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アルはイライザ・フランセスを知っていた。 さすがに電脳や科学を嫌うというパーソナリティを知っていた訳ではなかったが、魔術組織「如月」のトップともなれば知らない訳には行かない。 彼女と出会い、鉄面皮を通す事が出来たのはアルでこそ出来た事だった。 「なるほど」 なるほど、と呟き、アルは得たばかりの情報を吟味する。 アルにとって“貧民街で暮らす連中がどのように死んだ”かは興味の無い事であったが、現場状況も含めて、イライザから得た情報はとても意義のある事だった。 「対価を寄越せ」というイライザの要求を呑んだ訳では無いが、アルは小さなメッセージを主であるArに送信する。 すなわち、現在進行中の秘匿情報の開示許可を求めているのだ。 アルにとって、彼等……コウイチ・シマの事は名前を聞いても実力の程を知らなかったのだが。 彼等の力を利用できる可能性がある事は魅力的だった。 アルは自分はArに使われる存在であり、そして彼等は自分に使われる存在であるべきだと思っている。 金銭という当たり前の対価を支払えば、協力を得る事は簡単だ。 まして、彼等の実際の行動力は先ほどの遭遇を見ても明らか、彼等の力を使わない手は無い……と、アルは考えたのだ、そして…――。 「我が主から、情報開示の許可を戴きました」 「主、アンタの?」 「はい、そして貴方達の助力を求めるようにとの指示を頂きました」 「……企業か」 「はい」 アルにとって予想外の事だったのは、コウイチ・シマがイライザ・フランセスと対等の関係であった事だ。 初見の時はイライザの護衛なのかとも思ったが、一人だけというのは不自然だし、そういった雰囲気でも無い。 ならば何故二人であんな所に居たのか、……恋人なのか?、とアルは少し考えたが、特別詮索する事でもなかったので、考える事を止めた。 アルは自らが持つ情報、「終焉の位階」のベヘモスを利用したプロジェクトをイライザとコウイチ、そして当然三草にも伝えた。 戦力として三草を利用できると思っていた訳では無いが、アルは三草に対して少し共感を持っていた、彼の力が、何かの役に立つかもしれないと思ったのだ。 「上海壊滅とは、大きく出たものね」 「はい、判っているとは思いますが……」 「不用意にこの情報を広めるなって言うんでしょ、当然よ」 イライザは理解が早い、コウイチはというと、さらに怒りを深めたようだが……逆に先ほどの怒気をアルが感じ取るような事は無かった。 この呪術師は熱いが、冷たいのだ。 矛盾しているようだが、そうとしか言いようが無い、熱い怒りを抱えながら、冷静さを抱く事が出来なければ呪術の類に触れている事などできやしない、それが出来なければ、呪術に喰われて死んでしまう、呪術師としての側面を持つという事は、そういう事だ。 「ベヘモスに関しては此方も調査中です、協力していただけますね?」 ほぼ断定するような口調で、アルは各々に視線を送った。 [No.140] 2011/04/30(Sat) 23:37:35 |