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初めはどうなるかと思った一戦だったが、終わってみればこんなものかといった気分であった。 一人の怯えに振り回された感は否めないが、立ち直ってトドメを刺せた事で帳消しにしてあげようと思う。 それよりも今は気になる事がある。 (成仏……?) 白の少女は、あのガラクタを殴りつける時に間違いなく成仏しろと言った。となると、霊的な何かが絡んだ生物だったのだろうか。勿論ただの比喩表現として用いた可能性もあるが、今の世に成仏などという単語を用いる人間はその筋の者以外はそういないだろう。その直前に見えた核のようなモノも気になる。 (……確かめてみるか) やり遂げた笑顔でピースサインを掲げる少女の横に跳ぶと、傍に転がっている、本当にガラクタになってしまった物体に直接触れてみる。 (やっぱり、ただのガラクタ……) 少なくとも魔術的な要素が介在した痕跡はやはり、無い。 となると、この二人組に問いただしてみるのが一番か。何かを知っていそうな雰囲気ではある。 「ねえちょっと」 「はえ?」 気の抜けたような返事を返される。あるいは敵を倒して本当に気が抜けたのか。 先が思いやられる事であるが、そこまでは私が心配する事ではない。生きる術を身につけられなければどこかで果てるだけだ。 それよりも、大事なのは敵の事だ。未知のものを未知のままにしておくのは健康上よろしくない。 「コレ、何なの?知ってるんでしょ?」 ガラクタになったガラクタを示しながら尋ねる。 白の少女が何かを答えようとしたところに、黒い少女が「それは私から」と、やや不自由な体を引っ張りながらやってきた。 「まあどっちでもいいんだけど。判りやすくお願いね」 〜〜〜 「ふーん。デンリョウ、ねえ」 そういえばどこかでそんな記述を見かけた記憶がある。 あれは、父様の書斎だったか……?そうそう出くわす様な代物ではないように書かれていたはずだが、今聞いた説明によると、最近頻発しているらしい。 「で、あなた達はそれを退治する専門家、と」 言いながら白の少女に目を向けると、申し訳なさそうな気まずそうな表情をしていた。 さしずめ新人と言ったところか。黒の少女の対応を見るに、期待はかけられているようではあるが。 「なるほど。大体の事情は判った。んで、さ」 私は片手を開いて差し出す。 意図したところが伝わらなかったのか、二人揃って首を傾げるのを見るに至って私は本気で今後を心配しそうになる。 「お・れ・い。私は善意で助けたんじゃないの。っていうか被害者なの。寝ているところを叩き起こされて使わないでいい体力を使わせられて挙句の果てに敵を倒す手伝いまでしたの。しかるべき謝礼は頂いてトーゼンなの。おわかり?」 「しかし……」 「わかってる」 黒の少女が何かを言おうとするのを遮って止める。 どう贔屓目に見たってこの二人は対価として差し出せそうなものは持っていない。 人によってはさっきからピヨピヨうるさいヤツとか良い値がつくかもしれないが、私はさっぱり興味が無い。 「とりあえず地図見せて」 「え?」 「ち・ず。そんくらいなら持ってるでしょ」 私の言葉に白の少女は慌てて端末のようなものを取りだすと、せかせかとそれを操作してこちらに画面を示す。 そこに映っているのはなるほど地図のようだった。 端末をそのまま白の少女に操作させつつ、私は地図を書き写していく。 必要なのは、家がある老街までのルート。それ以外は無視して写していったため、作業自体はすぐに終わった。 「オッケー、大丈夫よ」 「あのー、これで……?」 「私を叩き起こした分くらいは帳消しかな」 私の言葉に白の少女は肩を落とす。 当り前である。どこの世界に地図を見せただけでタダ働きをしてくれる人間がいるか。 まあこれ以上苛めたところで気が晴れる以外何もないので、口には出さないでおくが。 「まあ、今はどうしようもなさそうだから、ツケって事にしておいてアゲル。」 言うだけ言うと、私はさっと背を向けて瞬間移動の姿勢に入る。 「そんじゃ、生きてたらまた会いましょう。Tschüs!」 こうして私はようやく帰宅の途についた。 [No.110] 2011/04/30(Sat) 23:10:16 |