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サンにはやるべき事が二つあった。 一つはこのブシドー租界に居るというベヘモスを開発したという闇医者をしているナノ工学者の調査。 もう一つはもう一度深選と接触し、“何処で教団を知り”、“何故彼等と争っているのか”を知る必要がある。 教団に関する情報は次兄であるアルが調査を進めている事だが、ここで教団に関する情報を見逃す手も無いのだ。 幸いにして、深選という男は報酬さえ払えば(そして仮に彼が現在何者かに雇われており、その雇い主の意向で口を閉ざす場合、以外は)報酬に見合うだけの情報を提供してくれるだろう。 こういう点、ブシドー租界の人間は“使える”のだ。 「……ただまぁ」 個人的には受け入れがたい価値観だ、とサンは思っている。 ● たまたま近くに放り捨てられたので、思ったよりも早くサンは深選のセーフハウスに辿り着く。 案の定というか何と言うか、やはり“戦争中”だけあって警戒しているのだろう、此方から来訪を伝える前に、サンの接近を察知した深選の方からやって来た。 『今日は良く会うじゃないか』 「そうですね」 『それで、本題は?』 サンは手っ取り早く、教団に関する情報が欲しい旨と現在深選が置かれている状況の説明を求め、そしてその情報に支払える金額を提示した。 ただの情報にしては十二分な額のそれを簡単に支払える事が、なんだかんだ言って彼等エージェントが持つ一番の情報入手能力の源であった。 そして瑣末な事に簡単に巨額を動かせる事こそが、彼等がArに心酔する要因の一つでもある。 『ただの情報にしては随分な額だな』 「貴方もベヘモスを知ったなら、事を急く事くらい理解なさるでしょう?」 『なるほど、お前達は企業に属する人間だからな』 サンは知らぬ事だが、この時深選の脳裏にはナノブレイカーの存在が過ぎっていた。 ナノブレイカーは上海総合企業ビル……バベルの塔も喉から手が出る程に欲しい素材だろう。 高く買い取ってくれる事は確実だが、果たして此処で彼等にナノブレイカーを手渡す事が生き札になるか、死に札になるか、その価値が莫大なだけに悩む判断となったのだ。 「ねぇ、どうしたの……?」 「?」 『お前は出てくるな』 来客だ、とセーフハウスの外に出たきり中々戻って来ない深選に痺れを切らしたのか、案外、武器を持った事で強気にでもなったのかもしれない舞子が扉から顔を出した。 サンはセーフハウスの中に第三者が居る事を予測される状況の一つに入れていたので、取り立てて驚く事は無かったのだが。 「Mr.深選、彼女は?」 『女だ、気にするな』 「……えぇ、そうですね」 サンは思う、恋愛は自由だと思う、でもロリコンはどうかと思う。 「でも、ロリコンはどうかと思う」 『心の声が外に出てるぞ』 「えぇ、大事な事なので、ついうっかり」 [No.106] 2011/04/30(Sat) 22:57:38 |