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「ところで、黒須研究所はあんたがやらせたのかい」 自らの命の危機を前に、ドクはのんびりと意外な名前を口にした。 「黒須ぅぅ? ふん、そぉんな虫けらも叩き潰したかもしれんなぁぁぁ」 「さしもの教祖さんでも、電魎が倒されるのは脅威だったかな?」 ドクの言葉に、教祖はいらだったようにチェーンソーで傍らの椅子を両断する。 「大事の前にぃぃ小事を潰しただあけのことおおお!! 貴様にはぬあんの関係もないぃぃ!! さぁぁぁベヘモスの在処を言えええええい!」 チェーンソーを首元に突きつけられる。しかし、変わらずドクは飄々と笑う。 「まぁ冥土の土産だ、付き合いなさいよ。あの研究所も考えてみりゃぁ災難でなぁ。あんたに潰される原因になった研究だって、元を辿りゃ電魎に行き着く」 ぴくりと教祖が眉を動かす。ドクが何が言いたいのかが分からない。 ドクはその心を読んだように肩をすくめる。 「――いや何、あそこにゃ電魎に殺されかけた可愛そうな一人息子がいるってぇ話さ」 教祖が弾かれた様に後ろを見る。視線の先、一つしかない出入り口にはいつの間にか人影が立っている。 「そしてその可愛そうな一人息子を助けてやったのが何を隠そう、この俺でね」 その隙にドクはすばやく教祖と距離をとり、安全を図っていた。 出入り口に立つ男――黒須恭太郎が口を開く。 「偉そうに言うけどな、半分は実験材料に使いやがっただろう。まったく、親父もなんでこんな怪しい闇医者と知り合いだったんだか。……それはともかく、教祖様自らお出ましたぁ驚くじゃないか」 教祖が来ることを察知したドクは、密かに恭太郎に連絡を取っていた。長々とした無駄とも思える話は時間稼ぎだった訳だ。 予期せぬ事態に教祖は怒りで体を震わせる。長きに渡り巨大な組織に君臨してきた彼は、思ったとおりに物事が進まないことが何よりも許せない。 「……すおれがどおおおおしたぁぁぁ! 貴様らバラバラに引き裂いてくれるうううああああ!!!」 両腕のチェーンソーを交差させると、耳障りな音を立てて高速回転を始める。 「やらせねえよ。……ガラじゃないが、仇をとらせてもらう、――装身!!」 小さな意匠の施されたレリーフの様な物――イクシードギアを腰に当てると、一瞬の光と共に変身が完了する。 すぐさま走り出し、ドクと教祖の間に立ち入る。 「PIYO、ウェポンシフト・ガンモード」 恭太郎の声に反応して、周囲を飛んでいたぬいぐるみのような物体が大型拳銃へと変形する。 恭太郎はそれを手に取ると、立て続けに発砲した。 「ぅおおのれえええ小癪なああああ!!」 教祖はその全てを叩き落すものの、それ以上距離をつめることが出来ない。 近づきさえ出来れば侵食するなり一刀に斬り捨てるなりできるというのに。 一方で恭太郎も攻めきれないでいた。見るからに接近戦に長ける相手を容易に近づけたくはないが、かといって銃弾は全て防がれる。弾は多次元から自動装填され尽きることはないが、決め手に欠ける。 「おいおい大丈夫なのかよ。スタミナ切れとか起こすなよ」 「やかましい、置いて逃げるぞ」 このまま拮抗状態にもつれ込むかと思われたが、 「ち、ちょっとPIYO! まずいって勝手にこんなところまで入っちゃって!」 「ピピーっ! PIYO、呼ばれたっピヨ!」 「呼ばれた、とは。一体誰にですか」 場違いに明るい声が3つ、乱入してきた。 [No.120] 2011/04/30(Sat) 23:20:51 |