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「はいコレ」 「……なんだコイツらは?」 クラブを出た後、私は一旦家に引き返した。いけすかないミュージシャンを引き連れて。 大体、一曲一曲はともかく総合すると煩いだけのあのクラブの何が良いのか未だに理解が出来ない。おまけに偶に私が姿を見せるとやれノリが悪いだの格好がおかしいだのと難癖をつけられる。あまりにも鬱陶しいので何人物理的に黙らせたかは覚えていないが。一応は店に配慮をして、ちゃんと外部で決着をつけていると断っておく。 話を戻そう。 一旦家に引き返した私は、アパートメントの横に眠らせて転がしておいた数人の男共を引っ張りだしてコウイチの前に引き倒す。 先刻、家を出たばかりの私を誘拐しようとした不届き者達である。 鬱憤晴らしに全員何かの実験台にしてもよかったのだが、コイツらの服に縫い付けられていた特徴的なエンブレムを見て、捕まえるに留めておいた。 「コレ、なんだか判るでしょ?」 「例の教団の奴らか」 「御名答」 教団が私に何の用があったのかは知らないが、生憎と協力してやるつもりはなかった。 もしかしたら私を消しに来たのかもしれないが、そうだとすれば侮られたものである。 「……よし。そんじゃあ、後ヨロシク」 全員引きずり出すと、欠伸をしながらも自室へと向かうために階段に足をかける。 「おい待て。何がヨロシクなんだ」 そんな事、一から十まで説明しなくても判るだろうに。 それともこれからの現実を受け入れたくないのだろうか。私に勝手な理屈をつけて一枚噛んだ以上嫌とは言わせないが。動ける限界まで働かせてやる腹積もりである。 「敵の下っ端とっつかまえたらやる事なんて決まってるでしょ。じ・ん・も・ん。物理的に痛めつけても傷口に塩を塗っても呪っても幻術使っても何してもいいからね。そういうことで」 何か言いたげなコウイチを無視して階段を上ろうとした矢先に大事な事を思い出す。 「あ、その間私寝てるから。終ったら呼んでね。」 よし。後は寝るだけである。 何やら悪態をついていると思われるコウイチを置いて、私は揚々と階段を上って行った。 〜〜〜 「で、ここで合ってんの?」 「聞き出した話によると間違ってねえはずだが」 眼前には、古めかしい旧時代のビルディング。 外見からは、地震でも起ころうものなら一瞬で倒壊しかねないほどの年代を感じさせるそれはしかし、内部に入ってみれば意外なほど整えられているという話であった。 それも、教団の力なのだろうか。それとも単純にここの持ち主が暇なだけか。 そこは老街の一角、とあるマフィアが根城にしている建物であった。 コウイチが聞き出した話によると、私を襲う指示を出した奴はここにいるらしい。 ここのマフィアがしばらく前から教団に傾倒しているような話は聞いていたが、教団内部で指示を出せる幹部のようなポジションにまでなっていたとは驚きではある。名前は忘れてしまったが、それほど有能であったと記憶はしていないのだけれど。 いずれにせよ、幹部からトップの居場所、あるいは電魎との関係を聞き出せれば話は早い。 幸いにして潜入手段には事欠かないし直接やりあったとしてそうそう負ける相手だとも思わない。 とはいえ、どこに厄介事が潜んでいるかも判らないし、慎重に行くにこした事はない。 「と、いうわけで」 私は一歩横に逸れて、入り口を指し示す。 「何がだ」 「お先にどうぞ」 「まるで俺が先に行きたがってるみたいじゃねえか」 「私にはそう見えるけど。早くいかないと突っ込ませるわよ」 符を翻して見せると、コウイチは仕方なしといった風情で一歩前に出た。 尋問の時といい、何だかんだと言いながら動いてくれる辺りは評価してやってもいいと思う。 だからといって何があるわけでもないが。 (しかし――) 教団を追い詰めて電魎との関係を暴いてどうするのか。 私にとって何の利益にもならないのに何故こんな事をするのか。 (――まあ、後で考えるか) 癪ではあるが、先だってのシャーマンの言に従って自身の感性を一旦肯定してみる事にした。 それで得るものがあるならば、それもいいかもしれないと思ったから。 [No.119] 2011/04/30(Sat) 23:19:32 |