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港湾部にさしかかったところで前方を塞いだ装甲車は、確かにカルネアデスのものだった。 が、識別が判別不能に加工されている上に、中から出てきた武装集団は明らかにかの企業のエージェントとは毛色が違う。 ……余所者だ。 『余計な物がかかったな』 「はぁ、すいやせん……」 『いや、まだ想定内だ。お前はよくやってる』 俺は恐縮するロングイヤーを労うと、3人娘に車から出ないように言ってワゴンから降りた。 ● 「あぁ!?こりゃ、どういうこった!」 トラックから降りるなり、一団の首魁らしき男が隣の少女に悪態をつく。 「教団に敵対してるってぇからどこのマフィアかと思えば、野郎一人に小娘3人が全戦力ときた! ハイキングにでもお出かけかぁ?」 『面子の珍奇さではそちらも負けていないと思うが』 「全くです」 俺の素直な感想に、当の少女が首肯する。まぁ、物腰からすると全身義体の類だろうが。 トラックの中に『視』える戦力はざっとサイボーグが14、5体。中隊規模か。 ……装備から類推するに恐らく北米系だろう。 企業軍か、傭兵かは解りかねるが。 『何者だ?』 「教団に敵対するもの、とだけ」 首魁の男は見た目どおりに交渉に向かないのか、俺の質問には少女が答えた。 『教団に装備を流していたのはお前らか』 「余計な詮索は身を滅ぼすぞぉ?」 凶悪な笑みを浮かべて脅しつけてくるが、その反応が既に肯定になっている。……やはり交渉ごとには向かないタイプらしい。 大方軍用ドローンなどを供給していた外資が今回のテロを察知し慌てて引き上げにかかっている、といったところか。 『要求はなんだ?』 「ベヘモスをお渡しいただきたい」 『言われて素直に渡すとでも?』 「この場で処分しても構いません」 コイツらとしてもアレは扱いかねる、か。 「こちらからは教団の本拠の情報をお渡しします。対等なビズだと――」 「やめとけやめとけ、中尉! こんな連中に渡したって虎に猫をけしかけるようなもんだ!」 『そこの男の意見は妥当だ。教団が邪魔ならお前たちでやればいい』 「……では、ベヘモスは」 俺は用意しておいた『それらしい』容器をワゴンから出すと、宙に放り投げてレイヴンで撃ち抜いた。 「フェイク……」 『そういうことだ』 男がいきり立って銃を抜く。 「ふざけるなぁ! 無駄足踏ませやがっ……」 男の罵倒は、地を揺るがす轟音と衝撃に遮られた。 「なんだぁ!?」 『無駄足ではなかったようだ。少なくとも俺たちにとってはな』 ここは任せる。 そう捨て台詞を残して、俺はワゴンに乗り込むと急発進。トラックの脇をすり抜けて進んだ。 あの隊長の罵声が暫く聞こえていたが、気にしている暇はない。 「おじさん!」 『あぁ、確認している』 積み上げられたコンテナや倉庫の切れ間に蠢く、巨体の群れ。港湾作業用の重機だが、無人な上にその動きは見覚えのある生物的な所作。 「電魎だッピよ!」 このタイミングでこれだけの数ということは、当然教団の手のものだろう。 ミヤコらの話では、本来電魎とやらは制御の効くシロモノではない。それをこうして意図的に大量投入するということは、どこかに指揮……とはいかないまでも、呼び出した人間がいるはずだ。 『釣果はまずまず、か』 [No.138] 2011/04/30(Sat) 23:36:09 |