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(……失敗だった?) 眼前で敵の攻撃から味方を庇って吹き飛ばされる黒い装束の少女を見た時に私はそう感じた。 支援をしてくれと言われたから支援をした。私は間違いなく一仕事をして、好機は作ってあげた。 (……それなのに、この状況は) 一合終わってみれば、こちらはアタッカーを一人失って敵は五体満足。 アタッカーはもう一人残っているけれど、先の様子を見るに期待をかけない方が良さそうに思えてくる。 黒の少女が吹き飛ばされた時に減速はさせた。だから、壁への衝突によるダメージはさほどではないだろうがあの大きさの敵の打撃をまともに受けて立っている事は期待しない方がいいだろう。 (さて、そうなると……) 周囲に目を走らせる。 この周囲の家電の類は全て敵の構成に使用されたのだろう。目につくものは紙ゴミ、布きれ、浮浪者の死骸……ロクなものが無い。 建物は利用できなくもないが、できれば派手に立ち回りたくはない。体力も消耗する。 私が考えを巡らせている間にもガラクタは次の攻撃動作に入る。 敵の攻撃を凌ぐのは容易い。だが、倒すとなると別問題だ。 そもそも敵がどういった個体なのかが判らない。魔術的なものを媒介に構成されたものかとも思ったが、先の砲弾を逸らした時の"手応え"が違った。 電脳の類であれば私の専門外だが……いざという時に廃品がくっついて無差別に攻撃を始めるなどという非効率で意味不明なものを作るとも思えない。 いずれにせよ相手の倒し方も見極められぬうちに全力を出して消耗するのは上策とはいえない。 そうこうしている間に、ガラクタが腕をこちらに向けて構えたかと思うと、飽きもせずその構成物を飛び道具としてこちらへと発射する。 飛来する廃品に、先に符を張り付けた家電砲弾を動かし、衝突させることで軌道を逸らす。 衝突させた家電は粉々に砕け散り、もはや元が何であったかよく分からない状態になってしまったが、軌道の逸れた廃品は豪快な音を立てて背後の建物に衝突した。 (動かす事はできる、か) 元は敵の一部分とはいえ、離れてしまえば何か特殊な力が働いているわけではないようだ。 「そこの白いの!」 敵に目を向けたまま、白い装束の少女に声をかける。 少女は未だ味方が倒された現実を受け入れられぬのか、それとも単純に恐れ故か、呆然としたような表情をしていたが構わず続ける。 「いい?3分だけ時間は稼いであげるから、さっさと戦える姿勢を整えなさい!」 3分。我ながらサービスしている方だと思う。 それは純粋に、未知なる力と敵への好奇心があったからである。 しかし、好奇心は猫をも殺す。深入りは危険である。3分稼いでも何も状況が好転しないようであれば…… 「それでも何もできないですっていうんなら私は逃げるからね。こっちは慈善事業でやってるんじゃないから、死ぬなら一人でお願い」 死ぬ、という言葉に一瞬少女が反応したように見えたが、そんな事はどうでもいい。 言う事は言った。あとはやる事をやるだけだ。 「さあかかってくるといいわ、ガラクタ。どういうカラクリか見極めてやる」 [No.101] 2011/04/30(Sat) 22:54:28 |