとなめました。
そしてやわらかな頬にくちづけました。

王子さまは王女さまをともなって城に帰還しました。
美しい王女をともなっての帰還に国中が喜びました。


後に即位した王子さまは賢君として国を治めました。
その傍らには海の国の女王になった王女が寄り添っていたということです。


[No.67] 2008/06/17(Tue) 23:16:36
力の在り処 (No.8への返信 / 1階層) - 椚木閑羽@越前藩国

○32-00645-01:椚木閑羽:越前藩国
○「力の在り処」
○テキスト文字数 1754文字

作業に追われて食堂へ行くタイミングをすっかり逃してしまい、腹の虫をブドウ糖でごまかしながら黒埼は仕事を続けていた。

不意に、山積の書類の間から顔を出したのは一輪挿しの花瓶。
そこには白いカーネーションがひとつ、ひそやかにたたずんでいた。

誰が活けたのだろうと首をかしげているところへ、刀岐乃が食事を差し入れに来た。
盆を受け取って刀岐乃に一輪挿しのことを訊ねると、
「閑羽ちゃんですよ」
という答えが返ってきた。

無理やり作業に区切りをつけて、花を眺めつつ食事に取り掛かる。
仕事に没頭したら、なかなか食事に手をつけない自分の性格を配慮してか、さめても美味しく食べられるものが選ばれていた。だが、やはりまだ湯気の立っているうちは、一味違う。

次の食事は、手を休めて食堂に行こう。

黒埼は食事を終えて箸を置くと、盆の端にのっていた小皿の中のブドウ糖を、ざらざらと口の中に放り込んだ。

/////

少し早めに作業の区切りがついたが、ここで「もう少し」とやってしまうと、結局また食堂に行きそびれるのが目に見えていたので、空いた食器の乗った盆を持って、執務室を出た。

食卓の上にも花が飾ってあった。
時期なのか、そこに飾られているのもカーネーション多く、自分の執務室に飾られていた白いもののほかにも、ピンクやオレンジといった明るい色の花、青や紫の変わった色の花が混在していた。

流しの洗い桶に水を張り、食器に軽く水を当ててから沈める。油落ちをよくするために、新しく水を張ったら、洗剤を2〜3滴落としておくことも忘れない。

食器を全部水につけてしまい、お茶でももらおうかと、戸棚に目をやると、2枚の張り紙が目に入った。
一方は食事当番表。
日付けと、その日の食事当番を請け負う藩士の名前のほかに、「じゃがいも使い切ってください」という書き込みがあれば、「ポテトサラダにします」と返答が書き込まれていたり、「藩王様の釣ってきたかにがたくさんあります」という書き込みに「かにたま!」「甲羅酒!」と、希望らしきものが書き込まれていたりと、ある意味伝言板のような役割も果たしているようだ。

もう一方は「摂政さまのごはんの注意」と書いてあり、その中身は、「冷めても食べられるおかずにする」「食べるのに時間がかかるものはダメ」「栄養のバランスを考えて、カロリーは抑え目に」「ごはんをもって行くときはお仕事の邪魔をしないこと」などの文面が並んでいた。

文字の主はおそらく刀岐乃だろう。
一番下にご丁寧で赤文字で、「ブドウ糖を忘れないこと!」と書き込んだのは、夜薙だろうか。
「結局ブドウ糖かい!」
思わず張り紙にツッコミを入れる黒埼だった。

/////

藩国のどこそこで何があっただの、藩国民のだれそれが結婚するだのと、他愛のない雑談を楽しむ。
部下の藩士たちの話を通して、国民の生活ぶりや、国内のちょっとした事件を知る。
何か問題が見つかれば、互いに意見を出し合い、誰かのために出来る何かを考える仲間たち。当然その中には自分も藩王も含まれる。

食事が済むと、それぞれが自分の仕事へと戻っていったが、黒埼だけは食事当番に
「少し待っていてください」
と、引き止められた。

30分もしないうちに、夜食になるよう具材を工夫したパンケーキが焼きあがり、それを渡される。熱湯が満たされた小さいポットと、粉末状のドリンクと、黒埼専用のマグカップ、ブドウ糖の乗った小皿もあわせて。

執務室に戻った黒埼は、椅子にかけてなんとなく窓の外を眺めた。

次々に舞い込む仕事、対処しても対処しても発生する文殊の不具合、罰金に次ぐ罰金で潤わない財政…。

それでも頑張れる自分の力の在り処が何処なのか、解ったような気がした。

/////

数日後、カーネーションの花言葉が「あらゆる試練に耐えた誠実」であると知った黒埼が
「試練が付きまとうのはデフォルトかーい!」
と叫んだことは、公式記録には残っていない。

/////

越前の民の幸せは、こんな摂政の苦労にに支えられているのかもしれない。
そして越前の民の笑顔は、そんな摂政をはじめとする藩士たちのの力の源であり、彼らが抱えた仕事の向こうに見る、最高の報酬なのだ。


[No.73] 2008/06/19(Thu) 22:35:43
人の良い男の話 (No.8への返信 / 1階層) - 南天@後ほねっこ男爵領(代理投稿)

○14-00798-01:たらすじ:後ほねっこ男爵領
○「人の良い男の話」
○テキスト文字数 1752文字
「人の良い男の話」

むかし、むかしあるところに。

一組の夫婦と馬が1頭、犬が一匹住んでいました。
男は真面目な働き者でお人よし。
男の奥さんも真面目な働き者で、料理上手で器量よし。
二人は、小さな畑に小麦を作り細々と暮らしていました。


そんなある日、夫婦の家に子供を連れた女の人がやってきました。
女の人は、子供に食べさせるものが無い。出来れば少し小麦を恵んでほしいと言いました。
「それは大変だ」
そう言って、男は取れた小麦をパンにして分け与えようと奥さんに言いました。
奥さんは、そうですねと言ってパンを作り、女の人はそのパンを抱えて嬉しそうに帰っていきました。
夫婦は良いことをした、と笑いあいました。
しかし、次の日にまた別の人が食べ物を分けてほしいとやってきました。
男は、それは大変だと言ってまたパンを分け与えました。

その話を聞いて、毎日毎日男の家にパンを求めて人がやってくるようになりました。
その度に、男は妻にパンをつくらせ無償で分け与えました。
しかし、元々夫婦二人で食べる分と市場に売る程度しか作っていないのに、皆に分け与えてしまったため、市場に売る分はおろか自分たちの食べる分も減っていきました。
奥さんは、男の分は減らさずに自分の食べる分を削ってパンを作り続けました。
しかし、男はそれに何一つ気づかずいいことをしたと満足していたのです。

しかし、ついに小麦も底をついてしまいます。
でも、男は困っている人には無償で分け与えてしまいます。
二人で少しずつためたお金を。
二人で作った小麦畑を。
ついには、二人で住んでいた家まで分け与えてしまいました。
それでも良いことをしたと笑う男に対し、奥さんは何も言いませんでした。
住むところも無くなった夫婦と馬と犬は新しい住処を探して歩いていました。

その時、突然夫婦は声をかけられました。
声をかけたのは身なりのいい中年の男。
中年の男は、夫婦の連れている馬がとてもいい馬なので王様に差し上げたいと言いました。
男は二つ返事でどうぞ、と言いました。
奥さんは何か言いかけて、結局黙ったままでした。
中年の男は喜び、夫婦と犬と一緒にお城まで馬を連れて行くことになりました。

王様は連れてきた馬を見て、とてもいい馬だと喜びました。
更に夫婦の連れていた犬を見て、それも欲しいと言い出したのです。男は犬もどうぞと差し出しました。
奥さんは、男の顔を見つめていましたが、結局何も言いませんでした。
そうこうしているうちに、お昼になり王様のお腹が鳴り響きます。
男は、王様に向かってこう言いました。
「王様、私の妻の作るパンはとても美味しいのです。是非王様に食べさせたいと思います」

王様は、その提案を二つ返事で受け入れました。
奥さんは、お城の厨房で作ったパンを王様に差し出しました。
そのパンを食べた王様、その美味しさに感激したのです。
「これは美味いパンだ。国一番といってもいいだろう」
更に、こう付け加えました。
「このような美味いパンを毎日食べられたらどんなにいいだろう。このような素晴らしい妻が私にもいたならば」
「では、妻をどうぞ。これで美味しいパンが毎日食べられます」
男は、馬や犬をあげたときのように妻を王様に差し出しました。男はいつものように満足そうにしています。
もう奥さんは、泣くことも怒ることもしませんでした。
ただ、最後に男に向かってこう言ったのです。

「私も犬も馬も、あなたのことが大好きでした。
 でも、その気持ちさえもあなたの自己満足の道具にすぎなかったのね」

こうして、男は一人ぼっちになりました。
いい事をしても、ちっとも幸せになりません。
そしてようやく男は気がついたのです。自分の満足のために、一番幸せにしたいと思っていた奥さんを不幸にしていたことに。
男は王様に会いにお城へと駆け出しました。そしてこう言ったのです。
「王様、私が一番幸せにしたいのは妻だったのです。他の物は何でも差し上げますから妻を帰してください」
「その言葉を待っていた」
王様は、奥さんの様子から男の性格を見抜きわざとあのような態度をとっていたのです。王様は男に、奥さんと馬と犬を返し、更に新しい犬と畑を与えました。
今も男の隣で奥さんは笑顔で美味しいパンを焼き、馬や犬と一緒に暮らしているそうです。


おとぎ話の最後はいつもめでたし、めでたし。

*藩国の技族と協力して絵本風に挿絵をつけました。
 評価にならなくても結構ですので、どこかに乗せていただけたら幸いです
人の良い男の話
http://www7.atwiki.jp/atohone/pages/13.html


[No.78] 2008/06/20(Fri) 02:28:49
イヌは怖いです (No.8への返信 / 1階層) - 藻女

○36-00689-01:藻女:神聖巫連盟
○「イヌは怖いです」
○1457字

私、巫の藻女はイヌが怖いです。
みんなの前では平気な振りをしていても、見ているだけで逃げ出したくなっています。
目も開かぬ仔犬にさえ怯えます。
それどころか写真とさえまともに目を合わせていられません。
絵が相手でもたまに逃げ出しそうになります。
話だけでも泣きそうになることがあります。
それでも帝國の藩王でいるのは好きな子が帝國にいるから、イヌ以外のイヌ科の皆は好きだから、でも帝國を歩き回れるのは世界で一人だけ、信じる事ができた子がいたからです。

まだ幼い頃、近所にイヌが飼われていました。
その頃はまだイヌがどういうものかもよく知らずにすごしていましたが、そのイヌに子どもができ、そしてその子どもが大きくなる頃にはイヌが怖くなっていました。
イヌが怖くなったのは、色々理由があるけどその一つは本の中でいつもキツネを虐めていたからです。
「何人もあつまって、人間なんかと一緒になって私達を殺すイヌは怖い。」
多分まだ自分のことをキツネかなにかだと思っていたのでしょう、動物の出てくる本が好きなくせに読む本のほとんどでヒトやイヌに殺され続け、イヌのことを嫌うようになっていったのです。

けど、イヌはヒトがいるからそんなにキツネを襲うのです。
それを理解できるようになって、イヌを嫌うのだけは止めれました。
それでもやっぱり怖いのは直せなかったけれど、諦めずに直そうという努力はできるようになりました。
その努力は空回り、いいえそれどころか余計に怯えさせる結果ばかりでした。
「イヌはそんなに強くない。小さいイヌは襲ってきても撃退できるから怖くない。だから大丈夫、大丈夫…。
でもそれより小さい蚊だって時に命を奪うよね?第一弱いからって何もできないわけじゃないっていうのは普段自分が言っている事じゃないか。だからきっと戦ったら私もただじゃすまない。それにやっつけることができるから怖くないっていうのは違うよ。
命を奪われそうになっても好きな相手はいるじゃないか、それに怖がる事は無いのにゴキブリに怯えるヒトは多いよ。」
そんな風に大丈夫だと暗示をかけようとしてもそれ以上にダメという理由が浮かび上がります。
その上、冷静に大丈夫と言い聞かせようとするたびに襲い掛かってくるイヌが頭に浮かび上がり、イヌを克服するのは適わないかと思えるほどです
けれど、まだイヌが怖くなかった頃に出会っていたイヌに対してだけは、イヌとしてではなく隣人としてみる努力をする事で少しずつ怯えないで済むようになっていきました。
最初は怯えながらも見る事ができる程度、それが前を通ることができるようになり、いつしか怖がらず前を歩けるようになりました。
そうなると後はすぐ、挨拶を交わせるようになって隣人として仲良くなっていく事ができました。
けれど、それまでに掛けた時間が長すぎました。
少しずつ仲良くなっていつか触れることができる日が来るかもしれない。
そんな風に思えるようになった頃、その子は死んでしまいました。

それからは今まで仲良くなれたイヌは一人も居ません。
これからも現れないかもしれないです。
でも、一度だけでも信じる事ができました。
友達未満だけど仲良くなる事ができました。
今は世界中に一人も居ないけど、世界で一人でもいたのは嘘じゃないから、だからまた仲良くなれる子にであえる可能性を信じています。
そして。もしも再び出会うことができたなら今度は友達になりたいです。
だからこれからも出会いを積み重ねていくために歩き続けるでしょう。
イヌへの恐怖を超える愛情を抱ける相手が見つかる事を信じて。


[No.79] 2008/06/20(Fri) 11:20:44
登録ミスお詫びいたします (No.67への返信 / 2階層) - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ

> 【テンプレート】
> ○36-00695-01:みぽりん:神聖巫連盟
> ○けものになった王子さま
> ○1952文字(タイトル含めず1941文字)


ご投稿いただき、ありがとうございます。

大変申し訳ありません。みぽりんさんの投稿作品につきまして、
スタッフのミスで、「子供たちに贈りたい物語」のほうに登録されておりました。
こちらの作品は「誰かの笑顔のための物語」のほうにエントリーされておりますので、
以下のとおり、改めて登録のし直しをさせていただきました。

(旧)A-19→(新)B-12「けものになった王子さま」

ご迷惑をおかけしました。お詫びもうしあげます。


[No.81] 2008/06/20(Fri) 12:25:50
黒耳猫のお花見 (No.8への返信 / 1階層) - 久遠寺 那由他@ナニワアームズ商藩国

【テンプレート】
○国民番号:PC名:藩国
○「黒耳猫のお花見」
○テキスト文字数 1978

昔々、砂漠の下にある小さな国に黒耳猫という猫がおりました。
黒耳猫には遠い東の国に住むお姫様のお友達がいます。
お姫様に負けないくらい立派な人になろう。
黒耳猫はそう決めて毎日物語を書いて暮らしています。

ある日、黒耳猫は庭に咲いたお花を見て思い付きました。
そうだ。素敵なお弁当をこさえて、お姫様と一緒にお花見をしよう。
そう思い立つと居ても立ってもいられなくなり、黒耳猫は小さなペンを机において町に出ました。

お弁当を作るなら必ず町のもの、山のもの、海のものをいれなさい。

遠い昔にお母さん猫に教わったことを思い出して、黒耳猫はまず町のお店に入りました。
わたしはお姫様とお花見に行くのでお弁当をこさえます。町のものは何がありますか?
うちは新鮮な卵が自慢だよ。ただ、今は丁度切らしていてね。欲しいのなら自分で取りに行くと良いよ。
お店のお兄さんに教わった通り黒耳猫は原っぱへ行きました。
そこで放し飼いにされているめんどりはとても短気。
黒耳猫はめんどりたちに散々蹴られたりつつかれたり。ようやく卵を一つ、貰いました。
つやつや大きな白い卵はきっとお日様のよう黄身をしているのでしょう。

次は山のものです。
黒耳猫は砂漠の果てにある高い高い山を登ります。
この山は夏でも雪が積もっていて、珍しい野菜が採れるからでした。
崖から滑り落ちそうになったり高い場所で目を回したり。
たくさん危ない目にあった黒耳猫は、雪の残った谷間で鮮やかな緑色の野菜をみつけました。
それは雪の下から顔を出して春の香りを運ぶ先触れです。
お姫様はこんな野菜を食べたことがあるかしらん。
ゆっくり山を下りながら黒耳猫は思いました。

最後は海のものです。
砂漠の下にある国には真水なのに海の魚が採れる不思議な湖がありました。
小さな船で湖に出た黒耳猫の前に、いきなり怖い怖い湖のぬしが現れてこういいました。
黒耳猫よ、何処へ行くのだ。
わたしはお姫様とお花見に行くのでお弁当をこさえます。海のものは何がありますか?
海には何でもあるとも。例えば、ウインナーのような味のするタコ。美味いぞ。
ぬしさん、それをわたしにくださいませんか。
ならん。海に住む者はわれらの仲間。どうしてもというなら代わりにお前の大切なものをよこすのだ。
見上げるように大きなぬしの前で、黒耳猫は一生懸命考えました。

わたしの大切なものは何だろう。
物語を書くペン。
お姫様に貰ったお花。
それから。

黒耳猫はぬしに答えました。
わたしの大切なものは物語を考える心です。でも心は上げられません。
なんと不届き。ではお前の命を貰ってやろう。
ばっしゃんばっしゃん、怒って大きな波を立てるぬしの前で黒耳猫の小さな船はまるで木の葉のよう。
黒耳猫はそれでも一生懸命、船をこいで岸を目指します。
何故なら、お姫様ともう一度会いましょうと、約束したからでした。
そうしてどのくらいの時間が流れたでしょう。
気が付くと黒耳猫はもといた岸に打ち上げられていました。
そして水で一杯になった小さな船の中を赤い色をした小さなタコが泳いでいるのを見付けました。
それは湖の主からの贈り物。大変なときでも諦めない。
その気持ちをしめしてみせたご褒美に黒耳猫にくれたのでした。

ぺこりと湖に向かって頭を下げた黒耳猫は大喜びでおうちに帰ります。
町のもの、山のもの、海のもの。材料は揃いました。
あとは素敵なお弁当をこさえるだけです。
黒耳が作ったのは黄色でふわふわの卵焼き。鮮やかな緑色のおひたし。ウインナーの味がする小さな赤いタコ。
それからお姫様と同じ名前の、うす桃色の甘いお菓子。

できた!
黒耳猫が国中を駆け回ってこさえたお弁当はとても美味しそう。
それを食べるお姫様のことを思って、黒耳猫は元気いっぱい。お弁当を大切に抱えて、遠い東の小さな国へと旅に出ました。
とことこ、とことこ。
いつかと同じ、月がまん丸になる頃。
暖かいお庭で、黒耳猫はお姫様と再会しました。

こんにちは。お姫様。
あ、黒耳猫だ。なあに、あちこち汚れて、おかしいの。
お弁当をこさえるために、それから長い旅の間に、黒耳猫の灰色の毛はあちこち逆立ったり汚れたり。
それでもお姫様の笑顔が嬉しくて、黒耳猫はにっこりお弁当を差し出しました。
お姫様、お弁当をこさえました。一緒にお花見をしましょう。
うん。私もお花見は大好き。
それからお姫様と同じ名前をしたお花がたくさん咲いたお庭で、お姫様と黒耳猫はお腹いっぱいお弁当を食べて、楽しくお花見をしたのでした。

それで黒耳猫、今日のご用はなあに?
お花見をしてそれから…あれ。お姫様とあったら忘れてしまいました。
まあ、黒耳猫ったらやっぱりおかしい。
くすくす笑ったお姫様と黒耳猫はお喋りしながら暖かいお庭でひなたぼっこ。
そのうちにすやすや眠ってしまった二人に、うす桃色の花びらがふんわり、毛布のように散っては積もっていくのでした。

おしまい。


[No.83] 2008/06/20(Fri) 13:09:01
勇敢なる騎士と姫君 (No.8への返信 / 1階層) - 久遠寺 那由他@ナニワアームズ商藩国

【テンプレート】
○15-00752-01:久遠寺 那由他:ナニワアームズ商藩国
○「勇敢なる騎士と姫君」
○テキスト文字数 987

『さあさ今宵ここにお集まりの紳士淑女の皆様。
これよりこのリュートが語りまするのは。
勇敢な騎士と勇敢な姫君の物語。
どうして騎士だけでなく姫君が勇敢なのかと仰せなら、どうぞこの杯に喉を潤す一杯を。
お代はそれだけで結構でございます。

さあさお立ち会い。
お立ち会い。

物語が始まりますのは。
今ではない時。今ではない処。
一人のそれは勇敢な騎士がおりました。
黒金の髪に巌のような体躯、心に硬い正義を宿した鋼の男。
一方この騎士に憧れ慕う姫君がおりました。
白銀の髪に凛々しき翡翠の瞳、心に一途な思いを抱く乙女。
それはあたかも水滴が混じって流れ落ちるに似て。
この二人は奇妙な縁で結ばれ相見えることとなりました。

初めての逢瀬は港町。
姫君をかどわかさんとした悪漢の前に立ちふさがったのが件の騎士。
手練れの悪漢を前に丁々発止の大立ち回り。
しかして相手も剛の者。
すわ、騎士の身に危険が及ぶかという刹那、身を挺したのはかの姫君。
危うきところを踏みとどまって騎士は見事。
悪漢を追い払ったのでありました。

そうですとも。
姫君とて護られるばかりではありませぬ。
愛しき騎士の為ならば自らのが身すらなんのこともあらじ。
騎士もまた、その清い心に深く感じ入り、その前に跪いたのでございます。
そして二人は手を取り合って異国の草原を、深い闇を越えて旅し、幾つもの災禍を退け。
何時しか騎士の鋼の心は姫君によって温かく溶けていったのでありました。

ああ。しかし。
運命とはいつも思うに任せぬもの。
残酷な定めが二人を引き裂かんといたします。
世は乱れて戦の足音高く、騎士は姫君を置いて正義を胸に戦場へと。
ただ心配召されるなと言い残して。
それでも姫君の思いは断ちがたく、追って追って世界を越えんばかり。
ついには騎士の元へとたどり着いたのでした。

それは世の果て、果てしない砂漠でのこと。
凶弾に晒され、共に戦の世に傷付き倒れんばかりの二人は。
ここでようやくにして沿い遂げたのでありました。
最早終生、離れることもあるまじと。
騎士と姫君は誓いの口づけをかわしたのでございます。
見守るのは灼熱照り付ける大空と蜃気楼ばかり。

この姫君を駆り立てたる心を勇敢と呼ばずしてなんと呼びましょう。

さて。
何故めでたしと言わないかと仰せで。
それはこの物語が今も続いているその為にございます。
続きはまたのお楽しみ。
それではお集まりの紳士淑女の皆様。
どうぞ安らかな夢を』


[No.85] 2008/06/20(Fri) 13:20:59
6月のアイスクリーム (No.8への返信 / 1階層) - 戯言屋@フィーブル藩国

○16-00307-01:戯言屋:フィーブル藩国
○「6月のアイスクリーム」
○1997文字

/*/

 14歳の北国人。イクス・トーラシア。
 彼は旅行者だった。かなり大きな旅行用トランクを持って、宰相府藩国の春の園にいる。
 桜を見に来たのだ。

 ……その眼差しは、尋常ではない。
 立ち尽くして桜を見ているのだが、酷く真剣だ。
 何かに悩んでいて、その答えを桜に探しているような雰囲気だった。
 だから彼は、少女の接近に気付かなかった。

 14歳の西国人。レイレイ・ケレネア。
 彼女は逃亡者だった。息を切らせて、宰相府藩国の春の園を走っている。
 桜を見る余裕もない。むしろ逃げる場所として不向きな桜の園にいるのを後悔していた。

 ……その眼差しは、尋常ではない。
 逃げ切ってやる。どんなことをしても絶対に生き延びてやる。
 彼女は追っ手が来てないか振り返って、そして偶然、桜を見て立ち尽くす少年と衝突した。

「きゃ!」
「うわっ!?」

 あっさり倒れるイクス。
 レイレイも転倒しそうだったが、なんとか耐えた。
 顔を上げる少年と、何気なく彼に視線を向ける少女。目を見開く。

 よく晴れた昼下がりの午後。
 吹き抜ける風が、桜の花弁を伴って、二人の間を駆け抜けた。

/*/

 6月のアイスクリーム

/*/

「ちょっと、貴方!」
 レイレイが、イクスの腕を引っ張って立たせた。そして走り出す。
 イクスは突然の出来事に目を白黒させながら、腕を引っ張られて否応なく走るしかない。

「痛っ。痛い! な、なんだお前はっ!?」
「うるさい! 死にたくなかったら走って!」
 拳銃をちらつかせるレイレイ。うわあ、という表情のイクス。

「なんなんだ!? 俺をどうする気だー!」
 生活ゲームでもあまり見ない理不尽な展開だった。
「いいから走って! というか遅っ! 体力ないの貴方!?」
「……ぜえ、ぜえ……死ぬー!」
 走り出して5秒。貧弱である。

 レイレイ、目を血走らせて周囲を確認。
 公衆トイレを発見。加速。女子トイレの個室に彼を連れ込む。
 幸い二人以外に誰もいなかった。鍵を掛けてイクスを便座に座らせ、拳銃を向ける。

「OK。荷物を全部出しなさい。今すぐ」
「白昼堂々、こんな方法で強盗っすかー!?」
「引き金は軽いの。急いで」

 あわわわ、とこんな状況でも手放さなかった、かなり大きな旅行用トランクを開けるイクス。
 狭い個室では扱いにくかったが、どうかお命ばかりはーっ! と、恭しく中身を見せた。
 レイレイ、問答無用で中身を全部捨てた。

「ああっ、お気に召しませんでしたかーっ!?」
 かなり本気で涙目なイクス。レイレイは真剣すぎる血走った眼差しで彼を見た。

「私を、そのトランクに詰めなさい」

 ……………。

 沈黙が生まれた。
 どん引きするイクス。変態を目撃した気分。
 レイレイ、少し冷静になって、ちょっと慌てた様子。

「いや違う、違うからっ」
「世の中には、斯様な趣味を持った方もおられるのですね……」
「違うって言ってるからっ! そんな若くして奇抜な趣味に目覚めた人を見る目で見るなっ!」

 こほん、と可愛らしく咳払い。

「実は私、追われてるの」
「自分の趣味に対する現実からの視線に?」

 BANG!

「実は私、追われてるの」
「追われてるなんて大変っすね!? お気持ちお察し致しますー!」
 壁に空いた銃痕にガクブルしながら何度も頷くイクス。必死だった。
 しかし、レイレイも必死だった。

「……その。私、悪い奴等に騙されて。追われてて。狙われてて」
 ぽつぽつと語り始めるレイレイを、疑わしそうに見るイクス。

 ダメだ。
 こんな嘘っぽい理由では、とても信じて貰えない。
 トランクに隠れるのはいい手段だと思ったが、運び手のことまでは考えていなかった。
 もうダメだ。もうダメだ。

 レイレイは、瞳に涙を浮かべる。
 追いつめられて必死になっていた気持ちが、切れそうになる。

「私、死にたくない……故郷のアイスクリームが食べたい……」

 もはや説得ではなく、心の底からの言葉だった。
 アイスクリームが食べたいとか、幼稚な言葉だと彼女も言いながら思ってはいたが、しかし、今まで人生で一番楽しかった想い出は何だろうと考えると、故郷の遊園地で食べたそれぐらいだったのだ。そんな生き方をしてきた、少女であった。

「…………」
 目を細めるイクス。

「分かった。協力する」
 イクスを見るレイレイ。
「ただし聞け。聞くんだ」

「今が最悪だなんて思ったらダメだ。本当の最悪は、もっと酷い」
「だから、諦めたらダメだ」

 大真面目なイクスの言葉に、レイレイは、笑った。
 自分を慰めようとしていると思ったのだが、それにしても酷い慰め方だと思ったのである。
 それで、不覚にも笑ってしまった。

「……うん。分かったわ」
 手で涙を拭う。まだ笑えるなら、まだ大丈夫なはずだ。
 諦めてはいけない。どんな時でも。

/*/

 この物語は、余命あと僅かと宣告されて、残りの人生の使い方を考えていた少年が、不幸な嘘吐きの少女に笑顔を取り戻させるまでの、儚い物語である。


[No.87] 2008/06/20(Fri) 19:04:10
訂正ありがとうございました (No.81への返信 / 3階層) - みぽりん@神聖巫連盟

了解いたしましたー。
訂正ありがとうございました!



> > 【テンプレート】
> > ○36-00695-01:みぽりん:神聖巫連盟
> > ○けものになった王子さま
> > ○1952文字(タイトル含めず1941文字)
>
> ご投稿いただき、ありがとうございます。
>
> 大変申し訳ありません。みぽりんさんの投稿作品につきまして、
> スタッフのミスで、「子供たちに贈りたい物語」のほうに登録されておりました。
> こちらの作品は「誰かの笑顔のための物語」のほうにエントリーされておりますので、
> 以下のとおり、改めて登録のし直しをさせていただきました。
>
> (旧)A-19→(新)B-12「けものになった王子さま」
>
> ご迷惑をおかけしました。お詫びもうしあげます。


[No.95] 2008/06/20(Fri) 22:21:41
今、傍にいない君へ (No.8への返信 / 1階層) - 那限逢真・三影@天領

○国民番号:PC名:藩国
00-00565-01:那限逢真・三影:天領

○「作品タイトル」
「今、傍にいない君へ」

○テキスト文字数
1539文字(スペース含)

/*/

 窓辺の机の上に手帳が置いてある。
 手帳には詩とも手紙ともつかない言葉が書かれていた。
 私は宛てたいけれども宛てられることのない言葉を読み進める。


『故郷が無くなるとはどういう気分だろう?
 君は言った。「故郷は胸の中にあるから」と。
 確かにそれは正しいし、君ならそう言うだろう。
 でも、本当にそれだけなのか?
 私も故郷を離れて久しいのは同じ。
 私は自分で故郷を発った。
 自分の住まいを離れ、友人たちと別れを告げた。
 そこには後悔も未練もないし、私の故郷の風景は変わっていない。
 でも、君は自分から故郷を出たわけではない。
 自分の意思とは関係なく故郷と友人から離された。
 それがようやく戻ってみれば故郷は見る影もない。
 私には推し量るしかできないが、きっとショックだったろう。
 頭で納得したとしていても、心が哀しいことに変わりはないはずだ。

 私は君と君の故郷を語った時の事を思い出す。
 初めて故郷の話をした時、君は胸ポケットで顔を輝かせて笑っていた。
 百円ショップに行った時、君は「今は妖精の服を作ってくれる人がいないから」とピーターパンの服を探してきた。
 迎賓館で改めて君の故郷に行きたいと言った時、君は元気に返事を返してくれた。
 慰労会に参加した時、君は自分の水のみ場に案内してくれた。
 どれも思い出しても、私は君が嬉しそうに見えた。
 私はそれがなんだか嬉しかった。
 だから、君と一緒に君の故郷を見てみたかった。
 君が嬉しそうに故郷を案内してくれるところを見たかった。
 そんな君と一緒に、君の故郷を回ってみたかった。
 ……そして、当日、君の案内で故郷へ行った。
 君が見せてくれた過去の世界で、君は楽しそうに友達と会話をしていた。
 あれだけ嬉しそうだったのに。
 あれだけ楽しそうだったのに。
 それが無くなってしまった。
 君は胸の中に故郷があるからもういいと言うけれど、それでいいはずがない。
 私は君と話をしたかった。
 でも、目覚めてみたら私は一人きりだった。

 今、私は君のことが心配だ。
 君に会って話がしたい。
 あんな事があった後、何も言えずに別れてしまったからいつもよりも心配になる。
 君は今どこにいるのだろう?
 君はまだ、ウェールズにいるのだろうか?
 故郷の友達を心配して悲しい思いをいないだろうか?
 それを隠して元気そうに振る舞っていないだろうか?
 私の見えないところで君が泣いていたら私は悲しいから。
 私と話して君の心が少しでも軽くなるのなら私は嬉しいから。
 何より、私は君に話したいことがあるから。
 私は君としたいくつもの約束を果たしたいから。

 故郷を離れた私にも親友が一人いる。
 どんなに遠く離れても、変わらぬ友情を与えてくれる親友が。
 きっと君にもいただろう。
 でも、今は行方がわからない。
 なら、一緒に探したい。
 たとえ故郷は無くなっても、友達全てが消える事はないだろう。
 君を私が助けたように、君の友達も誰かに助けられているかもしれない。
 だから私は君と一緒に探したい。
 故郷を無くした君の故郷を。
 それで君がまた笑えるのなら。
 そんな君を見て、私がまた笑えるのなら。

 そして、一緒に見つけたい。
 君が安らげるような場所を。
 君の新たな故郷となる場所を。
 君とともに歩める場所を』


 私は詩とも手紙ともつかないメッセージを読み終える。
 おそらく、この言葉がそのまま相手に届くことはないだろう。
 私はそれが少し哀しくなった。
 だから私は誰も読む事がないであろうこの言葉に、小さく言葉を書き加える。


『これを君が読むことはできないかもしれない。
 でも、『想いが伝わる』事が本質のこの世界なら、君に想いが届くだろう。
 ――今、傍にいない君へ、この想いが届きますように……』

/*/


[No.98] 2008/06/20(Fri) 23:23:46
投稿を締め切ります (No.8への返信 / 1階層) - 舞花・T・ドラッヘン@スタッフ

たくさんのご応募をありがとうございます!

「ネコリスと子供たちに語る物語」

 ○B:「誰かの笑顔のための物語」部門

の投稿を締め切らせていただきます。


[No.108] 2008/06/21(Sat) 05:04:22
以下のフォームから投稿済みの記事の編集・削除が行えます


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